9. Save him from his illusions that you may accept the magnitude of your Father in peace and joy.
- Save [séiv] : 「救う、助ける」
- save A from B : 「AをBから救う」
- illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
- that : 「so that の so が省略されたもの」
- so that : 「〜するために、〜するように、その結果、それで」
- accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
- magnitude [mǽgnət(j)ùːd] : 「大きいこと、偉大さ、重要性」
- in peace : 「平和に、平安に、静かに」
- in joy : 「うれしくて、うれしさのあまり、喜んで」
❖ "Save him from his ~ "「あなたが平和と喜びの内に、あなたの父なる神の偉大さを受け入れることが出来るように、神の子を幻想から救い出しなさい」。ここの"him"は、前文から引き継いだ「神の子」であるが、同胞と考えても、あるいはあなた自身と考えてもいい。すべては同一である。自他一如、不二一元、多即一、である。他者を幻想から救うことで、あなた自身も幻想から救われる。幻想から目覚め、実相の世界を目の当たりにするのである。そこには偉大な神の姿が見え、その偉大さをあなたは同胞の神の子達と共に、平和と喜びに包まれながら、受け入れるのである。
But exempt no one from your love, or you will be hiding a dark place in your mind where the Holy Spirit is not welcome. - exempt [igzém(p)t] : 「免除する」
- exempt A from B : 「AをBから免除する」
- hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
- dark [dɑ́ː(r)k] : 「暗い、闇の、暗黒の」
- place [pléis] : 「場所、個所、地域、立場」
- welcome [wélkəm] : 「うれしい、歓迎される、願ってもない」
❖ "But exempt no one ~ "「しかし、あなたの愛から、神の子を誰一人として除外しないようにしなさい」。"or you will be hiding ~ "「さもなければ、あなたは、ホーリー・スピリットを歓迎しない、あなたの心の暗い箇所を、あなたは隠し続けることになるのだ」。すべての同胞、すべての神の子の心に、例外なくホーリー・スピリットが住んでいる。あなたの実相的な愛はそのホーリー・スピリットに反応するのである。したがって、あなたが誰か一人の神の子に対してでも、愛を抱くことを拒否すれば、それは、その神の子のホーリー・スピリットを拒絶したことになる。実相の愛は絶対的愛であり、全的な(whole)愛である。あなたが一人の神の子でも、そのホーリー・スピリットの愛を拒絶したらな、あなたの愛の完全性は崩れ、あなたの心に暗い陰を落とすことになる。そして、あなたはその暗部を隠し通そうとするだろう。
And thus you will exempt yourself from his healing power, for by not offering total love you will not be healed completely. - exempt A from B : 「AをBから免除する」
- offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、ささげる、提供する」
- total [tóutl] : 「完全な、全くの、全部の、すべての」
- completely [kəmplíːtli] : 「完全に、十分に、全面的に、全く」
❖ "And thus you will exempt ~ "「そして、そんなことをすれば、あなたは、ホーリー・スピリットのヒーリング・パワーからあなた自身を除外してしまうことになるだろう」。あなたは、ホーリー・スピリットのヒーリング・パワーによって完全に癒されるということがなくなってしまう。"for by not offering total ~ "「なぜなら、完全な愛を差し出すことが出来ないので、」"you will not be ~ "「あなたは完璧にヒーリングされ得ないであろうからだ」。ホーリー・スピリットのヒーリング・パワーはホーリー・スピリットの完全な愛と同じものと考えていい。あなたの愛が完全性に欠けると、つまり、誰かは愛するが誰かは憎むというようでは、ホーリー・スピリットの完全な愛はあなたに反応しなくなってしまうのだ。つまり、調和、共鳴しなくなる。完全な愛は分かち合われなくては拡張しないから、ホーリー・スピリットの愛はあなたと分かち合われることなく、あなたのヒーリングは不調に終わる。結局、あなたがヒーリングされ、癒されるかどうかはあなたの愛次第なのである。
Healing must be as complete as fear, for love cannot enter where there is one spot of fear to mar its welcome.- complete [kəmplíːt] : 「完全な、全くの、完結した、完成した」
- fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
- enter [éntə(r)] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
- spot [spɑ́t] : 「場所、地点、点、斑点、染み、汚点」
- mar [mɑ́ː(r)] : 「損なう、傷つける、台無しにする」
❖ "Healing must be as ~ "「ヒーリングは恐れ同様完全でなくてはならない」。つまり、病気を半分だけ治せる、というようなものではない。完全にヒーリングされるか、全くヒーリングされないかのどちらかである。"for love cannot enter ~ "「なぜなら、愛は、それを歓迎することを汚すような恐れが少しでもある所には入って行けないからだ」。愛は愛を全的に受け入れてくれるところに入っていく。愛を拒み、恐れるところに、愛が入っていけるわけがない。愛が入っていけない所に、ヒーリングのパワーが入っていけないのも同様だ。
10. You who prefer separation to sanity cannot obtain it in your right mind. You were at peace until you asked for special favor. - prefer [prifə́ː(r)] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む、〜の方を選ぶ」
- prefer A to B : 「BよりもAを好む」
- separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
- sanity [sǽnəti] : 「正気、健全さ」
- obtain [əbtéin] : 「手に入れる、得る、取得する、獲得する」
- at peace : 「平和に、安らかに、安らかな気持ちで、心穏やかで」
- ask for : 「〜を求める、〜を要求する、〜を要する」
- special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
- favor [féivə(r)] : 「親切な行為、恩恵、世話、好意、親切。贈り物」
- special favors : 「特別な好意、特別な引き立て、えこひいき」
❖ "You who prefer separation ~ "「正気さより分離を好むあなたが、あなたの正しき心の中に、その正気さを持つことは出来ないのである」。ここの"it"を"sanity"として訳してみたが、前文からの続きで「ヒーリング」、「愛」として考えてもいいだろう。"You were at peace ~ "「あなたが特別な好意を要求するまでは、あなたは平和の内に存在していた」。さて、"special favor"「特別な好意」、「特別な恩恵」とは何か? "separation"「分離」がキー・ワードになっているだろう。おそらく、神に対して、神からの独立を許してもらおうとすること、つまり、神に対して独立の許可という「特別な好意」「特別な贈り物」を要求すること、ととらえていいのではないだろうか。その結果、あなたは神から分離し、罪の意識を抱くようになったわけである。その代償が平和であって、神からの分離後は、あなたは真の平和の内に生きることが不可能となった。
And God did not give it for the request was alien to him, and you could not ask this of a Father who truly loved his Son. - request [rikwést] : 「頼むこと、依頼、要求」
- alien [éiliən] : 「性質の異なる、異質な、縁もゆかりもない」
- be alien to : 「〜に無縁の、〜に適合しない」
- ask A of B : 「BにAをくれと頼む、BにAをさせて欲しいと頼む」
- truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に、心から、誠実に、正直に」
❖ あなたは神に独立を要求したが、"And God did not give ~ "「神はそれを与えなかった」。"for the request was ~ "「なぜなら、その要求は、神にとって知る由(よし)もないことであったからである」。神の世界は不二一元、一元論の世界であり、何かと何かが分離して存在することが不可能な世界である。したがって、神の辞書に独立という言葉はなかったのである。"and you could not ~ "「そして、あなたは、神の子を本当に愛している父なる神に対して、そんなことを要求することは(本来)出来ないことであった」。が、してしまった。そして、神はあなたに独立を与えなかった。そこで、あなたは、神の世界を捨て、つまり、神の王国から家出して、独立と称する分離を手に入れたわけである。その瞬間、あなたの心の平和は失われたのである。
Therefore you made of him an unloving father, demanding of him what only such a father could give. - make A of B : 「BをAのように思う、BをAのように理解する」
- unloving : 「愛情がない、愛情を表さない」
- demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
- demand A of B : 「BにAを要求する」
❖ "Therefore you made of ~ "「そこで、あなたは神を、愛のない父なる神と思うようになった」。"demanding of him ~ "分詞構文、単純接続、「そして、あなたは、そんな父なる神が与えてくれそうなものを要求している」。神に真実や愛や喜びを要求しないで、金、名誉、地位、安楽、等々を要求している。
And the peace of God's Son was shattered, for he no longer understood his Father. - shatter [∫ǽtə(r)] : 「〜を打ち砕く、粉々に割る、壊滅させる」
- no longer : 「もはや〜でない」
- understood [ʌ̀ndə(r)stúd] : 「understand の過去・過去分詞形」
- understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "And the peace of God's Son ~ "「そして、神の子の平和は打ち砕かれてしまった」。"for he no longer ~ "「なぜなら、神の子はもはや父なる神を理解することが出来なくなったからである」。神を理解できなくなったということは、実相の世界そのものを知覚することができなくなったといことで、実相世界の平和も愛も喜びも慈しみも恵みも、何もかも神の子から離れていったのである。かくして、神の子の平和は打ち砕かれ、この幻想世界で物欲と肉欲と名誉欲と、あらゆる欲にまみれて生きることとなってしまった。
He feared what he had made, but still more did he fear his real Father, having attacked his own glorious equality with him.- still more : 「さらに多く、いっそう多く、なおさら、ましてや」
- attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
- glorious [glɔ́ːriəs] : 「卓越した、輝かしい、壮大な、壮麗な、美しい、楽しい、愉快な」
- equality [ikwɑ́ləti] : 「平等、等しいこと、同等」
❖ "He feared what he ~ "「神の子は自ら作ったものを恐れるようになった」。つまり、分離を恐れ、分離によって偽創造した幻想の世界を恐れるようになった。"but still more did ~ "「しかし、さらに、神の子は真の父なる神を恐れるようにさえなった」。神を裏切ったという罪の意識から発して、いずれは神によって罰せられるだろうという、神の報復を恐れるようになった。"having attacked his own ~ "分詞構文、単純接続、「そして、神の子自身の、神と同等な輝かしさを攻撃するのである」。神の子は神から神の属性のすべてを継承した。神の輝かしさも、当然、神から引き継いだ。しかし、二元論の幻想世界に堕落した神の子は、神聖なる自分の本質を攻撃し、自分は虫けらの如きものだと信じ込んでいる。つまり、神の子の"grandeur"「偉大さ」を知ることなく、自己のの"littleness"「卑小さ」ばかりが目に付くようになってしまったのである。