●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-13.V.2:1 ~ T-13.V.3:8

2. Each one peoples his world with figures from his individual past, and it is because of this that private worlds do differ.

  • people [píːpl] : 「〜を満たす、供給する、〜を住まわせる」
  • figure [fígjə(r)] : 「姿、人影、人物、形、形状」
  • individual [ìndəvídʒu(ə)l] : 「個人の、個人的な、個性的な」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • private [práivət] : 「私的な、自分だけが持つ、個人用の」
  • differ [dífə(r)] : 「異なる、相違する、違う、差がある」
❖ "Each one peoples ~ "「誰でも一人一人、自分の世界を、個人的な過去の人物達で満たすものだ」。人は自分の世界を、過去に出合った人達で構成する、ということ。"and it is because of ~ "ここは"it is ~ that ~ "の強調構文、「that以下はこのせいである」。"that private worlds ~ "「プライベートな世界がまちまちであるのは」このせいである。



Yet the figures that he sees were never real, for they are made up only of his reactions to his brothers, and do not include their reactions to him.
  • real [ríː(ə)l] : 「実在する、現実の、本物の」
  • reaction [ri(ː)ǽk∫n] : 「反応、態度、受け止め方」
  • include [inklúːd] : 「〜を含める、〜を含有する、包含する」
❖ "Yet the figures that ~ "「しかし、彼の見ている人物達は決して本物ではなかった」。"for they are made up ~ "「なぜなら、その人物達は、彼が彼の同胞に向けたリアクションによって作り上げられたものであり、」"and do not include ~ "「彼に対する彼らのリアクションは含まれていないからだ」。ここで言う"reaction"「リアクション」とは、主観、思い込み、感情、判断という意味合いであろう。あなたの世界を満たしている、あなたが過去に出会った人達は、あなたの主観的な受け止め方によって構成されており、その人達のあなたに対する主観的な受け止め方は排除されている。したがって、あなたが過去に出会った人達は、あなたが勝手に作った幻想であり、本物の彼ら自体ではない。



Therefore, he does not see he made them, and that they are not whole.
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
❖ "Therefore, he does not ~ "「したがって、彼は、自分が彼らを作ったのだということも、その彼らが完全なものでもないことを分かっていない」。具体的に考えよう。たとえば、あなたが出会った彼を、あなたは悪いヤツだと判断したとしよう。その悪いヤツはあなたの世界を構成する一つのコマとなる。この『悪い』という評価は、当然、彼に向けたあなたの主観であって、彼があなたに向けたシグナルではない。あなたはそのカラクリに思いが回らず、悪い彼を作ったのは、実はあなた自身であることを理解できないのである。しかも、悪いというレッテルを貼ることによって、彼の一面だけの評価に満足し、彼の全体性を見ようとも理解しようともしないのである。



For these figures have no witnesses, being perceived in one separate mind only.
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、参考人、証拠、証言」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • separate [sép(ə)rət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」
❖ "For these figures have ~ "「なぜなら、これらの者たちは証人が一人もいないからである」。" being perceived in ~ "分詞構文、理由、「たった一つの分離した心によって知覚されたものなので」。あなたが悪いヤツと判断された者は、本当は悪くないのだと証言してくれる者はいない。なぜなら、悪いという判断は、彼と分離したあなたの心だけがそう知覚したに過ぎないからである。つまり、悪いとう判断は単なるあなたの個人感情であって、それが事実か事実でないかのレベルの話ではないのだ。この一連の話から分かるように、この世界は、あなたの一方的な主観によって心が勝手に作ったものである。これほど複雑に見えるのは、二元論の二つの対極の間に無数のグラデーションが出来るからに過ぎない。



3. It is through these strange and shadowy figures that the insane relate to their insane world.
  • strange [stréin(d)ʒ] : 「奇妙な、変わった、変な、不慣れない」
  • shadowy [ʃǽdoui] : 「闇の、あいまいな、幻の、非現実的な」
  • figure [fígjə(r)] : 「姿、人影、人物、形」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • relate [riléit] : 「関連がある、関係する、かかわる」
  • relate to : 「〜に関連している、〜にかかわる」
❖ "It is through these ~ "ここは"It is ~ that ~ "の形の強調構文、「狂った者が狂った世界と関わりをもつのは、こういった奇妙で曖昧な人物達を通してである」。誰もがみんな主観によって悪いヤツ、いいヤツ、変なヤツ、おかしなヤツ、等々を幻想し、でっち上げ、その寄せ集めと、寄せ集められた連中が絡み合ってこの世界が構成されている。狂った者が狂った世界と関わり合をもつのは、こうした幻想の奇妙な連中を通してである。つまり、こうした幻想の連中を作り出すことで、世界との整合性を保とうとするわけだ。たとえば、あなたが悪いヤツだと思った人物が、またあなたを見て悪いヤツだと判断し、互いに喧嘩をする、つまりそんな形で世界と関わりをもつのである。もちろん、その逆に、あなたがいい人だと思った人物が、またあなたを見ていい人だと思えば、互いに愛し合うこととなり、互いに外部世界との接点を確保できる。しかし、もともと幻想に過ぎない愛と愛が長続きはすまい。ペンキが剥がれて分裂は深まるだろう。愛は、実相世界の真実の愛でなければ、拡張発展し永続はしないのだ。



For they see only those who remind them of these images, and it is to them that they relate.
  • remind [rimáind] : 「〜に思い出させる、〜に気付かせる」
  • remind A of B : 「AにBのことを思い出させる」
❖ "For they see only ~ "「なぜなら、彼らは、彼らにこれらのイメージを思い出させる人達だけを見るからであり、」"and it is to ~ "ここも強調構文、「彼らが関係を持つのはそうした彼らである」。たとえば、あなたの主観が無意識のうちに悪いヤツを見つけ出したいと思えば、あなたは悪いと判断できそうな連中しか目に入らず、そういった悪いヤツと思われる連中としか関連を持とうとしない。あたかも、その連中があなたに、自分たちがあなたの探している悪いヤツであると思い出させて、あなたの注目を引き、あなたを彼らとの関係に誘い込んでいるようなものである。



Thus do they communicate with those who are not there, and it is they who answer them.
  • communicate [kəmjúːnikèit] : 「通じている、連絡する、通信する」
  • communicate with: 「〜と意思が疎通する、〜に通じている」
  • answer [ǽnsə(r)] : 「〜に答える、答えて言う」
❖ "Thus do they communicate ~ "「こうして、正気を失った連中は、そこにいない者たちと意思疎通を行っている(ようなものだ)」。" and it is they ~ "ここも強調構文、「そして、彼らに答えるのも、またそういった連中である」。たとえば、悪いヤツを探している狂ったあなたが、悪いヤツを想起させるような連中に出会い、そこに互いの関係が生じるのだが、所詮あなたの主観によって悪いヤツと決め込んだことであるので、それは真実と大きにかけ離れている。つまり、悪いヤツは、単にあなたの主観がそう見ているだけであって、悪いヤツという実体がそこにあるのではない。悪いヤツとういう幻影を見ているに過ぎないのである。しかも、その幻影と関係を持つということは、その幻影があなたの対応に対して返答していることであり、実体が答えているのではない。あくまでも答えを返してくるのは、つまり、反応するのは、あなたの主観が悪いヤツと決め込んだ、その幻影である。



And no one hears their answer save him who called upon them, and he alone believes they answered him.
  • save [séiv] : 「〜を除いて、〜のほかは、〜は別として、〜以外の、ただし〜は除外して」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
❖ "And no one hears their answer ~ "「そして、彼らを呼んだ彼を除いて、誰も彼らの答えを聞いてはいない」。"and he alone believes ~ "「彼一人だけが、彼らが彼に答えてくれたと信じているのである」。あなたの主観が悪いヤツを呼んだ。それに反応して、悪いヤツはあなたに答えを返した。しかし、その答えはあなたの耳には届くが、他の者には何も聞こえない。なぜなら、悪いヤツはあなたが勝手に作った幻影であり、その答えもあなたの幻影、幻覚に過ぎないからだ。しかも、それに気がつかず、あなたは確かに答えてもらったと信じているのである。



Projection makes perception, and you cannot see beyond it.
  • Projection [prədʒék∫n] : 「投射、投影、射影、映写」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、知見、見識、感じ方」
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の向こう側に、〜を越えて、〜を過ぎて」
❖ "Projection makes ~ "「投射は知覚を作る」。"and you cannot ~ "「そしてあなたは、それを越えて見ることは出来ない」。あなたは悪いヤツを探し求め、呼びかけ、その幻影と関係をもつ。では、なぜあなたは悪いヤツを求めるのか? それは、あなたの無意識の罪悪感、つまり、自分は悪いヤツだという密かな思いが圧力になって、それに耐え切れなくなると、それを外部世界に投射するからである。悪いのはアイツであって、自分はその犠牲者であると自分を納得させることで、自分の罪悪感の圧力を軽減させようとする。こうして、投射によって、あなたはアイツもコイツも悪い者に仕立て上げ、あなたはそういった目でしか他者を見ることが出来なくなってしまう。つまり、あなたの知覚は投射の必然的な帰結になるのだ。投射は知覚を作るのである。しかも、そうやって作られた知覚を、あなたは凌駕することはできない。投射によって作られた幻影の知覚を越えて、その向こうを見ることはできないのである。



Again and again have you attacked your brother, because you saw in him a shadow figure in your private world.
  • again and again : 「何度も反復して、何度も繰り返して」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • shadow [∫ǽdou] : 「影の、隠れた存在の」
  • figure [fígjə(r)] : 「姿、人影、人物、形」
  • private [práivət] : 「個人用の、私的な」
❖ "Again and again have you ~ "「何度も何度も、あなたはあなたの同胞を攻撃してきた」。"because you saw in him ~ "「なぜなら、あなたは、同胞の中に、あなたの個人的な世界における影の姿を見たからである」。"your private world"「あなたの個人的な世界」とは、あなたの主観的な世界ということ。あなたは、同胞をありのままに知覚することが出来ない。それは、あなたが罪の意識を投射し、外部世界に罪を見ようとするからである。その結果、あなたの主観的な世界には、罪を背負った同胞の影の姿が映し出される。あなたの知覚はその影しか認識できないのだ。そして、幻影に過ぎない罪を背負った同胞の影の姿を、あなたは繰り返し繰り返し攻撃するのである。



And thus it is you must attack yourself first, for what you attack is not in others.
  • first [fə́ː(r)st] : 「一番目に、初めて、最初に」
❖ "And thus it is"「そして、それはこうであるから、」つまり、「こうしたわけで、」「こうして、」。"you must attack ~ "「あなたは第一にあなた自身を攻撃しなければならないのだ」。"for what you attack ~ "「なぜなら、あなたが攻撃する対象は、他者の中にあるのではないからだ」。外部世界に投射したあなたの罪の意識を、あなたは悪いヤツを探し出しては攻撃するのだが、他者を攻撃しているつもりが、本当は罪をもった自分自身を攻撃していることになる。悪いヤツとあなたが判断した連中は単なるあなたの投射の対象に過ぎず、罪悪という攻撃の対象は彼らの中にあるのでない。あなたの中にあるのだ。



Its only reality is in your own mind, and by attacking others you are literally attacking what is not there.
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • literally [lít(ə)rəli] : 「文字どおり、そっくりそのまま」
❖ "Its only reality is ~ "「(攻撃対象の)唯一の実体は、あなたの心の中にある」。"and by attacking others ~ "「そして、他者を攻撃することで、あなたは文字通り、そこにないものを攻撃していることになる」。他者の中に見える罪悪はあなたが投射したものであって、実在しない。その実在しないものに向かって、あなたは攻撃しているわけである。
 
 
 

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