5. You can accept insanity because you made it, but you cannot accept love because you did not.
- accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
- insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神病、精神異常」
❖ "You can accept insanity ~ "「あなたが狂気を作ったので、あなたは狂気を受け入れることが出来る」。"but you cannot accept ~ "「しかし、あなたが愛を作ったのではないので、あなたは愛を受け入れることが出来ないのだ」。"because you did not"は、"because you did not make it"のこと。
You would rather be a slave of the crucifixion than a Son of God in redemption. - would rather : 「〜する方が良い、むしろ〜したい」
- slave [sléiv] : 「奴隷、捕らわれている人」
- crucifixion [krùːsəfíkʃən] : 「磔刑、十字架刑、はりつけ」
- redemption [ridém(p)∫n] : 「贖い、贖罪、救済、解放、償い、救出 」
❖ "You would rather be ~ "「あなたは、救済される神の子になるよりも、磔刑に向かう奴隷になることを望んだ」。したがって、ホーリー・スピリットを選択せずに、エゴを選択したのである。
Your individual death seems more valuable than your living oneness, for what is given you is not so dear as what you made. - individual [ìndəvídʒu(ə)l] : 「個人の、個人的な、個性的な、単一の、個々の」
- death [déθ] : 「死、消滅、死亡」
- valuable [vǽljəbl] : 「役立つ、有益な、重要な、貴重な」
- oneness [wʌ́nnis] : 「一体感、単一性、同一性、統一性、調和」
- dear [díə(r)] : 「親愛な、いとしい、かわいい、敬愛する、大切な、高価な、値段が高い」
❖ "Your individual death ~ "「あなたの個としての死は、あなたが(神の子として)単一に生きるよりもより価値があるように(あなたには)思える」。"for what is given you ~ "「なぜなら、あなたに(他から)与えられたものは、あなたが作ったものよりさほどいとおしくないからだ」。自他一如であり、不二一元であるので、あなたの心は元来たった一つであった。神からの分離後、心は散り散りに分裂し、多数の個としての心ができ上がった。その多数の個としての心が幻想する世界がこの世界である。あなたはこの世界を作ったので、それなりにいとおしく感じ、個としての生き方の方を選択する。一方、幻想の世界から脱し、実相の世界に移行すると、そこは一元論の世界であるから、神の子の心は統一され、個別的に存在するのではなく、一元の心として存在することになる。あなたはその一元的な心に吸収されるより、幻想の世界で個として死んだ方が価値があると信じている。
You are more afraid of God than of the ego, and love cannot enter where it is not welcome. - be afraid of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
- enter [éntə(r)] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
- welcome [wélkəm] : 「有り難い、うれしい、歓迎される、願ってもない」
❖ "You are more afraid of ~ "「あなたは、エゴよりも神を恐れている」。"and love cannot enter ~ "「そして愛は、歓迎されもしないところに入っていくことは出来ない」。あなたは神を恐れているので、つまり、神の受け入れを歓迎していないので、神の愛はなかなかあなたの心の中に入って行けないのだ。
But hatred can, for it enters of its own volition and cares not for yours.- hatred [héitrid] : 「強い嫌悪、憎しみ、憎悪、嫌悪、毛嫌い」
- volition [vo(u)lí∫n] : 「意志、意欲、決意、決断」
- care [kéə(r)] : 「気に掛ける、心配する、気にする、構う」
- care for : 「〜のことを心配する、〜に関心をもつ、〜に気を使う」
❖ "But hatred can"「しかし、憎しみは(歓迎されなくても)入って行ける」。"for it enters of its ~ "「なぜなら、憎しみは自分の意思から入っていくのであり、」"and cares not for ~ "「あなたの意思など気にも留めない」。エゴがかくも繁栄するのは、このように、エゴが無遠慮に心の中に侵入するからだ。あたかもカビか細菌のようなものだ。
6. You must look upon your illusions and not keep them hidden, because they do not rest on their own foundation. - look upon : 「〜を見る、〜を見渡す」
- illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
- keep A B : 「AをBの状態に保つ」
- hidden [hídn] : 「hide の過去分詞形」
- hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
- rest [rést] : 「ある、置かれている」
- rest on : 「〜にある、〜に存在する、〜の上に載っている」
- foundation [faundéi∫n] : 「土台、礎、基盤」
❖ "You must look upon ~ "「あなたは、あなたの幻想を見つめ、その幻想を隠さないでおかなくてはならない」。"because they do not ~ "「なぜなら、その幻想は、それ自体の基礎の上にあるのではないからだ」。ここは理由というよりも、幻想が幻想の基礎の上にないことをきちんと見よ、ということ。幻想だから実体がない。あなたは、基礎も基盤もない所に実体のない幻想を生み出したのだ(仏教的な言い方をすれば、色即是空、空即是色)。幻想は幻想自体の基盤を持たないが、エゴの思考システムに立脚している。したがって、この幻想世界は変化流動し、攻撃と破壊が繰り返され、やがて崩壊へと向かう。
In concealment they appear to do so, and thus they seem to be self-sustained. This is the fundamental illusion on which the others rest. - concealment [kənsíːlmənt] : 「隠すこと、隠匿」
- in concealment : 「隠れて」
- sustain [səstéin] : 「持続する、維持する、支える、支持する」
- self-sustained : 「自立した、援助を必要としない」
- fundamental [fʌ̀ndəméntl] : 「基本となる、基本の、基礎の、基本的な、根本的な」
❖ "In concealment they ~ "「隠れたところに、幻想は幻想自体の基盤を持っているかのように見える」。"and thus they seem ~ "「そして、このように、幻想は自立したもののように見える」。幻想が実体のある基盤を持っているかのように見える。確かに、この世界も宇宙も、唯物論的な、あるいは物理的な確固たる基盤をもって存在しているかのように見える。しかし、"This is the fundamental ~ "「これこそが、他の幻想がよって立つ基礎的な幻想なのである」。幻想が実体のある確固たる基盤を持っているかのように見えること自体が幻想である。その幻想を基礎として、多くの幻想が生じてくる。たとえば、物質が存在するという幻想に基づいて、肉体が存在するという幻想が生まれる。
For beneath them, and concealed as long as they are hidden, is the loving mind that thought it made them in anger. - beneath [biníːθ] : 「〜の真下に、〜の支配下に、下に、下方に」
- conceal [kənsíːl] : 「隠す、隠匿する、秘密にする」
- as long as : 「〜する限りは、〜である限りは、〜する以上は」
- hidden [hídn] : 「hide の過去分詞」
- hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
- loving [lʌ́viŋ] : 「愛情を抱いた、誠実な、愛情のある、愛情に満ちた」
- anger [ǽŋgə(r)] : 「怒り、憤り」
- in anger : 「怒って」
❖ "For beneath them, and ~ "「なぜなら、基礎的な幻想の下には、」つまり、幻想には確固たる基盤があり、幻想は自律的でさえあるという幻想の下には、「それらが隠されている以上、秘密にされているのだが、」"is the loving mind that ~ "「心が怒りに任せて幻想を作ったのだと思う愛すべき心がある」。本当は、心は、神を裏切ったという罪の意識と、神の報復を懸念する恐れとから、この幻想世界を作ったのだが、我らが愛すべき心は、怒りによって幻想世界を作ったと信じている。この怒りとは、何に対する怒りだろうか? 少々深読みしないことには、この怒りは解釈できない。本当は罪の意識と恐れから幻想世界を作ったのだが、心は罪と罰から目をそらせようとする。何しろ、そのために罪と罰を外部に投射して幻想世界を偽創造したのであるから。そこで、心は、自分の自主独立のために、それを制限していると思い込んだ神への怒りを罪と罰の意識の代わりに置き換えるのである。罪と罰は受動的な意識であるが、怒りは攻撃であり、能動的な感情である。つまり、心は、神の報復を受動的に待ち受けるのではなく、神に対抗する怒りの世界を作って、攻撃的、能動的な気構えで神に対峙するのだ。この発想は、言うまでもなく、エゴの思考システムそのものである。ところが、神に対して挑発的な怒りの世界を作ったとはいえ、所詮、神にとっては蚊の一刺しにも値しない。そんなばかばかしい怒りに任せて幻想世界を偽創造した心は、なんと愛すべき、はっきり言ってお調子者の心ではないか。なぜなら、エゴの策略にまんまと乗ってしまうのであるから。
And the pain in this mind is so apparent, when it is uncovered, that its need of healing cannot be denied. - pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛」
- apparent [əpǽr(ə)nt] : 「明らかな、明白な、はっきり見える」
- uncover [ʌnkʌ́və(r)] : 「発見する、見いだす、明らかにする、あらわにする、暴く」
- need [níːd] : 「必要性、必要なもの、必要物」
- deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
❖ "And the pain ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、「隠されたものがあらわにされるとき、この心の痛みはあまりにも明白なので、」"that its need of healing ~ "「心をヒーリングする必要性は否定できるものではない」。怒りに任せて幻想世界を偽創造した心は、実は、同時に痛みを持ち込んでしまった。したがって、心はヒーリングの必要があるのだ。
Not all the tricks and games you offer it can heal it, for here is the real crucifixion of God's Son.- trick [trík] : 「トリック、芸当、秘訣、要領、いたずら、悪ふざけ」
- game [géim] : 「ゲーム、試合、遊び、競争」
- offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、ささげる、提供する」
- real [ríː(ə)l] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
- crucifixion [krùːsəfíkʃən] : 「磔刑、十字架刑、はりつけ」
❖ "Not all the tricks and games ~ "「痛む心にあなたが差し出すどんなトリックもゲームも、傷む心をヒールすることは出来ない」。"for here is the real ~ "「なぜなら、ここにこそ、神の子の本当の磔刑があるからだ」。つまり、この幻想の世界が十字架であり、あなたはその十字架にはりつけになって、無上の痛みを感じているというわけである。その十字架から逃れるには、小手先のトリックもゲームも役に立たない。真剣勝負で臨まなくては、このヒーリングは成就出来ないだろう。ACIMはあなたに真剣な実践を迫るのである。