4. Why would you seek to try another road, another person or another place, when you have learned the way the lesson starts, but do not yet perceive what it is for?
- seek [síːk] : 「見つけようとする、探し求める」
- person [pə́ːrsn] : 「人、人間」
- place [pléis] : 「場所、個所、地域、土地」
- learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "Why would you seek ~ "「レッスンがスタートする道をあなたが知ったときに、なぜあなたは、他の道や他の人や他の場所を試そうと望むだろうか」。あなたは、この世界では真実への道を選択出来ないと知った。どの道も、絶望と死へ通じると知った。そんなあなたが、この世界で、また別の道を探したり、他の人に救いを求めたり、逃避の場所を探したりしようとすることはあるまい。
Its purpose is the answer to the search that all must undertake who still believe there is another answer to be found.
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
- answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
- search [sə́ːrtʃ] : 「捜索、探査、追求」
- undertake [ʌ̀ndərtéik] : 「引き受ける、請け負う、企てる」
- believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
- found [fáund] : 「findの過去・過去分詞形」
❖ "Its purpose is ~ "「そのレッスンの目的は、まだ他の答えが見つかるはずだと信じている者達すべてが企てる追求に対する答えである」。この世界にはまだ、苦や痛みから逃れる道があるはずだと信じている人達に対して、あなたがスタートし始めたレッスンは、そんな道はこの幻想世界にはないと答える。それが、このレッスンの目的の一つである。
Learn now, without despair, there is no hope of answer in the world. But do not judge the lesson that is but begun with this.
- despair [dispέər] : 「絶望、失望、落胆」
- hope [hóup] : 「希望、望み」
- judge [dʒʌ́dʒ] : 「判断する、〜だと思う」
- begun [biɡʌ́n] : 「beginの過去分詞形」
❖ "Learn now, without ~ "「この世界には、(苦と痛みに対する)希望の答えはないのだと、絶望することなく、今、学びなさい」。この幻想世界に真実を語る答えは存在しないのだと知ることは、決して絶望ではなく、その幻想を払拭した時に表れる実相世界にこそ、真実の答えがある。"But do not judge ~ "「しかし、これに対する答えをもって始まったばかりのレッスンを判断してはいけない」。この幻想世界には苦と痛みから解放される答えはないと教えることで始まったこのレッスンに対して、これは絶望的なレッスンだなどと判断してはいけない。この答えがレッスンの一つの目的ではあるが、もちろん、それだけではない。答えを幻想世界に求めるのではなく、実相世界に目覚めて、そこで真実の答えを見つけなさいと教えることが、このレッスンの二つ目の、そして最大の目的である。
Seek not another signpost in the world that seems to point to still another road. No longer look for hope where there is none.
- signpost [sáinpoust] : 「道標、道しるべ、手掛かり、指針」
- point to : 「〜を指さす、指し示す」
- no longer : 「もはや〜でない」
- look for : 「〜を探す」
❖ "Seek not another signpost ~ "「まだ他の道があると指し示しているかに見えるこの世界の他の道しるべを求めてはいけない」。社会的な高い地位を得て他者を支配すれば、きっと満足のいく人生が送れるだろう思うだろうが、それは、決してうまく行くことはない。そこで今度は、有り余る金を得て、その金で他者を支配しようと企てるだろうが、それも成功することはない。まだ方法があるはずだと思い、この世での成功への道しるべを追い求めるだろうが、それは無駄なことだ。どんなに高い地位を得ようが、どんなに巨額の金を手に入れようが、どんなに他者を支配し優位に立とうが、そんなことでこの世界の苦と痛みから逃れることは出来ない。成功への道しるべは、単なる幻想なのだ。"No longer look for hope ~ "「もはや、ありもしないところに希望を求めてはいけない」。この幻想世界に真実への希望を求めてはいけない。この世界には、実相的真実など存在していないからだ。
Make fast your learning now, and understand you but waste time unless you go beyond what you have learned to what is yet to learn.
- learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
- waste [wéist] : 「〜を無駄にする、空費する、浪費する」
- unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
- beyond [bijάnd] : 「〜の域を越えて、〜を超越して、〜の向こうに」
❖ "Make fast your ~ "「今、急いで学びなさい」。"and understand ~ "「そして、あなたが、(この世界で)学んだことを越えて、まだ学んではいないことへと進まない限り、あなたは時間を無駄にするのだと理解しなさい」。あなたは、この世界の多くを学び、多くの道を歩んできたが、それはすべて、崩壊と絶望と死へ繋がる道なのだ。今、それを超越して、実相世界について真実を学ぶべき時である。この世界をうろついて時間を無駄にしてはいけない。
For from this lowest point will learning lead to heights of happiness, in which you see the purpose of the lesson shining clear, and perfectly within your learning grasp.
- low [lóu] : 「低い、高くない」
- lowest point : 「底、最下点」
- lead to : 「〜に通じる、結果として〜に導く」
- height [háit] : 「頂点、山頂、最高地点」
- happiness [hǽpinis] : 「幸福、喜び、幸せ」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
- shining [ʃáiniŋ] : 「光る、輝く、きらめく、明るい」
- clear [klíər] : 「澄んだ、きれいな、はっきり見える」
- perfectly [pə́ːrfiktli] : 「完全に、完璧に、すっかり」
- within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側に」
- grasp [ɡrǽsp] : 「しっかりつかむこと、把握、理解」
❖ "For from this lowest ~ "「なぜなら、この最下点から幸せの頂上へと、学びは導いてくれるからだ」。真実のレッスンは、最下点である幻想世界から最上点である実相世界へとあなたを導いてくれる。虚偽のどん底から、真実の頂上へ、あなたを持ち上げてくれるのだ。"in which you see ~ "「その(真実の)幸せの中で、このレッスンの目的がはっきり輝いて見えてきて、完全に、学びをつかみ取ることが出来るのである」。実相世界の輝く真実に囲まれて幸せを感じる瞬間、あなたはなぜ生まれてきたのか、生きる目的とは何だったのか、そのすべてをあなたは理解することになる。この世界の虚偽がすべてはがれ落ち、真実だけがあなたの目の前に現れるからだ。
5. Who would be willing to be turned away from all the roadways of the world, unless he understood their real futility?
- be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する、〜に前向きである」
- turn away from : 「〜から目を背ける、〜から目を離す」
- roadway : 「道、道路」
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
- futility [fjuːtíləti] : 「無用であること、目的のない行為、無益、無価値」
❖ "Who would be willing ~ "「この世界の道が現実的に無価値であると理解しない限り、いったい誰が、この世界の道すべてから目を逸らそうとするだろうか」。この世の苦と痛みから逃れるためのこの世の道、この世の栄華を手に入れるためのこの世の道、そんなものは幻想であり無価値であると知ったなら、誰がそんな夢を追いかけるだろうか。
Is it not needful that he should begin with this, to seek another way instead?
- needful [níːdfəl] : 「入用な、必要な」
- begin with : 「〜から始める」
- instead [instéd] : 「代わりに、それよりむしろ」
❖ "Is it not needful ~ "「この世の道に代えて、他の道を探すためには、このレッスンから始める必要はないと言えるだろうか」。幻想世界の無価値を知り、この世の栄華を追い求める道を諦観するレッスンこそが、今のあなたに最も必要なものである。
For while he sees a choice where there is none, what power of decision can he use?
- while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
- choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
- power [páuər] : 「力、能力、勢力」
- decision [disíʒən] : 「決定、決断、決心」
❖ "For while he sees ~ "「なぜなら、本当の選択など存在しない場所に、選択を見出そうとする間は、いったいどんな決断のパワーを利用出来るだろうか」。ここの"power of decision"「決断のパワー、決断力」とは、真実を勇気をもって選択するという精神力、簡単に言えば、幻想を捨て実相を手に入れる決断力のことである。この世の夢に翻弄されているうちは、そんな決断力をものにすることは出来ない。金、名誉、地位、権力、快楽、欲、等々の道を進む者には、実相的なパワーを手に入れることは不可能なのだ。
The great release of power must begin with learning where it really has a use.
- great [ɡréit] : 「大きい、大きな、巨大な、主要な、偉大な、卓越した」
- release [rilíːs] : 「放出、放射」
- use [júːs] : 「役立つこと、効用、利益、効果」
❖ "The great release ~ "意訳する、「偉大なパワーを発揮するには、そのパワーが本当に発揮される場所はどこにあるのか学ぶことから始めなくてはならない」。実相的なパワーは実相で発揮されるのであって、この幻想世界の中に実相的パワーは存在しない。あなたが本当の命のパワーを得るには、幻想を抜け出して実相に目覚めなくてはならないのだ。幻想を赦し、幻想を消滅させるレッスンから始めなくてはならない。幻想が消滅したとき、あなたには奇跡を起こすことの出来るパワーが身に付く。その奇跡に導くレッスンが、この"A Course in Miracles"である。
And what decision has power if it be applied in situations without choice?
- apply [əplái] : 「適用する、応用する、利用する、生かす」
- situation [sìtʃuéiʃən] : 「状況、情勢、事態」
❖ "And what decision ~ "「もしパワーを、(本当の)選択など存在しない状況下で発揮させようとしても、いったいどんな決断がパワーを持ち得ようか」。この世の苦と痛みから逃れるための、本当の道が存在しない幻想世界の状況下で、つまり、本当の救いの道の存在しない状況下で、どんなにパワーを発揮しようとしても、どんな決断も奇跡のパワーを持ち得ない。権力を選択する決断をしても、有り余る金を手に入れる選択を決断しても、そんな決断にパワーは宿らない。そんな決断に、実相世界に目覚めさせる真実の力はないのだ。文字通り、「実力」とは実相的パワーのことであり、この世の力など「虚力」と言う外ない。この幻想世界の選択や決断など、夢の中の出来事であって、はかない虚力を弄ぶに過ぎないのだ。