11. It is as needful that you recognize you made the world you see, as that you recognize that you did not create yourself.
- needful [níːdfəl] : 「入用な、必要な」
- recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
- create [kriéit] : 「〜を創造する、創り出す」
❖ "It is as needful that ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文、後半部分から訳せばいい、「あなたは、あなた自身を創造したのではないと認識することが必要なように、同じく、あなたの見ている世界はあなたが作ったのだと認識する必要があるのだ」。あなたを創造したのは神であり、この幻想世界を疑似創造したのはあなたである。あなたの心が外部に心象を投射して作り上げた幻想の世界である。そう認識する必要がある。
They are the same mistake. Nothing created not by your Creator has any influence over you. - same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
- mistake [mistéik] : 「誤り、ミス、過ち、手違い、誤解」
- creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
- influence [ínfluəns] : 「影響、感化、作用、影響力、権力」
❖ "They are the same ~ "「それらは、同じ過ちである」。真実を見誤っている点で、一致している。"Nothing created not ~ "「あなたの創造主である神が創造したのではないものは何でも、あなたに如何なる影響も及ぼすことはない」。この幻想世界からあなたは多大な影響を受けいていると言うかも知れないが、それは幻想の中でのことであって、つまり夢の中の影響であって、本当は、この幻想世界から影響を受けることはないのだ。幻想は実相に影響を与えることは出来ない。夜見る夢の中であなたが虫歯になったとしても、目覚めれば、あなたの歯は痛んではいない。それと同じである。
And if you think what you have made can tell you what you see and feel, and place your faith in its ability to do so, you are denying your Creator and believing that you made yourself. - place one's faith in : 「〜を頼みにする、〜を信頼する、〜を信じる」
- ability [əbíləti] : 「能力、才能、できること、手腕」
- deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
- believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
❖ "And if you think what ~ "「そして、もしあなたが、あなたが作ったものがあなたに、あなたが見るべきもの、感じるべきものを指示することが出来ると思っているなら、」"and place your faith ~ "「そして、あなたが作ったものに、そのようなことが出来る能力があると信じているなら、」"you are denying ~ "「あなたは、創造主である神を否定し、また、あなたはあなた自身を作ったのだと信じているのだ」。難解な箇所である。ゆっくり見ていこう。あなたが作ったものとは、この幻想世界である。その幻想世界が、あなたに見るべきもの感じるべきものを指示するとは、本来自由であるべき知覚と感覚(what you see and feel)を幻想世界が制限し、規制している、ということだ。つまり、あなたが作った物質と肉体によって、あなたの知覚と感覚が制限されているということである。心の目を持たず、肉体の目だけに頼らざるを得ないのだ。しかも、肉体的、物質的な感覚と知覚をあなたは信じているのである(place your faith in its ability to do so)。したがって、幻想世界を作ったあなたは、物質的な発生と進化によって生まれ出たものと信じ(believing that you made yourself)、神による神の子の創造を否定しているのである(you are denying your Creator)。こんな解釈でどうだろうか?
For if you think the world you made has power to make you what it wills, you are confusing Son and Father; effect and Source.- confuse [kənfjúːz] : 「混同する、混乱させる、困惑させる、戸惑わせる」
- effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
- source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起点、原因」
❖ "For if you think the world ~ "「なぜなら、もしあなたが、あなたが作った世界があなたを思い通りに出来るパワーをもっていると思っているなら、」"you are confusing Son ~ "「あなたは、子と父を混同し、結果とその源を混同していることになる」。難しい言い回しをしているが、"the world you made has power to make you what it wills"「あなたが作った世界があなたを思い通りに出来るパワーをもっている」とは、簡単に言えば、幻想が実相に影響を及ぼすことが出来る、という意味合いである。幻想が実相を創造出来る、と言い換えても言い。しかし、それは不可能だ。夜見る夢の中で、あなたがどんなに素晴らしい創造をしても、夢から醒めれば、そこには何もないのと等しい。幻想は実相の原因にはなれないのだ。幻想は実相の源にはなれないのである(you are confusing effect and Source)。子は父を生み出すことは出来ない。父が子を生み出すものなのだ(you are confusing Son and Father)。
12. The Son's creations are like his Father's. Yet in creating them the Son does not delude himself that he is independent of his Source. - creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
- like [láik] : 「似ている、類似の、類似した、同様の」
- delude [dilúːd] : 「だます、欺く」
- independent [ìndipéndənt] : 「独立した、自主性のある、ほかに依存しない、自立した」
- be independent of : 「〜から独立している、〜と無関係である」
❖ "The Son's creations ~ "「子が創造したものは、父が創造したものに似ているものだ」。"Yet in creating them ~ "「しかし、創造するにあたって、子は、彼が、その源から独立していると彼自身を欺くことはない」。子と父の関係を述べているが、師匠と弟子の関係に置き換えれば分かりやすいだろう。弟子は師匠の創造をまねる。創造されたものは似てくるのが当たり前だ。弟子が創造するとき、弟子は、創造の源である師匠の創造性から独立しているなどと、自分を欺くことはない。原因と結果の関係性は、本来そういうものなのである。神と神の子もそういう関係であるべきだなのだ。
His union with It is the source of his creating. Apart from this he has no power to create, and what he makes is meaningless. - union [júːnjən] : 「結合、合併、融合、団結」
- apart from : 「〜から離れて、〜は別として」
- meaningless [míːniŋlis] : 「意味のない、無益な、価値のない、無意味な」
❖ "His union with It ~ "「子が、源である父と一体であるということは、子の創造性の源である」。師匠と弟子が一体であるからこそ、弟子は創造の源、そのパワーを得ることが出来るのだ。"Apart from this ~ "「これを無視して、子は、創造するパワーを持つことは出来ない」。"and what he makes ~ "「そんなことでは、子が作り出すものは意味がないのだ」。弟子が師匠を軽視して、自分には本来師匠を越えた才能があると思い込むことを、仏教では増上慢(ぞうじょうまん)という。増上慢に陥った弟子の末路は想像に難くない。
It changes nothing in creation, depends entirely upon the madness of its maker, and cannot serve to justify the madness. - depend [dipénd] : 「〜次第である、〜による、〜に左右される」
- depend on : 「〜に頼る、〜を当てにする、〜によって決まる、〜次第である」
- entirely [intáiərli] : 「全く、完全に、全体に、ひたすら、もっぱら」
- madness [mǽdnəs] : 「狂気、熱狂、熱中」
- serve [sə́ːrv] : 「〜に役立つ、(目的を)果たす」
- justify [dʒʌ́stəfài] : 「弁明する、正当化する」
❖ "It changes nothing ~ "「それは、創造を何一つ変えない」。意味のないものを創造しても、創造にもならない、という意味合いだろう。"depends entirely upon ~ "「それは、完全に、作り手の狂気に依存している」。源から離れた創造者とは、狂気の創造者だ。つまり、増上慢(バカ)なのだ。疑似創造は、そういった狂気の増上慢に依存してなされるのである。"and cannot serve ~ "「そんな創造は、狂気を正当化する役に立つことなど出来はしない」。幻想世界で、泥饅頭(どろまんじゅう)を作っても、食うことさえ出来ないのだ。泥饅頭を、誰が正当化出来よう? 正当化出来ると言うのなら、泥饅頭を食ってみればいいのだ。さぞかし、うまかろう。
Your brother thinks he made the world with you. Thus he denies creation. With you, he thinks the world he made, made him. Thus he denies he made it.- deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
- creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
❖ "Your brother thinks ~ "「あなたの同胞は、あなたと共に、世界を作ったのだと思っている」。ここはむしろ、世界が、あなたと同胞を作ったのだと思っている、と述べるべきだったのだろう。つまり、物質的世界が、物質的あなたや同胞を作ったのだと。では、なぜ、このような逆転の言い方をしたのだろう? 多分にデカルトの『我思う、故に我在り』を意識しているように感じる。つまり、自分が思いを抱いている、その自分の存在は疑う余地はないのだという意味合いである。それを延長すれば、世界の存在はそれを意識している人間の意識性に依存するのであり、結果、世界を存在せしめているのは人間の意識性だということになるのだ。ところが、その意識をつくり出しているのは人間の肉体的頭脳であるから、物質が人間をつくり出し、人間の物質的頭脳が醸し出す意識が、物質的世界を存在せしめている、という構図になる。つまり、物質から、一歩も外に出ることが出来ないのだ。"Thus he denies ~ "「そうして、同胞は、創造を否定する」。神による神の子の創造を否定する。創造ではなく、化学反応と進化を信じるのだ。抽象概念ではなく、肉体的頭脳を信じるのだ。"With you, he thinks ~ "「あなたと一緒に、同胞は、彼が作った世界が彼を作ったのだと思っている」。彼の意識と共に物質的に生じた世界が、物質の人間を生じせしめたと思っている。"Thus he denies ~ "「こうして、彼は、彼が世界を作ったことを否定するのである」。つまり、彼の心がその心象を外部に投射して、この幻想世界を作ったことを否定するのである。・・・非常に哲学的な部分であり、浅学の私にとって、解釈の力量不足を痛感する部分である。どなたかにご教授願いたい部分ではある。