●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-13.V.10:1 ~ Y-13.V.11:7

10. You have but two emotions, and one you made and one was given you.

  • emotion [imóu∫n] : 「感情、情緒、感動」
❖ "You have but ~ "「あなたは二つの感情をもつだけである」。もちろん、恐れと愛である。"and one you made ~ "「一つはあなたが作ったものであり、一つはあなたに与えられたものである」。実相の世界は一元論の世界であり、対極概念の存在しない世界である。愛はあるが、その対極の憎悪や嫌悪や恐れは存在しない。したがって、あなたは実相世界において愛を継承したが、幻想の世界で恐れを作り上げたわけである。



Each is a way of seeing, and different worlds arise from their different sights.
  • Each [íːt∫] : 「各々、それぞれ、めいめい」
  • different [díf(ə)r(ə)nt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる、発生する」
  • arise from : 「〜から生じる、〜から発生する」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
❖ "Each is a way ~ "「各々、ものの見方である」。愛も恐れも、ものの見方次第である。"and different worlds ~ "「(各々が見た)違う光景から、違う世界が立ち上がるのである」。たとえば、神を愛している立場からものを見れば、愛に満ちた世界が立ち上がり、神を恐れる立場からものを見れば、恐ろしい世界が立ち上がるわけである。



See through the vision that is given you, for through Christ's vision he beholds himself. And seeing what he is, he knows his Father.
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
❖ "See through the vision ~ "「あなたに与えられたヴィジョンを通して見なさい」。簡単に言えば正しく見なさいということになるが、幻想世界の事象に惑わされることなく、かつて実相の世界にあったときに備わったヴィジョン、すなわち、キリストのヴィジョンで実相の真実を見なさい、ということ。"for through Christ's ~ "「なぜなら、キリストのヴィジョンを通して、キリストは彼自身を見つめているからだ」。キリストは幻想に惑わされることなく、自分が実相世界の実在であると、自分自身を見ている。したがって、自分の正しさ、真実に揺らぐことはない。そのキリストは、あなたの心の最も正しい部分として、あなたの中に住んでいる。ならば、あなたはキリストのヴィジョンを通して世界を見ることが出来るのであり、そうするべきではないのか。"And seeing what ~ "分詞構文、理由、「そして、キリストは本当の自分自身を見ているので、」"he knows ~ "「キリストは父なる神を知るのである」。キリストは自分が実相世界の実在であると自分自身を見ているし、それはとりもなおさず、キリストが神の創造した神の子であること、それが本当の自分自身であると認識しているので、その父と子の絆(きずな)において、神の心を知るのである。つまり、父なる神の愛、神が神の子を愛していることを知るのだ。



Beyond your darkest dreams he sees God's guiltless Son within you, shining in perfect radiance that is undimmed by your dreams.
  • Beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の向こうに、〜を越えて」
  • dark [dɑ́ː(r)k] : 「暗い、闇の、暗黒の」
  • guiltless [ɡíltlis] : 「罪のない、潔白な、無辜(むこ)の」
  • shine [∫áin] : 「輝く、光る」
  • perfect [pə́ː(r)fikt] : 「完ぺきな、完全な」
  • radiance [réidiəns(i)] : 「輝き、光輝、放射輝度」
  • undimmed : 「薄暗くされていない」
❖ "Beyond your darkest ~ "「あなたの見る最も暗い夢を越えて、あなたの中に、キリストは無辜(むこ)なる神の子を見る」。あなたはこの最も暗い夢である幻想の世界で、神を裏切ったという罪の意識を感じているが、キリストはその暗い夢の向こうに、真実は、あなたは無辜であると見抜いているのである。"shining in perfect ~ "分詞構文、単純接続、「そして、無辜なる神の子は、あなたの夢によって衰えることのない完璧な光彩の中で輝いている」。実相世界の光の中で、無辜なる神の子がその光を浴びて輝いている、ということ。



And this you will see as you look with him, for his vision is his gift of love to you, given him of the Father for you.
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
❖ "And this you will ~ "「そして、あなたがキリストと共に見るにしたがい、あなたはこの光景を見るようになるであろう」。あなたがキリストのヴィジョンを通して世界を見るようになると、あなたの心の中に無辜なる神の子の存在が見えるようになる。"for his vision is his gift ~ "「なぜなら、キリストのヴィジョンは、あなたへの愛の贈り物だからである」。つまり、キリストはあなたを心から愛しているので、あなたが無辜なる神の子であることを見て欲しいのである。"given him of ~ "分詞構文、先頭に"being"を補う、「そして、その贈り物は、あなたのために神からキリストに与えられたものである」。つまり、神はキリストに贈り物を託したのだ。あなたが無辜なる神の子であることに目覚めて欲しいと、神は愛をもってその願いをキリストに託し、キリストはキリストで、愛をもってあなたにキリストのヴィジョンを贈り物として与えてくれるわけだ。



11. The Holy Spirit is the light in which Christ stands revealed. And all who would behold him can see him, for they have asked for light.
  • reveal [rivíːl] : 「明らかにする、暴露する」
  • stand A B [SVC] : 「Aの状態がBである、AがBの状態で立っている」
  • would [wúd] : 「〜したいと思う」
  • behold [bihóuld] : 「見る、眺める、見守る、注視する」
  • ask for : 「〜を求める、〜を要求する、〜を要する」
❖ "The Holy Spirit is ~ "「ホーリー・スピリットは光であり、その光の中にキリストが姿を現して立つ」。ACIMでは、ホーリー・スピリットは目に見えないことになっている。具象化され得ない存在であるからだろう。その代わり、ホーリー・スピリットに代わって、キリストがホーリー・スピリットの顕現として我々の目の前に姿を現してくれる。言わば、キリストはホーリー・スピリットのスポークスマンのようなものだ。"And all who would ~ "「キリストを見たいと望む者は誰でもキリストを見ることが出来る」。"for they have ~ "「なぜなら、彼らは光を求めたのであるから」。心に光を求めたのだから、ホーリー・スピリットを求めたことと同じであり、ホーリー・スピリットはその望みに応えて、キリストをあなたの前に顕現させるのである。



Nor will they see him alone, for he is no more alone than they are. Because they saw the Son, they have risen in him to the Father.
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
  • no more A than B : 「AでないのはBでないのと同じ」
  • risen [rízn] : 「rise の過去分詞」
  • rise [ráiz] : 「昇る、上がる」
❖ "Nor will they see ~ "「彼らはキリストだけを単独に見るのではない」。彼らとは、光を求め、キリストを見る者たち。"for he is no more ~ "「なぜなら、彼らがもはや独りではないように、キリストも独りではないからだ」。光を求めた者たちとキリストが重なって合って、一つになっていく。むしろ、キリストに同化していくと言った方がいいか? "Because they saw ~ "「彼らは(真の)神の子を見たのであるから、」"they have risen ~ "「キリストの中で、彼らは父なる神の元へと上昇したのである」。つまり、彼らは、光を求め、キリストの姿を見ることで、同時に、自分が本当は神の子であることを目撃するのである。キリストの中で、ということは、キリストと同化することで、真実の自分に気付き、父なる神の住まう天の王国へ上昇していくのだ。仏教的な言い方をすれば、涅槃(ねはん)、ニルヴァーナを獲得するとなるか。



And all this will they understand, because they looked within and saw beyond the darkness the Christ in them, and recognized him.
  • within [wiðín] : 「内部で、内側は」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる、〜を認識する、〜を認証する」
❖ "And all this will ~ "「彼らは、このことすべてを理解するであろう」。"because they looked ~ "「なぜなら、彼らは内側を見、闇を越えて、彼らの中に住まうキリストを見たのであり、キリストを受け入れたのであるから」彼らは父なる神の元へ回帰しつつあることを理解するのである。



In the sanity of his vision they looked upon themselves with love, seeing themselves as the Holy Spirit sees them.
  • sanity [sǽnəti] : 「正気、健全さ」
  • look upon : 「〜を見る」
❖ "In the sanity of ~ "「キリストのヴィジョンの正気さの中で、」つまり、キリストの正しい知覚を通して、"they looked upon ~ "「彼らは、愛をもって彼ら自身を見つめたのであり、」"seeing themselves as ~ "「ホーリー・スピリットが彼らを見るように、彼らも彼ら自身を見るのである」。ホーリー・スピリットは彼らを、完全に無辜(むこ)なる神の子として見る。同様に、彼らも自分自身を完全に無辜なる神の子として受け入れるのである。



And with this vision of the truth in them came all the beauty of the world to shine upon them.
  • come to do : 「〜するようになる、結果として〜になる」
  • beauty [bjúːti] : 「美、美しさ」
  • shine [∫áin] : 「輝く、光る」
❖ "And with this vision ~ "「そして、彼らの中の真実のヴィジョンとともに、」つまり、彼らが彼ら自身の真実の姿を目撃するとともに、"came all the beauty ~ "「世界のすべての美しさが、彼らの上で輝くようになるのである」。愛、喜び、美、慈しみ、平和、等々の真実が輝きを放って彼らの周りを飾る。
 
 
 

T-13.V.8:1 ~ T-13.V.9:8

8. Vision depends on light. You cannot see in darkness. Yet in darkness, in the private world of sleep, you see in dreams although your eyes are closed.

  • Vision [víʒ(ə)n] : 「視覚、視力、見ること、見通し、展望」
  • depend [dipénd] on : 「〜に頼る、〜によって決まる、〜次第である」
  • light [láit] : 「光、明かり、可視光」
  • darkness [dɑ́ː(r)knəs] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
  • private [práivət] : 「個人的な、個人の、私的な」
  • although [ɔː(l)ðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが」
  • closed [klóuzd] : 「閉ざされた、閉じた」
❖ "Vision depends ~ "「目に見えるということは光に依存する」。"You cannot see ~ "「暗闇の中で、あなたは見ることはできない」。"Yet in darkness ~ "「しかし、暗闇の中で、すなわち、眠りというプライベートな世界において、あなたの目は閉じられているにもかかわらず、あなたは夢の中で見る」。



And it is here that what you see you made. But let the darkness go and all you made you will no longer see, for sight of it depends upon denying vision.
  • let go : 「手を放す、解雇する」
  • no longer : 「もはや〜でない」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
❖ "And it is here that ~ "ここは"it is ~ that ~ "の形の強調構文、「そして、あなたが、あなたが見るものを作った、というのはこのことである」。夢は、あなたの意思を離れた外部世界を客観的に見ているのではなく、あなたの無意識が見たいと望んだことを主観的に見ているに過ぎない。したがって、目という感覚器官を必要としない。"But let the darkness go ~ "「しかし、闇を払拭してしまえば、あなたは、あなたが作り上げたものをもはや見ることはないだろう」。"for sight of it ~ "「なぜなら、夢に見る光景は、(目という感覚器官に依存する)見方の否定に依存しているからだ」。見方の否定とは、目を閉じることで初めて見えてくる、ということ。つまり、夢を見ることを意味している。夢を見ることは、情景を目でとらえる本来の見方を否定しているかのようである。ここでは、日常の見方と夢の見方を比較しているのだが、もちろん、このことを踏まえて、さらに幻想の世界と実相の世界の見方に波及して行くわけである。



Yet from denying vision it does not follow you cannot see.
  • follow [fɑ́lou] : 「〜に続く、〜の次に来る」
❖ "Yet from denying ~ "「(目という感覚器官による)見方を否定したからと言って、」つまり、目を閉じてしまったからと言って、"it does not follow ~ "「あなたは見ることが出来なくなってしまうということは、続いて起きるわけではない」。ここの"it"は"you cannot see"のこと。つまり、目を閉じたからといって、見えなくなるということではない。目を閉じても心象風景は見えるし、夢も見ることができる。



But this is what denial does, for by it you accept insanity, believing you can make a private world and rule your own perception.
  • denial [dinái(ə)l] : 「否定、拒否、拒絶、否認」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神病、精神異常」
  • rule [rúːl] : 「統治する、支配する、指導する、指図する」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、知見、見識、感じ方」
❖ "But this is what ~ "「しかし、これこそが、否定が成すことである」。"for by it you accept ~ "「なぜなら、否定によって、あなたは狂気を承認することになるからだ」。感覚器官で見ることを否定し、目を閉じてもものは見えるとは言え、そこに見えてくるものは心象風景であり、夢の世界である。すなわち、幻想を受け入れることにほかならない。幻想を信じるようでは、それは狂気である。"believing you can make ~ "分詞構文、理由、「あなたは、あなたがプライベートな世界を作ることが出来、あなた自身の知覚を統御できると信じているからだ」。なるほど、幻想というプライベートな世界を作ることも、その世界で見たいものを見、聞きたいものを聞く、つまり、知覚をコントロールすることもできると信じているかも知れないが、所詮、幻想は幻想である。幻想に対して、現実以上の存在感、価値を置くことは、まさに狂気の沙汰である。



Yet for this, light must be excluded. Dreams disappear when light has come and you can see.
  • exclude [iksklúːd] : 「〜を排除する、締め出す、〜を除く、除外する」
  • disappear [dìsəpíə(r)] : 「存在しなくなる、なくなる、消滅する、消失する」
❖ "Yet for this ~ "「しかし、このために、」つまり、プライベートな世界を作り、知覚をコントロールするために、"light must be ~ "「光は排除されなくてはならない」。光の世界では夢を見ることが出来ないから。つまり、幻想が許されないから。"Dreams disappear ~ "「光が戻り、あなたが見ることが出来るようになると、夢は消滅するのである」。



9. Do not seek vision through your eyes, for you made your way of seeing that you might see in darkness, and in this you are deceived.
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • that = so that : 「〜できるように、〜するため」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
❖ "Do not seek vision ~ "「あなたの目を通して、(真実の)ヴィジョンを探し求めてはいけない」。"for you made your ~ "「なぜなら、あなたは、闇の中でも見えるように、あなたの探求の仕方を作ったのであり、あなたはそれに騙されているからだ」。あなたは目を見開いて実在するものを見ているように感じているかも知れないが、実は、幻想の世界で、つまり夢の中で、幻想の目を見開いて幻想の存在を見ているのに過ぎない。つまり、幻想という闇の中で、錯覚として、ものを見る方法を作りあげ、それに、あなたは騙されている。したがって、幻想に過ぎない目を通して真実のヴィジョンを探求しようとしてはいけない。心の目を通さなくてはいけないのだ。



Beyond this darkness, and yet still within you, is the vision of Christ, Who looks on all in light. Your "vision" comes from fear, as his from love.
  • Beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
  • within [wiðín] : 「〜の中で、〜以内で、〜のうちに」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
❖ "Beyond this darkness ~ "「この闇を越えたところに、」つまり、幻想の世界を越えたところに、夢の向こう側に、「とは言っても、まだあなたの(心の)内側ではあるが、キリストのヴィジョンがある」。"Who looks on ~ "「そして、キリストは光の中で、すべてを見ているのである」。"Your "vision" comes ~ "「あなたの『ヴィジョン』は恐れからやって来たものだが、キリストの『ヴィジョン』は愛からやって来たものである」。あなたの心の中の恐れが原因となって、幻想世界のヴィジョンが生まれたのであるが、キリストは愛の分かち合い、愛の拡張を願って実相世界のヴィジョンを我々に示そうとしている。



And he sees for you, as your witness to the real world. He is the Holy Spirit's manifestation, looking always on the real world, and calling forth its witnesses and drawing them to you.
  • for : 「〜の代わりに」
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、参考人、証拠、証言」
  • real [ríː(ə)l] : 「実在する、現実の、本物の」
  • manifestation [mæ̀nəfistéiʃən] : 「現れ、顕現、明示」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「常に、いつも」
  • call forth : 「〜を生じさせる、呼び起こす」
  • draw [drɔ́ː] : 「〜を引き付ける、引き寄せる、引き込む」
❖ "And he sees for ~ "「そして、キリストは、実相世界の、あなたの証人として、あなたの代わりに見てくれる」。あなたの心の中に住むキリストは、あなたがまだ自分で実相世界が見れないので、あなたに代わってその世界を見てくれる。そして、あなたが真実、実相世界の存在なのだと証言してくれるわけだ。つまり、エゴが実相世界では無であるのに対して、あなたという存在は幻想でも錯覚でもなく、あなたは実相世界の住人であるのだと、キリストが証言するのである。"He is the Holy Spirit's ~ "「キリストはホーリー・スピリットの顕現である」。ホーリー・スピリットが具体的な形をもたないのに対して、その象徴としてキリストが姿を顕現する。"looking always on ~ "「そして、キリストは常に実相世界を見ており、」"and calling forth ~ "「証人を呼び寄せては、あなたに彼らを引き寄せてくれる」。ここの部分は想像の域を出ないのだが、実相の世界にはあなたより一歩先に実相に目覚めた、つまり、悟りを開いた同胞達(神の子)がいるのである。神の子は一つであらねばならないから、悟りを開いたといってもそれで使命が果たせたわけではない。すべての神の子が悟りを開かねばならないのだ。そこで彼らは、まだ実相に目覚める前の同胞達の手助けをしなくてはならない。キリストは彼らに呼びかけ、まだ悟りを開いていないあなたの手助けをするように彼らをあなたの元に送るわけだ。したがって、ここで言う『証人』とは、あなたが実相に目覚めるべき存在であることの証人、そして、それを手助けする任務をもった実相世界の同胞と考えていいだろう。



He loves what he sees within you, and he would extend it. And he will not return unto the Father until he has extended your perception even unto him.
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内部に」
  • extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
  • return [ritə́ː(r)n] : 「戻る、帰る、返還する」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、知見、見識、感じ方」
❖ "He loves what he ~ "「キリストは、あなたの内部に見るものを愛している」。あなたの心の正しい部分、あるいは神から継承した実在の機能をキリストは見て、それを愛している。間違っても、エゴの思考システムを愛しているわけではない。"and he would ~ "「そして、キリストはそれを拡張する」。あなたの心の正し部分、神から継承したものをキリストはあなたと分かち合う形になるので、それらは拡張する。"And he will not ~ "「キリストがあなたの知覚を神(の世界)へと拡張するまでは、キリストは父なる神の元へ引き返すことはないであろう」。知覚が活躍する場はこの幻想の世界である。しかし、この知覚はそのままでは実相世界を感知することは出来ない。しかし、知覚が修正され、正しい知覚が出来るにしたがい、この知覚は実在を、つまり、実相世界を次第に感知し始める。知覚の質は変化していき、真に実相世界の全貌を知覚できたとき、知覚は実相世界の叡智(knowledge)にまで成長する。叡智(knowledge)とは、仏教的な言い方をすれば般若(はんにゃ)ということになるか。したがって、本文は、キリストがあなたの知覚を神の世界まで拡張し、叡智(knowledge)へと質転換するまで、あなたの元を離れずにあなたを導いてくれる、ということになる。



And there perception is no more, for he has returned you to the Father with him.
  • no more : 「もはや〜しない」
  • return [ritə́ː(r)n] : 「〜を返す、戻す、返却する」
❖ "And there perception ~ "「そして、そこでは、知覚はもなや知覚ではない」。知覚は、実相世界で叡智(knowledge)に変身している。"for he has returned ~ "「なぜならば、キリストは彼と一緒にあなたを父なる神の元へ回帰させてくれるからだ」。こうして、あなたはキリストと共に神の元への回帰が果たせ、あなたの知覚は叡智へと生まれ変わるわけである。キリストはホーリー・スピリットの顕現であることから、一連の文章中のキリストをホーリー・スピリットに置き換えても文意は変わらないことに注意しておこう。
 
 
 

T-13.V.6:1 ~ T-13.V.7:13

6. As you look with open eyes upon your world, it must occur to you that you have withdrawn into insanity. You see what is not there, and you hear what makes no sound.

  • look upon : 「〜を見る、〜を観察する」
  • with open eyes : 「目を見開いて」
  • occur [əkə́ː(r)] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
  • withdrawn [wiðdrɔ́ːn] : 「withdraw の過去分詞形」
  • withdraw [wiðdrɔ́ː] : 「身を引く、引き下がる、退く、とじこもる」
  • withdraw into : 「〜に引きこもる、〜の殻に閉じこもる」
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神病、精神異常」
  • sound [sáund] : 「音、音声」
❖ "As you look with open ~ "「目を見開いて、あなたの世界を見てみれば、」"it must occur to you ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文、「あなたが狂気の中に引きこもって来たことが、あなたにもわかるに違いない」。"You see what is ~ "「あなたは、そこにないものを見、」"and you hear what ~ "「音の出ないものを聞いているのである」。ないものを見、ないものの音を聞いているのだから、あなたが引きこもった世界は狂気の世界である。つまり、その世界は、あなたが勝手に幻想し、あるいは投射して偽創造した世界である。あなただけのバーチャル・リアリティーとでも言っておこうか。



Your manifestations of emotions are the opposite of what the emotions are.
  • manifestation [mæ̀nəfistéiʃən] : 「明らかにすること、明示、表明」
  • emotion [imóu∫n] : 「感情、情緒、感動」
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「反対側の、正反対の、逆の、あべこべの」
❖ "Your manifestations of ~ "「あなたの、感情の表明は、その感情と正反対である」。つまり、愛を表明しながら愛に恐れを抱き、恐れを表明しながら恐れに引かれている。



You communicate with no one, and you are as isolated from reality as if you were alone in all the universe.
  • communicate [kəmjúːnikèit] : 「通じている、連絡する、通信する」
  • communicate with : 「〜と意思が疎通する、〜に通じている」
  • isolate [áisəlèit] : 「分離させる、隔離する、離す、隔てる、孤立させる」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
  • universe [júːnəvə̀ː(r)s] : 「宇宙、銀河、全世界」
❖ "You communicate with ~ "「あなたは誰とも通じ合うことがなく、」"and you are as isolated ~ "「そして、あたかもこの全宇宙においてあなたはたった独りであるかのように、あなたは現実から隔離されているのである」。まさに完全孤立状態である。しかし、その原因は、あなたが自分の主観に翻弄されてプライベートな世界を自分の回りに作ったせいである。一見、その世界の境界はあなたを守ってくれるように感じるかも知れないが、事実は、単にあなたを外部世界から孤絶させているに過ぎない。あなたはあなたの作った牢獄に閉じこめられているのだ。



In your madness you overlook reality completely, and you see only your own split mind everywhere you look.
  • madness [mǽdnəs] : []狂気、熱狂、熱中
  • overlook [òuvə(r)lúk] : 「見落とす、見過ごす、大目に見る」
  • completely [kəmplíːtli] : 「完全に、十分に、全面的に、全く」
  • split [splít] : 「割れた、分割した、分裂した、分けた」
❖ "In your madness you ~ "「あなたの狂気の中で、あなたは完全に現実を見失っている」。つまり、あなたが作った世界のなかで、つまり、あなた個人のバーチャル・リアリティーの中で、あなたの心の現実も、外部世界の現実も、共に完全に見失っている。" and you see only your ~ "「そして、あなたは、目を向けたところすべてに、あなた自身の分裂した心を見るのである」。たとえば、愛に恐れを抱き、恐れに魅力を感じ、善を求めてかつ嫌悪し、悪を嫌悪しかつ求め、真実を求めつつ虚偽に引かれ、虚偽を排他しながら虚偽におもねる、等々、二元論の対極概念の両極に、あなたの心は分裂している。なぜなら、あなたの構築した世界、あなたのバーチャル・リアリティーは幻想であり、幻想である限りは二元論の世界だからである。二元論の世界に住む以上は、心の分裂は必然である。



God calls you and you do not hear, for you are preoccupied with your own voice. And the vision of Christ is not in your sight, for you look upon yourself alone.
  • call [kɔ́ːl] : 「叫ぶ、大声で呼ぶ」
  • preoccupy [preάkjupài] : 「〜を夢中にする、〜の心を奪う」
  • vision [víʒ(ə)n] : 「視覚、視力、展望、構想、 画像、映像」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、視覚、視力」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
❖ "God calls you and ~ "「神はあなたに呼びかけるが、あなたは聞こえない」。"for you are preoccupied ~ "「なぜなら、あなたはあなたの声に心奪われているからだ」。"And the vision of ~ "「そして、キリストのヴィジョンはあなたの視界に入らない」。"for you look upon ~ "「なぜなら、あなたは自分自身だけを見ているからだ」。キリストとは、あなたの心の中で一番清浄で正しく、無辜(むこ)なる部分のこと。そこにキリストが住んでいるととらえても、その部分自体がキリストであるととらえても、どちらでもいい。なぜなら、あなた自体がキリストなのだから。しかし、あなたにはその姿が見えていない。愛に対して恐れを抱いているから、神の愛の呼びかけも聞こえない。あなたが夢中になっているのはバーチャル・リアリティーの世界であって、実相の声も姿も、あなたの知覚には反応しないのだ。



7. Little child, would you offer this to your Father? For if you offer it to yourself, you are offering it to him.
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、ささげる、提供する」
❖ "Little child, would ~ "「幼き子よ、こんな状況をあなたの父なる神に差し出しそうとは思わないだろうか」。"For if you offer it ~ "「なぜなら、あなたがこんな状況をあなた自身に差し出せば、あなたは神にそれを差し出していることになる」。こんな状況、つまり、神の声に耳を閉ざし、キリストのヴィジョンも目に入らない状況を、しっかり見据えて把握したらどうか、ということ。そうすれば、神はその状況をしっかり見届けてくれるだろう。



And he will not return it, for it is unworthy of you because it is unworthy of him. Yet he would release you from it and set you free.
  • return [ritə́ː(r)n] : 「〜を返す、戻す、返却する」
  • unworthy [ʌnwə́ː(r)ði] : 「〜に値しない、値打ちのない」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ」
  • set A B [SVOC] : 「AをBの状態にする」
❖ "And he will not ~ "「そうすれば、神はあなたが差し出したものを突き返したりしないだろう」。"for it is unworthy ~ "「なぜなら、あなたが差し出したものは神にとって無価値であるから、あなたにとっても無価値だからである」。"Yet he would release ~ "「しかし神は、あなたをそんな状況から解放し、あなたを自由にしてくれるだろう」。ここでは、主語が神になっているが、厳密に言えば、神からの使命を受けたホーリー・スピリットが一連の作業をしてくれると考えた方がいいだろう。ホーリー・スピリットは神と神の子の間を司る媒介者でからである。



His sane Answer tells you what you have offered yourself is not true, but his offering to you has never changed.
  • sane [séin] : 「正気の、分別ある、良識のある、思慮分別のある」
  • Answer [ǽnsə(r)] : 「答え、回答、返事、応答」
❖ "His sane Answer tells ~ "「神の正気な答えは、あなたがあなた自身に差し出したものは真実でないこと、」あなたがあなた自身に差し出したもの、つまり、神の声に耳を閉ざし、キリストのヴィジョンも目に入らない状況は、真実でない。"but his offering to you ~ "「しかし、神があなたに差し出すものは、決して変化したりしないことを、あなたに告げるだろう」。神の答えは実相世界からのものであるので、永遠不変の真実である。



You who know not what you do can learn what insanity is, and look beyond it.
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を知る、分かる、悟る、〜を学ぶ」
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神病、精神異常」
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「 〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
❖ "You who know not ~ "「自分でやっていることが分からないあなたでも、正気でないとはどういうことか知ることができ、」"and look beyond ~ "「その正気でないことを越えて見ることができるようになる」。これはあなた一人で出来ることでない。神やキリストやホーリー・スピリットの助けを借りてこそ、初めて出来る作業である。そういう意味でも、ACIMは絶対他力の思想なのである。つまり、すべてを自力で完結しようなどとしても、それは無理である。自力で不可能なことがあるから、それは、積極的に神、キリスト、ホーリー・スピリットの他力を借りて乗り越えればいいのだ。もっとも、神、神の子、ホーリー・スピリットは三位一体であり、実相世界では究極は同一のものであるから、絶対他力と言っても、結局は自力も他力も、その区別はないのだが。一元論世界の当然の帰結。



It is given you to learn how to deny insanity, and come forth from your private world in peace. You will see all that you denied in your brothers because you denied it in yourself.
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • come forth : 「現れる、出てくる」
❖ "It is given you to learn ~ "「神の答えは、あなたが〜を学ぶために、あなたに与えられる」。"how to deny insanity, and ~ "「狂気を否定し、平和の内にあなたのプライベートな世界から向け出せる方法」を学ぶために、神の答えはあなたに与えられる。"You will see all that ~ "「あなたは、あなたがあなたの同胞の中に否定したすべてを見ることになろう」。"because you denied ~ "「なぜなら、あなたはそのすべてをあなたの中で否定したのであるから」。あなたの心の中の狂気のすべて、正気でない事柄のすべてをあなたは否定した。そういう目で同胞を見るとき、あなたは同胞の狂気のすべて、正気でない事柄のすべてを否定することになる。



For you will love them, and by drawing nigh unto them you will draw them to yourself, perceiving them as witnesses to the reality you share with God.
  • draw [drɔ́ː] : 「近づく」
  • nigh [náit] : 「近くに、近くで」
  • draw : 「〜を引く、引き込む、〜を引き付ける、引き寄せる」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、参考人、証拠、証言」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "For you will love ~ "「なぜなら、あなたの同胞を愛するようになるからだ」。"and by drawing nigh ~ "「そして、あなたの同胞に近づくことによって、あなたは彼らをあなたに引き寄せるであろうし、」"perceiving them as ~ "分詞構文、単純接続、「そして、彼らを、あなたが神と分かち合う実相の証言者として知覚することになろう」。神から分離後、我々の心は散り散りに分裂した。しかし、ここで、その分裂した心が再統一され始めるのである。あなたが自分の心の狂気を否定し、あなたの同胞の心の狂気を否定することで、互いが引き合い、あなたとあなたの同胞が愛し合うことが出来るまでに距離は縮まる。あなたが実相に目覚め始め、実相を神と分かち合っていることは、あなたの同胞が実相に目覚め、実相を神と分かち合い始めたことで証明される。なぜなら、あなたと同胞は自他一如であるからだ。



I am with them as I am with you, and we will draw them from their private worlds, for as we are united so would we unite with them.
  • draw from : 「〜から引き出す、〜から取り出す」
  • unite [junáit] : 「〜を結合する、結び付ける、接合する」
❖ "I am with them ~ "「私(イエス)は、あなたと共にいるのだから、あなたの同胞達とも一緒にいる」。"and we will draw ~ "「そして、私たちは、彼らを彼らのプライベートな世界から引き出してあげることになるだろう」。"for as we are united ~ "「なぜなら、私たちが結びついているように、私たちは彼らと結びついているからである」。我々神の子たちの心が再統一されるにしたがい、そこにイエスが入り込んで結合を強固なものにしてくれる。イエスは、ここではホーリー・スピリットの代役のようでもあり、キリストとしての使命を果たそうとしているようでもある。神そのものの代役と言ってもいい。神の子、イエス、キリスト、ホーリー・スピリット、神、それらは実相の世界では究極的に一なるもの"God is"に収斂する。純粋一元論の必然であり、イエスがホーリー・スピリットやキリストや神そのものと重なり合ってくるのは当然なことである。



The Father welcomes all of us in gladness, and gladness is what we should offer him.
  • welcome [wélkəm] : 「温かく迎え入れる、歓迎する」
  • gladness [ɡlǽdnis] : 「喜ばしさ、うれしさ」
❖ "The Father welcomes ~ "「父なる神は、私たちすべてを、喜びの内に歓迎してくれる」。"and gladness is what we should ~ "「そして、喜びとは、私たちが神に差し出さなくてはならないものなのである」。神の元へ回帰して、神を喜ばすことこそ、最大の贈り物だ。神も喜び、神の子も喜ぶ。その喜びを、心の一番神聖なところにある神の祭壇に、神への贈り物としてささげればいいだろう。



For every Son of God is given you to whom God gave himself. And it is God whom you must offer them, to recognize his gift to you.
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる、〜を認識する、〜を認証する」
❖ "For every Son of God is ~ "「なぜなら、神が神自身を与えたあなたに、すべての神の子は与えられるからだ」。あたかも、あなたが一番の主役のような書き方がされているが、そういう意味合いではない。"And it is God whom you ~ "「そして、神があなたに与えた贈り物を認識するには、あなたがすべての神の子をささげなくてはならないのは神なのである」。神があなたに与えた贈り物とは、ここは単純化して神の愛のことだととらえておこう。その神の愛を受け入れるには、神の子がばらばらであってはならず、心を統一し、すべての神の子の愛を束ねて、神の愛への返礼として神にささげなくてはならない。その主体となるのがあなたであって、あなたが神の子を束ね、すべての神の子の愛を神にささげねばならない。あなたが主体であると書いたが、神の子は一体であるから、主体はもちろんあなたであり、彼であり、彼女である。したがって、ここで言われるささげるという行為は、主体的な愛とうことだと了解して遠くあるまい。父なる神はその子であるところの神の子達に至上の愛を与える。まさに父の絶対的な愛である。その愛を浴びた神の子達も、兄弟(姉妹)として互いに至上の愛を与え合うのである。まさに、兄弟(姉妹)としての絶対的な愛である。ここで言う至上の愛、絶対的な愛とは、実相世界の、対極概念をもたない愛のことである。つまり、憎しみや嫌悪という対極をもたない純粋な愛である。一元論世界の愛だ。神は神の子に愛を与え、兄弟達は互いに愛を与え合い、もちろん、神の子達は父なる神をこの上なく愛する。こうして、絶対的な愛が分かち合われ、愛は拡張、増大してゆく。愛は喜びを呼び、至上の平和を生み出す。その喜びも平和も分かち合われ、拡張、増大してゆく。その無限に広がる愛と喜びと平和の中で、神と神の子とホーリー・スピリットは融合し、一元論の必然に収斂する。それは、もちろん、"Go is"「神ありき」である。
 
 
 

T-13.V.4:1 ~ T-13.V.5:7

4. The delusional can be very destructive, for they do not recognize they have condemned themselves.

  • delusional [dilúːʒənəl] : 「妄想の」
  • destructive [distrʌ́ktiv] : 「破壊的な、破壊主義的な、有害な」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる、〜を認識する、〜を認証する」
  • condemn [kəndém] : 「〜を非難する、責める、罵倒する、糾弾する」
❖ "The delusional can ~ "「妄想を抱いた者は、非常に破壊的になる可能性がある」。"for they do not recognize ~ "「なぜなら、彼らは、彼らが自分自身を非難していると認識していないからである」。自分の無意識の罪悪感を他者に投射して、アイツは悪いヤツだと非難しているが、それは、本当は自分自身を非難していることになる。その道理が分かっていれば、非難する自分を恥ずかしく思ったりもするだろうが、道理が分かっていないものだから、非難はますますエスカレートし、破壊的にさえなる。



They do not wish to die, yet they will not let condemnation go.
  • die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
  • condemnation [kɑ̀ndemnéi∫n] : 「激しい非難、糾弾」
  • let go : 「手を放す、ほっとく、あきらめる」
❖ "They do not ~ "「彼らは死にたいとは思っていないが、」"yet they will not let ~ "「彼らは、非難することを止めようとは思わないだろう」。他者への非難、と言うことは、自分自身への非難がエスカレートし、破壊が極限に達すると、そこには死が見え隠れしてくる。彼らは、そこまでは望んでいない。かといって、非難をやめることもない。



And so they separate into their private worlds, where everything is disordered, and where what is within appears to be without.
  • separate [sép(ə)rət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」
  • private [práivət] : 「個人的な、個人用の、私的な」
  • disorder [disɔ́ː(r)də(r)] : 「〜を混乱させる、〜の秩序を乱す」
  • disordered : 「混乱した、乱雑な、不調な、調子の狂った、病気の」
  • within [wiðín] : 「内部で、内側で」
  • appear [əpíə(r)] : 「〜のように見える、〜と思われる」
  • appear to be : 「〜であるように見える」
  • without [wiðáut] : 「外に、外側に」
❖ "And so they separate ~ "「したがって、彼らは彼らのプライベートな世界において分離している」。一人一人が勝手に個人の世界をもち、その世界に安住する。その世界は分離しており、他者の世界との接点を持たない。"where everything is ~ "「そのプライベートな世界では、すべてが無秩序であり、」世界同士が接点を持たないのだから、ルールも存在しないのだ。"and where what is ~ "「また、そこでは、内側にあるものが、外側にあるかのように見える」。どの個人的な世界も、そこに住む人間の投射によって作ったものであるから、心の内側にあるものがすべて外側に投射されて、あたかも、外にあるかのように見えるのである。



Yet what is within they do not see, for the reality of their brothers they cannot recognize.
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる、〜を認識する、〜を認証する」
❖ "Yet what is within ~ "「しかし、内側にあるものを、彼らは見ようとしない」。投射した外の世界ばかり見ていて、自分の心の中を見ようとしない。"for the reality of their ~ "「なぜなら、彼らの同胞の実相を、彼らは受け入れることが出来ないからだ」。彼らは同胞を、言わば勝手なペンキを塗って見ているわけで、同胞の本当の姿を認識できない。悪いヤツはあくまで悪いヤツであって、その奥に隠された実相を認識しようとしないし、ましてや、自分自身の心の実相を見ることなどない。



5. You have but two emotions, yet in your private world you react to each of them as though it were the other.
  • emotion [imóu∫n] : 「感情、情緒、感動」
  • react [ri(ː)ǽkt] : 「反応する、反応を示す、対処する」
  • react to : 「〜に反応する」
  • as though : 「まるで〜であるかのように」
❖ "You have but ~ "「あなたは二つの感情をもっている」。一つは愛であり、一つは恐れである。"yet in your private ~ "「しかし、あなたのプライベートな世界においては、あなたは、あたかも一つが他方と同じであるかのように、その二つの感情に反応している」。簡単に言えば、あなたは愛を恐れ、恐れを愛している、ということか。あなたのプライベートな世界は孤立しているので、あたかも目隠しをして外部世界を眺めているかのようだ。したがって、愛は孤絶しており、不安と恐れを醸し出す。恐れを抱くことが他の世界と共に生きている証になり、恐れさえも求めてしまう。



For love cannot abide in a world apart, where when it comes it is not recognized.
  • abide [əbáid] : 「とどまる、居住する」
  • apart [əpɑ́ː(r)t] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに、別々に」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる、〜を認識する、〜を認証する」
❖ "For love cannot ~ "「なぜなら、愛は孤絶した世界には住めないからだ」。愛は分かち合われて初めて命をもつ。愛は、分離し、孤絶した世界に、かごの鳥のように住むことは出来ない。"where when it ~ "「その孤絶した世界では、たとえ愛がやって来たとしても、愛は認識さえされないのである」。孤絶した世界に安住するあなたは、分かち合われる愛という存在を知らない。したがって、神やキリストやホーリー・スピリットが、たとえあなたに愛を投げかけたとしても、それが愛であることすら、あなたは認識できない。たとえば、このACIMにあなたが出会ったことは、ホーリー・スピリットがあなたに投げかけた愛であると言ってもいい。しかし、あなたは、あたかも広告塔の宣伝文句を眺めるかのように、ASCIMの文字を流し見るだけかも知れない。ASCIMとの出会いがあなたの人生の必然であって、実相世界から愛の呼びかけであると感じることは、それほど難しいことであろうか? 



If you see your own hatred as your brother, you are not seeing him. Everyone draws nigh unto what he loves, and recoils from what he fears.
  • hatred [héitrid] : 「強い嫌悪、憎しみ、憎悪、嫌悪、毛嫌い」
  • nigh [nái] : 「近くに、近くで」
  • draw [drɔ́ː] : 「近づく」
  • recoil [rikɔ́il] : 「後ずさりする、退却する、尻込みする」
❖ "If you see your own ~ "「もしあなたが、あなたの憎悪を(投射して、)あなたの同胞として見るならば、」"you are not ~ "「あなたは彼を見ていることにはならない」。あなたの心の憎悪というペンキで同胞を塗り立て、そこに憎むべき同胞を見たとしても、それは彼自身を見ていることにはならない。"Everyone draws nigh ~ "「誰でも、愛するものには近づき、」"and recoils from ~ "「恐れるものからは遠ざかる」。



And you react with fear to love, and draw away from it. Yet fear attracts you, and believing it is love, you call it to yourself.
  • react [ri(ː)ǽkt] : 「反応する、反応を示す、対処する」
  • react to : 「〜に反応する」
  • draw away from : 「〜から離れる」
  • attract [ətrǽkt] : 「引く、引き込む、魅惑する、魅了する」
❖ "And you react with ~ "「そして、あなたは、恐れを抱きつつ愛に反応し、」"and draw away ~ "「愛から遠ざかってしまう」。"Yet fear attracts you ~ "「しかし、恐れはあなたを引きつけ、」"and believing it is ~ "分詞構文、理由、「恐れが愛だと信じているので、」"you call it to ~ "「あなたは、あなた自身へその恐れを呼び込む」。現代心理学は、二つの相反する心理の力学を想定する。ここでは、愛を求める心理と、その逆の、恐れを求める心理である。また、たとえば、生への願いであるエロスと、死への願いであるタナトスを持ち出す場合もある。この幻想の世界が二元論の世界であり、対極概念が存在する世界なので、この世界に生きる限り、二律背反の両方を希求する心理は必然である。善への希求と悪への憧憬もその一つである。その二律背反の対極概念の中間層に、無限のグラデーションが存在し、いかにも複雑な心理が存在しているかのように見えるのである。



Your private world is filled with figures of fear you have invited into it, and all the love your brothers offer you, you do not see.
  • fill [fíl] : 「満たす、詰める、注入する」
  • figure [fígjə(r)] : 「姿、人影、人物、形、形状」
  • invite [inváit] : 「招待する、招く、案内する」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、ささげる、提供する」
❖ "Your private world is ~ "「あなたのプライベートな世界は、あなたがその世界に招き入れた恐れを(象徴する)人々で満たされている」。つまり、あなたは心の恐れを投射し、恐怖のペンキを塗った人々を招き入れ、あなたの世界をそんな妖怪じみた人達で満たしている。しかし、"and all the love your ~ "「あなたの同胞があなたに差し出した愛は、あなたは見ようともしない」。あなたの心に対して愛を求める願いを拒否しているから、他者からの愛に気付きもしないのである。
 
 
 

T-13.V.2:1 ~ T-13.V.3:8

2. Each one peoples his world with figures from his individual past, and it is because of this that private worlds do differ.

  • people [píːpl] : 「〜を満たす、供給する、〜を住まわせる」
  • figure [fígjə(r)] : 「姿、人影、人物、形、形状」
  • individual [ìndəvídʒu(ə)l] : 「個人の、個人的な、個性的な」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • private [práivət] : 「私的な、自分だけが持つ、個人用の」
  • differ [dífə(r)] : 「異なる、相違する、違う、差がある」
❖ "Each one peoples ~ "「誰でも一人一人、自分の世界を、個人的な過去の人物達で満たすものだ」。人は自分の世界を、過去に出合った人達で構成する、ということ。"and it is because of ~ "ここは"it is ~ that ~ "の強調構文、「that以下はこのせいである」。"that private worlds ~ "「プライベートな世界がまちまちであるのは」このせいである。



Yet the figures that he sees were never real, for they are made up only of his reactions to his brothers, and do not include their reactions to him.
  • real [ríː(ə)l] : 「実在する、現実の、本物の」
  • reaction [ri(ː)ǽk∫n] : 「反応、態度、受け止め方」
  • include [inklúːd] : 「〜を含める、〜を含有する、包含する」
❖ "Yet the figures that ~ "「しかし、彼の見ている人物達は決して本物ではなかった」。"for they are made up ~ "「なぜなら、その人物達は、彼が彼の同胞に向けたリアクションによって作り上げられたものであり、」"and do not include ~ "「彼に対する彼らのリアクションは含まれていないからだ」。ここで言う"reaction"「リアクション」とは、主観、思い込み、感情、判断という意味合いであろう。あなたの世界を満たしている、あなたが過去に出会った人達は、あなたの主観的な受け止め方によって構成されており、その人達のあなたに対する主観的な受け止め方は排除されている。したがって、あなたが過去に出会った人達は、あなたが勝手に作った幻想であり、本物の彼ら自体ではない。



Therefore, he does not see he made them, and that they are not whole.
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
❖ "Therefore, he does not ~ "「したがって、彼は、自分が彼らを作ったのだということも、その彼らが完全なものでもないことを分かっていない」。具体的に考えよう。たとえば、あなたが出会った彼を、あなたは悪いヤツだと判断したとしよう。その悪いヤツはあなたの世界を構成する一つのコマとなる。この『悪い』という評価は、当然、彼に向けたあなたの主観であって、彼があなたに向けたシグナルではない。あなたはそのカラクリに思いが回らず、悪い彼を作ったのは、実はあなた自身であることを理解できないのである。しかも、悪いというレッテルを貼ることによって、彼の一面だけの評価に満足し、彼の全体性を見ようとも理解しようともしないのである。



For these figures have no witnesses, being perceived in one separate mind only.
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、参考人、証拠、証言」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • separate [sép(ə)rət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」
❖ "For these figures have ~ "「なぜなら、これらの者たちは証人が一人もいないからである」。" being perceived in ~ "分詞構文、理由、「たった一つの分離した心によって知覚されたものなので」。あなたが悪いヤツと判断された者は、本当は悪くないのだと証言してくれる者はいない。なぜなら、悪いという判断は、彼と分離したあなたの心だけがそう知覚したに過ぎないからである。つまり、悪いとう判断は単なるあなたの個人感情であって、それが事実か事実でないかのレベルの話ではないのだ。この一連の話から分かるように、この世界は、あなたの一方的な主観によって心が勝手に作ったものである。これほど複雑に見えるのは、二元論の二つの対極の間に無数のグラデーションが出来るからに過ぎない。



3. It is through these strange and shadowy figures that the insane relate to their insane world.
  • strange [stréin(d)ʒ] : 「奇妙な、変わった、変な、不慣れない」
  • shadowy [ʃǽdoui] : 「闇の、あいまいな、幻の、非現実的な」
  • figure [fígjə(r)] : 「姿、人影、人物、形」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • relate [riléit] : 「関連がある、関係する、かかわる」
  • relate to : 「〜に関連している、〜にかかわる」
❖ "It is through these ~ "ここは"It is ~ that ~ "の形の強調構文、「狂った者が狂った世界と関わりをもつのは、こういった奇妙で曖昧な人物達を通してである」。誰もがみんな主観によって悪いヤツ、いいヤツ、変なヤツ、おかしなヤツ、等々を幻想し、でっち上げ、その寄せ集めと、寄せ集められた連中が絡み合ってこの世界が構成されている。狂った者が狂った世界と関わり合をもつのは、こうした幻想の奇妙な連中を通してである。つまり、こうした幻想の連中を作り出すことで、世界との整合性を保とうとするわけだ。たとえば、あなたが悪いヤツだと思った人物が、またあなたを見て悪いヤツだと判断し、互いに喧嘩をする、つまりそんな形で世界と関わりをもつのである。もちろん、その逆に、あなたがいい人だと思った人物が、またあなたを見ていい人だと思えば、互いに愛し合うこととなり、互いに外部世界との接点を確保できる。しかし、もともと幻想に過ぎない愛と愛が長続きはすまい。ペンキが剥がれて分裂は深まるだろう。愛は、実相世界の真実の愛でなければ、拡張発展し永続はしないのだ。



For they see only those who remind them of these images, and it is to them that they relate.
  • remind [rimáind] : 「〜に思い出させる、〜に気付かせる」
  • remind A of B : 「AにBのことを思い出させる」
❖ "For they see only ~ "「なぜなら、彼らは、彼らにこれらのイメージを思い出させる人達だけを見るからであり、」"and it is to ~ "ここも強調構文、「彼らが関係を持つのはそうした彼らである」。たとえば、あなたの主観が無意識のうちに悪いヤツを見つけ出したいと思えば、あなたは悪いと判断できそうな連中しか目に入らず、そういった悪いヤツと思われる連中としか関連を持とうとしない。あたかも、その連中があなたに、自分たちがあなたの探している悪いヤツであると思い出させて、あなたの注目を引き、あなたを彼らとの関係に誘い込んでいるようなものである。



Thus do they communicate with those who are not there, and it is they who answer them.
  • communicate [kəmjúːnikèit] : 「通じている、連絡する、通信する」
  • communicate with: 「〜と意思が疎通する、〜に通じている」
  • answer [ǽnsə(r)] : 「〜に答える、答えて言う」
❖ "Thus do they communicate ~ "「こうして、正気を失った連中は、そこにいない者たちと意思疎通を行っている(ようなものだ)」。" and it is they ~ "ここも強調構文、「そして、彼らに答えるのも、またそういった連中である」。たとえば、悪いヤツを探している狂ったあなたが、悪いヤツを想起させるような連中に出会い、そこに互いの関係が生じるのだが、所詮あなたの主観によって悪いヤツと決め込んだことであるので、それは真実と大きにかけ離れている。つまり、悪いヤツは、単にあなたの主観がそう見ているだけであって、悪いヤツという実体がそこにあるのではない。悪いヤツとういう幻影を見ているに過ぎないのである。しかも、その幻影と関係を持つということは、その幻影があなたの対応に対して返答していることであり、実体が答えているのではない。あくまでも答えを返してくるのは、つまり、反応するのは、あなたの主観が悪いヤツと決め込んだ、その幻影である。



And no one hears their answer save him who called upon them, and he alone believes they answered him.
  • save [séiv] : 「〜を除いて、〜のほかは、〜は別として、〜以外の、ただし〜は除外して」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
❖ "And no one hears their answer ~ "「そして、彼らを呼んだ彼を除いて、誰も彼らの答えを聞いてはいない」。"and he alone believes ~ "「彼一人だけが、彼らが彼に答えてくれたと信じているのである」。あなたの主観が悪いヤツを呼んだ。それに反応して、悪いヤツはあなたに答えを返した。しかし、その答えはあなたの耳には届くが、他の者には何も聞こえない。なぜなら、悪いヤツはあなたが勝手に作った幻影であり、その答えもあなたの幻影、幻覚に過ぎないからだ。しかも、それに気がつかず、あなたは確かに答えてもらったと信じているのである。



Projection makes perception, and you cannot see beyond it.
  • Projection [prədʒék∫n] : 「投射、投影、射影、映写」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、知見、見識、感じ方」
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の向こう側に、〜を越えて、〜を過ぎて」
❖ "Projection makes ~ "「投射は知覚を作る」。"and you cannot ~ "「そしてあなたは、それを越えて見ることは出来ない」。あなたは悪いヤツを探し求め、呼びかけ、その幻影と関係をもつ。では、なぜあなたは悪いヤツを求めるのか? それは、あなたの無意識の罪悪感、つまり、自分は悪いヤツだという密かな思いが圧力になって、それに耐え切れなくなると、それを外部世界に投射するからである。悪いのはアイツであって、自分はその犠牲者であると自分を納得させることで、自分の罪悪感の圧力を軽減させようとする。こうして、投射によって、あなたはアイツもコイツも悪い者に仕立て上げ、あなたはそういった目でしか他者を見ることが出来なくなってしまう。つまり、あなたの知覚は投射の必然的な帰結になるのだ。投射は知覚を作るのである。しかも、そうやって作られた知覚を、あなたは凌駕することはできない。投射によって作られた幻影の知覚を越えて、その向こうを見ることはできないのである。



Again and again have you attacked your brother, because you saw in him a shadow figure in your private world.
  • again and again : 「何度も反復して、何度も繰り返して」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • shadow [∫ǽdou] : 「影の、隠れた存在の」
  • figure [fígjə(r)] : 「姿、人影、人物、形」
  • private [práivət] : 「個人用の、私的な」
❖ "Again and again have you ~ "「何度も何度も、あなたはあなたの同胞を攻撃してきた」。"because you saw in him ~ "「なぜなら、あなたは、同胞の中に、あなたの個人的な世界における影の姿を見たからである」。"your private world"「あなたの個人的な世界」とは、あなたの主観的な世界ということ。あなたは、同胞をありのままに知覚することが出来ない。それは、あなたが罪の意識を投射し、外部世界に罪を見ようとするからである。その結果、あなたの主観的な世界には、罪を背負った同胞の影の姿が映し出される。あなたの知覚はその影しか認識できないのだ。そして、幻影に過ぎない罪を背負った同胞の影の姿を、あなたは繰り返し繰り返し攻撃するのである。



And thus it is you must attack yourself first, for what you attack is not in others.
  • first [fə́ː(r)st] : 「一番目に、初めて、最初に」
❖ "And thus it is"「そして、それはこうであるから、」つまり、「こうしたわけで、」「こうして、」。"you must attack ~ "「あなたは第一にあなた自身を攻撃しなければならないのだ」。"for what you attack ~ "「なぜなら、あなたが攻撃する対象は、他者の中にあるのではないからだ」。外部世界に投射したあなたの罪の意識を、あなたは悪いヤツを探し出しては攻撃するのだが、他者を攻撃しているつもりが、本当は罪をもった自分自身を攻撃していることになる。悪いヤツとあなたが判断した連中は単なるあなたの投射の対象に過ぎず、罪悪という攻撃の対象は彼らの中にあるのでない。あなたの中にあるのだ。



Its only reality is in your own mind, and by attacking others you are literally attacking what is not there.
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • literally [lít(ə)rəli] : 「文字どおり、そっくりそのまま」
❖ "Its only reality is ~ "「(攻撃対象の)唯一の実体は、あなたの心の中にある」。"and by attacking others ~ "「そして、他者を攻撃することで、あなたは文字通り、そこにないものを攻撃していることになる」。他者の中に見える罪悪はあなたが投射したものであって、実在しない。その実在しないものに向かって、あなたは攻撃しているわけである。
 
 
 

T-13.IV.9:1 ~ T-13.V.1:9

9. You, too, will interpret the function of time as you interpret yours.

  • interpret [intə́ː(r)prət] : 「解釈する、解明する、説明する」
  • function [fʌ́ŋ(k)∫n] : 「機能、作用、働き、効用」
❖ "You, too, will interpret ~ "「あなたもまた、あなたがあなたの機能を解釈するにしたがい、時間の機能を解釈するようになるだろう」。"interpret"「解釈する」という言葉を"understand"「理解する」という言葉に置き直してみるといい。あなたの機能とは、この幻想世界においては"healing"「ヒーリング」であり、実相世界においては"creation"「創造」である。ここではヒーリングのことを言っており、あなたが同胞のヒーリングをし、同胞を救おうとすることで、時間を利用する方法を学ぶのである。時間の持つ機能を利用するのだから、あなた独自の時間解釈が出来るようになるだろう。ところで、時間を救いに利用するとは、たとえば、このACIMを学ぶに当たって、時間は幻想、錯覚だからと言って瞬時に学び終えるものでない。たっぷり時間をかける必要があろう。また、輪廻転生によって学びのレベルを高めていくにも、長大な時間が必要である。この幻想世界では、ヒーリングにも救いにも、ある程度の時間は必要なのであって、その時間が必要でなくなったとき、それこそが、時間の消滅であり、実相世界への突入と考えればいい。いわゆる、涅槃(ねはん)、ニルヴァーナである。



If you accept your function in the world of time as one of healing, you will emphasize only the aspect of time in which healing can occur.
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • emphasize [émfəsàiz] : 「〜を強調する、重要視する、重視する」
  • aspect [ǽspekt] : 「局面、状況、側面、特徴、様子、外見」
  • occur [əkə́ː(r)] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
❖ "If you accept your function ~ "「もしあなたが、この時間世界におけるあなたの機能は一種のヒーリングであると受け入れるなら、」"you will emphasize only ~ "「あなたは、ヒーリングが起こり得る時間の側面だけを強調するであろう」。いろいろな時間の過ごし方があるが、ヒーリングに関係した時間だけを重要視するようになるだろう、ということ。時間の機能をヒーリングに役立てるようになるのである。



Healing cannot be accomplished in the past. It must be accomplished in the present to release the future.
  • accomplish [əkɑ́mpli∫] : 「成就する、達成する、遂げる、仕上げる」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • present [préznt] : 「今、現在」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ」
  • future [fjúːt∫ə(r)] : 「未来、将来」
❖ "Healing cannot be ~ "「ヒーリングは、過去において達成されることは不可能である」。"It must be accomplished ~ "「ヒーリングは、未来を解放するために、現在において達成されなくてならない」。エゴの、現在のとらえ方と正反対である。エゴは過去と未来を温存するために、ヒーリングの可能性のある現在を隠そうとする。ホーリー・スピリットは、過去と未来を解放するために、現在をヒーリングのために利用する。未来を解放するとは、未来の罰から解放することととらえてもいいし、幻想の時間そのものからの解放と考えてもいい。次の文章を参照。



This interpretation ties the future to the present, and extends the present rather than the past.
  • interpretation [intə̀ː(r)prətéi∫n] : 「解釈、説明、解説」
  • tie [tái] : 「〜を結ぶ、結合する、縛る、くくる」
  • extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
  • rather than : 「〜よりはむしろ、かえって」
❖ "This interpretation ties ~ "「こういう解釈は、未来と現在とを結びつける」。"and extends the present ~ "「そして、過去ではなく、現在を拡張するのである」。どうやら、現在と未来を結びつけ、現在という時を拡張して、永遠性へ質転換させようという狙いがあるようだ。いずれにしても、ヒーリングの最終目的の一つは、錯覚の時間を消滅させ、実相世界の永遠性を獲得することである。



But if you interpret your function as destruction, you will lose sight of the present and hold on to the past to ensure a destructive future.
  • interpret [intə́ː(r)prət] : 「解釈する、解明する、説明する」
  • destruction [distrʌ́k∫n] : 「破壊、破滅、破棄」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する」
  • sight [sáit] : 「視界、視野、視力」
  • lose sight of : 「〜を見失う」
  • hold on to : 「〜をつかんで離さない、〜にしがみつく、〜を手放さない」
  • ensure [en∫úə(r)] : 「〜を確かにする、保証する、確保する」
  • destructive [distrʌ́ktiv] : 「 破壊的な、破壊主義的な、有害な」
❖ "But if you interpret ~ "「しかし、あなたが、あなたの機能は破壊であると解釈するなら、」"you will lose sight of ~ "「あなたは現在という時を見失い、」"and hold on to ~ "「破壊的な未来を確実にするために、過去という時に執着するであろう」。あなたの機能は破壊であると耳元で囁くのは、もちろんエゴである。



And time will be as you interpret it, for of itself it is nothing.
  • of oneself : 「独りでに、それ自体で」
❖ "And time will be ~ "「そして、時間は、あなたの解釈次第で如何様にもなる」。"for of itself it ~ "「なぜなら、時間は、それ自体としては、無であるからだ」。時間は幻想、錯覚であり、無である。それをどう利用するかで、錯覚の時間は如何様にも変容する。



 
 
V. The Two Emotions
二つの感情
 
 
 
1. I have said you have but two emotions, love and fear. One is changeless but continually exchanged, being offered by the eternal to the eternal.
  • emotion [imóu∫n] : 「感情、情緒、感動」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
  • changeless [tʃéindʒlis] : 「変化のない、不変の、不動の、一定の」
  • continually [kəntínju(ə)li] : 「絶えず、持続的に、継続的に、頻繁に」
  • exchange [ikst∫éin(d)ʒ] : 「〜を交換する、〜をやりとりする」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、ささげる、提供する」
  • eternal [itə́ː(r)nl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の」
❖ "I have said you ~ "「わたしは、あなたが愛と恐れの二つの感情しか持ち得ないと言ったことがある」。"One is changeless but ~ "「その一方の愛は、変化することなく、絶え間なく交換される」。"being offered by ~ "分詞構文、理由、「なぜなら、愛は、永遠なるものによって、永遠なるものへと差し出されるからである」。愛は不変であると言うと、そんなことはない、と言われるかも知れない。しかし、変化流動する愛はこの幻想世界の愛であって、実相世界の愛は変化しない。時間が存在しないので変化のしようがないのであるが、そもそも、一元論の実相世界には対極概念がない。したがって、憎悪という対極の存在しない純粋無垢の愛が実在の愛であり、絶対的愛、一元論的愛、至上の愛、とでも言っておこうか。その絶対的愛を、時間の存在しない実相世界において分かち合うのであるから、愛は永遠なるものから永遠なるものへと交換されるのである。



In this exchange it is extended, for it increases as it is given. The other has many forms, for the content of individual illusions differs greatly.
  • exchange [ikst∫éin(d)ʒ] : 「交換、やりとり」
  • extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
  • increase [inkríːs] : 「増える、増大する、大きくなる」
  • form [fɔ́ː(r)m] : 「形、外形、構造、現れ、姿」
  • content [kɑ́ntent] : 「内容、中身」
  • individual [ìndəvídʒu(ə)l] : 「個人の、個人的な、個性的な」
  • differ [dífə(r)] : 「異なる、相違する、違う、差がある」
  • greatly [gréitli] : 「大いに、非常に」
❖ "In this exchange ~ "「この交換によって、愛は拡張する」。分かち合いによって、真実なるものは拡張するので、愛も拡張する。もちろん拡張は変化ではない。規模が拡大するだけである。たとえば、この幻想世界においても、独りで喜びを味わうのに比べて、他者と共に喜ぶを分かち合うと、喜びも拡大、拡張するという経験をもつものだ。"for it increases ~ "「なぜなら、愛は与えられた時、増加するからである」。"The other has ~ "「他方の恐れには、多くの形態がある」。"for the content of ~ "「なぜなら、個人的な幻想の内容は、大いに異なるからである」。



Yet they have one thing in common; they are all insane. They are made of sights that are not seen, and sounds that are not heard.
  • in common [kɑ́mən] : 「共通の、共通して、共同の」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • be made of : 「〜よって作られている、〜によって出来ている」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、視覚、視力」
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • heard [hə́ː(r)d] : 「hear の過去・過去分詞形」
❖ 恐れには多くの形態があるが、"Yet they have one ~ "「しかし、それらには共通のものが一つある」。"they are all ~ "「恐れはすべて正気ではないのだ」。"They are made of sights ~ "「恐れは、見えないもの、聞こえないもので作り上げられている」。つまり、恐れは、幻想、錯覚の産物である。幻想、錯覚が多様であるから、恐れの形態も多様となる。しかし、どの恐れも正気の沙汰ではない。



They make up a private world that cannot be shared. For they are meaningful only to their maker, and so they have no meaning at all.
  • make up : 「作り上げる、でっち上げる、構成する」
  • private [práivət] : 「私的な、自分だけが持つ、個人用の、自分用の」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、意味深長な、重要な」
  • maker [méikə(r)] : 「作る人、作り手、メーカー」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "They make up ~ "「恐れは、分かち合うことの出来ないプライベートな世界をでっち上げる」。"For they are meaningful ~ "「なぜなら、恐れは、それを作った者にとってのみ意味をもち、」"and so they have no ~ "「したがって、まったく意味がないのであるから」。まったく意味がないから、分かち合われることすらない。恐れは人を孤絶状態に陥らせるのだ。つまり、恐れを抱いたものは孤独の奴隷となる。



In this world their maker moves alone, for only he perceives them.
  • move [múːv] : 「移動する、動く」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "In this world their ~ "「この世界では、恐れを作った者は単独行動をとる」。"for only he perceives ~ "「なぜなら、その恐れを知覚するのはその者だけであるからだ」。恐れは分かち合われることが不可能であり、その者を孤絶状態に突き落とす。したがって、その者は単独行動をとる以外にない。しかも、その恐れは単に個人的な妄想に過ぎないので、誰も理解してはくれない。孤絶状態はますます深まるばかりだ。
 
 
 

T-13.IV.7:12 ~ T-13.IV.8:4

7. It is evident that the Holy Spirit's perception of time is the exact opposite of the ego's.

  • evident [évid(ə)nt] : 「明白な、明らかな、はっきりそれと分かる、歴然とした」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、知見、見識、感じ方」
  • exact [igzǽkt] : 「正確な、的確な、精密な、厳しい」
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「反対側の、正反対の、逆の」
❖ "It is evident that ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文、「ホーリー・スピリットの時間に対する知覚のし方は、エゴのそれとはまさに正反対である」。


The reason is equally clear, for they perceive the goal of time as diametrically opposed.
  • reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠」
  • equally [íːkw(ə)li] : 「等しく、同様に、一様に、均一に 」
  • clear [klíə(r)] : 「らかな、明りょうな、はっきりした」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
  • diametrically [dàiəmétrikəli] : 「正反対に、直径方向に」
  • opposed [əpóuzd]: 「反対した、対抗した、対立した、向かい合った」
❖ "The reason is equally ~ "「その理由は、等しく明快である」。"for they perceive ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットとエゴは、時間の目的を正反対なものとして知覚しているからだ」。たとえば、エゴにとって過去は、あなたが罪を犯したことを証言する証人であり、ホーリー・スピリットにとって過去は、罪など存在しなかったことを証言する証人である。エゴにとって現在は、過去の罪に対する未来の罰のための橋渡しに過ぎないが、ホーリー・スピリットにとっての現在は、贖罪のための絶好のチャンスと見る。



The Holy Spirit interprets time's purpose as rendering the need for time unnecessary.
  • interpret [intə́ː(r)prət] : 「解釈する、解明する、説明する」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向」
  • render [réndə(r)] A B [SVOC] : 「AをBの状態にする」
  • unnecessary [ʌnnésəsèri] : 「不必要な、無用な、不要な」
❖ "The Holy Spirit interprets ~ "「ホーリー・スピリットは、時間の目的を、時間の必要性を不必要なものに変えることと解釈する」。本来、時間は幻想世界の錯覚に過ぎない。それを神の子に知らしめるのがホーリー・スピリットの使命の一つである。時間は錯覚であり、実相の世界は非時間、永遠無窮の世界であることを教えるのである。



He regards the function of time as temporary, serving only His teaching function, which is temporary by definition.
  • regard [rigɑ́ː(r)d] : 「 〜を〜と見なす、考慮する、考える」
  • function [fʌ́ŋ(k)∫n] : 「機能、作用、働き、効用」
  • temporary [témp(ə)rèri] : 「一時の、一時的な、仮の、当座の」
  • serve [sə́ː(r)v] : 「〜に仕える、〜のために働く、〜に役立つ」
  • definition [dèfəní∫n] : 「 定義、明確にすること、鮮明度、記述」
  • by definition : 「定義により、明らかに、本質的に、当然」
❖ "He regards the function ~ "「ホーリー・スピリットは、時間の機能を一時的なものと見なしている」。時間は錯覚であるが、利用できるとすれば、それは一時的なものである。"serving only His teaching ~ "分詞構文、理由、「時間は単にホーリー・スピリットの教えるという機能をサポートするだけなので、」"which is temporary ~ "「そして、それは、定義通り、一時的なものである」。教えるということは、教えてしまえばそこで終わるものなので、その定義通りに、教えるための時間も一時的なのである。ホーリー・スピリットが何を教えるのかというと、贖罪であり、救済であり、神への回帰である。したがって、あなたが神の子として神へ回帰できたとき、ホーリー・スピリットの教えは終了する。同時に、神の子にとって、時間は消滅し、幻想の世界も消滅し、当然エゴも消滅し、永遠の実相世界が展開するのである。



His emphasis is therefore on the only aspect of time that can extend to the infinite, for now is the closest approximation of eternity that this world offers.
  • emphasis [émfəsis] : 「強調、重要性」
  • aspect [ǽspekt] : 「面、側、側面、局面、状況」
  • extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
  • infinite [ínf(ə)nət] : 「無限の、計り知れない、果てしない、莫大な」
  • close [klóus] : 「近い、接近した、近接した、緊密な」
  • approximation [əprɑ̀ksiméi∫n] : 「近づくこと、接近、近似」
  • eternity [itə́ː(r)nəti] : 「永遠、無限」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、ささげる、提供する」
❖ "His emphasis is therefore ~ "「したがって、ホーリー・スピリットの強調することは、無限なるものに拡張する可能性のある時間の側面に限られる」。錯覚の時間の無限性に関する側面が、ホーリー・スピリットの着眼する重要点である。"for now is the closest ~ "「なぜなら、今という時は、この世界が差し出すものの中で最も永遠性に近いものであるからだ」。時間の存在しない実相では、すべてが一瞬にして起き、その一瞬が永遠に続く。あたかも、幻想世界の現在という時が、永遠に続くかのようなものだが、本当はまったく異なるのものである。しかし、ホーリー・スピリットはその類似性を利用して、今という瞬間に永遠を感じられるような教えを与えようとするのである。たとえば、無条件に人を赦せという教えは、人を無条件に赦した瞬間、赦したことでその人との関わりに関する過去も未来もすべて手放して、今現在の自分の心の正しさに喜びを見出し、その喜びが永遠に持続することを確認できるということである。つまり、今この瞬間に赦せ、この瞬間に愛せ、この瞬間に喜べ、等々、そうすれば、この瞬間が永遠性を帯びて輝き出すということである。



It is in the reality of "now," without past or future, that the beginning of the appreciation of eternity lies.
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • beginning [bigíniŋ] : 「初め、開始、始まり、発端、起源」
  • appreciation [əprìː∫iéi∫n] : 「正しく評価、正しい認識、識別、感知」
  • lie [lái] : 「ある、横たわる、寝る」
❖ "It is in the reality ~ "「永遠性は、過去でもなく未来でもなく、『今』という現実の中に存在する」。ここの"It"を"eternity"「永遠性」と解釈した。"that the beginning of ~ "ここの"that"は"so that"「その結果」のこと、「その結果、永遠性の正しい評価の始まりは、(現在の中に)存在する」。つまり、過去でもなく未来でもなく、現在に立って、その視点から永遠性を正しく評価することを始めなくてはならない、ということ。たとえば、過去に永遠性を持ち込むと、過去の罪が永遠に存在し、罪の烙印は永遠に消えないという発想が生まれるだろうし、未来に永遠性を持ち込めば、罪の報いの罰が永遠に続いて、地獄の業火を永遠に浴びるという発想が生まれるだろう。しかし、現在に永遠性を持ち込めば、この瞬間に罪を消滅させ、永遠の命に回帰できるという発想が生まれるだろう。どの時点に永遠性を持ち込むのが正当なのか、答えは簡単である。



For only "now" is here, and only "now" presents the opportunities for the holy encounters in which salvation can be found.
  • present [préznt] : 「〜を与える、渡す、差し出す、提出する」
  • opportunity [ɑ̀pə(r)t(j)úːnəti] : 「機会、適時、チャンス、好機」
  • encounter [enkáuntə(r)] : 「出会い、巡り合い、遭遇、接触」
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • found [fáund] : 「find の過去・過去分詞形」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
❖ "For only "now" is here ~ "「なぜならば、『今』だけがここにあり、『今』だけが聖なる出会いの機会を与えてくれるからだ」。"in which salvation ~ "ここは関係代名詞の制限用法だが、非制限用法として訳してみる、「そして、その聖なる出会いの中に、救いが見出せるのである」。今、この場所で、つまり、今を生きるあなた自身の中に、ホーリー・スピリットが住んでおり、あなたがそれに気がつきさえすればホーリー・スピリットとの聖なる出会いは達成されるし、あるいは、あなたの心の正しい部分であるキリストとの聖なる出会いも可能となる。そのどちらも、今、あなたの心の中で可能なのだ。そして、ホーリー・スピリットやキリストとの聖なる出会いによって、あなたは自分が無辜(むこ)であることを学び、過去の罪の意識から救われ、神への回帰という未来が開かれてくるわけである。



8. The ego, on the other hand, regards the function of time as one of extending itself in place of eternity, for like the Holy Spirit, the ego interprets the goal of time as its own.
  • on the other hand : 「他方では、一方では」
  • regard [rigɑ́ː(r)d] : 「〜を〜と見なす、考慮する、考える」
  • function [fʌ́ŋ(k)∫n] : 「機能、作用、働き、効用」
  • extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
  • in place [pléis] of : 「〜の代わりに、〜の代理で」
  • interpret [intə́ː(r)prət] : 「解釈する、解明する、説明する」
❖ "The ego, on the other ~ "「一方エゴは、時間のもつ機能を、永遠性にとって換えて、自分自身を拡大するものと解釈する」。エゴは時間を利用して、自己拡大を図るわけだ。"for like the Holy Spirit ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリット同様、エゴも、時間の目的を自分自身に都合のいいように解釈するからである」。時間は幻想であり錯覚であるから、いかようにも解釈でき、どのようにも利用できる。時間を使って人を生かすことも、人を殺すことも出来るのである。



The continuity of past and future, under its direction, is the only purpose the ego perceives in time, and it closes over the present so that no gap in its own continuity can occur.
  • continuity [kɑ̀nt(ə)n(j)úːəti] : 「連続性、継続性、ひと続き」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • future [fjúːt∫ə(r)] : 「未来、将来」
  • direction [dərék∫n] : 「方角、方向、道順、方位、指示、指図、命令」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • close over : 「〜を囲んで襲い掛かる、覆い隠す、閉じこめる」
  • present [préznt] : 「今、現在」
  • so that : 「〜できるように、その結果」
  • gap [gǽp] : 「割れ目、すき間、穴、途切れ、隔たり、ギャップ」
  • occur [əkə́ː(r)] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
❖ "The continuity of past ~ "「エゴの命令下にあって、過去から未来の継続性は、時間の中にエゴが知覚する唯一の目的であり、」つまり、エゴは現在を除外して、過去から未来への継続性を何が何でも維持しようとするのである。"and it closes over the present ~ "「そして、エゴは現在という時を覆い隠すのである」。"so that no gap in its own ~ "「エゴ自身の継続性にいかなるギャップも起きないようにするために、」現在という時を覆い隠すのである。非常に難解であるが、解釈しよう。まず、エゴが執着しているのはあなたの過去の罪である。神を裏切って神から分離したことで、あなたは罪の意識を隠し持つこととなった。その罪の意識からあなたが解放されることをエゴは恐れる。なぜなら、罪の意識から解放されたなら、神との分離が解消され、エゴは消滅するからである。それを避けるために、エゴは未来に執着する。あなたの罪ゆえに、神は未来においてあなたを罰するだろうという恐れを吹き込むのである。あなたはますます神を恐れ、神からの分離は維持されるとうわけである。そこで、エゴの時間に関する目的は、この過去と未来を直接連結、継続させることとなる。もし、この連結に現在という時間が介入すれば、あなたは贖罪によって罪と罰から解放される可能性があるので、エゴは現在という時間を排除したいのである。そこで、エゴは、過去と未来の間にギャップが生じないように、現在という時間を覆い隠そうとするのである。



Its continuity, then, would keep you in time, while the Holy Spirit would release you from it.
  • keep [kíːp] : 「〜を引き留める、〜を持ち続ける、保持する」
  • while [(h)wáil] : 「しかし一方」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ、離す」
❖ "Its continuity, then, would ~ "「そうして、(過去から未来への)継続性が、あなたを時間の中に留め置くこととなるだろう」。継続性、すなわち時間の中に、あなたは縛りつけられる。"while the Holy Spirit would ~ "「一方、ホーリー・スピリットはあなたを、時間(の縛り)から解放してくれるであろう」。



It is his interpretation of the means of salvation that you must learn to accept, if you would share his goal of salvation for you.
  • interpretation [intə̀ː(r)prətéi∫n] : 「説明、解説、解釈」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を知る、分かる、悟る、学ぶ」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
❖ ここは後ろから訳す、"if you would share ~ "「もしあなたが、あなたの救済のためにホーリー・スピリットが考えている目的を分かち合いたいと望むならば、」簡単に言えば、あなたが救われるために、ホーリー・スピリットと協力していこうとするなら、ということ。"It is his interpretation ~ "「時間からの解放こそが、あなたが受け入れることを学ばねばならない救済の方法に対するホーリー・スピリットの解釈である」。まわりくどい言い方をしているが、要するに、救済の方法にはいろいろあるかも知れないが、ホーリー・スピリットの解釈に従えば、時間から解放されることがあなたの救済につながるものであり、それをあなたは受け入れるべきである、ということ。時間から解放されるとは、過去の罪は存在しなかったこと、そして、未来の罰も存在しないということを知ることである。過去も未来も存在せず、あるのは今だけだと悟り、無辜(むこ)の存在として神の元へ回帰する、それが分離からの救済であり、非時間の実相世界に入ることで、永遠性と不変性の中に生きることとなる。
 
 
 

T-13.IV.5:1 ~ T-13.IV.6:10

5. "Now" has no meaning to the ego. The present merely reminds it of past hurts, and it reacts to the present as if it were the past.

  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義」
  • present [préznt] : 「今、現在」
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
  • remind [rimáind] : 「〜に思い出させる、〜に気付かせる」
  • remindA of B : 「AにBを思い出させる、気付かせる」
  • past [pǽst] : 「過ぎ去った、過去の、これまでの」
  • hurt [hə́ː(r)t] : 「痛み、苦痛、傷、けが」
  • react [ri(ː)ǽkt] : 「反応する、反応を示す、対処する」
  • react to : 「〜に反応する」
  • as if : 「あたかも〜かのように」
❖ " "Now" has no ~ "「『今』は、エゴにとって何の意味もない」。"The present merely ~ "「今という時は、エゴに過去の痛みだけを思い出させる」。"and it reacts to ~ "「そして、エゴは、現在があたかも過去であるかのように、今という時に反応する」。エゴには、現在が過去の単なる延長としか思えないのだ。



The ego cannot tolerate release from the past, and although the past is over, the ego tries to preserve its image by responding as if it were present.
  • tolerate [tɑ́lərèit] : 「〜を大目に見る、我慢する、許容する、許す、容認する 」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除」
  • although [ɔː(l)ðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが」
  • try to do : 「〜しようと試みる」
  • preserve [prizə́ː(r)v] : 「〜を保つ、保存する〜を維持する、守る」
  • respond [rispɑ́nd] : 「反応する、応答する、答える、返答する」
❖ "The ego cannot ~ "「エゴは、過去からの解放が容認できない」。"and although the past ~ "「そして、たとえ過去が終わってしまったものであっても、」"the ego tries to preserve ~ "「エゴは、あたかも過去が現在であるかのように反応することで、過去のイメージを保持しようとするのである」。エゴはあくまでも過去にこだわりをもつ。ここで言う過去とは、あなたの数十年の過去だけではなく、一なる心が神から分離した過去、つまり、神話時代の過去にまで遡るものと理解していいだろう。



It dictates your reactions to those you meet in the present from a past reference point, obscuring their present reality.
  • dictate [díkteit] : 「〜に影響する、〜を決定する、決定づける」
  • reaction [ri(ː)ǽk∫n] : 「反応、態度、受け止め方」
  • those = those whom : 「〜な人達」
  • reference [réf(ə)r(ə)ns] : 「参照、参考、照会」
  • reference point : 「基準点、標点、参考点」
  • obscure [əbskjúə(r)] : 「〜を暗くする、見えなくする、曖昧にする」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
❖ "It dictates your reactions ~ "「エゴは、過去の視点から、あなたが出会った人達に対するあなたの反応を決定づける」。"obscuring their ~ "分詞構文、単純接続、「そして、彼らの現在の現実を曖昧にしてしまうのだ」。エゴの過去へのこだわりは、あなたの他者への反応にまで影響を与える。つまり、あなたは他者を見るとき、彼らの過去ばかりに目を向け、アイツは昔、こんなことをした、あんなことを仕出かしたと、過去の罪や失敗ばかりをあげつらうのである。その結果、彼らが今現在どうであるのか、肝心の今の現実が曖昧にされる。



In effect, if you follow the ego's dictates you will react to your brother as though he were someone else, and this will surely prevent you from recognizing him as he is.
  • in effect : 「事実上、実質的に、実際には、実際において」
  • follow [fɑ́lou] : 「ついて行く、〜に従う、追随する」
  • dictate [díkteit] : 「命令、指図」
  • react [ri(ː)ǽkt] : 「反応する、反応を示す」
  • as though : 「まるで〜であるかのように、まるで〜するかのように」
  • surely [∫úə(r)li] : 「疑いなく、しっかりと、確かに、確実に」
  • prevent [privént] : 「防ぐ、妨げる、防止する、妨げて〜させない」
  • prevent A from doing : 「Aが〜するのを妨げる」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる、〜を認識する、〜を認証する」
❖ "In effect, if you follow ~ "「事実、もしあなたが、エゴの指図に従うならば、」"you will react to ~ "「あなたは、あなたの同胞に対して、まるで彼が別人であるかのように、反応してしまうだろう」。過去の彼に反応してしまうので、今の彼に対して反応することが出来なくなってしまうのだ。"and this will surely ~ "「そして、これが、あなたがありのままに彼を認識することを妨げるであろう」。



And you will receive messages from him out of your own past because, by making it real in the present, you are forbidding yourself to let it go.
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する」
  • message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ、通報、お知らせ」
  • make A B [SVOC] : 「AをBの状態にする」
  • forbid [fə(r)bíd] : 「〜を禁じる、禁止する、妨げる」
  • forbid A to do : 「Aが〜することを禁ずる、妨げる」
❖ "And you will receive ~ "「そして、あなたは、その同胞からあなた自身の過去のメッセージを受け取ることになろう」。あなたは同胞を今の彼とはまったく異なる、過去のままの同胞として見るので、彼から伝わってくるメッセージもあなたの過去のものである。"because, by making ~ "「なぜなら、過去の出来事を現在の中で現実化することで、」つまり、過去の出来事をリアルに思い出し、それにこだわることで、"you are forbidding ~ "「あなたは、過去の出来事を放っておくことをあなた自身に許さないからだ」。過去の出来事は過去のものとして放りなげ、関わらなくていいものを、あなたは今なお過去の出来事に拘泥(こうでい)するのである。



You thus deny yourself the message of release that every brother offers you now.
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • deny A B : 「AにBを与えない」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、ささげる、提供する」
❖ "You thus deny yourself ~ "「こうして、あなたは、すべての同胞が今あなたに差し出す解放のメッセージを、あなた自身に与えないでしまうのである」。神の子として、同胞はあなたに幻想世界からの開放をメッセージとして伝えようとする。しかし、あなたは過去にこだわり、同胞の解放へのメッセージを聞こうともしない。



6. The shadowy figures from the past are precisely what you must escape.
  • shadowy [ʃǽdoui] : 「陰になった、陰の多い、暗い、闇の、あいまいな」
  • figure [fígjə(r)] : 「姿、人影、象徴、人物像、彫像」
  • precisely [prisáisli] : 「正確に、精密に、まさに、はっきり」
  • escape [iskéip] : 「逃げる、ずらかる、脱出する、抜ける」
❖ "The shadowy figures ~ "「過去からの闇の陰こそ、まさしくあなたが逃れなければならないものである」。まさに、過去の亡霊からあなたは逃れなくてならない。



They are not real, and have no hold over you unless you bring them with you.
  • hold [hóuld] : 「支配力、威力、握ること」
  • have a hold over : 「〜に支配力を有する、〜の急所を握っている、死命を制する」
  • unless [ənlés] : 「でない限り、〜である場合を除いて」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜を連れて来る」
❖ "They are not real, and ~ "「過去の亡霊は実在しないし、」"and have no hold over ~ "「あなたが過去の亡霊をあなたの元に連れてこない限り、それはあなたに支配力を及ぼすことはない」。亡霊をあなたの元に連れて来るとは、あなたが過去の亡霊の実在を信じてしまうこと。存在しないものでも、信じてしまえば支配力が生じるのだ。



They carry the spots of pain in your mind, directing you to attack in the present in retaliation for a past that is no more. And this decision is one of future pain.
  • spot [spɑ́t] : 「場所、地点、染み、汚点」
  • carry [kǽri] : 「〜を運ぶ、〜を持ち運ぶ、〜を持っている」
  • direct [dərékt] to do : 「〜に…するように命令する、指図する」
  • present [préznt] : 「今、現在」
  • retaliation [ritæ̀liéi∫n] : 「仕返し、報復、返報」
  • in retaliation for : 「〜に対する報復として、〜の返報として」
  • no more : 「もはや〜しない」
❖ "They carry the spots of ~ "直訳すると、「過去の亡霊は、あなたの心の中に、痛みの点を持ち込む」。つまり、過去の亡霊達は、あなたの心の中にいくつもの悔恨という痛みを作り上げ、何かにつけてあなたにその悔恨を思い出させ、あなたをいたぶるのである。"directing you to attack ~ "分詞構文、単純接続、「そして、あなたに指図して、今は何もない過去の報復として、この現在に攻撃を行わせるのである」。悔恨の痛みを消すために、過去の出来事に向かって報復攻撃をする。それを命令するのは過去の亡霊。ということは、過去の亡霊とは、姿を変えたエゴではないのか?



Unless you learn that past pain is an illusion, you are choosing a future of illusions and losing the many opportunities you could find for release in the present.
  • Unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • choose [t∫úːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • opportunity [ɑ̀pə(r)t(j)úːnəti] : 「機会、適時、チャンス、好機」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
❖ "Unless you learn that ~ "「あなたが、過去の痛みは幻想なのだと学ばない限り、」"you are choosing a future of ~ "「あなたは幻想の未来を選択していることとなり、」"and losing the many ~ "「今この時点において、あなたが解放のために見出すべき多くの好機を逃していることになる」。過去は幻想であると学ばない限り、つまり、過去が実在したと信じてしまえば、あなたは過去を未来に引きずり込んで、未来をも幻想の奴隷としてしまうだろうし、この現在において、贖罪によって過去の罪の意識から解放され得るにもかかわらず、その好機を逃してしまいかねない。



The ego would preserve your nightmares, and prevent you from awakening and understanding they are past.
  • preserve [prizə́ː(r)v] : 「〜を保つ、保存する」
  • nightmare [náitmὲər] : 「恐ろしい夢、悪夢」
  • prevent [privént] : 「妨げる、防止する、妨げて〜させない」
  • prevent A from doing : 「Aが〜するのを妨げる」
  • awaken [əwéikn] : 「目を覚まさせる、目覚める、呼び起こす」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する」
❖ "The ego would preserve ~ "「エゴはあなたの悪夢を保存したいと思っている」。"and prevent you from ~ "「そして、あなたが目覚め、それらが過去のものであると理解することを妨げたいと思っているのだ」。ここでようやく、過去の亡霊の黒幕であるエゴが登場した。ここでは過去の悔恨を悪夢と表現している。悪夢から目覚め、過去の悔恨が消滅してしまうことを、エゴは妨害するのである。



Would you recognize a holy encounter if you are merely perceiving it as a meeting with your own past?
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる、〜を認識する、〜を認証する」
  • encounter [enkáuntə(r)] : 「出会い、巡り合い、遭遇、接触」
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • meeting [míːtiŋ] : 「出会い」
❖ ここは後ろから訳す、"if you are merely perceiving it ~ "「もしあなたが、聖なる出会いを単にあなた自身の過去との出会いに過ぎないと知覚しているなら、」"Would you recognize ~ "「あなたは聖なる出会いを認識するであろうか」。いや、認識することはないであろう、ということ。贖罪によって過去の罪の意識から解放させてくれる出会いは聖なる出会いであろう。つまり、ホーリー・スピリットとの出会い、あるいはキリストとの出会いのことである。



For you would be meeting no one, and the sharing of salvation, which makes the encounter holy, would be excluded from your sight.
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • encounter [enkáuntə(r)] : 「出会い、巡り合い、遭遇、接触」
  • exclude [iksklúːd] : 「〜を排除する、締め出す、〜を除く、除外する」
  • sight [sáit] : 「視覚、視力、視界、景色」
❖ "For you would be ~ "「なぜなら、あなたは誰とも出会わないであろうし、」過去ばかりに関わっていると、聖なる出会いどころではなく、誰に出会うこともない、"and the sharing of ~ "「救いを分かち合うことが、」"which makes ~ "「それは聖なる出会いをもたらすのだが、」"would be excluded ~ "「その分かち合いが、あなたの視界から追い出されてしまうからである」。救いを求める気持ちがないから、他者と救いを分かち合うことが目に入らない。ますます、孤独に陥って行っていく。しかし、ホーリー・スピリットは次のように教えてくれる。



The Holy Spirit teaches that you always meet yourself, and the encounter is holy because you are.
  • teach [tíːt∫] : 「〜を教える、指導する」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
❖ "The Holy Spirit teaches ~ "「ホーリー・スピリットはthat以下のように教えてくれる」。"that you always ~ "「あなたは常にあなた自身と出会っているのであって、」"and the encounter ~ "「あなたが神聖であるから、その出会いは神聖であるのだ」。あなたの中の完全に正しい部分、完璧に無辜(むこ)で神聖な場所、そこにキリストがいる。あなたは常に自分の中のキリストに出会っているはずである。そのキリストが、あなた自身なのである。



The ego teaches that you always encounter your past, and because your dreams were not holy, the future cannot be, and the present is without meaning.
  • dream [dríːm] : 「夢、夢現象、夢うつつの状態」
  • future [fjúːt∫ə(r)] : 「未来、将来」
  • present [préznt] : 「今、現在」
❖ "The ego teaches that ~ "「エゴはthat以下を教える」。"that you always encounter ~ "「あなたはいつも過去に出くわしており、」"and because your ~ "「あなたの夢は神聖でなかったので、未来もまた神聖ではなく、」" and the present is ~ "「現在には何の意味もない」と教える。なんとも救われようのない話であるが、だからこそ、エゴはあなたに、この状況を打破するために攻撃せよ、破壊せよ、と唆すのである。たとえば、過去に罪を犯したおまえは必ず罰せられる、ならば、罰せられる前におまえの方から攻撃し、ぶち壊してしまえばいいのだ、といった具合。
 
 
 

T-13.IV.3:1 ~ T-13.IV.4:5

3. Under the circumstances, would it not be more desirable to have been wrong, even apart from the fact that you were wrong?

  • circumstance [sə́ː(r)kəmstæ̀ns] : 「周囲の事情、環境、状況、事情」
  • under the circumstances : 「この条件の下に、こんな事情でなので、事情が事情だから」
  • desirable [dizái(ə)rəbl] : 「望ましい、好ましい、価値のある、魅力がある」
  • apart from the fact that : 「that 以下という事実は別として」
❖ "Under the circumstances ~ "「こんな状況であるから、」"would it not be more ~ "ここは"it ~ to ~ "の構文、「間違っていたということは、(あなたにとって)より望ましいことではないのか」。"even apart from ~ "「あなたが間違っていたということは事実としても」。さて、何を言いたいのだろう? 地獄や忘却が現実として実在することは間違いである。あなたが幻想のこの世界で知覚する現実も実在ではなく、間違いである。神が、あなたの過去の罪に報復して、地獄の復讐をすることも間違いである。しかし、あなたはそのどれをも、エゴの指図通りに信じた。なぜか? あなたは、たとえ自分が間違っていても、そう信じたかったからである。間違っていたとしても、そう信じることが望ましいと思ったのだ。なぜか? あなたは、神の愛を知るの方がより怖かったからだ。例を出そう。たとえば、父を憎んで家出をした息子を想定しよう。彼は家を離れ、自立する。父を憎み、その憎しみが生きる原動力になっている。憎き父を見返してやりたい。きっと、父は父で、親を捨てた勝手な息子を憎んでいるはずだ。たとえ、それが間違いであっても、父を捨てた息子はそう信じたいのである。しかし、もし、憎んでいた父が、実はどの子供よりもその息子を心から愛していたのだと知ったらどうなるだろう? その息子の現実は根底からひっくり返されるに違いない。息子はそうなることをうすうす気付いている。気付いているから父が愛している事実が怖いのである。なぜなら、実は自分も本当は父を愛しているからだ。その愛が、思い出のように息子の心の底に残っているからである。神と神の子の関係も、こういったものである。神の子は神の復讐を恐れている。たとえ、神が復讐するという考えが間違っていたとしても、神の子は神が復讐することを信じたいのだ。なぜか? 神の子は、裏切られてもなお神の子を愛している、その神の愛の方が怖いからだ。なぜか? 神の子自身が、その心の奥底に、神を愛しているという思い出が熱くくすぶっていることを知っているからである。



While it could perhaps be argued that death suggests there was life, no one would claim that it proves there is life.
  • While [(h)wáil] : 「〜なのに、〜ではあるものの、〜だが、〜とはいえ」
  • perhaps [pə(r)hǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • argue [ɑ́ː(r)gjuː] : 「〜と主張する、〜を議論する、論じる」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
  • suggest [sʌgdʒést] : 「〜を意味する、示唆する、暗示する、それとなく示す」
  • life [láif] : 「命、生命、寿命、活気、元気」
  • claim [kléim] : 「主張する、断言する」
  • prove [prúːv] : 「証明する、立証する」
❖ "While it could perhaps ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文、「死は、生が存在したことを暗示しているという論は、多分主張されることであろうが、」ここで、"there was life"と過去形で表現されていることに注意。"no one would claim that ~ "「死は生の存在を証明していると、誰も主張しないだろう」。ここで、"there is life"と現在形で表現されていることに注意。非常に難解な言い方をしているが、必要条件と十分条件を考えれば納得出来るかも知れない。死があれば、それ以前に生があったことが分かる。しかし、その逆は成立しない。つまり、生があれば必ず死はあるか? 実相の生は永遠不滅であり、死は存在しない。死は今ある生の証拠とはならないのだ。したがって、死は生の十分条件であるが、必要条件ではないのである。



Even the past life that death might indicate, could only have been futile if it must come to this, and needs this to prove that it was at all.
  • past [pǽst] : 「過ぎ去った、過去の、これまでの」
  • indicate [índikèit] : 「〜を指し示す、表す、表示する、示唆する、暗示する」
  • futile [fjúːtl] : 「役に立たない、効果のない、無益な、無駄な、不毛な」
  • come to : 「結果として〜になる、結局〜となる、結局〜に終わる」
  • prove [prúːv] : 「証明する、〜となる、〜であると分かる」
  • at all : 「仮にも、いやしくも」
❖ "Even the past life that ~ "「死が暗示する過去の生でさえも、」死の以前には、確かに生はあった。"could only have ~ "「単に不毛な結果に終わらざるを得ない」。"if it must come to ~ "「もし、生が結局死で終わり、いやしくも生があったのだと証明するために死が必要であったなら、」生は単に不毛な結果に終わらざるを得ない。生には本来、死は不必要なものである。しかし、世の中は、死を受け入れるために、死を美化する傾向にある。たとえば、死がそれまでの生の総括であって、良い死を迎えるために良い生を生きなければならないとか、生の一切の苦しみを死が解決していくれるとか、とかく、死といいのもの価値を何としてでも見出そうとしている。しかし、ACIMの死に対する評価は違っている。死は真実実在するものではなく、単なる幻想に過ぎない。一貫して、幻想の死には意味はないとACIMは主張する。実相の世界の生は永遠不滅であるのだから、幻想の死を消滅させ、実相の生に目覚めることが肝要である、とするのである。



You question Heaven, but you do not question this yet. You could heal and be healed if you did question it.
  • question [kwést∫n] : 「〜を疑問に思う、〜を疑問視する、〜に疑問を呈する」
❖ "You question Heaven, but ~ "「あなたは天の王国には疑問を呈するが、あなたはこのことには疑問を呈さない」。このこととは、生には必ず死が付随する、ということ。"You could heal and ~ "仮定法過去、「もし、あなたがそれに疑問を呈したなら、あなたはヒールすることも、ヒールされることも可能であろうに」。死が付随する生に疑問を呈し、真実の生には死は不必要だと悟れば、あなたは死の存在しない生に一歩近づき、すなわち実相世界に一歩近づき、死という概念から解放されることによって、心が解放されるのである。かくして、あなたはヒールされ、同時に同胞をヒール出来ることとなる。



And even though you know not Heaven, might it not be more desirable than death?
  • even though : 「〜であるけれども、〜であるにしても、〜にもかかわらず、たとえ〜としても」
  • desirable [dizái(ə)rəbl] : 「望ましい、好ましい、価値のある」
❖ "And even though you ~ "「そして、たとえあなたが天の王国を知らないとしても、」"might it not be more ~ "「それは死よりはずっと望ましいことではないだろうか」。



You have been as selective in your questioning as in your perception. An open mind is more honest than this.
  • selective [siléktiv] : 「選択の、選択できる、選択的な、抜粋の」
  • questioning [kwéstʃəniŋ] : 「質問、尋問」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、知見、見識、感じ方」
  • open mind : 「偏見のない心、広い心、虚心坦懐」
  • honest [ɑ́nəst] : 「正直な、誠実な、素直な、公正な」
❖ "You have been as ~ "「あなたが知覚するときと同様に、疑問を呈するときも、あなたは選択的であった」。何を知覚し、何を知覚しないか、何に疑問を呈し、何に疑問を呈しないか、あなたは選択的に生きてきた。"An open mind is ~ "「開かれた心は、これよりもずっと正直である」。虚心坦懐な心は選択的にものを見るのではなく、素直に知覚し、素直に疑問を持つ。その方がずっと正直ではないだろうか。



4. The ego has a strange notion of time, and it is with this notion that your questioning might well begin.
  • strange [stréin(d)ʒ] : 「奇妙な、変わった、変な、見知らぬ」
  • notion [nóu∫n] : 「概念、考え、意見、意向、意志、観念」
  • might well : 「《推量・可能性》〜だろう」
❖ "The ego has a strange ~ "「エゴは時間に関して奇妙な考えをもっている」。"and it is with this notion ~ "直訳すると、「あなたの疑問を呈することがうまく始められるには、この考えをもってすればいい」。つまり、疑問を呈する手始めに、エゴの奇妙な時間概念に焦点を当ててみなさい、ということ。



The ego invests heavily in the past, and in the end believes that the past is the only aspect of time that is meaningful.
  • invest [invést] : 「〜を投資する、出資する、運用する、注ぎ込む」
  • heavily [hévili] : 「重く、重そうに、ひどく、激しく、濃密に」
  • in the end : 「結局、ついに」
  • aspect [ǽspekt] : 「様子、外見、顔つき、姿、局面、状況、側面、特徴」
  • meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、意味深長な、重要な」
❖ "The ego invests heavily ~ "「エゴは過去に対して深く入れ込んでおり、」"and in the end believes ~ "「ついには、that以下を信じるに至った」。"that the past is the only ~ "「過去だけが、時間のもつ意味ある側面である」と信じるに至った。あなたが過去に罪を犯したことを重要視するには、過去に成したことだけが意味があるとしなければならないわけである。



Remember that its emphasis on guilt enables it to ensure its continuity by making the future like the past, and thus avoiding the present.
  • emphasis [émfəsis] : 「強調、重要性、注目、重要視」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • enable [enéibl] : 「〜を可能にする、〜に可能性を与える、できるようにする」
  • ensure [en∫úə(r)] : 「〜を確かにする、保証する、請け合う、確保する」
  • continuity [kɑ̀nt(ə)n(j)úːəti] : 「連続性、継続性」
  • future [fjúːt∫ə(r)] : 「未来、将来」
  • avoid [əvɔ́id] : 「避ける、回避する、逃れる、敬遠する」
  • present [préznt] : 「今、現在」
❖ "Remember that ~ "「that以下を覚えておくように」。"that its emphasis ~ "「エゴが(あなたの)罪を強調することは、エゴの存続を確かなものとする」。"by making the future ~ "「未来を過去と同じようにし、それによって現在を回避することによって」。エゴはあなたの過去の罪を未来にまで存続させようとする。現在が未来を変えないように、過去にだけ目を向けさせようとするのである。つまり、エゴは、あなたが過去の罪の贖罪を果たさないようにしなくてはならない。エゴにとって、あなたが過去を引きずって未来を生きるようにしなくてはならないのは、エゴの存続を確保するためである。なぜなら、もし、あなたが贖罪を果たしてしまうと、あなたは実相に目覚め、幻想世界から抜け出てしまうからだ。その時、幻想世界は消滅し、同時にエゴも消滅してしまうのである。エゴはそれをもっとも恐れている。



By the notion of paying for the past in the future, the past becomes the determiner of the future, making them continuous without an intervening present.
  • notion [nóu∫n] : 「概念、考え、意見、意向、意志、観念」
  • pay [péi] : 「支払う、代金を払う、償いをする」
  • pay for : 「〜の代金を支払う、〜の報いを受ける、〜の代価を払う」
  • determiner [ditə́ːrmənər] : 「決定する人、決定するもの」
  • continuous [kəntínjuəs] : 「連続的な、持続的な、継続する、絶え間のない」
  • intervene [ìntə(r)víːn] : 「間に入る、介在する、干渉する、邪魔する」
❖ "By the notion of ~ "「未来に、過去のつけを払うという考えによって、」"the past becomes the determiner ~ "「過去が未来を決定するものとなる」。" making them continuous ~ "分詞構文、単純接続、「そして、現在を介入させることなく、過去と未来を連結させるのである」。エゴは、あなたの過去の罪を未来の罰に直結させたいわけである。したがって、現在にいろいろいじられてはこまるので、現在を切り離して、過去と未来の結合に対して関わりを持たないようにさせるのである。



For the ego regards the present only as a brief transition to the future, in which it brings the past to the future by interpreting the present in past terms.
  • regard [rigɑ́ː(r)d] : 「〜を〜と見なす、考慮する、考える」
  • brief [bríːf] : 「短時間の、短い、短命な、しばらくの」
  • transition [trænzí∫n] : 「移行、推移、転移、変遷、過渡期」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って行く、〜を連れて行く」
  • interpret [intə́ː(r)prət] : 「解釈する、解明する、説明する」
  • term [tə́ː(r)m] : 「期限、期間、間柄、仲」
❖ "For the ego regards ~ "「なぜなら、エゴは、現在を単に未来への短い過渡期と見なしているからであり、」"in which it brings ~ "「その現在において、エゴは過去を未来へ持ち込むのである」。"by interpreting the present ~ "「現在を、過去を引き継いだ期間と解釈することで」。つまりエゴは、現在は過去から未来への、単なる橋渡しのための期間だと考えて、現在のもつ意味や価値を認めないのである。
 
 
 

T-13.IV.1:1 ~ T-13.IV.2:5

 

IV. The Function of Time
時間の役割
 
 
 
1. And now the reason why you are afraid of this course should be apparent. For this is a course on love, because it is about you.
  • reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠 」
  • be afraid [əfréid] of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • should [∫úd ] : 「〜のはずだ、〜すべきである」
  • apparent [əpǽr(ə)nt] : 「〕明らかな、明白な」
❖ "And now the reason ~ "「そして今や、あなたがなぜこのコースを恐れるのか、その理由が明白になったはずだ」。"For this is ~ "「なぜなら、これは愛についてのコースだからだ」。"because it is about ~ "「なぜなら、このコースはあなたについて述べられているからだ」。この奇跡のコースは、いわば、奇跡の愛のコースと言ってもいい。なぜなら、あなたにとって一番問題になっているのは愛に関することだからである。だから、このコースは愛に対して問題を抱いているあなたについての特別なコースと考えていい。もちろん、ここで問題になる愛とは、この幻想世界の愛憎渦巻く中の愛ではなく、実相世界の絶対的な愛、対極概念を持たない純粋な愛のことである。あなたの心の一番正しい部分で、あなたはこの愛を求めているのである。



You have been told that your function in this world is healing, and your function in Heaven is creating.
  • function [fʌ́ŋ(k)∫n] : 「機能、作用、働き、職務、役割」
❖ "You have been told that ~ "「あなたはthat以下を言われたことがあったはずだ」。"that your function ~ "「この世界におけるあなたの役割はヒーリングであり、」"and your function ~ "「天の王国におけるあなたの役割は創造することである」と言われたことがあったはずだ。"function"は「機能」であるが、ここでは「役割」と訳して理解しやすくした。



The ego teaches that your function on earth is destruction, and you have no function at all in Heaven.
  • destruction [distrʌ́k∫n] : 「破壊、破滅、破棄」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "The ego teaches that ~ "「エゴはthat以下と教える」。"that your function ~ "「この地上におけるあなたの役割は破壊であり、天上では、あなたは役割をまったくもっていない」と教える。



It would thus destroy you here and bury you here, leaving you no inheritance except the dust out of which it thinks you were made.
  • destroy [distrɔ́i] : 「破壊する、崩壊させる、〜を滅ぼす」
  • bury [béri] : 「埋める、埋葬する、葬り去る」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする、置き忘れる」
  • inheritance [inhérət(ə)ns] : 「受け継ぎ、継承、相続、相続財産」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • dust [dʌ́st] : 「ほこり、ちり、煤塵、粉塵、塵埃」
❖ "It would thus destroy ~ "「こうして、エゴはこの地上であなたを破壊し、この地上にあなたを埋める」。"leaving you no inheritance ~ "分詞構文、単純接続、「そして、あなたの忘れ形見など、〜を除いて何も残さない」。"except the dust out of ~ "「あなたが塵から作られたとエゴが思っている、その塵を除いては」。つまり、あなたは土くれから生まれ、土くれに戻っていく、ということ。"leaving you no inheritance"ここは、厳密に考えると、「あなたに何一つ遺産を残さない」という意味であるが、文脈上、あなたはすでに"bury you here"「この地上に埋められている」わけだから、死んだ自分に遺産を残すというのはおかしい。そこで、上記のように意訳してみた。あるいは、「あなたが遺産を残すことを許さない」と考えてもいいだろう。



As long as it is reasonably satisfied with you, as its reasoning goes, it offers you oblivion.
  • As long as : 「〜さえすれば、〜である限りは、〜であるならば」
  • reasonably [ríːznəbli] : 「合理的に、道理にかなって、無理なく、適度に」
  • satisfy [sǽtisfài] : 「〜を満足させる、納得させる」
  • be satisfied with : 「〜に満足している、〜で気が済む、〜で満たされる」
  • reasoning [ríːzəniŋ] : 「論法、推理、推論、論理的思考」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、ささげる、提供する」
  • oblivion [əblíviən] : 「忘れられている状態、忘却、無意識の状態 」
❖ "As long as it is ~ "「エゴがあなたに、適度に満足している限り、」"as its reasoning goes, it ~ "「エゴの論法通りに、エゴはあなたに忘却を与える」。エゴは、本当はあなたを磔刑に処したいと思っているが、まあ、適度に、あなたに死を与えることで満足しようというわけである。その死の代わりに、エゴは、自分の思考システムに則って、あなたに忘却という対価を与えるのだ。つまり、嫌なことを忘れるくらいの贅沢(ぜいたく)は許そうと思ってのことだろう。エゴの与える慈悲など、こんなものだろう。



When it becomes overtly savage, it offers you hell.
  • overtly [ouvə́ːrtli] : 「公然と、あからさまに」
  • savage [sǽvidʒ] : 「凶暴な、残酷な、激しい、野蛮な、残忍な」
  • hell [hél] : 「地獄、ひどい体験、修羅場、生き地獄」
❖ "When it becomes ~ "「もしエゴが、公然として残忍になったら、」" it offers you ~ "「エゴはあなたに地獄を与えるのだ」。忘却どころか、あなたに地獄を与えるほど、エゴは残忍になれる。



2. Yet neither oblivion nor hell is as unacceptable to you as Heaven.
  • unacceptable : 「受け入れられない、容認できない、気に入らない」
  • neither [níːðə(r)] A nor B : 「AもBも〜ない」
❖ "Yet neither oblivion nor hell ~ "「しかし、天の王国に比べれば、忘却も地獄も、あなたにとって受け入れ難いものではない」。エゴは忘却か地獄を差し出し、ホーリー・スピリットはあなたに天の王国を約束してくれる。当然、あなたは天の王国を選択するだろう、と思いきや、その逆だと言っている。あなたはなぜか天の王国を受け入れようとしないのである。理由は次の文章で。



Your definition of Heaven is hell and oblivion, and the real Heaven is the greatest threat you think you could experience.
  • definition [dèfəní∫n] : 「定義、明確にすること、鮮明度、記述、定義付け」
  • hell [hél] : 「地獄、ひどい体験、修羅場、生き地獄」
  • oblivion [əblíviən] : 「忘れられている状態、忘却、無意識の状態 」
  • threat [θrét] : 「脅迫、脅し,危険な存在」
  • experience [ikspí(ə)riəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
❖ "Your definition of Heaven ~ "「あなたの天国の定義は、地獄であり、忘却である」。"and the real Heaven is the greatest ~ "「そして、実際の天の王国は、あなたが経験できると思う中で一番の脅威である」。あなたは神を裏切り、神から分離することで罪の意識を抱いた。そして、いつかは神に罰せられるだろう、神の報復に遭うだろうと恐れを抱いた。神は天の王国に住んでいるから、もし、あなたが天の王国に行ったら、神に捕らえられて、過去に犯した罪の罰として地獄の責め苦を味わさせられるだろうと思っている。もし、幸いなことに、神があなたの犯した罪を忘れているとして、地獄の責め苦は逃れられるとしても、神から完全に忘れ去られた存在になってしまうだろう。いずれにしても、この幻想の世界で生きている方がましだ、とあなたは考えるのである。



For hell and oblivion are ideas that you made up, and you are bent on demonstrating their reality to establish yours.
  • bent [bént] : 「熱中している」
  • be bent on : 「〜に夢中になっている、〜を決意している」
  • demonstrate [démənstrèit] : 「論証する、実証する、立証する、証明する」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • establish [istǽbli∫] : 「確立する、設立する、達成する」
❖ "For hell and oblivion ~ "「なぜなら、地獄も忘却も、あなたが作り上げた(単なる)考えに過ぎないからだ」。"and you are bent on ~ "「そして、あなたの現実を確立するために、あなたは地獄や忘却の現実を実証することに熱中しているのである」。つまり、地獄や忘却がいかに残虐なものであるかを実証することで、あなたの現実生活がまだましであり、ひょっとしたら幸せであるかも知れないと思いたいのである。ここで言うあなたの現実を確立するとは、したがって、妥協して現実を受け入れ、それで良しとすること、と思っていいだろう。



If their reality is questioned, you believe that yours is.
  • question [kwést∫n] : 「〜を疑問に思う、〜を疑問視する、〜に疑問を呈する」
❖ "If their reality is ~ "「もし、地獄や忘却の現実性が疑問視されると、」"you believe that ~ "「あなたの現実性までも疑問視されると、あなたは信じているのである」。"that yours is"ここは"that your reality is questioned"のこと。つまり、地獄や忘却が本当に実在するのかと疑問を向けられるようでは、あなたの現実も、ひょっとして実在しないのではないかと疑問をもたれてしまう恐れがあるわけである。そこで、あなたは地獄や忘却という現実が確かに実在していることを実証し、したがって、それよりはまだましの自分の現実もちゃんと実在していると納得したいのである。



For you believe that attack is your reality, and that your destruction is the final proof that you were right.
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • destruction [distrʌ́k∫n] : 「破壊、破滅、破棄」
  • final [fáinl] : 「最後の、最終の、決定的な、確定的な」
  • proof [prúːf] : 「証拠、証明、証し、裏付け、論証」
  • right [ráit] : 「正しい、正当な」
❖ "For you believe that ~ "「なぜなら、あなたは、攻撃こそあなたの現実であり、」"and that your destruction is ~ "「あなたの崩壊は、あなたが正しいという最終的証拠となると信じているからだ」。これがあなたの現実で、攻撃も崩壊も実在するものだとあなたは信じたいのである。その最終的証拠としてあなた自身の死という崩壊があったとしても、あなたは死を甘んじて受け入れるだろう。つまり、エゴの吹き込んだ現実とその実在性をあなたは信じてしまったのである。エゴは、あなたが神の王国に回帰すれば、神はあなたを攻撃し、破壊するだろうと、あなたを脅す。それよりは、そんなことを忘れてしまう忘却の方がましであろうし、たとえ死が待ちかまえていようが、神によって八つ裂きにされるよりはましだと、エゴはあなたを唆(そそのか)すのだ。
 
 
 

T-13.III.11:1 ~ T-13.III.12:10

11. In peace he needed nothing and asked for nothing. In war he demanded everything and found nothing.

  • need [níːd] : 「 〜する必要がある、〜を必要とする」
  • ask for : 「〜を求める、〜を要求する、〜を要する」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • found [fáund] : 「find の過去・過去分詞形」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
❖ "In peace he needed ~ "「平和の時、神の子は何も必要とせず、何も要求しなかった」。"In war he demanded ~ "「争いの時、神の子はすべてを要求し、何も見つけることが出来なかった」。



For how could the gentleness of love respond to his demands, except by departing in peace and returning to the Father?
  • gentleness [dʒéntlnis] : 「優しさ、穏やかさ」
  • respond [rispɑ́nd] : 「反応する、応答する、返答する、応じる」
  • respond to : 「〜に応答する、〜に答える」
  • demand [dimǽnd] : 「要求、必要、要望」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • depart [dipɑ́ː(r)t] : 「出発する、旅立つ」
  • return [ritə́ː(r)n] : 「戻る、帰る、返還する」
  • return to : 「〜に帰る、〜に帰還する」
❖ "For how could the gentleness ~ "「なぜなら、愛のもつ優しさは、(争い時の)神の子の要求に、いったいどう応えることが出来ただろうか」。"except by departing ~ "「平和のうちに旅立ち、父なる神の元へ戻ること以外に何が出来ただろう」。愛は争わない。争う心を攻撃することもない。ただただ、愛は、争いの火が及ばぬ内にその場を立ち去り、神の元へ帰って行くしかない。



If the Son did not wish to remain in peace, he could not remain at all.
  • remain [riméin] : 「とどまる、滞在する」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "If the Son did not wish ~ "「もし、神の子が平和の内にとどまりたいと望まないのであれば、」"he could not remain ~ "「神の子はまったくとどまることが出来ないであろう」。平和の内にとどまりたいという願いが、神の子を平和の内にとどまらせることになる。平和を願いもせずに、平和を手にすることは出来ないのだ。



For a darkened mind cannot live in the light, and it must seek a place of darkness where it can believe it is where it is not.
  • darken [dάːrkən] : 「暗くする、陰鬱にする」
  • darkened : 「暗い」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所」
  • darkness [dɑ́ː(r)knəs] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
❖ "For a darkened mind ~ "「なぜなら、暗い心は光の中で生きてはいけないからだ」。"and it must seek ~ "「そして、暗い心は暗い場所を探し求めなくてはならない」。"where it can believe ~ "「その場所とは、暗い心が、そこにいないのにいると信じることが出来る、そういう暗い場所である」。非常に訳しにくいのだが、暗い心は暗闇に紛れて自分の姿を消したいわけである。自分がいるかいないか分からないような暗い場所に、暗い心は姿を隠そうとして、そんな場所を探すのである。では、暗い心とは何か? 神を裏切ったという後ろめたい気持ちのことだと了解しておこう。簡単に言えば、罪の意識である。神を裏切ったという罪悪感が、神の光から自らを遠ざけ、神の目から見えない所に姿を隠そうとするわけである。



God did not allow this to happen. Yet you demanded that it happen, and therefore believed that it was so.
  • allow [əláu] : 「〜を許す、許可する、許容する」
  • happen [hǽpn] : 「起こる、発生する」
❖ "God did not allow ~ "「神はこのことが起きることを許しはしなかった」。神から逃れて闇に隠れることを許さなかった。"Yet you demanded that ~ "「しかし、あなたは、それが起きることを要求し、」"and therefore believed ~ "「したがって、そうなったと信じたのである」。あなたが神から逃れて闇に隠れたと信じているだけで、神の目にはあなたが完全に見えている。あたかも、親に叱られることを恐れて、布団にもぐり込んで隠れた子供のようではないか。親は、その子がどこに隠れたか、ちゃんとお見通しなのだ。



12. To "single out" is to "make alone," and thus make lonely. God did not do this to you.
  • single [síŋgl] : 「〜を選び出す、選抜する」
  • single out : 「〜を選び出す」
  • alone [əlóun] : 「独りで、ただ〜だけで、唯一の、離れて」
  • lonely [lóunli] : 「寂しい、ひとりの、孤独の、孤立した」
❖ "To "single out" is ~ "「『選り抜く』とは『独りにする』ということだ」。"and thus make ~ "「こうして、孤独にしてしまう」。"God did not ~ "「神はあなたに対して、こんなことはしなかった」。神は完全平等性を維持する。特定の神の子だけをとやかくすることはない。暗に、神がイエスを特別視しなかったことを言っているのかもしれないが、そこまで深読みしなくてもいいだろう。



Could he set you apart, knowing that your peace lies in his oneness?
  • set [sét] A B [SVOC] : 「AをBの状態にする」
  • apart [əpɑ́ː(r)t] : 「離れて、離ればなれで、別々に」
  • lie [lái] : 「ある、横たわる」
  • oneness [wʌ́nnis] : 「単一性、統一性、一体感、統一性」
❖ "Could he set you ~ "「あなたの平和が、神との一体性の中にあると知っていながら、神があなたを離しておけるだろうか」。神はあなたを分離させようとしたことはない。分離を望んだのはあなたの方だ。"oneness"「一体性、一なること、単一性」はACIMの重要なキーワードである。実相世界は一元論の世界であるから、神もホーリーも神の子も、究極は一つに収斂する。もちろんそれが、"God is"「神ありき」という言葉で表現される極限である。



He denied you only your request for pain, for suffering is not of his creation. Having given you creation, he could not take it from you.
  • deny [dinái] : 「 〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • deny A B : 「AにBを与えない」
  • request [rikwést] : 「頼むこと、依頼、要求」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、苦痛、骨折り、苦労」
  • suffering [sʌ́f(ə)riŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
  • creation [kriéi∫n] : 「創作物、作品、創造、創作」
  • take from : 「〜から取る」
❖ "He denied you ~ "「神は、あなたの痛みを求める要求にだけは応えなかった」。"for suffering is not ~ "「なぜなら、痛みは神の創造したものではないからだ」。もし、神が苦痛を創造したのなら、"Having given you ~ "「神が創造したものをあなたにあげたのなら、」"he could not take ~ "「神はそれをあなたから取り戻したり出来ないのだ」。しかし、神は苦痛をあなたにあげたりしない。神が創造したものではないからだ。つまり、神はあなたの苦痛と何の関係もない。そもそも、一元論の世界は対極概念を持っていなから、喜びはあっても苦痛はない。神の辞書に苦痛という文字はないのだ。



He could but answer your insane request with a sane answer that would abide with you in your insanity.
  • answer [ǽnsə(r)] : 「〜に答える、〜に応じる」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • sane [séin] : 「正気の、分別ある、良識のある」
  • abide [əbáid] : 「とどまる、居住する」
  • abide with : 「〜と一緒にいる、〜の下にとどまる」
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神病、精神異常」
❖ "He could but answer your ~ "「神は、あなたの狂った要求に対して、あなたの狂気の中にあってあなたと共に存在できる正気な答えをもって、応えることが出来る」。神は神の子に対して、あくまでも寛大である。あなたがどんなに狂った要求をしようとも、神はあなたが正道に戻れるような正気な答えをあなたに与えてくれる。もっとも、神が直接あなたに与えるというのではなく、媒介者であるホーリー・スピリットを通して、ということになるだろうが。



For his answer is the reference point beyond illusions, from which you can look back on them and see them as insane.
  • reference [réf(ə)r(ə)ns] : 「参照、参考、照会」
  • reference point : 「基準点、標点、参考点」
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • look back on : 「回想する、振り返る、追想する」
❖ "For his answer is the reference ~ "「なぜなら、神の答えは、幻想を超えた基準点であり、」つまり、幻想に惑わされない判断基準となる答えを神は与えてくれるわけだ。"from which you can ~ "「その基準点から、あなたは自分の狂った要求を顧みることが出来、それが狂っていると納得できるのである」。



But seek this place and you will find it, for Love is in you and will lead you there.
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する、探求する」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす、捜し出す」
  • lead [líːd] : 「導く、案内する、 〜を導く」
❖ "But seek this ~ "「しかし、その場所を探しなさい」。つまり、神の答えが保存されている場所を探しなさい。"and you will ~ "「そうすれば、見つかるだろう」。"for Love is in you ~ "「なぜなら、(神の)愛はあなたの中にあり、その愛があなたをその場所へ導いてくれるだろうから」。どうやら、神の答えが保存されている場所は暗い秘密の場所ではなく、神の愛で満たされた光の場であるようだ。その神の答えの場所に、神の愛があなたを導いてくれる。
 
 
 

T-13.III.9:1 ~ T-13.III.10:6

9. Save him from his illusions that you may accept the magnitude of your Father in peace and joy.

  • Save [séiv] : 「救う、助ける」
  • save A from B : 「AをBから救う」
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • that : 「so that の so が省略されたもの」
  • so that : 「〜するために、〜するように、その結果、それで」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • magnitude [mǽgnət(j)ùːd] : 「大きいこと、偉大さ、重要性」
  • in peace : 「平和に、平安に、静かに」
  • in joy : 「うれしくて、うれしさのあまり、喜んで」
❖ "Save him from his ~ "「あなたが平和と喜びの内に、あなたの父なる神の偉大さを受け入れることが出来るように、神の子を幻想から救い出しなさい」。ここの"him"は、前文から引き継いだ「神の子」であるが、同胞と考えても、あるいはあなた自身と考えてもいい。すべては同一である。自他一如、不二一元、多即一、である。他者を幻想から救うことで、あなた自身も幻想から救われる。幻想から目覚め、実相の世界を目の当たりにするのである。そこには偉大な神の姿が見え、その偉大さをあなたは同胞の神の子達と共に、平和と喜びに包まれながら、受け入れるのである。



But exempt no one from your love, or you will be hiding a dark place in your mind where the Holy Spirit is not welcome.
  • exempt [igzém(p)t] : 「免除する」
  • exempt A from B : 「AをBから免除する」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
  • dark [dɑ́ː(r)k] : 「暗い、闇の、暗黒の」
  • place [pléis] : 「場所、個所、地域、立場」
  • welcome [wélkəm] : 「うれしい、歓迎される、願ってもない」
❖ "But exempt no one ~ "「しかし、あなたの愛から、神の子を誰一人として除外しないようにしなさい」。"or you will be hiding ~ "「さもなければ、あなたは、ホーリー・スピリットを歓迎しない、あなたの心の暗い箇所を、あなたは隠し続けることになるのだ」。すべての同胞、すべての神の子の心に、例外なくホーリー・スピリットが住んでいる。あなたの実相的な愛はそのホーリー・スピリットに反応するのである。したがって、あなたが誰か一人の神の子に対してでも、愛を抱くことを拒否すれば、それは、その神の子のホーリー・スピリットを拒絶したことになる。実相の愛は絶対的愛であり、全的な(whole)愛である。あなたが一人の神の子でも、そのホーリー・スピリットの愛を拒絶したらな、あなたの愛の完全性は崩れ、あなたの心に暗い陰を落とすことになる。そして、あなたはその暗部を隠し通そうとするだろう。



And thus you will exempt yourself from his healing power, for by not offering total love you will not be healed completely.
  • exempt A from B : 「AをBから免除する」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、ささげる、提供する」
  • total [tóutl] : 「完全な、全くの、全部の、すべての」
  • completely [kəmplíːtli] : 「完全に、十分に、全面的に、全く」
❖ "And thus you will exempt ~ "「そして、そんなことをすれば、あなたは、ホーリー・スピリットのヒーリング・パワーからあなた自身を除外してしまうことになるだろう」。あなたは、ホーリー・スピリットのヒーリング・パワーによって完全に癒されるということがなくなってしまう。"for by not offering total ~ "「なぜなら、完全な愛を差し出すことが出来ないので、」"you will not be ~ "「あなたは完璧にヒーリングされ得ないであろうからだ」。ホーリー・スピリットのヒーリング・パワーはホーリー・スピリットの完全な愛と同じものと考えていい。あなたの愛が完全性に欠けると、つまり、誰かは愛するが誰かは憎むというようでは、ホーリー・スピリットの完全な愛はあなたに反応しなくなってしまうのだ。つまり、調和、共鳴しなくなる。完全な愛は分かち合われなくては拡張しないから、ホーリー・スピリットの愛はあなたと分かち合われることなく、あなたのヒーリングは不調に終わる。結局、あなたがヒーリングされ、癒されるかどうかはあなたの愛次第なのである。



Healing must be as complete as fear, for love cannot enter where there is one spot of fear to mar its welcome.
  • complete [kəmplíːt] : 「完全な、全くの、完結した、完成した」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
  • enter [éntə(r)] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • spot [spɑ́t] : 「場所、地点、点、斑点、染み、汚点」
  • mar [mɑ́ː(r)] : 「損なう、傷つける、台無しにする」
❖ "Healing must be as ~ "「ヒーリングは恐れ同様完全でなくてはならない」。つまり、病気を半分だけ治せる、というようなものではない。完全にヒーリングされるか、全くヒーリングされないかのどちらかである。"for love cannot enter ~ "「なぜなら、愛は、それを歓迎することを汚すような恐れが少しでもある所には入って行けないからだ」。愛は愛を全的に受け入れてくれるところに入っていく。愛を拒み、恐れるところに、愛が入っていけるわけがない。愛が入っていけない所に、ヒーリングのパワーが入っていけないのも同様だ。



10. You who prefer separation to sanity cannot obtain it in your right mind. You were at peace until you asked for special favor.
  • prefer [prifə́ː(r)] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む、〜の方を選ぶ」
  • prefer A to B : 「BよりもAを好む」
  • separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • sanity [sǽnəti] : 「正気、健全さ」
  • obtain [əbtéin] : 「手に入れる、得る、取得する、獲得する」
  • at peace : 「平和に、安らかに、安らかな気持ちで、心穏やかで」
  • ask for : 「〜を求める、〜を要求する、〜を要する」
  • special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • favor [féivə(r)] : 「親切な行為、恩恵、世話、好意、親切。贈り物」
  • special favors : 「特別な好意、特別な引き立て、えこひいき」
❖ "You who prefer separation ~ "「正気さより分離を好むあなたが、あなたの正しき心の中に、その正気さを持つことは出来ないのである」。ここの"it"を"sanity"として訳してみたが、前文からの続きで「ヒーリング」、「愛」として考えてもいいだろう。"You were at peace ~ "「あなたが特別な好意を要求するまでは、あなたは平和の内に存在していた」。さて、"special favor"「特別な好意」、「特別な恩恵」とは何か? "separation"「分離」がキー・ワードになっているだろう。おそらく、神に対して、神からの独立を許してもらおうとすること、つまり、神に対して独立の許可という「特別な好意」「特別な贈り物」を要求すること、ととらえていいのではないだろうか。その結果、あなたは神から分離し、罪の意識を抱くようになったわけである。その代償が平和であって、神からの分離後は、あなたは真の平和の内に生きることが不可能となった。



And God did not give it for the request was alien to him, and you could not ask this of a Father who truly loved his Son.
  • request [rikwést] : 「頼むこと、依頼、要求」
  • alien [éiliən] : 「性質の異なる、異質な、縁もゆかりもない」
  • be alien to : 「〜に無縁の、〜に適合しない」
  • ask A of B : 「BにAをくれと頼む、BにAをさせて欲しいと頼む」
  • truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に、心から、誠実に、正直に」
❖ あなたは神に独立を要求したが、"And God did not give ~ "「神はそれを与えなかった」。"for the request was ~ "「なぜなら、その要求は、神にとって知る由(よし)もないことであったからである」。神の世界は不二一元、一元論の世界であり、何かと何かが分離して存在することが不可能な世界である。したがって、神の辞書に独立という言葉はなかったのである。"and you could not ~ "「そして、あなたは、神の子を本当に愛している父なる神に対して、そんなことを要求することは(本来)出来ないことであった」。が、してしまった。そして、神はあなたに独立を与えなかった。そこで、あなたは、神の世界を捨て、つまり、神の王国から家出して、独立と称する分離を手に入れたわけである。その瞬間、あなたの心の平和は失われたのである。



Therefore you made of him an unloving father, demanding of him what only such a father could give.
  • make A of B : 「BをAのように思う、BをAのように理解する」
  • unloving : 「愛情がない、愛情を表さない」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • demand A of B : 「BにAを要求する」
❖ "Therefore you made of ~ "「そこで、あなたは神を、愛のない父なる神と思うようになった」。"demanding of him ~ "分詞構文、単純接続、「そして、あなたは、そんな父なる神が与えてくれそうなものを要求している」。神に真実や愛や喜びを要求しないで、金、名誉、地位、安楽、等々を要求している。



And the peace of God's Son was shattered, for he no longer understood his Father.
  • shatter [∫ǽtə(r)] : 「〜を打ち砕く、粉々に割る、壊滅させる」
  • no longer : 「もはや〜でない」
  • understood [ʌ̀ndə(r)stúd] : 「understand の過去・過去分詞形」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "And the peace of God's Son ~ "「そして、神の子の平和は打ち砕かれてしまった」。"for he no longer ~ "「なぜなら、神の子はもはや父なる神を理解することが出来なくなったからである」。神を理解できなくなったということは、実相の世界そのものを知覚することができなくなったといことで、実相世界の平和も愛も喜びも慈しみも恵みも、何もかも神の子から離れていったのである。かくして、神の子の平和は打ち砕かれ、この幻想世界で物欲と肉欲と名誉欲と、あらゆる欲にまみれて生きることとなってしまった。



He feared what he had made, but still more did he fear his real Father, having attacked his own glorious equality with him.
  • still more : 「さらに多く、いっそう多く、なおさら、ましてや」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • glorious [glɔ́ːriəs] : 「卓越した、輝かしい、壮大な、壮麗な、美しい、楽しい、愉快な」
  • equality [ikwɑ́ləti] : 「平等、等しいこと、同等」
❖ "He feared what he ~ "「神の子は自ら作ったものを恐れるようになった」。つまり、分離を恐れ、分離によって偽創造した幻想の世界を恐れるようになった。"but still more did ~ "「しかし、さらに、神の子は真の父なる神を恐れるようにさえなった」。神を裏切ったという罪の意識から発して、いずれは神によって罰せられるだろうという、神の報復を恐れるようになった。"having attacked his own ~ "分詞構文、単純接続、「そして、神の子自身の、神と同等な輝かしさを攻撃するのである」。神の子は神から神の属性のすべてを継承した。神の輝かしさも、当然、神から引き継いだ。しかし、二元論の幻想世界に堕落した神の子は、神聖なる自分の本質を攻撃し、自分は虫けらの如きものだと信じ込んでいる。つまり、神の子の"grandeur"「偉大さ」を知ることなく、自己のの"littleness"「卑小さ」ばかりが目に付くようになってしまったのである。
 
 
 

T-13.III.7:1 ~ T-13.III.8:7

7. And yet he is not crucified. Here is both his pain and his healing, for the Holy Spirit's vision is merciful and his remedy is quick.

  • crucify [krúːsifài] : 「〜を磔刑に処す、〜を十字架に張り付けにする」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、苦痛、骨折り」
  • healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
  • merciful [mə́ː(r)sifl] : 「慈悲深い、情け深い、情けのある、寛大な」
  • remedy [rémədi] : 「治療、療法、医療、救済手段、救済方法」
  • quick [kwík] : 「迅速な、速い、即座の」
❖ "And yet he is ~ "「しかし、神の子は磔刑に処せられてはいない」。前文を引き継いでいるので、ここは、神の子はこの幻想世界にはりつけになっているが、まだ十字架上で死んでしまったわけではない、と解釈しておこう。"Here is both ~ "「ここに、神の子の痛みもあり、ヒーリングもある」。はりつけになっている痛みもあるが、まだ死んでいないので救いもある。では、誰が救ってくれるのか? "for the Holy Spirit's vision ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットのヴィジョンは慈悲深く、その治療法は迅速であるから」。ホーリー・スピリットは慈悲深いので、幻想の世界にはりつけになっているあなたを見落としたりしない。きっと、迅速にヒーリングしてくれるだろう。ただし、あなたがその気にならなくてはいけない。



Do not hide suffering from his sight, but bring it gladly to him. Lay before his eternal sanity all your hurt, and let him heal you.
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
  • suffering [sʌ́f(ə)riŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
  • sight [sáit] : 「視界、視覚、視力、見ること」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って行く、〜を連れて行く」
  • gladly [ɡlǽdli] : 「喜んで」
  • Lay [léi] : 「〜を横たえる、〜を置く」
  • eternal [itə́ː(r)nl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の」
  • sanity [sǽnəti] : 「正気、健全さ」
  • hurt [hə́ː(r)t] : 「傷、けが、苦痛、痛み」
❖ "Do not hide suffering ~ "「苦痛をホーリー・スピリットの視界から隠してはいけない」。"but bring it ~ "「それどころか、喜んで苦痛をホーリー・スピリットに持っていきなさい」。"Lay before his eternal ~ "「あなたの苦痛のすべてをホーリー・スピリットの永遠の正気さの前に置きなさい」"and let him ~ "「そして、ホーリー・スピリットにあなたをヒーリングさせなさい」。"his eternal sanity"「ホーリー・スピリットの永遠の正気さ」とはどういうことだろう? 対比としてエゴを考えてみればよい。エゴは変化流動し、一定することない思考システムをもち、それは完全に狂った思考システムである。そんなエゴにヒーリングを託したらどうなるか? あなたの痛みは増すことはあっても治ることはあるまい。これと完全に逆なものを考えると、ホーリー・スピリットは変化せず常に一定の、永遠の思考システムをもち、それは完全に正しく、完全に機能するシステムである。したがって、ホーリー・スピリットにヒーリングを託せば、痛みは必ず消え、ヒーリングは果たされる。



Do not leave any spot of pain hidden from his light, and search your mind carefully for any thoughts you may fear to uncover.
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする、置き忘れる」
  • spot [spɑ́t] : 「場所、地点、点、斑点」
  • hidden [hídn] : 「hide の過去分詞」
  • search [sə́ː(r)t∫] : 「捜す、捜索する、探索する、検索する」
  • carefully [kéə(r)f(ə)li] : 「注意深く、丁寧に、慎重に、入念に」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、見解、思索、熟考」
  • fear [fíə(r)] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • uncover [ʌnkʌ́və(r)] : 「あらわにする、暴く、暴露する」
❖ "Do not leave any spot of ~ "「ホーリー・スピリットの光から隠された痛みの、どんな小さな点も残さないようにしなさい」。"and search your mind carefully ~ "「そして、あなたの心の中の、あなたがあらわにすることを恐れるであろうどんな考えも注意深く探しなさい」。



For he will heal every little thought you have kept to hurt you and cleanse it of its littleness, restoring it to the magnitude of God.
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • hurt [hə́ː(r)t] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
  • cleanse [klénz] : 「〜を洗浄する、清潔にする、駆除する、清める」
  • cleanse of : 「〜を清める」
  • littleness : 「小さいこと」
  • restore [ristɔ́ː(r)] : 「回復させる、修復する、復活させる」
  • magnitude [mǽgnət(j)ùːd] : 「大きいこと、偉大さ、重要さ、重要性 」
❖ "For he will heal every ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットは、あなたがあなたを痛め続けたどんな小さな思いをもヒールしてくれるし、」"and cleanse it of ~ "「(そんな思いを排除して)あなたの卑小さを清め、」"restoring it to ~ "分詞構文、単純接続、「神の偉大さを取り戻してくれるからだ」。あなたは罪を犯し、神に罰せられる卑小な存在ではなく、無辜なる神の子として、神と同等に偉大なのだと、ホーリー・スピリットはあなたに教えてくれるだろう。



8. Beneath all the grandiosity you hold so dear is your real call for help. For you call for love to your Father as your Father calls you to himself.
  • Beneath [biníːθ] : 「〜の真下に、〜の支配下に」
  • grandiosity [ɡræ̀ndiɑ́ːsəti] : 「壮大、尊大」
  • dear [díə(r)] : 「 親愛な、いとしい、かわいい、大切な 」
  • call for : 「〜を要求する、〜を呼び求める」
❖ "Beneath all the grandiosity ~ "「あなたが大切に保持しているすべての尊大さの下には、助けを求めるあなたの真の呼び声がある」。つまり、あなたは、自分が卑小であるから、それを隠すために尊大に振る舞っているが、本音は助けを求めている、ということ。"For you call for love ~ "「なぜなら、あなたの父なる神が、神自身のところへ来るようあなたを呼んでいるように、あなたは、あなたの父なる神に愛を求めているからだ」。神があなたを必要とするように、あなたも神の愛が必要なのである。



In that place which you have hidden, you will only to unite with the Father, in loving remembrance of him.
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所」
  • hidden [hídn] : 「hide の過去分詞」
  • unite [junáit] : 「結合する、一体となる、一体化する」
  • unite with : 「〜と一緒になる、〜と結合する」
  • remembrance [rimémbr(ə)ns] : 「記憶、思い出、回想」
  • in remembrance of : 「〜の記念に、〜をしのんで」
❖ "In that place which ~ "「あなたが隠し通してきた場所で、」"you will only to ~ "「あなたは、父なる神とただただ結ばれたいと意思するのである」。"in loving remembrance ~ "「神の愛すべき思い出に浸(ひた)りながら」。あなたが隠してきた場所とは、神の記憶を保存していた場所。その場所で、神を思い出して、神と再び結ばれたいと願うのである。その願いがないことには、神への回帰は始まらない。



You will find this place of truth as you see it in your brothers, for though they may deceive themselves, like you they long for the grandeur that is in them.
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
  • long for : 「〜が恋しい、〜を慕う、渇望する、切望する」
  • grandeur [grǽn(d)ʒə(r)] : 「 偉大さ、威厳、壮大さ、雄大」
❖ "You will find this place ~ "「あなたは、あなたがあなたの同胞の中にそれを見出すとき、真実のこの場所を見つけ出すことだろう」。同胞の心の中に神の記憶を保存した場所を見出すとき、同時に、あなたの心の中にその真実なる場所を見出す。なぜなら、自他一如、すなわちあなたとあなたの同胞は一体であるからだ。"for though they may ~ "「なぜなら、たとえ同胞達が彼ら自身を欺いたとしても、」"like you they long for ~ "「あなたと同じように、彼らは彼らの中にある偉大さを希求しているからだ」。彼らの心の中には神の記憶が眠り、同時に自分が神の子として偉大であった記憶も眠っているのである。その偉大さを思いだし、希求する。



And perceiving it you will welcome it, and it will be yours. For grandeur is the right of God's Son, and no illusions can satisfy him or save him from what he is.
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • welcome [wélkəm] : 「温かく迎え入れる、歓迎する、喜んで受け入れる」
  • right [ráit] : 「正しい要求、正当な要求、当然の権利」
  • satisfy [sǽtisfài] : 「〜を満足させる、納得させる」
  • save [séiv] : 「救う、助ける」
❖ "And perceiving it ~ "「そして、(同胞の中に)偉大さを知覚したとき、あなたはそれを歓迎するだろう」。"and it will be ~ "「そして、偉大さはあなたのものとなるだろう」。"For grandeur is ~ "「なぜなら、偉大さとは神の子の権利であるからだ」。"and no illusions can ~ "「そして、どんな幻想も神の子を満たすことはできないし、」"or save him from ~ "「神の子を現状から救い出すことは出来ないのである」。"what he is"、これは「彼であるところのもの」「本当の彼自身」といったニュアンスで、ここでは彼の「現状」と訳してみた。



Only his love is real, and he will be content only with his reality.
  • real [ríː(ə)l] : 「実在する、現実の、実際の、正しい、本物の」
  • content [kɑ́ntent] : 「満足している」
  • be content with : 「〜に満足している」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
❖ "Only his love ~ "「神の子の愛だけが実在である」。神の子の愛は幻想ではない。"and he will be content ~ "「そして、神の子は実相にのみ満足するであろう」。神の子が開眼すれば、この世界が幻想であることを知り、愛こそが実在だとわかる。その愛が存在する真実の実在世界、実相こそが、神の子の心を満たし得る唯一の世界である。
 
 
 

Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター