II. Revelation, Time and Miracles
啓示、時間、そして奇跡
1. Revelation induces complete but temporary suspension of doubt and fear.
- revelation [rèvəléiʃən] : 「啓示、黙示」
- induce [indjúːs] : 「〜を生じさせる、引き起こす、誘発する」
- complete [kəmplíːt] : 「全部そろった、完全な、全部の」
- temporary [témpərèri] : 「一時の、一時的な、仮の、当座の」
- suspension [səspénʃən] : 「一時的中止、一時停止」
- doubt [dáut] : 「疑い、疑念、疑惑、懸念、心配、不安」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
❖ "Revelation induces ~ "「啓示は、完全ではあるが一時的な、疑いと恐れの停止をもたらす」。啓示は神との直接的なコミュニケーションである。したがって完全であり、永遠のはずだが、残念ながら疑いと恐れは一時的に消えるだけだ。ホーリー・スピリットを媒介者として、あなたと神は啓示を通してコミュニケーションを交わすのだが、そのあなたた自身はまだ幻想世界に留まっており、時間依存した状態にあるので、疑いや恐れは再びあなたを悩ますことになる。
It reflects the original form of communication between God and his creations, involving the extremely personal sense of creation sometimes sought in physical relationships.
- reflect [riflékt] : 「〜を映す、示す、反映する」
- original [ərídʒənl] : 「最初の、初めての、初代の」
- original form : 「原型、原形」
- communication [kəmjùːnəkéiʃən] : 「通信、やりとり、連絡、伝達」
- between [bitwíːn] A and B: 「AとBとの間に、AないしB」
- creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
- involve [invɑ́lv] : 「 〜を含む、伴う、巻き込む」
- extremely [ikstríːmli] : 「極度に、極めて、非常に」
- personal [pə́ːrsənl] : 「個人の、個人に関する」
- sense [séns] : 「感覚、知覚、感触、感じ」
- sometimes [sʌ́mtàimz] : 「時々、たまに」
- sought [sɔ́ːt] : seek の過去・過去分詞形
- seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める」
- physical [fízikəl] : 「物質の、物質的な、身体の、肉体の」
- relationship [riléiʃnʃìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
- physical relationship : 「位置関係、肉体関係」
❖ "It reflects the original ~ "「啓示は、神と神が創造したものとの間の原型的なコミュニケーションを反映している」。神の子が神から分離する以前は、神と神の子は一体であり、その状態がコミュニケーションの原型となる。神と神の子が、実相世界と幻想世界に分離した今は、啓示がその原型を反映している。つまり、啓示は、神と神の子の疑似的な接触を意味することになる。"involving the extremely ~ "分詞構文、理由(単純接続と考えてもいい)、「啓示は、時として肉体関係に求められるような、極めて個人的な創造の感覚を伴っているからだ」。この幻想世界にあっては、あなたは、パートナーとの間に肉体的な関係を持つことで、パートナーと一体化した感覚、愛を創造した感覚を持つことが出来るが、啓示は、それに近い感覚を含んでいる。しかし、肉体的な関係は、もちろん、疑似的な結合であって、神と神の子の一体感とは雲泥の差がある。
Physical closeness cannot achieve it. Miracles, however, are genuinely interpersonal, and result in true closeness to others.
- closeness [klóusnəs] : 「接近、近似、親密」
- achieve [ətʃíːv] : 「獲得する、得る、成し遂げる、達成する」
- however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
- genuinely [dʒénjuinli] : 「純粋に、真に、生まれつき」
- interpersonal [intəːpə́ːrsənl] : 「個人間の、人間関係の」
- result [rizʌ́lt] in : 「〜に終わる、〜に帰着する、〜に結実する 」
- true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ しかし、"Physical closeness ~ "「肉体的な接近は、啓示(神との直接的コミュニケーション)を達成することは出来ない」。肉体関係は啓示の疑似体験に過ぎず、啓示に至ることは不可能だ。幻想世界における体験は、実相的な真実のレベルに達することは出来ないのだ。"Miracles, however ~ "「しかしながら、奇跡は、純粋に個と個の関係を反映するものであり、他者との真の接近を結果させる」。奇跡は、一時的ではあるにしても、あなたを幻想から実相へと引き上げ、神の子としてのあなた個人と神個人の間の純粋な接触(genuinely interpersonal)を実現してくれる。こうして、自分と他者(ここでは神、あるいは他の神の子)との間に、真の接近(true closeness to others)を結実させてくれるのだ。まさに創造的結合。
Revelation unites you directly with God. Miracles unite you directly with your brother.
- unite [junáit] : 「〜を結合させる、一体化させる」
- directly [diréktli] : 「直接に、真っすぐに、そのまま」
- neither [níːðər] : 「どちらも〜ない」
❖ "Revelation unites ~ "「啓示は、あなたを直接神に結びつける」。"Miracles unite you ~ "「奇跡は、あなたをあなたの同胞と直接結びつけるのだ」。肉体関係をもつことで疑似的な結合感は得られるのだが、奇跡は、あなたと同胞の、心と心の、あるいは魂と魂の結合を可能にする。
Neither emanates from consciousness, but both are experienced there.
- neither [níːðər] : 「どちらも〜ない」
- emanate [émənèit] : 「発する、広がる、生じる」
- consciousness [kάnʃəsnis] : 「意識、正気、自覚、感情、思想」
- both [bóuθ] : 「両方、双方、両者」
- experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
❖ "Neither emanates ~"「奇跡も啓示も、どちらも意識から発生しするのではない」。"but both ~"「しかし、どちらも意識の上で経験される」。奇跡も啓示も、それを意識することで生まれるのではなく、実相的な結合が達成された時、意識として結合感が感じられる。あなたと同胞の別々の意識が結合を生み出すのではなく、あなたと同胞が自他一如であり同体であるという実相的な真実に達したとき、初めて実相的一体感が意識されるのだ。
Consciousness is the state that induces action, though it does not inspire it.
- induce [indjúːs] : 「〜を生じさせる、引き起こす、誘導する、誘発する」
- state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
- reaction [riǽkʃən] : 「反応、応答、態度、反感、反発」
- though [ðóu] : 「〜だけれども、〜だけど、そうは言うものの、しかし」
- inspire [inspáiər] : 「呼び起こす、引き起こす、〜の原因となる」
❖ "Consciousness is the state ~ "「意識は、行動を誘発する状態ではあるが、」"though it does not ~ "「しかし、行動を引き起こすことはない」。意識とは行動を誘発する『状態』であって、(直接に)行動を誘発するのではない。なぜなら、行動を意識しても思いとどまることがあるからだ。意識が行動と直結していたら、たとえば、人を殺したいと思っただけで人を殺してしまうことになる。
You are free to believe what you choose, and what you do attests to what you believe.
- free [fríː] : 「自由な、捕われていない、独立した」
- believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
- choose [tʃúːz] : 「 〜を選ぶ、〜を選択する」
- attest [ətést] : 「証言する、証明する」
❖ "You are free to ~ "「あたなが選ぶものを信じることは自由である」。あたなが意識して選ぶものを、信じても信じなくても自由だ。"and what you do ~ "「あなたが行うことこそが、あなたの信じているものを証明する」。先ほどの例で、あなたが、殺人を選んでも選ばなくても、どちらを信じても構わない。しかし、もし殺人を犯したら、それはあなたが殺人を信じていた証拠になる。
ところで、ここの文章は前の文章と直接にはつながらない。ACIMでは頻発することである。これはACIMの成立過程に原因がある。ACIMは、時間間隔をおきながらイエスがヘレンに口述したものがその原型である。ACIMを章に分け、段落に分割したのは、イエスがヘレンに口述した後のことである。したがって、時として文章と文章に整合的な脈絡が欠けてしまうのはやむを得ないことなのだ。次の段落2で、話が啓示に戻る。
2. Revelation is intensely personal and cannot be meaningfully translated.
- revelation [rèvəléiʃən] : 「啓示、黙示」
- intensely [inténsli] : 「激しく、熱心に、強烈に、熱烈に」
- personal [pə́ːrsənl] : 「私事の、私的な、個人の、個人に関する」
- meaningfully [míːniŋfəli] : 「意味があるように」
- translate [trænsléit] : 「〜を翻訳する、訳す」
❖ "Revelation is intensely ~ "「啓示は極度に個人的であるので、意味があるように翻訳することは出来ない」。啓示は、神と神の子との、あるいはあなたと同胞との、あまりにも個人的で直接的なコミュニケーションであるので、他者にその意味がわかるように解釈、翻訳することは出来ない。
That is why any attempt to describe it in words is impossible.
- attempt [ətémpt] : 「試み、企て、計画」
- describe [diskráib] : 「〜を表現する、述べる、言葉で表わす、記述する」
- in words : 「口に出して」
- impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない」
❖ "That is why any attempt ~ "「なぜなら、言葉で表現するどんな試みも不可能だからである」。心と心の、あるいは魂と魂の直接的なコミュニケーションは、言葉による表現を超越しているのだ。愛を言葉で表現することが不可能であることと同様である。
Revelation induces only experience. Miracles, on the other hand, induce action.
- induce [indjúːs] : 「〜を生じさせる、引き起こす、誘発する」
- experience [ikspíəriəns] : 「経験、体験」
- on the other hand : 「他方では」
- action [ǽkʃən] : 「活動、行動、活力、動き、動作」
❖ "Revelation induces ~ "「啓示は、経験だけを誘発する」。"Miracles, on the other hand ~ "「一方、奇跡は行動を引き起こす」。啓示は、言葉では言い表せない直接的、個人的なコミュニケーションを通して、結合感、一体感を経験させる。一方、奇跡は、真実を露(あらわ)にすることで、人の病をヒーリングしたり、幻想を消滅させたり、目に見える形の現象を引き起こす。"action"「行動」とあるが、愛するとか、慈しむとか、癒すとか、憎しみを消すとか、喜びを感じるとか、そういう動き、働きを想定すればいいだろう。もちろん、その"action"「行動」は、"experience"「経験」されるのだ。
They are more useful now because of their interpersonal nature.
- useful [júːsfəl] : 「役立つ、便利な、有益な、価値ある」
- interpersonal [intəːrpə́ːrsənl] : 「個人間の、人間関係の」
- nature [néitʃər] : 「本質、特質、本性、気質、気性、性分」
❖ "They are more useful ~ "「奇跡は、個と個の間の性質をもっているので、今は、(啓示より)役に立つ」。啓示は神対個(神の子)であるのに対して、奇跡は個人(あなた)と個人(同胞)の相互関係の内で起こるものだから、ACIMを学び始めた今の段階では、奇跡の方が啓示よりあなたには役立つ。つまり、あなたが奇跡を通して同胞を、愛し、慈しみ、癒し、憎しみを消し、ともに喜び合う方が、今は大切だ。
In this phase of learning, working miracles is important because freedom from fear cannot be thrust upon you.
- phase [féiz] : 「局面、段階、面、相 」
- learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
- important [impɔ́ːrtənt] : 「重要な、重大な、大切な」
- freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
- thrust [θrʌ́st] : 「押し付ける、押しやる」
- thrust upon : 「〜に押し付ける、追いやる、追い込む」
❖ "In this phase of ~ "「学びのこの段階では、〜なので、奇跡を行うことは重要である」。"because freedom from ~ "「恐れからの解放は、あなたに強制出来るものではないので、」奇跡を行うことは重要である。学びの現段階では、啓示よりも、まず恐れを取り除くことが大切である。恐れは、消えろと命じて、強制的に消滅するものではない。恐れは幻想であり、奇跡によって恐れの幻想性を暴(あば)き、幻想の恐れを受け入れ受け流して赦し、幻想の恐れを消滅させることが肝要である。奇跡は、真実を現実化させてくれるのだ。恐れの消滅が現実化した後に、啓示が現れる。
Revelation is literally unspeakable because it is an experience of unspeakable love.
- literally [ítərəli] : 「文字どおり、本当に、まさに」
- unspeakable [ʌnspi:kəbl] : 「言いようのない、言語に絶する」
- experience [ikspíəriəns] : 「経験、体験、見聞」
❖ "Revelation is literally ~ "「啓示は、〜なので、文字通り言葉で表されるものではない」。"because it is an ~ "「啓示は、言葉では言い表すことの出来ない愛の経験であるから、」啓示も、文字通り言葉で表されるものではない。啓示は、直接的、個人的なコミュニケーションであり、実相的な愛の経験(表現)である。愛は言葉による表現を超越しているものだから、啓示もまた言葉を超越している。仏教的な言葉を用いるなら、啓示は『不立文字』である。