●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-31.IV.4:1 ~ T-31.IV.5:5


4. Why would you seek to try another road, another person or another place, when you have learned the way the lesson starts, but do not yet perceive what it is for? 

  • seek [síːk] : 「見つけようとする、探し求める」
  • person [pə́ːrsn] : 「人、人間」
  • place [pléis] : 「場所、個所、地域、土地」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」

❖ "Why would you seek ~ "「レッスンがスタートする道をあなたが知ったときに、なぜあなたは、他の道や他の人や他の場所を試そうと望むだろうか」。あなたは、この世界では真実への道を選択出来ないと知った。どの道も、絶望と死へ通じると知った。そんなあなたが、この世界で、また別の道を探したり、他の人に救いを求めたり、逃避の場所を探したりしようとすることはあるまい。



Its purpose is the answer to the search that all must undertake who still believe there is another answer to be found. 

  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
  • search [sə́ːrtʃ] : 「捜索、探査、追求」
  • undertake [ʌ̀ndərtéik] : 「引き受ける、請け負う、企てる」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • found [fáund] : 「findの過去・過去分詞形」

❖ "Its purpose is ~ "「そのレッスンの目的は、まだ他の答えが見つかるはずだと信じている者達すべてが企てる追求に対する答えである」。この世界にはまだ、苦や痛みから逃れる道があるはずだと信じている人達に対して、あなたがスタートし始めたレッスンは、そんな道はこの幻想世界にはないと答える。それが、このレッスンの目的の一つである。



Learn now, without despair, there is no hope of answer in the world. But do not judge the lesson that is but begun with this. 

  • despair [dispέər] : 「絶望、失望、落胆」
  • hope [hóup] : 「希望、望み」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「判断する、〜だと思う」
  • begun [biɡʌ́n] : 「beginの過去分詞形」

❖ "Learn now, without ~ "「この世界には、(苦と痛みに対する)希望の答えはないのだと、絶望することなく、今、学びなさい」。この幻想世界に真実を語る答えは存在しないのだと知ることは、決して絶望ではなく、その幻想を払拭した時に表れる実相世界にこそ、真実の答えがある。"But do not judge ~ "「しかし、これに対する答えをもって始まったばかりのレッスンを判断してはいけない」。この幻想世界には苦と痛みから解放される答えはないと教えることで始まったこのレッスンに対して、これは絶望的なレッスンだなどと判断してはいけない。この答えがレッスンの一つの目的ではあるが、もちろん、それだけではない。答えを幻想世界に求めるのではなく、実相世界に目覚めて、そこで真実の答えを見つけなさいと教えることが、このレッスンの二つ目の、そして最大の目的である。



Seek not another signpost in the world that seems to point to still another road. No longer look for hope where there is none. 

  • signpost [sáinpoust] : 「道標、道しるべ、手掛かり、指針」
  • point to : 「〜を指さす、指し示す」
  • no longer : 「もはや〜でない」
  • look for : 「〜を探す」

❖ "Seek not another signpost ~ "「まだ他の道があると指し示しているかに見えるこの世界の他の道しるべを求めてはいけない」。社会的な高い地位を得て他者を支配すれば、きっと満足のいく人生が送れるだろう思うだろうが、それは、決してうまく行くことはない。そこで今度は、有り余る金を得て、その金で他者を支配しようと企てるだろうが、それも成功することはない。まだ方法があるはずだと思い、この世での成功への道しるべを追い求めるだろうが、それは無駄なことだ。どんなに高い地位を得ようが、どんなに巨額の金を手に入れようが、どんなに他者を支配し優位に立とうが、そんなことでこの世界の苦と痛みから逃れることは出来ない。成功への道しるべは、単なる幻想なのだ。"No longer look for hope ~ "「もはや、ありもしないところに希望を求めてはいけない」。この幻想世界に真実への希望を求めてはいけない。この世界には、実相的真実など存在していないからだ。



Make fast your learning now, and understand you but waste time unless you go beyond what you have learned to what is yet to learn. 

  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • waste [wéist] : 「〜を無駄にする、空費する、浪費する」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の域を越えて、〜を超越して、〜の向こうに」

❖ "Make fast your ~ "「今、急いで学びなさい」。"and understand ~ "「そして、あなたが、(この世界で)学んだことを越えて、まだ学んではいないことへと進まない限り、あなたは時間を無駄にするのだと理解しなさい」。あなたは、この世界の多くを学び、多くの道を歩んできたが、それはすべて、崩壊と絶望と死へ繋がる道なのだ。今、それを超越して、実相世界について真実を学ぶべき時である。この世界をうろついて時間を無駄にしてはいけない。



For from this lowest point will learning lead to heights of happiness, in which you see the purpose of the lesson shining clear, and perfectly within your learning grasp.

  • low [lóu] : 「低い、高くない」
  • lowest point : 「底、最下点」
  • lead to : 「〜に通じる、結果として〜に導く」
  • height [háit] : 「頂点、山頂、最高地点」
  • happiness [hǽpinis] : 「幸福、喜び、幸せ」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • shining [ʃáiniŋ] : 「光る、輝く、きらめく、明るい」
  • clear [klíər] : 「澄んだ、きれいな、はっきり見える」
  • perfectly [pə́ːrfiktli] : 「完全に、完璧に、すっかり」
  • within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側に」
  • grasp [ɡrǽsp] : 「しっかりつかむこと、把握、理解」

❖ "For from this lowest ~ "「なぜなら、この最下点から幸せの頂上へと、学びは導いてくれるからだ」。真実のレッスンは、最下点である幻想世界から最上点である実相世界へとあなたを導いてくれる。虚偽のどん底から、真実の頂上へ、あなたを持ち上げてくれるのだ。"in which you see ~ "「その(真実の)幸せの中で、このレッスンの目的がはっきり輝いて見えてきて、完全に、学びをつかみ取ることが出来るのである」。実相世界の輝く真実に囲まれて幸せを感じる瞬間、あなたはなぜ生まれてきたのか、生きる目的とは何だったのか、そのすべてをあなたは理解することになる。この世界の虚偽がすべてはがれ落ち、真実だけがあなたの目の前に現れるからだ。



5. Who would be willing to be turned away from all the roadways of the world, unless he understood their real futility? 

  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する、〜に前向きである」
  • turn away from : 「〜から目を背ける、〜から目を離す」
  • roadway : 「道、道路」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • futility [fjuːtíləti] : 「無用であること、目的のない行為、無益、無価値」

❖ "Who would be willing ~ "「この世界の道が現実的に無価値であると理解しない限り、いったい誰が、この世界の道すべてから目を逸らそうとするだろうか」。この世の苦と痛みから逃れるためのこの世の道、この世の栄華を手に入れるためのこの世の道、そんなものは幻想であり無価値であると知ったなら、誰がそんな夢を追いかけるだろうか。



Is it not needful that he should begin with this, to seek another way instead? 

  • needful [níːdfəl] : 「入用な、必要な」
  • begin with : 「〜から始める」
  • instead [instéd] : 「代わりに、それよりむしろ」

❖ "Is it not needful ~ "「この世の道に代えて、他の道を探すためには、このレッスンから始める必要はないと言えるだろうか」。幻想世界の無価値を知り、この世の栄華を追い求める道を諦観するレッスンこそが、今のあなたに最も必要なものである。



For while he sees a choice where there is none, what power of decision can he use? 

  • while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力」
  • decision [disíʒən] : 「決定、決断、決心」

❖ "For while he sees ~ "「なぜなら、本当の選択など存在しない場所に、選択を見出そうとする間は、いったいどんな決断のパワーを利用出来るだろうか」。ここの"power of decision"「決断のパワー、決断力」とは、真実を勇気をもって選択するという精神力、簡単に言えば、幻想を捨て実相を手に入れる決断力のことである。この世の夢に翻弄されているうちは、そんな決断力をものにすることは出来ない。金、名誉、地位、権力、快楽、欲、等々の道を進む者には、実相的なパワーを手に入れることは不可能なのだ。



The great release of power must begin with learning where it really has a use. 

  • great [ɡréit] : 「大きい、大きな、巨大な、主要な、偉大な、卓越した」
  • release [rilíːs] : 「放出、放射」
  • use [júːs] : 「役立つこと、効用、利益、効果」

❖ "The great release ~ "意訳する、「偉大なパワーを発揮するには、そのパワーが本当に発揮される場所はどこにあるのか学ぶことから始めなくてはならない」。実相的なパワーは実相で発揮されるのであって、この幻想世界の中に実相的パワーは存在しない。あなたが本当の命のパワーを得るには、幻想を抜け出して実相に目覚めなくてはならないのだ。幻想を赦し、幻想を消滅させるレッスンから始めなくてはならない。幻想が消滅したとき、あなたには奇跡を起こすことの出来るパワーが身に付く。その奇跡に導くレッスンが、この"A Course in Miracles"である。



And what decision has power if it be applied in situations without choice?

  • apply [əplái] : 「適用する、応用する、利用する、生かす」
  • situation [sìtʃuéiʃən] : 「状況、情勢、事態」

❖ "And what decision ~ "「もしパワーを、(本当の)選択など存在しない状況下で発揮させようとしても、いったいどんな決断がパワーを持ち得ようか」。この世の苦と痛みから逃れるための、本当の道が存在しない幻想世界の状況下で、つまり、本当の救いの道の存在しない状況下で、どんなにパワーを発揮しようとしても、どんな決断も奇跡のパワーを持ち得ない。権力を選択する決断をしても、有り余る金を手に入れる選択を決断しても、そんな決断にパワーは宿らない。そんな決断に、実相世界に目覚めさせる真実の力はないのだ。文字通り、「実力」とは実相的パワーのことであり、この世の力など「虚力」と言う外ない。この幻想世界の選択や決断など、夢の中の出来事であって、はかない虚力を弄ぶに過ぎないのだ。
 
 
 


T-31.IV.2:1 ~ T-31.IV.3:10


2. Real choice is no illusion. But the world has none to offer. All its roads but lead to disappointment, nothingness and death. 

  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際、本物の」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • road [róud] : 「道、進路、道筋、道程」
  • lead to : 「〜に通じる、〜へ導く」
  • disappointment [dìsəpɔ́intmənt] : 「失望、落胆、失意」
  • nothingness [nʌ́θiŋnis] : 「存在しないこと、無、非実在、無価値」
  • death [déθ] : 「死、死亡、破滅、消滅」

❖ "Real choice is ~ "「本当の選択とは、まったく幻想的ではない」。実相的選択とは、真実を選択することであって、この世界の幻想、すなわち虚偽をあれこれ選択することではない。したがって、"But the world ~ "「この世界は、本当の選択を一つも差し出してはくれない」。この幻想世界は幻想しかもっていないので、真実の選択肢を差し出すことは出来ない。だから、この世界でどんな選択をしても、"All its roads but ~ "「選択したあらゆる道は、失望や虚無、そして死へ導くのである」。幻想世界は、変化流動する幻想だけを提供し得る。選択肢はそれしかない。幻想は崩壊と死に向かい、したがって、この世界で選択したあらゆる道は、無意味な絶望と崩壊と死に向かうのだ。



There is no choice in its alternatives. Seek not escape from problems here. 

  • alternative [ɔːltə́ːrnətiv] : 「取って代わるもの、代替手段、選択肢」
  • seek [síːk] : 「探し求める、求める」
  • escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、避難、逃げ道、逃避、回避」
  • problem [prɑ́bləm] : 「問題、課題」

❖ "There is no choice ~ "「それに代えて選択するものはない」。この世界のどんなものを選択しても、それは幻想に過ぎず、実相的な真実の代わりになることはない。真実は、実相世界にしか存在しないのだ。"Seek not escape ~ "「この世界で、問題から逃れようとしてはいけない」。何を選択しても、問題を解決出来ないからだ。崩壊と死から逃れることは出来ない。だから、まず第一に、この幻想世界から逃れることを選択しなくてはならないのだ。例えば、苦と痛みからの解放を求めて、物質的な豊かさや社会的な地位を選択しても、その問題は決して解決しない。幻想から解放されない限り、苦と痛み、絶望と崩壊と死から逃れることは出来ないのである。



The world was made that problems could not be escaped. Be not deceived by all the different names its roads are given. They have but one end. 

  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • end [énd] : 「結果、結末、停止、終わり」

❖ "The world was made ~ "「この世界は、問題から逃れられないように作られた」。この世界は幻想として偽創造されたのであって、幻想をいくら追っても、実相は得られない。苦と痛みの解決策は、この世界にはないのだ。"Be not deceived ~ "「(問題を解決すると言われる)道に与えられた名前が違っても、それに騙されてはいけない」。快楽に溺れれば苦は消える、多くの金が手に入れば痛みも消える、権力で他者を支配すれば幸せになれる、等々、いろいろな問題解決の道が提示されるが、それに騙されてはいけない。"They have but ~ "「それらの道の行き着く先は、ただ一つである」。もちろん、絶望と崩壊と死である。変化流動する幻想の必然である。



And each is but the means to gain that end, for it is here that all its roads will lead, however differently they seem to start; however differently they seem to go. 

  • each [íːtʃ] : 「各々、それぞれ、めいめい」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、手法」
  • gain [ɡéin] : 「得る、獲得する」
  • however [hauévər] : 「どんなに〜でも、いかに〜であろうとも」
  • differently [dífərəntli] : 「異なって、違って、そうではなく」
  • start [stάːrt] : 「開始、着手、スタート」

❖ "And each is but ~ "「道それぞれは、その終着点を手に入れるための手段に過ぎない」。幻想世界の問題解決策という道は、すべて、絶望と死へという終着点を手に入れるため手段に過ぎない。"for it is here that ~ "「なぜなら、道のスタートがどんなに違っても、行き先がどんなに違って見えても、すべての道が導く場所はここなのだから」。つまり、幻想の道は、すべて絶望と崩壊と死へ繋がるのである。金儲けの道も、権力への道も、快楽への道も、宗教へ逃避する道も、すべて、行き着く先は絶望と死の終着駅である。



Their end is certain, for there is no choice among them. All of them will lead to death. 

  • certain [sə́ːrtn] : 「明白な、疑う余地がない、避けられない」
  • among [əmʌ́ŋ] : 「〜の間で、〜がそれぞれ」

❖ "Their end is ~ "「それらの行き着く先は確実である」。"for there is no ~ "「そこに、選択の余地はない」。どれを選んでも、終着駅は同じである。"All of them ~ "「そのすべては、死へ導くのだ」。絶望と崩壊と死、それが、幻想世界のあらゆる道の終着駅である。



On some you travel gaily for a while, before the bleakness enters. And on some the thorns are felt at once. 

  • gaily [géili] : 「陽気に、愉快に、楽しく」
  • for a while : 「しばらくの間、少しの間」
  • bleakness [blíːknis] : 「荒涼としていること、わびしさ」
  • enter [énter] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • thorn [θɔ́ːrn] : 「とげ、はり、苦痛の種」
  • felt [félt] : 「feelの過去・過去分詞形」
  • feel [fíːl] : 「〜を感じる、感知する」
  • at once : 「すぐに、瞬時に、早急に、即刻」

❖ "On some you travel ~ "「道の中のいくつかは、闇が忍び込む前なら、しばしの間、あなたの旅も楽しかろう」。金儲けに浮かれて、快楽に溺れ、権力に酔っているうちは、それもまた楽しいであろうが、闇はあなたのすぐ側に迫って来ている。"And on some ~ "「また、ある道中では、すぐに、棘の痛みが感じれることだろう」。苦と痛みから逃れようとしても、その苦と痛みがすぐに感じられてしまう道もある。



The choice is not what will the ending be, but when it comes.

  • ending [éndiŋ] : 「終わり、終了、終点、末尾」

❖ "The choice is not what ~ "「(この世界での)選択は、終わりがどうであるべきかという選択ではなく、終わりがいつ来るか、という選択になってしまうのだ」。終わりは絶望と崩壊と死であることは明白である。道の選択は、つまるところ、終着駅の選択ではなく、どれだけ遅く、あるいはどれだけ早く、その終着駅に到達するか、という選択でしかない。



3. There is no choice where every end is sure. Perhaps you would prefer to try them all, before you really learn they are but one. 

  • sure [ʃúər] : 「確信して、確信している、確かな、 確実な」
  • perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • prefer [prifə́ːr] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む、〜の方を選ぶ 」
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する、分かる、知る」

❖ "There is no choice ~ "「あらゆる終点が確実であるところに、選択の余地などまったくない」。"Perhaps you would prefer ~ "「あなたが、本当に、すべての道の選択がただ一つであると学ぶまでは、」この世界での問題解決のための道の終着点が絶望と崩壊と死の一つしかないと知るまでは、「たぶんあなたは、あらゆる道の選択を試みてみたいと思うだろう」。快楽の追求でダメなら、金の追求、それがダメなら権力の追求と、あらゆる手段を試して見たくなるだろう。しかし、どれも無駄なことである。



The roads this world can offer seem to be quite large in number, but the time must come when everyone begins to see how like they are to one another. 

  • quite [kwáit] : 「かなり、なかなか、とても、非常に」
  • large [lάːrdʒ] : 「多い、多数の」
  • in number : 「数えてみると、数の上では」
  • begin [bigín] : 「〜を始める、〜に取り掛かる、着手する」
  • one another : 「お互い」

❖ "The roads this world ~ "「この世界が提供し得る道は、膨大な数ほどあるように見えるだろう」。"but the time must ~ "「しかし、誰もが、すべての道は他の道と同じようなものだと知り始める時が必ずやって来る」。この世界の様々な道は、形こそ異なっていようが、幻想である一点では皆同じである。幻想である以上、終着駅は絶望と崩壊と死である。みな同じなのだ。誰もがそれを悟る時が、いずれ訪れる。



Men have died on seeing this, because they saw no way except the pathways offered by the world. 

  • die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
  • saw [sɔ́ː] : 「seeの過去形」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • pathway [pǽθwei] : 「小道、歩道、通路、経路、進路」

❖ "Men have died ~ "「人は、こんなことを見ながら死んで行ったのだ」。"because they saw ~ "「なぜなら、彼らは、この世界によって差し出される道以外に、どんな道も見つけられなかったからだ」。幻想に生き、幻想に死んで行ったのである。逆に言えば、幻想から抜け出す道を見出しさえすれば、彼は死という幻想からさえも抜け出すことが出来たのである。しかし、無死への道、すなわち実相への道は、この世界が提供出来るものではない。



And learning they led nowhere, lost their hope. And yet this was the time they could have learned their greatest lesson. 

  • led [léd] : 「leadの過去・過去分詞形」
  • nowhere [nóuhwὲər] : 「どこにも〜ない」
  • lost [lɔ́st] : 「loseの過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • hope [hóup] : 「希望,望み」
  • great [ɡréit] : 「重要な、重大な、偉大な、素晴らしい」

❖ "And learning they ~ "「そして、どんな道もどこへも導いてくれないと知って、希望を失ったのである」。結局、ニヒリズムの道へ、神の否定の道へ、虚無と絶望と悲観の道へ流れ出て行く以外になくなったのだ。奇しくも、ドストエフスキーと夏目漱石が同一の結論に達したように、既成の似非宗教に逃れるか、自殺するか、発狂するか、その三つの道しか残されていない。そういうポイントに達してしまったのだ。"And yet this was ~ "「しかし、こんな時こそ、彼らが最も偉大なレッスンを学ぶ可能性のある時だったのだ
」。つまり、実相へ目覚める最大のチャンスであったのだ。真実を知る最大のチャンスであった。虚無と絶望と悲観を乗り越え、幻想を赦してそれを消滅させる最大の学びの瞬間であったのだ。



All must reach this point, and go beyond it. It is true indeed there is no choice at all within the world. 

  • reach [ríːtʃ] : 「達する、至る、着く、到着する」
  • point [pɔ́int] : 「点、場所、位置」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも、実際に」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜のうちに」

❖ "All must reach ~ "「みんな、このポイントに達し、そして、そこを越えなくてはならない」。幻想の道はすべて、絶望と崩壊と死の終着点に達するのだと達観しするポイントに達し、幻想を超越しなくてはならない。"It is true indeed ~ "「まことに、この世界にあっては、選択などまったくないということは真実である」。この世界のどんな道を選択しても、実相的な真実に到達することは出来ないということは真実である。したがって、この世界の選択自体も幻想であって、本当の選択などこの世界には存在しない。



But this is not the lesson in itself. The lesson has a purpose, and in this you come to understand what it is for.

  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」

❖ "But this is not ~ "「しかし、これ自体が(本当の)レッスンそのものだというわけではない」。この世界では真実へ向かう道の選択は不可能だと知っただけでは、それだけでは本当のレッスンだとは言い難い。それは、真実を獲得する始まりに過ぎないのだ。"The lesson has ~ "「このレッスンには目的があり、この目的の中でこそ、レッスンが何のためにあるのか、あなたは理解することが出来るのである」。もちろん、レッスンの目的は幻想から解放されるということであって、幻想をしっかり認識し、幻想を受け入れ受け流し、赦すことで幻想を消滅させるのである。この世界の幻想から解放されるのだ。
総括しよう。この世界の苦と痛みから解放されて、本当の幸せや喜びを得る道は、この世界にはない。どんな選択も、その道は絶望と崩壊と死に向かう。ならば、第一に、救いの道はこの世界にはないのだと認識し、第二に、この世界の幻想性を赦して幻想を消滅することに限る。これが、この世に生まれてきた最大の目的であり、これに尽きる。幻想から目覚め、そして、実相への旅を始めるのだ。その旅はキリストを同伴しての旅であり、何と楽しく、足取りの軽いことか。天の王国の最期のゲートに行き着けば、それからは、神自身があなたの手を取って王国に招き入れてくれる。かくして、あなたは実相世界への回帰を果たすことが出来、神との再会を祝うのである。そのとき、あなたの目からウロコが落ち、実は、あなたは神から一歩も離れていなかったことに気が付く。ただただ長く深い夢を見ていたのだと知るのである。
 
 
 



T-31.III.7:1 ~ T-31.IV.1:8


7. The innocent release in gratitude for their release. And what they see upholds their freedom from imprisonment and death. 

  • innocent [ínəsənt] : 「無実の、潔白な、率直な、純真な、無邪気な」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする」
  • gratitude [ɡrǽtətjùːd] : 「感謝、感謝の気持ち」
  • in gratitude for : 「〜に感謝して」
  • release [rilíːs] : 「釈放、救出、解放」
  • uphold [ʌphóuld] : 「〜を是認する、支持する、支える、維持する」
  • freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
  • imprisonment [impríznmənt] : 「投獄、拘禁、禁錮、懲役」
  • death [déθ] : 「死、死亡、破滅、消滅」

❖ "The innocent ~ "「無辜なる者は、解放されたことに感謝しながら、(他者をも)解放する」。心にあった罪の意識は、実は幻想だったのだと知ってそれを赦し、罪の意識から解放された者は、その解放をもたらしてくれた真実に感謝しながら、今度は、同胞を罪の意識から解放する。"And what they see ~ "「彼らが目にするものは、投獄と死から自由になったことを支持している」。「目にするものが、〜を支持する」とは、「〜である現実を目にする」ということ。つまり、心が、それを閉じこめていた肉体から解放され、幻想から自由になったために、幻想の死からさえ解放された事実を目撃するのである。



Open your mind to change, and there will be no ancient penalty exacted from your brother or yourself. 

  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
  • ancient [éinʃənt] : 「古代の、古くからの、古い、古びた」
  • penalty [pénəlti] : 「刑罰、処罰、違約金、罰金、罰」
  • exact [iɡzǽkt] : 「〜を要求する、〜を強要する、〜を必要とする」

❖ "Open your mind ~ "「変化を起こすために、あなたの心を開きなさい」。肉体に幽閉された状態から心の自由な状態へと変化させるために、まずは、心の目を開きなさい。心の目をもって、真実を見つめなさい。"and there will be ~ "「そうすれば、あなたの同胞やあなた自身に強要されていた昔の罰は、存在しなくなるだろう」。罪が幻想であると認識し、赦して、その幻想が消滅したのだから、昔からずっと強要されていた罪に対する罰もまた、同時に消滅するのだ。神を裏切ったという罪も幻想であるなら、神が神の子に報復するという、その罰への恐れも幻想である。あるいは、あなたがこの幻想世界で犯した数々の罪は、実は、夢の中の出来事であって、そんな悪夢から目覚めさせすれば、夢の中の罪は消滅する。同時に、夢の中で恐れていた罰も消えるのだ。



For God has said there is no sacrifice that can be asked; there is no sacrifice that can be made.

  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」

❖ "For God has said ~ "「なぜなら、強要され得るような犠牲など存在しないと、神が言ったからである」。神の住む実相世界には犠牲という概念は存在しない。犠牲は真実ではないからだ。したがって、真実の神が、神の子に犠牲を強要するわけがない。犠牲という考えは、この幻想世界だけに存在する。つまり、犠牲とは夢の中の出来事に過ぎないのだ。本当は、犠牲など存在しない。つまり、"there is no sacrifice ~ "「なされ得るような犠牲など存在しない」。実相的に、犠牲はなされ得ない。そんなものは、その概念さえも、存在しないからだ。





IV. The Real Alternative
実相的な選択肢


1. There is a tendency to think the world can offer consolation and escape from problems that its purpose is to keep. 

  • tendency [téndənsi] : 「性向、傾向、意図、性質、特質」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • consolation [kὰnsəléiʃən] : 「慰めること、慰め、安らぎ、慰安」
  • escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、避難、逃げ道、逃避、回避」
  • problem [prάbləm] : 「問題、課題、困難な状況」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」

❖ "There is a tendency ~ "「〜であると考える傾向がある」。"the world can ~ "「この世界は、世界の目的が抱え込む問題からの脱出や慰めを差し出してくれる可能性がある」と考える傾向がある。"problems that its purpose is to keep"「この世界の目的が抱え込み、保持し続ける諸問題」とは、罪の意識に起因する数々の苦と痛みのことである。この世界の目的とは、神の子の分離を維持することであり、罪という幻想を維持することだ。その結果、神の子は他者を攻撃し、奪い、殺し、罪を抱き、恐れを抱き、痛みを感じ、苦を味わい、そして、崩壊と死へ向かう。ところが、そんな神の子は、尚のこと、痛みと苦からの開放策が、この幻想世界に存在していると錯覚している。人の上に立って人を支配し、金をため込み、富を蓄え、食と性の快楽の中に安住することで、痛みと苦から解放されると信じているのだ。



Why should this be? Because it is a place where choice among illusions seems to be the only choice. And you are in control of outcomes of your choosing. 

  • place [pléis] : 「場所、個所、住所、立場、境遇」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • among [əmʌ́ŋ] : 「〜に囲まれた、〜の間の」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • in control of : 「〜を管理して、〜を支配して、〜を抑制して、〜の主導権を持って」
  • outcome [áutkʌ̀m] : 「結果、結末、成果、所産」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」

❖ "Why should this ~ "「なぜ、こんなことにならねばならないのか」。"Because it is a place ~ "「なぜなら、この世界こそが〜である場所だからだ」。"where choice among ~ "「幻想の中から選択するのが、唯一の選択だと思われている」場所だからだ。"And you are ~ "「そして、あなたが、あなたの選択による結果を支配していると思っているからだ」。この世界で、あなたが支配者になるか支配される者になるか、奪う者になるか奪われる者になるか、金持ちになるか貧乏人になるか、殺すか殺されるか、すべてはあなたの選択次第だと、あなたは考えている。勝利者になるか敗者になるか、勝馬になるか負け犬になるか、どっちにしても幻想に過ぎないにも関わらず、あなたの選択肢は、そんなケチな幻想の中にしか存在しないと考えているのである。そして、あなたが数々の幻想から自ら選択し、その結果を、自らの責任として支配出来るものと信じている。この世界での成功はあなたの努力の結果であり、失敗はあなたの責任であるとする。成功も失敗も幻想であり、単なる夢の中の出来事に過ぎないにも関わらず、夢の中の出来事の選択もその結果も、自分がコントロール出来るものだと信じているのである。



Thus you think, within the narrow band from birth to death, a little time is given you to use for you alone; a time when everyone conflicts with you, but you can choose which road will lead you out of conflict, and away from difficulties that concern you not. 

  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • within [wiðín] : 「〜の中で、〜以内で」
  • narrow [nǽrou] : 「限られた、狭い、薄い、小さい、少ない」
  • band [bǽnd] : 「帯、バンド」
  • birth [bə́ːrθ] : 「誕生、出生、生まれること」
  • death [déθ] : 「死、死亡、破滅、消滅」
  • given [gívn] : 「giveの過去分詞形」
  • alone [əlóun] : 「独力で、単独で、独りで」
  • conflict [kənflíkt] : 「対立する、矛盾する」
  • lead [líːd] : 「案内する、先導する、連れて行く」
  • conflict [kάnflikt] : 「争い、紛争、闘争、戦争、戦闘 」
  • away from : 「〜から離れて」
  • difficulty [dífikʌ̀lti] : 「困難、難事、難儀、面倒なこと、問題」
  • concern [kənsə́ːrn] : 「〜に関係する、〜と関係がある、〜を心配させる」

❖ "Thus you ~ "「あなたは、こう考えているのだ」。"within the narrow ~ "「生まれて死ぬまでの短い時間の中で、」"a little time is ~ "「わずかの時間は、あなたのためだけに、あなたに与えられており、」"a time when ~ "「それは、他者のすべてがあなたと対立する時間であると考えている」"but you can choose ~ "「しかし、関わりのない困難から離れて、対立から抜け出すようにあなたを導いてくれる道をあなたは選択出来るものだと考えている」。あなたがこの世に生まれ死んでいくまでのわずかの時間は、あなたに与えられた自由時間だと信じている。勝利者となるか敗者となるかの選択の自由も与えれているし、たとえ他者と対立しても、攻撃し殺すことで、他者との対立から抜け出す自由も与えれている。また、本来あなたが求めたものではなく無関係だと思っている苦と痛みから離れる道さえも、快楽や富みを手に入れることで、あなたは進むことが出来ると考えている。



Yet they are your concern. How, then, can you escape from them by leaving them behind? 

  • concern [kənsə́ːrn] : 「関心事、懸念、心配、不安」
  • escape [iskéip] from : 「〜から逃避する」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする」
  • behind [biháind] : 「〜の後ろに、後方に、〜の裏側に」

❖ "Yet they are your ~ "「しかし、それらは、あなたに関わりがあるのだ」。苦と痛みは、あなたが求めたものではなく、あなたに無関係なものだと思っているだろうが、本当は、あなたの罪の意識が生み出した必然的な結果なのだ。"How, then, can ~ "「ならば、どうして、そんなものを後に残して、(苦と痛みから)逃れることが出来るだろうか」。あなたの罪の意識が生みだした苦と痛みをあなたの背後に隠したまま、見て見ぬ振りをして、苦と痛みから抜け出すことなど出来るだろうか。苦と痛みを一時的に麻痺させるような快楽と富よって、苦と痛みそのものも原因も消滅するはずはないのだ。



What must go with you, you will take with you whatever road you choose to walk along.

  • go with : 「〜とともに進む、〜と一緒に行く」
  • whatever [hwʌtévər] : 「どんなものが〜でも」
  • walk along : 「歩く」

❖ "What must go ~ "「あなたと共に歩むに違いないものは、」あなたが携えて歩いて行かなくてはならないものは、"you will take with you ~ "「たとえあながどんな歩むべき道を選択したとしても、それと共に歩いていくのである」。あなたが苦と痛み、つまり、罪の意識をどんなに無視し、背後に隠しても、そして、たとえあなたが快楽と富の道を選択し、勝者への道を歩んで行こうと努力しても、罪の意識があなたの心に存在する限りは、苦と痛みはあなたについてくるのだ。この幻想世界で、その幻想から解放されない限り、あなたは苦と痛みの幻想から解放されることはない。どんなに巨大な支配力を得ようが、どんなに巨大な富を築こうが、どんなに快楽に溺れようが、成功者としてどんなに名声を馳せようが、それが単なる幻想である限りは、決して苦と痛みから解放されることはない。幻想を捨て、幻想に代わるものを得るまでは、あなたは、苦と痛みの短い時間を死に向かってひた走ることになる。
 
 
 


T-31.III.5:1 ~ T-31.III.6:6


5. The mind that thinks it is a sin has but one purpose; that the body be the source of sin, to keep it in the prison house it chose and guards and holds itself at bay, a sleeping prisoner to the snarling dogs of hate and evil, sickness and attack; of pain and age, of grief and suffering. 

  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起源」
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
  • prison [prízn] : 「刑務所、拘置所、監獄、監禁、禁錮、幽閉」
  • prison house : 「獄舎」
  • chose [tʃóuz] : 「chooseの過去形」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • guard [ɡάːrd] : 「守る、保護する、見張る、監視する」
  • hold [hóuld] : 「縛り付ける、とどめておく、拘束する」
  • bay [béi] : 「追い詰められた状態、窮地」
  • at bay : 「追い詰められて」
  • hold at bay : 「寄せ付けない、くぎ付けにする」
  • prisoner [prízənər] : 「囚人、捕虜」
  • snarl [snάːrl] : 「うなる、とげとげしく言う、怒鳴る、罵る」
  • hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
  • evil [íːvəl] : 「悪、不正、不道徳」
  • sickness [síknis] : 「病気」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛 、苦痛、骨折り」
  • age [éidʒ] : 「年齢、年、高齢、老齢、寿命」
  • grief [ɡríːf] : 「悲しみ、嘆き、苦悩」
  • suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しみ、苦痛、悩み」

❖ "The mind that thinks ~ "「自らを罪だと思っている心は、ただ一つの目的をもっている」。"that the body be the source ~ "「それは、肉体を罪の源であるとし、」"to keep it in the prison ~ "「心が選んだ牢獄(肉体)に心を閉じこめ、監視し、心自体を窮地に追い込み、」"a sleeping prisoner ~ "「病や攻撃、痛みや加齢、悲しみや苦痛、そして、憎しみや悪意の犬が吠え立てても眠り続ける囚人に仕立て上げることなのだ」。肉体は、罪の住まう館という形をとった、神の子の分離の象徴である。つまり、病や攻撃、痛み、加齢、悲しみ、苦痛、憎しみ、悪意、等々の幻想を実在する現実だと思い込み、その原因が自らの罪にあるのだと信じ込んで、肉体を罪と分離の偶像に祭り上げられているのだ。正しい心は、それは幻想に過ぎないのだと訴えようとしているのだが、その心を肉体という牢獄に閉じこめ、その声を遮断し、あたかも薬物によって眠りこけたような状態を強制しているのだ。苦と痛みがどんなに吠え立てようとも、眠りこけた心は目を覚まそうとしない。エゴが肉体に求めた目的は、まんまと叶えられている。



Here are the thoughts of sacrifice preserved, for here guilt rules, and orders that the world be like itself; a place where nothing can find mercy, nor survive the ravages of fear except in murder and in death. 

  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、考え、見解」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、犠牲にすること」
  • preserve [prizə́ːrv] : 「〜を保つ、保存する、守る、順守する」
  • guilt [ɡílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • rule [rúːl] : 「統治する、支配する、牛耳る」
  • order [ɔ́ːrdər] : 「指図する、命令する」
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所、地域、土地」
  • find [fáind] : 「見つける、探し出す、発見する、見いだす」
  • mercy [mə́ːrsi] : 「慈悲、情け、深い心、優しい心根」
  • survive [sərváiv] : 「切り抜けて生き残る、乗り切る」
  • ravage [rǽvidʒ] : 「破壊、損害、惨害、痛ましいほどの被害」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • murder [mə́ːrdər] : 「殺人、謀殺」
  • death [déθ] : 「死、死亡、破滅、消滅」

❖ "Here are the thoughts ~ "「ここに、犠牲という考えが保存される」。肉体は罪であり、苦と苦痛に値するという考えが、そのまま犠牲という考えを正当化する。"for here guilt ~ "「なぜなら、この肉体にあっては、罪が支配し、この世界もまた肉体自体と同じようであらねばならないと命じているからだ」。罪という幻想を象徴する形で肉体は偽創造され、同時に、この世界も幻想として偽創造された。つまり、罪を囲い込んだ肉体が、その活動の場所として、この現象界を与えられたのだ。夢の世界に、亡霊のような肉体が動き回るのである。"a place where nothing ~ "「この世界では、いかなる慈悲も探し出すことは出来ず、人殺しと死以外に、破壊的な恐怖から生き延びることは出来ない」。"except in murder and in death"「人殺しと死以外に」、とあるが、ここは、「破壊的な恐怖から生き延びることは出来きず、すべては人殺しと死に結果する」という意味合いである。肉体同様、この世界も苦と痛みの世界であり、変化流動する幻想世界は、破壊と死に帰結する。夢は死で終わるのだ。



For here are you made sin, and sin cannot abide the joyous and the free, for they are enemies which sin must kill. 

  • abide [əbáid] : 「我慢する、辛抱する、居住する」
  • joyous [dʒɔ́iəs] : 「うれしい、喜びに満ちた、楽しい、楽しげな」
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」
  • kill [kíl] : 「殺す、葬る、始末する」

❖ "For here are you ~ "「なぜなら、この世界では、あなたは罪有りとされているからであり、」"and sin cannot abide ~ "「罪は、喜びに満ちることや自由であることを容赦出来ないからだ」。だから、この世界に慈悲はない。喜びや自由という実相的真実を、幻想は極力嫌悪するからだ。"for they are enemies ~ "「なぜなら、喜びや自由は、それを殺さねばならない罪の敵だからだ」。幻想の罪は、幻想として生き延びるために、実相の真実を抹殺する。喜びも自由も、もちろん、愛も慈悲も、幻想の罪は抹殺し続けるのである。



In death is sin preserved, and those who think that they are sin must die for what they think they are.

  • die for : 「〜のために死ぬ」

❖ "In death is sin ~ "「罪は、死の中に保持される」。罪の終着駅は、死以外にない。幻想の行き着く先は崩壊と死なのだ。"and those who think ~ "「罪あると思っている人達は、(死に値する罪を背負っていると)思っているから、死ぬのである」。罪があり、罪は死によって贖(あがな)われなければならないと信じる、その想念が、たとえ単なる幻想に過ぎないとは言え、現実化するのだ。夢の中の思いであっても、夢の中では、思いは現実化する。死は幻想に過ぎないが、幻想世界にあっては、死は現実となる。苦と痛みの果ての死である。むしろ、苦と痛みに耐えた褒賞(ほうしょう)が死だと言った方がいいだろうか。



6. Let us be glad that you will see what you believe, and that it has been given you to change what you believe. 

  • glad [ɡlǽd] : 「満足して、うれしく思う、嬉しい」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」

❖ "Let us be glad that ~ "「あなたが信じることを、あなたは目にするのだということを喜ぼう」。"and that it has been ~ "「あなたが信じているものを変えるために、それはあなたに既に与えられていることを喜ぼう」。罪や死という幻想を信じ込めば、その想念は現実化する。ならば、逆に、罪や死は幻想に過ぎないのだと認識し、罪も死も存在しないのだと信じるなら、それもまた、現実化するのだ。あなたは、無辜と無死が与えられるのである。しかも、無辜と無死は実相的な真実であって、実は既にあなたに与えられているものなのである。神は神の子をそのように創造したからだ。それに気付きさえすればいい。罪や死の幻想性を認識し、受け入れ受け流して赦すことが出来れば、幻想は自ずから消滅する。そして、あなたの目に、無辜と無死という真実の現実が見えてくるのだ。それが、救いであり、ヒーリングであり、奇跡なのである。



The body will but follow. It can never lead you where you would not be. 

  • follow [fάlou] : 「〜の後について行く、〜に従う、追随する」
  • lead [líːd] : 「案内する、先導する、指導する」

❖ "The body will ~ "「肉体は従うだけである」。肉体は、あなたに命じることは不可能だ。あなたが肉体を従わせるのである。"It can never lead ~ "「肉体は、あなたがそこにいたいと思わない場所にあなたを導くことなど決して出来ない」。あなたが苦と痛みのこの幻想世界にいたくないと思えば、肉体はあなたをその場に留め置くことは出来ない。肉体は、あなたの心を閉じこめている牢獄ではあるが、その場があなたの居場所ではないとあなたが強く意思出来れば、肉体はあなたを牢獄に留め置くことは出来ないのである。



It does not guard your sleep, nor interfere with your awakening. 

  • guard [ɡάːrd] : 「守る、保護する」
  • interfere [ìntərfíər] with : 「〜を妨げる、〜を邪魔する」
  • awakening [əwéikəniŋ] : 「覚醒、目覚め、気付くこと」

❖ "It does not guard ~ "「肉体は、あなたを眠らせたままにしておくことも、あなたの目覚めを邪魔することも出来ない」。あなたを眠らせたままにしておこうとするものも、目覚めを邪魔しようとするものも、あなたの肉体ではなく、その肉体を支配しているエゴである。あなたの倒錯した意思なのだ。その倒錯したエゴの意思を覆して、真実を求める意思をあなたが自覚出来さえすれば、あなたは、幻想という夢から目覚めることが出来るのである。ホーリー・スピリットの意思を、あなた自身の意思だと自覚すればいいのだ。



Release your body from imprisonment, and you will see no one as prisoner to what you have escaped. 

  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする」
  • imprisonment [impríznmənt] : 「投獄、拘禁、監禁、幽閉」
  • escape [iskéip] : 「逃げる、ずらかる、脱出する、抜ける」

❖ "Release your body "Release your body ~ "「牢獄の身から、肉体を解放しなさい」。心が肉体という牢獄に閉じこめられているのではなかったかと思われただろうが、それはそうだが、肉体もまた、エゴの作った倒錯した意思という牢獄に閉じこめられている。その幻想から、肉体を解放しなさい。肉体が解放されれば、同時に心も解放される。"and you will see ~ "「そうすれば、あなたは誰も、あなたが逃れてきたところに投獄されていた囚人として見ることはないであろう」。あなたが肉体も、そして同時に心も、幻想から解放されれば、あなたの目に真実が見えてきて、あなたの同胞もまた、エゴや肉体に閉じこめられた囚人であるという姿は幻想であって、本当は、実相世界の中で自由の身なのだと理解出来るだろう。



You will not want to hold in guilt your chosen enemies, nor keep in chains, to the illusion of a changing love, the ones you think are friends.

  • guilt [ɡílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • chosen [tʃóuzn] : 「chooseの過去分詞形」
  • chain [tʃéin] : 「鎖、チェーン、手枷、足枷、拘束、束縛」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」

❖ "You will not want ~ "「あなたは、あなたが敵として選んだ同胞を罪の中に押し留めて置くことはしないだろうし、あなたが友達だと思っている者達を、〜という幻想の鎖に縛りつけて置くこともしないだろう」。"to the illusion of ~ "「ころころ変わってばかりいる愛という幻想の」鎖に縛りつけて置くこともしないだろう。変化する愛は、憎悪という対極概念をもった幻想の愛である。偽りの愛だ。そんな幻想的な偽りの愛をもって友達だとか恋人だとかと思っている同胞を、その幻想的な愛の鎖から解放するのである。そのとき初めて、憎悪という対極概念をもたない真実の愛、純粋な愛、実相的な愛が見えてくる。それは、神の愛であり、ホーリー・スピリットの愛である。そして、それは同時に、神の子であるあなたの本当の愛なのだ。
 
 
 


T-31.III.3:1 ~ T-31.III.4:10


3. Sins are in bodies. They are not perceived in minds. They are not seen as purposes, but actions. 

  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い、理由、意義」
  • action [ǽkʃən] : 「活動、行動、動き、動作」

❖ "Sins are in ~ "「罪は、肉体の中にある」。罪の意識は、一見、単に心の中にありそうに思われるかも知れないが、罪を感じているのはエゴに支配された心の幻想部分であって、ホーリー・スピリットの住む純粋で神聖な心の部分ではない。肉体もまた、エゴに支配された幻想に過ぎず、その意味では、幻想的な心の部分と肉体は同一である。そこで、「罪というものは、肉体の中にある」となる。簡単に言えば、罪とは肉体なのである。肉体は罪の象徴なのだ。"They are not ~ "「罪は、(正気な)心の中には知覚されない」。幻想の罪は、実相の正しい心の中には存在しない。"They are not seen ~ "「罪は、目的と見なされることはなく、ただ動きそのものである」。ここは、罪と肉体は同一であると考えると理解しやすいだろう。つまり、「罪」を「肉体」に置き換えて、「肉体は、目的と見なされることはなく、ただ動きそのものである」となる。肉体は、神の子が分離して存在していることを偽証するための道具として幻想されたものであって、肉体が実相的な目的を持つことはない。肉体は、実相への目覚めという目的を担っているわけではないのだ。単に、分離の象徴として、個別に動き回っているだけである。



Bodies act, and minds do not. And therefore must the body be at fault for what it does. 

  • act [ǽkt] : 「行動する、振る舞う、作動する」
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って」
  • fault [fɔ́ːlt] : 「責任」
  • be at fault for : 「〜に対してが責任がある」

❖ "Bodies act, and ~ "「肉体は動き、心は動かない」。ここの「動き」は、知覚される見掛けの変化、と捉えればいいだろう。肉体は、見掛けとして動き回るが、正しい心は永遠不変であって、真実の心は動き回らない。正しい心は不動である。"And therefore must ~ "「したがって、肉体こそが、なしたことに対して責任がある」。肉体は行動し、知覚がその動きを捉えるのだが、そもそも肉体もその動きも幻想であることには変わりない。そんな幻想がなしたことに対して、正しい心が責任を担うことはない。幻想は、幻想に責任があるのであって、その責任さえも幻想である。



It is not seen to be a passive thing, obeying your commands, and doing nothing of itself at all. If you are sin you are a body, for the mind acts not. 

  • passive [pǽsiv] : 「受動的な、受け身の、言いなりになる、従順な」
  • obey [oubéi] : 「〜に従う、〜の言うことに従う」
  • command [kəmǽnd] : 「命令、指令」
  • of itself : 「ひとりで」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」

❖ "It is not seen to ~ "「肉体は、あなたの命令に従い、それ自体はまったく何もしない、受動的なものと見なされることはない」。エゴの支配を受けた心がエゴの思考システムに従って肉体に命令を与え、肉体は、あたかも操り人形のように動き回るものなのだ。"If you are sin ~ "「もしあなたが罪であるなら、あなたは肉体なのだ」。もしあなたが、自分には罪があると信じているなら、あなたは幻想を信じていることになり、幻想の肉体があなたとって存在のすべてとなる。"for the mind ~ "「なぜなら、心は動き回らないからだ」。動き回る肉体があなたの実在だと信じられているうちは、真実としての永遠不変な心はあなたの実在と見なされることはない。簡単に言えば、幻想に捕われている限り、罪や肉体はあなたの現実であり、正しい心の実相性、実在性は、あなたの目には見えて来ないのだ。



And purpose must be in the body, not the mind. The body must act on its own, and motivate itself. 

  • on its own : 「ひとりでに、勝手に、自然に、そのままで」
  • motivate [móutəvèit] : 「動かす、刺激する、〜する気にさせる、〜する動機を与える」

❖ "And purpose must ~ "「そして、目的は、心の中ではなく、肉体の中にあらねばならなくなる」。幻想に埋没している限り、あなたの目的は肉体的なものであって、心の問題ではなくなる。心の平和より物質的な豊かさを求め(それを目的とし)、病の肉体的な側面を治そうとするだろうが、心の問題に目を向けて病を克服しようとは思わない。目的は常に肉体にある。"The body must ~ "「肉体は自ら行動するものであり、それ自体に動機を与えるものでなければならいとする」。本当は、肉体それ自体が行動するものでもなければ、肉体が肉体に行動の動機、つまり、目的を与えているものでもない。肉体はエゴの操り人形であって、すべてはエゴの命令に従って動いているだけなのだ。肉体に意思はない。



If you are sin you lock the mind within the body, and you give its purpose to its prison house, which acts instead of it. 

  • lock [lɔ́k] : 「〜に錠を掛ける、〜を閉じ込める」
  • prison [prízn] : 「刑務所、拘置所、監獄、監禁、禁錮、幽閉」
  • prison house : 「獄舎」
  • instead [instéd] of : 「〜の代わりに」

❖ "If you are sin you ~ "「もしあなたが罪であるなら、あなたは肉体の中に心を閉じこめ、」"and you give its purpose ~ "「心に代わって行動する監獄(肉体)に、心の目的を与えてしまっていることになる」。あなたに罪があり、肉体が現実で実在だと信じている限りは、あなたは、本当の実在である心を肉体という監獄に閉じこめたことになり、幻想から実相へ目覚めるという心の真の目的もまた、監獄に閉じこめてしまうことになる。そして、本当の心に代わって、幻想の肉体が空しく動き回り、それが実在であり現実だと勘違している。



A jailer does not follow orders, but enforces orders on the prisoner.

  • jailer [dʒéilər] : 「看守」
  • follow [fɔ́lou] : 「〜に従う、追随する」
  • order [ɔ́ːrdər] : 「指令、命令」
  • enforce [infɔ́ːrs] : 「実行する、実施する、施行する、執行する」
  • prisoner [prízənər] : 「囚人、捕虜」

❖ "A jailer does not ~ "「看守は命令に従うことはなく、囚人に対して命令を実行するだけである」。ここの"jailer"「看守」は、エゴと捉えていいだろう。エゴは命令に従うものではなく、命令を下している存在である。エゴは、肉体に閉じこめた正しい心に命令を下し(おとなしくしていろ、反抗などするな)、攻撃し、衰弱させ、半殺しにしようとしている。



4. Yet is the body prisoner, and not the mind. The body thinks no thoughts. It has no power to learn, to pardon, nor enslave. 

  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、考え、見解」
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する、〜であると分かる」
  • pardon [pάːrdn] : 「許す、赦免する、放免する」
  • enslave [insléiv] : 「〜を奴隷にする」

❖ "Yet is the body ~ "「しかし、肉体こそが、囚人であり、心ではない」。もちろん、エゴが肉体を支配し、肉体を隷属化しているのだ。しかし、エゴは、ホーリー・スピリットの住む、最も純粋で神聖な心の部分を支配することは出来ない。正しい心は、エゴの傀儡(かいらい)ではない。"The body thinks ~ "「肉体は、どんな思考も考え出すことはない」。理性による思考は、頭脳を支配しているエゴの仕業である。"It has no power ~ "「肉体は、学んだり、赦したりするパワーなどまったくもっていないし、(心を)奴隷にすることも出来ない」。肉体という幻想が、真実を学んだり赦したりする実相的なパワーをもつことは不可能なのだ。また、幻想のエゴは、実相の正しい心を隷属化することは出来ない。



It gives no orders that the mind need serve, nor sets conditions that it must obey. 

  • serve [sə́ːrv] : 「〜に仕える、〜のために働く」
  • condition [kəndíʃən] : 「事情、条件、状態、状況、様子、様相」
  • obey [oubéi] : 「〜に従う、〜の言うことに従う」

❖ "It gives no orders ~ "「肉体は、心が仕えるべき命令など与えることはないし、心が従うべき条件を作ることもない」。肉体が仕えるべき命令や条件を与えるのはエゴであるが、しかし、その肉体を蝕んでいるエゴでさえ、ホーリー・スピリットの住む純粋で神聖な心の部分に命令や条件を与えることは不可能なのだ。



It holds in prison but the willing mind that would abide in it. 

  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、制する、拘束する」
  • in prison : 「獄中に、刑務所に入って、入所中で、牢に入って」
  • willing [wíliŋ] : 「〜することをいとわない、〜する気がある」
  • abide [əbáid] : 「居住する、とどまる」

❖ "It holds in prison ~ "「肉体は、肉体の中に留まっていたいと意思する心だけを牢獄の中に保持する」。つまり、エゴの支配下に収まりたいと願う心の部分だけが、肉体的頭脳という牢獄の中に収監される。



It sickens at the bidding of the mind that would become its prisoner. 

  • sicken [síkən] : 「病気になる、うんざりする、吐き気がする」
  • bidding [bídiŋ] : 「命令」
  • at the bidding of : 「〜の命令に従って、〜の言う通りに」

❖ "It sickens at the bidding ~ "「肉体の囚人になりたいと望む心の命令に従って、肉体は病になる」。肉体という監獄に入ってエゴの支配下に収まりたいと願う病んだ心が、肉体的な病を発症させる。言い換えれば、幻想に支配されたいと望む心が、その歪みを肉体的な病として現実化するのである。正しからざる心が、病という幻想を生み出すのだ。



And it grows old and dies, because that mind is sick within itself. Learning is all that causes change. 

  • grow [ɡróu] : 「〜の状態になる」
  • die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
  • sick [sík] : 「病気の、病気になった、病んだ、異常な」
  • within oneself : 「自分自身の内に存在して、心の中に」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • cause [kɔ́ːz] : 「〜を引き起こす、招く、〜をもたらす」
  • change [tʃéindʒ] : 「変化、変更、移行、交換」

❖ "And it grows old ~ "「肉体は老いていき、そして、死ぬ」。"because that mind ~ "「なぜなら、心自体が病んでいるからだ」。幻想を信じる病んだ心が、その幻想を現実化するのだ。病とは、病んだ想念のことである。"Learning is all that ~ "「学びは、変化を生み出すすべてである」。そういった肉体の病に変化をもたらし、病を治癒させるには、病んだ心を真実に目覚めさせること以外にない。真実に目覚める学びが必須なのだ。



And so the body, where no learning can occur, could never change unless the mind preferred the body change in its appearances, to suit the purpose given by the mind. For mind can learn, and there is all change made.

  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる、存在する」
  • change [tʃéindʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • prefer [prifə́ːr] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む、〜の方を選ぶ」
  • appearance [əpíərəns] : 「外観、外見、見掛け、見てくれ、うわべだけの様子」
  • suit [súːt] : 「合う、適合する」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」

❖ "And so the body ~ "「したがって、〜でない限り、肉体にあっては、学びは起きはしないし、決して変わりはしない」。"unless the mind preferred ~ "「心が、心によって与えられる目的に叶うように、肉体の見掛けを変えることを選ばない限り、」肉体にあっては、学びは起きはしないし、決して変わりはしない。心が、実相に目覚めるという目的に叶うようにと真実を学び、変化を起こさない限り、そして、肉体にもまたその目的に叶うような変化が起きるようにと心が望まない限り、肉体の見掛けの病は変化を起こすことはない。"For mind can learn ~ "「なぜなら、心は学ぶことが出来、したがって、どんな変化も生み出せるからだ」。正しい心の想念が、正しい結果を生み出すのである。肉体はエゴに支配された幻想であり、病もまた、誤った心が生みだした幻想に過ぎないと、そういう真実を学ぶことが出来たとき、正しい心は肉体やその病の幻想を変化させることが出来るのだ。幻想を消滅させることが出来るのである。結局は、肉体と病を実相的に赦すことが必須なのである。
 
 
 


T-31.III.1:1 ~ T-31.III.2:11


III. The Self-Accused
自分を責める者




1. Only the self-accused condemn. As you prepare to make a choice that will result in different outcomes, there is first one thing that must be overlearned.

  • accuse [əkjúːz] : 「〜に責任を問う、〜を責める、〜を非難する」
  • condemn [kəndém] : 「〜を非難する、責める、罵倒する、糾弾する」
  • prepare [pripέər] : 「〜を準備する、用意する、支度する」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • make a choice : 「選択する、選んで取る、よって取る」
  • result [rizʌ́lt] in : 「〜をもたらす、〜に終わる」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • outcome [áutkʌ̀m] : 「結果、結末、成果、所産」
  • first [fə́ːrst] : 「第一の、一番目の」
  • overlearn : 「必要以上に学習する」

❖ "Only the self-accused ~ "「自分を責める者だけが、(他者を)非難する」。ここは、方向を逆に考えて、他者を非難する者は、実は、自分を責めているのだ、ということ。非難とは、ここでは、他者の罪を攻撃すること、他者の罪に対して有罪を宣言すること、と捉えていいだろう。"As you prepare ~ "「あなたが、異なった結果に結実する選択をする準備をなすには、」"there is first one ~ "「まず第一に、何度も学び返さねばならない一つのことがある」。エゴの思考システムではなく、ホーリー・スピリットの思考システムを選択して、異なった結果を結実させるには、あるいは、幻想を捨てて実相を選択し、真実を手に入れるには、その準備として、いつも繰り返し学び直さなくてはならないことがある。いわば、心構えであり、基本姿勢である。それを、まず第一に、常に念頭に置かなくてはならない。



It must become a habit of response so typical of everything you do that it becomes your first response to all temptation, and to every situation that occurs. 

  • become [bikʌ́m] : 「 〜になる」
  • habit [hǽbit] : 「習慣、癖」
  • response [rispάns] : 「反応、反響、返答、回答、返報」
  • typical [típikəl] : 「典型的な、代表的な、標準的な、特有な、独特の」
  • temptation [temptéiʃən] : 「誘惑、衝動、誘惑物」
  • situation [sìtʃuéiʃən] : 「状況、情勢、事態、状態、立場」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」

❖ "It must become ~ "意訳する、「それは、あなたがなすすべてのことの典型的な反応として習慣化されねばならず、その結果、起こることのあらゆる状況やあらゆる試みに対しての、あなたの最初の反応となるのである」。つまり、いつでもどこでも、心構えや基本姿勢がぐらついたりしないように、習慣化された反応になるまで、それを学び取らなくてはならない、ということ。簡単に言えば、ホーリー・スピリットの思考システムに準じて、いつでも思考し、行動出来るようにしなさい、ということだ。



Learn this, and learn it well, for it is here delay of happiness is shortened by a span of time you cannot realize. 

  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する、〜であると分かる」
  • delay [diléi] : 「遅れていること、遅延」
  • happiness [hǽpinis] : 「幸福、喜び、幸せ」
  • shorten [ʃɔ́ːrtn] : 「短くする、短縮する、縮める」
  • span [spǽn] of : 「〜の長さ」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」

❖ "Learn this, and learn ~ "「これを、よくよく学びなさい」。"for it is here delay ~ "意訳する、「なぜなら、こうすることで、あなたには実感出来ないかも知れないが、幸せ実現のための時間的遅れが短縮されるからだ」。簡単に言えば、ホーリー・スピリットの思考システムに準じて生きることが、実相的な幸せを実現する最短の道なのだ、とうこと。闇の幻想世界を彷徨(さまよ)って、時間を無駄にする必要はない。あなたには実感出来ないかもしれないが、ホーリー・スピリットの導きに従って旅をすることが、最短最善の方法なのだ。



You never hate your brother for his sins, but only for your own. 

  • hate [héit] : 「 〜を憎む、〜をひどく嫌う」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」

❖ "You never hate your ~ "「あなたは、同胞に罪があるから同胞を嫌っているのではなく、ただ、あなた自身に罪があるから同胞を嫌っているのだ」。同胞に罪があるから、あなたは同胞を憎悪し、攻撃しているのではない。あなた自身に罪があると認めている、その心が、あなたを他者への攻撃へと向かわせているのだ。あなたと同胞は、この幻想世界で分離しているとは言え、自他一如である事実には変わりない。つまり、同胞は、鏡に写ったあなた自身なのだ。鏡の中の同胞に罪があると認めることは、あなた自身に罪があると認めていることなのである。



Whatever form his sins appear to take, it but obscures the fact that you believe them to be yours, and therefore meriting a "just" attack.

  • whatever [hwʌtévər] : 「 〜するのは何でも」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる、〜らしい」
  • obscure [əbskjúər] : 「〜を暗くする、覆い隠す、〜を曖昧にする」
  • fact [fǽkt] : 「事実、真相、現実、実際」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って」
  • merit [mérət] : 「〜に値する」
  • just [dʒʌ́st] : 「正しい、公正な、当然の」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」

❖ "Whatever form his sins ~ "「同胞の罪が、どんな形をとって表れるにしても、」"it but obscures ~ "「単に、罪はあなたの罪であると信じている事実を曖昧にしているだけで、」"and therefore meriting ~ "「したがって、『正当な』攻撃に値すると思っているだけなのだ」。どんな理由で同胞を憎み、攻撃しようとも、そして、どんなに攻撃が正当だと主張しても、憎悪と攻撃の根本原因は、あなた自身に罪があると信じている事実なのだ。逆に言えば、あなた自身が、自分には罪がないと信じることが出来れば、他者への憎悪や攻撃という幻想は消滅してしまうのである。実相的な赦しの基本である。



2. Why should his sins be sins, if you did not believe they could not be forgiven in you? 

  • forgiven [fərɡívn] : 「forgiveの過去分詞」
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」

❖ "Why should his sins ~ "「もし〜なら、なぜ、同胞の罪は、罪であらねばならないのか」。"if you did not ~ "「もしあなたが、あなたの心の中で同胞は赦されることが不可能だと信じていないなら、」なぜ、同胞の罪は、罪であらねばならないのか。ここは、二重否定になっているので意味がはっきりしないのだが、肯定的な表現に書き換えると、「もしあなたが、心の中で同胞は赦され得ると信じることが出来れば、同胞の罪は罪ではなくなってしまうではないか」ということ。同胞に罪があるように見えることは幻想であって、あなたがその幻想性をはっきり認識し、受け入れ受け流して赦すことが出来れば、幻想の罪は消滅してしまう。それは同時に、あなた自身の罪の意識の消滅を意味するのである。



Why are they real in him, if you did not believe that they are your reality? 

  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • reality [riǽləti] : 「現実、現実のこと、現実性」

❖ "Why are they real ~ "「もしあなたが、罪があなたの現実だと信じていないなら、どうして、罪は同胞の心の中に実在するだろうか」。あなたの心の中に罪など実在していないと信じることが出来れば、同時に、同胞の心の中にも罪は実在することは不可能なのだ。ありもしない罪を現実化させているのは、罪の存在を信じている想念である。



And why do you attack them everywhere except you hate yourself?  

  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • except [iksépt] : 「ただし、〜ということを除いて」
  • hate [héit] : 「〜を憎む、〜をひどく嫌う」

❖ "And why do you ~ "「あなたがあなた自身を嫌っていないなら、どうしてあなたは、同胞を至るところで攻撃することがあるだろうか」。あなたがあなた自身を憎悪しているからこそ、何かにつけて、あなたは同胞を攻撃してしまう。同胞を攻撃するとは、あなた自身の罪を攻撃していることなのである。



Are you a sin? You answer "yes" whenever you attack, for by attack do you assert that you are guilty, and must give as you deserve. 

  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
  • whenever [hwènévər] : 「〜するときはいつでも」
  • assert [əsə́ːrt] : 「断言する、言い張る、強く主張する」
  • guilty [ɡílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • deserve [dizə́ːrv] : 「 〜を受けるに値する、〜にふさわしい」 

❖ "Are you ~ "「あなたは罪なのか」。"You answer ~ "「あなたが(同胞を)攻撃するときは常に、あなたは『その通り、(私は罪だ)』と答えていることになる」。"for by attack ~ "「なぜなら、攻撃することによって、あなたは、(自分には)罪があると断言しているのであり、」"and must give ~ "意訳する、「あなたが受けるに値するものを、あなたは自分に与えねばならないからだ」。あなたが他者を攻撃するときは、あなた自身に罪が有り、攻撃に値すると思うから、その攻撃を自分に与えようとして、表面的には逆方向に、つまり、同胞へ攻撃の目を向けているのである。



And what can you deserve but what you are? If you did not believe that you deserved attack, it never would occur to you to give attack to anyone at all. 

  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」

❖ "And what can you ~ "「本当のあなた自身以外に、あなたは何に値するだろうか」。あなたが、本当の自分はこうなのだ、と信じていることだけを、自分はそれに値すると信じて、あなたは自分に与えるのであり、したがって、それを他者に与えてしまうのだ。"If you did not ~ "「もしあなたが、あなたは攻撃に値しないと信じていないなら、」あなたには攻撃に値する罪などないと信じているなら、"it never would occur ~ "「誰に対しても一切、攻撃を与えるようなことは、あなたに起きることはないだろう」。自分には攻撃に値する罪がないのだと信じることが出来れば、あなたは誰も攻撃することはないのだ。その必要がないからだ。



Why should you? What would be the gain to you? What could the outcome be that you would want? And how could murder  you benefit?

  • gain [ɡéin] : 「利益、得ること、獲得、利得」
  • outcome [áutkʌ̀m] : 「結果、結末、成果、所産」
  • murder [mə́ːrdər] : 「殺人、謀殺」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
  • benefit [bénəfit] : 「〜の利益になる、〜のためになる」

❖ "Why should ~ "「なぜ、あなたは攻撃しなくてはならないのか」。"What would be ~ "「あなたに何の得があるのか」。"What could the outcome ~ "「あなたの望む何が結果するのか」。"And how could ~ "「どうすれば、殺人はあなたに利益をもたらすと言うのか」。他者を攻撃することは、あなたが自分を攻撃することであって、何の得もない。何の、真実の結果も生み出しはしない。攻撃はまさに殺人であって、殺人は何の利益も生み出しはしないのだ。





T-31.II.10:1 ~ T-31.II.11:9


10. An instant spent without your old ideas of who your great companion is and what he should be asking for, will be enough to let this happen. 

  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • spent [spént] : 「spendの過去・過去分詞形」
  • spend [spénd] : 「使う、費やす」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たずに」
  • great [ɡréit] : 「大きい、大きな、巨大な、主要な」
  • companion [kəmpǽnjən] : 「仲間、友、連れ」
  • ask for : 「〜を求める、〜を要求する、〜を要する」
  • enough [inʌ́f] : 「十分な、足りる」
  • happen [hǽpən] : 「起こる、発生する」

❖ "An instant spent without ~ "「あなたにとって大きな影響力をもつ同伴者は誰で、何を要求しているのかということに関する古い考えを持つことなく迎える一瞬は、これを起こすに十分である」。あなたにとって大きな存在であった同伴者はエゴという偶像であり、エゴはあなたにエゴの思考システムに従うように要求してきたのだが、それを捨て去った一瞬、あなたの本当の偉大な同伴者はキリストだと理解出来、ホーリー・スピリットの思考システムに従って生きて行こうと決心出来るのである。"let this happen"「これを起こすに〜」とは、前段落の内容のことで、キリストが心に蘇ること。エゴを捨てた瞬間、キリストが蘇るのだ。



And you will perceive his purpose is the same as yours. He asks for what you want, and needs the same as you. 

  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」

❖ "And you will perceive ~ "「そしてあなたは、キリストの目的があなたの目的と同じであると理解するであろう」。共通の目的とは、幻想から救われ、実相世界へ目覚めるという目的である。実相世界への回帰の旅を始める、という目的。"He asks for what ~ "「キリストは、あなたが欲しているものを要求し、あなたが必要とするものと同じものを必要とする」。あなたが求め、必要としているものは真実であり、実相である。それはキリストも同じだ。あなたの心に蘇ったキリストは、あなたにとって別人格をもった偶像なのではなく、実は、そのキリストはあなた自身なのである。つまり、あなたの心にキリストが復活するとは、あなた自身がキリストとして復活することを意味しているのだ。



It takes, perhaps, a different form in him, but it is not the form you answer to. 

  • perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
  • answer [ǽnsər] : 「答える、返事する」

❖ "It takes, perhaps ~ "「その目的は、多分、キリストの中では異なった形をとるかも知れないが、」"but it is not the form ~ "「あなたが答えるのは形に対してではない」。真実と実相が、あなたとキリストの共通の目的であるが、キリストはホーリー・スピリットとして、あなたを真実と実相に導く役割をもっており、あなたはそれに従って真実と実相を実現する役割をもっている。簡単に言えば、キリストのもっている形は救いであり、あなたのもっている形は赦しである。目に見える形、つまり、役割は異なっているように見えるかも知れないが、あなたがなすべき、つまり答えるべきものは、役割のもっている内容そのものであって、それはもちろん、真実と実相を得ることなのだ。幻想を赦して、幻想を消滅させ、実相に目覚めることなのである。キリストは、当然ではあるが、遠の昔に幻想を赦し、実相に目覚め、ホーリー・スピリットとして実相世界に生きている。



He asks and you receive, for you have come with but one purpose; that you learn you love your brother with a brother's love. 

  • receive [risíːv] : 「受け取る、受理する、聞く、知る」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する、〜であると分かる」

❖ "He asks and you ~ "「キリストは求め、あなたは受けとる」。キリストは、あなたが幻想を赦して実相に目覚めることを求め、あなたはその要求を受け止めて、それに答えるのだ。"for you have come ~ "「なぜなら、あなたは、ただ一つの目的をもってやって来たのだから」。あなたがエゴを捨て、ホーリー・スピリットを選択するという地点にやって来たのは、ただ一つの目的、実相への目覚めと回帰を志したからだ。"that you learn you ~ "「つまり、あなたは、同胞の愛をもって、あなたの同胞を愛することを学ぶのである」。実相への目覚めと回帰が目的ではあるが、その目的を叶えるためにとられる形は、実相的な真実の愛を学ぶことである。エゴの思考システムにおいては、同胞は敵であり、奪い奪われ、攻撃し攻撃される対象であったが、それは幻想であると認識し、受け入れ受け流して赦し、幻想を消滅させるのである。そのときあなたは、同胞はあなたと自他一如の存在だと知り、同胞は真実の愛の対象だと学ぶのである。神の子としての存在の真実を悟るのだ。



And as a brother, must his Father be the same as yours, as he is like yourself in truth.

  • like [láik] : 「似ている、類似の、類似した、同様の」
  • in truth: 「実のところ、実際」

❖ "And as a brother ~ "「そして、同胞であるからこそ、同胞の父なる神は、あなたの父なる神とまったく同じはずである」。"as he is like  ~ "「同胞は実際、あなた自身とそっくりなのだ」。あなたと同胞は自他一如であって、分離などしていない。同胞の神は、つまり、同胞を創造した神は、あなたを創造した神と同じであり、神は、同胞もあなたも、単一の神の子として絶対的に平等に愛している。



11. Together is your joint inheritance remembered and accepted by you both. Alone it is denied to both of you. 

  • together [təɡéðər] : 「一緒に、共に」
  • joint [dʒɔ́int] : 「共有の、共同の、連合の」
  • inheritance [inhérətəns] : 「相続、遺産、受け継いだもの、継承物」
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • accept [æksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
  • alone [əlóun] : 「独りで、孤立して、独力で、単独で」
  • deny [dinái] : 「与えない、拒否する、拒絶する」

❖ "Together is your joint ~ "「(あなたと同胞が)一緒なら、あなた方が共に継承したものは、あなた方両者によって思い出され、受け入れられる」。あなたが、同胞と自他一如であると認識出来たとき、つまり、あなたが神によって創造された神の子であると認識出来たとき、あなたも同胞も共に、神の属性のすべてを継承したのだと思い出し、それを喜びをもって受け入れることが出来る。神の属性とは、真実のすべて、実相のすべてである。対極概念や対立概念をもたない純粋な愛、喜び、平和、慈悲、美、真理、等々のすべてであり、それのもつパワーのすべてである。そこには、苦や痛みや恐れや罪など、幻想の影は微塵も含まれない。"Alone it is denied ~ "「たった一人では、あなた方両者にとって、それは与えられはしない」。あなたと同胞が分離した別々の存在だと思っている限りは、神が継承した神の属性を思い出すことは出来ない。



Is it not clear that while you still insist on leading or on following, you think you walk alone, with no one by your side? 

  • clear [əlóun] : 「確実な、疑う余地がない、明快な、曖昧さがない」
  • while [hwáil] : 「〜する間に、その間に、〜するうちは」
  • insist [insíst] on : 「〜を強く主張する」
  • lead [líːd] : 「指導する、統制する、先頭に立つ」
  • follow [fάlou] : 「〜の後について行く、〜に続く、〜に従う、追随する」
  • walk [wɔ́ːk] : 「歩く、歩行する」
  • side [sáid] : 「側面、辺、側、面」

❖ "Is it not clear that ~ "「あなた方が、いまだに、先頭に立っているとか追従しているとか主張している間は、あなた方が、側には誰もいず、単独で歩いていると思っているということは明白ではないだろうか」。あなたが、同胞と分離していると感じ、命令したりそれに従ったり、支配したり支配されたり、優位に立ったり劣勢になったりしている限り、共に実相世界を目指して旅をしている神の子同士だと認識することは出来ない。側に誰もいない、孤独な旅路だと感じるはずだ。



This is the road to nowhere, for the light cannot be given while you walk alone, and so you cannot see which way you go. 

  • road [róud] : 「道、道路、道筋、道程」
  • nowhere [nóuhwὲər] : 「実在しない場所、どこか分からない所」
  • light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」

❖ "This is the road ~ "「こんな旅では、どこにも行き着けはしない」。"for the light cannot ~ "「なぜなら、あなたが単独で歩いているうちは、光が与えられ得ないからであり、」"and so you cannot ~ "「したがって、あなたがどっちに進んでいるか知ることが出来ないからだ」。あなたが同胞と分離していると感じているうちは、幻想から目覚めた状態だとは言えず、したがって、無明の幻想世界を彷徨(さまよ)っているに過ぎない。ホーリー・スピリットが与えてくれる光さえ目に入らず、実相世界への道も明らかではない。



And thus there is confusion, and a sense of endless doubting as you stagger back and forward in the darkness and alone. 

  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱、混同、当惑、困惑、戸惑い」
  • sense [séns] : 「感覚、知覚、感触、感じ」
  • endless [éndlis] : 「終わりのない、永遠、絶え間のない」
  • doubt [dáut] : 「〜を疑う、〜を疑問に思う」
  • stagger [stǽɡər] : 「よろめく、ぐらつく、ふらつく」
  • back [bǽk] : 「後方へ、後ろに」
  • forward [fɔ́ːrwərd] : 「前へ、前方に」
  • darkness [dάːrknis] : 「暗がり、暗闇」

❖ "And thus there is ~ "「したがって、混乱が生じ、」"and a sense of endless ~ "「一人、闇の中を行ったり来たりよろめいているうちに、絶え間のない疑いという感覚が生じてくるのだ」。一体自分はどこに向かっているのか、一体歩くことに何の意味があるのか、そもそも、何のために生きているか、自分の実存的な存在理由が渾沌としてくるのだ。そして、苦を生きることこそ人生の真実なのだ、などと苦渋の結論をうそぶくようになる。罪と罰の檻から抜け出せない自分を正当化するのだ。



Yet these are but appearances of what the journey is, and how it must be made. 

  • appearance [əpíərəns] : 「外観、外見、見掛け、容姿、風貌」
  • journey [dʒə́ːrni] : 「旅、旅行、遍歴」

❖ "Yet these are but appearances ~ "意訳する、「しかし、それは、旅とは何であるか、旅はどのように成されるべきかという、見掛けに過ぎない」。旅に対する疑いや混乱は旅の見掛けに過ぎず、光が与えられれば、つまり、実相に目覚め、同胞を旅の伴侶と認識出来れば、本当の旅とは何なのか、どうやって実相世界への旅は成就されるのか、実相的な旅の本質が理解出来るようになる。実相世界への旅は楽しく、喜びに溢れ、そして、容易な旅だと認識出来るようになるのだ。



For next to you is One Who holds the light before you, so that every step is made in certainty and sureness of the road. 

  • next to : 「〜の隣に、〜に隣接して、〜の次に」
  • hold [hóuld] : 「〜を手に持つ、握る」
  • before [bifɔ́ːr] : 「〜の前に、〜に先立って、〜を前にして」
  • so that : 「〜できるように」
  • step [stép] : 「一歩、歩み、歩調、歩き方、足取り」
  • certainty [sə́ːrtnti] : 「確実性、確かなもの、確信」
  • sureness [ʃúərnis] : 「確実さ」

❖ "For next to you is ~ "「なぜなら、〜出来るように、あなたの隣には、あなたの前を照らす光を携えた唯一者であるキリストがいるからだ」。"so that every step is ~ "「(この道は実相世界への)道であるという確信、自信をもって、一歩一歩すべてが、成されるために、」あなたの隣には、あなたの前方を照らす光を携えた唯一者であるキリストがいるからだ。天の王国への回帰の旅は、あなたが単独で成就出来るものではない。同胞が同伴し、そして、キリストが同伴する。もちろん、このキリストを同胞と切り離して独立した存在だと思ってもいいが、同胞それ自体がキリストだと考える方がいいだろう。同胞の心の中にキリストが住まい、同時に、あなたの心の中にもキリストは存在する。言い換えれば、同胞もあなたも、キリストそれ自体なのだ。つまり、同胞もあなたもキリストとして天の王国の回帰の旅を続けるのである。互いに道を照らし合い、助け合い、救い合い、語らい、喜びを分かち合って、旅を続けるのである。



A blindfold can indeed obscure your sight, but cannot make the way itself grow dark. And He Who travels with you has the light.

  • blindfold [bláindfould] : 「目を覆う物、目隠し」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも」
  • obscure [əbskjúər] : 「〜を暗くする、見えなくする、〜を曖昧にする」
  • sight [sáit] : 「視野、視界、見える範囲、視力、視覚」
  • grow [ɡróu] : 「状態になる、成長する、増える、増大する」
  • dark [dάːrk] : 「暗い、闇の、暗黒の」
  • travel [trǽvəl] : 「旅する、旅行する」

❖ "A blindfold can indeed ~ "「目隠しをすれば、確かに視界は遮られるが、」"but cannot make ~ "「道それ自体を闇にすることは出来ない」。だから、目隠しを取ってしまえばいいだけだ。"And He Who travels with ~ "「そして、あなたと共に旅をするキリストが(道を照らす)光を携えているのである」。その光に照らし出された道を、楽しみながら歩いて行けばいい。孤独はなく、疑いもなく、混乱もなく、同胞と、あるいはキリストと楽しく語らいながら、天の王国への回帰の旅路を進めばいい。
 
 
 


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