●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-18.VIII.13:1 ~ T-18.IX.1:10

13. You have reached the end of an ancient journey, not realizing yet that it is over.

  • reach [ríːt∫] : 「〜に達する、〜に至る」
  • ancient [éin∫nt] : 「古代の、古くからの、古い、古びた」
  • journey [dʒə́ː(r)ni] : 「旅、行路、道のり、道程、遍歴」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
❖ "You have reached ~ "「あなたは、遠い昔からの旅の終わりに達したのだ」。"not realizing yet ~ "分詞構文、付帯状況、「旅は終わったと気付いてはいないものの」。前段落までは、あなたのガーデンに、幻想世界を彷徨(さまよ)い歩き疲弊した同胞をあなたが招き入れる話であったが、この段落では立場を逆にして、あなたが幻想世界を彷徨い、そして旅を終えたことが述べられている。



You are still worn and tired, and the desert's dust still seems to cloud your eyes and keep you sightless.
  • worn [wɔ́ː(r)n] : 「wear の過去分詞、疲れきった、擦り切れた」
  • wear [wéə(r)] : 「〜を疲れさせる、〜を使い古してすり減らす」
  • tired [táiə(r)d] : 「疲れた、しんどい、飽きた」
  • desert [dézərt] : 「砂漠、荒れ地、未開墾地」
  • dust [dʌ́st] : 「ほこり、ちり、煤塵、粉塵、塵埃」
  • cloud [kláud] : 「〜を雲らせる」
  • keep [kíːp] [SVOC] : 「〜の状態にしておく、〜の状態を保つ、〜にしておく」
  • sightless [sáitlis] : 「目に見えない、盲目の」
❖ 旅は終わったと言え、"You are still worn ~ "「あなたは、まだ疲弊しきっている」。"and the desert's dust ~ "「砂漠の塵芥が、今なおあなたの目を曇らせ、あなたから視力を奪っているのだ」。幻想世界という砂漠を彷徨って来たあなたは疲弊し、実相を見る視力はまだ回復していない。



Yet he whom you welcomed has come to you, and would welcome you. He has waited long to give you this.
  • welcome [wélkəm] : 「温かく迎え入れる、歓迎する、もてなす」
  • wait [wéit] : 「〜を待つ」
❖ "Yet he whom you ~ "「しかし、あなたが迎え入れた同胞は、あなたの元にやって来て、あなたを歓迎しようと思っている」。"He has waited ~ "「彼は、あなたを歓迎したい気持ちをあなたに伝えたいと、長いこと待っていたのである」。ここの"he"を同胞と解釈して訳してみたが、ホーリー・スピリットと考えて解釈しても、意味は損なわれないだろう。砂漠を緑のガーデンに変えることが出来た同胞は、ホーリー・スピリットの助けを借りたわけだから、その同胞とホーリー・スピリットは一心同体と考えてもいいわけだ。彼は、疲弊したあなたを助けたいと思い、あなたは助けられたいと願った。互いに求め合い、受け入れたいと希求したのである。



Receive it now of him, for he would have you know him. Only a little wall of dust still stands between you.
  • wall [wɔ́ːl] : 「障壁、城壁、内壁、塀、壁」
  • between [bitwíːn] : 「〜の間に」
❖ "Receive it now ~ "「今や、彼の歓迎を受け入れなさい」。同胞の緑のガーデンに招かれて、休養を取りなさい。"for he would have ~ "「なぜなら、彼は、あなたに彼を知って欲しいと願っているからだ」。つまり、彼同様に、あなたも神の子として救われるのだと知って欲しいのだ。"Only a little wall of ~ "「ただし、二人の間には、塵芥の壁が、まだ少しばかり残ってはいるのだが」。二人とも、まだ完全には実相世界に目覚めきってはいない。視界は少々ぼやけているが、神の子として実相世界に完全に目覚め、実相的視力をもってものを見る日も近い。ここも、"he"をホーリー・スピリットと考えて解釈してもいいだろう。ホーリー・スピリットがあなたを歓迎して受け入れてくれることを、あなたも歓迎しなさい。ホーリー・スピリットはあなたに自分を知って欲しいと願っているのだから。ただし、あなたとホーリー・スピリットの間には、まだ少しばかり埃っぽい壁があって、あなたはホーリー・スピリットを明瞭には認識出来ないかも知れないが。



Blow on it lightly and with happy laughter, and it will fall away. And walk into the garden love has prepared for both of you.
  • blow [blóu] : 「息を吹きかける、息を吹く」
  • lightly [láitli] : 「明るく、陽気に、軽く、軽快に、素早く、そっと」
  • laughter [lǽftə(r)] : 「笑い、楽しそうな表情」
  • fall [fɔ́ːl] : 「倒れる、滅びる、壊れる、砕ける、崩壊する」
  • walk [wɔ́ːk] : 「歩く」
  • garden [gɑ́ː(r)dn] : 「庭、庭園、果樹園」
  • prepare [pripéə(r)] : 「用意する、準備する、覚悟する」
❖ "Blow on it lightly and ~ "「楽しげに笑いながら、その壁を軽く一吹きしなさい」。"and it will ~ "「そうすれば、壁は崩れて消えるだろう」。"And walk into ~ "「そして、あなたと同胞の両者のために愛が用意してくれたガーデンに、入って行きなさい」。その緑のガーデンで、あなたも同胞も平和な憩いの時間を得るのである。体を休め、心を癒し、そして、同胞共々、あなたは実相世界に目覚めていくのである。
 
 
 
 
 
IX. The Two Worlds
二つの世界
 
 
 
1. You have been told to bring the darkness to the light, and guilt to holiness.
  • told [tóuld] : 「tell の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜を連れて来る」
  • darkness [dɑ́ː(r)knəs] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
  • light [láit] : 「光、明るさ、光源、ライト、明かり」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
❖ このACIMの中で、"You have been ~ "「あなたは、闇を光に、罪の意識を神聖せへもって行くように言われ続けてき来た」。幻想世界(闇)から実相世界(光)へ目覚め、あなたを苦しめてきた罪の意識が本当は幻想に過ぎず、存在していないことを受け入れて、自分が神の子として神聖なのだと認識するようにACIMは教えてきた。



And you have also been told that error must be corrected at its source.
  • error [érə(r)] : 「誤り、間違い、ミス、過失」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す、補正する」
  • source [sɔ́ː(r)s] : 「もと、源、起点、原因」
❖ "And you have also ~ "「そして、あなたは、誤りは、その発生した源で修正されなくてはならないと言われ続けて来た」。たとえば、罪の意識に関して、幻想に過ぎない罪の意識を、幻想を抱いたままで、つまり、この世界の視点に立ったまま修正しようとしても不可能なのだ。それはまるで、夢の中で、夢の罪をあがなおうとしているようなものなのである。そうではなく、罪の意識が発生した原点、つまり、神からの分離という問題に立ち返って、それが幻想に過ぎなかったことを知る必要があるのだ。



Therefore, it is the tiny part of yourself, the little thought that seems split off and separate, the Holy Spirit needs.
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • tiny [táini] : 「とても小さい、ちっぽけな、極めて小さな」
  • part [pɑ́ː(r)t] : 「一部、部分」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、見解、思考、思索、熟考」
  • split [splít] : 「割れて二つに分かれる、バラバラになる、裂ける」
  • split off : 「割る、割れる、分離する、分裂する、裂く、裂ける」
  • separate [sépərèit] : 「分かれる、分離する、別居する」
❖ "Therefore, it is ~ "「したがって、ホーリー・スピリットが必要としているものは、あなた自身の小さな部分、分離しバラバラになった小さな思考、なのである」。ホーリー・スピリットが修正しようとしているのは、原点に立ち返って、あなたがそもそも神から分離して小さな肉体の中に自己を閉じこめてしまったこと、あなたは一つの心をも分裂させ、同胞とも袖を分かち合って孤立したこと、そういった分離と分裂の問題なのだ。



The rest is fully in God's keeping, and needs no guide.
  • rest [rést] : 「残り、残っているもの、残りの部分、残余」
  • fully [fúli] : 「十分に、完全に、全く、すっかり、全体に」
  • keeping [kíːpiŋ] : 「保管、保持、保存、保護、扶養」
  • guide [gáid] : 「指針、案内書、手引書」
❖ "The rest is fully ~ "「その他のことは、しっかりと神に守られており、ガイドされる必要はない」。問題となっているのは、神の子が心に抱いたほんの小さな、狂った思い(tiny, mad idea)である。神なしで神のように生きられないか、という思考である。神の子はその思いを抱いて深い眠りに陥った。だが、それを除いたら、他のすべては神の元に守られて存在するのである。



Yet this wild and delusional thought needs help because, in its delusions, it thinks it is the Son of God, whole and omnipotent, sole ruler of the kingdom it set apart to tyrannize by madness into obedience and slavery.
  • wild [wáild] : 「荒れ果てた、荒涼とした、狂気じみた、荒れ狂った」
  • delusional [dilúːʒənəl] : 「妄想の」
  • delusion [dilúːʒ(ə)n] : 「妄想」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
  • omnipotent [ɑmnípətənt] : 「全知全能の」
  • sole [sóul] : 「唯一の、たった一つの」
  • ruler [rúːlə(r)] : 「支配者、主権者、君主、指導者」
  • set apart : 「離す、分離する」
  • tyrannize [tírənàiz] : 「〜に暴政を行う、圧制する」
  • madness [mǽdnəs] : 「狂気、熱狂、熱中」
  • obedience [oubíːdiəns] : 「服従、忠実、従順」
  • slavery [sléiv(ə)ri] : 「奴隷、隷属、服従」
❖ "Yet this wild and ~ "「しかし、この荒涼とした妄想的思いは助けが必要である」。"because, in its delusions, it ~ "「なぜなら、妄想の中にあって、自分こそは神の子であって、完全であり全能であり、狂気による服従と隷属へと圧制するために(神から)分離した王国の唯一の支配者だと思っているからだ」。ほんの小さな、狂った思い(tiny, mad idea)が厄介なのだ。神なしで神のように生きるために、神の子は自分が全知全能の支配者としての神であることを妄想するのである。神が二人いては妄想は成就しない。そこで、神の子は神から自らを分離し、自分だけの王国を創ろうとする。その王国の暴君になり、服従と隷属を旗印に圧制に明け暮れしようとするわけだ。そういうプランの元で、妄想を夢の中で実現したのが、この世界なのだ。もっとも、現実的には、神を裏切ってしまったという罪の意識がその妄想に絡まり付き、罪の意識と神から罰の恐れによって神の子は自己を乖離し、幻想世界を心の外部へ投射するのだ。



This is the little part you think you stole from Heaven. Give it back to Heaven.
  • stole [stóul] : 「steal の過去形」
  • steal [stíːl] : 「盗む、盗み取る」
  • give back : 「返す」
❖ "This is the little part ~ "「これが、あなたが天の王国から盗んできたものと思っている小さな部分である」。"Give it back ~ "「それを、天の王国へ返しなさい」。



Heaven has not lost it, but you have lost sight of Heaven.
  • lost [lɔ́(ː)st] : 「lose の過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、視覚、視力」
  • lose sight of : 「〜を見失う」
❖ とは言え、"Heaven has ~ "「天の王国は、その小さな部分を失ってしまったわけではないのだ」。"but you have ~ "「そうではなく、あなたが天の王国を見失ったのである」。神の住む天の王国は何一つ変わらない。深い眠りに陥った神の子が、夢の中で小さな王国を創り、自分が神のような暴君になって幻想世界を支配しているつもりになっているだけなのだ。



Let the Holy Spirit remove it from the withered kingdom in which you set it off, surrounded by darkness, guarded by attack and reinforced by hate.
  • remove [rimúːv] : 「取り除く、取り去る、取り外す、除去する」
  • wither [wíðə(r)] : 「〜をしぼませる、しおれさせる、うすれさせる」
  • withered : 「しぼんだ、干からびた」
  • set off : 「始動させる、〜し始める、打ち上げる、引き起こす、誘発する」
  • surround [səráund] : 「包囲する、取り囲む」
  • darkness [dɑ́ː(r)knəs] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
  • guard [gɑ́ː(r)d] : 「〜を守る、保護する、警備する」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • reinforce [rìːinfɔ́ː(r)s] : 「強化する、補強する、強固にする、強める」
  • hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
❖ "Let the Holy Spirit remove ~ "「妄想(小さな狂った思い)を、ホーリー・スピリットに頼んで、干からびた王国から取り除いてもらいなさい」。" in which you set it ~ "「その干からびた王国において、あなたは小さな狂った思いを発動したのであり、その王国は闇に覆われ、攻撃で守られ、憎しみで強化されているのである」。妄想(小さな狂った思い)をホーリー・スピリットに取り除いてもらえば、あなたの幻想は消滅し、同時にこの世界も消滅する。この宇宙も消滅する。それを惜しむ必要があるだろうか? この世界は闇に覆われ、攻撃で守られ、憎しみで強化されているというのに。



Within its barricades is still a tiny segment of the Son of God, complete and holy, serene and unaware of what you think surrounds it.
  • within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内部で」
  • barricade [bǽrəkèid] : 「バリケード、妨害するもの、障害物」
  • segment [ségmənt] : 「部分、区分、断片、切片」
  • complete [kəmplíːt] : 「全部そろった、完全な、全部の」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • serene [səríːn] : 「静かな、穏やかな、心が落ち着いた」
  • unaware : 「無意識の、気付かない、知らない」
❖ "Within its barricades ~ "「(妄想という)バリケードの中にあっても、なお、神の子という小さな断片は完全であり、神聖なのだ」。今、この世界で生きているあなたは小さな断片に過ぎないかも知れないが、神の子として完全で神聖である。"serene and unaware ~ "「その神の子は物静かで、あなたがあなたの王国を取り囲んでいると思っていることを全く意に止めない」。あなたの心の中の最も神聖で最も純粋な部分は、静寂の中にある。あなたの意識が世界の周りのものを攻撃し憎み破壊しても、この静寂の心の部分だけは、常に物静かで、外界の幻想世界の喧騒をまったく意味介さないのである。
 
 
 

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