IV. The Function of Time
時間の役割
1. And now the reason why you are afraid of this course should be apparent. For this is a course on love, because it is about you. - reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠 」
- be afraid [əfréid] of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
- should [∫úd ] : 「〜のはずだ、〜すべきである」
- apparent [əpǽr(ə)nt] : 「〕明らかな、明白な」
❖ "And now the reason ~ "「そして今や、あなたがなぜこのコースを恐れるのか、その理由が明白になったはずだ」。"For this is ~ "「なぜなら、これは愛についてのコースだからだ」。"because it is about ~ "「なぜなら、このコースはあなたについて述べられているからだ」。この奇跡のコースは、いわば、奇跡の愛のコースと言ってもいい。なぜなら、あなたにとって一番問題になっているのは愛に関することだからである。だから、このコースは愛に対して問題を抱いているあなたについての特別なコースと考えていい。もちろん、ここで問題になる愛とは、この幻想世界の愛憎渦巻く中の愛ではなく、実相世界の絶対的な愛、対極概念を持たない純粋な愛のことである。あなたの心の一番正しい部分で、あなたはこの愛を求めているのである。
You have been told that your function in this world is healing, and your function in Heaven is creating. - function [fʌ́ŋ(k)∫n] : 「機能、作用、働き、職務、役割」
❖ "You have been told that ~ "「あなたはthat以下を言われたことがあったはずだ」。"that your function ~ "「この世界におけるあなたの役割はヒーリングであり、」"and your function ~ "「天の王国におけるあなたの役割は創造することである」と言われたことがあったはずだ。"function"は「機能」であるが、ここでは「役割」と訳して理解しやすくした。
The ego teaches that your function on earth is destruction, and you have no function at all in Heaven. - destruction [distrʌ́k∫n] : 「破壊、破滅、破棄」
- at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "The ego teaches that ~ "「エゴはthat以下と教える」。"that your function ~ "「この地上におけるあなたの役割は破壊であり、天上では、あなたは役割をまったくもっていない」と教える。
It would thus destroy you here and bury you here, leaving you no inheritance except the dust out of which it thinks you were made. - destroy [distrɔ́i] : 「破壊する、崩壊させる、〜を滅ぼす」
- bury [béri] : 「埋める、埋葬する、葬り去る」
- leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする、置き忘れる」
- inheritance [inhérət(ə)ns] : 「受け継ぎ、継承、相続、相続財産」
- except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
- dust [dʌ́st] : 「ほこり、ちり、煤塵、粉塵、塵埃」
❖ "It would thus destroy ~ "「こうして、エゴはこの地上であなたを破壊し、この地上にあなたを埋める」。"leaving you no inheritance ~ "分詞構文、単純接続、「そして、あなたの忘れ形見など、〜を除いて何も残さない」。"except the dust out of ~ "「あなたが塵から作られたとエゴが思っている、その塵を除いては」。つまり、あなたは土くれから生まれ、土くれに戻っていく、ということ。"leaving you no inheritance"ここは、厳密に考えると、「あなたに何一つ遺産を残さない」という意味であるが、文脈上、あなたはすでに"bury you here"「この地上に埋められている」わけだから、死んだ自分に遺産を残すというのはおかしい。そこで、上記のように意訳してみた。あるいは、「あなたが遺産を残すことを許さない」と考えてもいいだろう。
As long as it is reasonably satisfied with you, as its reasoning goes, it offers you oblivion. - As long as : 「〜さえすれば、〜である限りは、〜であるならば」
- reasonably [ríːznəbli] : 「合理的に、道理にかなって、無理なく、適度に」
- satisfy [sǽtisfài] : 「〜を満足させる、納得させる」
- be satisfied with : 「〜に満足している、〜で気が済む、〜で満たされる」
- reasoning [ríːzəniŋ] : 「論法、推理、推論、論理的思考」
- offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、ささげる、提供する」
- oblivion [əblíviən] : 「忘れられている状態、忘却、無意識の状態 」
❖ "As long as it is ~ "「エゴがあなたに、適度に満足している限り、」"as its reasoning goes, it ~ "「エゴの論法通りに、エゴはあなたに忘却を与える」。エゴは、本当はあなたを磔刑に処したいと思っているが、まあ、適度に、あなたに死を与えることで満足しようというわけである。その死の代わりに、エゴは、自分の思考システムに則って、あなたに忘却という対価を与えるのだ。つまり、嫌なことを忘れるくらいの贅沢(ぜいたく)は許そうと思ってのことだろう。エゴの与える慈悲など、こんなものだろう。
When it becomes overtly savage, it offers you hell.- overtly [ouvə́ːrtli] : 「公然と、あからさまに」
- savage [sǽvidʒ] : 「凶暴な、残酷な、激しい、野蛮な、残忍な」
- hell [hél] : 「地獄、ひどい体験、修羅場、生き地獄」
❖ "When it becomes ~ "「もしエゴが、公然として残忍になったら、」" it offers you ~ "「エゴはあなたに地獄を与えるのだ」。忘却どころか、あなたに地獄を与えるほど、エゴは残忍になれる。
2. Yet neither oblivion nor hell is as unacceptable to you as Heaven. - unacceptable : 「受け入れられない、容認できない、気に入らない」
- neither [níːðə(r)] A nor B : 「AもBも〜ない」
❖ "Yet neither oblivion nor hell ~ "「しかし、天の王国に比べれば、忘却も地獄も、あなたにとって受け入れ難いものではない」。エゴは忘却か地獄を差し出し、ホーリー・スピリットはあなたに天の王国を約束してくれる。当然、あなたは天の王国を選択するだろう、と思いきや、その逆だと言っている。あなたはなぜか天の王国を受け入れようとしないのである。理由は次の文章で。
Your definition of Heaven is hell and oblivion, and the real Heaven is the greatest threat you think you could experience. - definition [dèfəní∫n] : 「定義、明確にすること、鮮明度、記述、定義付け」
- hell [hél] : 「地獄、ひどい体験、修羅場、生き地獄」
- oblivion [əblíviən] : 「忘れられている状態、忘却、無意識の状態 」
- threat [θrét] : 「脅迫、脅し,危険な存在」
- experience [ikspí(ə)riəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
❖ "Your definition of Heaven ~ "「あなたの天国の定義は、地獄であり、忘却である」。"and the real Heaven is the greatest ~ "「そして、実際の天の王国は、あなたが経験できると思う中で一番の脅威である」。あなたは神を裏切り、神から分離することで罪の意識を抱いた。そして、いつかは神に罰せられるだろう、神の報復に遭うだろうと恐れを抱いた。神は天の王国に住んでいるから、もし、あなたが天の王国に行ったら、神に捕らえられて、過去に犯した罪の罰として地獄の責め苦を味わさせられるだろうと思っている。もし、幸いなことに、神があなたの犯した罪を忘れているとして、地獄の責め苦は逃れられるとしても、神から完全に忘れ去られた存在になってしまうだろう。いずれにしても、この幻想の世界で生きている方がましだ、とあなたは考えるのである。
For hell and oblivion are ideas that you made up, and you are bent on demonstrating their reality to establish yours. - bent [bént] : 「熱中している」
- be bent on : 「〜に夢中になっている、〜を決意している」
- demonstrate [démənstrèit] : 「論証する、実証する、立証する、証明する」
- reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
- establish [istǽbli∫] : 「確立する、設立する、達成する」
❖ "For hell and oblivion ~ "「なぜなら、地獄も忘却も、あなたが作り上げた(単なる)考えに過ぎないからだ」。"and you are bent on ~ "「そして、あなたの現実を確立するために、あなたは地獄や忘却の現実を実証することに熱中しているのである」。つまり、地獄や忘却がいかに残虐なものであるかを実証することで、あなたの現実生活がまだましであり、ひょっとしたら幸せであるかも知れないと思いたいのである。ここで言うあなたの現実を確立するとは、したがって、妥協して現実を受け入れ、それで良しとすること、と思っていいだろう。
If their reality is questioned, you believe that yours is. - question [kwést∫n] : 「〜を疑問に思う、〜を疑問視する、〜に疑問を呈する」
❖ "If their reality is ~ "「もし、地獄や忘却の現実性が疑問視されると、」"you believe that ~ "「あなたの現実性までも疑問視されると、あなたは信じているのである」。"that yours is"ここは"that your reality is questioned"のこと。つまり、地獄や忘却が本当に実在するのかと疑問を向けられるようでは、あなたの現実も、ひょっとして実在しないのではないかと疑問をもたれてしまう恐れがあるわけである。そこで、あなたは地獄や忘却という現実が確かに実在していることを実証し、したがって、それよりはまだましの自分の現実もちゃんと実在していると納得したいのである。
For you believe that attack is your reality, and that your destruction is the final proof that you were right.- attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
- destruction [distrʌ́k∫n] : 「破壊、破滅、破棄」
- final [fáinl] : 「最後の、最終の、決定的な、確定的な」
- proof [prúːf] : 「証拠、証明、証し、裏付け、論証」
- right [ráit] : 「正しい、正当な」
❖ "For you believe that ~ "「なぜなら、あなたは、攻撃こそあなたの現実であり、」"and that your destruction is ~ "「あなたの崩壊は、あなたが正しいという最終的証拠となると信じているからだ」。これがあなたの現実で、攻撃も崩壊も実在するものだとあなたは信じたいのである。その最終的証拠としてあなた自身の死という崩壊があったとしても、あなたは死を甘んじて受け入れるだろう。つまり、エゴの吹き込んだ現実とその実在性をあなたは信じてしまったのである。エゴは、あなたが神の王国に回帰すれば、神はあなたを攻撃し、破壊するだろうと、あなたを脅す。それよりは、そんなことを忘れてしまう忘却の方がましであろうし、たとえ死が待ちかまえていようが、神によって八つ裂きにされるよりはましだと、エゴはあなたを唆(そそのか)すのだ。