7. Concepts are learned. They are not natural. Apart from learning they do not exist. They are not given, so they must be made.
- concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念」
- natural [nǽtʃərəl] : 「天然の、生まれながらの、自然の」
- apart from : 「〜から離れて、〜は別として」
- learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
- exist [iɡzíst] : 「存在する、生きている、生存する、存続する」
- given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
❖ "Concepts are ~ "「概念とは、学習されるものである」。"They are not ~ "「概念は、生得のものではない」。"Apart from learning ~ "「学ばれることなくして、概念は存在しない」。"They are not ~ "「概念は、与えられるものではなく、必ず、作り出されるものなのだ」。あなたが自分だと思っているあなたの自己概念は、生得的なものではなく、成長するにしたがって、あなたが世界から学んだり、他者から習ったり、自分で矯正したりして作り上げてきたものなのだ。その学びのレッスンは、実は、幻想を学ぶレッスンに過ぎない。幻想に準じた偽りなのである。
Not one of them is true, and many come from feverish imaginations, hot with hatred and distortions born of fear.
- true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の、正確な、忠実」
- come from : 「〜に由来する、源を〜に発する」
- feverish [fíːvəriʃ] : 「熱中した、熱狂的な、興奮した」
- imagination [imæ̀dʒənéiʃən] : 「想像力、心象、空想」
- hot [hάt] : 「激しい、怒った、熱い」
- hatred [héitrid] : 「強い嫌悪、憎しみ、憎悪、嫌悪」
- distortion [distɔ́ːrʃən] : 「歪めること、ゆがみ、ねじれ、歪曲」
- born [bɔ́ːrn] : 「生まれる、誕生する」
- born of : 「〜から生まれる、〜のもとに生まれる」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
❖ "Not one of ~ "「(形成された)自己概念はどれも、真実ではない」。あなたが学んで作り上げた自己概念は、幻想に準じたものであって、真実ではない。自己概念自体も幻想であり、虚偽であり虚像である。"and many come ~ "「その多くは、熱狂的な空想から生じたものであり、」"hot with hatred ~ "「憎しみと、恐れから生み出された歪みで熱くなっている」。あなたの自己概念は、幻想世界の与えるレッスンによって形成された幻想、虚像であって、それは、心の中の恐れや罪の意識や怒りや攻撃性という、熱く歪んだ悪感情から吐き出されてくるものなのだ。"feverish imaginations"「熱狂的な空想」とは、エゴを熱狂的に信じる、その幻想性、虚妄性、といった意味合い。エゴは、あなたに他者への恐怖心をかき立たたせ、他者への攻撃心を煽り立てる。あなたは他者を憎み、恐れ、攻撃性に燃える。いわば、アドレナリンが噴出して、熱くなるのだ。心の歪んだ状態(distortions)である。
What is a concept but a thought to which its maker gives a meaning of his own?
- thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、考え、見解」
- meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "What is a concept ~ "「概念とは、概念を作り出す者が、自分自身の意味を与える思いそのもの以外の何だろうか」。一言で言えば、自己概念とは、自分がこうありたいと思う自己イメージのことである。幻想世界は、あなたの思いが幻想した通りに出来上がっているので、あなた自身のイメージも、あなたが勝手に作ったものなのだ。幻想を作るのに真実はいらない。夢の中で、あなたが変幻自在に自分を形作っているのと同じなのだ。夢に登場するあなたは実在などしない。
Concepts maintain the world. But they can not be used to demonstrate the world is real.
- maintain [meintéin] : 「持続する、保持する、支持する」
- demonstrate [démənstrèit] : 「実証する、立証する、実演する」
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "Concepts maintain ~ "「概念は、この世界を維持する」。心が想念した通りに、この世界は出来上がっている。もちろんあなたは、どんなに平和を想念しても世界は戦争だらけではないか、と文句を言うだろう。想念とは、心の深層レベルの思いであって、頭脳による理性的なおしゃべりとは違うのだ。頭の中の善悪判断によって戦争を否定し平和を望んでも、それで世界が平和になるわけではない。幻想を赦し、幻想を消滅させることこそが心の深層レベルに到達出来る道であって、それを欠いては何も起きない。その心の深層レベルは、今はエゴに支配されているので、こんなメチャクチャな世界が出来上がっているのである。"But they can not ~ "「しかし、概念は、世界が実在することを実証するために用いることは出来ない」。概念によって維持されて目の前に展開する世界ではあるが、それをもって世界は実在するなどとは言えない。もちろん、目の前に展開する世界は、単なる幻想に過ぎない。夢に見ているだけの世界だ。
For all of them are made within the world, born in its shadow, growing in its ways and finally "maturing" in its thought.
- within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側で」
- shadow [ʃǽdou] : 「影、暗がり、暗部」
- grow [gróu] : 「成長する、育つ、大きくなる」
- finally [fáinəli] : 「ついに、最後に、最終的に、とうとう」
- mature [mətjúər] : 「熟す、熟成する、成熟する」
❖ "For all of them ~ "「なぜなら、すべての概念は、世界の中で作られているからであり、」自己概念も世界も、幻想という枠組みから一歩も外に出ることはない。"born in its ~ "「世界という影の中に生まれ、世界の提供する道に沿って成長し、ついには、世界の想念の中で『成熟していく』ものだからである」。いわば、目に見える世界とあなた自身の自己概念は同一なのだ。あなたが世界を幻想し、幻想された世界に沿って、あなたの自己概念が形成されていく。
They are ideas of idols, painted with the brushes of the world, which cannot make a single picture representing truth.
- idea [aidíːə] : 「考え、着想、アイデア、発想、思い付き」
- idol [áidl] : 「偶像、崇拝の対象、虚像、幻想」
- paint [péint] : 「〜にペンキを塗る」
- brush [brʌ́ʃ] : 「ブラシ、はけ、絵筆、画筆」
- single [síŋɡl] : 「ただ一つの、たった一つの」
- represent [rèprizént] : 「表す、示す、象徴する、意味する」
❖ "They are ideas ~ "「概念は、偶像の思いである」。概念は、幻想が現実化したものに過ぎない。幻想が形をとったとき、それが偶像である。"painted with ~ "「世界というブラシで絵の具を塗られているに過ぎないのだ」。"which cannot make ~ "「そんなブラシが、真実を表す絵の、ただの一枚も描けるわけがない」。幻想は幻想を描けるだけであって、幻想が真実を描ける道理はない。世界というブラシが偶像に色を塗り、また逆に偶像が世界に色を塗る。もちろん、虚偽の色であり、したがって、変化流動して色はあせ、ペンキは剥がれてしまうのだ。
8. A concept of the self is meaningless, for no one here can see what it is for, and therefore cannot picture what it is.
- meaningless [míːniŋlis] : 「意味が分からない、無意味な」
- therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
- picture [píktʃər] : 「〜を描写する、絵に描く、想像する、心に描く」
❖ "A concept of ~ "「自己概念など、意味はない」。幻想に過ぎないから、真実の一つも語ってくれはしない。"for no one here ~ "「なぜなら、この世界に住む誰一人として、自己概念が何のためにあるのか知ることが出来ないからだ」。自己概念は幻想の世界に迎合するために存在するのだと誰も気付きはしない。"and therefore ~ "「したがて、誰も、自己概念がどんなものなのか描くことも出来ないのだ」。自己概念の虚偽性、欺瞞性、幻想性をはっきり描き出せる者は誰もいない。簡単に言えば、あなたは何なのか、と問われて、誰も明確な答えを出すことは出来ない、ということ。
Yet is all learning that the world directs begun and ended with the single aim of teaching you this concept of yourself, that you will choose to follow this world's laws, and never seek to go beyond its roads nor realize the way you see yourself.
- direct [dirékt] : 「命令する、指揮する」
- begun [biɡʌ́n] : 「beginの過去分詞形」
- single [síŋɡl] : 「ただ一つの、たった一つの」
- aim [éim] : 「目標、目的」
- choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
- follow [fάlou] : 「〜に続く、〜の後について行く、〜に従う、追随する」
- law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
- seek [síːk] : 「探し求める、求める」
- beyond [bijάnd] : 「を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
- realize [ríəlàiz ] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
❖ "Yet is all learning ~ "「しかし、世界が命ずる学びのすべては、あなたにこんな自己概念を教えることを唯一の目的として終始している」。"that you will choose ~ "「それは、あなたが、この世界の法に従うことを選択し、世界の提供する道を越えて進むことを探し求めたりせずに、あなた自身を知るための道を認識しないことなのだ」。簡単に言えば、世界は、あなたが幻想のままこの世界に留まることを選択させ、世界に迎合する自己概念を形成するように仕向け、教育し、決して、幻想世界を越える実相世界に本当の自分自身を見出す道を閉ざしている、ということ。エゴに支配された幻想世界の目的のすべては、幻想維持なのである。あなたが幻想を赦し、幻想を消滅させたら、世界はもちろん、エゴも消滅してしまうからだ。決して、あなたに実相を知ってもらうわけにはいかない。あなたが夢を見続ける状態を、是が非でも維持しなければならないのだ。
Now must the Holy Spirit find a way to help you see this concept of the self must be undone, if any peace of mind is to be given you.
- find [fáind] : 「見つける、探し出す、発見する、見いだす」
- undone [ʌndʌ́n] : 「undoの過去分詞形」
- undo [ʌndú] : 「元へ戻す、取り消す」
- peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平安、静けさ、静謐」
❖ "Now must the Holy ~ "「もし、心の平和があなたに与えられるべきであるなら、その時こそ、ホーリー・スピリットは、あなたがこの自己概念を取り消しにしなくてはならないと知る手助けをする方法を見出すに違いない」。もしあなたが、本当の心の平安を求めるなら、ホーリー・スピリットはあなたを手助けして、幻想の自己概念を消滅させる方法を必ず教えてくれるはずだ。なぜなら、それは真実であって、ホーリー・スピリットは真実のすべてを知っているからだ。幻想から実相へと目覚める本当の方法をホーリー・スピリットは知っているし、その地点にあなたを導くことをその使命としているからだ。
Nor can it be unlearned except by lessons aimed to teach that you are something else.
- unlearned [ʌnlə́ːrnid] : 「学ばずに得た、生得の」
- except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
- aimed [éim] : 「意図する、するつもりである」
❖ "Nor can it be ~ "「その方法は、あなたが(自分で形作った自己概念とは)異なる何者かであると教えることを目的としたレッスン以外に、学び取れる可能性はない」。ホーリー・スピリットがあなたに与えるレッスンは、つまり、このACIMは、あなたがこれは自分だと思っている今の自分とは全く異なった自分こそが実相的な本当の自分なのだと教えることを目的としている。今の自分は幻想に過ぎず、本当の実在する自分は、その夢から目覚めなくては見えてこないのだと知らしめるレッスンである。これが、ホーリー・スピリットの与えてくれるレッスンである。
For otherwise, you would be asked to make exchange of what you now believe for total loss of self, and greater terror would arise in you.
- otherwise [ʌ́ðərwàiz] : 「さもなければ、そうしないと」
- exchange [ikstʃéindʒ] : 「換えること、交換」
- believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
- total loss : 「丸損、全損」
- great [ɡréit] : 「大きい、大きな、巨大な、主要な」
- terror [térər] : 「恐怖、テロ」
- arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる」
❖ "For otherwise, you ~ "「なぜなら、そうでなかったら、あなたは、今あなたが信じている自分自身と、完全な自己喪失とを交換するように要求されてしまい、より大きな恐怖があなたの心の中に立ち昇ってしまいかねないからだ」。ホーリー・スピリットのレッスンに従って、幻想から実相へと目覚める以外に、あなたの救いの道はない。なぜなら、幻想の自己概念を生きる限り、ドストエフスキーが言うように、宗教に逃れるか、自殺するか、発狂するか、つまり、完全な自己喪失の道しか残されていないからだ。虚偽の自己と自己喪失とを交換するような愚行を犯してはいけない。虚偽の自己を消滅させることこそ、あなたが成さなければならないこの世での役割なのだ。虚偽の自己を消滅させたとき、同時に、この幻想の世界も消滅する。