10. You have but two emotions, and one you made and one was given you.
- emotion [imóu∫n] : 「感情、情緒、感動」
❖ "You have but ~ "「あなたは二つの感情をもつだけである」。もちろん、恐れと愛である。"and one you made ~ "「一つはあなたが作ったものであり、一つはあなたに与えられたものである」。実相の世界は一元論の世界であり、対極概念の存在しない世界である。愛はあるが、その対極の憎悪や嫌悪や恐れは存在しない。したがって、あなたは実相世界において愛を継承したが、幻想の世界で恐れを作り上げたわけである。
Each is a way of seeing, and different worlds arise from their different sights. - Each [íːt∫] : 「各々、それぞれ、めいめい」
- different [díf(ə)r(ə)nt] : 「相違する、違っている、異なる」
- arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる、発生する」
- arise from : 「〜から生じる、〜から発生する」
- sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
❖ "Each is a way ~ "「各々、ものの見方である」。愛も恐れも、ものの見方次第である。"and different worlds ~ "「(各々が見た)違う光景から、違う世界が立ち上がるのである」。たとえば、神を愛している立場からものを見れば、愛に満ちた世界が立ち上がり、神を恐れる立場からものを見れば、恐ろしい世界が立ち上がるわけである。
See through the vision that is given you, for through Christ's vision he beholds himself. And seeing what he is, he knows his Father. - behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
❖ "See through the vision ~ "「あなたに与えられたヴィジョンを通して見なさい」。簡単に言えば正しく見なさいということになるが、幻想世界の事象に惑わされることなく、かつて実相の世界にあったときに備わったヴィジョン、すなわち、キリストのヴィジョンで実相の真実を見なさい、ということ。"for through Christ's ~ "「なぜなら、キリストのヴィジョンを通して、キリストは彼自身を見つめているからだ」。キリストは幻想に惑わされることなく、自分が実相世界の実在であると、自分自身を見ている。したがって、自分の正しさ、真実に揺らぐことはない。そのキリストは、あなたの心の最も正しい部分として、あなたの中に住んでいる。ならば、あなたはキリストのヴィジョンを通して世界を見ることが出来るのであり、そうするべきではないのか。"And seeing what ~ "分詞構文、理由、「そして、キリストは本当の自分自身を見ているので、」"he knows ~ "「キリストは父なる神を知るのである」。キリストは自分が実相世界の実在であると自分自身を見ているし、それはとりもなおさず、キリストが神の創造した神の子であること、それが本当の自分自身であると認識しているので、その父と子の絆(きずな)において、神の心を知るのである。つまり、父なる神の愛、神が神の子を愛していることを知るのだ。
Beyond your darkest dreams he sees God's guiltless Son within you, shining in perfect radiance that is undimmed by your dreams. - Beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の向こうに、〜を越えて」
- dark [dɑ́ː(r)k] : 「暗い、闇の、暗黒の」
- guiltless [ɡíltlis] : 「罪のない、潔白な、無辜(むこ)の」
- shine [∫áin] : 「輝く、光る」
- perfect [pə́ː(r)fikt] : 「完ぺきな、完全な」
- radiance [réidiəns(i)] : 「輝き、光輝、放射輝度」
- undimmed : 「薄暗くされていない」
❖ "Beyond your darkest ~ "「あなたの見る最も暗い夢を越えて、あなたの中に、キリストは無辜(むこ)なる神の子を見る」。あなたはこの最も暗い夢である幻想の世界で、神を裏切ったという罪の意識を感じているが、キリストはその暗い夢の向こうに、真実は、あなたは無辜であると見抜いているのである。"shining in perfect ~ "分詞構文、単純接続、「そして、無辜なる神の子は、あなたの夢によって衰えることのない完璧な光彩の中で輝いている」。実相世界の光の中で、無辜なる神の子がその光を浴びて輝いている、ということ。
And this you will see as you look with him, for his vision is his gift of love to you, given him of the Father for you.- gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
❖ "And this you will ~ "「そして、あなたがキリストと共に見るにしたがい、あなたはこの光景を見るようになるであろう」。あなたがキリストのヴィジョンを通して世界を見るようになると、あなたの心の中に無辜なる神の子の存在が見えるようになる。"for his vision is his gift ~ "「なぜなら、キリストのヴィジョンは、あなたへの愛の贈り物だからである」。つまり、キリストはあなたを心から愛しているので、あなたが無辜なる神の子であることを見て欲しいのである。"given him of ~ "分詞構文、先頭に"being"を補う、「そして、その贈り物は、あなたのために神からキリストに与えられたものである」。つまり、神はキリストに贈り物を託したのだ。あなたが無辜なる神の子であることに目覚めて欲しいと、神は愛をもってその願いをキリストに託し、キリストはキリストで、愛をもってあなたにキリストのヴィジョンを贈り物として与えてくれるわけだ。
11. The Holy Spirit is the light in which Christ stands revealed. And all who would behold him can see him, for they have asked for light. - reveal [rivíːl] : 「明らかにする、暴露する」
- stand A B [SVC] : 「Aの状態がBである、AがBの状態で立っている」
- would [wúd] : 「〜したいと思う」
- behold [bihóuld] : 「見る、眺める、見守る、注視する」
- ask for : 「〜を求める、〜を要求する、〜を要する」
❖ "The Holy Spirit is ~ "「ホーリー・スピリットは光であり、その光の中にキリストが姿を現して立つ」。ACIMでは、ホーリー・スピリットは目に見えないことになっている。具象化され得ない存在であるからだろう。その代わり、ホーリー・スピリットに代わって、キリストがホーリー・スピリットの顕現として我々の目の前に姿を現してくれる。言わば、キリストはホーリー・スピリットのスポークスマンのようなものだ。"And all who would ~ "「キリストを見たいと望む者は誰でもキリストを見ることが出来る」。"for they have ~ "「なぜなら、彼らは光を求めたのであるから」。心に光を求めたのだから、ホーリー・スピリットを求めたことと同じであり、ホーリー・スピリットはその望みに応えて、キリストをあなたの前に顕現させるのである。
Nor will they see him alone, for he is no more alone than they are. Because they saw the Son, they have risen in him to the Father. - alone [əlóun] : 「独りで、単に」
- no more A than B : 「AでないのはBでないのと同じ」
- risen [rízn] : 「rise の過去分詞」
- rise [ráiz] : 「昇る、上がる」
❖ "Nor will they see ~ "「彼らはキリストだけを単独に見るのではない」。彼らとは、光を求め、キリストを見る者たち。"for he is no more ~ "「なぜなら、彼らがもはや独りではないように、キリストも独りではないからだ」。光を求めた者たちとキリストが重なって合って、一つになっていく。むしろ、キリストに同化していくと言った方がいいか? "Because they saw ~ "「彼らは(真の)神の子を見たのであるから、」"they have risen ~ "「キリストの中で、彼らは父なる神の元へと上昇したのである」。つまり、彼らは、光を求め、キリストの姿を見ることで、同時に、自分が本当は神の子であることを目撃するのである。キリストの中で、ということは、キリストと同化することで、真実の自分に気付き、父なる神の住まう天の王国へ上昇していくのだ。仏教的な言い方をすれば、涅槃(ねはん)、ニルヴァーナを獲得するとなるか。
And all this will they understand, because they looked within and saw beyond the darkness the Christ in them, and recognized him. - within [wiðín] : 「内部で、内側は」
- recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる、〜を認識する、〜を認証する」
❖ "And all this will ~ "「彼らは、このことすべてを理解するであろう」。"because they looked ~ "「なぜなら、彼らは内側を見、闇を越えて、彼らの中に住まうキリストを見たのであり、キリストを受け入れたのであるから」彼らは父なる神の元へ回帰しつつあることを理解するのである。
In the sanity of his vision they looked upon themselves with love, seeing themselves as the Holy Spirit sees them. - sanity [sǽnəti] : 「正気、健全さ」
- look upon : 「〜を見る」
❖ "In the sanity of ~ "「キリストのヴィジョンの正気さの中で、」つまり、キリストの正しい知覚を通して、"they looked upon ~ "「彼らは、愛をもって彼ら自身を見つめたのであり、」"seeing themselves as ~ "「ホーリー・スピリットが彼らを見るように、彼らも彼ら自身を見るのである」。ホーリー・スピリットは彼らを、完全に無辜(むこ)なる神の子として見る。同様に、彼らも自分自身を完全に無辜なる神の子として受け入れるのである。
And with this vision of the truth in them came all the beauty of the world to shine upon them.- come to do : 「〜するようになる、結果として〜になる」
- beauty [bjúːti] : 「美、美しさ」
- shine [∫áin] : 「輝く、光る」
❖ "And with this vision ~ "「そして、彼らの中の真実のヴィジョンとともに、」つまり、彼らが彼ら自身の真実の姿を目撃するとともに、"came all the beauty ~ "「世界のすべての美しさが、彼らの上で輝くようになるのである」。愛、喜び、美、慈しみ、平和、等々の真実が輝きを放って彼らの周りを飾る。