●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-1.V.2:1 ~ T-1.V.3:8

2.The basic decision of the miracle-minded is not to wait on time any longer than is necessary. Time can waste as well as be wasted.
  • basic [béisik] : 「基礎の、基本的な」
  • decision [disíʒən] : 「解決、決定、決意、決心」
  • wait on : 「〜に仕える」
  • any longer : 「もっと長く、これ以上」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
  • waste [wéist] : 「〜を無駄にする、消耗する、すり減らす」
  • as well as : 「〜と同様に」
❖ "the miracle-minded"は「奇跡を行う準備の出来た者」、「奇跡を行う心構えの出来た者」という意味。"The basic decision of ~ "「奇跡の準備が出来た者の基本的な決意は、必要以上に時間をかけないということである」。ひとたび奇跡を行うぞと心に決めたら、基本的に、だらだらと時間をかけてはいけない、ということ。"Time can waste ~ "「時間は、消耗するのと同様に、消耗させる」。だらだらと決意を延ばすと、時間が消耗するだけでなく、時間はその決意をも消耗させて、結局、決意がどんどん縮小してしまうのだ。決意したら、即、実行。



The miracle worker, therefore, accepts the time-control factor gladly. 
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • accept [æksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • time-control : 「時間制御」
  • factor [fǽktər] : 「要因、要素、因子、原因」
  • gladly [ɡlǽd] : 「喜んで、喜々として」
❖ "The miracle worker ~ "「したがって、奇跡を起こす者は、時間制御のファクターを喜んで受け入れる」。"the time-control factor"「時間制御のファクター」という箇所が難解である。幻想世界においては、時間はコントロール不可能な要素(ファクター)なのだが、時間の存在しない実相世界から見れば、時間はどうにでも変えれる、つまりコントロール可能な要素なのだ。時間を縮めることも引き延ばすことも、あるいは、過去に遡(さかのぼ)ったり、未来をかいま見たりすることも可能である。したがって、本文は、奇跡を起こす者は、喜んで時間をコントロールすることを受け入れる、という意味合いになる。



He recognizes that every collapse of time brings everyone closer to the ultimate release from time, in which the Son and the Father are One.
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、認める、受け入れる」
  • collapse [kəlǽps] : 「崩壊、倒壊」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
  • close [klóus] to : 「〜に近い、〜の近くに、〜に近接して、〜の身近に」
  • ultimate [ʌ́ltəmət] : 「最高の、究極の、根本的な」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと」
❖ "He recognizes that ~ "「奇跡を起こす者は、あらゆる時間の崩壊がみんなを究極的な時間からの解放へと近づけることを認識している」。"in which the Son ~ "「時間からの解放の中で、神の子と父なる神は一つになるのだ」。時間という幻想を幻想として受け入れ、受け流して赦すとき、幻想の時間は消滅する。奇跡によって実相に目覚めれば、時間は消えてしまうのだ。無時間無空間の実相世界が出現する。そこにあなたが回帰出来れば、天の王国(実相世界)において、神と神の子は決して分離などしておらず、一体であると知ることになる。
実相世界の無時間性を説明するのは、幻想世界に住む我々には不可能なのだが、時間が消滅した後には、永遠性だけが残ると解釈しておこう。永遠性とは、時間がだらだらと続くという意味ではない。一瞬が無時間的に存続するだけなのだ。今という一瞬だけが存在する。変化することはない。



Equality does not imply equality now. When everyone recognizes that he has everything, individual contributions to the Sonship will no longer be necessary.
  • equality [ikwɑ́ləti] : 「平等、等しいこと、同等」
  • imply [implái] : 「暗に伝える、暗示する、ほのめかす 」
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、認める、受け入れる」
  • individual [ìndəvídʒuəl] : 「個人の、個人的な、個々の、個別の」
  • contribution [kὰntrəbjúːʃən] : 「貢献、寄付、出資、寄与」
  • sonship : 「息子であること」
  • no longer : 「もはや〜でない、〜しない」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
❖ "Equality does not ~ "「平等性は今ある平等性を暗に示しているのではない」。実相的レベルの真実の平等性は、今の、この幻想世界の平等性を暗に示すものではない。まったくレベルが違うということ。たとえば、この地上では男女の平等性が叫ばれるが、一元論世界の実相世界には男女の区別などないから、男女の平等性などあり得ない。二元論的な平等性は、一元論世界には存在しないのだ。一元論実相世界の平等性とは何かと問えば、それは、文字通り、一体性である。単一性である。神の子は一体であり単一であるという認識が、実相世界の平等性を確立する。単一性をさらに発展させれば、神、神の子、ホーリー・スピリットの三位が一体であるという、三位一体性が、実相世界の平等性に繋がる。"When everyone recognizes ~ "「すべての人が、自分はすべてを持っていると認識したとき、神の子に対する個人的な貢献は、もはや必要とされなくなるだろう」。あなたも彼も彼女も、自分は神が与えてくれたすべての真実を持っていると認識出来たとき、つまり、自分が神の子であると信じられたとき、神の子の分離という幻想は消滅するのだ。自他一如が確立する。つまり、個人という幻想が消滅してしまうのだから、個人的な貢献という考えもなくなる。



3. When the Atonement has been completed, all talents will be shared by all the Sons of God. God is not partial. 
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
  • complete [kəmplíːt] : 「〜を完了する、仕上げる、終える、完成する」
  • talent [tǽlənt] : 「才能、素質、天分」
  • share [ʃέər] : 「分かち合う、共有する」
  • partial [pάːrʃəl] : 「部分的な、一部の、不完全な」
❖ "When the Atonement ~ "「贖罪が達成されたとき、あらゆる天分は、あらゆる神の子によって分かち合われる」。罪という幻想を赦して罪が消滅し、贖罪が完了したとき、あなたは神の子として、神の属性のすべてを継承していることを思い出す。あらゆる天分をもっているのだ。そして、自他一如となった神の子同士が、その神の属性、天分を分かち合うのである。分かち合うことで、真実は拡張増大する。"God is not ~ "「神は部分的ではない」。神はすべてであり、すべてを包含する(all-encompassing)。したがって、神は神の属性の一部だけを神の子に継承するなどという小技を労するわけがない。すべてを与えたのだ。



All his children have his total love, and all his gifts are freely given to everyone alike.
  • total [tóutl] : 「完全な、全くの 、全部の、すべての」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント、神からの贈り物、天賦の才」
  • freely [fríːli] : 「束縛を受けずに、制限されずに、自由に、惜しみなく」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • alike [əláik] : 「同様に、一様に」
❖ "All his children ~ "「すべての神の子供たちは、神のすべての愛に包まれている」。"and all his gifts ~ "「神の贈り物は、すべての神の子に平等に、惜しみなく与えられている」。"his gifts"「神の贈り物」とは、もちろん、神の属性のすべて、真実のすべて、あらゆる天分(talent)である。ここでは、神の愛と考えてもいい。



"Except ye become as little children" means that unless you fully recognize your complete dependence on God, you cannot know the real power of the Son in his true relationship with the Father.
  • except [iksépt] : 「ただし、〜ということを除いて」
  • ye [jíː] : 「なんじら、あなたがた」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • fully [fúlli] : 「十分に、完全に、全く、すっかり、全体に」
  • complete [kəmplíːt] : 「〜を完了する、仕上げる、終える、完成する」
  • dependence [dipéndəns] : 「依存、依存関係、付属物」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力、権限、権威」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • relationship [riléiʃnʃìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
❖ "Except ye become ~ "「『あなたが、幼子(おさなご)のようにならなかったら』という意味は、あなたが神に完全に依存していると十分に認識しない限り、父なる神との本当の関係における神の子の実相的パワーを、あなたは知ることが出来ない、ということである」。これが、ACIMの絶対他力性である。あなたが、幼子のように親にすべてを任せなかったら、つまり、あなたが神の子として父なる神にすべてを任せなかったら、神と神の子の関係性によって得られた(in his true relationship with the Father)神の属性としての実相的パワー(the real power)をあなたは思い出すことは出来ない(you cannot know)。
ACIMの絶対他力性は、何もせず、ただ祈って神にすがりつけということではない。人として努力しなさい、聖霊の助けを借りて自浄しなさい、そして、最後の最後、完全に神に身を投げて神にすべてを任せよ、ということである。
なお、"Except ye become ~ "はマタイによる福音書18章3節からの引用である。参考までに、ここに載せておく。

[Matthew 18:13 from King James Version]
At the same time came the disciples unto Jesus, saying, Who is the greatest in the kingdom of heaven? And Jesus called a little child unto him, and set him in the midst of them, And said, Verily I say unto you, Except ye be converted, and become as little children, ye shall not enter into the kingdom of heaven. Whosoever therefore shall humble himself as this little child, the same is greatest in the kingdom of heaven. And whoso shall receive one such little child in my name receiveth me. 
そのとき、弟子たちがイエスのところに来て、「いったいだれが、天の国でいちばん偉いのでしょうか」と言った。そこで、イエスは一人の子供を呼び寄せ、彼らの中に立たせて、言われた。「はっきり言っておく。心を入れ替えて子供のようにならなければ、決して天の国に入ることはできない。自分を低くして、この子供のようになる人が、天の国でいちばん偉いのだ。わたしの名のためにこのような一人の子供を受け入れる者は、わたしを受け入れるのである。」(新共同訳)



The specialness of God's Sons does not stem from exclusion but from inclusion. 
  • specialness [spéʃəlnis] : 「特別性、特殊性」
  • stem [stém] from : 「〜から生じる、〜から起こる、〜に由来する」
  • exclusion [iksklúːʒən] : 「排除、除外、排他、排斥」
  • inclusion [inklúːʒən] : 「含めること、包含、含有、包括」
❖ "The specialness of ~ "「神の子としての特殊性は、排他からではなく包含から生じる」。神はすべてを包含する(all-encompassing)。神の子が神の属性のすべてを継承したのだから、神の子が排他(exclusion)するのではなく、包含(inclusion)するのは当たり前なのだ。排他からは個性が生じるが、包含からは一体性が生まれる。個性は幻想である。一体性、自他一如、これが実相であり、神の子の特殊性(specialness)である。



All my brothers are special. If they believe they are deprived of anything, their perception becomes distorted.
  • special [spéʃəl] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
  • deprive [dipráiv] : 「奪う、取り上げる、剥奪する」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
  • distort [distɔ́ːrt] : 「歪める、誤り伝える、歪曲する」
❖ "All my brothers are ~ "「私の同胞はみんな、特殊である」。イエスの同胞である神の子はみんな、自他一如であり、神の属性のすべてを有しており、その意味で特殊である。"If they believe they ~ "「もし同胞達が、何かを奪われたと信じたなら、彼らの知覚は歪んでしまう」。神の属性は誰からも決して奪われることはない。神の子はすべてを持っており、そのすべては奪われることはないのだ。もし、奪われたと感じたなら、そう感じさせる知覚が歪んでいるだけだ。逆の言い方をすれば、もし神の子の知覚が歪められていないなら、彼はすべてを持っていると認識するはずである。



When this occurs the whole family of God, or the Sonship, is impaired in its relationships.
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
  • whole [hóul] : 「すべてを含んだ、欠けたものがない」
  • impair [impέər] : 「悪くする、損なう、害する、減じる」
  • relationship [riléiʃnʃìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
❖ "When this occurs ~ "「こんなことが起きたら、神や神の子の家族全体の関係性が損なわれてしまうのだ」。神は神の子にすべてを与えたはずであるが、その神の子が誰かに何かを奪われたと騒ぎ立てたなら、神と神の子、あるいは神の子と神の子の信頼関係が揺らいでしまうではないか、ということ。神と神の子が一体であること、神の子同士は自他一如であること、その関係性が崩壊してしまうのだ。
 
 
 

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