2. A sense of separation from God is the only lack you really need correct.
- sense [séns] : 「感覚、感覚能力」
- separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
- lack [lǽk] : 「 不足、欠乏、欠如、欠落」
- really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
- need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
- correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
❖ "A sense of separation ~ "「神と分離しているという感覚は、あなたが実際に修正を必要としている唯一の欠落である」。神の子が神から分離した後、神の子は神を欠いた幻想世界を偽創造したのだが、神からの分離自体も、実は夢である。神の子が深い夢から目覚めれば、自分は神の元から一歩たりとも離れていなかったことに気付く。そういう神からの分離感覚の修正が必要だと述べている。
This sense of separation would never have arisen if you had not distorted your perception of truth, and had thus perceived yourself as lacking.
- arisen [ərízn] : 「arise の過去分詞形」
- arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる」
- distort [distɔ́ːrt] : 「〜を曲げる、変形させる」
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理」
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- lacking [lǽkiŋ] : 「不足している、欠けている、足りない」
❖ "This sense of ~ "「この分離感は、あなたの真実を知覚する感覚が歪められず、自分が欠落していると知覚しなかったなら、決して起こることはなかったであろう」。神の子が深い眠りに陥って神からの分離の夢を見た結果、知覚が歪められて真実を見抜くヴィジョンを失い、神を失った欠落感を抱くことになった。
なお、ここは典型的な仮定法過去完了形。"you had not distorted ~ " ここに過去完了形(had + 過去分詞)が使われており、過去の事実と反対のことを仮定している、つまり「もし仮に、過去に〜だったとしたら」という意味になる。
The idea of order of needs arose because, having made this fundamental error, you had already fragmented yourself into levels with different needs.
- order [ɔ́ːrdər] : 「順、順序、順番、順位、序列、系列」
- arose [əróuz] : 「arise の過去形」
- arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる」
- fundamental [fʌ̀ndəméntl] : 「基本となる、基本的な、根本的な」
- error [érər] : 「誤り、間違い」
- already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
- fragment [frǽgmənt] : 「砕ける、寸断する」
- level [lévl] : 「水準、レベル、段、段階」
- different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
- need [níːd] : 「必要、必要性」
❖ "The idea of order of ~ "「この基本的な過ちを犯してしまった結果、あなたはすでに、異った必要性のレベルに自らを分けてしまったので、必要性の序列という考えは起こった」。"order of needs"「必要性の序列」とは、硬い表現であるが、要するに、あれも欲しいこれも欲しいと、沢山の必要性を感じること。"this fundamental error"「この基本的な過ち」とは、神からの分離感覚。"levels with different needs"「異った必要性のレベル」とは、たとえば、愛が欲しい、平和が欲しい、金が欲しい、豊かさが欲しい、憎い相手を殺してやりたい、他者から物を奪ってやりたい、等々、ピンからキリまでのレベルの愛憎と欲望の必要性ということ。神と共にいた時は、神の子はすべてを持っていたので必要性など感じなかったが、神から分離してしまったと勘違いをした瞬間、様々なレベルの必要性を抱いて自己を分裂させたのだ。
上の解釈は、一個人の必要性が分裂したという解釈だが、神の子の心が必要性に応じて分裂したという解釈も出来よう。つまり、神と共にいた時は一つ(One)であった我々の心は、神からの分離を勘違いした瞬間バラバラに分裂し、わたし、あなた、彼、彼女、というような個別性が出来てしまい、そして、その一人一人がバラバラな必要性を主張するようになった。
As you integrate you become one, and your needs become one accordingly.
- integrate [íntəgrèit] : 「 統合される、平等になる、差別がなくなる」
- become [bikʌ́m] : 「〜になる」
- accordingly[əkɔ́ːrdiŋli] : 「それに応じて、それ相応に、それに沿って」
❖ 粉々になった神の子のアイデンティティであるが、"As you integrate ~ "「統合するにしたがい、あなたは一つになり、必要性もそれにつれて一つになる」。心が統合されるにしたがい、あなたと他者が、実は神の子として自他一如、単一存在だと気付き始める。"and your needs ~ "「そして、それに応じて、必要性も一つになる」。神からの分離を解消する必要性、ただ一つとなる。バラバラに分裂した神の子が自他一如であることに気付けば、最終的な目的、必要性は、神の元への回帰、ということになる。幻想から目覚めて実相世界へ回帰することが、神の子であるあなたの、最大にして最後の必要性なのだ。
Unified needs lead to unified action, because this produces a lack of conflict.
- unify [júːnəfài] : 「統一する、一体化する」
- lead to : 「つながる、結果として〜に導く、結局〜となる」
- action [ǽkʃən] : 「活動、行動、活力、動き、動作」
- produce [prədjúːs] : 「〜を作り出す、生産する、産む」
- lack [lǽk] : 「不足、欠乏、欠如、欠落 」
- conflict [kɑ́nflikt] : 「争い、紛争、闘争、摩擦、葛藤」
❖ "Unified needs lead ~ "「統合された必要性は統合された行動を導き出す」。神の子の心が統一されれば、一つの目的に向けて一つの行動をとることになる。幻想から実相への目覚めであり、それに引き続く神への回帰である。"because this produces ~ "「この(心の統合が)、コンフリクトの欠如を生み出すからだ」。つまり、バラバラな必要性がぶつかり合っていた状態が解消されるからである。
ここもまた、一個人の心の統合が一個人の統合された行動を生み出す、と考えてもいいし、神の子全体の心が統一されて、神の子全体の行動が一つに集約される、と解釈してもいい。ACIMは、仏教用語を使えば、『多即一、一即多』の思想であるから、神の子全体を考えることと一個人を考えることは、結局同じなのだ。
3. The idea of orders of need, which follows from the original error that one can be separated from God, requires correction at its own level before the error of perceiving levels at all can be corrected.
- follow [fɑ́lou] from : 「〜に続いて起こる、〜から得られる」
- original [ərídʒənl] : 「元の、初めの、最初の」
- separate [sépərèit] : 「離す、分ける、分離する、分解」
- require [rikwáiər] : 「〜を必要とする、求める、〜に要求する、命じる」
- correction [kərékʃən] : 「訂正、訂正個所、矯正、修正、是正」
- level [lévəl] : 「地位、階級、段階、レベル、高さ、高度、深さ」
- before [bifɔ́ːr] : 「以前に、前に、早く、先に」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- at all : 「(肯定文で)とにかく」
- correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
❖ "The idea of orders ~ "「必要性の序列という考えは、」"which follows from ~ "「人が神から分離出来るという原初の過ちから生じたのだが、」神の子が神なしで神のように存在出来ないだろうか、という『ほんの小さな狂った考え(tiny mad idea)』を抱いたことから生じたのだが、"requires correction ~ "「知覚レベルの過ちがとにもかくも修正され得る前に、必要性の各レベルにおいて(必要性が)修正されることを求めている」。あなたの知覚は、この幻想世界の諸物、諸現象を、圧倒的なリアスさで実在と捉えているが、これは知覚の誤りである。それを修正することが求められているわけだが、その前に、あなたの必要性を分類、序列化して認識し、各レベルに応じて、そんな必要性は幻想であって意味がないと修正されなくてはいけない。つまり、欲、煩悩を幻想として認識し直さなくてはいけないのだ。その後に、知覚の誤りを、各レベルにしたがって修正していくのである。知覚レベルとは、外部世界の物質を知覚する次元、内部世界の精神を知覚する次元、心の世界の愛を知覚する次元、等々のレベルと考えればいい。
キリスト教、仏教を問わず、ほとんどの宗教は、必要性の是正には個人の欲望の撲滅が必要であると説く(禁欲主義)のに対し、ACIMは欲望と戦うことを求めたりはしない。逆に、欲望と戦うことを禁止する。なぜなら、欲望は、それと戦うことで現実化してしまうからだ。ACIMは、欲望を赦すことを求める。欲望を幻想と認識し、受け入れ受け流して赦し、幻想の欲望を消滅させてしまうのだ。簡単に言えば、欲望よ、おまえは幻想に過ぎないから相手にしないよ、と宣言するのである。
You cannot behave effectively while you function on different levels.
- behave [bihéiv] : 「態度を取る、ふるまう、行動をする」
- effectively [iféktivli] : 「 効果的に、有効に、効率的に」
- while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
- function [fʌ́ŋkʃən] : 「 働く、機能する」
- different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
❖ "You cannot behave ~ "「あなたが、異ったレベルで活動しているうちは、あなたは、効果的に振る舞うことは出来ない」。"behave effectively"「効果的に振る舞う」とは、効果的に過ちを是正する、ということ。たとえば、精神的レベルの是正をしたいのに、物質的レベルの活動ばかりしていたのでは、是正効果は上がらない。
However, while you do, correction must be introduced vertically from the bottom up.
- however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
- introduce [ìntrədjúːs] : 「取り入れる、取り込む、導入する、招く、紹介する」
- vertically : 「垂直に、縦に」
- bottom [bɑ́təm] : 「底、底辺」
❖ "However, while you ~ "「しかし、あなたがそうしている間にも、是正は底辺から上方へと垂直方向に取り込まれるに違いない」。まずは低レベルの是正から始めて、徐々にレベルアップして、高レベルの是正に移っていけばいいのだ。たとえば、まず金銭欲とか物欲とかの物質的レベルの浄化、是正をし、徐々に垂直方向にレベルアップして行って、愛情問題や霊的問題などの精神レベルの浄化、是正に移行していけばいい。
This is because you think you live in space, where concepts such as "up" and "down" are meaningful.
- think [θíŋk] : 「〜を考える、〜を思う」
- live [lív] : 「住む、居住する、生きている、生存する」
- space [spéis] : 「空間、宇宙」
- concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念、コンセプト、考え方」
- meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、意味深長な、重要な」
❖ "This is because you ~ "「これは(このように表現したのは)、あなたは空間の中に生きていると思い、空間においては、『上』と『下』というような概念が意味をもっているからだ」。実相世界は無時間無空間の世界であるから、上下左右などという概念はないが、時空間の存在する幻想世界は二元論の世界であって、上下左右という対立概念が意味をもつ。だから、あえてレベルを上下に二分し、是正のレベルアップを説明した、ということ。
Ultimately, space is as meaningless as time. Both are merely beliefs.
- ultimately [ʌ́ltəmətli] : 「結局、最後に、ついに」
- meaningless [míːniŋlis] : 「 意味のない、無益な、価値のない」
- both [bóuθ] : 「両方、双方、両者」
- merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
❖ "Ultimately, space is ~ "「究極的には、空間は時間同様、意味がない」。"Both are ~ "「空間も時間も共に、ただ、それがあると信じられているに過ぎない」。共に幻想である。時間も空間も、分離世界の象徴である。どちらもただの思い込みに過ぎない。ACIMでは空間も時間も幻想である。神の子の分裂した心が、分離を象徴する偽りの世界を心の外部に投影した結果が空間と時間である。したがって心が再び一つになり、世界を外部に投影することを止めれば、時間も空間も消滅する。さらに、序列もレベルも次元も、同時に消滅することになる。これらは単なる学びのための補助装置に過ぎない。学びが完了すれば、不必要となり消える。