5. Any attempt to reinterpret sin as error is always indefensible to the ego.
- attempt [ətém(p)t] : 「試み、企て」
- reinterpret [ri-intə́ː(r)prət] : 「〜を再解釈する」
- sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
- error [érə(r)] : 「誤り、間違い、ミス、誤字、誤用、過失」
- always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
- indefensible [ìndifénsəbl] : 「防御不可能な、弁解の余地のない」
❖ "Any attempt to ~ "「罪を誤りであると再解釈する試みは、常に、エゴにとっては弁明の余地のないことである」。エゴが何と弁明しようが、罪とは誤りであり、幻想であり、神聖な神の子が罪を犯す可能性はないのである。だから、罪の意識をもっていることは大きな誤りであり、罪の意識は神の子が勝手に抱いた幻想であると、はっきりと再解釈すべきなのだ。
The idea of sin is wholly sacrosanct to its thought system, and quite unapproachable except with reverence and awe. - wholly [hóu(l)li] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
- sacrosanct [sǽkrousæ̀ŋ(k)t] : 「極めて神聖な、批判を許さない」
- quite [kwáit] : 「すっかり、全く、完全に」
- unapproachable [ʌ̀nəpróutʃəbl] : 「近づきにくい、近寄り難い、接近できない」
- except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
- reverence [rév(ə)r(ə)ns] : 「敬意、畏敬の念、尊敬、崇敬、崇拝」
- awe [ɔ́ː] : 「畏敬の念、畏怖」
❖ "The idea of sin ~ "「罪という考えは、エゴの思考システムにとっては極めて神聖なものであって、」"and quite unapproachable ~ "「崇拝と畏敬を持たずしては、まったく近づき難いものだ」。エゴの思考システムにとって、神の子に罪があるとすることは、金科玉条(きんかぎょくじょう)のごとき絶対条件である。あたかも絶対真理ででもあるかのように、罪の意識に苦しむ神の子を罪の前に跪(ひざまず)かせ、崇拝させ、恐れを抱かせるのである。それは、神の子を神から分離したままにさせておくための最強の武器であるからだ。
It is the most "holy" concept in the ego's system; lovely and powerful, wholly true, and necessarily protected with every defense at its disposal. - holy [hóuli] : 「神聖な」
- concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念、コンセプト、考え方、構想」
- lovely [lʌ́vli] : 「愛らしい、美しい、すてきな」
- powerful [páuə(r)fl] : 「強い、強力な、力強い、迫力のある」
- true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
- necessarily [nèsəsér(ə)li] : 「必ず、必然的に、どうしても」
- protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
- defense [diféns] : 「防衛、防御」
- disposal [dispóuzl] : 「自由に使えること、配置、処分、廃棄」
- at one's disposal : 「好きなように使える、〜の思うままに」
❖ "It is the most ~ "「神の子に罪ありとする考えは、エゴの思考システムにとっては最も『神聖な』概念となる」。"lovely and powerful, wholly ~ "「それは、愛らしくもあり、力強くもあり、完全に正しく、あらゆる防御を駆使してまでも、絶対に守らねばならない概念なのである」。エゴにとっては、罪は、その生命線である。神の子が、罪の意識が幻想であると知ってしまえば、幻想はたちまち消滅してしまい、幻想に過ぎないエゴも同時に消滅してしまうからだ。
For here lies its "best" defense, which all the others serve. - lie [lái] : 「ある、存在する」
- serve [sə́ː(r)v] : 「〜に仕える、〜のために働く、〜に役立つ」
❖ "For here lies its ~ "「なぜなら、この点にエゴの『最高の』防御が存在するからであり、」"which all ~ "「その他のすべての防御は、このために仕えることとなる」。攻撃は最大の防御であると言われるが、エゴは、神の子を罪ありと攻撃することで、エゴ自身を防御しているのだ。その他の防御、たとえば、得るために奪え、攻撃される前に攻撃せよ、犠牲をものともするな、他者を排他せよ、分離し孤立しせよ、等々のエゴの教えは、攻撃性を前面に押し出してはいるもの、一皮剥けば、エゴ自身の防御であり、すべては罪の温存をその最大の目的にしているのである。
Here is its armor, its protection, and the fundamental purpose of the special relationship in its interpretation.- armor [ɑ́ː(r)mə(r)] : 「よろい、かぶと、甲冑、装甲、防護具」
- protection [prəték∫n] : 「保護、保護物、守ること、防御、防備、防衛」
- fundamental [fʌ̀ndəméntl] : 「基本となる、基本の、基礎の、基本的な」
- purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
- relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
- interpretation [intə̀ː(r)prətéi∫n] : 「解釈、説明、解説」
❖ "Here is its armor ~ "「これこそ、エゴの鎧(よろい)であり、エゴの防御策であり、」"and the fundamental purpose ~ "「エゴの解釈による、特別な関係性の基本的な目的である」。あなたがこの世界で構築する特別な関係性、特別なパートナーと二人だけの愛欲の関係を築く、その目的は、互いの罪の意識を隠し持ちながら、その恐れを麻痺させ、他者を排他して、あるいは攻撃して、支配し支配される構造を作り上げることである。分離分裂を促進し、罪の意識の温存をはかるのである。これが、特別な関係性における、エゴの防御であり、その鎧を成している。
6. It can indeed be said the ego made its world on sin. Only in such a world could everything be upside down. - indeed [indíːd] : 「 実に、本当に、確かに、いかにも」
- said [séd] : 「say の過去・過去分詞形」
- upside down : 「逆さまに 」
❖ "It can indeed be ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文で、"that"が省略されている、「まったく、エゴは罪の上に世界を作ったと言えるのである」。"Only in such a world ~ "「すべてが逆さまになり得るのは、ただ、そんな世界に限られる」。罪を基盤して作り上げられたエゴの世界は、エゴの思考システムがそうであるように、真実とはまったく逆さまな世界である。世界とは言え、もちろんそれは、単なる幻想なのである。
This is the strange illusion that makes the clouds of guilt seem heavy and impenetrable. - strange [stréin(d)ʒ] : 「奇妙な、変わった、変な、見知らぬ」
- illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
- cloud [kláud] : 「雲」
- guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
- heavy [hévi] : 「重い、激しい、重みのある」
- impenetrable [impénətrəbl] : 「突き通せない、貫けない、入り込めない、足を踏み込めない」
❖ "This is the strange ~ "「これこそ、罪の黒雲を、いかにも重そうに、そして、踏み込めそうに思えなくしている、奇妙な幻想である」。エゴの世界は実相世界とは逆さまなので、罪の意識は、本当は単なる幻想で、その雲は見掛け倒しの幻に過ぎないのだが、逆さまのエゴの世界から見れば、とてつもなく大きな山のように見え、重たく、何かがぎっしり詰まっているかのように見えるのだ。
The solidness that this world's foundation seems to have is found in this. - solidness [sάlidnis] : 「堅さ」
- foundation [faundéi∫n] : 「土台、礎、基盤、根拠、基礎、根幹」
- found [fáund] : 「find の過去・過去分詞形」
❖ "The solidness that ~ "「この世界の基盤が持っているように見える堅固さが、こういったものの中に見いだせる」。前文の黒雲に限らず、この世界は、固くて堅固な物質で構成された実在のように見えるが、そして、それが存在の基盤であるかのように見えるが、それは、エゴの逆さまの世界から見ればそう見えるだけの話である。真実は、この堅固に見える世界も、黒雲同様、単なる幻である。張り子のトラである。
For sin has changed creation from an idea of God to an ideal the ego wants; a world it rules, made up of bodies, mindless and capable of complete corruption and decay. - change [t∫éin(d)ʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
- creation [kriéi∫n] : 「創作物、作品、創造、創作」
- rule [rúːl] : 「統治する、支配する、牛耳る」
- mindless [máindlis] : 「愚かな、思慮のない」
- capable [kéipəbl] of : 「〜の能力がある、〜の才能がある、〜ができる」
- complete [kəmplíːt] : 「完全な、全くの、全部そろった」
- corruption [kərʌ́p∫n] : 「堕落、邪悪、腐敗」
- decay [dikéi] : 「崩壊、腐敗、腐食、衰退、減少、減衰」
❖ "For sin has changed ~ "「なぜなら、罪が、創造されたものを、神のもつ理想からエゴの望む理想へと変えてしまったからである」。神は真実と愛をもって神の子を実相世界に生み出した(創造した)。しかしエゴは、その神の子に罪という衣を着せ、神の理想とは逆さまの、エゴの幻想世界に住まわせたのである。その世界は、"a world it rules ~ "「エゴが支配する世界であり、肉体で構成された世界であり、心はなく、完全な堕落と崩壊が可能な世界である」。
If this is a mistake, it can be undone easily by truth. Any mistake can be corrected, if truth be left to judge it. - mistake [mistéik] : 「誤り、ミス、過ち、手違い、誤解」
- undone [ʌndʌ́n] : 「undo の過去分詞形」
- undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
- easily [íːz(ə)li] : 「容易に、たやすく、苦もなく」
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
- correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す、補正する」
- left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形
- leave [líːv] : 「〜を任せる、頼む、委ねる」
- judge [dʒʌ́dʒ] : 「判断する、裁く」
❖ "If this is a mistake ~ "「もし、この世界が誤りであるなら、それは真実によって容易に取り消し出来るものだ」。"Any mistake can ~ "「もし、その判断を真実に委ねるなら、いかなる過ちも修正出来るのである」。この世界が誤りであるかどうか、真実の世界である実相世界にその判断を委ねるなら、つまり、ホーリー・スピリットの判断に任せるなら、それが、誤りだと判断されても、ちゃんと修正し、過ちは取り消しに出来る。ホーリー・スピリットが導いてくれるのだ。あなたはこの幻想世界で、様々な過ちを犯してしまうだろうが、誤りを自分で判断するのではなく、ホーリー・スピリットにその判断を委ねてしまえば、ホーリー・スピリットはその修正と取り消し方をちゃんとあなたに教えてくれる。過ちを犯したことで、自分をますます罪深い者であると断罪する必要はないのだ。だが、問題になるのは、罪を正しいと自己判断してしまうことである。次を読もう。
But if the mistake is given the status of truth, to what can it be brought? - mistake [mistéik] : 「誤り、過ち、手違い、誤解」
- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
- status [stéitəs] : 「地位、身分、状態、状況」
- brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
- bring [bríŋ] : 「〜を持って行く、〜を連れて行く」
❖ "But if the mistake is ~ "「しかし、もし過ちが、真実の地位を与えられたなら、」"to what can it ~ "「いったい、過ちをどこに持っていったらいいのだろうか」。この罪は正当であり、真実なのだ、と判断してしまったなら、罪の修正や取り消しを求めることはしないだろうから、持って行き場がないのだ。
The "holiness" of sin is kept in place by just this strange device. - holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
- kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
- in place : 「適当な位置に、適所に、所定、配置されて、配備されて」
- device [diváis] : 「機器、装置、道具、手段、仕掛け」
❖ "The "holiness" of sin ~ "「罪の『神聖さ』は、まさにこの奇妙な仕掛けによって、温存させられるのである」。罪を正しいものとして、神聖なものに祭り上げ、それを崇(あが)め奉(たてまつ)るという奇妙な仕掛けを施して、いつまでも温存するのである。罪を修正し取り消しにすることなど、もっての外と言うわけである。
As truth it is inviolate, and everything is brought to it for judgment. - as : 「〜であるとして」
- inviolate [inváiələt] : 「犯されていない、神聖な、破られていない」
- brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
- judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、意見、分別、判決、審判」
❖ "As truth it is ~ "「罪が神聖であるということが真実であるとしたら、罪は犯すべからざるものだ」。"and everything is ~ "「すべては、判断を求めて神聖なる罪の前に持って来られるのだ」。神聖な罪の前に引きずり出され、罪深いかどうか判断される。罪深ければ神聖だとされ、罪が無ければ罰せられるわけだ。なんとも奇妙な話である。だから"strange"という言葉が使われているのである。
As a mistake, it must be brought to truth. It is impossible to have faith in sin, for sin is faithlessness. - impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
- faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、信仰、信条、自信、信念、確信」
- have faith in : 「〜を信用する、〜を信じている」
- faithlessness [féiθlisnis] : 「不実さ、不誠実さ、信仰心のなさ」
❖ "As a mistake ~ "「罪が神聖であるということが誤りなら、それは真実の前に持って来られなくてはならない」。誤りは正さなくてはならない。それは真実の使命である。"It is impossible ~ "ここは"It ~ to ~ "の構文、「罪を信仰することなど不可能なのだ」。"for sin is ~ "「なぜなら、罪とは、信じないことだからである」。信仰を否定する罪を信仰するとは自己矛盾であり、成立不可能だ。
Yet it is possible to have faith that a mistake can be corrected.- possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
- correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
❖ "Yet it is possible to ~ "ここも"it ~ to ~ "の構文、「しかし、過ちは正すことが出来ると信じることは、可能なのだ」。過ちは正すことが出来るということは真実であり、真実を信じることは自己矛盾ではない。したがって、成立可能である。あまり理屈っぽく固く考えずに、罪は誤りなのだから、罪を神聖なものとして祭り上げることは止めにして、罪をホーリー・スピリットに預けて取り消しにしなさい、ということである。その方がずっと楽であろう。真実だから楽なのだ。楽とは、楽しいということである。