●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-Intro.1:1 ~ T-Intro.2:4

A Course in Miracles



Introduction
序文


1. This is a course in miracles. It is a required course. Only the time you take it is voluntary.
  • course [kɔ́ːrs] : 「講座、クラス、課程」
  • miracle [mírəkl] : 「奇跡、驚くべきこと、奇跡的な出来事、不思議なこと」
  • required [rikwáiərd] : 「必須の、避けられない、所要の」
  • voluntary [vάləntèri] : 「自由意思の、自発的な」
❖ "This is a course ~ "「これは、奇跡のコースである」。この本は、あなたに奇跡をもたらすことを目的とした学習コースである。"It is a required ~ "「このコースは、必須のコースである」。誰もが、いつかは学ばねばならない奇跡の学習コースであり、それは必須であって、決して避けては通れない。"Only the time ~ "「あなたがいつこのコースを受講するか、そのタイミングだけは自由に選べる」。このコースを学ぶタイミングは今か、あるいは来年か、あるいは10年後か、それは、あなたの自由意思で選択出来る。あるいは、現世(げんせ)で学ぶことを選択せず、来世(らいせ)に持ち越すか、またその次の来世にするか。いつでもよい。なぜなら、輪廻転生は学びのためのサイクルであるから。
序文の冒頭で言うのも何だが、ACIMの奇跡とはマジックでも魔術でもない。ACIMの奇跡とは、幻想から実相へ目覚めること、虚偽から真実へ目覚めることを意味している。あなたの生きるこの世界は幻想世界であり、その夢から目覚めて、本当に存在する実相世界へと昇ることなのだ。仏教的な言い方をすれば、悟りを開いて覚醒し、般若(はんにゃ)を得て、輪廻の輪から抜けることである。そのための理論、実践論、学習論の3つを学ぶコースが、この『A Course in Miracles (ACIM)』である。もしあなたが、空中浮遊やら瞬間移動やらの奇跡を求めてこのACIMを覗いたのなら、その期待は完全に裏切られる。即刻ここを立ち去って、どこぞの魔術講座(A Course in Magics)を探すべきだ。



Free will does not mean that you can establish the curriculum. It means only that you can elect what you want to take at a given time.
  • free [fríː] : 「自由な、束縛を受けていない」
  • will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、制定する」
  • curriculum [kəríkjuləm] : 「カリキュラム、教育課程、履修過程」
  • elect [ilékt] : 「選ぶ、選択する」
  • given [gívn] : 「所定の、特定の、任意の、既知の」
❖ "Free will does not ~ "「自由意思とは、あなたがカリキュラムを(勝手に)確立することが出来るという意味ではない」。あなたは自由意思をもって選択は出来るが、コースの内容を勝手に変えることは出来ない。"It means only that ~ "「それは、任意の時に、あなたが学ぼうと欲することを選択出来るだけだ、ということを意味する」。真実を学ぶタイミングだけをあなたは自由意思をもって選択出来る。しかし、真実の内容を変えることは出来ない。なぜなら、真実は永遠不変だからだ。
実は、そのタイミングは既に決まっている。あなたが虚偽を捨て真実の生き方を学ぶタイミングは運命、宿命として既に決定している。もしあなたが、この世界はどこか嘘であるように感じ、真実を求める意思をもってこのACIMに出会ったのなら、それは偶然などではない。運命である。それを素直に受け入れて損はない。コースの学びを来世に持ち越す愚行をすべきではないのだ。勇気と喜びをもって、このACIMを学び続けること。



The course does not aim at teaching the meaning of love, for that is beyond what can be taught.
  • aim [éim] at ~ : 「〜に焦点を当てる、〜を目指す」
  • teaching [tíːtʃiŋ] : 「教えること」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • for [fɔ́ːr] : 「〜だから」
  • beyond [bijάnd] : 「〜を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
  • taught [tɔ́ːt] : 「teachの過去・過去分詞形」
  • teach [tíːtʃ] : 「〜を教える、指導する、学ばせる、悟らせる」
❖ "The course does not ~ "「このコースは、愛の意味を教えることを目指してはいない」。"for that is beyond ~ "「なぜなら、愛の意味は、教えられえることを越えているからだ」。ここの"love"「愛」は、真実と同義だと思っていい。愛や真実は、教えてわかるものではない。幻想に埋没している状態で、真実をいくら講釈されても真実を知ることは出来ないのだ。まず第一に、その幻想から目覚めなくてはならない。真実に目覚めれば、真実が自然に見えてきて、愛も自(おの)ずから理解出来るようになる。それが叡智(えいち)であり、ヴィジョンである。言い換えれば、真実そのものを生きること、愛そのものを生きることでしか、真実も愛も知りえないのだ。生きることと知ることが同義となる。それは理性的な理解をはるかに越えている。



It does aim, however, at removing the blocks to the awareness of love's presence, which is your natural inheritance.
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • remove [rimúːv] : 「〜を取り除く、取り去る」
  • block [blɔ́k] : 「障害物、妨害物」
  • awareness [əwέərnis] : 「認識、自覚」
  • presence [prézns] : 「存在すること、存在」
  • natural [nǽtʃərəl] : 「自然の、普通の、ありのままの、生まれながらの」
  • inheritance [inhérətəns] : 「受け継いだもの、継承」
❖ "It does aim, however ~ "「しかしながら、このコースは、愛の存在を認識する障害を取り除くことを目指している」。"which is your natural ~ "「愛の存在を認識することは、あなたが生まれながら受け継いだものなのだ」。"blocks to the awareness of love's presence"「愛の存在を認識することに対する障害」とは、真実を覆い隠していているもののことだから、それは幻想である。幻想の黒雲が、愛も真実も覆い隠しているのだ。その幻想の黒雲を払拭することをコースは目的にしている。幻想という障害物が取り除かれれば、真実も愛も自ずから見えてくる。真実を見る能力は、あなたが神から継承(inheritance)した属性(attribute)であって、神からの贈り物である。神は神の子を創造し、神の属性のすべてを神の子に継承したのである。



The opposite of love is fear, but what is all-encompassing can have no opposite.
  • opposite [άpəzit] : 「正反対のもの、逆の物、反対の物」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • encompass [enkʌ́mpəs] : 「〜を包み込む、包囲する」
  • encompassing : 「網羅的な、総覧の、包括的な」
❖ "The opposite of love ~ "「愛の正反対に立つものは恐れである」。愛の対極概念は憎悪であるが、その憎悪の一皮を剥けば、そこに恐れが顔を出す。憎悪や怒りは恐れと表裏一体である。"but what is all-encompassing ~ "「すべてを包含しているものは、正反対のものを持ち得ない」。"all-encompassing"「すべてを包含するもの」とは、ACIMの最重要キーワードで、真実のすべてを包含するもの、つまり、実相世界である。さらに、神は実相世界全体を包含しているので、"all-encompassing"は『神』そのものである。実相世界は一元論(Non-Dualism or Monolism)の世界なので、対立概念(opposite)をもたない世界である。愛は、その対立概念の憎悪をもたず、純粋で神聖な愛である。真実のすべては、虚偽という対立概念をもたない純粋で神聖な真実である。一方、この幻想世界は二元論(Dualism)の世界であり、すべての概念は分裂して対立概念をもつ。この世の愛は対極に憎悪をもち、善と悪、光と闇、楽と苦、肉体と精神、陰と陽、プラスとマイナス、等々、二つの力のベクトルがダイナミックにせめぎ合って変化流動を生み出している。そして、変化流動は渾沌を生み出し、エントロピーの増大則を持ち出すまでもなく、崩壊と死へ向かう。そこに苦と恐れが生じるのだ。



2. This course can therefore be summed up very simply in this way:

        Nothing real can be threatened.
        Nothing unreal exists.

Herein lies the peace of God.
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って」
  • sum up : 「要約する、まとめる、総括する、概括する」
  • simply [símpli] : 「簡単に、分かりやすく、造作なく」
  • in this way : 「このように、こんな風に」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • threaten [θrétn] : 「〜を脅す、脅迫する」
  • unreal [ʌnríəl] : 「実在しない、非現実的な、実存しない、虚偽の」
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている」
  • herein [hìərín] : 「ここに、この中に、この点で」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平安、静けさ、静謐」
❖ "This course can therefore ~ "「したがって、このコースは、とても簡潔に要約することが出来る」。"Nothing real can ~ "「実相的であるものは何も脅(おびや)かされることはない」。"Nothing unreal ~ "「実相でないものは何も存在しない」。"Herein lies ~ "「ここに神の平和がある」。我々がリアルだと思っているこの世界は"real"「実相的」ではない。つまり、幻想である。恐れは幻想であるから、この世界でこそ恐れは知覚されるが、実相であるものが恐れを感じることはない。真実に目覚めれば、恐れは消滅するのだ。幻想は消えてなくなる。したがって、"unreal"「実相的でない」ものは、存在さえしない。幻想の苦も痛みも恐れもない状態、それが、神の平和、実相世界の静寂である。したがって、このコースは、恐れの幻想世界から目覚めて、恐れのない実相世界の静寂に回帰する学び、それに尽きるのである。それが、この『奇跡のコース』なのだ。したがって、奇跡とは、実相(真実)へと再生するヒーリングなのである。
 
 
 


 

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