Text - Chapter 19
The Attainment of Peace
平和の実現
I. Healing and Faith
ヒーリングと信じる気持ち
1. We said before that when a situation has been dedicated wholly to truth, peace is inevitable. - said [séd] : 「say の過去・過去分詞形」
- before [bifɔ́ː(r)] : 「以前に、前に、早く、先に」
- situation [sìt∫uéi∫n] : 「状況、場所、状態、立場、事情、情勢、事態」
- dedicate [dédikèit] : 「〜をささげる、献身する、専念する、打ち込む」
- wholly [hóu(l)li] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
- peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
- inevitable [inévətəbl] : 「避けられない、当然の、必然的な、必然の、必至の、不可避の」
❖ "We said before that ~ "「私たちは以前、that以下について話したことがあった」。"that when a situation ~ "「状況が全面的に真実に対して捧げられたとき、平和は必然的にやってくる」と話したことがあった。つまり、あなたが全身全霊、真実を求めるなら、そして、状況がその方向に向かっているなら、必ず心の平和は訪れる。
Its attainment is the criterion by which the wholeness of the dedication can be safely assumed. - attainment [ətéinmənt] : 「獲得、到達、実現」
- criterion [kraití(ə)riən] : 「基準、標準、尺度、判定基準、判断基準、原則、特徴」
- wholeness [hóulnis] : 「全体、全体性」
- dedication [dèdikéiʃən] : 「献身、専念、熱心さ、専心」
- safely [séifli] : 「安全に、支障なく、無事に」
- assume [əs(j)úːm] : 「〜と仮定する、思い込む、見なす、当然と思う」
❖ "Its attainment is ~ "「平和の達成は、〜を見るときの基準になる」。"by which the wholeness ~ "直訳すると、「完全に専心していることが支障なく宣言され得るかどうかの」基準になる。つまり、あなたの心が平和なら、あなたは確かに真実を求め、あなたの生活が真実を求める状況を満たしていると正々堂々宣言出来る、ということ。心の平和の度合いが、あなたの真実への専心のバロメーターになっているということ。
Yet we also said that peace without faith will never be attained, for what is dedicated to truth as its only goal is brought to truth by faith. - also [ɔ́ːlsou] : 「〜もまた、同様に、また」
- without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
- faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、自信、信念、確信」
- attain [ətéin] : 「達成する、実現する、成就する、成し遂げる」
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
- goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
- brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
- bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜を連れて来る」
❖ "Yet we also said that ~ "「しかし、私たちはthat以下についても語った」。"that peace without faith ~ "「信じる気持ちを欠いた平和は、決して達成出来ない」と語ったことがあった。心の平和には信じる気持ちが不可欠なのだ。"for what is dedicated to truth ~ "「なぜなら、唯一の目的として、真実に寄与するものは、信じる気持ちによって、真実にもたらされるからだ」。つまり、これは真実のためになるとあなたが心から信じることが出来れば、それは必ず真実に寄与することになるのである。たとえば、同胞を愛することが、真実に寄与することだと信じるなら、それを唯一の目的として同胞を愛せば、あなたは必ず真実に寄与したこととなり、心に平和が訪れるだろう。
This faith encompasses everyone involved, for only thus the situation is perceived as meaningful and as a whole. - encompass [enkʌ́mpəs] : 「〜を包み込む、包囲する、含む、包含する」
- involve [invɑ́lv] : 「〜を含む、伴う、〜を巻き込む、関与させる」
- thus [ðʌ́s] : 「このようにして、こんなふうに」
- perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、意味深長な、重要な」
- whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
❖ "This faith encompasses ~ "「この信じる気持ちは、関係する人々全体を包み込むのである」。"for only thus ~ "「なぜなら、こうすることによってのみ、状況は、意味があり完全であると知覚されるからである」。あなたの信じる気持ちが、あなたの周りの人々を悉(ことごと)く包み込む。つまり、あなたの信じる気持ちが周りの者に伝播して、あなたの関わる状況が、互いに信じ合うという雰囲気に質転換するのである。そういう雰囲気になってこそ、あなたの周りの状況は無意味なのではなく、ちゃんとした存在意義があり、不足のない完全な状況だと言えるのである。
And everyone must be involved in it, or else your faith is limited and your dedication incomplete.- or else : 「あるいは、さもないと」
- limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
- incomplete [ìnkəmplíːt] : 「不完全な、不十分な、未完成の」
❖ "And everyone must ~ "「そして、すべての人たちがそれに関わるに違いない」。あなたが真実を求め信じれば、その信じる気持ちは周りの者達に伝播し、すべての人たちは信じる気持ちに感化されるのだ。結局、自他一如なのであって、あなたが信じれば他者も信じ、みんなの中で信じる気持ちが分かち合われるのである。もちろん、信じる気持ちが分かち合われるので真実も分かち合われ、心の平和も分かち合われる。"or else your faith ~ "「それ以外であるなら、あなたの信じる気持ちは制限され、あなたの真実への寄与は完璧ではないのだ」。信じる気持ちが周りの者と分かち合われないなら、それは、きっとあなたの独りよがりの信心に過ぎず、拡張増大することなく、それゆえ制限されて、真実への貢献も中途半端なものになってしまうだろう。
2. Every situation, properly perceived, becomes an opportunity to heal the Son of God. - situation [sìt∫uéi∫n] : 「状況、場所、状態、立場、事情、情勢、事態」
- properly [prɑ́pə(r)li] : 「適切に、適当に、程よく、相応に」
- perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- become : 「〜になる」
- opportunity [ɑ̀pə(r)t(j)úːnəti] : 「機会、適時、チャンス、好機」
- heal [híːl] : 「癒やす、救う、治す、治癒する、治療する」
❖ "Every situation, properly ~ "「あらゆる状況は、的確に知覚されるなら、神の子をヒーリングするための好機となり得る」。どんな状況にあっても、それを正確に認識して的確な方法をとれば、心をヒーリングする絶好のチャンスとなる。
And he is healed because you offered faith to him, giving him to the Holy Spirit and releasing him from every demand your ego would make of him. - offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
- release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ、離す」
- demand [dimǽnd] : 「要求、必要、要望、ねだり」
❖ "And he is healed ~ "「その神の子は、〜であるから、ヒーリングされるのだ」。"because you offered ~ "「あなたが彼に、彼を信じている気持ちを捧げるから、」彼はヒーリングされるのである。信じられている、つまり、愛されていると知ることが、心のヒーリングにつながる。"giving him to ~ "分詞構文、理由、「彼をホーリー・スピリットに預け、あなたのエゴが彼に課した要求から彼を解放するのだから」。難解な部分である。まず、あなたは他者を客観的に判断して、彼をありのままに見ていると思い込んでいるだろうが、それは間違っている。あなたは自分自身を他者に投射しているだけだ。彼が、あなたの目の前でそのように見えるのは、あなたの心が彼に映されているからだ。つまり、あなたのエゴが、あなたの姿を映すようにと彼に要求した、その姿なのである。しかし、あなたがそのカラクリに気付けば、あなたはあなたの心による(つまり、エゴによる)投射を止めて、彼を投射から解放するだろう。そして、客観的判断そのものを放棄して、それをホーリー・スピリットに委ねてしまうだろう。なぜなら、あなたは彼を信じたのであり、それはあなた自身を信じたことに繋がり、あなたの心の中のホーリー・スピリットを信じたことと同等であるからだ。信じる気持ちが伝播するとは、そういうことなのだ。つまり、彼の心の中でも同様のことが起きるのである。彼はあなたを信じ、彼自身を信じ、彼の心のホーリー・スピリットを信じるのである。ここに、ヒーリングの秘密が隠されているわけである。彼がヒールされ、あなたも同時にヒールされるというメカニズムである。
Thus do you see him free, and in this vision does the Holy Spirit share. - vision [víʒ(ə)n] : 「視覚、視力、見ること、見通し、展望、構想」
- share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
- share in : 「〜を分かち合う、〜を共有する」
❖ "Thus do you see ~ "「このようにして、あなたは彼を自由と見なすことになる」。あなたの心の(エゴの)投射から、彼は解き放されたのから、彼は自由であると見えてくるのだ。"and in this vision ~ "「そして、こういうヴィジョンを、ホーリー・スピリットも分かち合うのだ」。あなたと同胞が互いに投射を放棄し、信じ合うことで判断を中断し、ホーリー・スピリットにすべてを委ねてしまえば、ホーリー・スピリットはその状況を分かち合って、信じ合う気持ちをますます拡張増大させてくれるだろう。ここの"this vision"「このヴィジョン」とは、「こういう状況」と考えていいだろう。ものの見方なのだが、投射を止めて率直に相手を見る、真の姿を見る、そして、見えてくるものがヴィジョンである。
And since he shares it he has given it, and so he heals through you. - since [síns] : 「〜なので、〜だから」
- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ "And since he shares ~ "「そして、ホーリー・スピリットはヴィジョンを分かち合ったから、それを与えたのである」。投射を放棄して真の姿を見るという状況、そこで見えるヴィジョンをホーリー・スピリットはあなたや同胞と分かち合い、分かち合うことでしっかりとそのヴィジョンをあなたと同胞に与えたのだ。つまり、そのヴィジョンは正しいのだと教えてくれたのだ。"and so he heals ~ "「そこで、ホーリー・スピリットはあなたを通してヒーリングしたのである」。ホーリー・スピリットが正しいと教えたのだから、それは確かに真実であり、真実であることを受け入れることがヒーリングである。同胞の目から見れば、あなたを通じてホーリー・スピリットが彼をヒーリングしたように見えるだろうし、あなたはあなたで、同胞をヒーリングするつもりで、自分もヒーリングされたように見えるだろう。確かに、ホーリー・スピリットは、あなたを通して、あるいは同胞を通して、互いの真の姿を認め合うというヒーリングを行ったのだ。
It is this joining him in a united purpose that makes this purpose real, because you make it whole. - join [dʒɔ́in] : 「結び付ける、結合する、連結する、合わせる」
- united [junáitid] : 「結ばれた、協力した、結合した」
- purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- real [ríː(ə)l] : 「実在的な、実質的な、現実の、実際の」
- whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
❖ "It is this joining him ~ "ここは"It ~ that ~ "の強調構文、「この目的を現実とさせるものは、統一した目的の中でホーリー・スピリットとこのように結合したことなのだ」。ヒーリングされたい、ヒーリングしたい、という目的を実現させるには、あなたと同胞の共通の目的にホーリー・スピリットも参加してもらい、互いに結合し、一体化することが必要なのだ。ホーリー・スピリット抜きに真実の目的は達成不可能だ。ホーリー・スピリットが、あなたの心の最も純粋で神聖な部分に住んでいることを考えると、結局、ヒーリングし、ヒーリングされるには、あなたの純粋で神聖な心のパワーが必要だと言えよう。あなたが、その純粋で神聖な心を信じきれ、また同胞の純粋で神聖な心を信じきれたとき、そのときにヒーリングという奇跡は起きる、ということである。
And this is healing. The body is healed because you came without it, and joined the Mind in which all healing rests.- without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
- rest [rést] : 「ある、置かれている、休む、休息する」
❖ "And this ~ "「これこそが、ヒーリングである」。"The body is ~ "「肉体はヒールされるのである」。"because you came ~ "「なぜなら、あなたは肉体をもたずにやって来たからであり、」"and joined the Mind ~ "「ヒーリングのすべてが宿る心と結合したからである」。「肉体をもたずにやって来た」とは、ヒールングと言えば、もっぱら病んだ肉体を癒すことを意味しているが、本当のヒーリングは肉体を癒すことではない、という意味合いである。肉体は幻想であり、その病も幻想である。それを前提として、心の歪みを矯正することがヒーリングであって、それは、純粋で神聖な心と一体化して(結合して)、まさに芯(心)から浄化することを意味するのだ。結果として、清浄な心に正常な肉体が宿り、表面的には病んだ肉体が癒されることとなる。だが、あくまでも、ヒーリングは、正しい心の回復、それに尽きる。そして、偉大なヒーラー達が共通して言うことは、彼らがヒールしているのではない、ということだ。彼らは単なる媒介者であって、彼らを通じて、神が、あるいはホーリー・スピリットが病んだ者を癒すと言う。突き詰めれば、病んだ者の心を、神やホーリー・スピリットの心と仲直りさせることがヒーリングだと言えないだろうか?