4.The emptiness engendered by fear must be replaced by forgiveness.
- emptiness [émptinəs] : 「 空虚、むなしさ、無意味」
- engender [endʒéndər] : 「〜を生じさせる、引き起こす、発生させる」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
- replace [ripléis] : 「〜を取り替える、交換する、置き換える、置換する」
- forgiveness : 「許すこと、許し、容赦」
❖ "The emptiness ~ "「恐れによって生み出された空虚感は、赦しによって置き換えられなければならない」。神の子が神から分離した後、神の子は神を裏切ってしまったという罪の意識を抱く。そして、神の子の裏切りに対して、神は罰を与えるに違いないという恐れを抱く。これが恐れの原型である。気付きはしないが、心の奥底には、この原型的な恐れが潜んでいる。その恐れゆえに、心は常に満たされない。完全で純粋な喜びや平和や静けさを感じ得ないのだ。
ところが、それは夢である。神からの分離も、罪の意識も、神への恐れも、神の子が夢に見ている幻想である。その幻想を幻想として認め、受け入れ、受け流してしまうことが赦しであって、幻想は赦されることで消滅する。あなたの心の奥底に眠る恐れによって生み出された空虚感は、赦しによって置き換えられなければならないのだ。
That is what the Bible means by "There is no death," and why I could demonstrate that death does not exist.
- Bible [báibl] : 「 聖書」
- mean [míːn] : 「〜を意味する、重要性を持つ、大事である」
- death [déθ] : 「死、消滅、死亡」
- demonstrate [démənstrèit] : 「実際にやってみせる、実演する」
- exist [igzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
❖ "That is what the Bible ~ "「それが、聖書で言うところの『死はない』という意味である」。"and why I could ~ "「そして、私(イエス)が、死は存在しないと実際に示すとこが出来た理由である」。神の罰によって、人は死ぬ運命にあると恐れを抱く。しかし、赦しによって恐れという幻想が消滅すれば、死さえも幻想であると気付いて、幻想の死もまた消滅する。死は存在しないのだ。そして、死の存在しない事実は、イエス・キリストによって2000年前に実証された。イエスが使者を蘇らせたり、イエス自らが死から復活したことを指している。
なお、"There is no death"という引用は旧約聖書、箴言(Proverbs)12章28節による。参考までに、ここに載せておく。
[Proverbs 12:28 : King James Version]
In the way of righteousness is life; and in the pathway thereof there is no death.
命は慈善の道にある。この道を踏む人に死はない。(新共同訳)
I came to fulfill the law by reinterpreting it. The law itself, if properly understood, offers only protection.
- fulfill [fulfíl] : 「(約束を)実行する、(使命を)果たす」
- law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
- reinterpret : 「〜を再解釈する」
- properly [prɑ́pərli] : 「適切に、適当に、正確に、正しく」
- understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understandの過去・過去分詞形」
- understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
- offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、〜を提供する、〜を勧める」
- protection [prətékʃən] : 「保護、擁護、防御」
❖ "I came to fulfill ~ "「私は、死を再解釈することによって、法を果たすためにやって来た」。死は存在しないと、死に対する解釈を変えるために、イエスは2000年前にこの地上に生まれ、そして、神の法を成就した。"The law itself ~ "「法自体は、もし適切に理解されるなら、守ることだけを提供してくれる」。法は、人を罰するものではなく、人を守るものである。死は存在しないとして、人を死から守るものなのだ。
It is those who have not yet changed their minds who brought the "hell-fire" concept into it.
- those who : 「〜する人々」
- change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
- brought [brɔ́ːt] : 「bringの過去・過去分詞形」
- bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
- hellfire [hélfaiər] : 「地獄の火、業火、ひどい苦しみ」
- concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念、コンセプト」
❖ "It is those who have ~ "強調構文、「法の中に『地獄の劫火』などという概念を持ち込んだ者は、まだ心を変えていない者達である」。法に『死はない』と書いてあるにもかかわらず、『死んでもなお、地獄の業火で焼かれるに違いない』と解釈されているものを、イエスは再解釈して『そんなことはない』と宣言し、自ら復活してみせたのだ。2000年前、心を真実に向けて変えることの出来た者は、おそらくイエスただ一人であっただろう。
ACIMで"hell"「地獄」という言葉を使うときは、それはこの幻想世界を意味する。鬼なり悪魔なりが登場する、いわゆる一般的な地獄の概念は登場しない。なぜなら、それは幻想だからだ。実在しない。
I assure you that I will witness for anyone who lets me, and to whatever extent he permits it.
- assure [əʃúər] : 「 保証する、断言する、請け合う、約束する」
- witness [wítnəs] : 「証言する、証明する」
- extent [ikstént] : 「範囲、規模、広がり、程度、度合い」
- permit [pərmít] : 「許可する、許す、認める、容認する」
❖ "I assure you that ~ "「わたしにそうさせてくれるなら、〜の範囲で、私は誰にでも証言すると保証しよう」。"and to whatever ~ "「その人が証言を許す範囲で、」私は誰にでも証言すると保証しよう。あなたは、自分に罪があるから死んだらきっと地獄の業火に焼かれると思っているだろうが、そんなことはない。必要なら私が、あなたが無辜(むこ)であり、死は存在しないと証明しましょう、ということ。"to whatever extent ~ "「その人が証言を許す範囲で」とは、その人が心から望むならば、という意味合いであろう。その人が本気で望むなら、イエスも本気で証言してくれるのだ。
Your witnessing demonstrates your belief, and thus strengthens it.
- demonstrate [démənstrèit] : 「実証する、立証する、実演する」
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
- strengthen [stréŋkθən] : 「〜を強くする、強化する、増強する」
❖ "Your witnessing ~ "「あなたの証言は、あなたの信念を実証し、こうして、信念を強化する」。証言したり証言されたりすることで、人の信じる気持ちが実証され、強化される。つまり、イエスが、あなたが無辜(むこ)であり、死は存在しないと証明したなら、あなたは、きっとイエスを信じて、その信じる心を強くするだろう、ということ。
Those who witness for me are expressing, through their miracles, that they have abandoned the belief in deprivation in favor of the abundance they have learned belongs to them.
- express [iksprés] : 「表す、示す、述べる、伝達する、表現する」
- through [θrúː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
- abandon [əbǽndən] : 「捨てる、見捨てる、捨て去る」
- belief in : 「〜への信念、〜への信仰」
- deprivation [dèprəvéiʃən] : 「貧困、欠乏、 剥奪、奪うこと、喪失」
- in favor of : 「〜に賛成して、〜を支持して、〜の利益になるように 」
- abundance [əbʌ́ndəns] : 「 多量、豊富、多数、潤沢、裕福」
- learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜であると分かる、〜を覚える、知る」
- belong [bilɔ́ːŋ] : 「属する、所属する」
- belong to : 「〜に属する、〜の所有である」
❖ "Those who witness ~ "「私のために証言する人達は、奇跡を通じて、that以下を表現している」。"that they have ~ "「彼らは、彼らのものだと学んだ豊かさを支持して、欠乏という信念を放棄したのだと」表現している。"Those who witness for me"「私のために証言する人達」とは、イエスが、神の子は神の属性をすべて継承しているからすべての真実をもっており、罪や死は幻想なので存在しないと証言したことを、それは正しいと証言した人達、ということ。したがって、"the abundance they have learned belongs to them"「彼らのものだと学んだ豊かさ」とは、イエスの証言から学んだ、神から継承した豊かな真実のすべて、ということ。それを受け入れることで、欠乏や喪失といったことが存在するという信念を放棄するのである。もちろん、真実を具現化する奇跡を通じて、それが可能となる。
文法的に、一言。"the abundance they have learned belongs to them"はもともと、"the abundance that belongs to them"「彼らに属している豊かさ」という文に、「彼らはそれを学んだ」という文"they have learned"を挿入し、関係代名詞の目的格"that"を省略したものである。この形はACIMに頻出するので、覚えておくといい。
V. Wholeness and Spirit
完全性とスピリット
1. The miracle is much like the body in that both are learning aids for facilitating a state in which they become unnecessary.
- like [láik] : 「〜に似た、〜のような、〜のように」
- in that : 「〜の点において、〜であるから」
- both [bóuθ] : 「両方、双方、両者」
- learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
- aid [éid] : 「援助、救済、補助、助手」
- facilitate [fəsílətèit] : 「 容易にする、手助けする」
- state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
- become [bikʌ́m] : 「〜になる」
- unnecessary [ʌnnésəsèri] : 「不必要な、無用な、不要な」
❖ "The miracle is much ~ "「奇跡は、〜という点において、肉体によく似ている」。似ているだけで同じではない。奇跡は実相であり、肉体は幻想であるから。"in that both are ~ "「どちらも、不必要になるという状態を容易に作り出すための学びの補助をするという点において、」奇跡は肉体によく似ている。奇跡は、この幻想世界において真実を具現化し、神の子を実相世界に目覚めさせる役割をもっている。ひとたび神の子が実相に目覚めれば、奇跡はもう不必要になってしまうのだ。実相世界に奇跡は存在しない、不必要だからだ。一方、肉体は幻想であって、その意味では意味もなく無に過ぎないが、その裏に神の意思が隠されている。肉体は、肉体という幻想を赦して消滅させるという役割をもっているのだ。肉体を幻想として受け入れ、受け流して赦すとき、幻想の肉体は消滅し、心はスピリットとして再生される。神はそれを意図している。言い換えれば、この幻想世界は、赦しを実行するチャンスの世界なのだ。奇跡も肉体も、実相世界に回帰するための学びの道具であって、目的が達成されれば不必要となる。その点において、奇跡と肉体はよく似ている、ということ。
When spirit's original state of direct communication is reached, neither the body nor the miracle serves any purpose.
- spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神、気分、気迫」
- original [ərídʒənl] : 「最初の、初めての、初代の」
- direct [dirékt] : 「直接の、直々の」
- communication [kəmjùːnəkéiʃən] : 「通信、やりとり、連絡、伝達」
- reach [ríːtʃ] : 「達する、至る、手が届く、〜に連絡する」
- neither [níːðər] A nor B : 「AでもなくBでもない、AとBのどちらも〜ない」
- serve [sə́ːrv] : 「〜に役立つ、果たす、〜に仕える」
- purposes [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い、意図」
❖ "When spirit's original ~ "「スピリットが、(神との)直接のコミュニケーションを取れる原初の状態に達したとき、」"neither the body nor ~ "「肉体も奇跡も、いかなる目的にも仕えることはなくなる」。あなたが、神との直接のコミュニケーションが取れるスピリットの状態に回帰出来たなら、あなたは完全に実相に目覚めたのであり、奇跡も肉体も、その目的を達成して、その他に目的をもたなくなる。奇跡も肉体も、不必要となるのだ。
While you believe you are in a body, however, you can choose between loveless and miraculous channels of expression.
- while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
- believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
- however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
- choose [tʃúːz] : 「 〜を選ぶ、〜を選択する」
- between [bitwíːn] A and B: 「AとBとの間に、AないしB」
- loveless [lʌ́vlis] : 「愛のない、愛されない、つれない」
- miraculous [mərǽkjələs] : 「奇跡の、奇跡を起こす力のある、奇跡的な」
- channel [tʃǽnl] : 「(伝達)経路、チャネル、通信路 」
- expression [ikspréʃən] : 「 表現、表現すること、表示」
❖ "While you believe ~ "「しかしながら、あなたが自分は肉体の中にいると信じているうちは、」"you can choose ~ "「あなたは、愛なき状態を選ぶか、奇跡的な表現のためのチャンネルを選ぶか、選択可能である」。"loveless"「愛がないこと、愛のない状態」とは、真実がないこと、真実がない状態ということで、すなわち幻想、闇のことである。"miraculous channels of expression"「奇跡による表現のチャンネル」とは、奇跡が真実を現実化し、神との霊的な交信が可能となって、愛を表現出来るチャンネルが確立する、ということ。神の愛を拒絶して肉体の中に留まり幻想世界で生きるか、神の愛を受け入れて奇跡による神とのコミュニケーション、霊的交わりを選ぶか、あなたは自由に選択出来る。
You can make an empty shell, but you cannot express nothing at all.
- empty [émpti] : 「空の、空いている、空っぽの」
- shell [ʃél] : 「貝殻、殻」
- express [iksprés] : 「表す、示す、述べる、伝達する、表現する」
- at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "You can make ~ "「あなたは、空っぽの貝殻を作ることは出来るが、しかし、あなたは何も表現出来なくなってしまう」。愛なき状態を選択して幻想に留まれば、あなたの肉体は空っぽの貝殻となる。真実のかけらもない状態である。したがって、あなたは真実も愛も何も、神に対して表現出来なくなってしまうのだ。
You can wait, delay, paralyze yourself, or reduce your creativity almost to nothing. But you cannot abolish it.
- wait [wéit] : 「待つ」
- delay [diléi] : 「遅れる、〜を遅らせる」
- paralyze [paralyze] : 「〜を麻痺させる、しびれさせる 」
- reduce [ridjúːs] : 「 減らす、減じる、削減する」
- creativity [krìːeitívəti] : 「 創造性、独創力 」
- almost [ɔ́ːlmoust] : 「ほとんど、九分通り、大体」
- abolish [əbɑ́li] : 「〜を廃止する、撤廃する、廃する」
❖ "You can wait ~ "「あなたは、待つことも、遅らせることも、あなた自身を麻痺させることも出来る」。"or reduce your ~ "「あるいは、あなたの創造性を、ほとんど無の状態に減らしてしまうことも出来る」。愛なき幻想の世界に留まり、空っぽの貝殻同然の肉体の中に潜んでいる限り、あなたに出来ることは、神の愛や実相的真実の出現を、ただ待つか、遅らせるか、苛立ちを麻痺させるか、あるいは、愛や真実の表現としての創造性を忘れてしまうことぐらいである。"But you cannot ~ "「しかし、あなたは、創造性を捨てることは不可能である」。愛や真実の表現としての創造性を忘れることは出来ても、それを捨てることは出来ない。なぜなら、あなたはそれを神から継承したからだ。あなたは、自分が神の子であることを忘れることは可能だが、神の子というアイデンティティを捨てることは不可能なのだ。
You can destroy your medium of communication, but not your potential. You did not create yourself.
- destroy [distrɔ́i] : 「〜を破壊する、ぶち壊す、破損する」
- medium [míːdiəm] : 「媒体、媒介物、媒質、手段」
- potential [pəténʃəl] : 「可能性、見込み、潜在性、潜在力」
- create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
❖ "You can destroy ~ "「あなたは、コミュニケーションの手段を破壊することは出来るが、」"but not your ~ "「コミュニケーションを取ることが出来るという可能性は破壊出来ない」。ホーリー・スピリットを媒介者として、神とのコミュニケーションを取ることを拒絶することは出来ても、神とのコミュニケーション自体を破壊することは出来ない。"You did not create ~ "「あなたは、あなた自身を創造したのではないからだ」。あなたを神の子として創造したのは神であって、あなた自身ではない。したがって、神とのコミュニケーションを取るという創造性、神の属性をあなたが破壊することは出来ないのだ。神から授かった資質を無視は出来るが、破壊し、捨て去ることは出来ないのである。光は闇を払拭出来るが、光が光自体を払拭することは不可能なのだ。