5. Revelations are indirectly inspired by me because I am close to the Holy Spirit, and alert to the revelation-readiness of my brothers.
- revelation [rèvəléiʃən] :「啓示、黙示」
- indirectly [ìndəréktli] : 「間接的に、遠回しに、それとなく」
- inspire [inspáiər] : 「呼び起こす、引き起こす、〜の原因となる」
- close [klóus] to : 「〜に近い、〜の近くに、〜に近接して、〜の身近に」
- alert [ələ́ːrt] : 「油断のない、用心深い、注意を怠らない」
- readiness [rédinəs] : 「用意ができていること、準備ができていること」
❖ "Revelations are indirectly ~ "「啓示は私によって間接的に引き起こされる」。啓示は、本来神と個の間の直接的コミュニケーションであるが、イエスは両者の間の媒介者となって、そのコミュニケーションを取りなしてくれる。"I am close to ~ "「なぜなら、私はホーリー・スピリットの近くにおり、」"and alert to ~ "「私の同胞が啓示の準備が出来ているかどうか、注意しているからだ」。イエスは、ホーリー・スピリットその者だとは言っていないが、純粋なスピリットして、ホーリー・スピリットに極く近くに存在する。
I can thus bring down to them more than they can draw down to themselves.
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
- bring down : 「もたらす、残す」
- draw down : 「招く、もたらす」
❖ "I can thus bring ~ "「彼らが自分で引き出せる以上のものを私は彼らにもたらすことが出来る」。啓示もその一つ。ヴィジョンもその一つ。もちろん、奇跡もその一つである。イエスはホーリー・スピリットとして、あなたが真実に目覚める手助けを、色々な形でしてくれるのである。
The Holy Spirit mediates higher to lower communication, keeping the direct channel from God to you open for revelation.
- mediate [míːdièit] : 「仲立ちする、とりなす」
- high [hái] : 「高度の、進んだ、高い、高位の」
- low [lóu] : 「低い、高くない」
- communication [kəmjùːnəkéiʃən] : 「通信、やりとり、連絡、伝達」
- keep [kíːp] : 「保つ、〜の状態にしておく」
- direct [dirékt] : 「直接の、直々の」
- channel [tʃǽnl] : 「通信路 、経路、道筋」
❖ "The Holy Spirit mediates ~ "「ホーリー・スピリットは、高位の者から低位の者へのコミュニケーションを仲介する」。"keeping the direct ~ "「そして、神からあなたへの直接のチャンネルを、啓示のために常に開いた状態にしておいてくれる」。あなたの心の大半はエゴに支配されているのだが、心の中の最も神聖で純粋な部分は失われずに残っており、そこにホーリー・スピリットは住んでいる。そこには神の祭壇があって、この祭壇が神へのチャンネルになっている。啓示は、このチャンネルを通してあなたに与えられるわけだが、その祭壇をホーリー・スピリットは守っているのだ。
文法的に一言。keep + A + (形容詞) の形は頻繁に登場する。Aを(形容詞)の状態に保つ、維持する、という意味である。たとえば、"Keep your mind open."は「心を開いておけ」となる。
Revelation is not reciprocal. It proceeds from God to you, but not from you to God.
- reciprocal [risíprəkl] : 「お互いの、相互の、相互交換の」
- proceed [prəsíːd] : 「発する、進む、進行する、先へ出る、及ぶ」
❖ "Revelation is not ~ "「啓示は、双方向のコミュニケーションではない」。"It proceeds from ~ "「啓示は、神からあなたへコミュニケーションであって、あなたから神へのコミュニケーションではない」。啓示は、神からあなたへ、一方的に開示される。神は純粋な実相的存在として、幻想世界と一切の関わりを持たない。したがって、幻想世界に住む我々は、こちらから神に直に接することもコミュニケーションをとることも許されない。しかし、神は我々神の子を切り捨てたわけではなく、ホーリー・スピリットを我々に遣わして、間接的な接触を保っているのだ。神のメッセージはチャンネルを通してホーリー・スピリットに伝えられ、ホーリー・スピリットがその神のメッセージをあなたに伝える。高位から低位へメッセージは伝達されるのだ。
6. The miracle minimizes the need for time. In the longitudinal or horizontal plane the recognition of the equality of the members of the Sonship appears to involve almost endless time.
- minimize [mínəmàiz] : 「最小限にする」
- need [níːd] : 「必要、必要性」
- longitudinal [lὰndʒətjúːdənl] : 「経度の、縦の、長さの、長期的な」
- horizontal [hɔ̀ːrəzɑ́ntl] : 「水平の、地平線の、横の」
- plane [pléin] : 「平面、面、水準、次元、レベル」
- recognition [rèkəɡníʃən] : 「認識、認証、真価を認めること」
- equality [ikwɑ́ləti] : 「平等、等しいこと」
- member [mémbər] : 「一員、会員、構成員、顔触れ」
- sonship : 「息子であること」
- appear [əpíərəns] : 「〜のように見える、〜と思われる」
- involve [invɑ́lv] : 「〜を含む、伴う、を巻き込む、関与させる」
- almost [ɔ́ːlmoust] : 「ほとんど、九分通り、大体」
- endless [éndlis] : 「終わりのない、永遠の」
❖ "The miracle minimizes ~ "「奇跡は、時間の必要性を最小限にしてくれる」。時間は幻想であり、奇跡は幻想の時間を短縮、あるいは消滅させてくれる。"In the longitudinal ~ "「縦方向と横方向のあるこの大地において、」つまり、この地上において、"the recognition of ~ "「神の子という構成員の平等性を認識することは、ほとんど無限の時間を必要とするかに見える」。空間的広がりのあるこの幻想世界にあっては、神の子同士が自他一如であり、完全に平等だという真実を知るには、無限の時間が必要であろう。地上に散らばった多くの神の子を一つにまとめることは事実上不可能である。
However, the miracle entails a sudden shift from horizontal to vertical perception.
- however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
- entail [entéil] : 「〜を伴う、必要とする、引き起こす」
- sudden [sʌ́dn] : 「突然の、いきなりの」
- shift [ʃíft] : 「移動、変化、変動、転換」
- vertical [və́ːrtikl] : 「縦の、垂直の、垂直な」
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
❖ "However, the miracle ~ "「しかし、奇跡は、水平方向の知覚から垂直方向の知覚へと突然の移行を引き起こす」。ここは非常に誤解を生み出しやすい箇所である。筆者も最初は、垂直方向を時間軸だと思って、誤って解釈してしまった。ACIM原典であるURTEXTやHLC版では前置き部分があって、この文章はこんな場所に唐突に登場してはいない。FIP版を編集するにあたって、前置き部分の文章を削ってしまたのだ。問題は"longitudinal", "horizontal", "vertical"という言葉の使い分けにある。前者2つは緯度と経度を意味し、いわゆるこの空間(時間も含めて)のことである。空間的、時間的な広がりを意味している。対して、"vertical"(垂直方向)は、URTEXTによれば、神とホーリー・スピリットと人間の関係性の方向を意味している。奇跡によって時空感覚が消滅し、知覚は突然、神とホーリー・スピリットと人間という創造を軸とした関係性に対する知覚にシフトする。もはや、空間的、時間的な広がりは存在しなくなるのだ。
This introduces an interval from which the giver and receiver both emerge farther along in time than they would otherwise have been.
- introduce [ìntrədjúːs] : 「取り入れる、取り込む、導入する、招く、紹介する」
- interval [íntərvl] : 「 間隔、隔たり、距離、合間」
- giver [ɡívər] : 「与える人、贈与者」
- receiver [risíːvər] : 「受取人、受信者」
- both [bóuθ] : 「両方ともに、双方ともに」
- emerge [imə́ːrdʒ] : 「表面に出てくる、現れる、出現する」
- farther [fάːrðər] : 「もっと遠くへ、もっと先に」
- along [əlɔ̀ːŋ] : 「一緒に」
- otherwise [ʌ́ðərwàiz] : 「さもなければ、そうしないと」
❖ "This introduces ~ "意訳する、「この突然の知覚のシフトは、時間の休止をもたらす」。ここも誤解の生じやすい箇所で、最初、筆者も誤って解釈してしまった。ここの"interval(時間の隔たり)"とは、いわば『休止期間』を意味し、時間的な隔たりを飛び越えてしまう、という意味合いである。つまり、ずっと遠い未来に起こる事象を、時間を飛び越えて今、ここに起こすのである。"from which the ~ "意訳する、「奇跡をなす者と奇跡を受ける者の両者が出現する遙か遠い未来の時間を、知覚がシフトしなかった場合に出現する場合に比べて、ずっと短縮してくれる」。真実に目覚めるというタイミングは、時間軸に沿って見れば遠い未来に見えるかもしれないが、真実を具現化する奇跡は、知覚をシフトさせることでその時間間隔を短縮し、今ここで真実への覚醒を起こすことが可能になるという意味。
なお、水平方向的知覚は、人間の時空間的な同等性を保証するが、垂直方向的知覚は、神とホーリー・スピリットと人間の同等性を破棄する。と同時に、人間の時空間的な同等性も破棄され、時間が消滅した今、単一の神の子として知覚されることになる。単一なのだから、同等性が消滅するのは当然なのだ。言い換えれば、実相的な完全平等性とは単一性を意味し、多数間における同等性が消滅することを意味するのである。
なお、水平方向的知覚は、人間の時空間的な同等性を保証するが、垂直方向的知覚は、神とホーリー・スピリットと人間の同等性を破棄する。と同時に、人間の時空間的な同等性も破棄され、時間が消滅した今、単一の神の子として知覚されることになる。単一なのだから、同等性が消滅するのは当然なのだ。言い換えれば、実相的な完全平等性とは単一性を意味し、多数間における同等性が消滅することを意味するのである。
The miracle thus has the unique property of abolishing time to the extent that it renders the interval of time it spans unnecessary.
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
- unique [juːníːk] : 「独特の、独自の、他とは異なる」
- property [prɑ́pərti] : 「 財産、資産、 特性、性質」
- abolish [əbάliʃ] : 「〜を廃止する、撤廃する、廃する」
- extent [ikstént] : 「範囲、規模、広がり、程度、度合い」
- to the extent that : 「〜の限りでは、〜の範囲内において、〜の程度まで」
- render [réndər] : 「〜にならしめる、〜にする」
- span [spǽn] : 「(年・月など)〜に及ぶ、わたる」
- unnecessary [ʌnnésəsèri] : 「不必要な、無用な、不要な」
❖ "The miracle thus has ~ "「このように、奇跡は、時間を破棄するという独特な性質をもっている」。"to the extent that it ~ "「それは、奇跡が及ぶ時間的な間隔を不必要なものに変えてしまう限りにおいてである」。奇跡が発動し、その結果が現実化するまでの時間的インターバルなど不必要だから、奇跡はその時間間隔を消滅させてしまうのだ。要するに、奇跡は時間を不必要なものとすることによって時間を崩壊させる。奇跡は、幻想の時間を消滅させるというユニークな特性をもっているのだ。もちろん、奇跡は、空間的な隔たりも消滅させる。
There is no relationship between the time a miracle takes and the time it covers.
- relationship [riléiʃnʃìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
- between [bitwíːn] A and B: 「AとBとの間に、AないしB」
- take [téik] : 「〜を要する、必要とする、時間がかかる」
- cover [kʌ́vər] : 「取り上げる、対象にする、含める、〜の範囲にわたる、〜に及ぶ」
❖ "There is no relationship ~ "「奇跡が必要とする時間と奇跡が及ぶ時間には関係がない」。奇跡は、過去、現在、未来、あるいは前世、現世、来世、いかなる時をもカバーする。そして、過去だから時間がかかるとか、未来だから時間がかからないとかいうことはない。奇跡は幻想の時間を消滅させてしまうのだから、時間にまつわる一切の現象に対して、その時間的関連性を断ち切ってしまうのだ。一言で言えば、奇跡は時間的な因果律を崩壊させるのである。
The miracle substitutes for learning that might have taken thousands of years.
- substitute [sʌ́bstətjùːt] : 「代わりになる、〜を代わりにする、代用する」
- learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
- might have + (過去分詞): 「 〜したかもしれない」
- take [téik] : 「〜を要する、必要とする、時間がかかる」
- thousands [θáuzənz] of : 「何千もの、多数の」
❖ その結果、"The miracle substitutes ~ "「奇跡は、何千年もかかったかもしれないような学びの代わりとなる」。幻想から実相に目覚めるための学びには何千年もかかるかもしれない。悟りに至るには、輪廻転生の輪を何度もくぐらなければならないかもしれない。しかし、奇跡はその時間を縮めてくれる。ACIMが最短最速のコースであると自負する所以(ゆえん)である。
It does so by the underlying recognition of perfect equality of giver and receiver on which the miracle rests.
- underlying [ʌ́ndərlàiiŋ] : 「基礎をなす、内在する」
- recognition [rèkəɡníʃən] : 「認識、認証、真価を認めること
- perfect [pə́ːrfikt] : 「申し分がない、完全な、完璧な」
- qeuality [ikwάləti] : 「平等、等しいこと、同等」
- giver [ɡívər] : 「与える人、贈与者」
- receiver [risíːvər] : 「受取人、受信者」
- rest [rést] : 「ある、休む、静止する、置かれている」
❖ "It does so by ~ "「奇跡が宿る、与え手と受け手の完全な平等性の認識が底流にあるので、奇跡は時間を短縮出来るのである」。奇跡の最終目的は、分離した神の子を神の元へ回帰させ、そこで分離を解消し、神の子の再統一を果たす、というものである。実相世界において、分離していた神の子は癒合し、完全な一なる存在となる。これには気の遠くなるような時間がかかるが、奇跡はそれを認識しているからこそ、時間を短縮させるのだ。あるいは、神の子は完全に平等であるという真実に則って、時間を消滅させてくれるのである。
The miracle shortens time by collapsing it, thus eliminating certain intervals within it.
- shorten [ʃɔ́ːrtn] : 「短くする、短縮する、縮める」
- collapse [kəlǽps] : 「つぶす、崩壊させる」
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
- eliminate [ilímənèit] : 「除外する、取り除く、廃絶する」
- certain [sə́ːrtn] : 「わずかの、若干の、いくらかの」
- interval [íntərvəl] : 「隔たり、間隔、合間」
❖ "The miracle shortens ~ "「奇跡は、時間を崩壊させることで、時間を縮める」。"thus eliminating ~ "「こうして、時間の中のある間隔を排除する」。奇跡は、時間という幻想の法則を崩壊させることで、時間間隔を縮める。たとえば、10年かかる学びの期間を1日に短縮するのだ。つまり、いらざる9年と364日を排除するのである。
It does this, however, within the larger temporal sequence.
- however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
- within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
- large [lάːrdʒ] : 「大きい、広い、多い、多数の」
- temporal [témpərəl] : 「一時的な、時の、時間の、時間的な」
- sequence [síːkwəns] : 「連続(するもの)、順序、ひと続きのもの」
❖ "It does this, however ~ "「しかし、奇跡は、より大きな時間的連続性の中で、時間的な短縮を行う」。"the larger temporal sequence"「より大きな時間的連続性」とは、輪廻転生を意味すると捉えていいだろう。ACIMは輪廻転生説をとっている。我々がこの世に生を受けるのは、実相に目覚める学びのためだとしている。そして、何百回という学びの転生を経て、いわば魂を進化させていく。そういう大きなスパンで時間を見た時、奇跡は時間を短縮し、転生の回数を減らしてくれるのである。
誤解してはいけないのは、輪廻転生もまた幻想である。輪廻転生が人間の究極的な運命なのではない。幻想に過ぎないその輪から抜けてこそ、究極的な運命としての実相世界が展開するのだ。