●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-21.I.3:1 ~ T-21.I.4:9

3. There is no need to learn through pain. And gentle lessons are acquired joyously, and are remembered gladly.

  • need [níːd] : 「必要性、必要なもの、必要物」
  • learn [lə́ːrn] : 「学ぶ、知る、分かる、思い知る」
  • through [θruː] : 「〜を通り抜けて、経て、〜の中を通って」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛」
  • gentle [dʒéntl] : 「優しい、寛大な、穏やかな」
  • acquire [əkwáiər] : 「手に入れる、獲得する、取得する、得る」
  • joyously [dʒɔ́iəsli] : 「楽しく、楽しげに」
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
❖ "There is no need ~ "「痛みを通して学ぶ必要はない」。"And gentle lessons ~ "「楽しく、穏やかに学ぶことは出来るし、喜んで覚えることも出来るのだ」。受動態で表現されているが、能動態で考えた方が分かりやすいだろう。



What gives you happiness you want to learn and not forget. It is not this you would deny.
  • happiness [hǽpinəs] : 「幸福、喜び、幸せ」
  • forget [fərɡét] : 「忘れる」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
❖ "What gives you happiness ~ "「あなたに幸せを与えてくれるものを、あなたは学びたいと思うであろうし、それを忘れることもない」。"It is not this you ~ "「幸せを与えてくれるものを、あなたは拒絶しまい」。



Your question is whether the means by which this course is learned will bring to you the joy it promises.
  • question [kwéstʃən] : 「質問、問題、疑問、問い、質疑」
  • whether [hwéðər] : 「〜かどうか、〜であろうとなかろうと」
  • means [míːnz] : 「手段、方法」
  • course [kɔ́ːrs] : 「課程、講座、科目、単位、方向、コース、進路」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る、〜を連れて来る」
  • joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜」
  • promise [prɑ́məs] : 「〜を約束する」
❖ "Your question is whether ~ "「あなたの疑問は、はたして、このコースが学ばれている手段が、コースの約束する喜びをあなたにもたらしてくれるだろうかどうか、ということだ」。簡単に言うと、このACIMを学ぶことによって、はたしてあなたは幸せになれるだろうかと、あなたは疑問に思っているかもしれない、ということ。



If you believed it would, the learning of it would be no problem.
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • problem [prɑ́bləm] : 「問題、困ったこと、課題、疑問、難問」
❖ "If you believed it ~ "「もしあなたが、このコースが幸せをもたらしてくれると信じるなら、」"the learning of it ~ "「このコースを学ぶことに、何の問題もない」。仮定法過去になっているので、本当は、あなたは信じ切れていないので、このコースを学ぶには少々問題を抱えている、ということ。



You are not a happy learner yet because you still remain uncertain that vision gives you more than judgment does, and you have learned that both you cannot have.
  • learner [lə́ːrnər] : 「学習者、初学者」
  • still [stíl] : 「まだ、今でもまだ、いまだに」
  • remain [riméin] [SVC] : 「依然として〜のままである」
  • uncertain [ʌnsə́ː(r)tn] : 「不確かな、不明確な、不確実な、不確定の」
  • vision [víʒən] : 「視覚、視力、洞察力、想像力、展望、構想」
  • more than : 「〜を超える、〜より多い、〜を上回る」
  • judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、意見、分別」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
❖ "You are not a happy ~ "「あなたは、まだ、幸せな学習者だとは言えない」。あなたは、ACIMをまだ信じ切れていないのだ。"because you still remain ~ "「なぜなら、あなたはthat以下に対して、まだ確信が持てないでいるからだ」。"that vision gives you ~ "「ヴィジョンは、判断よりも多くをあなたに与えるし、」"learned that both ~ "「ヴィジョンと判断の両方を同時に持つことは出来ない」ということに、まだ確信が持てないでいるのだ、あなたは幸せな学習者だとは言えない。ヴィジョンとは、ホーリー・スピリットのヴィジョンのことで、叡智による直覚的、全的把握のこと。心の目で見たときの光景と考えていい。他方、判断は、頭脳による理性的判断のこと。判断は、肉体的な感覚器官による知覚に依存する。ヴィジョンは、知覚に依存しない。あなたは、まだ、実相世界的なヴィジョンを信じることが出来ず、幻想世界的な判断にすがっているのだ。したがって、実相的なACIMを学ぶに当たって、幻想的な疑いが介入してきて、本当の学びの喜びが確保出来ていないのだ。



4. The blind become accustomed to their world by their adjustments to it. They think they know their way about in it.
  • blind [bláind] : 「目の不自由な、目の見えない、盲目」
  • become [bikʌ́m] [SVC] : 「〜になる」
  • accustomed [əkʌ́stəmd] : 「〜に慣れて、〜する習慣で」
  • adjustment [ədʒʌ́stmənt] : 「調節、適応、適合、加減、修正、調整」
  • know one's way about : 「〜の地理に明るい、〜がよくわかる」
❖ "The blind become ~ "「目の見えない者は、世界に順応することによって、その世界に慣れるようになる」。"They think they ~ "「彼らは、その世界がよくわかっていると思っている」。目の見えない者とは、実相世界が見えない我々のこと。実相世界はおろか、この幻想世界でさえ、まともに見えているとは言いがたい。いずれにせよ、自分は見えている、世界を知っていると思っている我々のことである。



They learned it, not through joyous lessons, but through the stern necessity of limits they believed they could not overcome.
  • joyous [dʒɔ́iəs] : 「うれしい、喜びに満ちた、楽しい」
  • stern [stə́ːrn] : 「厳格な、厳しい、断固たる、容赦のない、苦しい、険しい」
  • necessity [nəsésəti] : 「必要、不可欠」
  • limit [límit] : 「限度、制限、境界、端」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • overcome [òuvə(r)kʌ́m] : 「克服する、乗り越える、乗りきる」
❖ "They learned it, not ~ "「彼らは、喜び溢れる学びを通して学んだのではなく、彼らが克服出来まいと信じている制限が存在するという厳しい必然性を通して、学んだのである」。難しい言い回しをしているが、要するに、この世界で生きるには、肉体的、物理的制限を必然的に受け入れなければならないと認識し、自分自身をその必然性に順応させることを学んだ、という意味合いである。



And still believing this, they hold those lessons dear, and cling to them because they cannot see.
  • hold [hóuld] : 「心に抱く、〜であると考える、維持する、保持する」
  • dear [díər] : 「親愛な、いとしい、かわいい、敬愛する、大切な」
  • hold dear : 「大切にする」
  • cling [klíŋ] : 「執着する、しがみつく、かじりつく」
  • cling to : 「〜に固執する、〜に粘着する」
❖ "And still believing ~ "分詞構文、理由、「未だに、この必然的な制限を信じているので、彼らは(世界に順応するという)レッスンを後生大事にしており、」"and cling to ~ "「見えないからこそ、それに執着しているのだ」。この幻想世界が単なる夢であると見抜けたなら、これほど執着もしまいが、何も見えていないので、幻想世界の苦しみや痛みに順応して生きるしか道はないと信じ込んでいるのだ。そして、それが人生のレッスンであると勘違いしている。



They do not understand the lessons keep them blind. This they do not believe.
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • keep [kíːp] [SVOC] : 「 〜の状態にしておく、〜にしておく」
  • blind [bláind] : 「目の不自由な、目の見えない、盲目の」
❖ "They do not understand ~ "「彼らは、そんなレッスンが彼らを盲目のままに留めておくことを理解していない」。"This they do ~ "「このことを、彼らは決して信じない」。この幻想世界で苦しみと痛みのレッスンを受けて世界に順応することが、苦しみと痛みから抜け出ることを阻害しているという事実を、彼らは知る由(よし)もない。幻想世界を、苦しみながら生きることは虚偽なのだ。幻想世界から救われるレッスンを、喜びをもって学ぶことこそ、真実である。



And so they keep the world they learned to "see" in their imagination, believing that their choice is that or nothing.
  • imagination [imæ̀dʒənéiʃən] : 「想像力、創意、創作力、妄想、空想」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
❖ "And so they keep ~ "「そうであるから、彼らは、彼らの空想の中で『見る』ことを学んだ世界を維持しているのである」。彼らが見ている世界は、彼らの空想の世界である。幻想の世界なのだ。その事実を知らないがために、彼らは幻想世界に固執し、その世界を後生大事に維持しようとする。金に固執し、地位に固執し、出世に固執し、色恋に固執し、名誉に固執し、肉体に固執し、一度きりの人生だなどとうそぶいて、ちっぽけな屑のような人生にしがみついている。"believing that their ~ "分詞構文、付帯状況、「彼らの選択は、それしかないと信じながら」。この世界で生きるには、それしかないではないか、と信じ込んで、という意味合い。結局、この幻想世界から抜け出すという発想が閉ざされているのだ。自ら閉ざしている、と言った方がいいかもしれない。井の中の蛙が、井を世界と信じ込んで、井から抜け出す発想が出来ないでいる状況と等しい。本当の世界は、その井の外にあるというのに。



They hate the world they learned through pain. And everything they think is in it serves to remind them that they are incomplete and bitterly deprived.
  • hate [héit] : 「〜を憎む、〜をひどく嫌う」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に役立つ、果たす、〜に仕える」
  • remind [rimáind] : 「〜に思い出させる、〜に気付かせる」
  • incomplete [ìnkəmplíːt] : 「不完全な、不十分な、未完成の、出来損ないで」
  • bitterly [bítərli] : 「激しく、苦々しく、ひどく」
  • deprive [dipráiv] : 「奪う、取り上げる、剥奪する」
  • deprived [dipráivd] : 「貧しい、困窮した、喪失した」
❖ "They hate the world ~ "「彼らは、彼らが痛みを通して学んだ世界を嫌悪している」。この幻想世界に順応しながらも、この世界を嫌っている。"And everything they think ~ "「そして、その世界の中にあると彼らが思い込んでいるすべては、彼らにthat以下を思い起こさせるだけなのだ」。"that they are incomplete ~ "「彼らは打ちひしがれ、極度に貧しいということ」を思い起こさせるだけである。この世界は、どれもこれも、彼らから奪い取り、むち打ち、彼らに虫けらのように生きることを強いている。そのようにしか思えないのである。それでも、彼らは、その世界に順応しようとする。それしか選択の余地はないと言うのだ。痛みを通して、彼らは、ぼろ雑巾のように生きることを学ぶのである。
 
 
 

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