●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-27.II.6:1 ~ T-27.II.7:8

6. A miracle can offer nothing less to him than it has given unto you.
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • nothing less than : 「〜にほかならない、ほかならぬ〜で」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ "A miracle can offer ~ "「奇跡が同胞に差し出すことが出来るものは、あなたに与えたものにほかならない」。奇跡は、あなたと同胞に、同時に同じものを与える。同じ赦しであり、同じヒーリングであり、同じ救いである。



So does your healing show your mind is healed, and has forgiven what he did not do.
  • healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
  • forgiven [fərɡívn] : 「forgive の過去分詞」
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
❖ "So does your healing ~ "「したがって、あなたが同胞をヒーリングすることは、あなたの心が癒され、その同胞がやりもしなかったことを赦すということを示しているのだ」。あなたが他者をヒーリングすることは、あなた自身の心をヒーリングすることと等しい。他者が成したわけでもない罪を、それが幻想であると認識し受け流して赦せるのである。罪の意識をヒーリングするとは、そういうことである。



And so is he convinced his innocence was never lost, and healed along with you.
  • convinced [kənvínst] : 「確信して」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔、純真」
  • lost [lɔ́st] : 「lose の過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • along with : 「〜と一緒に、〜とともに、〜に加えて」
❖ "And so is he convinced ~ "「そこで、同胞は、彼の潔白性が決して失われたことがなかったと確信し、あなたと共に癒されのである」。同胞は、遠い昔、神を裏切って罪を犯してしまったと思い込んでいたが、それは幻想であると知り、赦されたのだ。彼の無辜性は決して汚されたことはなかったのだ。もちろん、同胞が赦され癒されたとき、同時に、あなたも癒されるのである。実相世界では、与えることと得ることはまったく同一であり、ヒーリングも然りである。



Thus does the miracle undo all things the world attests can never be undone.
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、このようにして」
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
  • attest [ətést] : 「証言する、証明する」
  • undone [ʌndʌ́n] : 「undo の過去分詞形」
❖ "Thus does the miracle ~ "「こうして、奇跡は、決して取り消しに出来ないとこの世界が証言したあらゆることを、取り消しにするのである」。幻想世界のあらゆる事象は、幻想世界から見れば既成事実であって取り消しになど出来ない。歴史は改竄出来はしないのだ。しかし、実相世界から見れば、幻想世界の出来事、諸事象は、単なる幻想であり、夢に過ぎない。いついかなる時でも、それは取り消しに出来るものなのである。歴史を改竄するのではない。そうではなく、歴史自体が夢の出来事の記録であって、夢の出来事に意味はないと認識を新たにすることなのだ。意味がないことは実相ではない、幻想である。実相には、夢も歴史もないのだ。



And hopelessness and death must disappear before the ancient clarion call of life.
  • hopelessness [hóuplisnis] : 「絶望、希望がないこと」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
  • disappear [dìsəpíər] : 「見えなくなる、存在しなくなる、消滅する」
  • ancient [éinʃənt] : 「古くからの、古い、古びた」
  • clarion [klǽriən] : 「クラリオン」
  • call [kɔ́ːl] : 「叫び、呼び声」
  • life [láif] : 「命、人命、生命、寿命」
❖ "And hopelessness and death ~ "「絶望も死さえも、いにしえのラッパが命を呼び求めるとき、消滅してしまうのである」。幻想が赦されヒーリングされたとき、絶望や死という幻想さえも消滅する。さて、"the ancient clarion call of life"「いにしえのラッパの、命を求める呼び声」とは何か。"ancient"「いにしえ」とは、神の子が神から分離したときのこと。神の子が、この幻想世界を心の外に投射して偽想像したときのことだ。その時以来、神の子は、真実の命を取り戻しなさいと、つまり、実相的な永遠不滅の命を復活させなさいと呼びかけられている。誰が呼びかけているのか。もちろん、神であり、ホーリー・スピリットであり、キリストである。ここの"clarion"「クラリオン、ラッパ」は、したがって、天の王国から響いてくる声、と考えればいいだろう。残念なことに、幻想世界にどっぷりと浸かったあなたには、その呼び声が聞こえなかったのだ。しかし、奇跡があなたと同胞を癒した今、あなたの耳にも同胞の耳にも、天の王国からの呼び声がはっきりと聞こえてくるに違いない。



This call has power far beyond the weak and miserable cry of death and guilt.
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力」
  • far beyond [bijάnd] : 「〜をはるかに超えて」
  • weak [wíːk] : 「弱い、劣っている、力がない、脆弱な」
  • miserable [mízərəbl] : 「惨めな、わずかな、悲惨な」
  • cry [krái] : 「叫び声、わめき声、泣き声」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "This call has power ~ "「この呼び声は、死や罪の発する弱々しく惨めな泣き声をはるかに凌(しの)ぐパワーをもっている」。この呼び声は、命の復活を告げる呼び声であって、幻想の死や罪の発する泣き声などかき消すほどのパワーをもっている。あなたは、その声に従って、実相的な永遠不変の命を復活させるのである。



The ancient calling of the Father to His Son, and of the Son unto His Own, will yet be the last trumpet that the world will ever hear.
  • last [lǽst] : 「終わりの、最後の」
  • trumpet [trʌ́mpət] : 「トランペット、ラッパ、拡声器」
  • hear [híər] : 「〜を聞く、聴く、〜が聞こえる」
❖ "The ancient calling of ~ "「このいにしえの、父なる神から神の子への、そして神の子から神の子自身への呼び声は、この世界がやがて耳にするであろう最後のラッパになるだろう」。天の王国からの命の呼びかけは、この幻想世界が赦されて消滅する最後の瞬間まで響き渡るだろう。そして、その呼び声は、神の子が天の王国に復活したとき、神の子を歓迎する喜びの歌に変わるだろう。



Brother, there is no death. And this you learn when you but wish to show your brother that you had no hurt of him.
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる、悟る」
  • wish [wíʃ] : 「望む、願う」
  • show [ʃóu] : 「見せる、示す」
  • hurt [hə́ːrt] : 「傷、けが、苦痛、痛み」
❖ "Brother, there ~ "「兄弟よ、死など存在しないのだ」。"And this you learn ~ "「あなたはこのことを、あなたが同胞から傷つけられたことなどなかったのだと、あなたの同胞に伝えたいとあなたが望んだときに、あなたは知ることになる」。同胞には、あなたを傷つけた罪があるとあなたは思い込んでいたが、それは幻想であり夢だったのだと知ったとき、そして、それを赦したとき、幻想は消滅し、死さえも消滅する。実相的に、死は存在しないと、あなたは知るのである。



He thinks your blood is on his hands, and so he stands condemned.
  • think [θíŋk] : 「〜を考える」
  • blood [blʌ́d] : 「血、血液、血筋」
  • stand [stǽnd] : 「立っている、立ち上がる、立つ」
  • condemned [kəndémd] : 「非難された、有罪と宣告された」
❖ "He thinks your blood ~ "「あなたの同胞は、彼の手にあなたの血が付いていると思っており、」あなたに傷を負わせたと思っており、"and so he stands ~ "「有罪を宣告された状態になっている」。自分は罪を犯したに違いないと、同胞は確信している。



Yet it is given you to show him, by your healing, that his guilt is but the fabric of a senseless dream.
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • fabric [fǽbrik] : 「織物、繊維、布、布地、構造、構成、組織」
  • senseless [sénslis] : 「無分別な、非常識な、常識がない、愚かな、無意味な」
  • dream [dríːm] : 「夢、夢現象、夢うつつの状態」
❖ "Yet it is given you ~ "「しかし、あなたには、同胞をヒーリングすることによって、彼にthat以下を示すことが課せられている」。"that his guilt is ~ "「同胞の罪は、意味のない夢の織物に過ぎないこと」を彼に示すことが、あなたに課せられている。同胞をヒーリングする中で、罪は幻想であると認識させ、受け入れて赦してしまうことが、あなたの役割である。



7. How just are miracles! For they bestow an equal gift of full deliverance from guilt upon your brother and yourself.
  • just [dʒʌ́st] : 「正しい、公正な、当然の、もっともな」
  • bestow [bistóu] : 「〜を授ける、与える、贈る」
  • equal [íːkwəl] : 「同等の、程度が等しい、均等な、平等な」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
  • full [fúl] : 「いっぱいの、全部の、全面的な、徹底した、完全な」
  • deliverance [dilívərəns] : 「救出、解放」
❖ "How just are ~ "「奇跡は、なんと公正であることか」。"For they bestow an ~ "「なぜなら、奇跡は、あなたの同胞やあなた自身の罪を完全に解放するという贈り物を、等しく授けるからである」。奇跡は、誰を助け誰を助けないというような差別はしない。しかも、奇跡を起こす者も、奇跡を起こされる者も、つまり、ヒーリングする者もヒーリングされる者も、等しく、幻想から解放してくれるのだ。だから、奇跡は完全に公平なのだ。



Your healing saves him pain as well as you, and you are healed because you wished him well.
  • save [séiv] : 「救う、助ける」
  • as well as : 「〜と同様に、〜と同じように」
❖ "Your healing saves ~ "「あなたがヒーリングすることで、同胞も痛みから救われ、あなたも痛みから救われる」。"and you are healed ~ "「あなたが同胞を健全にしたいと望むから、あなたは癒されるのだ」。あなたが同胞の病を治したいと思う想念が、奇跡的なヒーリングとして現実化する。奇跡は実相であり、与えることと得ることは等しいから、あなたの病も同時に癒されるのだ。あなたと同胞は自他一如であるから、当然の結果である。



This is the law the miracle obeys; that healing sees no specialness at all. It does not come from pity but from love.
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
  • obey [oubéi] : 「〜に従う、服従する」
  • specialness [spéʃəlnis] : 「特別性、特別であること」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
  • come from : 「〜から来る、〜に由来する、源を〜に発する」
  • pity [píti] : 「哀れみ、かわいそうなこと、同情、残念なこと」
❖ "This is the law ~ "「これが、奇跡の従う法である」。他者を癒してあげたいという思いが現実化し、他者もあなたも同時に癒されるということは、実相的な必然であって、いわば奇跡の法である。"that healing sees ~ "「つまり、ヒーリングは、まったく特別性をもたないのだ」。奇跡は完全に平等である。無差別である。非差別である。"It does not come ~ "「奇跡は、哀れみから生まれるのではなく、愛から生み出されるものだからである」。特別に哀れみを感じた者をヒーリングするのではなく、誰に対しても愛を感じてヒーリングは成されるのだ。実相的な愛は普遍的である。愛は完全に平等なのだ。したがって、普遍的な愛に従う奇跡も、必然的に普遍的となる。これもまた、奇跡の従う法である。



And love would prove all suffering is but a vain imagining, a foolish wish with no effects.
  • prove [prúːv] : 「証明する、立証する、〜であることが分かる」
  • suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
  • vain [véin] : 「無駄な、無益な、無価値な、空虚な」
  • imagining [imǽdʒiniŋ] : 「想像、錯覚、気のせい」
  • foolish [fúːliʃ] : 「ばかばかしい、思慮のない、愚かな」
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
  • effect [ifékt] : 「効果、効力、結果、影響、作用」
❖ "And love would prove ~ "「愛は、あらゆる苦しみは空虚な想像であり、何の影響力ももたない愚かな望みだと証明してくれるだろう」。愛は、苦しみや絶望が、あるいは痛みや死が、愚かな幻想に過ぎないのだと証言している。実相世界の真実である愛の周りには、見渡してみても、苦しみや絶望や痛みや死は存在していないのだ。したがって、苦しみや絶望や痛みや死が存在しているのは、この幻想世界だけであって、よって、苦しみや絶望や痛みや死は幻想なのである。



Your health is a result of your desire to see your brother with no blood upon his hands, nor guilt upon his heart made heavy with the proof of sin. And what you wish is given you to see.
  • health [hélθ] : 「健康、健康状態、調子、健全、繁栄」
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、成り行き、効果、成果、成績」
  • desire [dizáiər] : 「欲望、欲求、願望、念願」
  • heart [hάːrt] : 「心臓、胸、心」
  • make : 「〜の状態を作り出す、〜にする、〜になる」
  • heavy [hévi] : 「重い、激しい、重みのある、深刻な、耐え難い」
  • proof [prúːf] : 「証拠、立証、証明、証し」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
❖ "Your health is a result ~ "「あなたが健康でいられるのは、手に血など付いていないあなたの同胞を目にしたいというあなたの望みの結果なのだ」。あなたが、同胞はあなたを傷つけたりしていないし罪はないと信じることが、あなたの健康を保っている。つまり、罪という幻想に毒されていない限り、あなたは健康であり、病に犯されることはない。"nor guilt upon his heart ~ "「また、罪の証拠を抱え込んで、罪悪感が心に重くのし掛かったりしていない同胞の姿を目にしたいというあなたの望みの結果があなたを健康にしているのだ」。"And what you wish ~ "「あなたが望んだものが、あなたに与えられ、目にすることになるのである」。想念は現実化し、目の前に現れる。あなたが、同胞を無辜の姿として目にしたいと望めば、それは真実であるから、無辜なる同胞が現実化して、あなたの目の前に現れるのだ。それは同時に、あなたの無辜性を証明していることになる。無辜であることが、健康なのだ。
 
 
 


T-27.II.4:1 ~ T-27.II.5:9

4. Forgiveness is not real unless it brings a healing to your brother and yourself.
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • real [ríəl] : 「実在する、存在する、現実の、実際の、本物の」
  • unless [ənlés] : 「でない限り、〜である場合を除いて」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
❖ "Forgiveness is not real ~ "「赦しは、それがあなたの同胞やあなた自身にヒーリング(癒し)ををもたらさない限り、現実のものではない」。幻想を幻想として受け入れ、受け流して赦すことで、幻想から解放させるという癒しが実行されない限り、それは本当の赦しとは言えない。ヒーリングという奇跡は、実相的な赦しと同時に進行するのである。



You must attest his sins have no effect on you to demonstrate they are not real. How else could he be guiltless?
  • attest [ətést] : 「〜が正しいと証明する」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • have no effect [ifékt] on : 「〜には影響がない」
  • demonstrate [démənstrèit] : 「実証する、証明する、明示する」
  • else [éls] : 「別の方法で、ほかに」
  • guiltless [ɡíltlis] : 「罪のない、潔白な、経験のない」
❖ 本当の赦しによって、"You must attest ~ "「同胞の罪が現実に存在するものではないとあなたが実証することに対して、その罪は何の影響も持っていないのだと、あなたは証明して見せなければならない」。"to demonstrate they are not real"「同胞の罪は、現実に存在するものではないと実証する」とは、罪が幻想に過ぎないことを実証するということ。罪はそもそも幻想なのだから、罪は幻想だと証言する実相的行為に影響を与えることはない。幻想の罪にまったく影響されることなく、罪が幻想であると証言し、受け入れ、受け流すことが、実相的な赦しである。その赦しが成立したとき、幻想の罪は消滅するのだ。取り消されるのである。



And how could his innocence be justified unless his sins have no effect to warrant guilt?
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔、純真」
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「弁明する、正当化する」
  • warrant [wɔ́ːrənt] : 「〜の正当な理由となる、〜は当然である、〜を正当化する」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "And how could his ~ "「同胞の罪は、有罪だとする理由付けに何の影響も与えることがないということがない限り、同胞の潔白生は、どうやって正当化され得るだろうか」。回りくどい言い方をしているが、要するに、同胞の罪が幻想に過ぎず、実相的証言に影響を与えることがまったくないので、同胞の潔白生が確実に実証されるのだ、ということ。"his innocence be justified"「同胞の潔白生が正当化される」とは、同胞の潔白生が、つまり、罪など無く、完全な無辜なのだと、正当に実証される、ということ。



Sins are beyond forgiveness just because they would entail effects that cannot be undone and overlooked entirely.
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を超越して」
  • entail [entéil] : 「〜を伴う、必要とする、引き起こす」
  • undone [ʌndʌ́n] : 「undo の過去分詞形」
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
  • overlook [òuvərlúk] : 「見て見ぬふりをする、見過ごす、大目に見る、許す」
  • entirely [intáiərli] : 「全く、完全に、全体に、ひたすら」
❖ "Sins are beyond forgiveness ~ "「罪は、赦しを越えたところにある」。"just because they ~ "「それは単に、罪は、完全に取り消されたり見過ごされたりすることのない影響を伴うからである」。罪が幻想などでなく、罪を犯した結果が取り消しに出来ない事実なら、罪は赦しを越えている。その罪が、赦しとは無関係に、実相的に既成事実として存在してしまうからだ。真実存在した事実は取り消されることはない。しかし、罪が幻想なら、それは単なる誤りであり、簡単に取り消しが出来るものなのだ。



In their undoing lies the proof that they are merely errors.
  • undoing : 「解くこと、取り消し」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • proof [prúːf] : 「証拠、立証、証明、証し、裏付け」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に、たかが〜にすぎない」
  • error [érər] : 「誤り、間違い、ミス、誤字、誤用」
❖ "In their undoing ~ "「罪は取り消しに出来るという(事実の)中に、罪が単なる誤りである証拠がある」。罪は、実相的な影響力を何ももっていないのだ。先ほど、罪が幻想でないなら、罪は実相的既成事実として存在する、と書いたが、実相世界に罪が存在することは原理的に不可能である。実相世界は一元論世界であり、潔白性や無辜性は存在するが、その対極概念の罪、罪悪は存在し得ない。したがって、罪があるように見えるのは、この幻想世界にあるからであり、罪は幻想なのだ。取り消し可能な誤りに過ぎないのである。



Let yourself be healed that you may be forgiving, offering salvation to your brother and yourself.
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する」
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
❖ "Let yourself be ~ "「あなた自身をヒーリングしなさい」。"that you may ~ "ここの"that"は"so that"のこと、「その結果、〜するために」、「そうすれば、あなたは赦しを与えることが出来るだろうし、あなたの同胞やあなた自身に救いを差し延べることが出来るだろう」。罪が幻想ではなく実相であるなら、罪は取り消しに出来ないし、赦しを超越している。しかし、事実は、罪は幻想である。単なる誤りである。誤った夢を見たということだ。だから、取り消しにも出来るし、赦すことも可能だ。したがって、ヒーリングという奇跡が可能なのであり、幻想からの救いが成立するのである。



5. A broken body shows the mind has not been healed. A miracle of healing proves that separation is without effect.
  • broken [bróukn] : 「壊れた、故障した、損傷している」
  • show [ʃóu] : 「見せる、示す」
  • prove [prúːv] : 「証明する、〜となる、〜であると分かる」
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • without effect : 「効果がなくて、無効で」
❖ "A broken body ~ "「病んだ肉体は、心がまだヒーリングされていないことを示している」。"A miracle of healing ~ "「ヒーリングという奇跡は、分離は何の影響力ももたないことを証明している」。心が幻想の罪の意識に犯されているとき、その証拠が肉体の病に表される。しかし、それはヒーリング可能なのだ。心の罪を赦して、罪を取り消しにすればいい。心は罪から解放され、肉体の病は消滅する。このように、ヒーリングは奇跡を起こすのだが、それは、罪が幻想に過ぎず、罪を消滅させることが可能だということに立脚する。ところで、罪は、分離の象徴である。神の子が神から分離したことを、神への裏切りと捉えて、罪の意識をもつに至ったのだ。したがって、罪が幻想であるなら、その源である分離も幻想である。幻想の分離が影響力を持たないことは、幻想の罪がヒーリングされることで証明されるのだ。



What you would prove to him you will believe. The power of witness comes from your belief.
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力」
  • witness [wítnəs ] : 「目撃者、証人、証拠、証言」
  • come from : 「〜から来る、〜に由来する、源を〜に発する」
❖ "What you would prove ~ "「あなたが同胞に証明して見せることを、あなたは信じるであろう」。奇跡のヒーリングを行い、罪が消滅可能な幻想に過ぎないことを同胞に証明して見せたことを、もちろん、あなたは信じているのだ。逆に、それを信じていなかったら、奇跡のヒーリングは成立しない。"The power of witness ~ "「証明するパワーは、あなたの信じる気持ちに由来するのだ」。信じる気持ちがなければ、奇跡もヒーリングも赦しも、実相的真実は不可能になってしまう。



And everything you say or do or think but testifies to what you teach to him.
  • testify [téstəfài] : 「証言する、証明する」
  • testify to : 「〜を立証する、〜を証明する」
  • teach [tíːtʃ] : 「〜を教える、指導する」
❖ "And everything you ~ "「あなたの言うこと、成すこと、考えることは、あなたが同胞に教えることを証明しているのだ」。あなたが何を信じて同胞に教えを与えているか、それを証明するのはあなたの言動である。つまり、あなたの普段の言動自体が、奇跡を生む母体になっているのである。仏壇や神棚の前に座った時だけ信心深いだけではダメである。普段に何を信じて行動しているか、それが奇跡の成就の鍵を握っている。



Your body can be means to teach that it has never suffered pain because of him.
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、被る」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛、苦痛、骨折り」
❖ "Your body can be ~ "「あなたの肉体は、that以下を教える道具になり得るのだ」。"that it has never ~ "「肉体は、同胞のせいで痛みを負ったりすることは決してない」と教える道具になり得るのだ。肉体も痛みも幻想であって、幻想の攻撃によって傷つくことはない。実相に目覚めることが出来れば、肉体から超越し、痛みからも超越出来る。これを実際に示した実例が、イエス・キリストの磔刑と復活であろう。一般の教義が教えるところの、イエスが十字架上で痛みに悶絶し、苦しんで死んだと解釈するのは誤っている。イエスは、すでに肉体から出ていたと解釈すべきだ。イエスは、すでに実相に目覚め、肉体を超越したのだ。十字架に架けられたのは、いわばイエスの肉体という抜け殻である。イエスの抜け殻の肉体は、通常の痛みを感じることもなく、死とも無関係であったのだ。イエスの復活はそれを示している。



And in its healing can it offer him mute testimony of his innocence.
  • mute [mjúːt] : 「沈黙した、黙音の、無言の、黙秘の」
  • testimony [téstəmòuni] : 「証言、証拠、証明」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔、純真」
❖ "And in its healing ~ "「そして、肉体がヒーリングされる中に、同胞に対して、同胞は潔白であるという無言の証言を差し出しているのである」。同胞はあなたの肉体を攻撃し、あなたに痛みを強いたという罪を感じているかも知れないが、あなたが、それを幻想として認識し、赦すことで肉体を癒すことが出来たとき、同胞は、実は罪を犯してもいないし、あなたの肉体を痛めることもしていなかったのだと、あなたは無言の内に、同胞に示したことになるのだ。



It is this testimony that can speak with power greater than a thousand tongues. For here is his forgiveness proved to him.
  • great [gréit] : 「大きい、大きな、巨大な」
  • thousand [θáuzənd] : 「1000の、1000個の、1000人の」
  • tongue [tʌ́ŋ] : 「舌、言葉、言語」
❖ "It is this testimony ~ "強調構文、「千人の言葉による証言よりも大きなパワーをもって語りかけることが出来るのは、この無言の証言である」。"For here is his forgiveness ~ "「なぜなら、この無言の証言によって、彼の赦しが彼に対して証明されるからである」。同胞があなたの肉体に対して罪を犯したという事実は、実は幻想であって、実相的にはそんなことは起きなかったのだと認識することが出来、それを受け入れて受け流し、赦されたのだ。同胞は赦されることで罪は消滅し、あなたと同様に潔白であることが証明されたのだ。この証明に言葉はいらない。無言の内に赦せばいいのだ。




T-27.II.2:1 ~ T-27.II.3:11

2. The unhealed cannot pardon. For they are the witnesses that pardon is unfair.
  • unhealed [ʌnhíːld] : 「治癒していない、未治癒の」
  • pardon [pάːrdn] : 「許す、赦免する、放免する」
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、証拠、証言」
  • pardon [pάːrdn] : 「寛容、許し、恩赦、大赦」
  • unfair [ʌnfέər] : 「不公正な、公正を欠いた、不公平な」
❖ "The unhealed ~ "「心の病が癒されていない者は、許すことさえ出来ない」。他者の罪を暴き、攻撃することばかりを考えている、心の病んだ者は、許しを知らない。"For they are ~ "「なぜなら、彼らは、許すことは不公正だと言う証人だからだ」。罪ある者は罰せられるのが正当であって、決して罪を許してはいけないと信じているのだ。ここの"pardon"「許し」は、容認という意味であって、実相的な"forgiveness"「赦し」ではない。



They would retain the consequences of the guilt they overlook. Yet no one can forgive a sin that he believes is real.
  • retain [ritéin] : 「〜を保有する、保つ、保持する、持ち続ける」
  • consequence [kɑ́nsəkwèns] : 「結果、結論、結末、帰結、因果関係」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • overlook [òuvərlúk] : 「見過ごす、大目に見る、許す、目をつぶる」
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "They would retain ~ "「心の病が癒されていない者は、彼らが見過ごした罪という結果を保持しようとする」。他者の罪を見過ごしてしまっても、許すことなく、それを保持しようとする。"Yet no one can ~ "「しかし、誰も、実在すると信じている罪を赦すことは出来ないのだ」。ここの"forgive"は微妙なのだが、ここでは、罪を許容し許すことも出来なければ、また、実相的に赦すことも出来ない、と解釈しておこう。罪が実在すると信じていることは、彼が幻想の実在を信じていることであって、したがって、心が病んでいるのだ。罪が事実として実在すると信じているから、その罪を許すことも、容認することも、大目に見ることも、もちろん、実相的に、その罪は幻想だとして受け流し赦すことも出来ないのである。



And what has consequences must be real, because what it has done is there to see.
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "And what has consequences ~ "「結果があるものは、実在しているに違いない」。"because what it has ~ "「なぜなら、なされたことは、そこに目に見える形で存在するからだ」。罪が結果ならば、罪は犯されたことになり、事実として実在するに違いない。ならば、夜見る夢の中で、あなたが人を殺(あや)めてしまったなら、あなたは、殺人という罪を犯したことになるのか。そんなバカな話しはない。



Forgiveness is not pity, which but seeks to pardon what it thinks to be the truth.
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • pity [píti] : 「哀れみ、かわいそうなこと、同情」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "Forgiveness is not ~ "「赦しは、同情などではない」。"which but seeks ~ "「同情は、罪が事実だと思うことを許そうとすることである」。罪への同情や容認は、罪を犯したことを事実として認めた上で、つまり、罪の実在性を認めた上で、それを容認し、それに対して同情することを意味している。それに対して、実相的な赦しは、罪そのものが幻想であって、実在ではないと認めることなのだ。



Good cannot be returned for evil, for forgiveness does not first establish sin and then forgive it.
  • good [ɡúd] : 「親切、善、徳」
  • return [ritə́ːrn] : 「〜を返す、戻す、返却する、〜に答える」
  • evil [íːvl] : 「害悪、悪、弊害」
  • first [fə́ːrst] : 「一番目に、一等で、一位で」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、成立させる、達成する」
❖ "Good cannot be ~ "「悪に対して、善が返されることは不可能だ」。"for forgiveness does ~ "「なぜなら、赦しとは、初めに罪を確立しておいて、次にその罪を赦すというものではないからだ」。実相的な赦しは、罪の存在を認めてそれを確立し、その後で、実在する罪を赦すというものではない。罪の存在そのものを否定することなのだ。したがって、罪という悪に対して、赦しという善が返されるのではない。罪という悪自体が存在しないのだと認識することが、実相的な赦しなのである。



Who can say and mean, "My brother, you have injured me, and yet, because I am the better of the two, I pardon you my hurt. "
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • injure [índʒər] : 「傷つける、痛める、苦しめる」
  • better [bétər] : 「より良い、より優れている、優越する」
  • hurt [hə́ːrt] : 「傷、けが、苦痛、痛み、苦痛」
❖ "Who can say and ~ "「一体誰が、次のような意味内容を言うことが出来ようか」。""My brother, you have ~ "「『我が同胞よ、お前は私を傷つけたが、私は二人の中でより優越であるから、お前が私を傷つけたことを許しあげよう』」。こんな、鼻持ちならない事を発言する者は、よもやいるまいが、心の奥底を辿れば、こんな横柄な気持ちが見え隠れしているに違いない。



His pardon and your hurt cannot exist together. One denies the other and must make it false.
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
  • together [təɡéðər] : 「一緒に、同時に」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • false [fɔ́ːls] : 「本物でない、偽りの、偽の、正しくない、誤った」
❖ "His pardon and ~ "「彼を許しやることとあなたの傷は、同時に存在出来ないのだ」。彼を許したからといってあなたの傷が癒えるわけでもなく、あなたの傷が癒えたからといって彼を許したわけでもない。"One denies the other ~ "「一方は他方を否定し、それを偽りに変えてしまうに違いない」。彼を許せば、あなたの傷は癒えることはなくなり(許しが傷の回復を否定する)、傷が癒えない限り、彼への許しを認めないだろう(傷が許しを否定する)。傷が癒えないのに許してしまえば、その許しは嘘っぽくなる(許しを偽りに変えてしまう)。許しを拒絶すれば、傷はますますその傷口を広げ、嘘っぽい傷となる(傷を偽りに変えてしまう)。



3. To witness sin and yet forgive it is a paradox that reason cannot see.
  • witness [wítnəs] : 「〜を証言する、〜を証明する」
  • paradox [pǽrədɑ̀ks] : 「逆説、パラドックス、逆理」
  • reason [ríːzn] : 「理性、理知、良識、分別、正気」
❖ "To witness sin ~ "「罪の存在を証言することと、その罪を許すことは、理性では理解出来ないパラドックスである」。奇妙なトリック、巧妙な偽善が隠されているのだ。



For it maintains what has been done to you deserves no pardon.
  • maintain [meintéin] : 「〜と主張する、〜を保持する、維持する」
  • deserve [dizə́ːrv] : 「〜を受けるに値する、〜の価値がある、〜にふさわしい」
❖ "For it maintains what ~ "「なぜなら、その証言は、あなたになされたことは、許しに値しないと主張してしるのだから」。罪の存在を証言するとは、あなたになされた罪深い行為は許しに値しないと証言することに等しい。許されないから、罪なのだ。そう主張しながら、罪を許したなら、これは矛盾でありパラドックスである。



And by giving it, you grant your brother mercy but retain the proof he is not really innocent.
  • grant [grǽnt] : 「許可する、承諾する、かなえてやる」
  • mercy [mə́ːrsi] : 「慈悲、情け、寛大な措置」
  • retain [ritéin] : 「〜を保有する、保つ、保持する」
  • proof [prúːf] : 「証拠、立証、証明、証し」
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
  • innocent [ínəsənt] : 「潔白な、無罪の、無実の、罪のない」
❖ "And by giving it, you ~ "「そして、許しを与えることで、あなたは、あなたの同胞に慈悲を叶えてやるのだが、同時に、」"but retain the proof ~ "「その同胞は本当は潔白ではないという証拠を保持するのである」。お前は潔白ではなく、罪があるのだが、私はそんなお前を許してよろう、というわけである。巧妙な偽善を働くことで、あなたは同胞に対して優勢を保つのだ。あなたは特別に慈悲深い人間であって、その同胞より存在価値が高いと確信するのである。



The sick remain accusers. They cannot forgive their brothers and themselves as well.
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
  • accuser [əkjúːzər] : 「刑事訴訟の原告、告訴人、告発人」
  • as well : 「同じに、同様にうまく」
❖ その一方で、"The sick remain ~ "「病をもった者は、依然として、罪を告発し続ける」。"They cannot forgive ~ "「彼らは、同胞はもちろん、自分自身も同様に許せないのだ」。自分の罪をごまかして許せないから、それが病となって現象化しているのだ。自分を許せない者に、どうして他人が許せるだろうか。



For no one in whom true forgiveness rests can suffer. He holds not the proof of sin before his brother's eyes.
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • rest [rést] : 「ある、置かれている」
  • suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、苦痛を感じる、病気をする」
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
❖ "For no one in whom ~ "「なぜなら、本当の赦しが心の中ある者は、誰も傷ついたり出来ないからだ」。実相的な赦しを知っている者は、傷つくことも病になることもない。傷も病も幻想に過ぎないと知っているから、そんな幻想を消滅出来るのだ。"He holds not the proof ~ "「彼は、同胞の目の前に、罪の証拠を持ち出すことはない」。なぜなら、罪の証拠など存在しないからだ。赦しを知った者は、罪の証拠など、捏造された幻想であると分かっている。



And thus he must have overlooked it and removed it from his own.
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • overlook [òuvərlúk] : 「見て見ぬふりをする、見過ごす、大目に見る」
  • remove [rimúːv] : 「取り除く、取り去る、取り外す、除去する」
❖ "And thus he must have ~ "「こうして、本当の赦しを知った者は、同胞の罪を見過ごしてやり、彼自身の目からも、罪の証拠を除去したのである」。罪や罪の証拠が幻想であると知って、受け入れ受け流し、罪という幻想を赦したのだ。赦されて、幻想は消滅し、同胞の心の中にも、あなたの心の中にも、幻想の罪は存在しなくなった。



Forgiveness cannot be for one and not the other. Who forgives is healed.
  • heal [híːl] : 「癒やす、救う、治す、治癒する、治療する」
❖ "Forgiveness cannot be ~ "「赦しは、誰か一人のためにあるのではなく、また、誰か他人のためにあるのでもない」。赦す者と赦される者が、同時に、幻想から解放されるのだ。"Who forgives ~ "「赦す者は、癒されるのである」。赦し、癒す者が、赦され、癒されるのだ。自他一如であるから、当然といえば当然である。しかし、その当然が、奇跡なのだ。



And in his healing lies the proof that he has truly pardoned, and retains no trace of condemnation that he still would hold against himself or any living thing.
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に、心から、誠実に」
  • pardon [pάːrdn] : 「許す、赦免する、放免する」
  • retain [ritéin] : 「〜を保有する、保つ、保持する、持ち続ける」
  • trace [tréis] : 「跡、足跡、形跡、痕跡」
  • condemnation [kὰndemnéiʃən] : 「有罪宣告、激しい非難、糾弾」
  • against [əɡéinst] : 「〜に反対して、〜に逆らって、〜に不利にs」
  • living [líviŋ] : 「生きている、現存する、活気のある、生命のある」
❖ "And in his healing lies ~ "「そして、ヒーリングを施す中に、本当に赦すという証拠が存在する」。実相的なヒーリングとは、罪を幻想として赦すことであり、赦すことで幻想を消滅させることなのだ。ヒーリングの中にこそ、真実の赦しが存在する。"and retains no trace ~ "「そして、その証拠は、いまだに自分に対して、あるいはあらゆる命ある者達に対して抱いていたいと思うような非難の痕跡の一かけらも保持してはいない」。赦しの証拠となるヒーリングの中には、罪への非難、罪への断罪の一かけらもない。罪は幻想だと知っている者が、そんな幻想を断罪するわけがないのだ。夢に見たことを非難する者がいるだろうか。
 
 
 


T-27.I.11:1 ~ T-27.II.1:10

11. The simple way to let this be achieved is merely this; to let the body have no purpose from the past, when you were sure you knew its purpose was to foster guilt.
  • simple [símpl] : 「簡単な、簡素な、単純な、容易な」
  • way [wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
  • achieve [ətʃíːv] : 「成し遂げる、達成する、成就する、実現する」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に、たかが〜にすぎない」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • sure [ʃúər] : 「確信して、確信している、固く信じている」
  • foster [fɔ́ːstər] : 「〜を育てる、養育する、育成する」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "The simple way to let ~ "「これが成し遂げられるための簡単な方法は、単に次のようにすることだ」。"this"「これ」とは、誰からも攻撃されることのない、永遠に健やかで、愛らしい肉体を獲得すること。肉の塊という幻想の肉体を消滅させ、精妙な想念の肉体を出現させること。"to let the body have ~ "「肉体に、過去からの目的をもたせないようにすること」。"when you were sure ~ "「と言うのも、過去にあなたは、肉体のもっている目的は罪を育てるものだと確かに知っていたのだから」。肉体から、罪の助長という古い過去の目的を払拭して、実相世界へ目覚めるための道具という新しい目的をもたせるのである。



For this insists your crippled picture is a lasting sign of what it represents.
  • insist [insíst] : 「〜を強く主張する」
  • crippled [krípld] : 「手足の不自由な」
  • picture [píktʃər] : 「絵、像、絵画」
  • lasting [lǽstiŋ] : 「長続きする、耐久力のある、永久の、永続する」
  • sign [sáin] : 「標示、サイン、標識、表れ、兆し、兆候、印」
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する、象徴する」
❖ "For this insists your ~ "「なぜなら、肉体のもつ過去の目的は、あなたの欠陥だらけの絵図が、絵図の主張することの印をいつまでも保とうと強いるからだ」。"your crippled picture"「あなたの欠陥だらけの絵図」とは、ホーリー・スピリットの描く、完全に無辜(むこ)で美しい肉体ではなく、十字架に架けられた傷だらけの、罪を背負った肉体の絵図、ということ。"sign of what it represents"「絵図が表現することの印」とは、肉体が罪の象徴となっているということ。肉体は、神の子が自分の罪の重さに耐えかねて、自己乖離した結果として、生み出された幻想である。罪が実在すると信じている限り、肉体は罪の存在を証言する象徴となってしまうのだ。本文は、そういう、あなたが描いた負のイメージの肉体の絵図を、いつまでも温存させてはいけない、ということ。



This leaves no space in which a different view, another purpose, can be given it. You do not know its purpose.
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする」
  • space [spéis] : 「余地、空間、スペース、場所」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • view [vjúː] : 「意見、見識、考え、物の見方、見解、光景、景色」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ "This leaves no space ~ "「肉体をこんな風に見ることは、それとは異なる見方をするための余地を与えないのだ」。"another purpose ~ "「つまり、肉体に与えられ得る、また別の目的の余地がなくなるのである」。もっとも、まだ今は、"You do not know ~ "「あなたは、肉体のもつ(また別の)目的を知ってはいないのだが」。肉体が罪の意識を助長という見方以外に、実相世界へ目覚めるための道具という新しい見方があるのだ。



You but gave illusions of a purpose to a thing you made to hide your function from yourself.
  • gave [géiv] : 「give の過去形」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き」
❖ 知らないどころか、"You but gave illusions of ~ "「あなたの(本当の)役割をあなた自身から隠すために、あなたが作り上げたものに対して、幻想の目的を与えてしまったのだ」。肉体は、幻想世界からの解放を手助けするための道具なのだが、そして、それを実行することがあなたの役割なのだが、あなたは、肉体を攻撃のための道具とし、数々の欲を満たすための道具としている。あなたは、肉体のもつ実相的な目的をあなた自身に隠すために、そんな幻想の目的を肉体に与えてしまったのだ。



This thing without a purpose cannot hide the function that the Holy Spirit gave.
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
❖ "This thing without ~ "「(本当の)目的をもたない、こんなことは、ホーリー・スピリットが与えた役割を覆い隠すことなど出来はしない」。肉体を攻撃のための道具とし、数々の欲を満たすための道具とすることは、ホーリー・スピリットの目的である幻想からの救いと解放という、肉体のもつ本当の目的を隠蔽することなど出来ない。



Let, then, its purpose and your function both be reconciled at last and seen as one.
  • reconcile [rékənsàil] : 「調和させる、調整する、一致させる」
  • at last : 「最後に、ついに、とうとう、やっと、ようやく」
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
❖ "Let, then, its purpose ~ "「ならば、ついに、肉体のもつ目的とあなたの役割の両方を調和させ、一つと見なせるようにしなさい」。肉体を攻撃や欲の目的のために使うのではなく、幻想世界からの解放のために使いなさい。それが、肉体のもつ実相的な目的であり、それが、あなたのもつ実相的な役割なのだから。両者を調和させ、一つにするべきなのだ。
 
 
 
 
 
II. The Fear of Healing
ヒーリングに対する恐れ


1. Is healing frightening? To many, yes. For accusation is a bar to love, and damaged bodies are accusers.
  • healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
  • frightening [fráitniŋ] : 「恐ろしい、怖い」
  • accusation [æ̀kjuzéiʃən] : 「告発、罪、とがめ、責め、非難、告訴」
  • bar [bάːr] : 「棒、柵」
  • bar to : 「〜への障害」
  • damaged [dǽmidʒd] : 「損傷を受けた、損傷した、傷んだ、壊れた」
  • accuser [əkjúːzər] : 「刑事訴訟の原告、告訴人、告発人」
❖ "Is healing ~ "「ヒーリングは、怖いことだろうか」。"To many ~ "「多くの者にとっては、そうである」。"For accusation is ~ "「なぜなら、罪のとがめが愛を妨害し、」"and damaged bodies ~ "「傷を負った肉体が、罪を告発するからだ」。自分に罪があると思えば、自分は他者を愛したり、他者から愛される価値などないと思い、愛を遮断してしまうだろう。肉体が病に犯されていれば、心に罪があるから、その罰として病になったと思うだろう。罪は実在であり、決して消すことの出来ない烙印だと信じているので、ヒーリングだけで愛や健康が回復出来ると思えないのだ。むしろ、古傷を暴れて、傷口が広がるだろうという恐れが先行する。



They stand firmly in the way of trust and peace, proclaiming that the frail can have no trust and that the damaged have no grounds for peace.
  • stand [stǽnd] : 「立っている、立ち上がる、立つ」
  • firmly [fə́ːrmli] : 「堅固に、きっぱりと、断固として、確固として」
  • in the way of : 「〜の邪魔になって、〜の行く手をふさいで」
  • trust [trʌ́st] : 「信頼、信用」
  • have trust : 「信頼する」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
  • frail [fréil] : 「虚弱な、もろい、壊れやすい」
  • damaged [dǽmidʒd] : 「被害を受けた、損傷した、傷んだ」
  • ground [ɡráund] : 「根拠、原因、理由、地面、地盤」
❖ "They stand firmly ~ "「ヒーリングに対する恐れは、頑(かたく)なに、信頼と平和の道に立ちはだかる」。恐れが、信頼と平和を導くヒーリングを拒絶している。"proclaiming that the frail ~ "「そして、恐れは、脆い者は信頼出来ず、傷ついた者は平和の基盤がないと主張するのだ」。ヒーリングへの恐れは、罪を負って愛に値しない者は、信頼することも信頼されることもないと、あるいは、心に罪という烙印を押された傷ついた者は、心安らかになる資格さえないのだと、主張するのだ。



Who has been injured by his brother, and could love and trust him still? He has attacked and will attack again.
  • injure [índʒər] : 「傷つける、痛める、けがをさせる、苦しめる」
  • trust [trʌ́st] : 「信用する、信頼する」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
❖ "Who has been injured ~ "「いったい誰が、同胞によって傷つけられ、」"and could love and ~ "「しかもなお、その同胞を信頼し愛することなど出来るだろうか」。"He has attacked and ~ "「その同胞は攻撃したのであり、再び攻撃するだろう」。攻撃する者を、信頼することも愛することも出来ない。ところで、ここから、前文との整合性はなくなる。むしろ、新しい展開として段落を変えるべき箇所だろう。



Protect him not, because your damaged body shows that you must be protected from him.
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
  • damaged [dǽmidʒd] : 「被害を受けた、損傷した、傷んだ」
❖ "Protect him not"「攻撃する者を、守ることはない」。"because your damaged ~ "「なぜなら、あなたこそが、攻撃する者から守られるべきだと、あなたの傷ついた肉体は示しているからだ」。あなたの肉体を攻撃し、傷つける者を、正当だとして守ることはない。たとえ、あなたに罪があったとしても、攻撃は不当である。



To forgive may be an act of charity, but not his due. He may be pitied for his guilt, but not exonerated.
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • act [ǽkt] : 「行為、活動、言動」
  • charity [tʃǽrəti] : 「慈悲、寛容、思いやり」
  • due [djúː] : 「当然支払われるべきもの」
  • pity [píti] : 「〜をかわいそうに思う、気の毒に思う、哀れむ、〜に同情する」
  • exonerate [igzɑ́nərèit] : 「〜の容疑を晴らす、〜の潔白を証明する」
❖ "To forgive may ~ "「容認することは、慈悲的な行為ではないし、攻撃する者に慈悲は値しない」。ここの"to forgive"は、「赦し」と解釈すべきではない。攻撃を赦すのではなく、攻撃を容認することを意味しているからだ。"He may be ~ "「攻撃する者は、その罪深さを哀れむに値するかもしれないが、正当だとして許されるものではない」。攻撃は、どんな理由があっても、正当化されないし、容認出来るものではない。



And if you forgive him his transgressions, you but add to all the guilt that he has really earned.
  • transgression [trænsɡréʃən] : 「罪、違反、逸脱、破戒、犯罪」
  • really [ríəli] :「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
  • earn [ə́ːrn] : 「〜を得る、稼ぐ、〜を獲得する」
❖ "And if you forgive ~ "「もし、あなたが、攻撃する者の罪を容認したなら、」"you but add to all ~ "「彼が実際に犯したあらゆる罪の上に、また罪を積み上げることになる」。これまで、ACIMは、罪も攻撃も赦すべきだと主張してきた。それに矛盾する言動だと思われるかも知れない。しかし、次のように解釈すべきなのだ。攻撃者の攻撃性も、その罪深さも、ひとたび容認してしまえば、想念が現実化することによって、その攻撃性も罪も、現実化し、確定してしまうのである。そんなことは避けるべきであって、したがって、攻撃者の攻撃性もその罪も、容認してはいけない。では、容認の逆の行為として、攻撃者の攻撃性と罪を否定すればいいのか? ACIMは、そうではないと、今まで述べてきた。攻撃性と罪を強く否定し、非難し攻撃すれば、それはそれで、想念が現実化して、攻撃性と罪は負の価値をもって現実化し、固定化してしまうからだ。ACIMは、そこで、容認でも否定でもなく、『赦せ』と言う。赦しは、容認とはまったく異なる。実相的に、攻撃は存在することさえなく、したがって罪も実相的に存在しない。実相世界の神の子は、攻撃することも出来なければ、罪を与えることもない。神の子は、攻撃されることも、罪を負わされることもないのだ。攻撃も罪も、この幻想世界の現象であって、実相的に見れば、まさに幻想、幻覚である。攻撃性も罪も、幻想に過ぎないと認識し、受け入れ受け流してしまう、それが実相的な『赦し』なのである。くどいようだが、この段落で使っている"to forgive"「容認すること」と"forgiveness"「赦し」を、混同してはいけない。方や幻想世界の行為であり、方や実相世界の行為なのである。
 
 
 


T-27.I.9:1 ~ T-27.I.10:7

9. Your function is to show your brother sin can have no cause.
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き、効用」
  • show [ʃóu] : 「見せる、見えるようにする、気付かせる」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、理由」
❖ "Your function is ~ "「あなたの役割は、あなたの同胞に、罪はまったく原因をもっていないのだと示すことである」。肉体は、罪の意識と罰への恐れが原因となって、その結果として現れたものであるが、罪の意識自体は、神を裏切って、神から分離したという思い込みが原因になっている。その意味では、罪の意識には原因があるのであるが、その原因は単なる思い込み、誤りに過ぎないから、確たる原因、実在する原因と言えるものはないのだ。したがって、本文は、罪は単なる思い込みであって、幻想に過ぎないのだと、あなたの同胞に伝えることがあなたの役割である、という意味になる。



How futile must it be to see yourself a picture of the proof that what your function is can never be!
  • futile [fjúːtl] : 「役に立たない、無益な、無駄な、不毛な」
  • picture [píktʃər] : 「絵、像、絵画、絵柄、図面」
  • proof [prúːf] : 「証拠、立証、証明、証し、裏付け」
❖ "How futile must it be ~ "「あなた自身を、あなたの役割は決してそんなものではあり得ないという証拠の絵図と見なすことは、何と無益なことに違いない」。同胞に罪が幻想だと伝えることがあなたの役割であるとする、あなた自身の絵図は、ホーリー・スピリットの描く絵図である。ところが、あなたが描く自分自身の絵図は、神の罰に値する罪深い神の子というイメージである。そこで、あなたは、自分の役割は、ホーリー・スピリットが描くような同胞を救い出すなどというものでは決してなく、その証拠に、自分は十字架に架けられる運命の絵姿だと主張するのだ(a picture of the proof that ~ )。しかし、自分をそのように見なすことは、何とも無益なことだと(How futile must it be)、言うわけである。



The Holy Spirit's picture changes not the body into something it is not.
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
❖ "The Holy Spirit's picture ~ "「ホーリー・スピリットの描く絵図は、肉体を、何か異なるものに描き変えているわけではない」。ホーリー・スピリットの描くあなた自身のイメージと、あなたが描く自分自身のイメージがあまりに異なるので、あなたは、ホーリー・スピリットの絵図を否定し、拒否するだろうが、ホーリー・スピリットは、あなたの肉体のイメージを改竄(かいざん)しているわけではない。想像や理想を描いているわけでもない。ホーリー・スピリットの描くあなたのイメージが真実であって、その真実を歪めているのは、あなたの方なのだ。



It only takes away from it all signs of accusation and of blamefulness.
  • take away : 「取り除く、持ち去る、撤去する」
  • sign [sáin] : 「表れ、兆し、兆候、印、標示、サイン、記号、符号」
  • accusation [æ̀kjuzéiʃən] : 「告発、罪、とがめ、責め、非難、告訴」
  • blamefulness [bléimfəlnis] : 「非難すべきこと、非難に値すること」
❖ "It only takes away from ~ "「ホーリー・スピリットが描くあなたのイメージは、あなたの肉体から、罪のとがめや非難の形跡を取り除いたものに過ぎないのだ」。ホーリー・スピリットの描くイメージは、あなたの肉体から、幻想に過ぎない罪の痕跡を消し去ったものである。ありもしない幻想を消し去ったのだから、それは、改竄ではない。真実の姿が浮き彫りにされたものである。



Pictured without a purpose, it is seen as neither sick nor well, nor bad nor good.
  • without [wiðáut] : 「 〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • neither [níːðər] A nor B : 「AでもなくBでもない、AとBのどちらも〜ない」
  • sick[sík] : 「病気で、病気の、不健全な、調子が悪い」
  • well [wél] : 「調子が良い、健康である、健在である」
❖ "Pictured without ~ "分詞構文、先頭に"Being"を補えばいい、「目的を持たずに描かれたものであれば、」"it is seen as neither ~ "「肉体は、病でも健康でもなく、良くもなく悪(あ)しくもない」。罪の実在を象徴する目的で描かれた肉体であるなら、その肉体は病を発症する。しかし、ホーリー・スピリットの描くあなたの肉体のイメージは、そんな目的を持ってはいないし、また逆に、実相的に真実そのもの、実在そのものとして描いているわけでもない。真実に近づくための道具として描いているだけなのだ。だから、あなたの肉体は病でも、健康でも、良くも悪しくもない。まさに、ニュートラルの状態にあるのだ。



No grounds are offered that it may be judged in any way at all. It has no life, but neither is it dead.
  • ground [ɡráund] : 「根拠、原因、理由、地面、地べた、地盤」
  • offer [kɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を判断する、〜を審判する」
  • in any way : 「何らか、多少なりとも、決して、形はどうあれ」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
  • life [láif] : 「命、人命、生命、寿命」
  • dead [déd] : 「死んでいる、生命のない、死んだ」
❖ "No grounds are offered ~ "「ホーリー・スピリットの描く肉体は、形はどうであれ、決して判断にさらされるという根拠を差し出されてはいない」。固い言い回しをしているが、要するに、ホーリー・スピリットの描くあなたの肉体のイメージは、良し悪し、善悪の判断を超越しているということ。"It has no life ~ "「ホーリー・スピリットの描く肉体は、命もなければ、死んでいるわけでもない」。生と死に関しても、ホーリー・スピリットの描く肉体は、ニュートラルである。



It stands apart from all experience of love or fear. For now it witnesses to nothing yet, its purpose being open, and the mind made free again to choose what it is for.
  • stand [stǽnd] : 「立っている立ち上がる、立つ」
  • apart from : 「〜から離れて、〜は別として、〜はさておき」
  • experience [ikspíəriəns] :「経験、体験、見聞」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • witness [wítnəs] : 「証言する、証明する、目の当たりにする」
  • again [əɡéin] : 「再び、かさねて、さらに」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
❖ "It stands apart from ~ "「ホーリー・スピリットの描く肉体は、愛や恐れというあらゆる経験からかけ離れて存在する」。ホーリー・スピリットの描く肉体は、愛や恐れに関してもニュートラルである。"For now it ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットの描く肉体は、まだ何も証言していないからだ」。命や愛や善を推奨するわけでもなく、死や恐れや悪を目的にしているわけでもない。そのどちらかを、実在として証言しているわけではない。"its purpose being ~ "「しかし、ホーリー・スピリットの描く肉体のもつ存在目的は、オープンにされており、」"and the mind made ~ "「心は、再び、肉体を何もために使うかという選択を自由に出来る状態にされたのだ」。心が、肉体の利用方法を自由に選択出来るので、命や愛や善を目的とするか、死や恐れや悪を目的とするか、自由に選択出来るようになったのだ。その選択次第によって、肉体は、両極端の様相を帯びた道具に変身するのである。すべては、あなたの自由意思の選択に委ねられている。



Now is it not condemned, but waiting for a purpose to be given, that it may fulfill the function that it will receive.
  • condemn [kəndém] : 「〜に有罪の判決を下す、〜を非難する、責める」
  • wait for : 「〜を待つ」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • fulfill [fulfíl] : 「果たす、全うする、成就する」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する」
❖ "Now is it not condemned ~ "「今はまだ、肉体は有罪の判決を受けていないし、」"but waiting for ~ "「ただ、目的が与えられるのを待っているのである」。あなたの肉体は、ニュートラルな状態を保ったまま、あなたが目的を選択するのを待っている。"that it may fulfill ~ "ここの"that"は"so that"「その結果、〜するために」、「その(選択の)結果によって、肉体は、受け取った役割を果たすことになる」。死や恐れや悪を目的に選択すれば、肉体はその役に立つような存在となり、命や愛や善を目的に選択すれば、肉体はその目的を達成するための良き道具になるのである。



10. Into this empty space, from which the goal of sin has been removed, is Heaven free to be remembered.
  • empty [émpti] : 「中身のない、空の、空いている、空っぽの」
  • space [spéis] : 「空間、余地、スペース、場所」
  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
  • remove [rimúːv] : 「取り除く、取り去る、取り外す、除去する」
  • remember [rimémbər] : 「〜を思い出す」
❖ "Into this empty ~ "「この空白のスペースにおいて、」肉体がニュートラルな状態において、"from which the goal ~ "「罪という目的が、そこから取り除かれたとき、」死や恐れや悪を生み出す罪という目的の選択肢が取り除かれたとき、"is Heaven free ~ "「天の王国が、自由に思い起こされるのだ」。つまり、幻想を選択するという選択肢が排除されたとき、実相が心に浮かび、あなたはかつて住んでいた故郷である天の王国を思い起こすのだ。



Here its peace can come, and perfect healing take the place of death.
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「完璧な、完全な」
  • healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
  • take the place of : 「〜の代わりをする、〜に取って代わる」
❖ "Here its peace can ~ "「ここにこそ、天の王国の安らぎが訪れる」。"and perfect healing ~ "「完璧な癒しが、死に置き換わるのである」。幻想が排除され、実相的な癒しが実行されて、心に安らぎが訪れる。



The body can become a sign of life, a promise of redemption, and a breath of immortality to those grown sick of breathing in the fetid scent of death.
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • promise [prɑ́məs] : 「約束、契約、約束したこと」
  • redemption [ridémpʃən] : 「贖い、贖罪、救済、解放、償い、救出」
  • breath [bréθ] : 「息、呼吸、呼気、吸息、息吹き」
  • immortality [ìmɔːrtǽləti] : 「不死性、不朽、不滅、永遠 」
  • grown [gróun] : 「grow の過去分詞形」
  • grow [gróu] : 「〜の状態になる、増える、増大する」
  • sick of : 「〜にうんざりしている、〜がしゃくに障る」
  • fetid [fétid] : 「悪臭のする」
  • scent [sént] : 「におい、香り、芳香、嗅覚」
❖ "The body can ~ "「肉体は、命の印となり得るのであり、」"a promise of ~ "「それは、解放の約束、そして、死の悪臭漂う中で息をすることにますますうんざりしてきた者達にとっては、不死の息吹となる」。肉体は、実相的に生まれ変わったのだ。もはや死の悪臭を放つこともなく、永遠の息吹を得て永遠の命に輝き、あなたを実相世界に救い出してくれる約束の肉体になる。



Let it have healing as its purpose. Then will it send forth the message it received, and by its health and loveliness proclaim the truth and value that it represents.
  • send [sénd] : 「送る、送信する」
  • forth [fɔ́ːrθ] : 「前へ、先へ、外部へ」
  • send forth : 「送り出す、発行する、派遣する」
  • message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ、通報、通信、通達」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する」
  • health [hélθ] : 「健康、保健、健全、繁栄、健やかさ」
  • loveliness [lʌ́vlinis] : 「愛らしさ、素晴らしさ」
  • proclaim [proukléim] : 「〜を明白に示す、〜であることを明らかにする」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価、重要性」
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する、象徴する」
❖ "Let it have healing ~ "「ヒーリングを、肉体の目的にさせなさい」。"Then will it send ~ "「そうすれば、肉体は、受け取ったメッセージを伝えることだろう」。肉体は、ヒーリングと解放と救いのメッセージを受け取り、そして、また別の同胞の肉体へと、そのメッセージを送り出す。"and by its health ~ "「肉体の健(すこ)やかさと愛らしさによって、肉体が表す真実と価値を、肉体は明らかにするのだ」。肉体は、実相的な目的を成就するための道具となり、それ自体が実相化する。幻想としての肉体は消滅することになるが、心と一体になった実相的肉体は、真実と真実の価値を高らかに歌い上げる。つまり、もはや肉体は単なる肉の塊(かたまり)ではなく、永遠不変性をもつのだ。それは、肉としての実体をもつのではなく、精妙な想念が具現化した様相を呈することになるのだ。それは、健やかであり、また、愛らしい肉体の姿となる。



Let it receive the power to represent an endless life, forever unattacked.
  • endless [éndləs] : 「終わりのない、永遠の、絶え間のない」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • unattacked : 「攻撃され得ない」
❖ "Let it receive ~ "「肉体に、永遠に攻撃されることのない、永遠の命を表現するパワーを受け取らせなさい」。肉の塊という幻想の肉体が消滅し、精妙な想念の肉体が出現すると、その実相化した肉体は永遠の命を謳歌する。完全に無辜なる肉体は、誰からも攻撃されることなく、永遠に健やかで、愛らしい存在となるのだ。



And to your brother let its message be, "Behold me, brother, at your hand I live. "
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • hand [hǽnd] : 「手、手助け」
  • live [lív] : 「生きる、生存する、生きている」
❖ "And to your brother ~ "「そして、あなたの同胞に、次のメッセージを伝えなさい」。"Behold me, brotherb ~ "「我が同胞よ、あなたによって生きる私を見なさい」。あなたが、実相的な真実を生きることが出来るようになったのは、ヒーリングと解放と救いを与えてくれた同胞のおかげである。もちろん、自他一如であり、同胞を生かしたのは、あなたなのだ。
 
 
 


T-27.I.7:1 ~ T-27.I.8:4

7. The strongest witness to futility, that bolsters all the rest and helps them paint the picture in which sin is justified, is sickness in whatever form it takes.
  • strong [strɔ́ːŋ] : 「強い、力がある、力強い、有能な、優秀な」
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、証拠、証言」
  • futility [fjuːtíləti] : 「無益、無用、無価値」
  • bolster [bóulstər] : 「支持する、増強する、強化する」
  • rest [rést] : 「残り、残っているもの、残りの部分」
  • paint [péint] : 「〜を描く、〜を表現する」
  • picture [píktʃər] : 「絵、像、絵画」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「弁明する、正当化する」
  • sickness [síknəs] : 「病気」
  • in whatever form : 「いかなる形であれ」
❖ "The strongest witness ~ "「無益さに対する、もっとも強力な証拠は、」"that bolsters all the rest ~ "「それは、残りのあらゆるものを支持し、罪が正当化される絵図を描くのを助けているのだが、その強力な証拠は、」"is sickness in whatever ~ "「どんな形をとろうとも、病なのだ」。難解で、解釈に苦しむ箇所である。"futility"「無益さ」とは、この幻想世界の無意味さのことである。したがって、先頭部分の主語は、「この幻想世界が無意味であるにも関わらず、意味があり、存在価値があるとする強力な証言は、」という主語になる。もっと単純化して、「幻想を支持する強烈な証言は、」と言い換えていいだろう。"all the rest"「残りのあらゆるもの」とは、無益さ以外の、たとえば無意味さ、不毛さ、幻影、幻覚、虚無、はかなさ、等々、負の価値をもったあらゆるもののこと。あらゆる幻想のことである。したがって、"that bolsters all ~ "の部分は「それは、あらゆる幻想を支持しており、」という意味になる。"and helps them paint ~ "この部分は、「罪は正当化されるという絵図を、幻想が描く助けをしているのだが、」ということ。つまり、罪は実在すると幻想は主張するのだが、その主張を、その証言は支持しているということになる。幻想を支持する証言は、必然的に、幻想が支持する罪の実在性を支持しているという意味である。"is sickness in ~ "ここは、幻想を支持する強烈な証言は、形がどうであれ、病気という形で現れるという意味。心の病であれ、肉体的な病であれ、病と名の付くものはみな、幻想の実在性を信じてそれを証言するが故に、幻想の実在性を象徴して現実化されたものなのだ、という意味である。病自体も幻想であり、幻想が実在すると信じる想念がこの場所に現実化して、幻想の病を発症させるのである。



The sick have reason for each one of their unnatural desires and strange needs.
  • sick [sík] : 「病気で、病気の、不健全な、調子が悪い」
  • reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠、弁明、言い訳」
  • unnatural [ʌnnǽtʃərəl] : 「不自然な、自然に反する」
  • desire [dizáiər] : 「欲望、欲求、願望、念願 、要望」
  • strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変わった、変な」
  • need [níːd] : 「必要なもの、必要物、必要性」
❖ "The sick have reason ~ "「病に犯された者は、不自然な欲望や奇妙な必要性の一つ一つに理由を付けているものだ」。心の歪みが、不自然な欲望、たとえば、異常に権力を欲しがるとか、奇妙な要求、たとえば、奇妙なほど異性との愛欲を欲しがるとか、を生み出し、なぜそうなのかと問われれば、心に歪みをもった者は、いちいちその理由を並べ立てるだろう。不自然な欲望も、奇妙な欲求も、彼にはそれなりの存在理由があり、それに執着して、それが叶えられるなら、心や肉体が病に犯されても構わないとさえ思うのである。想念は必ず現実化するから、それは実現し、彼は病に犯されるのである。蛇足になるが、健康に対する異常な執着心も例外ではない。健康のためなら死んでもいいなどと思うほど、主客転倒した思いを抱く者は、ほぼ確実に、形はどうであれ、心か肉体が病む。



For who could live a life so soon cut short and not esteem the worth of passing joys?
  • live a life : 「生活する、生きる」
  • cut short : 「〜を途中で止める、遮る、急に終わらせる」
  • esteem [istíːm] : 「〜を尊重する、重んじる、尊ぶ、尊敬する」
  • worth [wə́ːrθ] : 「価値、財産」
  • passing [pǽsiŋ] : 「つかの間の、一時的な、過ぎて行く」
  • joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜、喜びの種」
❖ "For who could live a life ~ "「なぜなら、一体誰が、つかの間の喜びの価値を尊重せずに、途中でブッツリと切られる命を生きることが出来るだろうか」。世俗の人々は、はかなく消える命を惜しんで、つかの間の快楽に興じるのが常である。彼らには、蜻蛉(かげろう)のような命を惜しんで、つかの間の生を謳歌したいという正当な理由がある。不自然な欲望も、奇妙な欲求も、彼らには存在価値があるのだ。だが、本当に、つかの間の命に過ぎないのだろうか。蜻蛉のような命なのだろうか。幻想世界がそうであるという理由で、命までそうであるに違いないと信じることは、正当であろうか。



What pleasures could there be that will endure? Are not the frail entitled to believe that every stolen scrap of pleasure is their righteous payment for their little lives?
  • pleasure [pléʒər] : 「喜び、楽しみ、快楽、楽しいこと」
  • endure [indjúər] : 「耐える、持ちこたえる、持続する」
  • frail [fréil] : 「虚弱な、もろい、壊れやすい」
  • entitle [entáitl] : 「〜に資格を与える、〜に権利を与える」
  • stolen [stóulən] : 「steal の過去分詞形、盗まれた」
  • scrap [skrǽp] : 「くず、かけら、スクラップ、くず鉄、小片、断片」
  • righteous [ráitʃəs] : 「道理のある、もっともな、当然の、公正な、正しい」
  • payment [péimənt] : 「支払い、納付、償い、報い、報酬、報復」
❖ しかし、"What pleasures could ~ "「いつまでも続く、どんな快楽が存在するだろうか」。つかの間の命が求める快楽もまた、つかの間の快楽に過ぎない。"Are not the frail entitled ~ "「脆弱な者たちには、盗み取ったわずかのあらゆる快楽は彼らの短い命と引き換えに出来るという正当性があると信じる権利はないだろうか」。確かに、その権利はあるのだ。しかし、それは、心が脆弱な者たちには、という条件が付いている。つまり、病に犯された者達には、それは許されるし、権利として主張してもおかしくない。だが、病を克服して癒されたいと願う者たちには、それは最善の道ではない。それは、病を助長して、死を早める道ではあるが、病という幻想を消滅させる方法ではないのだ。



Their death will pay the price for all of them, if they enjoy their benefits or not.
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
  • pay [péi] : 「〜を支払う」
  • price [práis] : 「値段、価格、対価、代価、代償」
  • enjoy [indʒɔ́i] : 「〜を楽しむ、〜を味わう、〜に恵まれている」
  • benefit [bénəfit] : 「利益、収益、利点、メリット、便益、利得」
❖ "Their death will pay ~ "「彼らが、(つかの間の快楽を謳歌するという)利権を楽しむかどうかは分からないが、彼らは、死をもって、すべての払いを済ませることになる」。死という幻想を受け入れて、つかの間の命を快楽に委ねて生きたのだから、その代償として死を受け入れても当然である。死をもって、ご破算にするのである。これが、世俗の人々の、極く一般的な生き方である。死を前提にした生き方なのだ。しかし、くどいようだが、死が幻想であったなら、そんな前提を信じて生きるのは、狂気の沙汰ではないだろうか。肉体は幻想だから、肉体が崩壊するのは当然である。しかし、心は実相であるから、心は永遠不変に生きるのである。ならば、永遠の心を前提に生きるという生き方の方が、ずっと健全ではないだろうか。つかの間の快楽を追求するよりも、永遠の喜びを追求する方が、賢者の望みに近くはないだろうか。病に甘んじて死を待つよりも、病を赦して、赦すことで病を消し去った方がずっと賢くはないか。



The end of life must come, whatever way that life be spent. And so take pleasure in the quickly passing and ephemeral.
  • whatever [hwʌtévər] : 「どんな〜が〜でも」
  • spent [spént] : 「spend の過去・過去分詞形」
  • spend [spénd] : 「使う、費やす、浪費する、〜を過ごす」
  • and so : 「そこで、それだから、それで」
  • take pleasure in : 「〜を好む」
  • quickly [kwíkli] : 「速く、すぐに」
  • ephemeral [ifémərəl] : 「はかない、短命の、一日限りの」
❖ "The end of life must ~ "「どのように命を使っても、命の終わりは必ず訪れる」。肉体という幻想、死という幻想を信じている限り、どんな生き方をしても、死は必ず訪れる。あなたは、死は選択の余地なく、どんなことをしても逃れることも出来ず、必ず訪れるものと信じている。そして、"And so take pleasure ~ "「だから、つかの間のはかない命の続く限り、快楽をむさぼろうとするわけだ」。ACIMは、それは不当だと言っているわけではない。頭ごなしに否定しているわけではないのだ。ただ、それは、幻想によって盲目になった、病んだ心が求めていることだ、と主張するのである。そして、そんな幻想から目覚めたなら、あるいは病から目覚めたなら、まったく異なった光景が目の前に広がって、まったく異なった生き方が出来るのだと教えているのである。そういう奇跡的な生き方を、今、ここで、あなたは学んでいるのだ。そういう現在の自分を信じる勇気を持ってみてはいかがだろう。どうであろう、たまに自分自身に乾杯してみてはいかがだろうか。



8. These are not sins, but witnesses unto the strange belief that sin and death are real, and innocence and sin will end alike within the termination of the grave.
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔、純真」
  • alike [əláik] : 「同様に、一様に」
  • within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側で」
  • termination [tə̀ːrmənéiʃən] : 「終了、終結、終止、終わり、終息」
  • grave [gréiv] : 「墓、墓所、死に場所」
❖ "These are not sins, but ~ "「罪などというものは存在しないが、」"but witnesses unto ~ "「that以下という、奇妙な信仰に対する証言者は存在している」。"that sin and death ~ "「罪や死は実在し、潔白さも罪深さも、墓場という終着駅をもって、同様に終了する」という、奇妙な信仰に対する証言者は存在している。実相的な視野から見れば、罪は幻想であって存在していないのだが、現実に罪は存在しているに違いないとと頑(かたく)なに証言する者たちは大勢いる。そして、この世で罪を犯そうが、正直に生きようが、どっちにしても、最後は墓場に入って終わりだと主張するのである。この世で真実を知ろうが、幻想に溺れたままで生きようが、死んでしまえば、どちらも変わりあるまいと信じているのだ。



If this were true, there would be reason to remain content to seek for passing joys and cherish little pleasures where you can.
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
  • content [kɑ́ntent] : 「満足している」
  • seek for : 「〜を探し求める」
  • cherish [tʃériʃ] : 「〜を大事にする、大切にする」
❖ "If this were true, there ~ "「もし、これが真実なら、つかの間の快楽を追い求めることに満足し続け、出来ることなら、ささやかな快楽を大切にしようという理由は存在するのだ」。潔白さも罪深さも、墓場という終着駅をもって、同様に終了するということが真実なら、ささやかでつかの間の快楽を追い求め、それを大切にする生き方も、正統な理由を持っていることになる。



Yet in this picture is the body not perceived as neutral and without a goal inherent in itself.
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • neutral [njúːtrəl] : 「中立の、無色の、中間色の」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
  • inherent [inhíərənt] : 「生まれつきの、生得の、生来の、先天的な、特有の、固有の」
❖ "Yet in this picture is ~ "「しかし、このように描かれた絵図の中では、肉体は、もはやニュートラルなものとして知覚されることはなく、それ自体として生来の目的を持たないものになってしまう」。肉体は幻想に過ぎないのだが、その幻想から目覚めるための道具になり得ることで、実相的な意味がある。つまり、肉体は幻想と実相の中間地点に位置することで、その性質はニュートラル(neutral)なのだ。そして肉体は、ホーリー・スピリットの目的に沿う形で、幻想の目覚めに利用出来るという、本来の存在目的を持っているのである。しかし、それは、死は幻想であって、幻想を越えたところに実相が存在し、実相的な命は永遠不変に存在するのだという真実を基盤にして成り立つことなのだ。潔白さも罪深さも、墓場という終着駅をもって、同様に終了するという信仰を持っている限り、つまり、死の先は無であると信じている限り、肉体のもつニュートラルな性質も、実相世界から目覚めるための道具という生来の目的も、共に、犠牲にされてしまうのだ。



For it becomes the symbol of reproach, the sign of guilt whose consequences still are there to see, so that the cause can never be denied.
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • symbol [símbl] : 「象徴、記号、シンボル、表象、符号」
  • reproach [ripróutʃ] : 「非難、非難の的、叱責、恥辱、不面目」
  • sign [sáin] : 「標示、サイン、標識、記号、符号、兆候、印」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • consequence [kɑ́nsəkwèns] : 「結果、結論、結末、成り行き、帰結、因果関係」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、理由」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
❖ "For it becomes ~ "「なぜなら、肉体は、恥辱の象徴、罪の印になってしまうからであり、」"whose consequences still ~ "「その結果は、今なお目にすることの出来るものであって、」"so that the cause ~ "「したがって、(結果を生んだ)原因は、決して否定されて得ないものになっているのだ」。非常に難解な箇所である。肉体の発生から考えないと解釈出来ない。神の子はその昔、神なしで神のごとくに存在出来ないものかと、ささいな狂気を心に抱いた。その想念は、一瞬にして現実化し、神の子は神から分離し、いわば、神の子は天の王国から自ら追放されたのだ。そこで神の子は、実相世界に代わる世界を心の外部に投射して偽創造せざるを得なくなったのだ。その投射された幻想世界が、この世界である。しかし、同時に神の子は、父なる神を裏切ってしまったという罪の意識を心に抱くことになる。そして、その裏切りは、必ずや神の報復を受けるに違いないという恐れを生み出すことになった。罪の意識と罰への恐れに耐えかねて、神の子は自己を乖離する。つまり、本来の自分ではない自分を作り上げて、幻想世界に住まわせる道を選んだのである。つまり、夢の自分を夢の世界に住まわせるのだ。この乖離した自分が、エゴを人格とした、肉体をもった自分である。つまり、肉体は、罪の意識と罰の恐れを自分の目から隠すために作り上げられたものであり、言い換えれば、肉体は、罪という恥辱のシンボルであり、生まれながらに罪の烙印を押された存在なのだ(the symbol of reproach, the sign of guilt)。罪の意識と罰の恐れを原因(cause)にして生み出された肉体は、言い換えれば、罪と罰の結果(consequence)であって、その原因が否定され、消し去られない限り(the cause can never be denied)、結果である肉体は消滅するわけもなく、いつまでも目の前に存在し続けるのである(consequences still are there to see)。したがって、死という幻想を乗り越えるには、肉体のもつ罪と罰という幻想を乗り越えることが必要であって、その肉体を利用して、遠い昔の勘違い、つまり、神への裏切りと神の罰への恐れが幻想であると赦し、罪と罰を消滅させることが肝要なのだ。原因が消滅すれば結果も自ずから消滅し、肉体は役割を終えて消滅する。
 
 
 


T-27.I.5:1 ~ T-27.I.6:11

5. Now in the hands made gentle by His touch, the Holy Spirit lays a picture of a different you.
  • gentle [dʒéntl] : 「優しい、寛大な、優しい、穏やかな」
  • touch [tʌ́tʃ] : 「触ること、接触、指診、手触り、触覚」
  • lay [léi] : 「〜を横たえる、〜を置く」
  • picture [píktʃər] : 「絵、像、絵画、絵柄、図面」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
❖ "Now in the hands made ~ "「ホーリー・スピリットよって穏やかにされた(あなたの)手の中に、ホーリー・スピリットは、また違ったあなたの絵を置くのである」。あなたは、自分が十字架に架けられた苦しみの絵を描いたが、ホーリー・スピリットはそれとはまったく異なる、神聖で無辜なる神の子としてのあなたの絵を描く。ホーリー・スピリットの愛に触れて、心がなごんだあなたの手に、ホーリー・スピリットは、その絵を手渡すのだ。



It is a picture of a body still, for what you really are cannot be seen nor pictured.
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • picture [píktʃər] : 「〜を描写する、絵に描く」
❖ "It is a picture of a body ~ "「その絵は、まだ肉体が描かれた絵である」。ホーリー・スピリットによって描かれたあなたは、まだ肉体をもったあなたとして描かれている。ホーリー・スピリットは、幻想としての肉体を頭ごなしに否定したりしない。幻想の肉体を認めた上で、その幻想からの目覚めをあなたに促すのだ。それは、あなたに対するホーリー・スピリットの愛であり、慈悲である。"for what you really ~ "「なぜなら、実相としてのあなた自身は、見ることは出来ないし、描くことも出来ないからだ」。実相的な本当のあなた自身は、幻想の肉体をもっていない。純粋な想念の存在である。しかし、具象性を欠いた、本当のあなたの姿を、あなたに言葉で説明しても埒(らち)が明かないので、とりあえず、肉体をもったあなたを、あなた自身として具象的に描くのである。いわば、ホーリー・スピリットの、あなたに対する教育的配慮である。



Yet this one has not been used for purpose of attack, and therefore never suffered pain at all.
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って」
  • suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、被る」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "Yet this one has not ~ "「しかし、ホーリー・スピリットが描いたあなたの肉体は、攻撃を目的として使われたことは一度もなかった」。ホーリー・スピリットは、あなたを肉体として描いたが、その肉体は、攻撃を目的とした肉体ではない。"and therefore never ~ "「したがって、その肉体は、痛みをまったく被ることはないのだ」。幻想世界の肉体と異なって、ホーリー・スピリットの描く肉体は、実相世界の神聖さと無辜性の象徴である。したがって、幻想の痛みを知らない肉体なのだ。いわば、心を象徴として描いた肉体に過ぎないのである。したがって、ホーリー・スピリットの描く肉体は、心の化身と思ってもいいだろう。少なくとも、切れば血の出る肉体とは次元が異なる。



It witnesses to the eternal truth that you cannot be hurt, and points beyond itself to both your innocence and his.
  • witness [wítnəs] : 「証言する、証明する」
  • eternal [itə́ːrnl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
  • point [pɔ́int] : 「指す、指し示す」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
  • both [bóuθ] A and B : 「AもBも、ABいずれも」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔」
❖ "It witnesses to the eternal ~ "「ホーリー・スピリットの描くあなたの肉体は、あなたは傷つけられ得ないという永遠の真実を証言している」。"and points beyond ~ "「そして、それは、肉体自体を超越して、あなたの無辜性と同胞の無辜性の両方を指し示している」。ホーリー・スピリットの描くあなたの肉体は、いわば実相的肉体であって、幻想の暴力や攻撃によって傷を負ったりするものではない。幻想が実相を犯すことは不可能だからだ。したがって、ホーリー・スピリットの描くあなたの肉体は、世俗的な意味での肉体自体を超越しており、その実相的存在は、あなたの実相的真実、つまり、神の子の無辜性を証明しているのだ。あなたも同胞も、ホーリー・スピリットが実相的肉体として描いてくれる限り、あなたと同胞は、共に、その無辜性を指し示し、目指しているのだ。



Show this unto your brother, who will see that every scar is healed, and every tear is wiped away in laughter and in love.
  • show [ʃóu] : 「見せる、示す」
  • scar [skάːr] : 「傷、傷跡、瘢痕、やけど跡」
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす」
  • tear [tíər] : 「涙、涙液」
  • wipe [wáip] away : 「〜をふき取る、〜を取り除く」
  • laughter [lǽftər] : 「笑い、笑い声」
❖ "Show this unto your ~ "「このことを、あなたの同胞に教えなさい」。"who will see that ~ "「そうすれば、彼は、あらゆる傷が癒されるのを目にすることになるだろう」。あなた同様、同胞もまた、神の子として無辜であり傷つけられ得ないと知るからだ。"and every tear is ~ "「涙はすべて、笑いと愛の中で、ふき取られてしまうのだ」。



And he will look on his forgiveness there, and with healed eyes will look beyond it to the innocence that he beholds in you.
  • look on : 「〜を見る」
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • behold [behold] : 「見守る、注視する」
  • look to : 「〜に目を向ける、〜を頼みにする」
❖ "And he will look on ~ "「あなたの同胞は、そこに、彼の赦しを見ることになる」。神の子として無辜であり、傷つけられ得ないと知ることは、罪は幻想であったと認識することであり、その幻想をしっかりと幻想として受け入れ受け流し、赦してしまうことが出来るのだ。"and with healed eyes ~ "「そして、癒された目で、」幻想によって曇っていた目が、今や真実をはっきりと見ることが出来るようになった、その目で、"will look beyond it ~ "「同胞は、赦しの向こうに、彼が目にするあなたの潔白さに目を向けることになる」。赦しを果たした同胞の、真実が見えるようになったその目が、あなたの潔白さ、あなたの無効性を目撃することになる。



Here is the proof that he has never sinned; that nothing which his madness bid him do was ever done, or ever had effects of any kind.
  • proof [prúːf] :「証拠、立証、証明、証し」
  • sin [sin] : 「罪を犯す」
  • madness [mǽdnəs] : 「狂気、熱狂、熱中」
  • bid [bíd] : 「命じる、命令する、指示する」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
❖ "Here is the proof ~ "「これこそ、あなたの同胞が罪など決して犯していなかったという証拠である」。他者であるあなたの無辜性を知ることが出来たということは、自他一如によって、同胞は彼自身の無辜性を知ることが出来たのだ。罪は幻想であり、決して罪など犯していなかったと確信するである。"that nothing which ~ "「彼の狂気が彼に命じたあらゆることは、決してなされなかったし、」"or ever had effects ~ "「どんな種類の影響も与えなかったのだ」。彼の狂気が暴れたのは夢の中のことであって、夢から醒めた今、狂気の沙汰の影響は何も残っていない。



That no reproach he laid upon his heart was ever justified, and no attack can ever touch him with the poisoned and relentless sting of fear.
  • reproach [ripróutʃ] : 「非難、非難の的、叱責」
  • laid [léid] : 「lay の過去・過去分詞形」
  • lay [léi] : 「〜を横たえる、〜を置く」
  • heart [hάːrt] : 「心、胸の内、気持ち」
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「弁明する、正当化する」
  • touch [tʌ́tʃ] : 「〜に触れる、衝撃を与える、影響を与える」
  • poisoned [pɔ́iznd] : 「毒を塗った、毒入りの」
  • relentless [riléntlis] : 「無慈悲な、容赦ない、過酷な」
  • sting [stíŋ] : 「刺すこと、針、とげ」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ "That no reproach ~ "ここの"That"は"Here is the proof that ~ "のこと、「これこそ、彼の心に向けた非難は、正当化され得ないという証拠だ」。自分は罪を犯したのだと自分を責め、非難してきたが、それは正しくなかったと知ったのだ。夢に見たことを非難し、責めることなど、いったい誰が正当化出来るだろう。"and no attack can ~ "「そして、毒を塗った、恐れという無慈悲な針で、彼が攻撃されたこともなかったという証拠である」。攻撃も恐れも、また、夢の出来事だったのだ。



6. Attest his innocence and not his guilt. Your healing is his comfort and his health because it proves illusions are not true.
  • attest [ətést] : 「証言する、証明する」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • comfort [kʌ́mfərt] : 「快適さ、心地よさ、癒やし、安らぎ、安楽」
  • health [hélθ] : 「健康、健康状態、調子、健全、繁栄」
  • prove [prúːv] : 「証明する、立証する」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ "Attest his innocence ~ "「同胞の罪ではなく、同胞の潔白さを証言しなさい」。つまり、真実を真実としてありのままに証言しなさい。同胞の、そして、あなたの無辜性は真実である。"Your healing is his ~ "「あなたが癒されることは、同胞の安らぎと健全さに繋がるのだ」。"because it proves ~ "「なぜなら、あなたが癒されたことで、幻想は真実でないと証明されたからだ」。あれほど幻想に苦しんだあなたは、その幻想から癒されたのだ。幻想が真実ではなく、単なる夢だと知ったのである。その事実に、自他一如である同胞も感化されて、心の安らぎと健全さを知るのである。



It is not will for life but wish for death that is the motivation for this world. Its only purpose is to prove guilt real.
  • will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
  • life [láif] : 「命、人命、生命、寿命」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
  • motivation [mòutəvéiʃən] : 「動機、動機付け、刺激、意欲」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "It is not will for ~ "「幻想とは、命への意思ではなく、死への意思であり、」"that is the motivation ~ "「その死への意思は、この世界の存在の動機になっている」。この幻想世界が存在するための基本動機は、変化流動である。永遠不変を否定して偽創造された世界だからだ。その変化流動は、必然的に、崩壊と死へ向かう。したがって、この世界の存在動機は、死への意思、死への願望、いわゆるタナトスなのだ。蛇足になるが、命への意思が、本当の意味でのエロスということになる。"Its only purpose ~ "「幻想のもつ唯一の目的とは、罪が現実に存在すると証明することである」。幻想の目的は、幻想が現実化されることである。罪はもちろん、攻撃も痛みも苦しみも、憎悪や敵意や死さえも、それを現実化させることが、幻想のもつ最大の、そして唯一の目的である。



No worldly thought or act or feeling has a motivation other than this one.
  • worldly [wə́ːrldli] : 「この世の、現世の、世俗的な、俗物の」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、思考、思索、熟考」
  • act [ǽkt] : 「行為、活動、言動」
  • feeling [fíːliŋ] : 「感触、感覚、感情、気持ち、意識、感じ、印象」
❖ "No worldly thought ~ "「この世界の思考や行為や思いは、この一点以外に、動機をもってはいない」。この世界の思考や行為や思いは、幻想を現実化させる目的以外の動機をもってはいない。



These are the witnesses that are called forth to be believed, and lend conviction to the system they speak for and represent.
  • call forth : 「〜を生じさせる〜を引き出す、〜を発揮させる、呼び起こす」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • lend [lénd] : 「〜を貸す、貸し出す、〜に役立つ」
  • conviction [kənvíkʃən] : 「信念、確信、説得」
  • system [sístəm] : 「組織、体制、システム、系統、体系」
  • speak for : 「〜の代弁をする、〜を物語る、〜を示す、〜を要求する」
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する、象徴する」
❖ "These are the witnesses ~ "「この世界の思考や行為や思いは、信じられるために、呼び起こされた証言者であり、」つまり、この幻想世界が実在すると証言するために、そして、それを信じてもらうために、この世界の思考や行動や情動は呼び出され、証人にさせられたのだ。"and lend conviction ~ "「さらに、この世界の思考や行為や思いが代わりに語り、表現するシステムに対して、確信を与えるために、この世界の思考や行為や思いは呼び出されたのだ」。幻想世界という巨大なシステムが、確実に存在するのだと証明するために、そのシステムを語り表現する数々の思考や行為や情動が呼び出されたのだ。



And each has many voices, speaking to your brother and yourself in different tongues.
  • voice [vɔ́is] : 「声、音」
  • tongue [tʌ́ŋ] : 「舌、言葉、言語、方言、話し方、話しぶり」
❖ "And each has many ~ "「この世界の、一つ一つの思考や行為や思いは、沢山の言語を持ち、あなたの同胞やあなた自身に、異なった言語で語りかけている」。人それぞれに、考えることも行うことも感じることも異なるのだが、その目的はすべて、幻想世界の存在に確実性を与えることである。科学とは、まさにその最右翼である。世界が存在していなかったら、科学に何の意味があろう。世界の実在性への信仰が、科学の根底にあるのだ。その意味では、科学は信仰の最右翼であるとも言える。



And yet to both the message is the same. Adornment of the body seeks to show how lovely are the witnesses for guilt.
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
  • message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ、通報、伝達内容」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
  • adornment [ədɔ́ːrnmənt] : 「装飾品、アクセサリー」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • lovely [lʌ́vli] : 「愛らしい、かわいらしい、美しい、すてきな」
❖ "And yet to both ~ "「しかし、あなたと同胞の両者にとって、メッセージは同じである」。一つ一つの思考や行為や思いは、多くの言語を持ち、異なった言語で語りかけているのだが、メッセージの内容は、あなたにとっても同胞にとっても同一である。つまり、その内容とは、この幻想世界は確実に存在するということだ。あるいは、この幻想世界は存在する価値があるということである。これに対して深い疑いを持つ賢者は、人間の歴史を通じて、いったい何人いたであろうか。そして、その賢者が狂人扱いされずに、全うな人生を送れた例(ためし)があったであろうか。"Adornment of the body ~ "「肉体を飾る行為は、罪の存在を証言する者が、いかに愛らしいかを示すことを目指すことである」。この文は、前文と整合性はない。段落が切れてもおかしくない部分である。肉体を美化しようとする行為は、心の中の醜い罪の意識を隠し、いかにも愛らしい存在であるかを誇示する行為である。幻想を美化して、幻想の実在性を際だたせようとする行為だ。もちろん、ACIMは、肉体をないがしろにせよ、と言っているのではない。そうではなく、肉体の実在性に捕らわれて、過剰に肉体だけに関心を寄せ、心をないがしろにすることに対して、警告を発しているのだ。



Concerns about the body demonstrate how frail and vulnerable is your life; how easily destroyed is what you love.
  • concern [kənsə́ːrn] : 「気遣い、懸念、心配、不安、関心事」
  • demonstrate [démənstrèit] : 「実証する、証明する、実演する、明示する」
  • frail [fréil] : 「虚弱な、もろい、壊れやすい」
  • vulnerable [vʌ́lnərəbl] : 「弱い、脆弱な、弱い、脆弱な」
  • easily [íːzili] : 「容易に、たやすく、苦もなく、あっけなく」
  • destroy [distrɔ́i] : 「破壊する、崩壊させる」
❖ "Concerns about the body ~ "「肉体に関心を寄せることは、あなたの命がいかに脆く、脆弱であるかを実証している」。"how easily destroyed ~ "「あなたの愛するものは、いかにも簡単に破壊されるのである」。変化流動し、あらゆるものが崩壊と死へ向かう、この幻想世界にあって、肉体もまた崩壊と死へ向かう。そのはかない肉体に、必要以上の関心を寄せて、永遠不変の心をないがしろにする行為は、あなたの実相的な命をないがしろにすることに繋がるのだ。つまり、あなたは、肉体に命が宿っていると信じているから、その思いが現実化して、命は肉体と共に、はかなく消えてしまうものになってしまったのだ。愛して止まないものが、崩壊してしまうことになったのだ。しかし、あなたが、肉体という幻想から目覚めて、真実を知ったなら、命は肉体の存在に依存することなく、永遠不変に存在するものであると認識出来るはずなのだ。命は脆くもなく、脆弱でもない。老いることも、破壊されることのない。永遠に生き生きとした命の存在がそこにあるのだ。これこそが、ACIMのメインテーマである。



Depression speaks of death, and vanity of real concern with anything at all.
  • depression [dipréʃən] : 「落ち込み、意気消沈、絶望」
  • speak of :「〜を口にする、〜のことを話す」
  • vanity [vǽnəti] : 「虚栄心、うぬぼれ、はかなさ、むなしさ、空虚」
  • concern [kənsə́ːrn] : 「気遣い、懸念、心配、不安」
  • concern with : 「〜に対する懸念」
  • at all : 「とにかく」
❖ "Depression speaks of ~ "「絶望は死を語り、」"and vanity of real ~ "「また、絶望は、何に対しても実相的な関心を寄せることは空虚であると語るのだ」。命が脆くはかないと絶望すれば、それは死を誘うことになり、物事の真実を知りたいと関心を寄せることも空虚に思えてしまう。逆に、命が永遠不変に生き生きと存在するものだと知ったなら、死を思うことすら無意味となり、実相世界の真実の数々、愛や喜びや平和や美や真理を、その命は追い求めることになるのだ。想念は現実化する。あなたが命をどう捉えるかで、命の行く末は決まる。真実の命を知らずに生きることも可能であり、その場合は、死をもって命を終えることになる。真実の命を知りたいと思うなら、その思いは現実化し、あなたは真実の命を知ることになる。そして、知ることは、それを生きることだと悟り、永遠不変の命を生きることになる。肉体が滅びようが、あなたは生き生きと生き続けるのだ。愛や喜びや平和や美や真理を、あなたの命は生きるのである。
 
 
 


T-27.I.3:1 ~ T-27.I.4:11

3. Whenever you consent to suffer pain, to be deprived, unfairly treated or in need of anything, you but accuse your brother of attack upon God's Son.
  • whenever [hwènévər] : 「〜するときはいつでも、〜したときはすぐ」
  • consent [kənsént] : 「承諾する、同意する、納得する」
  • suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、被る、耐える」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛、苦痛、骨折り」
  • deprive [deprive] : 「奪う、取り上げる、剥奪する、与えない」
  • unfairly [ʌnfέərli] : 「不当に、不正に」
  • treat [tríːt] : 「扱う、取り扱う、処理する、待遇する」
  • in need of : 「〜を必要としている」
  • accuse [əkjúːz] : 「〜を責める、〜を非難する」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ "Whenever you ~ "「あなたが、痛みを被ることや、奪われること、不当に扱われること、あるいは、何かを必要としているときはいつでも、」"you but accuse your ~ "「(同胞が)神の子(であるあなた)を攻撃しているとみて、あなたの同胞を非難していることになる」。心に痛みを感じるとき、失ったり奪われたりしたと思ったとき、不正な扱いを受けたと思ったとき、不足感を覚えたとき、そういった原因のすべては、あなたにではなく、同胞にあると、あなたは思ってしまうのだ。そして、神の子であるあなたを、不当にも、同胞が攻撃していると断罪するのである。



You hold a picture of your crucifixion before his eyes, that he may see his sins are writ in Heaven in your blood and death, and go before him, closing off the gate and damning him to hell.
  • hold [hóuld] : 「〜を手に持つ、維持する、保持する、持続する」
  • picture [píktʃər] : 「絵、像、絵画、絵柄、図面」
  • crucifixion [krùːsəfíkʃən] : 「十字架刑、磔刑、張り付け」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • writ [rít] : 「〈古〉write の過去・過去分詞形」
  • blood [blʌ́d] : 「血、血液」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
  • go before : 「〜の前を行く、先に立って行く、先んじる」
  • close [klóuz] off : 「閉鎖する、孤立させる」
  • gate [géit] : 「入り口、門扉、ゲート、門」
  • damn [dǽm] : 「のろう、ののしる、けなす、非難する」
  • hell [hél] : 「地獄、ひどい体験、修羅場、生き地獄」
❖ "You hold a picture of ~ "「あなたは、あなたが十字架に架けられている絵図を、同胞の目の前にかざす」。同胞のせいで、あなたは十字架の苦しみを味わっているのだと、これ見よがしに苦しみを表現し、同胞の目に焼き付かせようとする。"that he may see his sins ~ "ここの"that"は"so thast"のこと、「〜するために、その結果」、「同胞が、彼の罪が天の王国において、あなたの血と死によって書かれていると分かるようにするためである」。あなたが同胞によって血を流し、死に至らしめられたのだと分かるように、天の王国の扉に血をもって書き記すのである。"and go before him ~ "「そして、同胞よりも先立って天の王国に行き着き、天の王国の扉を閉ざして、地獄に落ちよと、同胞を呪うのである」。何とも執念深い恨みであり、敵意、憎悪であろうか。こんなことでは、当然、あなた自身も天の王国の扉をくぐって、その中に入ることは出来まい。



Yet this is writ in hell and not in Heaven, where you are beyond attack and prove his innocence.
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて、〜を超越して」
  • prove [prúːv] : 「証明する、立証する」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔」
❖ "Yet this is writ ~ "「ところが、こんなことは地獄においてこそ書かれるものであって、天の王国の扉に書かれることではない」。どうやら、あなたが天の王国の扉だと思って、呪いの言葉を血で書いたその扉は、地獄の扉であったようだ。"where you are beyond ~ "「天の王国にあっては、あなたは攻撃性を超越し、同胞の無辜性を証明することになるのだ」。その全く逆をあなたは願っているのだから、あなたが立っている扉は、確かに地獄の扉である。人を恨まば穴二つ、と言うように、人を恨んで地獄に落とし、自分は天国へ昇るということは不可能なのだ。人を恨んで地獄に落とせば、あなたも共に地獄へ落ちる。



The picture of yourself you offer him you show yourself, and give it all your faith.
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、信仰、信条、信念、確信」
❖ "The picture of yourself ~ "「あなたが同胞に差し出したあなた自身の絵図を、あなたはあなた自身にも見せるのだが、」"and give it all ~ "「あなたはその絵図を完全に信じきっている」。あなたが同胞によって不当に扱われ、痛みと苦しみを負わせられたと、あなたは疑うことなく、完全に信じきっている。あなたの十字架刑の絵図が、そのまま真実を語っていると信じているのだ。



The Holy Spirit offers you, to give to him, a picture of yourself in which there is no pain and no reproach at all.
  • reproach [ripróutʃ] : 「非難、非難の的、叱責」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ しかし、"The Holy Spirit offers ~ "「ホーリー・スピリットは、同胞にも与えるために、あなたに、あなた自身の一枚の絵を差し出している」。あなたが勝手に描いたあなた自身の絵ではなく、ホーリー・スピリットもまた、あなた自身の絵を描いてあなたに見せ、同胞にも差し出している。"in which there is ~ "「その絵図の中には、痛みもなければ、非難もまったくない」。あなたの描いた絵図とは、まったく異なった絵図なのだ。それは、十字架上のあなたではなく、神聖で無辜なる平和なあなたの姿である。さて、どちらが本当のあなた自身の絵図であろうか。



And what was martyred to his guilt becomes the perfect witness to his innocence.
  • martyr [mάːrtər] : 「犠牲者にする、殉教させる、苦しめる」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「完全な、完璧な」
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、証拠、証言」
❖ "And what was martyred ~ "「同胞の罪の犠牲にされたものは、同胞の無辜性の完全な証言となるのである」。あなたは同胞の罪を断罪し、どれほど同胞によってあなたが苦しみを味わっているか、絵に描いて示したわけだが、真実を見抜くパワーのあるホーリー・スピリットの目から見れば、あなたは神聖で無辜なる神の子であって、本当の実相的あなたは、痛みも知らず、同胞を非難したりもしていず、同胞の罪を断罪するどころか、同胞の無辜性を証明していると見てとるのである。簡単に言えば、あなたが同胞を断罪しているのは夢の中のことであって、それは幻想に過ぎない。夢から醒めれば、同胞はあなたに対して何も不正はしておらず、あなたも同胞も、共に神聖で無辜なる神の子なのだ、と知ることが出来るのである。



4. The power of witness is beyond belief because it brings conviction in its wake.
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • conviction [kənvíkʃən] : 「信念、確信」
  • wake [wéik] : 「目覚めている状態、航跡、通った跡」
❖ "The power of witness ~ "「証言のもっている力は、信じるという行為を越えている」。"because it brings ~ "「なぜなら、証言は、その跡に、確信をもたらすからだ」。証言や証拠は、思い込みに対して優勢である。証言することで、その後に、単なる思いではなく、確たる証拠を残すからだ。証拠が確信を生むのだ。



The witness is believed because he points beyond himself to what he represents.
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • point to : 「〜を指し示す、〜を指摘する、〜に注意を向ける」
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する、象徴する」
❖ "The witness is ~ "「証言者は、信じられるものだ」。"because he points ~ "「なぜなら、証言者は、自分自身を越えて、自分が表現することを目指すからだ」。証言する者は、自分自身の思いを越えて、つまり、自分の感想を度外視して、見たり聞いたりした事実を表現することに神経を集中させるので、多くの者に信じられるのだ。だが、もちろん、それが真実であるとは、必ずしも限らない。偽証という言葉があるように、それが偽りある可能性も多々あるのだ。



A sick and suffering you but represents your brother's guilt; the witness that you send lest he forget the injuries he gave, from which you swear he never will escape.
  • sick [sík] : 「病気で、病気の、不健全な」
  • suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、苦痛を感じる、不快な経験をする」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、証拠、証言」
  • send [sénd] : 「送る、発送する、届ける」
  • lest [lést] : 「〜しないように、〜するといけないから」
  • forget [fərɡét] : 「〜を忘れる、見落とす」
  • injury [índʒəri] : 「けが、負傷、損傷、被害、損害」
  • gave [géiv] : 「give の過去形」
  • swear [swέər] : 「〜と断言する、誓って言う、誓う」
  • escape [iskéip] : 「逃げる、ずらかる、脱出する」
❖ "A sick and suffering ~ "「病んで苦しむあなたは、あなたの同胞の罪を表現する」。同胞に罪があることを描写し、証言するのだ。"the witness that ~ "「それは、同胞があなたに与えた傷跡を、同胞が忘れないようにするために、あなたが送り付けた証言である」。"from which you ~ "「そして、その事実から同胞は決して逃れられないと、あなたは断言するのである」。同胞が、自分の犯した罪を忘れることなく、その罪の意識から逃れることも出来なくするために、あなたは、同胞があなたに加えた不正の数々を描写し、証言するのである。病的に執念深く、自分の傷をえぐって見せるわけだ。同胞に対する復讐心がなせる業だ。



This sick and sorry picture you accept, if only it can serve to punish him.
  • sorry [sɑ́ri] : 「哀れな、惨めな、嘆かわしい、情けない、悲しい」
  • accept [æksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に役立つ、〜に仕える」
  • punish [pʌ́niʃ] : 「〜を罰する、〜を懲らしめる」
❖ "This sick and sorry ~ "「もし〜であるなら、こんな病的な悲しい絵図すら、あなたは受け入れるのである」。"if only it can serve ~ "「もし、その絵に描かれた証言が、同胞を罰するための役に立つならば、」こんな病的な悲しい絵図すら、あなたは受け入れるのである。あなたは被害者を装いながら、合法的に同胞を罰することの出来る加害者になりたいわけなのだ。報復したいだけなのだ。



The sick are merciless to everyone, and in contagion do they seek to kill.
  • merciless [mə́ːrsilis] : 「無慈悲な、無情な」
  • contagion [kəntéidʒən] : 「接触伝染、感染、伝染、悪影響、感化」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • kill [kíl] : 「殺す、葬る、始末する」
❖ "The sick are merciless ~ "「病んでいる者は、誰に対しても無慈悲である」。心を病んでいるあなたは、誰に対しても、もちろん同胞に対してもあなた自身に対しても、無慈悲であり、実相的な愛に欠けている。"and in contagion do ~ "「そして、病んでいる者は、その病を感染させて、人々を殺そうとするのである」。病んでいるあなたは、同じ病に同胞を感染させて、殺したいと願っている。十字架刑に掛けられたあなた自身の絵図を見せることで、同胞も同様の十字架に架けたいと願っているのだ。



Death seems an easy price, if they can say, "Behold me, brother, at your hand I die. "
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
  • easy [íːzi] : 「気楽な、安楽な、やさしい、容易な、簡単な」
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
❖ "Death seems an easy ~ "「もし、病んでいる者が『兄弟よ、お前の手の中で死んでいく俺を見ているがいい』と言えるものなら、死さえも安価なものに思えるだろう」。それほどに、恨みは深い。つまり、病的なのだ。完全に、幻想の中毒に陥っているのだ。自分は正常だと主張する者も、心の皮を一皮剥けば、同じような中毒症状が見えてくるだろう。人は、怨念と憎悪と復讐心で生きているようなものなのだ。それが、この幻想世界という地獄に住む住人達の本性である。しかし、ACIMは、それは悪夢に過ぎないのだと教える。怨念と憎悪と復讐心の本性の下に、あなたの真実が隠されていて、本当のあなたは、神の子として神聖であり、完全に無辜であって愛に満たされていると説くのである。さて、あなたは、どちらのあなたを本当のあなただと感じるだろうか。



For sickness is the witness to his guilt, and death would prove his errors must be sins.
  • sickness [síknəs] : 「病気」
  • error [érər] : 「誤り、間違い、ミス、誤用、過失」
❖ "For sickness is ~ "「なぜなら、あなたが病であることが、同胞に罪があるという証拠になっているからだ」。自分が病に苦しんで死ぬのは、同胞の罪のせいなのだと信じているから、自分の死を同胞に見せつけて、恨みを晴らそうとするのである。



Sickness is but a "little" death; a form of vengeance not yet total. Yet it speaks with certainty for what it represents.
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、現れ、姿、種、種類」
  • vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復」
  • total [tóutl] : 「完全な、全くの、全部の、すべての」
  • speak for : 「〜の代弁をする、〜を物語る、〜を示す、を要求する」
  • with certainty [sə́ːrtnti] : 「確かに、確実に、確信を持って」
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する、象徴する」
❖ "Sickness is but ~ "「病んでいることは、実は、『小さな』死である」。"a form of vengeance ~ "「完全とまでは言えないものの、復讐の一形態なのだ」。他者があなたに不正を働き、そのためにあなたは痛みと苦しみを味わった。あなたは病を装って、その他者に苦しむ我が身を見せつけ、他者の罪を断罪する。そのこと自体が、もはや死の入り口であり、復讐心に燃えた死の怨念である。なぜなら、死んでもいいから復讐したいと思うからだ。"Yet it speaks with certainty ~ "「しかし、病んでいることは、病が表現したいことを、確実に、語っているのだ」。病は完全な復讐とは言えないが、病が表そうとしていることは、復讐心そのものである。怒りである。ジョン・サーノ医学博士が言うように、病は怒りなのだ。怒りが病を作り出しているのである。



The bleak and bitter picture you have sent your brother you have looked upon in grief.
  • bleak [blíːk] : 「荒涼とした、殺風景な、わびしい、寒々とした」
  • bitter [bítər] : 「冷酷な、無情の、苦々しい、悲痛な」
  • look upon : 「〜を見る」
  • grief [gríːf] : 「深い苦悩、嘆き、悲しみ、悲嘆」
❖ "The bleak and bitter ~ "「あなたがあなたの同胞に送り付けた、荒涼として冷酷な絵図を、あなたは、深い苦悩の中で目にしたのだ」。どんなに復讐心に燃え、どんなに怒りに震えようが、そして、どんなに自分の苦悩の姿を不正な同胞に見せつけても、あなたの復讐心も怒りも、痛みも苦しみも消えることはなかった。残されたのは、惨めな自分の姿だけである。悪夢を見て、見た後も侘びしさだけが残るのである。あなたは、髪の毛一本すら救われなかった自分を目撃したのだ。



And everything that it has shown to him have you believed, because it witnessed to the guilt in him which you perceived and loved.
  • shown [ʃóun] : 「show の過去分詞」
  • witness [wítnəs] : 「〜を証言する、〜を証明する」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "And everything that ~ "「荒涼として冷酷な絵図が同胞に示したあらゆるものを、あなたは信じていた」。あなたは、絵図に描いたあらゆる苦悩を、その通りだと信じていたのだ。"because it witnessed ~ "「なぜなら、絵図は、あなたが知覚し愛して病まない罪が同胞にあることを証言していたからだ」。あなたは自分の苦悩をその通りだと信じていたのだが、本当に信じていたのは苦悩ではなく、同胞の罪である。同胞に罪があると信じていたので、自分の苦悩の絵図を作り上げ、それこそが真実であると証言したに過ぎないのだ。同胞に罪があると思う、などと心情を語るより、同胞の罪によってこれほど苦しんだのだと、絵図をもって証言した方が、ずっと真実味があると計算したからなのだ。人は、真実を信じるのではない、信じたいと思うものを信じるのである。何と悲しい、人間の性(さが)ではないか。
 
 
 


T-27.I.1:1 ~ T-27.I.2:7

 
 
A Course in Miracles
 
 
 
Text - Chapter 27
 
 
The Healing of the Dream
夢をヒーリングすること
 
 

I. The Picture of Crucifixion
磔刑の絵姿
 
 
1. The wish to be unfairly treated is a compromise attempt that would combine attack and innocence.
  • wish [wíʃ] : 「願い、希望」
  • unfairly [ʌnfέərli] : 「不当に、不正に」
  • treat [tríːt] : 「扱う、取り扱う、処理する、待遇する」
  • compromise [kάmprəmàiz] : 「譲歩、妥協」
  • attempt [ətémpt] : 「試み、企て」
  • combine [kəmbáin] : 「〜を結合する、混ぜ合わせる、混合する」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔」
❖ "The wish to be unfairly ~ "「不当に取り扱われている(に違いない)と思いたい気持ちは、攻撃性と潔白性をまぜこぜにした、妥協的試みである」。自分が不正に取り扱われ攻撃されていると思いたがる心の裏には、自分は潔白でありたいと望む気持ちがあるからであり、さらにその奥には、自分には罪があるという思いが隠されている。そこで、他者から不正に取り扱われ、攻撃される前に、自己防衛と称して、自ら攻撃をしかけ、他者を不正に取り扱おうとするのである。つまり、頭の中で、攻撃性と潔白性が混同され、身勝手な妥協策を探ろうとしているわけなのだ。



Who can combine the wholly incompatible, and make a unity of what can never join?
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • incompatible [ìnkəmpǽtəbl] : 「両立しない、性格が合わない、相性が悪い、相いれない」
  • unity [júːnəti] : 「統一、結束、一体性、和合」
  • join [dʒɔ́in] : 「参加する、交わる、一緒になる」
❖ "Who can combine ~ "「完全に両立しないものを結び合わせ、決して結合出来ないものを結束させることなど、誰に出来るだろうか」。攻撃性と潔白性を両立させることは出来ない。攻撃性は潔白性を打ち消し、潔白性は攻撃性を否定するからだ。



Walk you the gentle way, and you will fear no evil and no shadows in the night.
  • walk [wɔ́ːk] : 「〜を歩かせる、歩いて送る、散歩させる」
  • gentle [dʒéntl] : 「優しい、寛大な、穏やかな、なだらかな」
  • fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • evil [íːvl] : 「害悪、悪、弊害」
  • shadow [ʃǽdou] : 「影、暗がり、人影、陰」
  • night [náit] : 「夜、晩、暗闇、暗黒」
❖ "Walk you the gentle ~ "「穏やかな道を歩みなさい」。攻撃したり攻撃されたりするような道ではなく、平和な道を歩みなさい。" and you will ~ "「そうすれば、あなたは、邪悪なものも、夜の影も恐れることはなくなるのだ」。心が平和であれば、幻想に騙されることなく、幻想の黒雲も消えてしまうだろう。恐れはない。



But place no terror symbols on your path, or you will weave a crown of thorns from which your brother and yourself will not escape.
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する、取り付ける」
  • terror [térər] : 「恐怖、テロ」
  • symbol [símbl] : 「象徴、記号、シンボル、表象」
  • path [pǽθ] : 「道、小道、細道、通路、経路、軌道、進路」
  • weave [wíːv] : 「編む、作る、織る、組み上げる」
  • crown [kráun] : 「冠、王冠、王位」
  • thorn [θɔ́ːrn] : 「棘、針」
  • escape [iskéip] : 「逃げる、脱出する、抜ける、免れる」
❖ "But place no terror ~ "「しかし、あなたの歩む道に、恐れのシンボルを置いてはいけない」。"or you will weave ~ "「さもないと、あなたは、イバラの冠を編んで、そこから、あなたの同胞もあなた自身も逃れることが出来なくなるだろう」。"terror symbols"「恐れのシンボル」とは、自分の不正を攻撃されはしないかという恐怖や、罪を罰せられはしまいかという恐れなど。"crown of thorns"「イバラの冠」とは、自分を犠牲にする行為、あるいは、単に罰や攻撃。心を平和に保つことなく、常に攻撃を恐れ、罰を恐れていては、まるでイバラの冠をかぶって生きているようなもので、あなたか同胞か、いずれかが、犠牲にされ死の道を歩むことになるのだ。イバラの冠をかぶり死の道を歩むとは、まさに、十字架刑への道である。



You cannot crucify yourself alone. And if you are unfairly treated, he must suffer the unfairness that you see.
  • crucify [krúːsifài] : 「〜を十字架に張り付けにする、責め苦しめる」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
  • suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、耐える」
  • unfairness [ʌnfέərnis] : 「不公平、不当、不正」
❖ "You cannot crucify ~ "「あなた自身だけが、十字架刑に処せられるだけでは済まないのだ」。" And if you are ~ "「もしあなたが、不正に取り扱われたなら、不正に取り扱った本人が、あなたが目にした不正を被ることになる」。あなたと同胞は自他一如であり、不正を他者に強いるということは、その不正を自分も被ることを意味する。攻撃することは、攻撃されることであり、奪うことは失うことなのである。したがって、攻撃することなく、不正に扱うことなく、奪うことない道を歩め、と言っているわけだ。それが、"Walk you the gentle way"「穏やかな道を歩みなさい」という意味である。



You cannot sacrifice yourself alone. For sacrifice is total.
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「〜を犠牲にする、〜をいけにえにする」
  • total [tóutl] : 「全部の、すべての、全体の、全面的な」
❖ "You cannot sacrifice ~ "「あなたは、あなた自身だけを犠牲にするだけでは済まないのだ」。自他一如である。"For sacrifice ~ "「なぜなら、犠牲は全体のものだからである」。一人が犠牲になることは、全体が犠牲になることを意味する。分離分裂して見える神の子ではあるが、実相的には、単一の存在なのだから。



If it could occur at all it would entail the whole of God's creation, and the Father with the sacrifice of His beloved Son.
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
  • at all : 「仮にも、いやしくも」
  • entail [entéil] : 「〜を伴う、必要とする、引き起こす」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
  • beloved [bilʌ́vid] : 「最愛の、いとしい、愛される」
❖ "If it could occur ~ "「仮にも、犠牲ということが起きたなら、犠牲は、神の創造したすべてのものへ波及することになろう」。"and the Father with ~ "「そして、父なる神は、愛してやまない神の子を犠牲にする結果になろう」。神でさえ、犠牲の波及を止めることは出来ず、すべての神の子が犠牲にされてしまうだろう。なぜなら、神は何よりも神の子の自由意思を重んじており、神の子が自らの意思で犠牲を求めたなら、その犠牲は、神であっても止められないからだ。



2. In your release from sacrifice is his made manifest, and shown to be his own.
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
  • his : 「彼の、彼のもの」
  • manifest [mǽnəfèst] : 「明白な、明らかな、明らかにする」
  • shown [ʃóun] : 「show の過去分詞」
❖ "In your release from ~ "「あなたが犠牲から解放される中に、神子の子の解放が明示され、」"and shown ~ "「神の子自身の解放であると示されるのだ」。あなたの心が犠牲という考えから解放されれば、それは神の子全体に波及して、神の子全体が犠牲から解放される。



But every pain you suffer do you see as proof that he is guilty of attack.
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛、苦痛、骨折り、苦労」
  • suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、耐える」
  • proof [prúːf] : 「証拠、立証、証明、証し、裏付け」
  • guilty [gílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • be guilty of : 「〜の罪を犯した、〜で有罪の」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ "But every pain you ~ "「しかし、あなたが痛みを被る度に、あなたは、神の子が攻撃を犯した罪がある証拠を目にすることになる」。あなたが他者の罪を攻撃したなら、あるいは他者があなたの罪を攻撃したなら、そこには、解放などは存在出来ず、心の痛みが残るだけなのだ。



Thus would you make yourself to be the sign that he has lost his innocence, and need but look on you to realize that he has been condemned.
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • sign [sáin] : 「標示、サイン、標識、記号、表れ、兆し」
  • lost [lɔ́st] : 「lose の過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔」
  • look on : 「〜を見る」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
  • condemn [kəndém] : 「〜に有罪の判決を下す、〜を非難する、責める」
❖ "Thus would you make ~ "「こうして、あなたは、あなた自身を〜という証拠にしてしまうことになる」。"that he has lost ~ "「神の子が潔白性を失い、有罪を宣告されたことを認識するにはあなたを見ることだけが必要だ」という証拠に、あなた自身はなってしまうのだ。回りくどい表現をしているのだが、要するに、他者があなたの罪を攻撃したなら、攻撃されたあなたの存在は、その他者にとって、他者が潔白性を失い、罪を犯して有罪だと宣告された、その証拠となるのである。もちろん、この逆も然りであり、あなたが神の子である他者を罪ありとして攻撃したなら、あなたが潔白性を失い、あなたに罪あるという有罪を宣告されたことになるのだ。



And what to you has been unfair will come to him in righteousness.
  • unfair [ʌnfέər] : 「不公正な、公正を欠いた、不公平な」
  • righteousness [ráitʃəsnis] : 「正しさ、公正」
❖ "And what to you has ~ "「あなたに対して不正であったことは、他者には正当だということになってしまう」。つまり、他者があなたを攻撃することは不正であると主張しながら、同じ攻撃をあなたが他者に対して行うと、あなたはそれは正当だと言うのである。



The unjust vengeance that you suffer now belongs to him, and when it rests on him are you set free.
  • unjust [ʌndʒʌ́st] : 「不公平な、不正な、不法な、不当な」
  • vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復」
  • belong [bilɔ́ːŋ] to : 「〜に属する、〜の所有物である」
  • rest [rést] : 「ある、置かれている」
  • be set free : 「自由の身となる、釈放される」
❖ "The unjust vengeance ~ "「あなたが被った不正な復讐は、今や、他者にとって不正な復讐となり、」"and when it rests on him ~ "意訳する、「不正な復讐が他者の上に乗り移ったとき、あなたは解放されると思うのである」。あなたが他者から攻撃されれば、あなたは、それは不正な復讐であると主張する。しかし、あなたがその攻撃に対して反撃し、他者を不正に攻撃すれば、あなたは、それによって他者からの不正な復讐から解放されたと思うのである。



Wish not to make yourself a living symbol of his guilt, for you will not escape the death you made for him. But in his innocence you find your own.
  • living [líviŋ] : 「生きている、現存する、活気のある、生命のある」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
❖ "Wish not to make ~ "「あなた自身を、他者に罪があるという生々しいシンボルにしたいなどと思ってはいけない」。つまり、他者の罪を断罪するようなことをしてはいけない、証言者になってはいけない、ということ。"for you will not escape ~ "「なぜなら、あなたが他者のために用意した死から、あなたも逃れられなくなってしまうからだ」。自他一如であり、あなたが、他者の罪を攻撃し、死を望めば、それはあなたに跳ね返ってきて、あなたの罪が断罪されて、死の有罪宣告を受けることになってしまうのだ。"But in his innocence ~ "「しかし、他者の潔白性の中に、あなたは、あなた自身の潔白性を見つけることになるのだ」。あなたが、他者の心に潔白性を見出すことが出来たとき、あなたは、あなた自身の潔白性に出会うことが出来るのである。簡単に言えば、あなたが他者の心を黒だと感じているうちは、あなたの心も黒であり、あなたが他者の心を白く感じたとき、あなたの心も白くなるのだ。あなたと他者は、まさに、自他一如なのである。あなたの想念が、そっくりそのまま、あなたと他者の姿に反映されるのである。
 
 
 

T-26.X.6:1 ~ T-26.X.6:7

6. What this injustice does to you who judge unfairly, and who see as you have judged, you cannot calculate.
  • injustice [indʒʌ́stis] : 「不公平、不正、不法、不当」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を判断する、〜に判断を下す」
  • unfairly [ʌnfέərli] : 「不当に」
  • calculate [kǽlkjəlèit] : 「〜を計算する、〜を見積もる、予測する、予想する」
❖ "What this injustice does ~ "「不正に判断し、判断した通りに見るあなたに対して、この不正が何をなすのか、あなたは予想することが出来ないのだ」。あなたは、自分の潔白さを手に入れたいばかりに、他者に罪があり、他者が不正を犯していると不当に判断したが、その不当な判断の結果が、あなたに何をもたらすのか、あなたは予想出来ない。不当な判断は、自分に跳ね返って来るのだ。結果的に、自分に罪があり、自分が不正を犯していると知ることになる。他者との溝はますます深まり、分離が加速されて、あなたは孤立化していくだろう。



The world grows dim and threatening, not a trace of all the happy sparkle that salvation brings can you perceive to lighten up your way.
  • grow [gróu] : 「〜の状態になる、増える、増大する」
  • dim [dím] : 「薄暗い、ぼやけた、ぼんやりとした」
  • threatening [θrétniŋ] : 「脅迫的な」
  • trace [tréis] : 「跡、足跡、痕跡」
  • sparkle [spάːrkl] : 「きらめき、輝き、活気」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • lighten [láitn] : 「〜を明るくする、〜の色を薄くする」
❖ "The world grows dim ~ "「世界はますます暗くなり、あなたを脅かすようになる」。孤立化して孤独になり、闇に包まれて恐れだけが肥大化する。"not a trace of all ~ "「救いがもたらす幸福な煌(きら)めきの痕跡すら、あなたの進む道を照らそうにも、知覚することは出来なくなるのだ」。孤独は深まり、救いも遠のいて、光の世界と無縁になってしまうのだ。ACIMの言う、地獄である。



And so you see yourself deprived of light, abandoned to the dark, unfairly left without a purpose in a futile world.
  • deprive [dipráiv] : 「奪う、取り上げる、剥奪する、与えない」
  • deprived of : 「〜を奪われている」
  • light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
  • abandon [əbǽndən] : 「捨てる、遺棄する、見捨てる、置き去りにする」
  • dark [dάːrk] : 「闇、暗黒」
  • left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする、放置する」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • futile [fjúːtl] : 「無益な、無駄な、不毛な、無能な、無意味な」
❖ "And so you see yourself ~ "「そこで、あなたは、あなた自身が光を奪われ、闇に捨てられたと見て取るのだ」。"unfairly left without ~ "「不当にも、不毛の世界にあって、目的を取り上げられて捨て置かれたと思うのである」。ここに至っても、自分自身の不正な判断に原因があると自覚することなく、他者の不正、世界の不正が、自分をこんな地獄の状態に置き去りにしたと非難罵倒するのである。



The world is fair because the Holy Spirit has brought injustice to the light within, and there has all unfairness been resolved and been replaced with justice and with love.
  • fair [fέər] : 「公平な、公正な、公明正大な」
  • brought [brɔ́ːt] :「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • injustice [indʒʌ́stis] : 「不公平、不正、不法、不当」
  • within [wiðín] : 「の心の中で、内心で」
  • unfairness [ʌnfέərnis] : 「不公平、不当」
  • resolve [rizάlv] : 「解決する、解消する、除く」
  • replace [ripléis] : 「〜を取り換える、交換する、差し替える」
  • justice [dʒʌ́stis] : 「正義、公正、正当性」
❖ "The world is fair ~ "「この世界は公正なのだ」。"because the Holy Spirit ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットが、不正を内なる光の下にもってきって、そこで、あらゆる不正は解消され、公正さと愛に置き換えられるからだ」。ここの「不正」は、「幻想」と置き換えてみると意味がはっきりするだろう。ホーリー・スピリットはこの世界の幻想に、実相の光を当て、幻想を実相と愛で置き換えるのだ。不正な幻想が減少、消滅するのだから、相対的に、この世界は公正になる。


If you perceive injustice anywhere, you need but say:

By this do I deny the Presence of the Father and the Son.

And I would rather know of Them than see injustice,

which Their Presence shines away.
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • anywhere [énihwὲər] : 「どこでも、どこかに、どこへでも」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • rather [rǽðər] : 「どちらかといえば、むしろ」
  • presence [prézns] : 「存在すること、存在」
  • shine [ʃáin] : 「輝く、光る」
❖ "If you perceive ~ "「どこにあっても、もし、あなたが不正を知覚したなら、次のように言ってみる必要がある」。"By this do I deny ~ "「こんなことをすることで、私は、父なる神と神の子の存在を否定してしまうのだ」。この世界と他者が不正であると不当な判断を下すことで、ますます孤独と闇を深めてしまい、神も神の子も、その存在すら信じられなくなってしまうのだ。"And I would rather ~ "「私は、不正を目にするよりも、むしろずっと、父なる神と神の子のことを知りたいと思う」。"which Their Presence ~ "「父なる神と神の子の存在が、不正を、光で打ち消してくれるのだから」。実相的存在が、愛の光で、幻想や虚偽、不正を照らし出し、打ち消してくれるのである。闇は消え、孤独は解消するのだ。地獄の世界が、天の王国に置き換えられるのである。
 
 
 


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