8. Look gently on your brother, and remember the ego's weakness is revealed in both your sight.
- gently [dʒéntli] : 「親切に、静かに、優しく、穏やかに」
- remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す、〜を念頭に置く」
- weakness [wíːknəs] : 「弱さ、弱いこと、虚弱、弱点、欠点」
- reveal [rivíːl] : 「明らかにする、暴露する」
- sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
❖ "Look gently on ~ "「静かに、同胞に目をやり、」"and remember ~ "「あなたと同胞の両者の目に、エゴの弱点が暴れたのだと、覚えておきなさい」。あなたと同胞は、心の最も純粋で神聖な部分が失われずにあることを知った。そこに、神聖な目的をもったホーリー・スピリットが住んでいることも知った。その目的に従って、あなたと同胞が実相世界に目覚めることは、エゴの最も恐れていることだと知ったのだ(the ego's weakness is revealed)。
What it would keep apart has met and joined, and looks upon the ego unafraid. - keep [kíːp] : 「〜の状態にしておく、〜にしておく」
- apart [əpάːrt] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに、別々に」
- met [mét] : 「meet の過去・過去分詞形」
- meet [míːt] : 「〜に会う、〜と会合する、〜と接触する」
- join [dʒɔ́in] : 「参加する、交わる、一緒になる、結合する、連結する」
- look upon : 「〜を見る」
- unafraid : 「恐れない」
❖ "What it would keep ~ "「エゴが分離しておきたいと思っていたあなたと同胞は、出会い、結ばれた」。"and looks upon ~ "「結合したあなたと同胞は、恐れることなく、エゴを見ることが出来るのである」。エゴは、神の子の分離を維持し、互いに攻撃し合い、奪い合うことを、心底、願っている。分離が保たれている限り、神の子は真実に目覚めることはなく、したがって、幻想世界は安泰だからだ。幻想のエゴも、もちろん、安泰というわけである。このカラクリに気付いていないのは神の子だけである。神は知っている。もちろん、ホーリー・スピリットも、遠の昔から知っているのだ。
Little child, innocent of sin, follow in gladness the way to certainty.- innocent [ínəsənt] : 「純潔な、純真な、潔白な、無罪の、無実の」
- innocent of : 「無罪の、〜の罪を犯していない」
- sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
- follow [fɑ́lou] : 「〜に従う、追随する、〜に続く」
- gladness [ɡlǽdnis] : 「喜ばしさ」
- certainty [sə́ːrtnti] : 「確信、確実なこと、必然」
❖ "Little child, innocent ~ "「無辜(むこ)なる幼子(おさなご)よ、」"follow in gladness ~ "「確信への道を、喜びをもって、進みなさい」。真実を確信出来る世界、実相世界への旅を、喜びをもって、続けなさい。その道を、信じて進みなさい。ホーリー・スピリットが旅の道連れになってくれるのだから。
Be not held back by fear's insane insistence that sureness lies in doubt. - held [héld] : 「hold の過去形」
- hold back : 「押しとどめる、引き止める、引き下がる、尻込みする」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
- insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
- insistence [insístəns] : 「強い主張、断言、強調、強要、無理強い、固執、しつこさ」
- sureness [ʃúərnis] : 「確実さ」
- lie [lái] : 「ある、存在する」
- doubt [dáut] : 「疑い、疑念、疑惑、懸念、心配、不安」
❖ "Be not held back by fear's insane ~ "「確実さは疑うことの中にあるなどという、恐れの語る狂った主張によって、引き止められてはいけない」。真実が叡智によって直覚的に把握出来ないとき、頭脳的理性は、真実の確信は、疑って疑って、疑い抜いた先に存在すると言うだろう。真実を素直に受け入れることが恐ろしいからだ。その恐れが、執拗に、疑うことを求めるのである。その主張に耳を傾けてしまえば、あなたの、実相世界への歩みは止まってしまう。すべては水泡に帰してしまう。
This has no meaning. What matters it to you how loudly it is proclaimed? - meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、目的、意図」
- matter [mǽtər] : 「重要である、重要になる、問題である、問題となる」
- loudly [láudli] : 「大声で、騒々しく、けばけばしく、派手に」
- proclaim [proukléim] : 「宣言する、宣告する、公言する、声高に言う」
❖ "This has no ~ "「確実さは疑う中にあるなどという主張は、まったく意味がない」。"What matters it ~ "「そのことが、いかに大声で叫ばれても、それはあなたにとって意味があるだろうか」。意味のないことを、どんなに大声で叫んでも、意味のないことには変わりない。あなたにとって、それは無意味なのだ。ならば、聞こえぬ振りをするに限る。
The senseless is not made meaningful by repetition and by clamor. The quiet way is open. - senseless [sénslis] : 「感覚のない、愚かな、無意味な、無分別な、非常識な、」
- make : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
- meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、意味深長な、重要な」
- repetition [rèpətíʃən] : 「繰り返し、反復、再上演、再現」
- clamor [klǽmər] : 「わめき、叫び、喧騒、大きな叫び」
- quiet [kwáiət] : 「静かな、静粛な、平穏な、穏やかな、平和な」
❖ "The senseless is ~ "「無意味なことは、繰り返されようが大声で言われようが、意味あるものに変えられることはない」。だから、実相世界への道々、そんな大声の誘惑に引かれてはならないのだ。"The quiet way ~ "「静かなる道が、(あなたの目の前に)開かれているのだ」。実相世界への道、その旅は、静寂であるべきだ。エゴの叫びが聞こえないほどに、あなたの心を平静に保たなくてはいけない。
Follow it happily, and question not what must be so.- happily [hǽpili] : 「幸福に、幸せに、喜んで、楽しく」
- question [kwéstʃən] : 「質問する、尋ねる、〜を疑問に思う」
❖ "Follow it ~ "「心に幸せを抱いて、道を進みなさい」。"and question not ~ "直訳すると、「何がそうあらねばならないか、疑問をもってはいけない」、あるいは、「そうあるらねばならないものに、疑問をもってはいけない」という意味合いになる。あなたは、今、実相世界への道を歩んでいるのだが、その道が、確実に実相世界に繋がっているかどうか、疑問に思ってはいけない、という意味であろうか。あるいは、単に、真実であると信じたことに、いちいち疑問をもってはいけない、ということか。なぜなら、疑いは決して確信へ結びつかないからだ。確実さは疑う中にあるという主張をするのは、エゴだけである。懐疑という魔術にはまり込んではいけない。
V. The Function of Reason
正気さの役割
1. Perception selects, and makes the world you see. It literally picks it out as the mind directs. - perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識
- select [səlékt] : 「選ぶ
- literally [lítərəli] : 「文字どおり、そっくりそのまま、全く、完全に」
- pick out : 「拾い出す、抽出する、見つける、選ぶ、選び出す、選出する」
- direct [dərékt] : 「案内する、命令する」
❖ "Perception selects, and ~ "「知覚は、選択し、あなたの目にする世界を作るのだ」。あなたは、あなたの存在に関わらず、初めから存在していた世界を、あなたの知覚が受動的に感じ取っているものだと考えているが、真実はそうでない。あなたが見たいと思うもの、感じたいと思うもの、つまり、あなたの心が選択したものを心の外部に投射して、あなたがこの世界を作くり出し、それを単に知覚しているだけなのだ。あなたが見たいものを、夜見る夢の中で見るように、この幻想世界の中で見るのである。"It literally picks ~ "「文字通り、知覚は、心が命ずるままに、見たいものを拾い出すのである」。このカラクリによって、この世界は作られているのだ。世界が初めからあるのではない。あなたが、恣意的に作り出したものなのである。
The laws of size and shape and brightness would hold, perhaps, if other things were equal. - law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
- size [sáiz] : 「大きさ、サイズ、寸法、規模」
- shape [ʃéip] : 「形、状態、形状、形態」
- brightness [bráitnis] : 「明るさ、輝き、輝度、光明、光度、鮮やかさ」
- hold [hóuld] : 「持ちこたえる、耐える、有効である、適用できる」
- perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると」
- other [ʌ́ðər] : 「もう一方の、向こうの、ほかの、そのほかの」
- equal [íːkwəl] : 「同等の、程度が等しい、均等な、平等な」
❖ "The laws of size and ~ "「たぶん、大きさや形、そして明るさの法則は維持されるだろう」。"if other things ~ "「もし、他のものが等しいならば」。仮定法過去である。現在の事実に反したことを仮定して述べているのだ。さて、それでは、いったいここの意味合いは何だろう? ある二つのものを、その内容までも等しいなら(if other things were equal)、大きさ形、色合い等々が同じなら、その二つのものは同じものであると言えよう。物理的に同等である、という意味だ。もののもっている抽象的側面さえ同等であるとき、その具象的側面が等しいなら、物理的にもそれは等しい。これが、形や大きさや色合いの法則(The laws of size and shape and brightness)である。しかし、ものには、その表面がどうであれ、その内容は必然的に異なるものであり、物理法則では計り切れない側面が必ずあるのだ。具象的側面が等しくても、抽象的側面のまったく異なった存在はあり得る。と言うより、あるのが当然である。表面的には同じに見えても、中身はまったく正反対であることもあり得るのだ。それを見抜くには、単なる知覚ではまったく役に立たない。中身を透視するほどの眼力が必要である。それが、ヴィジョン(vision)であり叡智(knowledge)である。
They are not equal. For what you look for you are far more likely to discover than what you would prefer to overlook. - look for : 「〜を探す」
- far more : 「はるかに多く」
- likely [láikli] : 「ありそうな、適当な、あり得る」
- be likely to : 「〜しそうである」
- discover [diskʌ́vər] : 「〜を発見する、見いだす」
- prefer [prifə́ːr] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む」
- overlook [òuvə(r)lúk] : 「見落とす、見て見ぬふりをする、見過ごす、大目に見る」
❖ "They are not ~ "「それらは、等しくはないのだ」。大きさや形、色合いが同じに見えても、それらはまったく異なった側面、あるいは内面をもっている。"For what you look ~ "「なぜなら、あなたが求めているものを、あなたが見過ごしてしまいたいと思うものよりもはるかに多く、あなたは見つけ出してしまいがちになるからだ」。知覚の恣意性について述べているのだ。色形が同じものであっても、あなたがより欲しいと思う方を、あなたの知覚は感受し、あなたはそれを選ぶのである。具象的側面を越えて、あなたの知覚は、あなたの心が選ぶものを感知するのである。だから、あなたにとっては、色形が同じであっても、それらはまったく異質なのだ。あなたの知覚は、完全に、あなたの心に従属しているのだ。
The still, small Voice for God is not drowned out by all the ego's raucous screams and senseless ravings to those who want to hear It. - still [stíl] : 「穏やかな、平穏な、平静な、静かな、しんとした」
- small [smɔ́ːl] : 「小さい、小規模の小さめの、小ぶりの」
- drown [dráun] : 「〜を…で紛らわす、〜をおぼれさせる」
- drown out : 「かき消す、圧倒する、消し去る、押し流す」
- raucous [rɔ́ːkəs] : 「騒々しい、乱暴な、混乱した、耳障りな、しわがれ声の」
- scream [skríːm] : 「悲鳴、叫び、甲高い笑い声」
- senseless [sénslis] : 「無分別な、非常識な、常識がない、愚かな、無意味な」
- raving [réiviŋ] : 「うわ言、たわ言、とっぴな話、狂乱、怒号」
❖ "The still, small Voice ~ "「神の声を聞きたいと思う者にとっては、神に代わって話す声が穏やかで小声であっても、エゴの騒々しい叫び声や無分別な戯言(たわごと)によって、その声はかき消されることはない」。"Voice for God"「神に代わって話す声」とは、ホーリー・スピリットの声、あるいは、あなたの正しい心があなたに囁く声、と考えていいだろう。エゴがどんなにわめいても、あなたの心の正しい部分が発する正しい声は、あなたの耳に届くのである。真実は虚偽によって打ち消されることは決してない。真実は常に、虚偽に打ち勝つのだ。
Perception is a choice and not a fact. But on this choice depends far more than you may realize as yet. - perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
- choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
- fact [fǽkt] : 「事実、現実、真実、実際、真相」
- depend [dipénd] : 「当てにする、信頼する、頼みにする、次第である」
- depend on : 「〜によって決まる、〜次第である、〜に頼る」
- far more than : 「〜よりずっと多く、〜をはるかに超えて」
- realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
- as yet : 「今までのところは」
❖ "Perception is ~ "「知覚とは、選択であって、事実そのものではない」。あなたの心が感じたいと思うものを知覚は感受するのであって、知覚が感受したものが真実であるとは限らない。あなたの目に見えたからといって、それが存在するとは言えないのだ。"But on this choice ~ "「しかし、知覚は、あなたが今まで知っている以上に、この選択に依存しているのだ」。知覚が心をリードしていると思っていたかも知れないが、事実はその逆で、心の選択に、知覚は完全に依存している。あなたは、見たいものが見え、見たくないものは見えないのだ。知覚のこの従属性が、知覚を不確かなものしている。ホーリー・スピリットは、この不確かな知覚を、完全に頼れる叡智(knowledge)に質転換させようとするのだ。幻想世界の肉体的な知覚は、実相世界の叡智へと変えられていく。心の目を信じれば、あなたにヴィジョンが見えてくる。
For on the voice you choose to hear, and on the sights you choose to see, depends entirely your whole belief in what you are. - voice [vɔ́is] : 「声、音」
- choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
- hear [híər] : 「〜を聞く、聴く、〜が聞こえる、耳にする」
- sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
- entirely [intáiərli] : 「全く、完全に、全体に、ひたすら、もっぱら」
- whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
❖ "For on the voice ~ "「なぜなら、あなたが聞くことを選択した声に、あなたが見ることを選択した光景に、」"depends entirely your ~ "「本当のあなたを信じる、あなたの気持ちが、完全に依存しているからだ」。つまり、あなたが何を聞き、何を見たいかで、本当のあなたが決まるのである。あなたの心が何を選択するか、それが、本当のあなた自身である。あなたがエゴの声を選択すれば、あなたはエゴになれるし、あなたがホーリー・スピリットの声を選択すれば、あなたはホーリー・スピリットなのだ。あなたの自由意思が、そのどちらかを選ぶのである。
Perception is a witness but to this, and never to reality. - witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、証拠、証言」
- reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
❖ "Perception is ~ "「知覚は、その証人であり、決して実相そのものではない」。知覚したものが、必ずしも実在しているわけではない。知覚は実相を語らない。しかし、知覚は、あなたが何を選択したのか、その証人であるのだ。つまり、知覚は、存在そのものを証言出来ないが、その存在を望むあなたの心の有り様を如実に語っているのだ。
Yet it can show you the conditions in which awareness of reality is possible, or those where it could never be.- show [ʃóu] : 「示す、表す、表示する、気付かせる、明らかにする」
- condition [kəndíʃən] : 「事情、条件、状態、状況、様子、様相」
- awareness [əwέərnis] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
- possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
❖ "Yet it can show you ~ "「しかし、知覚は、あなたに、実相を認識出来る可能性のある状況、あるいは逆に、実相を決して認識出来ない状況を示すことが出来るのである」。知覚はあなたの心に従属する。あなたの心の選択によって、あなたの知覚は決まるのである。したがって、知覚が自発的に実相を感受して、あなたに実相を教えることは出来ない。しかし、逆に考えれば、あなたの心が真実を知りたいと熱望すれば、知覚は真実の実相を知覚する可能性があるということだ。さらに、逆に考えれば、あなたが真実を知りたくないと希求すれば、あなたの知覚は完全に実相を知覚することはないだろう。これが、知覚の可能性であり、同時に、知覚の限界である。ところが、ACIMが教えるところに従えば、知覚は自らの殻を打ち破って、叡智(knowledge)に進化出来るのである。知覚が叡智になれば、事は、すべて逆転する。叡智は、真実を全的に、直覚的に把握して、その全体を一瞬にしてあなたに開示する。叡智は、実相だけを捉え、そのすべてをあなたに投げてくれるのである。そこに広がる光景が、ACIMの言うヴィジョン(vision)である。知覚が肉体の目であるなら、叡智は心の目である。