●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-13.IV.7:12 ~ T-13.IV.8:4

7. It is evident that the Holy Spirit's perception of time is the exact opposite of the ego's.

  • evident [évid(ə)nt] : 「明白な、明らかな、はっきりそれと分かる、歴然とした」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、知見、見識、感じ方」
  • exact [igzǽkt] : 「正確な、的確な、精密な、厳しい」
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「反対側の、正反対の、逆の」
❖ "It is evident that ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文、「ホーリー・スピリットの時間に対する知覚のし方は、エゴのそれとはまさに正反対である」。


The reason is equally clear, for they perceive the goal of time as diametrically opposed.
  • reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠」
  • equally [íːkw(ə)li] : 「等しく、同様に、一様に、均一に 」
  • clear [klíə(r)] : 「らかな、明りょうな、はっきりした」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
  • diametrically [dàiəmétrikəli] : 「正反対に、直径方向に」
  • opposed [əpóuzd]: 「反対した、対抗した、対立した、向かい合った」
❖ "The reason is equally ~ "「その理由は、等しく明快である」。"for they perceive ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットとエゴは、時間の目的を正反対なものとして知覚しているからだ」。たとえば、エゴにとって過去は、あなたが罪を犯したことを証言する証人であり、ホーリー・スピリットにとって過去は、罪など存在しなかったことを証言する証人である。エゴにとって現在は、過去の罪に対する未来の罰のための橋渡しに過ぎないが、ホーリー・スピリットにとっての現在は、贖罪のための絶好のチャンスと見る。



The Holy Spirit interprets time's purpose as rendering the need for time unnecessary.
  • interpret [intə́ː(r)prət] : 「解釈する、解明する、説明する」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向」
  • render [réndə(r)] A B [SVOC] : 「AをBの状態にする」
  • unnecessary [ʌnnésəsèri] : 「不必要な、無用な、不要な」
❖ "The Holy Spirit interprets ~ "「ホーリー・スピリットは、時間の目的を、時間の必要性を不必要なものに変えることと解釈する」。本来、時間は幻想世界の錯覚に過ぎない。それを神の子に知らしめるのがホーリー・スピリットの使命の一つである。時間は錯覚であり、実相の世界は非時間、永遠無窮の世界であることを教えるのである。



He regards the function of time as temporary, serving only His teaching function, which is temporary by definition.
  • regard [rigɑ́ː(r)d] : 「 〜を〜と見なす、考慮する、考える」
  • function [fʌ́ŋ(k)∫n] : 「機能、作用、働き、効用」
  • temporary [témp(ə)rèri] : 「一時の、一時的な、仮の、当座の」
  • serve [sə́ː(r)v] : 「〜に仕える、〜のために働く、〜に役立つ」
  • definition [dèfəní∫n] : 「 定義、明確にすること、鮮明度、記述」
  • by definition : 「定義により、明らかに、本質的に、当然」
❖ "He regards the function ~ "「ホーリー・スピリットは、時間の機能を一時的なものと見なしている」。時間は錯覚であるが、利用できるとすれば、それは一時的なものである。"serving only His teaching ~ "分詞構文、理由、「時間は単にホーリー・スピリットの教えるという機能をサポートするだけなので、」"which is temporary ~ "「そして、それは、定義通り、一時的なものである」。教えるということは、教えてしまえばそこで終わるものなので、その定義通りに、教えるための時間も一時的なのである。ホーリー・スピリットが何を教えるのかというと、贖罪であり、救済であり、神への回帰である。したがって、あなたが神の子として神へ回帰できたとき、ホーリー・スピリットの教えは終了する。同時に、神の子にとって、時間は消滅し、幻想の世界も消滅し、当然エゴも消滅し、永遠の実相世界が展開するのである。



His emphasis is therefore on the only aspect of time that can extend to the infinite, for now is the closest approximation of eternity that this world offers.
  • emphasis [émfəsis] : 「強調、重要性」
  • aspect [ǽspekt] : 「面、側、側面、局面、状況」
  • extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
  • infinite [ínf(ə)nət] : 「無限の、計り知れない、果てしない、莫大な」
  • close [klóus] : 「近い、接近した、近接した、緊密な」
  • approximation [əprɑ̀ksiméi∫n] : 「近づくこと、接近、近似」
  • eternity [itə́ː(r)nəti] : 「永遠、無限」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、ささげる、提供する」
❖ "His emphasis is therefore ~ "「したがって、ホーリー・スピリットの強調することは、無限なるものに拡張する可能性のある時間の側面に限られる」。錯覚の時間の無限性に関する側面が、ホーリー・スピリットの着眼する重要点である。"for now is the closest ~ "「なぜなら、今という時は、この世界が差し出すものの中で最も永遠性に近いものであるからだ」。時間の存在しない実相では、すべてが一瞬にして起き、その一瞬が永遠に続く。あたかも、幻想世界の現在という時が、永遠に続くかのようなものだが、本当はまったく異なるのものである。しかし、ホーリー・スピリットはその類似性を利用して、今という瞬間に永遠を感じられるような教えを与えようとするのである。たとえば、無条件に人を赦せという教えは、人を無条件に赦した瞬間、赦したことでその人との関わりに関する過去も未来もすべて手放して、今現在の自分の心の正しさに喜びを見出し、その喜びが永遠に持続することを確認できるということである。つまり、今この瞬間に赦せ、この瞬間に愛せ、この瞬間に喜べ、等々、そうすれば、この瞬間が永遠性を帯びて輝き出すということである。



It is in the reality of "now," without past or future, that the beginning of the appreciation of eternity lies.
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • beginning [bigíniŋ] : 「初め、開始、始まり、発端、起源」
  • appreciation [əprìː∫iéi∫n] : 「正しく評価、正しい認識、識別、感知」
  • lie [lái] : 「ある、横たわる、寝る」
❖ "It is in the reality ~ "「永遠性は、過去でもなく未来でもなく、『今』という現実の中に存在する」。ここの"It"を"eternity"「永遠性」と解釈した。"that the beginning of ~ "ここの"that"は"so that"「その結果」のこと、「その結果、永遠性の正しい評価の始まりは、(現在の中に)存在する」。つまり、過去でもなく未来でもなく、現在に立って、その視点から永遠性を正しく評価することを始めなくてはならない、ということ。たとえば、過去に永遠性を持ち込むと、過去の罪が永遠に存在し、罪の烙印は永遠に消えないという発想が生まれるだろうし、未来に永遠性を持ち込めば、罪の報いの罰が永遠に続いて、地獄の業火を永遠に浴びるという発想が生まれるだろう。しかし、現在に永遠性を持ち込めば、この瞬間に罪を消滅させ、永遠の命に回帰できるという発想が生まれるだろう。どの時点に永遠性を持ち込むのが正当なのか、答えは簡単である。



For only "now" is here, and only "now" presents the opportunities for the holy encounters in which salvation can be found.
  • present [préznt] : 「〜を与える、渡す、差し出す、提出する」
  • opportunity [ɑ̀pə(r)t(j)úːnəti] : 「機会、適時、チャンス、好機」
  • encounter [enkáuntə(r)] : 「出会い、巡り合い、遭遇、接触」
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • found [fáund] : 「find の過去・過去分詞形」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
❖ "For only "now" is here ~ "「なぜならば、『今』だけがここにあり、『今』だけが聖なる出会いの機会を与えてくれるからだ」。"in which salvation ~ "ここは関係代名詞の制限用法だが、非制限用法として訳してみる、「そして、その聖なる出会いの中に、救いが見出せるのである」。今、この場所で、つまり、今を生きるあなた自身の中に、ホーリー・スピリットが住んでおり、あなたがそれに気がつきさえすればホーリー・スピリットとの聖なる出会いは達成されるし、あるいは、あなたの心の正しい部分であるキリストとの聖なる出会いも可能となる。そのどちらも、今、あなたの心の中で可能なのだ。そして、ホーリー・スピリットやキリストとの聖なる出会いによって、あなたは自分が無辜(むこ)であることを学び、過去の罪の意識から救われ、神への回帰という未来が開かれてくるわけである。



8. The ego, on the other hand, regards the function of time as one of extending itself in place of eternity, for like the Holy Spirit, the ego interprets the goal of time as its own.
  • on the other hand : 「他方では、一方では」
  • regard [rigɑ́ː(r)d] : 「〜を〜と見なす、考慮する、考える」
  • function [fʌ́ŋ(k)∫n] : 「機能、作用、働き、効用」
  • extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
  • in place [pléis] of : 「〜の代わりに、〜の代理で」
  • interpret [intə́ː(r)prət] : 「解釈する、解明する、説明する」
❖ "The ego, on the other ~ "「一方エゴは、時間のもつ機能を、永遠性にとって換えて、自分自身を拡大するものと解釈する」。エゴは時間を利用して、自己拡大を図るわけだ。"for like the Holy Spirit ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリット同様、エゴも、時間の目的を自分自身に都合のいいように解釈するからである」。時間は幻想であり錯覚であるから、いかようにも解釈でき、どのようにも利用できる。時間を使って人を生かすことも、人を殺すことも出来るのである。



The continuity of past and future, under its direction, is the only purpose the ego perceives in time, and it closes over the present so that no gap in its own continuity can occur.
  • continuity [kɑ̀nt(ə)n(j)úːəti] : 「連続性、継続性、ひと続き」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • future [fjúːt∫ə(r)] : 「未来、将来」
  • direction [dərék∫n] : 「方角、方向、道順、方位、指示、指図、命令」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • close over : 「〜を囲んで襲い掛かる、覆い隠す、閉じこめる」
  • present [préznt] : 「今、現在」
  • so that : 「〜できるように、その結果」
  • gap [gǽp] : 「割れ目、すき間、穴、途切れ、隔たり、ギャップ」
  • occur [əkə́ː(r)] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
❖ "The continuity of past ~ "「エゴの命令下にあって、過去から未来の継続性は、時間の中にエゴが知覚する唯一の目的であり、」つまり、エゴは現在を除外して、過去から未来への継続性を何が何でも維持しようとするのである。"and it closes over the present ~ "「そして、エゴは現在という時を覆い隠すのである」。"so that no gap in its own ~ "「エゴ自身の継続性にいかなるギャップも起きないようにするために、」現在という時を覆い隠すのである。非常に難解であるが、解釈しよう。まず、エゴが執着しているのはあなたの過去の罪である。神を裏切って神から分離したことで、あなたは罪の意識を隠し持つこととなった。その罪の意識からあなたが解放されることをエゴは恐れる。なぜなら、罪の意識から解放されたなら、神との分離が解消され、エゴは消滅するからである。それを避けるために、エゴは未来に執着する。あなたの罪ゆえに、神は未来においてあなたを罰するだろうという恐れを吹き込むのである。あなたはますます神を恐れ、神からの分離は維持されるとうわけである。そこで、エゴの時間に関する目的は、この過去と未来を直接連結、継続させることとなる。もし、この連結に現在という時間が介入すれば、あなたは贖罪によって罪と罰から解放される可能性があるので、エゴは現在という時間を排除したいのである。そこで、エゴは、過去と未来の間にギャップが生じないように、現在という時間を覆い隠そうとするのである。



Its continuity, then, would keep you in time, while the Holy Spirit would release you from it.
  • keep [kíːp] : 「〜を引き留める、〜を持ち続ける、保持する」
  • while [(h)wáil] : 「しかし一方」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ、離す」
❖ "Its continuity, then, would ~ "「そうして、(過去から未来への)継続性が、あなたを時間の中に留め置くこととなるだろう」。継続性、すなわち時間の中に、あなたは縛りつけられる。"while the Holy Spirit would ~ "「一方、ホーリー・スピリットはあなたを、時間(の縛り)から解放してくれるであろう」。



It is his interpretation of the means of salvation that you must learn to accept, if you would share his goal of salvation for you.
  • interpretation [intə̀ː(r)prətéi∫n] : 「説明、解説、解釈」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を知る、分かる、悟る、学ぶ」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
❖ ここは後ろから訳す、"if you would share ~ "「もしあなたが、あなたの救済のためにホーリー・スピリットが考えている目的を分かち合いたいと望むならば、」簡単に言えば、あなたが救われるために、ホーリー・スピリットと協力していこうとするなら、ということ。"It is his interpretation ~ "「時間からの解放こそが、あなたが受け入れることを学ばねばならない救済の方法に対するホーリー・スピリットの解釈である」。まわりくどい言い方をしているが、要するに、救済の方法にはいろいろあるかも知れないが、ホーリー・スピリットの解釈に従えば、時間から解放されることがあなたの救済につながるものであり、それをあなたは受け入れるべきである、ということ。時間から解放されるとは、過去の罪は存在しなかったこと、そして、未来の罰も存在しないということを知ることである。過去も未来も存在せず、あるのは今だけだと悟り、無辜(むこ)の存在として神の元へ回帰する、それが分離からの救済であり、非時間の実相世界に入ることで、永遠性と不変性の中に生きることとなる。
 
 
 

Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター