●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-1.VII.3:1 ~ T-1.VII.4:6

3. Fantasy is a distorted form of vision. Fantasies of any kind are distortions, because they always involve twisting perception into unreality.
  • fantasy [fǽntəsi] : 「 空想、気まぐれ、ファンタジー、幻想」
  • distort [distɔ́ːrt] : 「〜を曲げる、変形させる 、〜をゆがめる、歪曲する 」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ、姿、体つき」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
  • distortion [distɔ́ːrʃən] : 「ゆがみ、ねじれ、歪曲、ねじ曲げ」
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、以前からずっと、常にいつでも」
  • involve [invɑ́lv] : 「〜を含む、伴う、必要とする、〜を巻き込む」
  • twist [twíst] : 「ゆがむ、変形する、よれる、ねじれる」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • unreality [ʌnriǽləti] : 「非現実性、実在しないもの、虚構」
❖ "Fantasy is a distorted ~ "「ファンタジーは、ヴィジョンの歪んだ形である」。"fantasy"「ファンタジー、空想」は、"illusion"「幻想」と同義だと思っていい。"distorted form of vision"「ヴィジョンの歪んだ形」とあるから、誤った知覚のことである。幻想は、誤った知覚によって生み出される。"Fantasies of any kind ~ "「いかなる種類のファンタジーでも、それは歪みである」。"distortion"「歪み」とは、虚偽ということ。真実を歪めた結果がファンタジーである。"because they always ~ "「なぜなら、ファンタジーは常に、非現実性に向けられた歪んだ知覚を含むからだ」。ファンタジーは歪んだ知覚から生み出され、決して真実に向かうことはなく、非現実性、すならち幻想に帰着する。



Actions that stem from distortions are literally the reactions of those who know not what they do. 
  • action [ǽkʃən] : 「行為、振る舞い、活動、行動、活力、動き、動作」
  • stem [stém] from : 「〜から生じる、〜から起こる、〜が原因である、〜に由来する」
  • literally [lítərəli] : 「文字どおり、そっくりそのまま」
  • reaction [riǽkʃən] : 「反応、応答、態度、反感、反発」
  • those who : 「〜する人々」
❖ "Actions that stem ~ "「歪みから派生した行動は、文字通り、自分が何をしているかわからない人たちの反応である」。幻想を実在と勘違いしてしまうような歪んだ知覚から生み出される行動は、文字通り、彼らがファンタジーの中で行動していることを知らない人達の行動である。つまり、彼らは、歪んだ知覚に騙されて、実在する現実の中で行動していると思い込んでいるのだ。よもや、夢の中で右往左往しているとは思っていない。
文法的に一言。"know not "は"don't know"のこと。ACIMは"know not"というような古い言い方を頻繁に使用している。ワスレナグサを"don't forget me"と言わずに、"forget me not"と言うのを思い出せばいい。



Fantasy is an attempt to control reality according to false needs. Twist reality in any way and you are perceiving destructively. 
  • attempt [ətémpt] : 「試み、企て」
  • control [kəntróul] : 「操作する、制御する、支配する、統制する」
  • reality [riǽləti] : 「現実性、実在性、現実のこと」
  • according [əkɔ́ːrdiŋ] to : 「〜に従って、〜と一致して」
  • false [fɔ́ːls] : 「正しくない、誤った、うその、虚偽の、本物でない、偽の」
  • need [níːd] : 「必要、必要性」
  • twist [twíst] : 「歪める、ひずませる」
  • in any way : 「何らか、多少なりとも、形はどうあれ」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • destructively [distrʌ́ktivli] : 「破壊的に」
❖ "Fantasy is an attempt ~ "「ファンタジーは、誤った必要性にしたがって、真実をコントロールしようとする試みである」。"control reality"「真実をコントロールする」とは、自分勝手な価値判断によって真実を評価する、という意味合い。正当化のことである。たとえば、他者を教育指導すると言って、実は他者を支配するようなこと。他者を教育せねばならないと思うことが誤った必要性であって、他者を教育目的で支配することを正当化し、真実をコントロールしようとしているわけだ。"Twist reality ~ "「どんな形であれ、実相を歪めてしまえば、あなたは破壊的に知覚していることになる」。この文は、逆にして読めば意味が通りやすい。つまり、「どんな形であれ、破壊的に知覚すれば、あなたは真実を歪めてしまう」。知覚の破壊と真実の歪曲は表裏一体なのだ。誤った知覚は真実を歪め、歪んだ真実は知覚を誤らせる。



Fantasies are a means of making false associations and attempting to obtain pleasure from them.
  • means [míːnz] : 「 手段、方法」
  • association [əsòusiéiʃən] : 「つながり、関連性、連関、連想」
  • attempt [ətémpt] : 「試みる、企てる」
  • obtain [əbtéin] : 「手に入れる、得る、取得する、獲得する」
  • pleasure [pléʒər] : 「喜び、楽しみ、快楽、楽しいこと」
❖ "Fantasies are a means ~ "「ファンタジーは、誤った連想をし、そこから喜びを得ようと試みの手段である」。たとえば、物質的な豊かさこそが幸せに結びつくという誤った連想をし、お金で喜びを得ようとすることは、ファンタジーであり、幻想である。



But although you can perceive false associations, you can never make them real except to yourself. 
  • although [ɔːlðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが、〜とはいえ」
  • make [méik] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • except [iksépt] : 「ただし、除いて」
❖ "But although you ~ "「しかし、あなたが誤った連想を知覚出来るとは言え、自分自身に対して以外には、あなたは、それらを決して現実のものにすることは出来ない」。「連想を知覚する」とは、ファンタジーを心の中に抱いてそれを認識出来る、という意味合い。幻想(ファンタジー)をあれこれいじりまわしても、それを本物にすることは出来ないが、他者はともかく、自分だけは本物だと思い込んでいる、ということ。



You believe in what you make. If you offer miracles, you will be equally strong in your belief in them. 
  • believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、〜を提供する、〜を勧める」
  • equally [íːkwəli] : 「同じように、同様に」
  • strong [strɔ́ːŋ] : 「力強い、強力な、強い、力がある」
❖ "You believe in ~ "「あなたは、あなたが作ったものを信じている」。内容はまったく異るが、これが、神と神の子の類似点である。神は神の子を創造し、神の子を完全に信じている。神の子は幻想(ファンタジー)を作り出し、幻想を完全に信じているのだ。"If you offer miracles ~ "「もしあなたが、奇跡を差し出しなら、」あなたが真実を求めて奇跡を起こしたなら、"you will be equally ~ "「あなたは、(ファンタジーと)同じくらい、奇跡を強く信じるだろう」。あなたが奇跡という真実を創造したなら、幻想のときと同様に、あなたはその奇跡を強く信じることが出来るのだ。



The strength of your conviction will then sustain the belief of the miracle receiver.
  • strength [stréŋkθ] : 「力、強さ、体力」
  • conviction [kənvíkʃən] : 「信念、確信」
  • sustain [səstéin] : 「〜を持続する、維持する、〜を支える、支持する」
  • receiver [risíːvər] : 「 受取人、受領者、受信者、受信機、受話器」
❖ "The strength of ~ "「あなたの確信の強さは、奇跡を受け取る者の信じる気持ちを支えることになる」。奇跡を創造するあなたが、奇跡の真実性を確信をもって信じることが出来れば、その奇跡を受ける者もまた、奇跡の真実を強く信じることが出来る。あなたの奇跡に対する確信が、他者の奇跡を信じる気持ちを支えるのだ。なお、あなたが創造した奇跡の受け手は、他者であっても自分自身であっても、どちらでもいい。真実の世界では、あなたと他者は自他一如であり、区別して考える必要はない。



Fantasies become totally unnecessary as the wholly satisfying nature of reality becomes apparent to both giver and receiver.
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • totally [tóutəli] : 「全体的に、すっかり、何から何まで、全く、完全に」
  • unnecessary [ʌnnésəsèri] : 「 不必要な、無用な、不要な」
  • as : 「 〜につれて、〜しながら」
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体的に、すっかり」
  • satisfying [sǽtisfàiiŋ] : 「満足な、十分な」
  • nature [néitʃər] : 「本質、特質、本性、気質、気性、性分」
  • reality [riǽləti] : 「現実性、実在性、現実のこと」
  • apparent [əpǽrənt] : 「明らかな、明白な、はっきり見える」
  • both [bóuθ] A and B : 「AもBも、ABいずれも」
  • giver [ɡívər] : 「与える人、贈与者」
  • receiver [risíːvər] : 「受取人、受信者」
❖ "Fantasies become ~ "「実相のもつ完全に満足のいく本質が、奇跡の与え手と受け手の両者に対して明らかになるにつれ、ファンタジーはまったく不必要なものとなる」。"the wholly satisfying nature of reality"「実相のもつ完全に満足のいく本質」とは、ここでは、神の子であるあなたが実相世界にいたときは、神の属性のすべてを継承して、不足も欠落もなく、完全に満足のいく充足状態にあった、ということ。必要性がまったくなかったのだ。だから、ファンタジーを描く必要もなかった。奇跡によって真実が明らかになるにつれ、奇跡の与え手も受け手も、実相の充足性に気付き、自分は何一つ必要なものなどないと知って、不必要なファンタジーを放棄することになる。 なお、事情は定かでないが、このセンテンスは1975年版のACIMにはない。



Reality is "lost" through usurpation, which produces tyranny. As long as a single "slave" remains to walk the earth, your release is not complete.
  • lost [lɔ́st] : 「loseの過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • through [θrúː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • usurpation [jùːsərpéiʃən] : 「強奪、奪取」
  • produce [prədjúːs] : 「〜を作り出す、生産する、産む」
  • tyranny [tírəni] : 「専制政治、暴政、圧制、専制、虐待、暴虐」
  • as long as : 「〜さえすれば、〜する限りは、〜である限りは、〜する以上は」
  • single [síŋgl] : 「ただ一つの、たった一つの、たった一人の」
  • slave [sléiv] : 「奴隷、捕らわれている人」
  • remain [riméin] : 「とどまる、残る、生き残る、残存する」
  • release [rilíːs] : 「救出、解放」
  • complete [kəmplíːt] : 「完結した、完成した、 完全な、全くの」
❖ "Reality is ~ "「実相は、強奪を通して『失われる』」。この幻想世界は、まさに、真実が奪われた世界である。"which produces ~ "「そして、強奪は圧制を生み出す」。リアリティを強奪した者は、とりもなおさず、あなたが偶像として崇めるエゴである。エゴは、あなたの心の大半を支配し、あなたを幻想の中に留め置く。エゴはあなたが作り出した幻想であり、エゴにとって一番恐ろしいものは真実である。なぜなら、あなたが真実に気付き、エゴの幻想性が暴(あばか)れれば、エゴは消滅してしまうからだ。そこでエゴは、あなたから真実(リアリティ)を強奪し、あなたを奴隷にするのである。"As long as a single ~ "「(エゴの)『奴隷』がこの地上を一人でも歩いている限り、あなたの解放は完成しない」。分離分裂した神の子ではあるが、元を正せば単一の神の子である。あなた一人がエゴによる圧制から解放されても、神の子全体の解放は完成されないのだ。



Complete restoration of the Sonship is the only goal of the miracle-minded.
  • sonship : 「息子であること」
  • restoration [rèstəréiʃən] : 「 復元、復旧、回復、修復」
  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
❖ "Complete restoration ~ "「神の子の完全な修復は、奇跡を志す者の唯一の目的である」。あなたが真実を求め、奇跡による幻想からの目覚めを実現出来たとしても、あなたの役割はそれで終了するわけではない。あなた一人だけがエゴの支配する幻想世界亜から救われても、他の神の子はエゴの圧制に苦しんでいるのだ。そこで、奇跡によって幻想から目覚めたあなたは、同胞の解放を求めて、他者を救う役割を実行しなければならない。あなたは、キリストとなって他者を救うのである。



4. This is a course in mind training. All learning involves attention and study at some level.
  • course [kɔ́ːrs] : 「方向、コース、進路、課程、講座」
  • training [tréiniŋ] : 「訓練、トレーニング、練習、教育」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • involve [invɑ́lv] : 「〜を含む、伴う、必要とする」
  • attention [əténʃən] : 「注意、留意、注目」
  • study [stʌ́di] : 「学習、勉強、調査、研究、知識の獲得」
  • attention [ətén∫n] : 「注意、留意、注目、思いやり、配慮、世話」
  • at some level 「ある程度ではあるが」
❖ "This is a course ~ "「これは、心を訓練するコースである」。"All learning involves ~ "「学習というものはすべて、ある程度の注意力と研究心を必要とする」。ACIMは新宗教ではない。あくまでも、心のトレーニングを目指す。"Text"において背景となる理論を学び、"Work Book"において日々の心の訓練をし、"Manual"において教えることと学ぶことが等しいと知る、そういったカリキュラムがきちんと立てられた奇跡の学習コースである。そして、ACIMを学んでいくには、かなりの注意力、集中力、そして探求心、研究心が求められる。奇跡は、棚からボタモチが落ちてくるように、いつかあなたにもたらせる、というものではない。



Some of the later parts of the course rest too heavily on these earlier sections not to require their careful study. You will also need them for preparation.
  • later [léitər] : 「もっと後の、もっと遅い、より最近の」
  • part [pάːrt] : 「一部、部分」
  • rest on : 「 〜を当てにする、〜に依存する、〜に基礎を置く、〜にある」
  • too ~ to do ~ : 「〜過ぎて〜できない」
  • heavily [hévili] : 「重く、重そうに、濃密に」
  • earlier [ə́ːrli] : 「以前の」
  • section [sékʃən] : 「部分、一片、節、項、欄」
  • require [rikwáiər] : 「〜を必要とする、求める、〜に要求する、命じる」
  • careful [kéərfl] : 「注意深い、気を付ける、用心深い」
  • also [ɔ́ːlsou] : 「〜もまた、同様に、また」
  • need [níːd] : 「〜を必要とする、〜する必要がある」
  • preparation [prèpəréiʃən] : 「心構え、覚悟、用意、準備、支度」
❖ "Some of the later parts ~ "「コースの後半部分のいくつかの部分は、これらの前半のセクションに重く依存しているので、注意深い勉強が必要とされる」。"You will also need ~ "「また、あなたは、(後々の学習の)準備のためにそれら(前半のセクション)が必要である」。
文法的に一言。"too ~ to do ~ "は、この形で「〜過ぎて〜できない」という意味になる。今は"too ~ not to require ~ "となっているから「〜だから〜する必要がある」という意味合いになる。



Without this, you may become much too fearful of what is to come to make constructive use of it.
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たずに」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、ものすごい、おびえている、心配そうな」
  • make use of : 「〜を利用する、〜を使用する」
  • constructive [kənstrʌ́ktiv] : 「建設的な、前向きの、積極的な、発展的な 」
❖ "Without this ~ "「これなくしては、」前半のセクションなくしては、「後からやって来る章の学習に恐れをいだき過ぎて、それを建設的に利用することが出来なくなる」。ここも、"too ~ to do ~ "の構文。今の学習をおろそかにすると、後々の学習が大変になって、学習を実践に利用することが出来なくなってしまう、ということ。



However, as you study these earlier sections, you will begin to see some of the implications that will be amplified later on.
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • earlier [ə́ːrliər] : 「より前の」
  • begin [biɡín] : 「〜を始める、〜するようになる」
  • implication [ìmplikéiʃən] : 「 含み、言外の意味、意味あい、暗示、含蓄」
  • amplify [ǽmplifài] : 「〜を増幅する、拡大する、展開する、 〜を詳述する」
  • later on : 「あとで、追って、しばらくして、やがて」
❖ "However, as you ~ "「しかし、これらの前半のセクションを学んいくにしたがい、後々詳述される内容がおぼろげながら見え始めるだろう」。今の学習が、後々に今の学習が理解に役立つわけだ。だから、焦らず、慌てず、注意力と探求心をもって、この前半のセクションを学んでいけ、ということである。
 
 
 

T-1.VII.1:1 ~ T-1.VII.2:5

VII. Distortions of Miracle Impulses
奇跡を望む衝動の歪み


 
1. Your distorted perceptions produce a dense cover over miracle impulses, making it hard for them to reach your own awareness. 
  • distort [distɔ́ːrt] : 「〜を曲げる、変形させる、 〜をゆがめる」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
  • produce [prədjúːs] : 「〜を作り出す、生産する、製造する」
  • dense [déns] : 「濃密な、密度の高い、濃い、深い、濃厚な」
  • cover [kʌ́vər] : 「覆い、表紙、カバー、ふた」
  • impulse [ímpʌls] : 「衝動、衝撃、刺激」
  • make [méik] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • hard [hɑ́ːrd] : 「難しい、困難な」
  • reach [ríːtʃ] : 「達する、至る、手が届く、〜に連絡する」
  • awareness [əwéərnəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性 」
❖ "Your distorted ~ "「あなたの歪んだ知覚は、奇跡を望む衝動に厚い覆いを掛けてしまう」。幻想を実在と見、真実を空想だと感じてしまうあなたの歪んだ知覚は、奇跡が具現化してくれる真実を目撃したいという衝動を抑制してしまう。"making it hard ~ "「歪んだ知覚が、奇跡を求める衝動があなたの意識性に到達するのを困難にしているからだ」。つまり、歪んだ知覚が、あなたが奇跡を求める衝動に気付くのを妨げている。真実を知りたいという思いが、あなたの意識上に昇って来ないのだ。だから、奇跡を求めようとせず、その衝動を抹殺してしまう。



The confusion of miracle impulses with physical impulses is a major perceptual distortion.
  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱状態、混乱、錯乱状態」
  • physical [fízikl] : 「身体の、肉体の、身体的な、物理学の、物理学上の」
  • major [méidʒər] : 「主要な、重要な、専攻の、大きい方の」
  • perceptual [pərséptʃuəl] : 「 知覚の、知覚による」
  • distortion [distɔ́ːrʃən] : 「ゆがみ、ねじれ、歪曲、ねじ曲げ」
❖ "The confusion of ~ "「奇跡を求める衝動と肉体的な衝動を混同することは、主要な知覚の歪みである」。奇跡を求める衝動とは、真実を求める強い心、実相を知りたいという強烈な願いである。肉体的衝動とは食欲、性欲(肉欲)、金銭欲、名誉欲、支配欲などに代表されるこの世界の幻想的欲望。この二種類の衝動を混同するようでは、あなたの知覚は歪んでいる。むしろ、それを混同することが最大の知覚の歪みである。実相的衝動と幻想的衝動を、あなたの知覚の歪みは混同してしまうのだ。だから、大金持ちになれば(金銭欲)、みんなから尊敬され(名誉欲)、他者を支配出来(支配欲)、高価なうまいものもたらふく食べることが出来(食欲)、異性もよりどりみどり手に入り(性欲)、この世の栄華を極めて幸せになれると信じてしまうのである。その欲の一つでも叶わなければ、自分は不幸だと感じ、欠落感や不足感の奴隷となる。まさに、仏教で言うところの『煩悩』の虜(とりこ)になってしまうのだ。



Physical impulses are misdirected miracle impulses. All real pleasure comes from doing God's will. This is because not doing it is a denial of self.
  • misdirect [misdirékt] : 「誤って教える、間違った方向に行く」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • pleasure [pléʒər] : 「喜び、楽しみ、快楽、楽しいこと」
  • will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
  • denial [dináiəl] : 「否定、拒否、拒絶、否認」
❖ "Physical impulses ~ "「肉体的な衝動は、誤った方向に導かれた奇跡への衝動である」。真実を求める衝動が、まったく方向を間違って、幻想を求める衝動に取って代わられた。ACIMは、すべての欲望を否定しているわけではない。たとえば、生きる意欲を否定することは出来ない。ただ、世俗的欲望はその方向を誤っている。"All real pleasure ~ "「真実なる喜びはすべて、神の意思からやって来る」。つまり、神の意思を実行出来たとき、本当の喜びが湧き上がってくる。奇跡によって真実を具現化出来たとき、それは神の意思でもあり、実相的な真実の喜びが生まれるのだ。"This is because not ~ "「これは、神の意思を実行しないことは自己を否定することだからだ」。あなたの心が神の元にあったときは、神の意思は、あなたの心に直接響いてきた。しかし、あなたの心が神の元を離れた今、あなたと神との直接のコミュニケーションは途絶え、神の意思はあなたの心に響いてこない。あなたの心は、この幻想世界の欲望に左右されるようになってしまったのだ。ここの"denial of self"「自己否定」とは、自分が神の子であることの否定。つまり、神の意思の否定なのだ。真実の否定である。



Denial of self results in illusions, while correction of the error brings release from it. 
  • result [rizʌ́lt] : 「終わる、帰着する、〜の結果となる」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • while [hwáil] : 「〜なのに、〜ではあるものの、〜とはいえ、しかし一方」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正、是正」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
  • release [rilíːs] : 「救出、解放」
❖ "Denial of self ~ "「自己の否定は、幻想に結果する」。自己否定は、神の子であることの否定であり、神の意思の否定、真実の否定であるから、結果、幻想に帰着する。"while correction ~ "「一方、誤りの是正は、幻想からの解放をもたらす」。自己否定は真実の否定であるから、自己否定という知覚の誤りを正せば、真実が二重否定され、真実が蘇る。つまり、幻想から解放されるのだ。



Do not deceive yourself into believing that you can relate in peace to God or to your brothers with anything external.
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
  • relate [riléit] : 「結び付ける、関連付ける」
  • peace [píːs] : 「平和、和平、安らぎ、平安、静けさ、静謐」
  • external [ikstə́ːrnl] : 「外の、外側の、外部にある、外部の」
❖ "Do not deceive ~ "「決して、あなた自身を騙してthat以下を信じさせてはいけない」。"that you can relate ~ "「あなたは、外部世界の何かを使って、神や同胞と、平和的な関係性をもつことが出来る」などと自分自身を信じさせてはいけない。つまり、外部的な金や物や名誉や地位によって見せ掛けの平和を作り、同胞や神に接近しようとしてはいけない、ということ。内部的な心と心の接触が大切なのだ。幻想の関係性からは幻想しか生まれない。実相の関係性からのみ、真実が生まれるのだ。だから、神と神の子の実相的関係性を否定する自己否定からは真実は生まれない。



2. Child of God, you were created to create the good, the beautiful and the holy. Do not forget this.
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
  • beautiful [bjúːtəfəl] : 「美しい、素晴らしい、見事な、すてきな」
  • holy [hóuli] : 「神聖な、聖なる」
  • forget [fərɡét] : 「〜を忘れる、〜を思い出せない」
❖ "Child of God ~ "「神の子よ、あなたは、良いもの、美しいもの、そして神聖なものを創造するようにと、(神によって)創造されたのだ」。"Do not forget ~ "「このことを忘れてないように」。良いもの、美しいもの、神聖なもの、すべてが真実である。神は、神の子が真実を創造するようにと、神の子を創造した。決して、幻想を偽創造して欲しいなどとは望まなかった。



The love of God, for a little while, must still be expressed through one body to another, because vision is still so dim.
  • for a while [hwáil] : 「しばらく、当分、少しの間 」
  • still [stíl] : 「まだ、いまだに、今もなお」
  • express [iksprés] : 「表す、示す、述べる、伝達する、表現する」
  • through [θrúː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • vision [víʒən] : 「先見の明、洞察力、想像力、視覚、視力」
  • dim [dím] : 「薄暗い、ぼやけた、ぼんやりとした」
❖ "The love of God ~ "「神の愛は、ほんのしばらくの間は、まだ、一つの肉体を通して他の肉体へと表現されなくてはいけない」。"because vision ~ "「なぜなら、ヴィジョンはまだかなりぼやけているからだ」。ACIMが用いる"vision"「ヴィジョン」は、我々が生活の中で使う「視覚、視力、洞察力、想像力」とは意味がかなり異なる。ACIMのヴィジョンは、物理的対象を見る知覚力ではなく、その奥にある真実の存在を見抜く心の目のことである。あるいは、心の目で見える光景のことである。そのヴィジョンの発達していない段階では、神の精妙な愛が、未発達な心の目にはなかなか見えてこないので、神の愛が見えるように、我々の肉体を使って愛が表現される、というのである。神の愛とは、真実の総体であって、いわゆるラブに限定する必要はない。
具体的な例をいくつか挙げてみよう。一番分かりやすいのは、愛(真実)を肉体で表現することである。愛は、肉体的な性の交わりで表現され得る。ただし、肉体的な性の交わりは、歪んだ愛をも包含していまうので、例としては最良だとは言えない。そこで、絵、彫刻、音楽、歌、詩、踊り、ダンス、等々の芸術表現が、ここの例としては最適だろう。美の表現、喜びの表現は、肉体的な感覚を通して真実や愛を他者に伝えることが出来る。芸術が表現する美や喜びは、神の愛に最も近い。たとえば、このACIMをイエスが弱強五歩格無韻詩という詩の形態で語った理由は、ACIMの理論を芸術表現することで、神の愛を、目に見え耳に聞こえる形で現実化しようとしたからなのだ。



You can use your body best to help you enlarge your perception so you can achieve real vision, of which the physical eye is incapable. Learning to do this is the body's only true usefulness.
  • use [juːz] : 「使う、利用する、生かす、働かせる」
  • best [bést] : 「最も良く、最高に、一番うまく」
  • enlarge [enlɑ́ːrdʒ] : 「〜を大きくする、拡大する、拡張する」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
  • so : 「〜するように」
  • achieve [ətʃíːv] : 「成し遂げる、達成する、成就する、やり遂げる」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • vision [víʒən] : 「先見の明、洞察力、想像力、視覚、視力」
  • physical [fízikl] : 「身体の、肉体の、身体的な、物理学の、物理学上の」
  • be incapable [inkéipəbl] of : 「〜ができない、〜をする能力がない」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • usefulness [júːsfəlnis] : 「役に立つこと、実用性」
❖ "You can use your ~ "「あなたが実相的なヴィジョンを獲得出来るようになるには、あなたの知覚を拡大する助けとするために、あなたはあなたの肉体を最大限に利用することが出来る」。"of which the physical ~ "「実相的なヴィジョンは、肉体的な目では見ることは出来ないのだ」。肉体的な知覚は、幻想をリアルな実在と捉える。虚偽を真実と錯覚させるのである。そこで、真実を目撃するには、その誤った知覚を修正しなくてはならない。知覚を修正拡大し、真実が見えてくるようになったとき、それが実相的なヴィジョンである。「肉体を最大限に利用する」とあるが、肉体的な知覚を最大の修正の対象として、という意味合い。"Learning to do ~ "「これを実行するための学びは、肉体のもつ唯一の有用性である」。肉体はヴィジョンを獲得するための学びに利用することが出来、それ以外の有用性はない。肉体は学びのための補助装置である。したがって、学びが完了すれば、肉体は不必要となり、消滅する。
幻想世界は、時間と空間とエネルギーの総体だと考えればいい。エネルギーが空間の一点に集約されたとき、そこに物質が生まれる。アインシュタインが示したように、質量とエネルギーは等しいのだ。物質は、その周りの空間のエネルギーと相互作用し、時間を軸として変化流動する。こうして、世界はダイナミックに活動しているように見えるのだ。あなたの知覚はそれを感知して、時間と空間とエネルギーが実在であると勘違いする。幻想世界を実在する現実世界だと思い込むのである。
この現実を良しとして生きるなら、それはそれでいい。問題は何もない。しかし、あなたが真実を知りたいと願うなら、話しは大いに違ってくる。まず第一に、虚偽を真実と捉えているあなたの肉体的な知覚を修正しなくてはいけない。ホーリー・スピリットの導きにしたがって、知覚が修正され、真実が見えるようになったとき、知覚は実相的なヴィジョンとして生まれ変わる。このヴィジョンが純化されたとき、それが実相世界の叡智(knowledge)となる。叡智は、見るのでも聞くのでもなく、あらゆる真実を瞬間に直覚する。なぜなら、実相世界は一元論世界であり、観測する主体と観測される客体という区別がないからだ。叡智は真実と一体であり、いわば、叡智は叡智自体を表現するだけなのだ。これが、瞬間的な直覚である。
 
 
 

T-1.VI.4:1 ~ T-1.VI.5:10

4. The real purpose of this world is to use it to correct your unbelief. 
  • real [ríːəl] : 「本物の、真実の、本当の、現実の」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向」
  • use [juːz] : 「使う、利用する、生かす、働かせる」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
  • unbelief [ʌnbilíːf] : 「不信仰、不信心、懐疑」
❖ "The real purpose of ~ "「この世界の真の目的は、あなたの不信心を是正するために世界を使うことである」。あなたは、この幻想世界が実在するリアルな世界だと信じ、神の住む実相世界を空想上の世界だと思って、その存在を信じてはいないが、それを是正するために、この世界がある。この世界の幻想世界を認識し、受け入れ受け流して赦し、この世界の幻想性を消滅させるのである。この幻想世界は、学びのための補助装置なのだ。補助装置である以上、それが不必要になれば、すなわち消滅する。



You can never control the effects of fear yourself, because you made fear, and you believe in what you made.
  • control [kəntróul] : 「操作する、制御する、支配する、統制する」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖 」
  • believe in : 「〜の存在を信じる、〜を信頼する」
❖ "You can never control ~ "「あなたは、恐れの影響を自分ではコントロール出来ない」。"because you ~ "「なぜなら、あなたが恐れを作ったのであるし、作ったものの存在を信じてしまうからだ」。神の子が神から分離した後、神の子は神の愛を裏切ったに違いないと思い、罪の意識を抱く。そして、神の子の裏切りに対して、必ず神が罰を与えるに違いないと恐れを抱いたのだ。これが、我々の心の奥深くに存在する罪と罰の原型である。ところが、ACIMの神は純粋一元論世界の神であり、愛のみを知る神であって、怒りを抱くことも罰を与えることもない。神の子の抱く罪と罰に対して、神は一切の関わりを持たないのだ。つまり、罪と罰は神の子の自作自演であり、それゆえ、自分ではコントロール出来ない。なぜかと言うと、たとえば、夜見る夢の中に恐ろしいモンスターが登場し、あなたを脅かしたとしよう。夢の中のあなたは、そのモンスターを制御することは出来ない。あなたの無意識が作り出したモンスターだからだ。そのコントロール出来ないモンスターを退治するには、あなたが夢から目覚めなくてはならないのだ。同様に、あなたがこの幻想世界で感じる恐れを退治するには、幻想から目覚める以外にない。なぜなら、その恐れは、あなたがでっち上げた恐れだからだ。夢の中のモンスターと同じなのである。



In attitude, then, though not in content, you resemble your Creator, Who has perfect faith in his creations because he created them. 
  • attitude [ǽtitjùːd] : 「態度、考え方、姿勢、構え」
  • though [ðóu] : 「〜だけれども、〜だけど、そうは言うものの、しかし」
  • content [kɑ́ntent] : 「入っているもの、内容、中身」
  • resemble [rizémbl] : 「〜のようである、〜と似ている」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「申し分がない、完全な、完璧な」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信念、確信、信仰、信条」
  • creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
❖ "In attitude, then, though ~ "「その中身ではなく、態度において、あなたは、あなたを創造した神に似ている」。"Who has perfect ~ "「その神は、神の創造したものを完璧に信じている」。"because he ~ "「神がそれを創造したからだ」。神は神の子を創造し、創造したがゆえに神の子を完璧に信じている。あなたは幻想世界をでっち上げ、でっち上げたがゆえに幻想世界を信じている。その中身は真実と虚偽とでまったく異るが、創造したもの、でっち上げたものに対する態度は共に同じであり、信じるのだ。だから、あなたは神と似ている、というわけだ。



Belief produces the acceptance of existence. That is why you can believe what no one else thinks is true. It is true for you because it was made by you.
  • produce [prədjúːs] : 「〜を作り出す、生産する、製造する」
  • acceptance [əkséptəns] : 「受け入れること、承諾、承認」
  • existence [igzístns] : 「存在、現存、実存、実在」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
  • think [θíŋk] : 「〜を考える、〜を思う」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ "Belief produces ~ "「信じる心は、その存在を許容する気持ちを生み出す」。あなたは幻想世界を偽創造し、偽創造したがゆえに幻想世界を信じ、信じたがゆえに幻想世界の存在を心に許す。あなたは恐れを作り出し、作り出したがゆえに恐れを信じ、信じたがゆえに恐れの存在を心に許す。罪もまた、以下同様、となる。"That is why you ~ "「それが、あなたが、他の誰も本当だと思っていないことを信じれる理由である」。"It is true for you ~ "「誰一人信じられないものでも、それはあなたによって作られたので、あなたにとっては真実なのだ」。あなたが作ったものが真実であるなら、これは神とまったく同様であるから問題は生じない。問題なのは、あなたが作ったものが虚偽であり幻想であるときだ。たとえそれが幻想であり虚偽であるとしても、あなた自身が作ったものである以上、あなたはそれを信じてしまうのである。その存在も心に許してしまうのだ。



5. All aspects of fear are untrue because they do not exist at the creative level, and therefore do not exist at all.
  • aspect [ǽspekt] : 「様子、外見、側面」
  • untrue : 「虚偽の、不誠実な、不正確な」
  • exist [iɡzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
  • creative [kriéitiv] : 「創造力のある、創造的な、独創的な」
  • level [lévəl] : 「地位、階級、段階、レベル、高さ、高度、深さ」
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
❖ "All aspects of ~ "「恐れは、すべての側面において真実ではない」。恐れはどこから見ても真実ではない。"because they do ~ "「なぜなら、恐れは、あらゆる創造レベルにおいても存在しないし、したがって、(あらゆる存在レベルにおいても)まったく存在しないからだ」。"creative level"「創造レベル」とは、実相的な真実を創造するというレベルのこと。その最高峰が、神の創造である。恐れは、そのような実相レベルの創造によって作られたものではないから真実ではなく、真実ではないから実在しない。要するに、恐れは、あなたがでっち上げた単なる幻想だ、ということ。罪ある自分が神に罰せられはしないかと、我々が勝手に妄想した結果が恐れの原型である。



To whatever extent you are willing to submit your beliefs to this test, to that extent are your perceptions corrected.
  • whatever [hwʌtévər] : 「どんな〜が〜でも、どんな〜を〜しても」
  • extent [ikstént] : 「広さ、 範囲、程度、限界、限度 」
  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する」
  • submit [səbmít] : 「〜を服従させる、〜を提出する、提示する 」
  • to that extent : 「あれほど、そこまで、その程度まで」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
❖ "To whatever extent ~ "「あなたが自分の信じるものをこのテストにかけてみたいと思う気持ちがどの程度あるのか、」"to that extent are ~ "「その程度に応じて、あなたの知覚が修正される」。"this test"「このテスト」とは、自分が作り出したがゆえに、その存在を信じているのではないか、と疑問を呈してみること。たとえば、あなたが恐れを信じているなら、その恐れはあなたがでっち上げたもので、本当は存在していないのではないか、と吟味してみるのだ。あなたが信じているものをこのテストにかけてみようと思う気持ちが強ければ強いほど、その程度に応じて、あなたは知覚を修正出来る。気持ちが小さければ、修正も小さい。たとえば、今あなたは、目前の圧倒的にリアルに見える世界を実在だと信じているが、ひょっとしてこの世界は自分が幻想として作り出したものに過ぎないのではないかと、勇気をもって強く疑念すれば、その程度に応じて、あなたの誤った知覚は修正されて、真実を目撃出来るヴィジョンへと知覚を昇華させることが出来る。ACIMの"Work Book"を見ればわかるように、奇跡のレッスンは知覚の修正から始まる。



In sorting out the false from the true, the miracle proceeds along these lines:

        Perfect love casts out fear.
 
        If fear exists,
        Then there is not perfect love.
                           But:
        Only perfect love exists.
        If there is fear,
        It produces a state that does not exist.
  • sort [sɔ́ːrt] out A form B : 「BからAを選り分ける」
  • false [fɔ́ːls] : 「本物でない、偽りの、偽の」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • proceed [prəsíːd] : 「続ける、発する、進む、進行する」
  • line [láin] : 「行、詩の1行」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「申し分がない、完全な、完璧な」
  • cast [kǽst] out : 「 捨てる、見捨てる、追い出す、追い払う」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
  • exist [iɡzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
  • produce [prədjúːs] : 「〜を作り出す、生産する、産む」
  • state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
❖ "In sorting out ~ "「真実なるものから虚偽なるものを見分ける中で、奇跡は、次の詩を実行する」。奇跡は、次のような問い掛けを行いながら、真実なるものの中から虚偽なるものを選り分けていく。"Perfect love ~ "「完全な愛は恐れを追い払う」。"If fear exists ~ "「もし恐れが存在するなら、その時は、完全な愛は存在しない」。"But: Only perfect ~ "「しかし、完全な愛だけが存在し得る」。"If there is fear ~ "「もし恐れが存在するなら、恐れは、存在さえしない状態を作り出しているのだ」。"perfect love"「完全な愛」とは、ここでは、「完全な真実」という意味に捉えていい。あるいは、実相、さらに神そのもの、と解釈してもいい。恐れが存在しているように思えたら、それは真実の存在と相容れないものであるから、あなたは存在しない幻想の状態の中にいることになる。



Believe this and you will be free. Only God can establish this solution, and this faith is his gift.
  • free [fríː] : 「〜を自由にする、解放する」
  • free [fríː] : 「自由な、捕われていない、独立した」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、制定する、成立させる」
  • solution [səlúːʃən] : 「 解、解答 、解決法、解決策」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信仰、信条」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント、神からの贈り物、天賦の才」
❖ "Believe this and ~ "「この言葉を信じなさい。そうすれば、あなたは(恐れから)自由になれるだろう」。"Only God can ~ "「神のみが、この解決策を確立することが出来る」。"and this faith ~ "「そして、それを信じること(心)は、神からの贈り物なのだ」。あなたをこの幻想世界に留め置こうとして、エゴはあなたに幻想の恐れを抱かせる。あなたが、その幻想の恐れから解放されたいと本当に願うなら、エゴの支配から解放されなくてはならない。それを達成するには、あなたはまだまだ力不足である。あなた一人では、願いは達成出来ない。そこで、神、あるいはホーリー・スピリットの力にすがるのである。ACIMの絶対他力性である。したがって、ホーリー・スピリットは、神があなたに贈った贈り物なのだ。それを信じきれるかどうか、そこがあなたの最大の勝負どころ、というわけである。
 
 
 

T-1.VI.2:1 ~ T.-1.VI.3:6

2. A sense of separation from God is the only lack you really need correct. 
  • sense [séns] : 「感覚、感覚能力」
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • lack [lǽk] : 「 不足、欠乏、欠如、欠落」
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」 
  • need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
❖ "A sense of separation ~ "「神と分離しているという感覚は、あなたが実際に修正を必要としている唯一の欠落である」。神の子が神から分離した後、神の子は神を欠いた幻想世界を偽創造したのだが、神からの分離自体も、実は夢である。神の子が深い夢から目覚めれば、自分は神の元から一歩たりとも離れていなかったことに気付く。そういう神からの分離感覚の修正が必要だと述べている。



This sense of separation would never have arisen if you had not distorted your perception of truth, and had thus perceived yourself as lacking.
  • arisen [ərízn] : 「arise の過去分詞形」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる」
  • distort [distɔ́ːrt] : 「〜を曲げる、変形させる」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理」
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • lacking [lǽkiŋ] : 「不足している、欠けている、足りない」
❖ "This sense of ~ "「この分離感は、あなたの真実を知覚する感覚が歪められず、自分が欠落していると知覚しなかったなら、決して起こることはなかったであろう」。神の子が深い眠りに陥って神からの分離の夢を見た結果、知覚が歪められて真実を見抜くヴィジョンを失い、神を失った欠落感を抱くことになった。
なお、ここは典型的な仮定法過去完了形。"you had not distorted ~ " ここに過去完了形(had + 過去分詞)が使われており、過去の事実と反対のことを仮定している、つまり「もし仮に、過去に〜だったとしたら」という意味になる。



The idea of order of needs arose because, having made this fundamental error, you had already fragmented yourself into levels with different needs.
  • order [ɔ́ːrdər] : 「順、順序、順番、順位、序列、系列」
  • arose [əróuz] : 「arise の過去形」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる」
  • fundamental [fʌ̀ndəméntl] : 「基本となる、基本的な、根本的な」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
  • fragment [frǽgmənt] : 「砕ける、寸断する」
  • level [lévl] : 「水準、レベル、段、段階」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • need [níːd] : 「必要、必要性」
❖ "The idea of order of ~ "「この基本的な過ちを犯してしまった結果、あなたはすでに、異った必要性のレベルに自らを分けてしまったので、必要性の序列という考えは起こった」。"order of needs"「必要性の序列」とは、硬い表現であるが、要するに、あれも欲しいこれも欲しいと、沢山の必要性を感じること。"this fundamental error"「この基本的な過ち」とは、神からの分離感覚。"levels with different needs"「異った必要性のレベル」とは、たとえば、愛が欲しい、平和が欲しい、金が欲しい、豊かさが欲しい、憎い相手を殺してやりたい、他者から物を奪ってやりたい、等々、ピンからキリまでのレベルの愛憎と欲望の必要性ということ。神と共にいた時は、神の子はすべてを持っていたので必要性など感じなかったが、神から分離してしまったと勘違いをした瞬間、様々なレベルの必要性を抱いて自己を分裂させたのだ。
上の解釈は、一個人の必要性が分裂したという解釈だが、神の子の心が必要性に応じて分裂したという解釈も出来よう。つまり、神と共にいた時は一つ(One)であった我々の心は、神からの分離を勘違いした瞬間バラバラに分裂し、わたし、あなた、彼、彼女、というような個別性が出来てしまい、そして、その一人一人がバラバラな必要性を主張するようになった。



As you integrate you become one, and your needs become one accordingly. 
  • integrate [íntəgrèit] : 「 統合される、平等になる、差別がなくなる」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • accordingly[əkɔ́ːrdiŋli] : 「それに応じて、それ相応に、それに沿って」
❖ 粉々になった神の子のアイデンティティであるが、"As you integrate ~ "「統合するにしたがい、あなたは一つになり、必要性もそれにつれて一つになる」。心が統合されるにしたがい、あなたと他者が、実は神の子として自他一如、単一存在だと気付き始める。"and your needs ~ "「そして、それに応じて、必要性も一つになる」。神からの分離を解消する必要性、ただ一つとなる。バラバラに分裂した神の子が自他一如であることに気付けば、最終的な目的、必要性は、神の元への回帰、ということになる。幻想から目覚めて実相世界へ回帰することが、神の子であるあなたの、最大にして最後の必要性なのだ。



Unified needs lead to unified action, because this produces a lack of conflict.
  • unify [júːnəfài] : 「統一する、一体化する」
  • lead to : 「つながる、結果として〜に導く、結局〜となる」
  • action [ǽkʃən] : 「活動、行動、活力、動き、動作」
  • produce [prədjúːs] : 「〜を作り出す、生産する、産む」
  • lack [lǽk] : 「不足、欠乏、欠如、欠落 」
  • conflict [kɑ́nflikt] : 「争い、紛争、闘争、摩擦、葛藤」
❖ "Unified needs lead ~ "「統合された必要性は統合された行動を導き出す」。神の子の心が統一されれば、一つの目的に向けて一つの行動をとることになる。幻想から実相への目覚めであり、それに引き続く神への回帰である。"because this produces ~ "「この(心の統合が)、コンフリクトの欠如を生み出すからだ」。つまり、バラバラな必要性がぶつかり合っていた状態が解消されるからである。
ここもまた、一個人の心の統合が一個人の統合された行動を生み出す、と考えてもいいし、神の子全体の心が統一されて、神の子全体の行動が一つに集約される、と解釈してもいい。ACIMは、仏教用語を使えば、『多即一、一即多』の思想であるから、神の子全体を考えることと一個人を考えることは、結局同じなのだ。



3. The idea of orders of need, which follows from the original error that one can be separated from God, requires correction at its own level before the error of perceiving levels at all can be corrected.
  • follow [fɑ́lou] from : 「〜に続いて起こる、〜から得られる」
  • original [ərídʒənl] : 「元の、初めの、最初の」
  • separate [sépərèit] : 「離す、分ける、分離する、分解」
  • require [rikwáiər] : 「〜を必要とする、求める、〜に要求する、命じる」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、訂正個所、矯正、修正、是正」
  • level [lévəl] : 「地位、階級、段階、レベル、高さ、高度、深さ」
  • before [bifɔ́ːr] : 「以前に、前に、早く、先に」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • at all : 「(肯定文で)とにかく」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
❖ "The idea of orders ~ "「必要性の序列という考えは、」"which follows from ~ "「人が神から分離出来るという原初の過ちから生じたのだが、」神の子が神なしで神のように存在出来ないだろうか、という『ほんの小さな狂った考え(tiny mad idea)』を抱いたことから生じたのだが、"requires correction ~ "「知覚レベルの過ちがとにもかくも修正され得る前に、必要性の各レベルにおいて(必要性が)修正されることを求めている」。あなたの知覚は、この幻想世界の諸物、諸現象を、圧倒的なリアスさで実在と捉えているが、これは知覚の誤りである。それを修正することが求められているわけだが、その前に、あなたの必要性を分類、序列化して認識し、各レベルに応じて、そんな必要性は幻想であって意味がないと修正されなくてはいけない。つまり、欲、煩悩を幻想として認識し直さなくてはいけないのだ。その後に、知覚の誤りを、各レベルにしたがって修正していくのである。知覚レベルとは、外部世界の物質を知覚する次元、内部世界の精神を知覚する次元、心の世界の愛を知覚する次元、等々のレベルと考えればいい。
キリスト教、仏教を問わず、ほとんどの宗教は、必要性の是正には個人の欲望の撲滅が必要であると説く(禁欲主義)のに対し、ACIMは欲望と戦うことを求めたりはしない。逆に、欲望と戦うことを禁止する。なぜなら、欲望は、それと戦うことで現実化してしまうからだ。ACIMは、欲望を赦すことを求める。欲望を幻想と認識し、受け入れ受け流して赦し、幻想の欲望を消滅させてしまうのだ。簡単に言えば、欲望よ、おまえは幻想に過ぎないから相手にしないよ、と宣言するのである。



You cannot behave effectively while you function on different levels. 
  • behave [bihéiv] : 「態度を取る、ふるまう、行動をする」
  • effectively [iféktivli] : 「 効果的に、有効に、効率的に」
  • while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「 働く、機能する」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
❖ "You cannot behave ~ "「あなたが、異ったレベルで活動しているうちは、あなたは、効果的に振る舞うことは出来ない」。"behave effectively"「効果的に振る舞う」とは、効果的に過ちを是正する、ということ。たとえば、精神的レベルの是正をしたいのに、物質的レベルの活動ばかりしていたのでは、是正効果は上がらない。



However, while you do, correction must be introduced vertically from the bottom up.
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • introduce [ìntrədjúːs] : 「取り入れる、取り込む、導入する、招く、紹介する」
  • vertically : 「垂直に、縦に」
  • bottom [bɑ́təm] : 「底、底辺」
❖ "However, while you ~ "「しかし、あなたがそうしている間にも、是正は底辺から上方へと垂直方向に取り込まれるに違いない」。まずは低レベルの是正から始めて、徐々にレベルアップして、高レベルの是正に移っていけばいいのだ。たとえば、まず金銭欲とか物欲とかの物質的レベルの浄化、是正をし、徐々に垂直方向にレベルアップして行って、愛情問題や霊的問題などの精神レベルの浄化、是正に移行していけばいい。



This is because you think you live in space, where concepts such as "up" and "down" are meaningful. 
  • think [θíŋk] : 「〜を考える、〜を思う」
  • live [lív] : 「住む、居住する、生きている、生存する」
  • space [spéis] : 「空間、宇宙」
  • concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念、コンセプト、考え方」
  • meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、意味深長な、重要な」
❖ "This is because you ~ "「これは(このように表現したのは)、あなたは空間の中に生きていると思い、空間においては、『上』と『下』というような概念が意味をもっているからだ」。実相世界は無時間無空間の世界であるから、上下左右などという概念はないが、時空間の存在する幻想世界は二元論の世界であって、上下左右という対立概念が意味をもつ。だから、あえてレベルを上下に二分し、是正のレベルアップを説明した、ということ。



Ultimately, space is as meaningless as time. Both are merely beliefs.
  • ultimately [ʌ́ltəmətli] : 「結局、最後に、ついに」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「 意味のない、無益な、価値のない」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方、両者」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
❖ "Ultimately, space is ~ "「究極的には、空間は時間同様、意味がない」。"Both are ~ "「空間も時間も共に、ただ、それがあると信じられているに過ぎない」。共に幻想である。時間も空間も、分離世界の象徴である。どちらもただの思い込みに過ぎない。ACIMでは空間も時間も幻想である。神の子の分裂した心が、分離を象徴する偽りの世界を心の外部に投影した結果が空間と時間である。したがって心が再び一つになり、世界を外部に投影することを止めれば、時間も空間も消滅する。さらに、序列もレベルも次元も、同時に消滅することになる。これらは単なる学びのための補助装置に過ぎない。学びが完了すれば、不必要となり消える。
 
 
 

T-1.V.6:1 ~ T-1.VI.1:10

6. The miracle is a sign that the mind has chosen to be led by me in Christ's service. 
  • sign [sáin] : 「標示、サイン、標識、表れ、兆し、兆候」
  • chosen [tʃóuzn] : 「chooseの過去分詞形」
  • choose [tʃúːz] : 「 〜を選ぶ、〜を選択する」
  • led [léd] : 「leadの過去・過去分詞形」
  • lead [líːd] : 「〜を導く、案内する、連れて行く」
  • service [sə́ːrvis] : 「役に立つこと、奉仕、世話、貢献、尽力」
❖ "The miracle is ~ "「奇跡は、キリストの仕事に関して、(あなたの)心が私(イエス)によって導かれることを選んだ印である」。"Christ's service"「キリストの仕事、キリストの奉仕」とは、まだ詳しい説明はないのだが、神の子としてのあなた自身の役割のことである。ホーリー・スピリットの導きに従って心が幻想から実相へと目覚め、心が神の元へ回帰して、一なる心に統一されるには、あなた一人の心だけではいけない。分離分裂した神の子全体の心が神の元へ回帰しなくてはならないのだ。そこで、あなたの心が実相に目覚めたなら、あなたは同胞の目覚めを助けるべく、あなた自身がキリストとなって、同胞を幻想から救い出さなくてはならない。これが、あなたの、キリストとしての役割である。もちろん、あなた一人ではそんな大きな仕事が出来ないので、イエスが導いてくれると言っているのだ。したがって、あなたがイエスの導きに従いキリストの役割を果たす選択をしたという証拠が、奇跡となって具現化するのである。



The abundance of Christ is the natural result of choosing to follow him.
  • abundance [əbʌ́ndəns] : 「 多量、豊富、多数、潤沢、裕福」
  • natural [nǽtʃərəl] : 「普通の、ありのままの、自然な」
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、成り行き、効果、成果、成績」
  • follow [fɑ́lou] : 「〜の後について行く、〜に続く」
❖ "The abundance of ~ "「キリストがもたらす豊饒さは、キリストに従うことを選択した自然の結果である」。実相世界では、与えることと得ることは等しい。あなたがキリストとなって、イエスの導きに従って同胞を幻想から救い出せば、あなた自身が救われることを意味する。あなたも同胞も救われ、愛と喜びと平和という真実の豊饒さに満たされることになる。真実は分かち合われることで拡張増大する。キリストの役割を分かち合うことで、豊饒さはますます増大していく。実相的な、自然の道理である。神の法である。



All shallow roots must be uprooted, because they are not deep enough to sustain you. 
  • shallow [ʃǽlou] : 「浅い、奥行きのない」
  • root [rúːt] : 「根、根元、根底」
  • uproot :「〜を根こぎにする、引っこ抜く、根絶する」
  • deep [díːp] : 「深い、深さがある」
  • enough [inʌ́f] to do : 「〜するに足りるほど」
  • sustain [səstéin] : 「 〜を支える、支持する」
❖ "All shallow roots ~ "「浅い根は、すべて引き抜かれてしまうに違いない」。"because they are ~ "「なぜなら、浅い根は、あなたを保持するのに十分な深さがないからだ」。"shallow roots"「浅い根」とは、見掛けだけの幻想のこと。お金であり物質であり、地位、名誉、支配欲、等々は、決して実相に根ざしたものではなく、すぐに引き抜かれてしまう浅い根だ。幻想世界の存在のすべては変化流動し、必ず崩壊と死へ向かう。あなたの心の永遠の平和や喜びを支えることなど不可能なのだ。



The illusion that shallow roots can be deepened, and thus made to hold, is one of the distortions on which the reverse of the Golden Rule rests.
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • shallow [ʃǽlou] : 「浅い、奥行きのない」
  • deepen : 「〜を深くする、深める」
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
  • distortion [distɔ́ːrʃən] : 「ゆがみ、ねじれ、歪曲、ねじ曲げ」
  • reverse [rivə́ːrs] : 「反対、逆、裏返し」
  • Golden Rule : 「黄金律」
  • rest [rést] : 「ある、置かれている」
❖ "The illusion that ~ "「浅い根であっても深くすることが出来、したがってあなたを支えることが出来るという妄想は、黄金律の逆のものが居座る歪曲の一つである」。ここで言う"the Golden Rule"「黄金律」は、キリスト教の黄金律に特定されるものではない。より一般的に、絶対的な真理、真実そのもの、と捉えればいい。したがって、黄金律の逆のものとは、虚偽そのもの、ということになる。浅い根は幻想のことであって、どんなに頑張っても実相に根を深く伸ばすことなど不可能なのだ。しかし、その真理を歪曲して、根など勝手に地中深く伸びていくものであって、あなたの心の平和を支えてくれる、と考えるようではいけない、ということだ。たとえば、大金持ちになれば、地位も名誉も手に入って、他者を金の力で支配出来る、などと考えることは、真理の真逆、虚偽である。
なお、本文とは直接関係はないが、キリスト教、仏教、イスラム教、道教における黄金律を紹介しておこう。黄金と言われるだけあって、どれもすばらしい真理である。

[Christianity] : "All things whatsoever ye would that men should do to you, do ye so to them; for this is the law and the prophets. Matthew 7:12"
[Buddhism] : "Hurt not others in ways that you yourself would find hurtful. Udana-Varga 5,1"
[Islam] : "No one of you is a believer until he desires for his brother that which he desires for himself. Sunnah"
[Taoism] : "Regard your neighbor’s gain as your gain, and your neighbor’s loss as your own loss. Tai Shang Kan Yin P’ien"



As these false underpinnings are given up, the equilibrium is temporarily experienced as unstable. 
  • false [fɔ́ːls] : 「 正しくない、誤った 」
  • underpinning [ʌ́ndərpiniŋ] : 「支え、基盤、土台、支持」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • give up :  「あきらめる、断念する、降伏する」
  • equilibrium [ìːkwəlíbriəm] : 「均衡、釣り合い、平衡、落ち着き、感情の安定」
  • temporarily [tèmpərérəli] : 「一時的に、仮に、当座のところ」
  • experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
  • unstable [ʌnstéibl] : 「情緒不安定な、不安定な、安定していない」
❖ "As these false underpinnings ~ "「誤った土台が断念されるにしたがい、」浅い根のような幻想の土台が放棄されるにしたがい、"the equilibrium ~ "「均衡が一時的に不安定になったように経験される」。たとえば、歪んだ生活でも慣れ親しんだものであれば、その生活を捨てる時は、一時的に心の不安定感を感じるものだ。自己革命とは、一時的な不安定性を恐れぬ真の冒険である。



However, nothing is less stable than an upside-down orientation.
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • less [lés] : 「より少なく」
  • stable [stéibl] : 「しっかりした、安定した」
  • upside-down : 「逆さまの、混乱した」
  • orientation [ɔ̀ːriəntéiʃən] : 「方位、方向、姿勢」
  • upside-down orientation : 「上下反転」
❖ "However, nothing is ~ "「しかし、上下逆さまよりも安定感を欠くものは何もない」。"upside-down orientation"「上下逆さま」とは、前文の"the reverse of the Golden Rule"「黄金律の逆のもの」と呼応している。たとえば「この世は幻想なのだから、幻想から目覚めて真の現実を見たい」という発想と、「この世が幻想だとしても、けっこうそれなりに楽しんでいるからこのままでいい」という発想を比べよう。後者が「上下逆さま」だ。真実と安楽の優先順位を逆にしているのだ。一見、生活は安定しているように見えるだろうが、変化流動する幻想世界にあっては、見せ掛けの安定感は長続きしない。前者は、見せ掛けの安定感ある生活を放棄するのだから、一時的に安定さを欠く。しかし、長期的な視点に立てば、一時的な不安定さは考慮するに及ばない。



Nor can anything that holds it upside down be conducive to increased stability.
  • nor [nɔ́ːr] : 「そしてまた〜ない、〜もまた〜でない」
  • hold [hóuld] : 「支える、縛り付ける」
  • conducive [kəndjúːsiv]: 「資する、貢献する、助けとなる」
  • increased [inkríːst] : 「増加した、増大した」
  • stability [stəbíləti] : 「安定、持続、不変、安定性」
❖ "Nor can anything ~ "「上下逆さまに保持するものは何でも、決して、安定性を増すことに貢献することは出来ない」。上下逆さまの価値観によって支えられる幻想は、つかの間の安定性を確保してくれるように思えるだろうが、虚偽である以上、長続きすることはなく、必ず崩壊へ向かう。





VI. The Illusion of Needs
必要性という幻想



1. You who want peace can find it only by complete forgiveness. 
  • peace [píːs] : 「平和、和平、安らぎ、平安、静けさ、静謐」
  • find [fáind] : 「発見する、見いだす、気付く、理解する」
  • complete [kəmplíːt] : 「完全な、全くの」
  • forgiveness [fərgívnəs]: 「許すこと、許し、容赦」
❖ "You who want ~ "「平和を望むあなたは、完全な赦しによってのみ、平和を見つけ出すことが出来る」。ここの"peace"「平和」とは、心の平安のこと。心が平和になれば、それは外部世界に波及し、世界もまた平和になる。"forgiveness"「赦し」は、非常に重要なACIMの理念であり、ACIMは赦しに尽きる、と言っても過言ではない。ACIMは赦しは、他者の過ちを許す、という意味ではない。幻想を幻想として確実に認識し、幻想をしっかり受け入れ受け流し、幻想を消滅させてしまうことが、ACIMの赦しである。たとえば、あなたの心の奥底に隠された罪の意識を、それは幻想であって実在するものではないと看破し、その事実を受け入れて罪の意識を赦してしまうのである。赦された罪の意識は消滅する。これが、ACIMの言う贖罪(Atonement)である。罪の意識と戦ってはいけないのだ。幻想は、それと戦うことで現実化してしまうからだ。言うは易く行うは難しなのだが、この赦しなくして幻想からの目覚めはない。時間をかけて、赦しの実践を重ねて行くしかない。必ず、ホーリー・スピリットが支えてくれる。



No learning is acquired by anyone unless he wants to learn it and believes in some way that he needs it.
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • acquire [əkwáiər] : 「手に入れる、獲得する、取得する、得る」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜でない場合を除いては」
  • learn [lə́ːrn] : 「学ぶ、知る、分かる」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
  • in some way : 「何とかして、何らかの方法で」
  • need [níːd] : 「〜を必要とする」
❖ "No learning is ~ "意訳する、「平和を(得る方法を)学びたいと思い、何としてでも平和が必要なのだと信じない限り、誰によっても平和は手に入れることは出来ない」。ここの"it"はくせ者である。"it"を「平和」と解釈して訳してみたが、「完全な赦し」と捉えても、意味は完全に通じる。つまり、「完全な赦しを学びたいと思い、何としてでも赦しが必要なのだと信じない限り、誰によっても赦しは手に入れることは出来ない」。心の平安と完全な赦しは表裏一体であるから、どっちに解釈しても意味は通じるのだ。
余談になるが、なぜこのような曖昧な表現をするのかというと、このACIMは単なる理論書ではなく、実に高度な詩であるからだ。ACIMは弱強五歩格無韻詩という詩の形態をとって書かれた書である。したがって、意味は重層的であり、単一の解釈を拒む。これが、ACIMを難解な書にしている所以だが、逆に、これが重要なのだ。イエスは真実を語るために、それに最も適した詩という形態をとったのだ。つまり、思想を芸術化したのである。言い換えれば、ACIMを翻訳して読み取ろうとしてはダメなのだ。芸術化された思想を、元々の詩の形で、つまり原文で味わわない限り、イエスの心は決して伝わってこない。是非、この精読の英語原文を無視せずに、原文を丁寧に読んで欲しい。時間はかかるが、実りはそれに比例して大きい。
なお、弱強五歩格に関しては、浅学の凡夫には説明が難しい。「http://www.geocities.jp/todok_tosen/shake/keyword/iambic.html」ここに、音声付きの解説がなされているので、是非、参照して欲しい。Hiroyuki Todokoroさんに感謝。



While lack does not exist in the creation of God, it is very apparent in what you have made. It is, in fact, the essential difference between them.
  • while [hwáil] : 「〜なのに、〜ではあるものの、〜だが」
  • lack [lǽk] : 「不足、欠乏、欠如、欠落」
  • exist [igzíst] : 「 存在する、生きている」
  • creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
  • apparent [əpǽrənt] : 「明らかな、明白な、はっきり見える」
  • in fact : 「実は、実のところ」
  • essential [isénʃəl] : 「必須の、最も重要な、肝心な、本質の、本質的な」
  • difference [dífərəns] : 「相違、相違点、異なる部分、区別、差別」
  • between [bitwíːn] : 「中間に、両者間に」
❖ "While lack does ~ "「神が創造したものに、欠落はないにもかかわらず、」神が欠陥のあるものを創造出来るわけがない。"it is very apparent ~ "「あなたがでっち上げたものの中に欠落が存在するのは極めて明らかだ」。"what you have made"「あなたがでっち上げたもの」とは、この幻想世界であり、物質、肉体、現象、等々のこと。偽創造された幻想世界は変化流動し、必ず崩壊と死へ向かう。欠陥だらけであり、欠落だらけだ。"It is, in fact ~ "「事実、そこが、両者の間の本質的な違いである」。神が創造したものは完全であり、欠陥も欠落もなく、実相的に永遠不変である。実相的な真実の創造と、幻想の偽創造の違いは決定的である。
なお、"lack"を「欠落」と訳してみたが、「不足」と解釈しても、まったく問題ない。実相世界には、不足という概念自体が存在しない。



Lack implies that you would be better off in a state somehow different from the one you are in. 
  • imply [implái] : 「暗に伝える、暗示する、ほのめかす」
  • be better off : 「もっと良い状態になる、暮らしが良くなる」
  • state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
  • somehow [sʌ́mhàu] : 「何らかの形で、何とかして、どういうわけか」
❖ "Lack implies that ~ "「欠落感は、(今)あなたがいる状況とはどこか違った状況にいれば、もっと暮らし向きが良くなるだろうとあなたが思っていることを、暗に示している」。もっとお金があれば幸せだろう、もっと地位が上がったら幸せだろう、もっと健康なら幸せだろうと、不足感、欠落感は限りなく欲を生み出す。
仏教では、これを『煩悩』と言って、煩悩を滅することが最大のテーマとなっている。年に一度、除夜の鐘で煩悩を滅しているはずだが、我々俗人には難題である。煩悩と戦うから、煩悩は現実化してしまうのだ。煩悩を幻想として認め、赦してやることが必須である。



Until the "separation," which is the meaning of the "fall," nothing was lacking.
  • until [əntíl] : 「〜までは…しない、〜になってやっと」
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • fall [fɔ́ːl] : 「落下、墜落、崩壊、破綻、陥落、堕落、退廃」
  • lacking [lǽkiŋ] : 「不足している、欠けている、足りない」
❖ "Until the "separation," which ~ "「『分離』、それは『墜落』を意味するのだが、それが起きるまでは、何一つ欠落するものはなかった」。"separation"「分離」とは、神の子が神から分離したこと。"fall"「墜落」とは、神から分離して、神の住む実相世界(天の王国)から墜落したこと。聖書のアダムとイヴの失楽園を想起すればいい。神の子が天の王国から墜落する以前は、神の子は実相世界に住んでいたのだから、欠落するものも不足するものも、何もなかった。



There were no needs at all. Needs arise only when you deprive yourself. 
  • need [níːd] : 「必要性 、必要なもの」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる」
  • deprive [dipráiv] : 「奪う、与えない、剥奪する」
❖ "There were no ~ "「必要性など、まったくなかったのだ」。"Needs arise only ~ "「必要性は、あなたがあなた自身から奪った時にだけ、生じる」。神が神の子を創造したとき、神は神の子に神の属性のすべてを与えた。真実のすべてを持っているから、必要性などなかったのだ。実相世界に、必要性という概念はないのだ。しかし、神の子が神から分離し、この幻想世界を偽創造したとき、神の子は神の属性のすべてを忘れてしまった。あなたは、あなた自身からすべてを奪ったのだ。その結果、あなたには欠落感や不足感が生じ、必要性が生まれたのである。



You act according to the particular order of needs you establish. This, in turn, depends on your perception of what you are.
  • act [ǽkt] : 「振る舞う、演じる、行動する」
  • according to : 「〜に従って、〜と一致して」
  • particular [pərtíkjulər] : 「特定の、独特の、特段の、特有の、特殊な」
  • order [ɔ́ːrdər)] : 「指令、命令、 順、順序、順番」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、設立する、制定する、成立させる」
  • in turn : 「入れ替わりに、言い換えると」
  • depend [dipénd] on : 「〜によって決まる、〜次第である、〜に頼る」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
❖ "You act according ~ "「あなたは、あなたが確立した特別な必要性の序列にしたがって、行動する」。たとえば、一番に金が必要だと思う人もいれば、名誉や地位が一番に欲しい人もいる。愛欲が欲しい人もいれば、かりそめの慰めが必要な人もいる。あなたは、あなた自身に適合した必要性のリストを作って、それにしたがって行動しているのだ。"This, in turn ~ "「言い換えれば、これは、あなたが、自分は何であると知覚しているかに依存している」。"what you are"は、「あなたが何であるか」、「本当のあなた」、「あなた自身であるもの」といった意味合い。あなたが自分をどう見ているか(知覚しているか)によって、あなたの必要性のリストが決まる。つまり、あなたが何を必要としているかを観察すれば、今のあなた自身がわかるのだ。
 
 
 

T-1.V.4:1 ~ T-1.V.5:7

4. Ultimately, every member of the family of God must return. The miracle calls him to return because it blesses and honors him, even though he may be absent in spirit.
  • ultimately [ʌ́ltəmətli] : 「結局のところ、最後に、ついに」
  • return [ritə́ːrn] : 「 戻る、帰る、返還する」
  • call [kɔ́ːl] : 「〜に命じる、呼びかける」
  • bless [blés] : 「授ける、祝福する、〜に感謝する」
  • honor [ɑ́nər] : 「〜に敬意を払う、尊敬する、崇拝する」
  • even though : 「〜であるけれども、〜であるにしても、〜にもかかわらず」
  • absent [ǽbsənt] : 「不在の、欠席して、放心状態の、ぼんやりした」
  • spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神、気分、気迫」
❖ "Ultimately, every member ~ "「最終的に、神の家族はすべて、(神の元へ)回帰しなくてはならない」。神の家族とは、もちろん、神と神の子すべて、そして、神から幻想世界に遣わされたホーリー・スピリット、キリストも含まれる。ただし、ここでは、神の子に限定して考えてよい。神の子は神から分離し、この幻想世界を偽創造してそこに住んでいる夢を見ているのだが、最終的には、その悪夢から目覚めて、神の元へ回帰しなくてはならない。"The miracle calls him ~ "「奇跡は、神の子を祝福し尊敬しているので、たとえ神の子がスピリットの中にいなくても、奇跡は、神の子に回帰するように呼びかけている」。奇跡は人格をもたないが、ここではあえて擬人化して述べている。たとえ神の子がまだ幻想から目覚めず、心がスピリットとして純化されていなくても、つまり、自分の霊性に気付いていなくても、奇跡は、神の子が神に創造された神聖な存在であると知っているので、神の子を祝福し尊敬し、神の元へ回帰するようにと呼びかけている。



"God is not mocked" is not a warning but a reassurance. God would be mocked if any of his creations lacked holiness.
  • mock [mɑ́k] : 「だます、欺く」
  • warning [wɔ́ːrniŋ] : 「警告、注意、戒め、警戒」
  • reassurance [riəʃúərəns] : 「安心、安心させること、元気づけ」
  • creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
  • lack [lǽk] : 「〜を欠く、〜が欠けている、十分にない」
  • holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
❖ "God is not mocked ~ "「『神は欺(あざむ)かれない』とは、警告でなく、安心を与えるためである」。"God would be ~ "「もし、神の創造した神の子の誰かが神聖さを欠いていたなら、神は欺かれるだろう」。仮定法過去であり、現在の事実に反することを述べている。仮に、神の創造した神の子が神聖さを欠いていたなら、創造した神自体が神聖さを欠いていることになり、不完全な神であるから欺かれ得るだろう。しかし、事実はそうではない。神は完全であり、したがって、完全な神に創造された神の子は完璧に神聖なのだ、ということ。したがって、聖書の言葉の『神は欺かれない』ということが意味しているのは、神の子は完璧に神聖であるということを保証しているのであって、だから警告ではなく安心を与えるものなのだ。
なお、"God is not mocked" は新約聖書のガラテヤ人への手紙6章7節からの引用である。参考までに、ここに載せておく。

[Galatians 6:7 from King James Version]
Be not deceived; God is not mocked: for whatsoever a man sows, that shall he also reap.
思い違いをしてはいけません。神は、人から侮られることはありません。人は、自分の蒔いたものを、また刈り取ることになるのです。(新共同訳)



The creation is whole, and the mark of wholeness is holiness. Miracles are affirmations of Sonship, which is a state of completion and abundance.
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
  • mark [mɑ́ːrk] : 「印、記号、標章」
  • wholeness [hóulnis] : 「全部そろっていること、一体となっていること」
  • holiness [hóulinis] : 「神聖、高潔」
  • affirmation [æ̀fərméiʃən] : 「確約、断言、肯定、確認」
  • state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
  • completion [kəmplíːʃən] : 「 完成、完了、終了、完全さ」
  • abundance [əbʌ́ndəns] : 「多量、豊富、多数」
❖ "The creation is whole ~ "「神が創造したものは完全であり、完全性の印は神聖さである」。"Miracles are affirmations ~ "「奇跡は、神の子の宣言であり、それは、完成と豊饒の状態であるとの宣言である」。奇跡によって神の子が幻想から目覚めれば、神の子は神によって創造された独り子であることを知る。神によって創造された以上、神の子は完全であり、全的であり、それが神聖さの表れだと知るのだ。奇跡は、それを宣言することである。神の子が完全で、完璧で、完成された存在であり、神の属性をすべて継承して豊饒であることを証言することなのだ。



5. Whatever is true is eternal, and cannot change or be changed. Spirit is therefore unalterable because it is already perfect, but the mind can elect what it chooses to serve.
  • whatever [hwʌtévər] : 「〜するのは何でも、どんなものが〜でも」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • eternal [itə́ːrnl] : 「永遠の、不変の、永久の」
  • unalterable [ʌnɔ́ːltərəbl] : 「不変の」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「申し分がない、完全な、完璧な」
  • elect [ilékt] : 「〜を選ぶ、選挙する」
  • choose [tʃúːz] : 「 〜を選ぶ、〜を選択する」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に役立つ、果たす、〜に仕える」
❖ "Whatever is true is ~ "「真実なものは永遠であり、変わることも変えることも出来ない」。真実だけが存在する実相世界は永遠不変の世界である。真実は永遠不変なのだ。"Spirit is therefore ~ "「したがって、スピリットはすでに完璧なので、スピリットは不変である」。心が真実として昇華したものがスピリットであり、スピリットは真実なので永遠不変である。"but the mind can ~ "「しかし、心は、何に仕えるか選択することが出来る」。しかし、あなたの心はまだ深い眠りについていて、エゴに仕えることもホーリー・スピリットに仕えることも、選択出来る状態にある。しかし、むしろ今のあなたの心はエゴに支配され、あなたの心はエゴに仕えていると考えた方がいい。あなたはエゴを偶像として崇(あが)めているのだ。



The only limit put on its choice is that it cannot serve two masters. 
  • limit [límit] : 「限度、制限、境界、限界」
  • put [pút] : 「置く、ある状態に〜を置く」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • master [mǽstər] : 「主人、マスター」
❖ "The only limit ~ "「心が選択するときに課せられる制限とは、心は二人の主人に仕えることは出来ないということだ」。あなたは、エゴを主人として選択するか、ホーリー・スピリットを主人として選択するか、二者択一である。それが、選択に課せられた制限である。



If it elects to do so, the mind can become the medium by which spirit creates along the line of its own creation.
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • medium [míːdiəm] : 「媒体、媒介物、媒質、手段」
  • create [kriéit] : 「創造する、作り出す」
  • along [əlɔ́ːŋ] : 「〜に沿って、〜に従って」
  • line [láin] : 「線、直線、路線、方向、方針」
  • along the lines of : 「〜に沿って、〜に似たやり方で、〜に従って」
  • creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
❖ "If it elects to ~ "「もし心が、そうすることを選択したなら、」心がホーリー・スピリットを主人として選択したなら、"the mind can become ~ "「心は、スピリットが自身の創造のラインにそって創造する媒体となることが出来る」。ここのスピリットは、ホーリー・スピリットと考えてやれば理解しやすい。心の中の最も純粋で神聖な部分にホーリー・スピリットが住んでおり、その実相的に正しい心がスピリットだからである。"along the line ~ "この部分であるが、ホーリー・スピリットは神の使者であるから、ホーリー・スピリット自身の創造のマニュアルにしたがって創造しても大丈夫なのだ。したがって、本文は、あなたの心がホーリー・スピリットを主人として選択したなら、ホーリー・スピリットが独自の創造計画に従って創造することが出来、つまり、あなたを実相へ目覚めさせるという奇跡の創造が出来、そのとき、あなたの心はホーリー・スピリットを補佐する媒体となることが出来る、という意味合いである。
ここでは、God > Hory Spirit > spirt > Mind > mind という序列を頭に入れておくといいだろう。Hory Spirtは、分裂したmindを修正統合して一つのOne Mindに昇格させ、神の元へ回帰させる。そのとき、MindはspirtになってGodの祝福を存分に受けることが出来るのである。



If it does not freely elect to do so, it retains its creative potential but places itself under tyrannous rather than Authoritative control.
  • freely [fríːli] :「自由に、こだわりなく、率直に」
  • retain [ritéin] : 「〜を保有する、保つ、保持する」
  • creative [kriéitiv] : 「創造力のある、創造的な、独創的な」
  • potential [pəténʃəl] : 「可能性、見込み、潜在性、潜在力」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する」
  • under [ʌ́ndər] : 「下に、下の方に」
  • tyrannous [tírənəs] : 「暴君的な、専制的な」
  • rather than : 「〜よりはむしろ、かえって 」
  • authoritative [əθɔ́ːrətèitiv] : 「権威ある、信頼できる、正式な」
  • control [kəntróul] : 「支配、統制、管理、制限」
❖ "If it does not freely ~ "「もし心が、そうすることを自由に選ばなかったら、」つまり、自由意思によってホーリー・スピリットを主人として選択しなかったら、エゴを主人として選ぶ以外になく、"it retains its creative ~ "「心は創造的潜在力を保持したまま、」心は実相的創造性を可能性として失わないにしても、「心は、心自体を、権威ある統制の下に置く代わりに、暴君的な管理の下に置くことになる」。"Authoritative control"「権威ある統制」とは、もちろん、神によって権威付けられたホーリー・スピリットの統制、管理、指導のこと。"tyrannous control"「暴君的な管理」とは、もちろん、エゴによる専制的な支配である。



As a result it imprisons, because such are the dictates of tyrants. To change your mind means to place it at the disposal of true Authority.
  • as a result [rizʌ́lt] : 「結果として 」
  • imprison [imprízn] : 「監禁する、拘置する、投獄する」
  • dictate [díkteit] : 「命令」
  • tyrant [táiərənt] : 「暴君、圧制者、専制君主」
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • disposal [dispóuzl] : 「処分、除去、支配権、 配置、配列」
  • at the disposal of : 「〜の自由になって、勝手に使えて」
  • authority [əθɔ́ːrəti] : 「権威、威信、権力」
❖ "As a result it ~ "意訳する、「結果として、心は自身の創造的可能性を幽閉してしまう」。"because such ~ "「なぜなら、暴君がそう命令するからだ」。エゴは真実が一番怖い。なぜなら、エゴは幻想に過ぎないからだ。真実によってエゴの幻想性が暴(あばか)れれば、エゴは消滅してしまうのである。そこでエゴは、心が真実に目覚めて創造性を発揮することを禁ずるのだ。"To change your mind ~ "意訳する、「あなたの心を変えるとは、権威あるものがあなたの心を自由に扱えるように、心をそこに置くことなのだ」。エゴに支配された心を解放して、ホーリー・スピリットを主人として選択し直すこと、それが、心を変えるという意味である。エゴの思考システムを捨てて、ホーリー・スピリットの思考システムを選び取ることである。
蛇足になるが、初めの文"it imprisons"には目的語がなく、何が何を監禁するのか曖昧である。itを暴君に、心を目的語にして解釈してもいいだろう。そうすると、「結果として、暴君(エゴ)は心を監禁する」、「なぜなら暴君の命令とはそういうものだから」といった意味合いになる。
 
 
 
 

T-1.V.2:1 ~ T-1.V.3:8

2.The basic decision of the miracle-minded is not to wait on time any longer than is necessary. Time can waste as well as be wasted.
  • basic [béisik] : 「基礎の、基本的な」
  • decision [disíʒən] : 「解決、決定、決意、決心」
  • wait on : 「〜に仕える」
  • any longer : 「もっと長く、これ以上」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
  • waste [wéist] : 「〜を無駄にする、消耗する、すり減らす」
  • as well as : 「〜と同様に」
❖ "the miracle-minded"は「奇跡を行う準備の出来た者」、「奇跡を行う心構えの出来た者」という意味。"The basic decision of ~ "「奇跡の準備が出来た者の基本的な決意は、必要以上に時間をかけないということである」。ひとたび奇跡を行うぞと心に決めたら、基本的に、だらだらと時間をかけてはいけない、ということ。"Time can waste ~ "「時間は、消耗するのと同様に、消耗させる」。だらだらと決意を延ばすと、時間が消耗するだけでなく、時間はその決意をも消耗させて、結局、決意がどんどん縮小してしまうのだ。決意したら、即、実行。



The miracle worker, therefore, accepts the time-control factor gladly. 
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • accept [æksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • time-control : 「時間制御」
  • factor [fǽktər] : 「要因、要素、因子、原因」
  • gladly [ɡlǽd] : 「喜んで、喜々として」
❖ "The miracle worker ~ "「したがって、奇跡を起こす者は、時間制御のファクターを喜んで受け入れる」。"the time-control factor"「時間制御のファクター」という箇所が難解である。幻想世界においては、時間はコントロール不可能な要素(ファクター)なのだが、時間の存在しない実相世界から見れば、時間はどうにでも変えれる、つまりコントロール可能な要素なのだ。時間を縮めることも引き延ばすことも、あるいは、過去に遡(さかのぼ)ったり、未来をかいま見たりすることも可能である。したがって、本文は、奇跡を起こす者は、喜んで時間をコントロールすることを受け入れる、という意味合いになる。



He recognizes that every collapse of time brings everyone closer to the ultimate release from time, in which the Son and the Father are One.
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、認める、受け入れる」
  • collapse [kəlǽps] : 「崩壊、倒壊」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
  • close [klóus] to : 「〜に近い、〜の近くに、〜に近接して、〜の身近に」
  • ultimate [ʌ́ltəmət] : 「最高の、究極の、根本的な」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと」
❖ "He recognizes that ~ "「奇跡を起こす者は、あらゆる時間の崩壊がみんなを究極的な時間からの解放へと近づけることを認識している」。"in which the Son ~ "「時間からの解放の中で、神の子と父なる神は一つになるのだ」。時間という幻想を幻想として受け入れ、受け流して赦すとき、幻想の時間は消滅する。奇跡によって実相に目覚めれば、時間は消えてしまうのだ。無時間無空間の実相世界が出現する。そこにあなたが回帰出来れば、天の王国(実相世界)において、神と神の子は決して分離などしておらず、一体であると知ることになる。
実相世界の無時間性を説明するのは、幻想世界に住む我々には不可能なのだが、時間が消滅した後には、永遠性だけが残ると解釈しておこう。永遠性とは、時間がだらだらと続くという意味ではない。一瞬が無時間的に存続するだけなのだ。今という一瞬だけが存在する。変化することはない。



Equality does not imply equality now. When everyone recognizes that he has everything, individual contributions to the Sonship will no longer be necessary.
  • equality [ikwɑ́ləti] : 「平等、等しいこと、同等」
  • imply [implái] : 「暗に伝える、暗示する、ほのめかす 」
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、認める、受け入れる」
  • individual [ìndəvídʒuəl] : 「個人の、個人的な、個々の、個別の」
  • contribution [kὰntrəbjúːʃən] : 「貢献、寄付、出資、寄与」
  • sonship : 「息子であること」
  • no longer : 「もはや〜でない、〜しない」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
❖ "Equality does not ~ "「平等性は今ある平等性を暗に示しているのではない」。実相的レベルの真実の平等性は、今の、この幻想世界の平等性を暗に示すものではない。まったくレベルが違うということ。たとえば、この地上では男女の平等性が叫ばれるが、一元論世界の実相世界には男女の区別などないから、男女の平等性などあり得ない。二元論的な平等性は、一元論世界には存在しないのだ。一元論実相世界の平等性とは何かと問えば、それは、文字通り、一体性である。単一性である。神の子は一体であり単一であるという認識が、実相世界の平等性を確立する。単一性をさらに発展させれば、神、神の子、ホーリー・スピリットの三位が一体であるという、三位一体性が、実相世界の平等性に繋がる。"When everyone recognizes ~ "「すべての人が、自分はすべてを持っていると認識したとき、神の子に対する個人的な貢献は、もはや必要とされなくなるだろう」。あなたも彼も彼女も、自分は神が与えてくれたすべての真実を持っていると認識出来たとき、つまり、自分が神の子であると信じられたとき、神の子の分離という幻想は消滅するのだ。自他一如が確立する。つまり、個人という幻想が消滅してしまうのだから、個人的な貢献という考えもなくなる。



3. When the Atonement has been completed, all talents will be shared by all the Sons of God. God is not partial. 
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
  • complete [kəmplíːt] : 「〜を完了する、仕上げる、終える、完成する」
  • talent [tǽlənt] : 「才能、素質、天分」
  • share [ʃέər] : 「分かち合う、共有する」
  • partial [pάːrʃəl] : 「部分的な、一部の、不完全な」
❖ "When the Atonement ~ "「贖罪が達成されたとき、あらゆる天分は、あらゆる神の子によって分かち合われる」。罪という幻想を赦して罪が消滅し、贖罪が完了したとき、あなたは神の子として、神の属性のすべてを継承していることを思い出す。あらゆる天分をもっているのだ。そして、自他一如となった神の子同士が、その神の属性、天分を分かち合うのである。分かち合うことで、真実は拡張増大する。"God is not ~ "「神は部分的ではない」。神はすべてであり、すべてを包含する(all-encompassing)。したがって、神は神の属性の一部だけを神の子に継承するなどという小技を労するわけがない。すべてを与えたのだ。



All his children have his total love, and all his gifts are freely given to everyone alike.
  • total [tóutl] : 「完全な、全くの 、全部の、すべての」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント、神からの贈り物、天賦の才」
  • freely [fríːli] : 「束縛を受けずに、制限されずに、自由に、惜しみなく」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • alike [əláik] : 「同様に、一様に」
❖ "All his children ~ "「すべての神の子供たちは、神のすべての愛に包まれている」。"and all his gifts ~ "「神の贈り物は、すべての神の子に平等に、惜しみなく与えられている」。"his gifts"「神の贈り物」とは、もちろん、神の属性のすべて、真実のすべて、あらゆる天分(talent)である。ここでは、神の愛と考えてもいい。



"Except ye become as little children" means that unless you fully recognize your complete dependence on God, you cannot know the real power of the Son in his true relationship with the Father.
  • except [iksépt] : 「ただし、〜ということを除いて」
  • ye [jíː] : 「なんじら、あなたがた」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • fully [fúlli] : 「十分に、完全に、全く、すっかり、全体に」
  • complete [kəmplíːt] : 「〜を完了する、仕上げる、終える、完成する」
  • dependence [dipéndəns] : 「依存、依存関係、付属物」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力、権限、権威」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • relationship [riléiʃnʃìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
❖ "Except ye become ~ "「『あなたが、幼子(おさなご)のようにならなかったら』という意味は、あなたが神に完全に依存していると十分に認識しない限り、父なる神との本当の関係における神の子の実相的パワーを、あなたは知ることが出来ない、ということである」。これが、ACIMの絶対他力性である。あなたが、幼子のように親にすべてを任せなかったら、つまり、あなたが神の子として父なる神にすべてを任せなかったら、神と神の子の関係性によって得られた(in his true relationship with the Father)神の属性としての実相的パワー(the real power)をあなたは思い出すことは出来ない(you cannot know)。
ACIMの絶対他力性は、何もせず、ただ祈って神にすがりつけということではない。人として努力しなさい、聖霊の助けを借りて自浄しなさい、そして、最後の最後、完全に神に身を投げて神にすべてを任せよ、ということである。
なお、"Except ye become ~ "はマタイによる福音書18章3節からの引用である。参考までに、ここに載せておく。

[Matthew 18:13 from King James Version]
At the same time came the disciples unto Jesus, saying, Who is the greatest in the kingdom of heaven? And Jesus called a little child unto him, and set him in the midst of them, And said, Verily I say unto you, Except ye be converted, and become as little children, ye shall not enter into the kingdom of heaven. Whosoever therefore shall humble himself as this little child, the same is greatest in the kingdom of heaven. And whoso shall receive one such little child in my name receiveth me. 
そのとき、弟子たちがイエスのところに来て、「いったいだれが、天の国でいちばん偉いのでしょうか」と言った。そこで、イエスは一人の子供を呼び寄せ、彼らの中に立たせて、言われた。「はっきり言っておく。心を入れ替えて子供のようにならなければ、決して天の国に入ることはできない。自分を低くして、この子供のようになる人が、天の国でいちばん偉いのだ。わたしの名のためにこのような一人の子供を受け入れる者は、わたしを受け入れるのである。」(新共同訳)



The specialness of God's Sons does not stem from exclusion but from inclusion. 
  • specialness [spéʃəlnis] : 「特別性、特殊性」
  • stem [stém] from : 「〜から生じる、〜から起こる、〜に由来する」
  • exclusion [iksklúːʒən] : 「排除、除外、排他、排斥」
  • inclusion [inklúːʒən] : 「含めること、包含、含有、包括」
❖ "The specialness of ~ "「神の子としての特殊性は、排他からではなく包含から生じる」。神はすべてを包含する(all-encompassing)。神の子が神の属性のすべてを継承したのだから、神の子が排他(exclusion)するのではなく、包含(inclusion)するのは当たり前なのだ。排他からは個性が生じるが、包含からは一体性が生まれる。個性は幻想である。一体性、自他一如、これが実相であり、神の子の特殊性(specialness)である。



All my brothers are special. If they believe they are deprived of anything, their perception becomes distorted.
  • special [spéʃəl] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
  • deprive [dipráiv] : 「奪う、取り上げる、剥奪する」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
  • distort [distɔ́ːrt] : 「歪める、誤り伝える、歪曲する」
❖ "All my brothers are ~ "「私の同胞はみんな、特殊である」。イエスの同胞である神の子はみんな、自他一如であり、神の属性のすべてを有しており、その意味で特殊である。"If they believe they ~ "「もし同胞達が、何かを奪われたと信じたなら、彼らの知覚は歪んでしまう」。神の属性は誰からも決して奪われることはない。神の子はすべてを持っており、そのすべては奪われることはないのだ。もし、奪われたと感じたなら、そう感じさせる知覚が歪んでいるだけだ。逆の言い方をすれば、もし神の子の知覚が歪められていないなら、彼はすべてを持っていると認識するはずである。



When this occurs the whole family of God, or the Sonship, is impaired in its relationships.
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
  • whole [hóul] : 「すべてを含んだ、欠けたものがない」
  • impair [impέər] : 「悪くする、損なう、害する、減じる」
  • relationship [riléiʃnʃìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
❖ "When this occurs ~ "「こんなことが起きたら、神や神の子の家族全体の関係性が損なわれてしまうのだ」。神は神の子にすべてを与えたはずであるが、その神の子が誰かに何かを奪われたと騒ぎ立てたなら、神と神の子、あるいは神の子と神の子の信頼関係が揺らいでしまうではないか、ということ。神と神の子が一体であること、神の子同士は自他一如であること、その関係性が崩壊してしまうのだ。
 
 
 

T-1.IV.4:1 ~ T-1.V.1:8

4.The emptiness engendered by fear must be replaced by forgiveness. 
  • emptiness [émptinəs] : 「 空虚、むなしさ、無意味」
  • engender [endʒéndər] : 「〜を生じさせる、引き起こす、発生させる」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
  • replace [ripléis] : 「〜を取り替える、交換する、置き換える、置換する」
  • forgiveness : 「許すこと、許し、容赦」
❖ "The emptiness ~ "「恐れによって生み出された空虚感は、赦しによって置き換えられなければならない」。神の子が神から分離した後、神の子は神を裏切ってしまったという罪の意識を抱く。そして、神の子の裏切りに対して、神は罰を与えるに違いないという恐れを抱く。これが恐れの原型である。気付きはしないが、心の奥底には、この原型的な恐れが潜んでいる。その恐れゆえに、心は常に満たされない。完全で純粋な喜びや平和や静けさを感じ得ないのだ。
ところが、それは夢である。神からの分離も、罪の意識も、神への恐れも、神の子が夢に見ている幻想である。その幻想を幻想として認め、受け入れ、受け流してしまうことが赦しであって、幻想は赦されることで消滅する。あなたの心の奥底に眠る恐れによって生み出された空虚感は、赦しによって置き換えられなければならないのだ。



That is what the Bible means by "There is no death," and why I could demonstrate that death does not exist.
  • Bible [báibl] : 「 聖書」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、重要性を持つ、大事である」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡」
  • demonstrate [démənstrèit] : 「実際にやってみせる、実演する」
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
❖ "That is what the Bible ~ "「それが、聖書で言うところの『死はない』という意味である」。"and why I could ~ "「そして、私(イエス)が、死は存在しないと実際に示すとこが出来た理由である」。神の罰によって、人は死ぬ運命にあると恐れを抱く。しかし、赦しによって恐れという幻想が消滅すれば、死さえも幻想であると気付いて、幻想の死もまた消滅する。死は存在しないのだ。そして、死の存在しない事実は、イエス・キリストによって2000年前に実証された。イエスが使者を蘇らせたり、イエス自らが死から復活したことを指している。
なお、"There is no death"という引用は旧約聖書、箴言(Proverbs)12章28節による。参考までに、ここに載せておく。

[Proverbs 12:28 : King James Version]
In the way of righteousness is life; and in the pathway thereof there is no death.
命は慈善の道にある。この道を踏む人に死はない。(新共同訳)



I came to fulfill the law by reinterpreting it. The law itself, if properly understood, offers only protection. 
  • fulfill [fulfíl] : 「(約束を)実行する、(使命を)果たす」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
  • reinterpret : 「〜を再解釈する」
  • properly [prɑ́pərli] : 「適切に、適当に、正確に、正しく」
  • understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understandの過去・過去分詞形」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、〜を提供する、〜を勧める」
  • protection [prətékʃən] : 「保護、擁護、防御」
❖ "I came to fulfill ~ "「私は、死を再解釈することによって、法を果たすためにやって来た」。死は存在しないと、死に対する解釈を変えるために、イエスは2000年前にこの地上に生まれ、そして、神の法を成就した。"The law itself ~ "「法自体は、もし適切に理解されるなら、守ることだけを提供してくれる」。法は、人を罰するものではなく、人を守るものである。死は存在しないとして、人を死から守るものなのだ。



It is those who have not yet changed their minds who brought the "hell-fire" concept into it.
  • those who : 「〜する人々」
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bringの過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
  • hellfire [hélfaiər] : 「地獄の火、業火、ひどい苦しみ」
  • concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念、コンセプト」
❖ "It is those who have ~ "強調構文、「法の中に『地獄の劫火』などという概念を持ち込んだ者は、まだ心を変えていない者達である」。法に『死はない』と書いてあるにもかかわらず、『死んでもなお、地獄の業火で焼かれるに違いない』と解釈されているものを、イエスは再解釈して『そんなことはない』と宣言し、自ら復活してみせたのだ。2000年前、心を真実に向けて変えることの出来た者は、おそらくイエスただ一人であっただろう。
ACIMで"hell"「地獄」という言葉を使うときは、それはこの幻想世界を意味する。鬼なり悪魔なりが登場する、いわゆる一般的な地獄の概念は登場しない。なぜなら、それは幻想だからだ。実在しない。



I assure you that I will witness for anyone who lets me, and to whatever extent he permits it. 
  • assure [əʃúər] : 「 保証する、断言する、請け合う、約束する」
  • witness [wítnəs] : 「証言する、証明する」
  • extent [ikstént] : 「範囲、規模、広がり、程度、度合い」
  • permit [pərmít] : 「許可する、許す、認める、容認する」
❖ "I assure you that ~ "「わたしにそうさせてくれるなら、〜の範囲で、私は誰にでも証言すると保証しよう」。"and to whatever ~ "「その人が証言を許す範囲で、」私は誰にでも証言すると保証しよう。あなたは、自分に罪があるから死んだらきっと地獄の業火に焼かれると思っているだろうが、そんなことはない。必要なら私が、あなたが無辜(むこ)であり、死は存在しないと証明しましょう、ということ。"to whatever extent ~ "「その人が証言を許す範囲で」とは、その人が心から望むならば、という意味合いであろう。その人が本気で望むなら、イエスも本気で証言してくれるのだ。



Your witnessing demonstrates your belief, and thus strengthens it.
  • demonstrate [démənstrèit] : 「実証する、立証する、実演する」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • strengthen [stréŋkθən] : 「〜を強くする、強化する、増強する」
❖ "Your witnessing ~ "「あなたの証言は、あなたの信念を実証し、こうして、信念を強化する」。証言したり証言されたりすることで、人の信じる気持ちが実証され、強化される。つまり、イエスが、あなたが無辜(むこ)であり、死は存在しないと証明したなら、あなたは、きっとイエスを信じて、その信じる心を強くするだろう、ということ。



Those who witness for me are expressing, through their miracles, that they have abandoned the belief in deprivation in favor of the abundance they have learned belongs to them.
  • express [iksprés] : 「表す、示す、述べる、伝達する、表現する」
  • through [θrúː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • abandon [əbǽndən] : 「捨てる、見捨てる、捨て去る」
  • belief in : 「〜への信念、〜への信仰」
  • deprivation [dèprəvéiʃən] : 「貧困、欠乏、 剥奪、奪うこと、喪失」
  • in favor of : 「〜に賛成して、〜を支持して、〜の利益になるように 」
  • abundance [əbʌ́ndəns] : 「 多量、豊富、多数、潤沢、裕福」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜であると分かる、〜を覚える、知る」
  • belong [bilɔ́ːŋ] : 「属する、所属する」
  • belong to : 「〜に属する、〜の所有である」
❖ "Those who witness ~ "「私のために証言する人達は、奇跡を通じて、that以下を表現している」。"that they have ~ "「彼らは、彼らのものだと学んだ豊かさを支持して、欠乏という信念を放棄したのだと」表現している。"Those who witness for me"「私のために証言する人達」とは、イエスが、神の子は神の属性をすべて継承しているからすべての真実をもっており、罪や死は幻想なので存在しないと証言したことを、それは正しいと証言した人達、ということ。したがって、"the abundance they have learned belongs to them"「彼らのものだと学んだ豊かさ」とは、イエスの証言から学んだ、神から継承した豊かな真実のすべて、ということ。それを受け入れることで、欠乏や喪失といったことが存在するという信念を放棄するのである。もちろん、真実を具現化する奇跡を通じて、それが可能となる。
文法的に、一言。"the abundance they have learned belongs to them"はもともと、"the abundance that belongs to them"「彼らに属している豊かさ」という文に、「彼らはそれを学んだ」という文"they have learned"を挿入し、関係代名詞の目的格"that"を省略したものである。この形はACIMに頻出するので、覚えておくといい。





V. Wholeness and Spirit
完全性とスピリット



1. The miracle is much like the body in that both are learning aids for facilitating a state in which they become unnecessary. 
  • like [láik] : 「〜に似た、〜のような、〜のように」
  • in that : 「〜の点において、〜であるから」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方、両者」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • aid [éid] : 「援助、救済、補助、助手」
  • facilitate [fəsílətèit] : 「 容易にする、手助けする」
  • state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • unnecessary [ʌnnésəsèri] : 「不必要な、無用な、不要な」
❖ "The miracle is much ~ "「奇跡は、〜という点において、肉体によく似ている」。似ているだけで同じではない。奇跡は実相であり、肉体は幻想であるから。"in that both are ~ "「どちらも、不必要になるという状態を容易に作り出すための学びの補助をするという点において、」奇跡は肉体によく似ている。奇跡は、この幻想世界において真実を具現化し、神の子を実相世界に目覚めさせる役割をもっている。ひとたび神の子が実相に目覚めれば、奇跡はもう不必要になってしまうのだ。実相世界に奇跡は存在しない、不必要だからだ。一方、肉体は幻想であって、その意味では意味もなく無に過ぎないが、その裏に神の意思が隠されている。肉体は、肉体という幻想を赦して消滅させるという役割をもっているのだ。肉体を幻想として受け入れ、受け流して赦すとき、幻想の肉体は消滅し、心はスピリットとして再生される。神はそれを意図している。言い換えれば、この幻想世界は、赦しを実行するチャンスの世界なのだ。奇跡も肉体も、実相世界に回帰するための学びの道具であって、目的が達成されれば不必要となる。その点において、奇跡と肉体はよく似ている、ということ。



When spirit's original state of direct communication is reached, neither the body nor the miracle serves any purpose.
  • spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神、気分、気迫」
  • original [ərídʒənl] : 「最初の、初めての、初代の」
  • direct [dirékt] : 「直接の、直々の」
  • communication [kəmjùːnəkéiʃən] : 「通信、やりとり、連絡、伝達」
  • reach [ríːtʃ] : 「達する、至る、手が届く、〜に連絡する」
  • neither [níːðər] A nor B : 「AでもなくBでもない、AとBのどちらも〜ない」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に役立つ、果たす、〜に仕える」
  • purposes [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い、意図」
❖ "When spirit's original ~ "「スピリットが、(神との)直接のコミュニケーションを取れる原初の状態に達したとき、」"neither the body nor ~ "「肉体も奇跡も、いかなる目的にも仕えることはなくなる」。あなたが、神との直接のコミュニケーションが取れるスピリットの状態に回帰出来たなら、あなたは完全に実相に目覚めたのであり、奇跡も肉体も、その目的を達成して、その他に目的をもたなくなる。奇跡も肉体も、不必要となるのだ。



While you believe you are in a body, however, you can choose between loveless and miraculous channels of expression. 
  • while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • choose [tʃúːz] : 「 〜を選ぶ、〜を選択する」
  • between [bitwíːn] A and B: 「AとBとの間に、AないしB」
  • loveless [lʌ́vlis] : 「愛のない、愛されない、つれない」
  • miraculous [mərǽkjələs] : 「奇跡の、奇跡を起こす力のある、奇跡的な」
  • channel [tʃǽnl] : 「(伝達)経路、チャネル、通信路 」
  • expression [ikspréʃən] : 「 表現、表現すること、表示」
❖ "While you believe ~ "「しかしながら、あなたが自分は肉体の中にいると信じているうちは、」"you can choose ~ "「あなたは、愛なき状態を選ぶか、奇跡的な表現のためのチャンネルを選ぶか、選択可能である」。"loveless"「愛がないこと、愛のない状態」とは、真実がないこと、真実がない状態ということで、すなわち幻想、闇のことである。"miraculous channels of expression"「奇跡による表現のチャンネル」とは、奇跡が真実を現実化し、神との霊的な交信が可能となって、愛を表現出来るチャンネルが確立する、ということ。神の愛を拒絶して肉体の中に留まり幻想世界で生きるか、神の愛を受け入れて奇跡による神とのコミュニケーション、霊的交わりを選ぶか、あなたは自由に選択出来る。



You can make an empty shell, but you cannot express nothing at all.
  • empty [émpti] : 「空の、空いている、空っぽの」
  • shell [ʃél] : 「貝殻、殻」
  • express [iksprés] : 「表す、示す、述べる、伝達する、表現する」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "You can make ~ "「あなたは、空っぽの貝殻を作ることは出来るが、しかし、あなたは何も表現出来なくなってしまう」。愛なき状態を選択して幻想に留まれば、あなたの肉体は空っぽの貝殻となる。真実のかけらもない状態である。したがって、あなたは真実も愛も何も、神に対して表現出来なくなってしまうのだ。



You can wait, delay, paralyze yourself, or reduce your creativity almost to nothing. But you cannot abolish it. 
  • wait [wéit] : 「待つ」
  • delay [diléi] : 「遅れる、〜を遅らせる」
  • paralyze [paralyze] : 「〜を麻痺させる、しびれさせる 」
  • reduce [ridjúːs] : 「 減らす、減じる、削減する」
  • creativity [krìːeitívəti] : 「 創造性、独創力 」
  • almost [ɔ́ːlmoust] : 「ほとんど、九分通り、大体」
  • abolish [əbɑ́li] : 「〜を廃止する、撤廃する、廃する」
❖ "You can wait ~ "「あなたは、待つことも、遅らせることも、あなた自身を麻痺させることも出来る」。"or reduce your ~ "「あるいは、あなたの創造性を、ほとんど無の状態に減らしてしまうことも出来る」。愛なき幻想の世界に留まり、空っぽの貝殻同然の肉体の中に潜んでいる限り、あなたに出来ることは、神の愛や実相的真実の出現を、ただ待つか、遅らせるか、苛立ちを麻痺させるか、あるいは、愛や真実の表現としての創造性を忘れてしまうことぐらいである。"But you cannot ~ "「しかし、あなたは、創造性を捨てることは不可能である」。愛や真実の表現としての創造性を忘れることは出来ても、それを捨てることは出来ない。なぜなら、あなたはそれを神から継承したからだ。あなたは、自分が神の子であることを忘れることは可能だが、神の子というアイデンティティを捨てることは不可能なのだ。



You can destroy your medium of communication, but not your potential. You did not create yourself.
  • destroy [distrɔ́i] : 「〜を破壊する、ぶち壊す、破損する」
  • medium [míːdiəm] : 「媒体、媒介物、媒質、手段」
  • potential [pəténʃəl] : 「可能性、見込み、潜在性、潜在力」
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
❖ "You can destroy ~ "「あなたは、コミュニケーションの手段を破壊することは出来るが、」"but not your ~ "「コミュニケーションを取ることが出来るという可能性は破壊出来ない」。ホーリー・スピリットを媒介者として、神とのコミュニケーションを取ることを拒絶することは出来ても、神とのコミュニケーション自体を破壊することは出来ない。"You did not create ~ "「あなたは、あなた自身を創造したのではないからだ」。あなたを神の子として創造したのは神であって、あなた自身ではない。したがって、神とのコミュニケーションを取るという創造性、神の属性をあなたが破壊することは出来ないのだ。神から授かった資質を無視は出来るが、破壊し、捨て去ることは出来ないのである。光は闇を払拭出来るが、光が光自体を払拭することは不可能なのだ。
 
 
 


T-1.IV.2:1 ~ T-1.IV.3:7

2. Holiness can never be really hidden in darkness, but you can deceive yourself about it. 
  • holiness [hóulinis] : 「神聖、高潔」
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」 
  • hidden [hídn] : 「hide の過去分詞形、隠された、秘密の」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
  • darkness [dάːrknis] : 「暗がり、暗闇」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
❖ "Holiness can never ~ "「神聖さは、暗闇によって実相的に隠されてしまうことは決してない」。あなたが神聖な神の子であるという実相的な真実は、幻想の闇が隠してしまえることではない。"but you can deceive ~ "「しかし、このことに関して、あなたはあなた自身を騙すことが出来る」。ところが、あなたは、幻想を現実だと信じているから、自分の神聖さがわからない。あなたは、神とは無縁の、進化した猿に過ぎないと思って、自分を騙しているのだ。



This deception makes you fearful because you realize in your heart it is a deception, and you exert enormous efforts to establish its reality.
  • deception [disépʃən] : 「だますこと、うそ、ごまかし」
  • make [méik] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い、ものすごい」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
  • heart [hάːrt] : 「心、胸の内、気持ち」
  • exert [iɡzə́ːrt] : 「行使する、振るう、発揮する、働かせる」
  • enormous [inɔ́ːrməs] : 「巨大な、膨大な、莫大な」
  • effort [éfərt] : 「努力、尽力、骨折り」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、制定する、成立させる」
  • reality [riǽləti] : 「現実性、実在性、現実のこと」
❖ "This deception ~ "「このごまかしが、あなたを恐れさせる」。"because you realize ~ "「なぜなら、あなたは心の中で、それがごまかしだとわかっているからだ」。あなはた心のどこかで、自分は神聖な神の子であるとわかっているから、自分が猿だという思いを恐れる。自分が意味のない存在だと恐れるのだ。"and you exert enormous ~ "「そして、あなたは、ごまかしが現実であるということを確立するために、膨大な努力を惜しまない」。神聖でも何でもない、意味のない自分という存在を現実として受け止めようと、無駄な努力をする。幻想を実在だと信じようとするのだ。



The miracle sets reality where it belongs. Reality belongs only to spirit, and the miracle acknowledges only truth. 
  • set [sét] : 「配置する、設定する」
  • belong [bilɔ́ːŋ] : 「属する、所属する」
  • spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神、気分、気迫」
  • acknowledge [æknάlidʒ] : 「認める、承認する、認識する、受け入れる」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "The miracle sets ~ "「奇跡は、真実をそのあるべき場所に配置する」。"Reality belongs only ~ "「真実は、スピリットだけに属するのであって、奇跡は真実のみを認識する」。奇跡は真実を現実化すること、実現化することである。決して、幻想に幻想を積み重ねることではない。その真実は幻想世界にはない。真実は、幻想に無縁の実相世界に、スピリットの世界に所属するものなのだ。したがって、奇跡は真実だけを知っている。



It thus dispels illusions about yourself, and puts you in communion with yourself and God.
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • dispel [dispél] : 「〜を追い払う、払いのける、払拭する」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • put [pút] : 「置く、ある状態に〜を置く」
  • communion [kəmjúːnjən] : 「霊的な交わり、親交、共有、交流」
❖ "It thus dispels illusions ~ "「こうして、奇跡は、あなたに関する幻想を払拭する」。奇跡は、あなたが単なる肉体をもった猿に過ぎないという幻想を払拭し、神聖な神の子であるという真実を具現化、現実化する。肉体を払拭し、スピリットを復活させるのである。"and puts you in ~ "「そして、あなた自身と神との霊的な交わりの中に、あなたを導き入れるのだ」。あなたが神聖な神の子であるという真実に気が付けば、あなたはホーリー・スピリットを通して神との接触が出来る。神との霊的な(スピリチュアルな)交信が可能となるのだ。奇跡はあなたを、そういう霊的な(スピリチュアルな)レベルに連れて行ってくれるのである。



The miracle joins in the Atonement by placing the mind in the service of the Holy Spirit. 
  • join in : 「 〜に加わる、〜に参加する」
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する」
  • service [sə́ːrvis] : 「役に立つこと、奉仕、世話、貢献、尽力」
❖ "The miracle joins in ~ "「奇跡は、心をホーリー・スピリットの役割の中に置くことで、贖罪の仲間入りをする」。ホーリー・スピリットの役割は、神の子を幻想から実相へ目覚めさせることである。虚偽から真実へと目覚めさせるのである。あなたの心が、そのホーリー・スピリットの仕事に参加して、ホーリー・スピリットの導きに従うなら、奇跡は、あなたの罪の意識を払拭し、贖罪を可能にしてくれる。つまり、神聖ならざる罪などいうものは幻想に過ぎず、あなたは無辜(むこ)なる神聖な神の子であると気付かせてくれるのだ。罪を認識し、受け入れ受け流し赦すとき、幻想に過ぎない罪は消滅する。罪は滅ばされるのだ。つまり、罪滅ぼしであり、贖罪の実現である。それが、奇跡が贖罪の仲間入りをする、という意味である。



This establishes the proper function of the mind and corrects its errors, which are merely lacks of love.
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、設立する、制定する、成立させる」
  • proper [prάpər] : 「妥当な、適当な、ふさわしい、相応の」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「機能、作用、働き、効用、職務、役割」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • lack [lǽk] : 「不足、欠乏、欠如、欠落 」
❖ "This establishes the proper ~ "「これが、心のもつ適切な機能を確立し、心の誤りを正してくれる」。"which are merely ~ "「その誤りとは、単に、愛の欠如である」。あなたの心は、奇跡を実現出来るパワーをもっている。神が神の子を創造するとき、神のもつ属性のすべてを神の子に継承した。心のもつパワーは神譲(ゆず)りの力なのだ。その心のパワーが、奇跡を通して、あなたの心に蘇(よみが)ってくるのだ。本文は、奇跡が、心が正常に活動するように調整して、過ちを直せるようにする、ということである。その過ちのそもそもの原因は、神の子が神から分離して幻想世界に埋没したことにある。したがって、幻想のそもそもの原因は、神の愛を拒絶したこと、つまり、愛の欠如にある。愛をなくした心が、ありもしない幻想を求めるのだ。そこに、誤りや過ちの原因がある。
実相世界は一元論世界であり、愛や喜びや慈しみ、美、平和、等々は、すべて真実という一点に収斂(しゅうれん)する。区別も差異もない。したがって、誤りが愛の欠如であると言うのも、誤りが真実の欠如と言うのも、実は同一なのだ。過ちは、神の欠如であると言うもの、また同一である。



Your mind can be possessed by illusions, but spirit is eternally free. 
  • possess [pəzés] : 「〜を所有する、保有する、持つ、〜に取り付く」
  • eternally [itə́ːrnəli] : 「永久に、絶えず、変わることなく、永遠に」
  • free [fríː] : 「自由な、捕われていない、独立した」
❖ "Your mind can ~ "「あなたの心が幻想に取り憑かれる可能性はある」。"but spirit is ~ "「しかし、スピリットは永遠に自由だ」。したがって、あなたの目指すべき目標は、幻想に取り憑かれた心を純化し、心をスピリットに昇華させることである。あなたの心がホーリー・スピリットの導きで奇跡を起こすことが出来たとき、罪の意識は贖罪され、幻想は消滅して、心はスピリットに変身する。と言うよりは、心の本来の姿に戻るのだ。復活とは、そういう意味である。



If a mind perceives without love, it perceives an empty shell and is unaware of the spirit within.
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たずに」
  • empty [émpti] : 「空の、空いている、空っぽの」
  • empty shell : 「抜け殻、中身のない殻」
  • be unaware of : 「〜に気付いていない、〜を知らない」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
❖ しかし、"If a mind perceives ~ "「もし心が、愛をもたずに知覚するなら、」"it perceives an empty ~ "「心は空っぽの貝殻を知覚する(ようなもので)、その内側にスピリットを知ることはない」。ここも、『愛』を『真実』に読み替えてみると理解しやすい。神の愛、神の真実をもたずして心が知覚するなら、心自体は空っぽの貝殻同然である。そこには幻想しか詰まっていなからだ。スピリットのかけらすら、知覚出来ないだろう。



But the Atonement restores spirit to its proper place. The mind that serves spirit is invulnerable.
  • restoplace [pléis] : 「場所、個所」
  • restore [ristɔ́ːr] : 「回復させる、修復する、復活させる」
  • invulnerable [invʌ́lnərəbl] : 「傷つくことのない、不死身の」
❖ "But the Atonement ~ "「しかし、贖罪は、適切な場所に、スピリットを復活させる」。奇跡の贖罪によって幻想が払拭されると、心には真実が見えてくる。ヴィジョンで見ることが出来るようになる。心にスピリットが戻ってくるのだ。"proper place"「適切な場所」とは、もちろん、あなたの心の中である。"The mind that serves ~ "「スピリットに仕える心は、傷つくことはない」。幻想という闇の中を彷徨(さまよ)っていたあなたには見えなかったスピリットではあるが、スピリットが死んでいたわけではない。スピリットは実相世界の真実であって永遠不変、死ぬことはない。傷つくこともない。あなたの知覚には、ただ、見えなかっただけなのだ。したがって、本文の『復活』とは、生き返るという意味ではなく、むしろ『思い出す』という意味合いである。



3. Darkness is lack of light as sin is lack of love. It has no unique properties of its own. 
  • darkness [dάːrknis] : 「暗がり、暗闇」
  • lack [lǽk] : 「不足、欠乏、欠如、欠落 」
  • light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • unique [juːníːk] : 「独特の、独自の、他とは異なる」
  • property [prɑ́pərti] : 「 財産、資産、 特性、性質」
❖ "Darkness is lack ~ "「罪が愛の欠如であるように、闇は光の欠如である」。"It has no unique ~ "「闇は、それ自体の独自の性質を持ってはいない」。したがって、闇は幻想であり、光は実相である。光は存在するが、闇は存在しないのだ。光が存在しないこと、それを闇と呼んでいるだけである。これが、仏教で言うところの『無明』である。



It is an example of the "scarcity" belief, from which only error can proceed.
  • example [iɡzǽmpl] : 「例、実例、実施例、用例」
  • scarcity [skέərsəti] : 「不足、欠乏」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • proceed [prəsíːd] : 「発する、進む、進行する、先へ出る、及ぶ」
❖ "It is an example of ~ "意訳する、「それは、『欠如』が実在すると信じる良い例である」。"from which only ~ "「そんな信念からは、誤りが生まれるだけだ」。欠如とはないことであり、無なのだ。無だから、幻想なのである。そんな無であり幻想の欠如が実在している信じ込むところに、誤った思いが生じてくる。
仏教では『知足』という言葉がある。足(た)るを知る、ということだが、むしろ、不足や欠如は存在しないと知ることである。そもそも、あるとかないとか言う次元は、二元論である。有と無の二つの対立概念のせめぎ合いが存在していると信じているレベルである。それが誤りなのだ。したがって、知足とは、『有無の次元を超越せよ』ということである。



Truth is always abundant. Those who perceive and acknowledge that they have everything have no needs of any kind.
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、以前からずっと、常にいつでも」
  • abundant [əbʌ́ndənt] : 「豊富な、富んだ、たくさんの、豊かな」
  • those who : 「〜する人々」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • acknowledge [æknάlidʒ] : 「認める、承認する、同意する、受け入れる」
  • need [níːd] : 「必要、必要性」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
❖ "Truth is always ~ "「真実は、常に豊富である」。真実だけが有であって、真実には無という概念は存在しないということ。"Those who perceive ~ "「すべてをもっていると知覚し、それを知った者は、いかなる種類の必要性も感じない」。真実で満たされた者は、すべてをもっていると知っているから、必要なものなど何もない。知足に至った者は、必要性を感じないのだ。なぜなら、必要は不足から生じるからだ。




The purpose of the Atonement is to restore everything to you; or rather, to restore it to your awareness. 
  • purposes [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い、意図」
  • restore [ristɔ́ːr] : 「〜を元の状態に戻す、元に戻す、回復させる、修復する」
  • rather [rǽðər] : 「それどころか、もっと正確に言えば、正しくは」
  • awareness [əwéərnəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性 」
❖ "The purpose of ~ "「贖罪の目的は、あなたにとって、すべてを修復することである」。"or rather, to ~ "「むしろ、あなたの意識性に対して、すべてを修復するのである」。ここの"everything"「すべて」とは、この世界にあるものすべて、という意味ではない。実相的に実在するすべて、つまり、真実のすべて、という意味である。罪の意識を消滅させる贖罪という奇跡によって、幻想が払拭され、あなたの目に真実のすべてが見えてくるのだ。それが、贖罪の目的である。だから、あなたの意識のレベルで、つまり、心のレベルで、真実のすべてが修復されるのである。決して、物質レベル、幻想レベルで、すべてが修復されるという意味ではない。



You were given everything when you were created, just as everyone was.
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
❖ "You were given ~ "「あなたは、あなたが創造されたときに、すべてを与えられた」。"just as everyone ~ "「ちょうど、みんなが与えられたように」。神が神の子を創造したとき、神の属性のすべてを神の子に継承した。神の属性とは、一言で言えば、真実の総体である。したがって、神の子であるあなたは、すべての真実を神から与えられたのだ。もちろん、自他一如である他者すべてが、神の属性、真実のすべてを継承した。ところが、神の子が神から分離して、この幻想世界を偽創造したとき、神の子は神の属性、真実のすべてを放棄し、忘れたのだ。忘れて、幻想に埋没した。深い夢の中を彷徨(さまよ)い歩いているのだ。しかし、贖罪によって幻想から実相へと目覚めれば、つまり、夢から覚めれば、あなたは自分が神の子として神の属性のすべてをもっていることを思い出す。真実のすべてをもっていると、意識の修正が出来るだ。
 
 
 

T-1.III.9:1 ~ T-1.IV.1:5

9. Miracles are selective only in the sense that they are directed towards those who can use them for themselves.
  • selective [siléktiv] : 「選択できる、選択的な、特定の人を対象にした」
  • in the sense : 「〜という意味で」
  • direct [dərékt] : 「〜を方向づける、命令する、指図する」
  • towards = toward :[tɔ́ːrd] 「〜の方へ、〜に向かって」
  • those who : 「 〜する人々」
  • use [juːz] : 「使う、利用する、生かす、働かせる」
  • for oneself : 「自分のために、独力で」
❖ "Miracles are selective ~ "「奇跡は、それを自分自身のために利用出来る者へ向かうように方向づけられているという意味において、奇跡は選択的である」。奇跡は、棚からぼたもちが落ちるように、誰彼かまわず起きるものではない。奇跡を心から願う者だけに、奇跡は起きる。だから、その意味では、奇跡は選択的である。もっとも、選択的であるが、決して差別的ではない。
"for themselves"「自分自身のために」とあるが、これは独善的という意味ではなく、神の子が自他一如でることを考えれば、自分のための奇跡は同時に他者をも巻き込んで起きるのである。したがって、自分のために、ひいては他者のために奇跡を利用出来る者に、奇跡は向かうのである。



Since this makes it inevitable that they will extend them to others, a strong chain of Atonement is welded.
  • since [síns] : 「〜なので、〜だから」
  • make A + (形容詞B) : 「AをBの状態にする」
  • inevitable [inévətəbl] : 「当然の、必然的な、必然の、必至の」
  • extend [iksténd] : 「伸ばす、拡張する、拡大する」
  • strong [strɔ́ːŋ] : 「力強い、強力な、強い、力がある」
  • chain [tʃéin] : 「鎖、チェーン、連鎖、つながり」
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
  • weld [wéld] : 「〜を溶接する、結合する、ひとつにまとめる、統一する 」
❖ "Since this makes it ~ "「この、奇跡が選択的であることは、奇跡が他者に拡張することを必然的に起こすので、」"a strong chain of Atonement ~ "意訳する、「贖罪は強い鎖で結ばれることになる」。あなたに起きる奇跡は、自他一如である他者に波及するのだ。あなたの心の中にある罪の意識が幻想であると知ってそれを赦すとき、奇跡は罪の意識を消滅させる。そういう贖罪の奇跡は、あなた一人に止まることなく、他者に拡張し、贖罪の輪は強い鎖で結ばれることになる。ACIMで言う『同胞』とは、そういう意味である。



However, this selectivity takes no account of the magnitude of the miracle itself, because the concept of size exists on a plane that is itself unreal.
  • however [hauévər: 「 けれども、しかしながら」
  • selectivity [səlèktívəti] : 「選択性、選択度」
  • take no account of : 「 〜を無視する、〜など眼中にない、〜を度外視する」
  • magnitude [mǽgnətjùːd] : 「規模、等級、大きさ、重要さ、重要性 」
  • concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念、コンセプト、考え方」
  • size [sáiz] : 「大きさ、サイズ、寸法、規模」
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている」
  • plane [pléin] : 「平面、面、次元、程度、レベル」
  • unreal : 「実在しない、非現実的な、幻想的な、空想的な」
❖ "However, this selectivity ~ "「しかし、この奇跡のもつ選択性は、奇跡自体の規模と無関係である」。奇跡の規模が大きいから遠くの他者まで奇跡が及ぶとか、規模が小さいから近くの他者にしか波及しない、などということはない。"because the concept ~ "「なぜなら、大きさという概念は、それ自体が非実在である次元に属しているものだからである」。この幻想世界には時間と空間が存在しているが、共に幻想である。実相世界には、時間も空間も存在しない。完全に純粋な想念の世界だからだ。奇跡は実相世界の真実であって、したがって、奇跡は時間と空間の法則に従うことはない。奇跡には、空間的な大小という概念はないのだ。ACIMの序文に、奇跡には序列がない、という述べられていることを思い出そう。



Since the miracle aims at restoring the awareness of reality, it would not be useful if it were bound by laws that govern the error it aims to correct.
  • since [síns] : 「〜なので、〜だから」
  • aim at : 「〜に向ける、〜に照準を定める、〜を得ようとする」
  • restore [ristɔ́ːr] : 「回復させる、修復する、復活させる」
  • awareness [əwéərnəs] : 「認識、自覚」
  • reality [riǽləti] : 「現実性、実在性、現実のこと」
  • useful [júːsfəl] : 「役立つ、便利な、有益な、価値ある」
  • bound : 「bind の過去・過去分詞形」
  • bind [báind] : 「〜を束縛する、拘束する」
  • law [lɔ́ː] : 「 法則、原理」
  • govern [gʌ́vərn] : 「支配する、統治する」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • aim to do : 「〜しようと狙っている、〜することを目標としている」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
❖ "Since the miracle aims at ~ "意訳する、「奇跡は、実相を認識出来るように(知覚を)修正することを目指しているから、」奇跡は、幻想を幻想として、真実を真実として知覚出来るようにしてくれるから、"it would not be ~ "「もし奇跡が、修正しようとしている過ちを支配している法則によって縛られているなら、奇跡は役に立たないだろう」。仮定法過去である。仮定法過去とは、現在の事実に反することを仮定して述べる時に使う。事実とは異るが、もし仮に奇跡が、過ちを作り出した幻想世界の法則に縛られているなら、奇跡自体も幻想であって、過ちの幻想性を払拭して真実を露(あらわ)にすることなど出来まい。もしそうであるなら、奇跡は何の役に立つだろうか。
 
 
 
 
 
IV. The Escape from Darkness
暗闇から逃れること


1. The escape from darkness involves two stages: First, the recognition that darkness cannot hide. This step usually entails fear.
  • escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、逃避」
  • darkness [dɑ́ː(r)knəs] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
  • involve [invɑ́lv] : 「 〜を含む、伴う、必要とする」
  • stage [stéidʒ] : 「段落、段階、局面、場面」
  • recognition [rèkəgní∫n] : 「認識、認定、承認」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
  • step [stép] : 「段、階段、一歩、歩み、ステップ」
  • usually [júːʒu(ə)li] : 「いつもは、普通、通例」
  • entail [entéil] : 「〜を伴う、必要とする、引き起こす」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ "The escape from ~ "「闇から逃れるためには、二段階(の認識)が必要である」。"First, the recognition ~ "「第一は、闇は何も隠せないと認識することである」。ACIMで使う"darkness"「闇」は、幻想を意味する。仏教で言うところの「無明」である。したがって、本文は、幻想から目覚めるためにには、二段階の認識が必要であって、その一段目は、幻想は真実を隠し通すことは不可能だという認識である、という意味になる。"This step usually ~ "「この段階は、普通、恐れを伴う」。偽りを隠せないから、恐れるのだ。真実が露(あらわ)になることを恐れるのである。



Second, the recognition that there is nothing you want to hide even if you could.
  • even if : 「たとえ〜でも」
❖ "Second, the recognition ~ "「第二に、たとえ出来たとしても、あなたが隠したいと願うものなど何もない、という認識である」。本当に真実を知りたいと思うなら、幻想や虚偽のすべてを払拭しなくてはならない。あなたの心に何か隠して起きたいと思うようなものをもっていてはいけないという意味以上に、隠しておきたいという願いこそが幻想だと認識しなくてはいけない。



This step brings escape from fear. When you have become willing to hide nothing, you will not only be willing to enter into communion but will also understand peace and joy.
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす 」
  • become [bikʌ́m] : 「 〜になる」
  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する、〜する用意がある」
  • not only A but also B : 「A だけでなく B も」
  • enter [éntər] : 「〜に入る、〜に参加する」
  • communion [kəmjúːnjən] : 「霊的な交わり、親交、共有、交流」
  • also [ɔ́ːlsou] : 「〜もまた、同様に、また」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
  • peace [píːs] : 「平和、和平、安らぎ、平安、静けさ、静謐」
  • joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜」
❖ "This step brings ~ "「このステップが、恐れからの脱出をもたらしてくれる」。心に隠すべきものなど何もないと認識することで、恐れから逃れることが出来る。"When you have ~ "「あなたが、何も隠したくなくなるとき、あなたは単に、霊的な交わりに入って行きたいと思うだけでなく、平和と喜びを理解するようになるだろう」。自分には幻想など不必要だと思えるようになったとき、キリストやホーリー・スピリットとの霊的な交わりを持ちたいと思うだけでなく、実相的に真実である平和や喜びの意味がわかるようになる。幻想世界は二元論世界であり、幻想世界の平和や喜びは、対極概念として争いや悲しみという概念を常にもつ。しかし、実相世界は一元論世界であり、対極概念をもたない、平和や喜びは争いや悲しみという対極概念を持たず、完全に純粋である。そういう純粋で神聖な真実の平和や喜びが理解出来るようになるのだ。その理解に導いてくれるのが、霊的な交わりを結ぶことになるホーリー・スピリットである。
 
 
 

T-1.III.7:1 ~T-1.III.8:5

7. Miracles arise from a mind that is ready for them. By being united this mind goes out to everyone, even without the awareness of the miracle worker himself.
  • arise [əráiz] from : 「〜から生じる、〜に起因する」
  • be ready [rédi] for : 「いつでも〜する状態になって、準備が整って」
  • unite [junáit] : 「〜を結合させる、一体化させる」
  • go out : 「伝えられる、伝達される」
  • even [íːvn] : 「たとえ〜でも」
  • without [wiðáut] : 「〜がなくて、〜を持たないで」
  • awareness [əwéərnəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性 」
❖ "Miracles arise from ~ "「奇跡は、奇跡に対して準備が出来た心に立ち上がる」。真実を具現化する奇跡を求める心に、奇跡は起きる。奇跡は、棚からぼたもちが落ちるように、転がり込んで来るものではない。"By being united ~ "「心は結合しているので、奇跡の準備が出来た心はみんなに波及する」。"even without ~ "「たとえ、奇跡を起こした本人が自覚出来なくとも」。あなたと他者は自他一如である。心は繋がっているのだ。奇跡を求めるあなたの心は他者の心でもある。あなたが気付かなくても、奇跡を求める心はみんなに伝達され、つまり、奇跡を求める心は分かち合われ、拡張増大していく。分かち合われた真実が拡張増大してくのは、実相世界の法則である。



The impersonal nature of miracles is because the Atonement itself is one, uniting all creations with their Creator. 
  • impersonal [impə́ːrsənl] : 「個人に関係ない、人間味のない、人格を持たない」
  • nature [néitʃər] : 「本質、特質、本性、気質、気性、性分」
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
  • creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
  • creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
❖ "The impersonal nature ~ "「奇跡が人格をもたないとは、贖罪自体も人格をもたず、すべての創造物は創造主と結合しているからなのだ」。神、神の子、ホーリー・スピリット、キリスト、等々は人格をもっているが、奇跡やその一つである贖罪は人格をもたない。奇跡や贖罪は、真実を表す方法であって、いわば、表現手段なのだ。たとえば、画家と画家が描いた絵を考えよう。画家は人格をもっているが、絵は人格をもたない。ならば、絵は画家から離れた単なる物体に過ぎないのか? そうではない。画家は、絵という表現手段を使って自己の心を表したのだから、画家と絵は完全に結びついてるのだ。創造する者と創造されたものとは結合しているのである。ちょうど、神の子を創造した創造主の神が神の子と一体であることと同一である。しかたがって、人格をもつあなたが奇跡や贖罪を創造したとき、表現された奇跡や贖罪はあなたと一体である。奇跡は人格をもたないが、表現手段として、あなたと一体なのだ。



As an expression of what you truly are, the miracle places the mind in a state of grace.
  • expression [ikspréʃən] : 「 表現、表現すること、表示」
  • truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に、正確に」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する」
  • in a state of : 「〜の状態に」
  • grace [gréis] : 「優雅、優美、恩寵、神の愛」
❖ "As an expression ~ "「あなた自身の本当の姿の表現として、奇跡は心を神の恩寵の状態に置く」。奇跡が真実を表し、あなたの本当の姿が明らかにされると、あなたは自分が神の創造した神聖な神の子であると気付く。あなたは神の愛する、つまり、神の恩寵を受けた神の子なのだ。奇跡は、あなたの心を神の恩寵の下へ連れ戻してくれるのである。



The mind then naturally welcomes the host within and the stranger without. When you bring in the stranger, he becomes your brother.
  • naturally [nǽtʃərəli] : 「当然ながら、もちろん、必然的に、自然に」
  • welcome [wélkəm] : 「歓迎する、喜んで受け入れる」
  • host [hóust] : 「主人、ホスト」
  • within : 「 〜の中に、〜のうちに」
  • stranger [stréindʒər] : 「見知らぬ人、よそから来た人、よそ者、他人」
  • without [wiðáut] : 「外に、外側に」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
❖ "The mind then naturally ~ "「そこで、心は自然に、内なるホストと外なる他者を歓迎する」。"When you bring ~ "「あなたが他者を迎い入れるとき、他者はあなたの同胞となる」。自分が神に愛される神の子であると知ったあなたは、心の中に住むホーリー・スピリットの存在を喜びをもって迎い入れ、それまで攻撃の対象であった他者をも快く迎い入れる。その時初めて、他者もまた神の愛する神の子であると知り、他者はあなたの同胞なのだと気付くのである。あなたと他者は神の子として自他一如なのだ。
"host"「ホスト」を、ホーリー・スピリットと解釈したが、あなたの心には、神が送り込んでくれたホーリー・スピリットと、あなたが偶像としてでっち上げたエゴとが住んでおり、あなたはホーリー・スピリットをホストとして選択しなくてはならない。なぜなら、ホーリー・スピリットは実在であり、エゴは幻想に過ぎないからだ。ホーリー・スピリットは真実で、エゴは虚偽である。



8. That the miracle may have effects on your brothers that you may not recognize is not your concern. 
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、効果、効き目、効力」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認める、認識する」
  • concern [kənsə́ːrn] : 「関心事、懸案、心配、不安」
❖ この文章は、"It is not your concern that the miracle may have effects on your brothers that you may not recognize."と書き換えると理解しやすい。つまり、「奇跡があなたの同胞に、あなたが認識出来ない影響を与えるかも知れないが、それはあなたが関心を寄せる問題とはならない」。奇跡がいつ誰に何をもたらすのか、あなたが関与することではない。あなたの心のホストであるホーリー・スピリットに任せておけばいいのだ。あなたは、真実を表す奇跡に専念すればよい。



The miracle will always bless you. Miracles you are not asked to perform have not lost their value.
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、以前からずっと、常にいつでも」
  • bless [blés] : 「〜を祝福する、〜を神聖にする、清める、〜を賛美する」
  • ask [ǽsk] : 「求める、要求をする」
  • perform [pərfɔ́ːrm] : 「〜を行う、実行する、遂行する」
  • lost [lɔ́st] : 「loseの過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価」
❖ "The miracle will ~ "「奇跡は常に、あなたを祝福してくれる」。奇跡がどんな結果をもたらすかわからなくても、それは常にいい結果をもたらしてくれる。奇跡はあなたを祝福してくれるのだ。"Miracles you are not ~ "「あなたが成すように求めていない奇跡でも、その価値は失われてはいない」。結果を知らないままに、つまり、結果を求めないままに、あなたが成した奇跡であっても、奇跡は常にあなたを祝福してくれるのだから、必ずいい結果を出してくれるのであって、したがって、奇跡の価値は失われることはない。



They are still expressions of your own state of grace, but the action aspect of the miracle should be controlled by me because of my complete awareness of the whole plan.
  • still [stíl] : 「いまだに、今もなお」
  • expression [ikspréʃən] : 「 表現、表現すること、表示」
  • state [stéit] : 「状態、状況」
  • grace [gréis] : 「恩寵、神の愛」
  • action [ǽkʃən] : 「活動、行動、活力、動き、動作」
  • aspect [ǽspekt] : 「局面、状況、側面」
  • control [kəntróul] : 「操作する、制御する、支配する、統制する」
  • complete [kəmplíːt] : 「全部そろった、完全な」
  • awareness [əwéərnəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性 」
  • whole [hóul] : 「すべてを含んだ、欠けたものがない」
  • plan [plǽn] : 「計画、企画、予定、意向、つもり、考え」
❖ あなたのあずかり知らない結果をもたらす奇跡でも、"They are still expressions ~ "「奇跡は、なおも、あなたが神の恩寵の下にあることを表している」。奇跡は、あなたが神の愛する神の子であるという事実を表現する。つまり、奇跡は常に、神の子にとっていい結果を結実するのだ。"but the action aspect ~ "「しかし、奇跡の行動面に関しては、私(イエス)は計画全体を完全に把握しているから、私によってコントロールされるべきである」。奇跡をいつどこでどのように起こすか、そういうことに関しては、ホーリー・スピリットと同一であるイエスに任せておけばいい。
"plan"「計画」とは、神の子が幻想から実相に目覚めて、神の住む実相世界に回帰するという計画。その段取りは、イエスの意識の中にすべて取り込まれている。だから、あなたは計画の全体像を知る必要はない。イエスに任せておけばいいのだ。
蛇足になるが、これがACIMの説く『絶対他力性』である。幻想の中に埋没しているあなたが、自力で自分を救い出すことは不可能だ。だから、すべてをホーリー・スピリットに他力して、任せてしまうべきなのだ。



The impersonal nature of miracle-mindedness ensures your grace, but only I am in a position to know where they can be bestowed.
  • impersonal [impə́ːrsənl] : 「個人に関係ない、人間味のない、人格を持たない」
  • ensure [inʃúər] : 「〜を確かにする、確実にする、保証する」
  • position [pəzíʃən] : 「立場、位置、地位、身分」
  • bestow [bistóu] : 「〜を授ける、与える、贈る」
❖ "The impersonal nature ~ "「奇跡を願う心の非人格的性質は、あなたが神の恩寵の下にあることを確かなものにしてくれる」。非常に難解である。まず、"miracle-mindedness"であるが、「奇跡を願う心」、「奇跡に根ざした心」、「奇跡を志向する心」、等々の意味合いと考えていい。その心は"impersonal nature"「非人格的性質」をもっている、と言っている。前に述べられているように、奇跡は非人格であるから、非人格の奇跡を求める心も非人格だと解釈すると、的を射損じる。心が非人格なら、その心をもったあなた自身も非人格になってしまうではないか。ここでは、そうではなく、奇跡をいつどこで、どういう結果を望んで行うかという、あなたの個人的な価値判断や結果予想を排除して、非個性化させる、とい意味合いだろう。つまり、それをホーリー・スピリットに一任して、奇跡を求める心を非人格化させてしまう、という意味。こうして、ホーリー・スピリットに一任された奇跡の結果は、間違いなく神の愛に溢れたいい結果をもたらしてくれる、という本文の意味である。したがって、次の文が生きてくる。"but only I am ~ "「しかし、私(イエス)だけが、奇跡がどこに与えられるか知る立場にある」。あなたの奇跡を求める心は非人格化されたが、ホーリー・スピリットであるイエスは、奇跡の価値判断や結果予想を司る人格として、奇跡をいつどこで行い、どういう結果をもたらすかを知る立場にある。だから、あなたは心を無にして、ホーリー・スピリット(イエス)に絶対他力すればいいのだ。必ず、結果良好となる。
 
  
  


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