●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-18.IX.2:1 ~ T-18.IX.3:9

2. Be you not separate, for the One Who does surround it has brought union to you, returning your little offering of darkness to the eternal light.

  • separate [sép(ə)rət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の、別々の」
  • surround [səráund] : 「包囲する、取り囲む」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜を連れて来る」
  • union [júːnjən] : 「結合、合併、融合、団結」
  • return [ritə́ː(r)n] : 「〜を返す、戻す、返却する、返品する、返送する」
  • offering [ɔ́ːfəriŋ] : 「贈り物、ささげ物」
  • darkness [dɑ́ː(r)knəs] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
  • eternal [itə́ː(r)nl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の、無限の」
❖ "Be you not ~ "「分離してはいけない」。神から、同胞から、あなたは分離すべきでない。"for the One Who does ~ "「なぜなら、あなたの王国を取り囲んでいる一なるものは、あなたに統一をもたらすのだし、」"returning your little offering ~ "分詞構文、単純接続、「あなたがほんの少し闇を差し出すと、それを永遠の光に戻してくれるのであるから」。幻想という闇を、実相という光に変えてくれる。ところで、"~ has brought ~ "というように完了形になっているが、ACIMでは殊更に時制は気にしないこと。時間の存在する幻想世界の記述と、時間の存在しない実相世界の記述が入り乱れているで、いちいち時制を気にしていられない。たとえば、本文では、神の子の再統一は幻想世界ではまだ起きていないのだが(未来形)、実相世界ではすでに起きている(完了形)ことなのである。



How is this done? It is extremely simple, being based on what this little kingdom really is.
  • extremely [ikstríːmli] : 「極度に、極めて、非常に、すこぶる、とても」
  • simple [símpl] : 「簡単な、簡素な、単純な、容易な」
  • base [béis] : 「 〜の基礎を形成する、〜の基礎を…に置く」
  • base on : 「〜に基づく、〜に準拠する」
  • kingdom [kíŋdəm] : 「王国、王領」
  • really [ríː(ə)li] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
❖ "How is this ~ "「どのようにして、これは成されるのだろうか」。ホーリー・スピリットは、あなたの差し出した闇をどうやって光に変えるのか? "It is extremely ~ "「それはいたって簡単である」。"being based on ~ "分詞構文、理由、「この小さな王国が本当は何になのか、ということに基づいているからだ」。ホーリー・スピリットは、あなたの闇の世界が、実は幻想に過ぎないことを知っている。だから、あなたにそれは夢に過ぎないのだと教えるだけでいいのだ。そして、あなたが自分の夢に気付きさえすれば、幻想は消滅し、つまり、闇は消滅し、光が自然と差してくるのである。実に簡単なことだ。



The barren sands, the darkness and the lifelessness, are seen only through the body's eyes.
  • barren [bǽr(ə)n] : 「不毛の、作物ができない、非生産的な」
  • sand [sǽnd] : 「砂」
  • lifelessness : 「命のないこと」
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
❖ "The barren sands ~ "「不毛の砂地、闇と死、あなたの肉体の目を通して見えるのはそれだけだ」。



Its bleak sight is distorted, and the messages it transmits to you who made it to limit your awareness are little and limited, and so fragmented they are meaningless.
  • bleak [blíːk] : 「寒々とした、荒涼とした、殺風景な、わびしい」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
  • distort [distɔ́ː(r)t] : 「〜をゆがめる、誤り伝える、歪曲する」
  • message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ、通達、伝達内容」
  • transmit [trænsmít] : 「送る、送信する、伝送する、発信する」
  • limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける、範囲内に収める」
  • awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
  • fragment [frǽgmənt] : 「砕ける、寸断する」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味のない、無益な、価値のない、無意味な」
❖ しかし、実は、"Its bleak sight ~ "「その寒気のするような光景は、歪められたものなのである」。"and the messages it ~ "「あなたの意識を制限するためにその光景を作ったあなたに、その光景が伝えるメッセージは、少なくて制限されている」。肉体の目に感知出来るレベルの光景を、あなたは幻想として投射しているのだ。あるいは、物理的測定器で測定出来るほどの情報量しか、あなたは幻想世界に与えていない、と言ってもいいか。いずれ、幻想世界の、その向こうに無限に広がっている実相世界を、肉体の目でも、物理測定器でも認識することは出来ないのだ。もしこれが本当なら、科学的に証明出来ないという発言は実にむなしいこととなる。"and so fragmented ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文で、"that"が省略されている、「そして、そのメッセージはあまりにも寸断されているので、まったく意味を成さない」。あなたが肉体的感覚器官で感知出来る情報は切れ切れの極くわずかなものに過ぎないので、あなたの知覚は、一瞬にしてすべての意味を把握することが出来る叡智にはほど遠い。



3. From the world of bodies, made by insanity, insane messages seem to be returned to the mind that made it.
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神病、精神異常」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • return [ritə́ː(r)n] : 「〜を返す、戻す、返却する、返品する」
❖ "From the world ~ "「肉体の世界から、」すなわち、幻想の世界から、"made by ~ "「その世界は狂気によって作られたのだが、」"insane messages seem ~ "「その世界から、狂ったメッセージが、その世界を作った心に返されてくるように見えるのだ」。小さな狂った思考(tiny mad idea)を作り出したのが小さな狂った心(tiny mad mind)である。その狂った幻想世界、肉体の世界からやって来るメッセージもまた、寸断し意味を失った狂った情報である。



And these messages bear witness to this world, pronouncing it as true.
  • bear [béə(r)] : 「運ぶ、持って行く、〜を身につける、持つ、有する」
  • witness [wítnəs] : 「証拠、証言、目撃者、証人」
  • pronounce [prənáuns] : 「〜を宣言する、申し渡す、述べる、断言する、言明する」
❖ "And these messages ~ "「そして、これらのメッセージは、この世界の証言を有している」。"pronouncing it ~ "分詞構文、付帯状況、「その証言は高らかに、この世界は正しいと宣言するのである」。たとえば、物質こそが実在である。物理法則が宇宙を支配している。神は弱い心が作り出した妄想である。人には格差があり、社会的地位を得たものだけが支配権を握る。金こそが命だ。病と死は不可避だ。等々。



For you sent forth these messengers to bring this back to you. Everything these messages relay to you is quite external.
  • sent [sént] : 「send の過去・過去分詞形」
  • send forth : 「送り出す、発行する、派遣する」
  • messenger [més(ə)n(d)ʒə(r)] : 「メッセンジャー、電報配達人、使者、使い走り」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜を連れて来る」
  • bring back : 「戻す、返却する、連れ戻す、連れて帰る、呼び戻す」
  • relay [ríːlei] : 「〜を中継する、〜にリレーする」
  • external [ikstə́ː(r)nl] : 「外の、外側の、形式的な、外界の」
❖ "For you sent forth ~ "「なぜなら、あなたは、これらのメッセージをあなたに戻すために、メッセンジャーを送ったのだからだ」。自分が受けとるメッセージを、わざわざ発信して、自分で受け取ったようなものだ。なぜなら、幻想世界はあなたが投射によって作り出したものだから、あなたのメッセージのすべてを含んでおり、その幻想世界から送られてくるメッセージは元を正せばあなたのメッセージなのだから。ここの"messengers"「メッセンジャー」とは、メッセージや情報をあなたに運んで来てくれるもの、ということだから、あなたの感覚、知覚、あるいは測定器等々、と考えていいだろう。"Everything these messages ~ "「これらのメッセージがあなたに伝えてくるすべては、極めて外面的なものである」。表面的な情報しか伝えてこない。



There are no messages that speak of what lies underneath, for it is not the body that could speak of this.
  • speak of : 「~を口にする、~のことを話す」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • underneath [ʌ̀ndə(r)níːθ] : 「~の~の表面下に、~に支配されて下に」
❖ "There are no messages that ~ "「表面下に存在するものを語るメッセージはほとんど皆無だ」。"for it is not ~ "「なぜなら、表面下に存在するものを語ることの出来るものは、肉体ではないからだ」。つまり、心である。絵画や音楽など、芸術的な美を語ることの出来るものは、精神性や心性であって、単なる肉体的感覚や知覚の技ではない。



Its eyes perceive it not; its senses remain quite unaware of it; its tongue cannot relay its messages.
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、~に気付く、~を見抜く」
  • sense [séns] : 「感覚、感覚能力、官能、感触、知覚」
  • remain [riméin] [SVC] : 「依然として~のままである」
  • be unaware of : 「~に気付いていない」
  • tongue [tʌ́ŋ] : 「舌」
  • relay [ríːlei] : 「~を中継する、~にリレーする」
❖ "Its eyes perceive ~ "「肉体の目は、表面下に存在するものを知覚出来ないのだ」。 "its senses remain ~ "「肉体の感覚器官は、まったく感知することがないままなのである」。"its tongue cannot ~ "「舌の味覚などは、表面下の存在についてのメッセージを伝えることなど出来ないのだ」。



Yet God can bring you there, if you are willing to follow the Holy Spirit through seeming terror, trusting him not to abandon you and leave you there.
  • bring [bríŋ] : 「~を持って来る、~を連れて行く」
  • be willing to : 「~する意思がある、進んで~する、~に前向きである、~に気乗りする」
  • follow [fɑ́lou] : 「~に従う、追随する、~に続く、~の後について行く」
  • through [θruː] : 「~を通り抜けて、経て、~の中を通って」
  • seeming [síːmiŋ] : 「外観上の、外見だけの、見せかけの、うわべの」
  • terror [térə(r)] : 「恐怖」
  • trust [trʌ́st] : 「信用する、信頼する、当てにする、頼りにする」
  • abandon [əbǽndən] : 「捨てる、遺棄する、見捨てる、捨て去る」
  • leave [líːv] : 「~を残す、置きっぱなしにする、置き忘れる」
❖ "Yet God can bring ~ "「しかし、神はあなたを、事物の表面下に連れて行くことが出来るのである」。精神世界、心の世界、実相世界に、神はあなたを誘(いざな)うのである。"if you are willing ~ "「もしあなたが、表面的な恐れを通って、ホーリー・スピリットに付き従って行きたいと思うならば」。表面的な恐れを通ってとは、この世界からあの世界へ移行する恐れをあえて見ずに、ということ。本当は恐ろしくも怖くもないことなのだが。"trusting him not to ~ "「そして、ホーリー・スピリットがあなたを捨て、幻想世界に置いてきぼりにすることなどないと信頼するならば、」神はあなたを、事物の表面下に連れて行くことが出来るのである。



For it is not his purpose to frighten you, but only yours.
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • frighten [fráitn] : 「~を怖がらせる」
❖ "For it is not his ~ "ここは"it ~ to ~ "の構文、「なぜなら、あなたを怖がらせるのはホーリー・スピリットの目的ではないのだから」。"but only ~ "「ただ、あなたは自分で自分を怖がらせているのだ」。直訳は、あなたを怖がらせようとしているのは、あなただけの目的である、となる。



You are severely tempted to abandon him at the outside ring of fear, but he would lead you safely through and far beyond.
  • severely [sivíə(r)li] : 「厳しく、激しく、ひどく、重く、大幅に」
  • tempt [tém(p)t] : 「〜を誘惑する、〜を~する気にさせる」
  • be tempted to : 「~する気にさせられる、~したくなる」
  • outside [áutsáid] : 「外側、外部、外観」
  • ring [ríŋ] : 「輪、環、戦いの場」
  • lead [li':d] : 「~を導く、案内する」
  • safely [séifli] : 「安全に、支障なく、無事に」
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「かなたに」
  • far beyond : 「~をはるかに超えて」
❖ "You are severely tempted ~ "「あなたは、恐れとの戦いの場の外側で、ホーリー・スピリットを捨ててしまいたい誘惑に、非常にかられることだろう」。この世界からあの世界へ移行する、その瀬戸際で、あなたは恐怖心と戦うわけだが、ややもすればホーリー・スピリットに従うのを止めて、この世にとどまろうとするかもしれない。"but he would lead you ~ "「しかし、ホーリー・スピリットは、あなたを安全にリードして、そこを通り向け、遥か彼方まであなたを連れていってくれるのだ」。あなたは何も心配することはない。すべてをホーリー・スピリットに委ねてしまえばいいのだ。ここにも、ACIM特有の絶対他力性が表現されている。ホーリー・スピリットにすべてを委ねるには、心の柔軟性が必要だ。硬直した心には、ホーリー・スピリットを受け入れるだけのゆとりも余裕も、そして度胸もない。ならば、あなたの心を子供の心のように、素直で率直で柔らかく、好奇心に満ち、勇気に溢れ、喜びや期待ではじけそうになる心に、そして、美しさを丸ごと受け入れることの出来る心にすることが必要なのではないだろうか。もはや不可能だとあなたは言うかも知れない。しかし、時に感動で涙を流すあなたの心は、十分にそれが可能であることを示してはいまいか? 鬼の目にも涙という言葉があるが、ましてや、あなたの涙は愛に満ちた真実であるに違いない。
 
 
 

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