A Course in Miracles
Text - Chapter 27
The Healing of the Dream
夢をヒーリングすること
I. The Picture of Crucifixion
磔刑の絵姿
1. The wish to be unfairly treated is a compromise attempt that would combine attack and innocence.
- wish [wíʃ] : 「願い、希望」
- unfairly [ʌnfέərli] : 「不当に、不正に」
- treat [tríːt] : 「扱う、取り扱う、処理する、待遇する」
- compromise [kάmprəmàiz] : 「譲歩、妥協」
- attempt [ətémpt] : 「試み、企て」
- combine [kəmbáin] : 「〜を結合する、混ぜ合わせる、混合する」
- attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
- innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔」
❖ "The wish to be unfairly ~ "「不当に取り扱われている(に違いない)と思いたい気持ちは、攻撃性と潔白性をまぜこぜにした、妥協的試みである」。自分が不正に取り扱われ攻撃されていると思いたがる心の裏には、自分は潔白でありたいと望む気持ちがあるからであり、さらにその奥には、自分には罪があるという思いが隠されている。そこで、他者から不正に取り扱われ、攻撃される前に、自己防衛と称して、自ら攻撃をしかけ、他者を不正に取り扱おうとするのである。つまり、頭の中で、攻撃性と潔白性が混同され、身勝手な妥協策を探ろうとしているわけなのだ。
Who can combine the wholly incompatible, and make a unity of what can never join?
- wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
- incompatible [ìnkəmpǽtəbl] : 「両立しない、性格が合わない、相性が悪い、相いれない」
- unity [júːnəti] : 「統一、結束、一体性、和合」
- join [dʒɔ́in] : 「参加する、交わる、一緒になる」
❖ "Who can combine ~ "「完全に両立しないものを結び合わせ、決して結合出来ないものを結束させることなど、誰に出来るだろうか」。攻撃性と潔白性を両立させることは出来ない。攻撃性は潔白性を打ち消し、潔白性は攻撃性を否定するからだ。
Walk you the gentle way, and you will fear no evil and no shadows in the night.
- walk [wɔ́ːk] : 「〜を歩かせる、歩いて送る、散歩させる」
- gentle [dʒéntl] : 「優しい、寛大な、穏やかな、なだらかな」
- fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
- evil [íːvl] : 「害悪、悪、弊害」
- shadow [ʃǽdou] : 「影、暗がり、人影、陰」
- night [náit] : 「夜、晩、暗闇、暗黒」
❖ "Walk you the gentle ~ "「穏やかな道を歩みなさい」。攻撃したり攻撃されたりするような道ではなく、平和な道を歩みなさい。" and you will ~ "「そうすれば、あなたは、邪悪なものも、夜の影も恐れることはなくなるのだ」。心が平和であれば、幻想に騙されることなく、幻想の黒雲も消えてしまうだろう。恐れはない。
But place no terror symbols on your path, or you will weave a crown of thorns from which your brother and yourself will not escape.
- place [pléis] : 「〜を置く、設置する、取り付ける」
- terror [térər] : 「恐怖、テロ」
- symbol [símbl] : 「象徴、記号、シンボル、表象」
- path [pǽθ] : 「道、小道、細道、通路、経路、軌道、進路」
- weave [wíːv] : 「編む、作る、織る、組み上げる」
- crown [kráun] : 「冠、王冠、王位」
- thorn [θɔ́ːrn] : 「棘、針」
- escape [iskéip] : 「逃げる、脱出する、抜ける、免れる」
❖ "But place no terror ~ "「しかし、あなたの歩む道に、恐れのシンボルを置いてはいけない」。"or you will weave ~ "「さもないと、あなたは、イバラの冠を編んで、そこから、あなたの同胞もあなた自身も逃れることが出来なくなるだろう」。"terror symbols"「恐れのシンボル」とは、自分の不正を攻撃されはしないかという恐怖や、罪を罰せられはしまいかという恐れなど。"crown of thorns"「イバラの冠」とは、自分を犠牲にする行為、あるいは、単に罰や攻撃。心を平和に保つことなく、常に攻撃を恐れ、罰を恐れていては、まるでイバラの冠をかぶって生きているようなもので、あなたか同胞か、いずれかが、犠牲にされ死の道を歩むことになるのだ。イバラの冠をかぶり死の道を歩むとは、まさに、十字架刑への道である。
You cannot crucify yourself alone. And if you are unfairly treated, he must suffer the unfairness that you see.
- crucify [krúːsifài] : 「〜を十字架に張り付けにする、責め苦しめる」
- alone [əlóun] : 「独りで、単に」
- suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、耐える」
- unfairness [ʌnfέərnis] : 「不公平、不当、不正」
❖ "You cannot crucify ~ "「あなた自身だけが、十字架刑に処せられるだけでは済まないのだ」。" And if you are ~ "「もしあなたが、不正に取り扱われたなら、不正に取り扱った本人が、あなたが目にした不正を被ることになる」。あなたと同胞は自他一如であり、不正を他者に強いるということは、その不正を自分も被ることを意味する。攻撃することは、攻撃されることであり、奪うことは失うことなのである。したがって、攻撃することなく、不正に扱うことなく、奪うことない道を歩め、と言っているわけだ。それが、"Walk you the gentle way"「穏やかな道を歩みなさい」という意味である。
You cannot sacrifice yourself alone. For sacrifice is total.
- sacrifice [sǽkrəfàis] : 「〜を犠牲にする、〜をいけにえにする」
- total [tóutl] : 「全部の、すべての、全体の、全面的な」
❖ "You cannot sacrifice ~ "「あなたは、あなた自身だけを犠牲にするだけでは済まないのだ」。自他一如である。"For sacrifice ~ "「なぜなら、犠牲は全体のものだからである」。一人が犠牲になることは、全体が犠牲になることを意味する。分離分裂して見える神の子ではあるが、実相的には、単一の存在なのだから。
If it could occur at all it would entail the whole of God's creation, and the Father with the sacrifice of His beloved Son.
- occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
- at all : 「仮にも、いやしくも」
- entail [entéil] : 「〜を伴う、必要とする、引き起こす」
- whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
- sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
- beloved [bilʌ́vid] : 「最愛の、いとしい、愛される」
❖ "If it could occur ~ "「仮にも、犠牲ということが起きたなら、犠牲は、神の創造したすべてのものへ波及することになろう」。"and the Father with ~ "「そして、父なる神は、愛してやまない神の子を犠牲にする結果になろう」。神でさえ、犠牲の波及を止めることは出来ず、すべての神の子が犠牲にされてしまうだろう。なぜなら、神は何よりも神の子の自由意思を重んじており、神の子が自らの意思で犠牲を求めたなら、その犠牲は、神であっても止められないからだ。
2. In your release from sacrifice is his made manifest, and shown to be his own.
- release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
- his : 「彼の、彼のもの」
- manifest [mǽnəfèst] : 「明白な、明らかな、明らかにする」
- shown [ʃóun] : 「show の過去分詞」
❖ "In your release from ~ "「あなたが犠牲から解放される中に、神子の子の解放が明示され、」"and shown ~ "「神の子自身の解放であると示されるのだ」。あなたの心が犠牲という考えから解放されれば、それは神の子全体に波及して、神の子全体が犠牲から解放される。
But every pain you suffer do you see as proof that he is guilty of attack.
- pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛、苦痛、骨折り、苦労」
- suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、耐える」
- proof [prúːf] : 「証拠、立証、証明、証し、裏付け」
- guilty [gílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
- be guilty of : 「〜の罪を犯した、〜で有罪の」
- attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ "But every pain you ~ "「しかし、あなたが痛みを被る度に、あなたは、神の子が攻撃を犯した罪がある証拠を目にすることになる」。あなたが他者の罪を攻撃したなら、あるいは他者があなたの罪を攻撃したなら、そこには、解放などは存在出来ず、心の痛みが残るだけなのだ。
Thus would you make yourself to be the sign that he has lost his innocence, and need but look on you to realize that he has been condemned.
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
- sign [sáin] : 「標示、サイン、標識、記号、表れ、兆し」
- lost [lɔ́st] : 「lose の過去・過去分詞形」
- lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
- innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔」
- look on : 「〜を見る」
- realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
- condemn [kəndém] : 「〜に有罪の判決を下す、〜を非難する、責める」
❖ "Thus would you make ~ "「こうして、あなたは、あなた自身を〜という証拠にしてしまうことになる」。"that he has lost ~ "「神の子が潔白性を失い、有罪を宣告されたことを認識するにはあなたを見ることだけが必要だ」という証拠に、あなた自身はなってしまうのだ。回りくどい表現をしているのだが、要するに、他者があなたの罪を攻撃したなら、攻撃されたあなたの存在は、その他者にとって、他者が潔白性を失い、罪を犯して有罪だと宣告された、その証拠となるのである。もちろん、この逆も然りであり、あなたが神の子である他者を罪ありとして攻撃したなら、あなたが潔白性を失い、あなたに罪あるという有罪を宣告されたことになるのだ。
And what to you has been unfair will come to him in righteousness.
- unfair [ʌnfέər] : 「不公正な、公正を欠いた、不公平な」
- righteousness [ráitʃəsnis] : 「正しさ、公正」
❖ "And what to you has ~ "「あなたに対して不正であったことは、他者には正当だということになってしまう」。つまり、他者があなたを攻撃することは不正であると主張しながら、同じ攻撃をあなたが他者に対して行うと、あなたはそれは正当だと言うのである。
The unjust vengeance that you suffer now belongs to him, and when it rests on him are you set free.
- unjust [ʌndʒʌ́st] : 「不公平な、不正な、不法な、不当な」
- vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復」
- belong [bilɔ́ːŋ] to : 「〜に属する、〜の所有物である」
- rest [rést] : 「ある、置かれている」
- be set free : 「自由の身となる、釈放される」
❖ "The unjust vengeance ~ "「あなたが被った不正な復讐は、今や、他者にとって不正な復讐となり、」"and when it rests on him ~ "意訳する、「不正な復讐が他者の上に乗り移ったとき、あなたは解放されると思うのである」。あなたが他者から攻撃されれば、あなたは、それは不正な復讐であると主張する。しかし、あなたがその攻撃に対して反撃し、他者を不正に攻撃すれば、あなたは、それによって他者からの不正な復讐から解放されたと思うのである。
Wish not to make yourself a living symbol of his guilt, for you will not escape the death you made for him. But in his innocence you find your own.
- living [líviŋ] : 「生きている、現存する、活気のある、生命のある」
- guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
- death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
- find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
❖ "Wish not to make ~ "「あなた自身を、他者に罪があるという生々しいシンボルにしたいなどと思ってはいけない」。つまり、他者の罪を断罪するようなことをしてはいけない、証言者になってはいけない、ということ。"for you will not escape ~ "「なぜなら、あなたが他者のために用意した死から、あなたも逃れられなくなってしまうからだ」。自他一如であり、あなたが、他者の罪を攻撃し、死を望めば、それはあなたに跳ね返ってきて、あなたの罪が断罪されて、死の有罪宣告を受けることになってしまうのだ。"But in his innocence ~ "「しかし、他者の潔白性の中に、あなたは、あなた自身の潔白性を見つけることになるのだ」。あなたが、他者の心に潔白性を見出すことが出来たとき、あなたは、あなた自身の潔白性に出会うことが出来るのである。簡単に言えば、あなたが他者の心を黒だと感じているうちは、あなたの心も黒であり、あなたが他者の心を白く感じたとき、あなたの心も白くなるのだ。あなたと他者は、まさに、自他一如なのである。あなたの想念が、そっくりそのまま、あなたと他者の姿に反映されるのである。