●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-15.VIII.5:1 ~ T-15.VIII.6:6

5. The Holy Spirit is God's attempt to free you of what He does not understand.

  • attempt [ətém(p)t] : 「試み、企て」
  • free [fríː] : 「〜を自由にする、解放する」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "The Holy Spirit is ~ "直訳すると、「ホーリー・スピリットは、神が理解しないものからあなたを自由にするという神の試みである」。あなたが罪の意識に苦しんでいることを神はそれで良しとはしない。神はあなたを罪の意識から救うために、ホーリー・スピリットにその使命を与えたのである。



And because of the Source of the attempt, it will succeed.
  • because of : 「〜のために、〜のせいで」
  • source [sɔ́ː(r)s] : 「もと、源、起点、原因」
  • succeed [səksíːd] : 「成功する」
❖ "And because of ~ "「(ホーリー・スピリットがあなたを罪の意識から救い出そうとする)試みの源は(神の意思)であるから、それは(必ず)成功するであろう」。神が意思したことは必ず実現するのである。それが神のパワーであるということだ。



The Holy Spirit asks you to respond as God does, for He would teach you what you do not understand.
  • ask [ǽsk] : 「〜を求める、〜してほしいと頼む、〜を頼む」
  • respond [rispɑ́nd] : 「反応する、応答する、答える、返答する、応じる」
❖ "The Holy Spirit asks you ~ "「ホーリー・スピリットはあなたに、神が意思したように反応するよう求めている」。"for He would teach you ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットは、あなたが理解出来ないことはあなたに教えてくれるのだから」。神はあなたが罪の意識から解放されることを意思し願っている。あなたはその神の願いに応えるように、罪の意識から解放されるように努力すべきだ。もちろん、未知のことも多いだろうが、その度にホーリー・スピリットがあなたに教えを授けて助けてくれるだろう。それがホーリー・スピリットの使命であるからだ。



God would respond to every need, whatever form it takes.
  • need [níːd] : 「必要性、必要なもの、必要物」
  • form [fɔ́ː(r)m] : 「現れ、形、外形、構造、姿、体つき」
❖ "God would respond ~ "「神は あらゆる(あなたの)必要性に応えてようとしている」。"whatever form ~ "「たとえ(あなたの要求が)どんな形をとろうとも」。たとえば、あなたは社会的な地位が欲しいと望む。神はそれを叶えてやる。とは言っても、神はあなたに、目に見える形の社会的な地位を与えるのではない。なぜあなたが社会的な地位を望むのか、その本当の原因を知った上で、その原因に叶う形で、あなたの望みを叶えてくれるのである。したがって、あなたは神に願っても、具体的に社会的な地位を与えられないかもしれない。しかし、神があなたの願いを叶えたとき、あなたがふと気づけば、あなたはもはや社会的地位を必要としていないだろう。つまり、神はあなたに社会的な地位を与える代わりに、あなたにもっと必要なもの、あなたの心を満たしてくれる何かを与えてくれたわけだ。



And so He keeps this channel open to receive His communication to you, and yours to Him.
  • keep [SVOC] : 「〜の状態にしておく」
  • channel [t∫ǽnl] : 「チャネル、通信路、通路、水路」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る」
  • communication [kəmjùːnikéi∫n] : 「伝達、通信、連絡、交信」
❖ "And so He keeps ~ "「そこで神は、神からあなたへの、またあなたから神へのコミュニケーションを受け取るため、このチャンネルを開いたままにしておいてくれる」。あなたが神に望み、神が望みに応えるというコミュニケーションのチャンネルを、神はいつも開いておいて、あなたの声を感受しているのである。あなたが神から分離独立しようとしたとき、神とのコミュニケーションのチャンネルは、あなたの方から一方的に遮断してしまった。しかし、神は自らチャンネルを閉ざすことはしなかった。あなたがその気にさえなれば、神とのチャンネルはいつでも復旧出来るのである。



God does not understand your problem in communication, for He does not share it with you.
  • problem [prɑ́bləm] : 「問題、課題、疑問、難問、難題」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "God does not understand ~ "「コミュニケーションはしているものの、神はあなたの抱えている問題を理解してはいない」。"for He does not ~ "「なぜなら、神はあなたとその問題を分かち合ってはいないからだ」。神には罪の意識など一欠片(ひとかけら)もない。一元論の実相世界には、罪という概念がないからだ。慈悲はあるが罪は存在しない。それが神なのである。したがって、神はあなたと罪の意識に関する問題を分かち合ってはいないのだ。神はあなたの抱えている問題を理解してはいないとは、そういう意味である。神の能力不足を言っているのではない。そこで、神は、あなたの罪の意識が理解出来るホーリー・スピリットを、その媒介役に指名するわけだ。



It is only you who believe that it is understandable. The Holy Spirit knows that it is not understandable, and yet He understands it because you made it.
  • understandable [ʌ̀ndərstǽndəbl] : 「理解出来る、理解可能な」
❖ "It is only you who ~ "強調構文、「罪の意識の問題が理解可能なものだと信じているのはあなただけなのだ」。あなたが抱えている罪の意識の問題は、いわば、子供が夢に見るモンスターのようなもので、完全な幻想、妄想、錯覚に過ぎない。その子供の母親がいかに子供を愛していようが、夢に見たモンスターの恐ろしさを母親が理解出来るはずはない。あなたの罪の意識の問題と神との関係は、この子供のモンスターと母親の関係と同じである。"The Holy Spirit knows that ~ "「ホーリー・スピリットは、あなたの問題が理解出来ないものだと知っている」。"nd yet He understands it ~ "「しかし、ホーリー・スピリットは、その問題はあなたが作り出したことなので、理解を示しているのである」。ここは非常に微妙なのだが、あなたの抱いている罪の意識の問題は、あなたが勝手に作り出した幻想であると、ホーリー・スピリットは理解している。したがって、そこからあなたを救い出す方法もちゃんと理解している。あなたの苦しみが理解できるからこそ、救うことが出来るのである。そんな意味合いが込められているように思う。



6. In the Holy Spirit alone lies the awareness of what God cannot know, and what you do not understand.
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "In the Holy Spirit alone ~ "「ホーリー・スピリットの中だけに、神の知り得ないこと、そしてあなたの理解しえないことの認識が存在する」。難しい言い回しをしているが、要するに、ホーリー・スピリットは神の知らないこともあなたの知らないことも両方知っているということ。なぜ神は、あなたを罪の意識から解放するために、ホーリー・スピリットにその使命を与えたかの理由がここにある。ホーリー・スピリットは、神と神の子の媒介役であることを思い出していただきたい。ホーリー・スピリットは、幻想世界にも実相世界にも、その両方に精通しているからだ。



It is His holy function to accept them both, and by removing every element of disagreement, to join them into one. He will do this because it is His function.
  • function [fʌ́ŋ(k)∫n] : 「職務、役割、機能、作用、働き」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • both [bóuθ] : 「両方とも、双方とも」
  • remove [rimúːv] : 「」取り除く、取り去る、取り外す、除去する
  • element [éləmənt] : 「成分、要素」
  • disagreement [dìsəɡríːmənt] : 「意見の相違、不一致、不調和、食い違い、ずれ、隔たり」
  • join [dʒɔ́in] : 「つなぎ合わせる、結び付ける、結合する、連結する、合わせる」
❖ "It is His holy function ~ "ここは"It ~ to ~ "の構文、「両者を共に受け入れることがホーリー・スピリットの役割である」。"and by removing every element ~ "「両者を一つに結びつけるために、かみ合わないすべての要素を取り除くことで、」両者を受け入れることがホーリー・スピリットの役割だ。実相世界に住む神と、幻想世界に住むあなたの間には、理解しえない壁がある。その壁を構成している要素をホーリー・スピリットは除去するのである。壁が取り除かれると、神とあなたは結合することが出来るのだ。もちろん、その時、あなたが住んでいると思っていた幻想世界は消滅している。"He will do this because ~ "「それがホーリー・スピリットの役割であるからこそ、ホーリー・スピリットは両者を受け入れて結合させるのである」。



Leave, then, what seems to you to be impossible, because it is the will of God, and let him whose teaching is only of God teach you the only meaning of relationships.
  • leave [líːv] : 「〜を任せる、頼む、委ねる」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない、無理な」
  • will [wíl] : 「意志、意志力、意欲」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
❖ "Leave, then, what seems ~ "「そこで、あなたにとって不可能と思われることは(ホーリー・スピリットに)任せてしまいなさい」。"because it is the will ~ "「なぜなら、それが神の意思だからである」。神は、あなたに不可能なことを強いたりしない。不可能なことはホーリー・スピリットに任せるように意思しているのだ。これが、ACIMの絶対他力である。"and let him whose teaching ~ "「そして、唯一神から授かった教えをもっているホーリー・スピリットに、あなたに関係性の唯一の意味を教えるようにさせなさい」。つまり、ホーリー・スピリットの教えは神の教えであるので、その教えにしたがって、関係性の真の意味を教えてもらいなさい、ということ。



For God created the only relationship that has meaning, and that is His relationship with you.
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
❖ "For God created the only ~ "「なぜなら、神は意味のある関係だけを創造したのであり、」"and that is His relationship ~ "「それは、あなたと神との関係であるからだ」。本当に意味のある真の関係性は、神と神の子とホーリー・スピリットの、この三位の関係性だけである。なぜなら、それが実在のすべてであるからだ。他の実在は、すべて三者の心の中にある。さらに、神と神の子とホーリー・スピリットは、究極的に一体となり、"God is"「神あり」という一元に収斂する。一元論の必然であり、そういう関係性が真実の関係なのである。
 
 
 

T-15.VIII.3:1 ~ T-15.VIII.4:7

3. Relate only with what will never leave you, and what you can never leave.

  • relate [riléit] : 「合致する、適応する、うまく折り合う、なじむ」
  • relate with : 「〜とうまく折り合う」
  • leave [líːv] : 「〜を見捨てる、置きっぱなしにする、置き忘れる」
❖ "Relate only with ~ "「あなたを決して見捨てたりしないであろうもの、そして、あなたが決して見捨てたり出来ないものと、ただそれだけと良い関係を作りなさい」。もちろんその対象は、ホーリー・スピリットであり、キリストであり、神自身である。決してエゴであってはならない。



The loneliness of God's Son is the loneliness of his Father.
  • loneliness [lóunlinəs] : 「孤独、寂しさ、独りぼっち」
❖ "The loneliness of ~ "「神の子の孤独は、父なる神の孤独でもある」。あなたが神聖なるものとの、真の関係を絶って孤独に陥れば、それはあなたの孤独にとどまらず、神の孤独でもあるのだ。なぜなら、神はあなたをその傍らに置いておきたいと意思しているからだ。



Refuse not the awareness of your completion, and seek not to restore it to yourself.
  • refuse [rifjúːz] : 「拒む、拒絶する、断る」
  • awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
  • completion [kəmplíː∫n] : 「完成、完了、終了」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • restore [ristɔ́ː(r)] : 「元に戻す、回復させる、復活させる、復帰させる」
❖ "Refuse not the awareness ~ "「あなたは完成しているのだという意識を拒絶してはいけない」。"and seek not to ~ "「そして、孤独をあなた自身に戻したりしてはいけない」。あなたは神の子として何一つ欠けることなく完成している。その意識を拒絶せず、神と良い関係を保って、再び自分は孤独であるなどと思わないように。実際、あなたは孤独ではないのだから。



Fear not to give redemption over to your Redeemer's Love.
  • redemption [ridém(p)∫n] : 「贖い、贖罪、救済、解放、償い、救出」
  • redeemer [ridíːmər] : 「身請け人、救い主、贖い主、キリスト」
❖ "Fear not to give ~ "「あなたを解放してくれる者の愛に、解放を委ねることを恐れてはいけない」。"redemption"という言葉には「贖罪」という意味もあるのだが、私見では、ACIMでは「救済」の意味に使われることの方が多いように思われる。贖罪をはっきり示すときは、"Atonement"を使っている。したがって、ここの文章は、あなたが罪の意識から救われたいと思うなら、罪の意識からあなたを救ってくれるキリストの愛、あるいはホーリー・スピリットの愛に絶対他力、絶対依存していいのだよ、という意味合いにある。絶対他力を恐れてはならない。幻想世界で眠りに陥っているあなたには、自力で罪の意識から解放される力はないからだ。神の愛を信じて、神のパワーに他力する心の素直さが必要なのである。



He will not fail you, for He comes from One Who cannot fail.
  • fail [féil] : 「裏切る、〜を失望させる、〜の役に立たない」
  • come from : 「〜から来る、〜に由来する、〜の生まれである」
❖ "He will not fail ~ "「キリスト(あるいはホーリー・スピリット)は決してあなたを失望させたりしない」。"for He comes from ~ "「なぜなら、キリストは、失望させることの出来ない神からやって来た者であるからだ」。一元論の実相世界では、裏切りとか失望という概念が存在しない。純粋な信頼と希望が存在するのである。



Accept your sense of failure as nothing more than a mistake in who you are.
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • sense [séns] : 「感覚、感覚能力、官能、感触、知覚」
  • failure [féiljə(r)] : 「失敗、不成功」
  • nothing more than : 「〜にすぎない、〜でしかない」
  • mistake [mistéik] : 「誤り、判断上の間違い、ミス、過ち、手違い、誤解」
❖ "Accept your sense of ~ "ここは意訳する、「あなたが失敗し失望するのではないかと思ったなら、それは、本当のあなたを誤解しているに過ぎないのだと認めなさい」。あなたは罪の意識に苦しみ、孤独に陥っている。そこから救われたいのであれば、キリストの愛に全面的に依存していい。しかし、キリストがあなたの救済に失敗し、あなたは失望してしまうのではないかと恐れている。それは、あなたがあなた自身を知らないせいだ。なぜなら、あなたは神の子として、その心の神聖な部分にキリストを保持し、そして究極的にあなた自身がキリストであるからだ。これがあなたの本当の姿であり、あなたはそれをまだ認識出来ていないのである。それがわかれば、失敗や失望は単なる幻想に過ぎないことがわかる。あなたは100%安心してキリストに他力していいのである。



For the holy host of God is beyond failure, and nothing that he wills can be denied.
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • host [hóust] : 「主人、ホスト、宿主」
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の域を越えて、〜を超越して」
  • will [wíl] : 「〜を望む、意図する、命ずる、決意する」
  • deny [dinái] : 「〜に…を与えない、〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
❖ "For the holy host ~ "「なぜなら、神の神聖なホスト役は失敗を超越しており、」"and nothing that he ~ "「彼が意思することは、叶えられないことはないからである」。"host"この言葉のピッタリな訳語がないのだが、神の傍らにいて神と共に喜びを分かち合う者、といった意味合いがある。伴侶という意味に近いかもしれない。いずれ、神の子のことである。キリストとしての神の子は失敗や失望などという概念から超越している。意思したことは必ず実現する。なぜなら、神の子は一元論実相世界に存在しているのであり、実相世界には失敗とか失望といった概念自体が存在しないからだ。



You are forever in a relationship so holy that it calls to everyone to escape from loneliness, and join you in your love. And where you are must everyone seek, and find you there.
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • escape [iskéip] : 「逃げる、脱出する、抜ける」
  • join [dʒɔ́in] : 「結び付ける、結合する、連結する、合わせる」
❖ "You are forever in ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、「あなたはあまりにも神聖な関係性の中に永遠に存在しているので、」"that it calls to everyone ~ "「その神聖な関係性は、あらゆる者に、孤独から抜け出し、自分の愛に自分を結びつけるようにと呼びかけているのだ」。"holy relationship"「神聖な関係」は"special relationship"「特別な関係」に対照する言葉である。つまり、神と神の子とキリスト(ホーリー・スピリット)の三者間の関係のことだ。"join you in your love"「あなたの愛にあなたを結びつける」とはどういうことだろう? あなた自身の愛に気づくという意味にもとれそうだが、あなたの心の中に愛として存在するキリストやホーリー・スピリットにあなた自身を結びつけ、その神聖な関係性を愛する、といった意味合いになるのではないだろうか。"And where you are must ~ "「そして、すべての者は、あなたがいる場所を探し、そこにあなたがいることを見出すに違いない」。"everyone"「すべての者」と"you"「あなた」を自他一如によって同一だとして考えると、ここの文章が解釈出来るだろう。あなたを始めあらゆる同胞たちが、いったい本当の自分はどこにいるのかと探すのである。外を眺めても自分は見つからず、最終的に自分の内側を探査する。そして、心の奥の最も神聖な部分、最も純粋な部分に本当の自分が存在していることを見出すのだ。そこはキリストが、あるいはホーリー・スピリットが住まう場所であり、そこに神の子として同時に存在する自分を見出したとき、あなたや同胞たちは自分がキリストであることを認識するのである。



4. Think but an instant on this: God gave the Sonship to you, to ensure your perfect creation.
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • think on : 「〜を熟考する、〜に思いをめぐらす」。
  • ensure [en∫úə(r)] : 「〜を確かにする、保証する、請け合う、確保する」
  • perfect [pə́ː(r)fikt] : 「完全な、完璧な」
  • creation [kriéi∫n] : 「創作物、作品、創造、創作」
❖ "Think but an instant ~ "「ほんの少しの間、次のことに思いを巡らしてみなさい」。"God gave the Sonship ~ "「神はあなたを、神の子として創造した」。文字通りに言えば、「神はあなたに息子という地位を与えた」となる。"to ensure your ~ "「そして、あなたが完璧に創造されてことを確認した」。神は神の子を創造し、神の属性のすべてを継承した。その意味でも、神は神の子を完璧に創造したのである。つまり、神とそっくりに神の子を生み出したのだ。では、ダーウィンの進化論と整合性はなくなるのか? レベル・コンフュージョンを起こしてはならない。神は神の子を神に似せて創造した。その神の子が神からの分離をふと思い立ち、深い眠りに陥った。その眠りの中で見られている夢が、この世界であり宇宙である。夢の中で、百数十億年前のビック・バンから始まって、宇宙の進化、生物の進化を夢見ているのである。したがって、夢の中の世界では、ニュートン力学もマクスウェルの電磁気学もアインシュタインの相対論もシュレディンガーの量子論もホーキングの宇宙論も、もちろん、ダーウィンの進化論も科学的に正当であろう。しかし、それはあくまでも夢の中の、つまり、幻想世界(幻想的時空世界)の中で正当であるだけであって、ひとたび夢から覚めたら、あなたはその正当性をいつまでも引きずることは不必要である。実相世界に戻れば、実相世界の真実が目の前に展開するのであって、そのとき、神が神の子を神に似せて創造した事実がはっきりと認識されるということなのである。したがって、ACIMは非科学的であるとする批判は正当でない。科学は幻想世界を扱い、ACIMは実相世界を扱っているのだから、レベル・コンフュージョンを起こせばおかしな批判が生じてしまうのである。科学は物質の実在性に基本を置き、ACIMは心の実在性に基本を置く。その役割分担を混同すると誤解を生じてしまうのだ。もちろん、ACIMを振りかざして、科学の不当性を主張することも誤った行為である。



This was His gift, for as He withheld Himself not from you, He withheld not His creation.
  • withheld : 「withholdの過去形」
  • withhold [wiðhóuld] : 「〜を抑える、差し控える、保留する、与えないでおく」
❖ "This was His gift ~ "「(あなたが神の子として創造されたのは)神の贈り物である」。"for as He withheld ~ "「なぜなら、神はあなたに神自身を与えないでおくようなことはしないように、」"He withheld not ~ "「神は、創造したものを(あなたに)与えずにおくことはしないからだ」。回りくどい言い方をしているが、要するに、神は神自身を、そして、神が創ったものも、すべてあなたに与えている、ということ。神はすべてを与えるのである。すべてを与えるということは、実相世界では、すべてを与えられることでもある。したがって、神には不足はなく、永遠の充足があるだけだ。だから、神の子として、あなたも同胞にすべてを与えるべきなのである。そうすれば、あなたはすべてを与えられ、永遠の充足を覚えるはずだ。与えると言っても、もちろん、物質やお金を与えるのではない。想念としての愛、喜び、平等性、平和、美、慈しみ、等々の完全な抽象想念を与え、そして受け取るのである。もっとも、想念が実在であることを知れば、もはや物質もお金も不要になってしまうだろうが。



Nothing that ever was created but is yours. Your relationships are with the universe.
  • ever [évə(r)] : 「今までに、これまで、かつて」
  • creat [kriéit] : 「創造する、創り出す」
  • universe [júːnəvə̀ː(r)s] : 「宇宙、銀河、全世界、全人類」
❖ "Nothing that ever ~ "「これまでに創造されたものはすべて、あなたのものである」。"Your relationships are with ~ "「あなたの関係性とは、全世界(宇宙)との関係性なのである」。すべてがあなたのものだと言っても、ここで所属や所有を語っているのではない。すべてがあなたと同等な関係性をもっている、ということだ。同等な関係性であるから、ほぼ重なりあって、調和共鳴しているのである。つまり、あなたは万物と調和共鳴し、あなたが万物であると言ってもいい。したがって、あなたが万物をもっていると言ってもいいわけだ。ここで"universe"「世界、宇宙」という言葉が使われているが、この幻想世界のことではないし、幻想の宇宙でもない。そこで、真に実在する万物と考えることにして、実相世界と言う代わりに、ここでは実相宇宙とでも命名しておこうか。



And this universe, being of God, is far beyond the petty sum of all the separate bodies you perceive.
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の域を越えて、〜を超越して」
  • petty [péti] : 「ささいな、つまらない、わずかな、小さい、けちな」
  • sum [sʌ́m] : 「合計、和、計」
  • separate [sépərèit] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
  • body [bɑ́di] : 「物体、実質、集まり、塊」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "And this universe ~ "「そして、この実相宇宙は、神のものであるから、」"is far beyond ~ "「あなたが知覚する、分離した物体のケチな合計をはるかに超越している」。実在する実相宇宙は神の実相世界であるから永遠無限な宇宙である。我々が数々の物質の集合体(和)として観測出来る認識範囲をはるかに越えている。我々が住んでいるこの幻想の全宇宙も、神の実相宇宙に比べてば、けし粒の大きさしかない。



For all its parts are joined in God through Christ, where they become like to their Father.
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • like [láik] : 「似ている、類似の、類似した、同様の」
❖ "For all its parts are ~ "「なぜなら、幻想宇宙のすべての構成物は、キリストを通して神の中で結合するからだ」。"where they become ~ "「その場所で、すべての構成物は父なる神に似たものとなるのである」。「構成物」が人なのか物なのか、混乱してきたかもしれないが、どちらでもいい。所詮どちらも幻想なのだから。ここでは、肉体と解釈するとスムーズに行くだろう。その昔、神から分離し、さらに自己分裂を起こした我々の心は肉体と物質を幻想した。しかし、我々がこの幻想宇宙という夢から覚めるとき、その聖なる瞬間に、肉体と物質という幻想を持ち運んでいた我々の心はキリストの導きを通して神の元で再統一される。我々の心は一なる心(Mind)になるのである。その時、当然、幻想の肉体と物質は消滅し、幻想のこの宇宙も消滅する。物質世界は消滅するのである。そして、一つになった心は、自らが神の子として神に似ていることをあらためて確認するのである。



Christ knows of no separation from His Father, Who is His one relationship, in which He gives as His Father gives to Him.
  • separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
❖ "Christ knows of ~ "「キリストは、父なる神から一歩たりとも離れてはいないことを知っている」。"Who is His one ~ "「そして、その神との関係性こそが唯一の関係なのである」。"in which He gives ~ "「その関係性の中にあって、神がキリストに与えたように、今度はキリストが与えることとなるのだ」。夢から覚めたあなたは、神から分離したと思い込んでいたのは夢に過ぎず、本当は神から一歩たりとも離れていなかったことを知る。そして、キリストを通じて神の元で再統一した神の子の心は、今や、自分がキリストであることを認識するのである。神の子であるあなたは、キリストとして神の前に立つことになるのだ。さらに、神と神の子とホーリー・スピリットの三位の間の関係性が唯一の真実なる関係であると知る。今や、神とそっくりな自分を確認したあなたは、神が神の子にすべてを与えて惜しまなかったように、あなたもすべてを与えることを学ぶのである。何を与えるのか? もちろん、愛であり喜びであり平和であり、創造と美、永遠不変を与えるのである。お気づきだと思うが、この地点まで来ると、与えることと与えられることは完全に一致し、それが「分かち合う(share)」という言葉の真の意味だとわかるだろう。つまり、分かち合いとは、ある物を互いに所有し合うという意味ではなく、所有という概念を完全に放棄して与え尽くす状態のことなのである。所有を放棄し、完全に与え尽くしたとき、そこに真の分かち合いが生まれ、あなたはすべてを与えられた状態になる。つまり、そういう奇跡が起きるのである。しかし、誤解してはならない。ACIMは、物もお金も含めてすべてを他者に与えよ、と言っているのではない。何かの宗教的団体に布施として財産を寄進せよなどと言っているのではない。ACIMは、あくまでもあなたの心の改革を求めるのであって、心が所有という概念から救われることを求めているだけなのである。
 
 
 

T-15.VIII.1:1 ~ T-15.VIII.2:9

 
 

VIII. The Only Real Relationship
唯一の、真なる関係
 
 
 
1. The holy instant does not replace the need for learning, for the Holy Spirit must not leave you as your Teacher until the holy instant has extended far beyond time.
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • replace [ripléis] : 「〜を取り換える、交換する、差し替える」
  • need [níːd] : 「必要性、必要なもの、必要物」
  • learning [lə́ː(r)niŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • leave [líːv] : 「〜を任せる、頼む、委ねる」
  • extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
  • far beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜をはるかに超えて」
❖ "The holy instant does not ~ "「聖なる瞬間は、学びの必要性と置き換わることはない」。聖なる瞬間に出会っても、あなたの学びが不必要になることはない。"for the Holy Spirit must not ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットは、聖なる瞬間が時間を遥かに超越して拡張するまで、あなたをあなた自身の師としてあなたに任せることをするわけがないからだ」。聖なる瞬間が時間を超越するとは、聖なる瞬間は実相世界への入り口に過ぎず、あなたが完全に実相世界へ、つまり、天の王国へ、神の元へ回帰するまで、あなたは拡張し続けなくてはならないということ。実相世界は無時間世界、つまり、時間を超越した世界である。あなたが無時間の実相世界に完全に入り込むまで、ホーリー・スピリットはあなたの師としてあなたの学びの手伝いをするのである。それまでは、自分で自分を指導出来るなどと思わない方がいい。それは増上慢(ぞうじょうまん)というものだ。



For a teaching assignment such as His, He must use everything in this world for your release.
  • assignment [əsáinmənt] : 「任務、任命、職務」
  • such as : 「例えば〜など」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
❖ "For a teaching ~ "「ホーリー・スピリットがあなたの師となるような、学びの使命があるので、」"He must use everything ~ "「ホーリー・スピリットはあなたの解放のために、この世界のあらゆるものを利用するのである」。実相世界の住人であるホーリー・スピリットだからこそ、幻想世界のあらゆるものを学びの補助装置として利用出来るのであって、幻想世界に住んでいるあなたには、それは無理である。だから、自分自身で自分を解放するのだなどと意気込まないで、黙って、ホーリー・スピリットの学びの指導を受けるに越したことはない。ACIMの絶対他力性である。



He must side with every sign or token of your willingness to learn of Him what the truth must be.
  • side with : 「〜側につく、〜に味方する、〜に加勢する」
  • sign [sáin] : 「表れ、兆し、兆候、印」
  • token [tóukn] : 「しるし、証拠、兆候、表象」
  • willingness [wíliŋnəs] : 「意欲、いとわずにすること、快くすること」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "He must side with ~ "「ホーリー・スピリットは、真実とはいったい何でなくてはならないか、ホーリー・スピリットから学びたいと願う思いのあらゆる兆(きざ)し、兆候に味方するに違いない」。あなたが真実を知りたいと思う兆しを見逃さず、ホーリー・スピリットはあなたの味方に立って、あなたを指導してくれるのである。



He is swift to utilize whatever you offer Him on behalf of this. His concern and care for you are limitless.
  • swift [swíft] : 「敏速な、即座の」
  • be swift to : 「すぐに〜する」
  • utilize [júːt(ə)làiz] : 「利用する、活用する、役立たせる」
  • whatever [(h)wʌtévə(r)] : 「〜するのは何でも」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • behalf [bihǽf] : 「支持、味方、利益」
  • on behalf of : 「〜のために、〜の利益になるように、〜に利するように」
  • concern [kənsə́ː(r)n] : 「気遣い、懸念、心配、不安、関心事」
  • care [kéə(r)] : 「心配、苦労、世話、介護、手入れ」
  • limitless [límitlis] : 「制限のない、無限の」
❖ "He is swift to utilize ~ "「あなたがホーリー・スピリットに何を差し出そうと、ホーリー・スピリットはすぐに、あなたに真実を教えるために、それを利用する」。あなたが孤独を差し出そうと、怒りを差し出そうと、ホーリー・スピリットはそれを利用して、あなたに実相世界の真実を教えてくれるのである。ホーリー・スピリットは幻想世界の現象を利用して、実相世界の真実を教える師なのである。"His concern and care ~ "「ホーリー・スピリットの、あなたを気遣う気持ち、心配する気持ちは制限がない」。無限にあなたを愛しているのだ。なぜなら、あなたは神聖は神の子であるからだ。



In the face of your fear of forgiveness, which He perceives as clearly as He knows forgiveness is release, He will teach you to remember that forgiveness is not loss, but your salvation.
  • in the face of : 「〜に直面して、〜の面前で、〜を目の前にして」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • clearly [klíə(r)li] : 「はっきりと、疑いもなく、明らかに」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除」
  • remember [rimémbə(r)] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
  • loss [lɔ́(ː)s] : 「失うこと、紛失、損失、喪失」
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
❖ "In the face of your ~ "「あなたの、赦しへの恐れを目の前にして、」"which He perceives ~ "「ホーリー・スピリットが赦しとは解放であると明確に知っていると同じように明確に、あなたの赦しへの恐れを知覚しているのだが、」あなたが、なぜ赦しを恐れれているか、ホーリー・スピリットはその気持を理解している。だからこそ、その恐れを矯正して解放へ結びつけることが出来るのである。"He will teach you ~ "「ホーリー・スピリットはあなたに、赦しとは損失ではなく、あなたの解放なのだと教えるであろう」。



And that in complete forgiveness, in which you recognize that there is nothing to forgive, you are absolved completely.
  • complete [kəmplíːt] : 「全部そろった、完全な、全部の」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • forgive [fə(r)gív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • absolve [əbzɑ́lv] : 「赦す、免除する、解放する、〜が無実であると認める」
❖ "And that in complete ~ "「そして、ホーリー・スピリットは次のようにも教えるだろう」。「完全な赦しの状態にあっては、」"in which you recognize ~ "「その状態では、あなたは、赦すものは何も無いと気づくのだが、」"you are absolved ~ "「あなたが、完全に赦されている」と教えるだろう。あなたは無条件にすべてを赦すのである。その結果、もう赦す対象はなくなってしまう。その時、あなたはあなた自身が、完全に赦されていると知るのだ。つまり、無辜(むこ)性の受け入れであり、あなたの贖罪が達成されたことになる。ここは非常に重要な部分であって、あなたが自分の無辜(むこ)性をただ単に主張するだけでは、完全な贖罪は果たされない。あなたが無条件にすべてを赦すことで、初めて、あなた自身が赦され、贖罪が果たされるのである。赦し(forgiveness)、これはACIMの最重要なキーワードである。くどいようだがもう一度言おう、あなたがまず始めに他者を赦さなくてはならない。なぜあなたは他者を赦せるだろうか? それは、他者などいないからだ。他者とは幻想で、自他一如、つまり、他者を赦すことはあなた自身を赦すことであるからだ。ここをもっと掘り下げて行くと、なぜイエス・キリストが、あなたの敵を愛せよと言ったのか、なぜ右頬を叩かれたら左の頬を差し出せと言ったのか、その真意がわかろうというものだ。



2. Hear Him gladly, and learn of Him that you have need of no special relationships at all.
  • gladly [ɡlǽdli] : 「喜んで」
  • special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "Hear Him gladly ~ "「ホーリー・スピリットの話すことに喜んで耳を傾けなさい」。"and learn of Him ~ "「そして、ホーリー・スピリットからthat以下を学び取りなさい」。"that you have need ~ "「あなたは全く、特別な関係性など必要ないのだ」と学び取りなさい。あなたが完全な無辜(むこ)性を達成した今、あなたはもう特別な関係性の中に自分を埋もらせる必要は全くない。あなたに本当に必要なのは、神との聖なる関係であるからだ。



You but seek in them what you have thrown away.
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • thrown [θróun] : 「throw の過去分詞」
  • throw [θróu] : 「〜を投げる、投じる、投入する」
  • throw away : 「〜を投げ捨てる」
❖ "You but seek in them ~ "「しかし、あなたは、特別な関係性の中に、あなたが投げ捨ててしまったものを探している」。孤独、嫉妬、嫌悪、攻撃性、非難罵倒、等々、あなたは他者を赦すことですべてを捨ててしまったはずだ。もはや特別な関係性の中にそれらを追い求めることはない。解放されたのだから。しかし、まだ、あなたは捨てたはずのものを探し回っている。もう、捨てたものを探すのはやめなさい。



And through them you will never learn the value of what you have cast aside, but still desire with all your heart.
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価」
  • cast [kǽst] : 「〜を投げる、脱ぎ捨てる」
  • cast aside : 「投げ捨てる、放棄する」
  • desire [dizáiə(r)] : 「〜を望む、希望する、欲する」
  • heart [hɑ́ː(r)t] : 「心、胸の内、気持ち」
❖ "And through them ~ "「そして、特別な関係性を通しては、あなたは、あなたが捨て去ってしまったものの価値を決して知ることはないであろう」。なぜなら、あなたが捨て去ってしまったものに価値などないから。"but still desire with ~ "「そして、なおも、あなたは心からそれらを望んでいるのだ」。もはや、捨てたものに未練を感じる場合ではないではないか。あなたには明るい未来が開けたのだから。過去を完全に捨て、今現在を生きるべきだ。なぜなら、特別な関係性の中にあった過去という時制は幻想に過ぎないからだ。実在する今という瞬間に生きるべきなのだ。



Let us join together in making the holy instant all that there is, by desiring that it be all that there is.
  • join [dʒɔ́in] : 「結び付ける、結合する、連結する、合わせる」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
  • join together : 「結合する、団結する、合流する、手を携える」
  • make [SVOC] : 「〜の状態を作り出す、〜にする、〜になる」
  • desire [dizáiə(r)] : 「〜を望む、希望する、欲する」
❖ "Let us join together ~ "「聖なる瞬間を、存在するすべてにする他めに、一緒になろう」。"by desiring that ~ "「聖なる瞬間が存在のすべてになることを願うことで」。ここの、"that it be all ~ "において、なぜ"be"になっているかというと、これは仮定法現在であるからだ。願っているということはまだそれが実現していないということで、仮定法現在なわけである。"should be ~"というように"should"を補うと意味が取りやすだろう。理屈はともかく、これ以降は朗読すべき箇所である。ACIMの文章の美しさ十分に味わおう。原文を苦労しながら読んでいる者の特権である。あなたはその特権をもっているのだ。



God's Son has such great need of your willingness to strive for this that you cannot conceive of need so great.
  • great [gréit] : 「大きい、大きな、巨大な」
  • willingness [wíliŋnis] : 「意欲、いとわずにすること、快くすること」
  • strive [stráiv] : 「努力する、努める、奮闘する、励む」
  • conceive [kənsíːv] : 「思い付く、想像する、心に描く、思い付く」
  • conceive of : 「〜を考え出す、〜を想像する、〜を心に描く」
❖ "God's Son has such great ~ "ここは"such ~ that ~ "の構文、「神の子は、聖なる瞬間が存在のすべてであるようにするために努力する必要性があまりにも大きく感じられるので、」"that you cannot conceive ~ "「あなたは、それほど大きな必要性のあることを他に思いつくことは出来ないだろう」。回りくどい言い方をしているが、聖なる瞬間が存在のすべててあるようにすることが、一番大きな必要性だ、ということ。



Behold the only need that God and His Son share, and will to meet together. You are not alone in this.
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • meet [míːt] : 「〜に会う、〜と会合する、〜と接触する」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
❖ "Behold the only need ~ " 「神と神の子が分かち合い、共に出会おうする唯一の必要性だけに注意を向けなさい」。聖なる瞬間が存在のすべてであるように、その必要性だけを、神と神の子は共有しているということ。それ以外に何が必要であろう? "You are not alone ~ "「ここにおいて、あなたは一人ぼっちではない」。だから、幻想世界の特別な関係性を求める必要性はまったくないのだ。



The will of your creations calls to you, to share your will with them. Turn, then, in peace from guilt to God and them.
  • creation [kriéi∫n] : 「創作物、作品、創造、創作」
  • call to : 「〜に声をかける」
  • turn from : 「〜から離れる、〜をやめる」
  • in peace : 「平和に、平安に、安らかに、安心して」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "The will of your ~ "「あなたが創造したものたちの意思が、あなたに呼びかけている」。"to share your will ~ "「あなたの意思を彼らと分かち合おうと」。あなたが創造したものとは、喜びであり、愛であり、平和であり、美であり、真実である。ここでは、それを擬人化していると思っていいだろう。あなたが創造した想念のことだ。あるいは、もっと現実的に考えて、聖なる瞬間に引き入れたあなたの同胞たちと考えても意味は通じる。"Turn, then, in peace from ~ "「そこで、罪の意識から、神へと、あなたの創造したものたちへと、心安らかに向かいなさい」。声に出して読むと、ACIMの詩的な文章の美しさが伝わってくるではないか。真実は美しいのだ。
 
 
 

T-15.VII.13:1 ~ T-15.VII.14:10

13. Forgiveness lies in communication as surely as damnation lies in guilt.

  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • communication [kəmjùːnikéi∫n] : 「伝達、通信、連絡、交信 」
  • surely [∫úə(r)li] : 「疑いなく、しっかりと、確かに、確実に、必ず」
  • damnation [dæmnéi∫n] : 「ののしり、非難」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "Forgiveness lies in ~ "「非難罵倒が罪の意識の中に確かに存在するように、赦しはコミュニケーション中に存在する」。罪の意識をもってすれば、相手を非難罵倒することになるだろうが、コミュニケーションを司る心をもってすれば、人を赦すことが出来る、という意味。



It is the Holy Spirit's teaching function to instruct those who believe communication to be damnation that communication is salvation.
  • function [fʌ́ŋ(k)∫n] : 「職務、役割、機能、作用、働き」
  • instruct [instrʌ́kt] : 「〜に教える、指導する、教授する」
  • those who : 「〜する人々」
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
❖ "It is the Holy Spirit's ~ "ここは"it ~ to ~ "の構文、「〜はホーリー・スピリットの教えの役目である」。"to instruct those who ~ "「コミュニケーションは非難罵倒であると信じている者たちに、コミュニケーションは救済なのだと教えること」はホーリー・スピリットの教えの役目である。コミュニケーションは救いであると教えることがホーリー・スピリットの使命である。



And He will do so, for the power of God in Him and you is joined in a real relationship so holy and so strong, that it can overcome even this without fear.
  • power [páuə(r)] : 「力、能力、勢力」
  • join [dʒɔ́in] : 「結び付ける、結合する、連結する、合わせる」
  • real [ríː(ə)l] : 「本物の、実在する、基本的な」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • strong [strɔ́(ː)ŋ] : 「強い、力がある、力強い、強力な、強固な」
  • overcome [òuvə(r)kʌ́m] : 「克服する、乗り越える、乗りきる、切り抜ける、打開する」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
❖ "And He will ~ "「そして、ホーリー・スピリットはそうするであろう」。ホーリー・スピリットはきちんと役目を果たすのである。"for the power of God ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、「なぜなら、ホーリー・スピリットとあなたの中にある神のパワーは、本当の関係性の中であまりにも神聖で力強く結びつものだから、」二つのパワーが重なりあってより神聖により力強くなるのである。"that it can overcome ~ "「そのパワーは、恐れることなく、こんなことなど克服出来るのである」。こんなこととは、コミュニケーションが非難罵倒に質転換するようなこと。それを克服して、コミュニケーションを真の救いに高めるのである。



14. It is through the holy instant that what seems impossible is accomplished, making it evident that it is not impossible.
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • seem [síːm] : 「〜のように見える、〜するように思われる」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない、無理な」
  • accomplish [əkɑ́mpli∫] : 「成し遂げる、成就する、達成する、遂げる」
  • evident [évid(ə)nt] : 「明白な、明らかな、確かな」
❖ "It is through the holy instant ~ "「that以下は、聖なる瞬間を通し可能となる」。"that what seems impossible ~ "「不可能と思えることが成し遂げられるのは」聖なる瞬間を通して可能となる。"making it evident that ~ "分詞構文、単純接続、「そして、それが不可能ではなかったことを明らかにするのである」。聖なる瞬間は奇跡の瞬間である。不可能と思われたことが可能となる瞬間であるのだ。



In the holy instant guilt holds no attraction, since communication has been restored.
  • attraction [ətrǽk∫n] : 「引力、魅力、誘引」
  • restore [ristɔ́ː(r)] : 「回復させる、修復する、復活させる」
  • since [síns] : 「〜なので、〜だから」
❖ "In the holy instant ~ "「聖なる瞬間にあっては、罪の意識は何の魅力も保持出来ない」。もはや、罪の意識に心引かれることはない。"ince communication has ~ "「なぜなら、コミュニケーションが修復されたからだ」。ホーリー・スピリットや神と真のコミュニケーションを交わす方がずっと魅力に富んでいるからだ。



And guilt, whose only purpose is to disrupt communication, has no function here.
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨」
  • disrupt [disrʌ́pt] : 「〜を混乱させる、崩壊させる」
  • function [fʌ́ŋ(k)∫n] : 「機能、作用、働き、効用、職務、役割」
❖ "And guilt, whose only ~ "「そして、コミュニケーションを崩壊させることが唯一の目的である罪の意識は、ここではもはや何の機能も果たせないのだ」。罪の意識は目的を失い、消滅する。



Here there is no concealment, and no private thoughts.
  • concealment [kənsíːlmənt] : 「隠すこと、隠匿」
  • private [práivət] : 「私的な、自分だけが持つ、個人の、私有の」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、見解、思考、思索、熟考」
❖ "Here there is no ~ "「ここでは(聖なる瞬間においては)、隠し事はない」。"and no private ~ "「自分だけの思いもない」。すべては隠蔽されることなく、占有されることなく、みんなと分かち合われるのである。分かち合われることで、拡張増大する。喜びも愛も平和もどんどん膨らんでいくのだ。



The willingness to communicate attracts communication to it, and overcomes loneliness completely.
  • willingness [wíliŋnis] : 「意欲、進んですること」
  • attract [ətrǽkt] : 「引き込む、引き付ける、魅惑する、魅了する」
  • overcome [òuvə(r)kʌ́m] : 「克服する、乗り越える、乗りきる」
  • loneliness [lóunlinəs] : 「孤独、寂しさ、独りぼっち」
  • completely [kəmplíːtli] : 「完全に、十分に、全面的に、全く、徹底的に」
❖ "The willingness to communicate ~ "「コミュニケーションしたいと思う意欲が、コミュニケーションを引き寄せる」。"and overcomes ~ "「そして、孤独を完全に克服するのである」。もはや、あなたは一人ではない。ホーリー・スピリットと神があなたの傍らにいるのだ。



There is complete forgiveness here, for there is no desire to exclude anyone from your completion, in sudden recognition of the value of his part in it.
  • complete [kəmplíːt] : 「完全な、全部の、徹底的な、全面的な」
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • desire [dizáiə(r)] : 「欲望、欲求、願望、念願」
  • exclude [iksklúːd] : 「〜を排除する、締め出す、〜を除く、除外する」
  • completion [kəmplíː∫n] : 「完成、完了、終了」
  • sudden [sʌ́dn] : 「突然の、いきなりの、唐突な」
  • recognition [rèkəgní∫n] : 「認識、認証、正当性の認識」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価、有用性、重要性」
  • part [pɑ́ː(r)t] : 「分担、役、役目、役割」
❖ "There is complete ~ "「ここには完全な赦しがある」。ここの赦しは、他者を完全に受け入れること、と考えていい。"for there is no desire to ~ "「なぜなら、あなたの完成のために他者を排除したいという願望がないからであり、」自分が完成されるためには、アイツは除外されなくてはならない、なんて思うことはない。"in sudden recognition ~ "分詞構文、理由、先頭にbeingを補う、「それは、あなたの完成のためにその他者が果たすべき役割の価値を、突然認識するからである」。他人として分離した存在の同胞を目にしてきたが、自分が神の子として完全に完成されるには、神の子全体の心の再統一が絶対に必要な条件であり、そのためには他者の参加が是非とも必要なのである。一人たりとも欠けたなら、心の再統一は完璧な形で成就されないからだ。



In the protection of your wholeness, all are invited and made welcome.
  • protection [prəték∫n] : 「保護、守ること、擁護、防御、防衛」
  • wholeness [hóulnis] : 「全体性、完全性」
  • invite [inváit] : 「招待する、招く、案内する」
  • welcome [wélkəm] : 「有り難い、うれしい、歓迎される」
❖ "In the protection of ~ "あなたが他者を排除することがないので、「あなたの完全性を守ろうとして、」"all are invited and ~ "「すべての神の子が招かれ、歓迎されるのである」。あなたはすべての神の子をあなたの内側に招き入れ、歓迎し、そうしてあなたの完全性が安全に達成されるのだ。あなたが完成するとは、自体一如によって同胞もまた完成される。



And you understand that your completion is God's, Whose only need is to have you be complete.
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • completion [kəmplíː∫n] : 「完成、完了、終了」
  • need [níːd] : 「必要性、必要なもの、必要物」
  • complete [kəmplíːt] : 「完全な、全部の、徹底的な、全面的な」
❖ "And you understand that ~ "「こうして、あなたは、あなたの完全性が神のものであると理解する」。あなたが完全であるのは、あなたが勝手に自分をそうしたのではなく、神があなたを完全な形で創造してくれたからだと悟るのである。つまり、あなたの完全性は神のものであると知るのだ。"Whose only need is to have ~ "「その神が唯一の必要としていることは、あなたを完全なものにすることである」。神の子が神から分離することで、神の子はその完全性を忘れてしまった。忘れることで完全性が崩れたのである。しかし、神とホーリー・スピリットと神の子の三位(さんみ)が再び一体となるには、神の子の完全性が保証されなくてはならない。なぜなら、完全なものと不完全なものが一体になることは出来ないからだ。したがって、神は、神の子が完全になることを切に望むのである。つまり、神の子が自らを完全なものとして思い出すことを悲願するのである。



For your completion makes you His in your awareness.
  • awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
❖ "For your completion ~ "「なぜなら、あなたの完全性は、あなたの意識の中ではっきりと、あなたを神のものとするからである」。なんとも下手くそな訳で申し訳ない。あなたが完全な神の子として生まれ変わったとき、あなたは自分が神によって創造された神聖な存在であることを、はっきりと意識的に認識出来るのである。あなたは神に帰属するのであって、エゴに帰属するのではない。ましてや、一人ぼっちの孤独に陥る存在ではないのだ。つまり、あなたが神に愛されている存在だと気づくことが、結局、あなたが完成された証拠となるのである。


And here it is that you experience yourself as you were created, and as you are.
  • experience [ikspí(ə)riəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、〜を作り出す」
❖ "And here it is that you ~ "「そして、ここに至ってthat以下であると言えるのだ」。"that you experience ~ "「あなたがあなた自身を、(神によって)創造されたものとして、あるがままの自分として経験する」と言えるのだ。実際、声に出して読んでみると、イエスの息づかいが感じられるだろう。あまり理屈を追わず、その息づかいを感じるに止めよう。
 
 
 

T-15.VII.11:1 ~ T-15.VII.12:5

11. The Holy Spirit cannot teach through fear. And how can He communicate with you, while you believe that to communicate is to make yourself alone?

  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
  • communicate [kəmjúːnikèit] : 「連絡する、通信する、交信する」
  • while [(h)wáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • make [SVOC] : 「〜を〜な状態にする」
  • alone [əlóun] : 「独りで、ただ〜だけで、唯一の、離れて」
❖ "The Holy Spirit cannot ~ "「ホーリー・スピリットは、恐れを煽り立てて教えることなど出来ないのだ」。それはエゴの手段である。"And how can He communicate with ~ "「あなたが、コミュニケーションはあなたを一人ぼっちにすると信じている間、ホーリー・スピリットはどうやってあなたとコミュニケーションをとることが出来るだろうか」。あなたは神との、あるいはホーリー・スピリットとのコミュニケーションを恐れている。真実を知るのが怖いのだ。自分の罪が暴き立てられ、罰を与えられるかもしれないと思っているからだ。もしそんな事になったら、あなたは孤独のどん底に叩き落とされてしまうではないか。あなたは恐れている。しかし、あなたが自分の自由意志をもって、ホーリー・スピリットとのコミュニケーションを望まない限り、ホーリー・スピリットはあなたとコミュニケーションの取りようがないのだ。



It is clearly insane to believe that by communicating you will be abandoned. And yet many do believe it.
  • clearly [klíə(r)li] : 「はっきりと、疑いもなく、明らかに」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • abandon [əbǽndən] : 「捨てる、遺棄する、見捨てる、捨て去る、置き去りにする」
❖ "It is clearly insane ~ "ここは"It ~ to ~ "の構文、「(ホーリー・スピリットと)コミュニケーションを交わすことであなたが捨てられると信じることは、明らかに狂っている」。"And yet many ~ "「しかし、多くの者が、それを信じているのだ」。ホーリー・スピリットも神も、決して罪をあげつらってその罪を裁き、罰を与えることなどしない。出来ないのだ。実相世界には、裁くという概念もなければ、罰するという概念もない。存在しないことがどうして出来ようか。さらに、神の子を捨てるなどということも、決してしない。原理的に出来ないのだ。捨てるという概念が実相世界には存在しないからである。しかし、どうしてこれほど多く者が、神を恐れ、天の王国を恐怖するのであろうか? もちろん、思い込みも原因の一つだろうが、多種多様な宗教の功罪も大きいと思う。地獄という概念、最後の審判という概念、等々の脅しが宗教の根本理念に据えられている現状を考えると、多くの人が神を畏れる気持ちも理解出来ないことはない。これは一種の恐喝であると私自身は考えている。恐喝されて恐れる者より、恐喝する者の方が悪いに決まっている。これはヤクザな業(わざ)である。もしあなたが何かの宗教に属し、何らかの形で恐怖を扇ぎ立てられるようであれば、断言していい、その宗教はヤクザである。恐れをかきたてて金を絞りとろうとするヤクザな宗教に違いない。忠告助言しよう、そんな宗教は即刻やめなさい。この際だから言っておきたいのだが、信じるものだけが天国へ入れるとか、特別な者だけが極楽へ行けるなどとぬけぬけと主張する宗教もヤクザだ。金を払ってお祓いすれば安泰だとぬかす宗教もヤクザそのものである。神は完全平等であり、実相世界には差別という概念はないのだ。上下もなければ位(くらい)もない。そんなちゃちなものが天の王国にあるはずがない。あったとしたら、それは天の王国ではない。ヤクザの王国である。いったい、あなたはその宗教の勧めるヤクザの王国に入りたいのか? ヤクザの王国に入って、親分に隷属する子分になりたいのか? 



For they think their minds must be kept private or they will lose them, but if their bodies are together their minds remain their own.
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • private [práivət] : 「個人の、私有の、私的な、自分だけが持つ」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである、残る、残存する」
❖ "For they think their minds ~ "「なぜなら、彼らは、心は個人的なものとして保たれなくてはならず、そうでなかったら、自分を失ってしまうと思っているからであり、」"but if their bodies are ~ "「体が一緒だとしても、心は自分のものとしてあり続けると思っているからである」。肉体はさらけ出すことは出来るが、心は秘密のままにしておきたいのだ。なぜなら、心が盗まれたら自分でなくなってしまうと信じているからだ。彼らには、心を通わせ、思いを分かち合うという概念が欠けているのである。ましてや、神の子として心は一つであるという真実は想像もつきますまい。



The union of bodies thus becomes the way in which they would keep minds apart.
  • union [júːnjən] : 「結合、合併、融合、団結」
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、こんなふうに、それ故に、従って」
  • way [wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
  • apart [əpɑ́ː(r)t] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに、別々に」
❖ "The union of bodies thus ~ "「こうして、肉体的な結びつきは、心を離れ離れにしておく方法となるのである」。心が通い合わなくても、肉体的な距離の近さだけで満足しようとするわけだ。



For bodies cannot forgive. They can only do as the mind directs.
  • forgive [fə(r)gív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • direct [dərékt] : 「〜に命令する、〜に指図する」
❖ "For bodies cannot ~ "「なぜなら、肉体は赦すということは出来ないからである」。肉体が赦すことが出来たら、心を売り飛ばすことになるだろうが、幸いなことに、肉体は赦すことは出来ず、したがって、心は安泰だと考えるわけだ。"They can only do ~ "「肉体は、心の指図通りに動けるだけだ」と考えるのである。真実の存在である心として生きるよりは、幻想の肉体として生きる方を選んでいるのだ。



12. The illusion of the autonomy of the body and its ability to overcome loneliness is but the working of the ego's plan to establish its own autonomy.
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚、幻影」
  • autonomy [ɔːtɑ́nəmi] : 「自治、自律性、自主性」
  • ability [əbíləti] : 「能力、才能、できること、手腕」
  • overcome [òuvə(r)kʌ́m] : 「克服する、乗り越える、乗りきる、切り抜ける」
  • loneliness [lóunlinəs] : 「孤独、寂しさ、独りぼっち」
  • working [wə́(ːr)kiŋ] : 「働くこと、運転、操作、機能、仕組み、メカニズム」
  • establish [istǽbli∫] : 「確立する、達成する、樹立する、設立する」
❖ "The illusion of ~ "「肉体の自律性の幻覚と、孤独を克服出来る肉体の能力いう幻覚は、」"is but the working of ~ "「エゴ自身の自律性を確立するプランのなせる業である」。難しい言い方をしているが、エゴが自律性を確立するために、肉体の自律性を利用しているということ。肉体が自律的に動いていることで、心の分離が維持出来るとエゴは考えている。心の分離が維持出来ることで、バラバラな心は互いに反目しあって実相に目覚めることなどしない。かくして、エゴは安泰なのだ。しかも、エゴがあなたを支配していることで、エゴの自律性も確保されるというわけである。つまり、自由気ままにあなたを操れるのだ。



As long as you believe that to be with a body is companionship, you will be compelled to attempt to keep your brother in his body, held there by guilt.
  • As long as : 「〜さえすれば、〜する限り」
  • companionship [kəmpǽnjənʃìp] : 「交友、話し相手、交際」
  • compel [kəmpél] : 「〜に強制的に〜させる、強要する、強いる」
  • be compelled to : 「〜せざるを得ない、やむを得ず〜する」
  • attempt [ətém(p)t] : 「試みる、企てる」
  • held [héld] : 「hold の過去形」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "As long as you believe that ~ "「あなたが、that以下を信じている限り、」"that to be with ~ "「肉体としていることが、人と交わることだ」と信じている限り。つまり、肉体と肉体の交流が人と人の付き合い方なのだと信じている限り、ということ。 "you will be compelled ~ "「あなたは〜を試みざるを得ないだろう」。"to keep your brother ~ "「同胞もまた肉体の中に閉じ込めること」を試みざるを得ないだろう。あなたが肉体として付き合おうというのだから、相手もまた、(心ではなく)肉体として付き合ってもらわなくてはならないと思うのである。"held there by ~ "分詞構文、付帯状況、先頭にbeingを補うとよい、「同胞を、罪の意識でもって肉体に縛り付けることで」。



And you will see safety in guilt and danger in communication.
  • safety [séifti] : 「安全、無事、無難なもの」
  • danger [déin(d)ʒə(r)] : 「危険、危機、危難」
❖ "And you will see ~ "「そしてあなたは、罪の意識の中に安全を見、コミュニケーションの中に危険を見るのだ」。罪の意識でがんじがらめになっているのを見れば、何事も起きることなく安泰だと思い、心がコミュニケーションを始めると、これは何か起きるかもしれないと、危険を感じるようになってしまうのである。



For the ego will always teach that loneliness is solved by guilt, and that communication is the cause of loneliness.
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • loneliness [lóunlinəs] : 「孤独、寂しさ、独りぼっち」
  • solve [sɑ́lv] : 「解く、解決する」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
❖ "For the ego will always ~ "「なぜなら、エゴは常に、孤独は罪によって解決されるし、コミュニケーションは孤独の原因だと教えるであろうから」。孤独は孤独によって解決せよ。つまり、孤独は慣れるしかない、というのがエゴの論。また、他者とコミュニケーションを交わすことで、他者との距離がはっきりわかり、ますます孤独になってしまうというのもエゴの論。



And despite the evident insanity of this lesson, many have learned it.
  • despite [dispáit] : 「 : 〜にもかかわらず、〜をよそに」
  • evident [évid(ə)nt] : 「明白な、明らかな、歴然とした、確かな」
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神病、精神異常」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
❖ "And despite the evident ~ "「そして、このレッスン(エゴの教え)が明白な狂気であるにもかかわらず、」"many have ~ "「多くの者がそれを学んでしまったのである」。そう信じているのである。そこから解放されない限り、心の救いはない。それには、あなたの断固たる決意が必要なのだ。
 
 
 

T-15.VII.9:1 ~ T-15.VII.10:6

9. Suffering and sacrifice are the gifts with which the ego would "bless" all unions.

  • suffering [sʌ́f(ə)riŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲にすること、犠牲、いけにえ」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント、与えること」
  • bless [blés] : 「祝福する、〜を神聖にする、清める、〜に恵まれる」
  • union [júːnjən] : 「結合、合併、融合、団結」
❖ "Suffering and sacrifice are ~ "「苦悩と犠牲は、エゴがそれをもってすべての結合関係を『祝福する』贈り物である」。"all unions"は「すべての特別な関係性」と考えていいだろう。苦悩と犠牲に対して、その贈り物をもって特別な関係性を祝福するとは、特別な関係性が苦悩と犠牲を生み出す様を、エゴは手をたたいて喜んでいる、といった意味合い。



And those who are united at its altar accept suffering and sacrifice as the price of union.
  • those who : 「〜する人々」
  • unite [junáit] : 「〜を結合させる、一つにする、結び付ける」
  • altar [ɔ́ːltə(r)] : 「祭壇、聖餐台」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • price [práis] : 「値段、対価、代価、代償、犠牲、価格」
❖ "And those who are ~ "「そして、エゴの祭壇において結合した者たちは、結合の対価として苦悩と犠牲を受け入れている」。エゴの祭壇とあるが、神の祭壇に対して言われていることであって、実際、心の中に存在するものではあるまい。エゴを信じる者たちの仮想の祭壇と思っていいだろう。エゴの思考システムを信じて特別な関係性で結ばれた者たちは、そのために苦悩と犠牲を強いられることを関係性の維持のための対価と考えているのだ。



In their angry alliances, born of the fear of loneliness and yet dedicated to the continuance of loneliness, each seeks relief from guilt by increasing it in the other.
  • angry [ǽŋgri] : 「立腹して、怒って、憤りを感じて、憤慨して 」
  • alliance [əláiəns] : 「同盟、協力、同盟関係、提携、連合、協調」
  • born [bɔ́ː(r)n] of : 「〜から生まれる、〜のもとに生まれる」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
  • loneliness [lóunlinəs] : 「孤独、寂しさ、独りぼっち」
  • dedicate [dédikèit] : 「〜をささげる、献身する、専念する、打ち込む」
  • dedicated to : 「血道をあげている、〜のために尽くす」
  • continuance [kəntínjuəns] : 「 続けること、継続、持続、連続、存続」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • relief [rilíːf] : 「不安を取り除くこと、苦痛の除去」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • increase [inkríːs] : 「〜を増やす、増大させる、増加させる」
❖ "In their angry ~ "「怒りで結ばれた関係性において、」"born of the fear ~ "「それは、孤独という恐れから生まれ、なおも孤独の継続に専念しているわけだが、」"each seeks relief ~ "「各人は、他方の者の罪の意識を増加させることで、自分の罪の意識の軽減を図ろうとしているのである」。互いに協力しあって罪の意識から解放されようとするのではなく、他方の罪の意識を重くすることで、つまり、他方の罪を非難罵倒することで、相対的に自分の罪の意識の方がずっと軽いと思いたいわけだ。



For each believes that this decreases guilt in him.
  • decrease [dìːkríːs] : 「〜を減らす、減少させる、下げる」
❖ "For each believes that ~ "「なぜなら、各人が、他方の罪の意識を増加させることが、自分の中の罪の意識を減少させてくれると信じているからだ」。しかし、こんなちゃちなトリックが長続きするわけはないだろう。遅かれ早かれ馬脚が露呈し、ますます深い罪の意識にはまり込んで行くのだ。



The other seems always to be attacking and wounding him, perhaps in little ways, perhaps "unconsciously," yet never without demand of sacrifice.
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • attack [ətǽk] : 「を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • wound [wúːnd] : 「〜を傷つける」
  • perhaps [pə(r)hǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • unconsciously [ʌnkɑ́n∫əsli] : 「無意識に、知らず知らずに」
  • demand [dimǽnd] : 「要求、必要、要望、ねだり」
❖ "The other seems always ~ "「他方の者がいつも、彼を攻撃し傷つけているように思われるだろう」。"perhaps in ~ "「多分、ちょっとしたことで、」"perhaps "unconsciously" ~ "「多分、『無意識に』」。"yet never without ~ "ここは二重否定、「しかし、決して犠牲を求めていないわけではない」。相手の罪の意識を増大させるには、無意識的に、ほんの些細なことをあげつらうだけでいい。しかし、そのダメージは大きく、したがって、犠牲にされることも大きい。



The fury of those joined at the ego's altar far exceeds your awareness of it.
  • fury [fjú(ə)ri] : 「激怒、憤慨、憤激、激情」
  • join [dʒɔ́in] : 「結び付ける、結合する、連結する、合わせる」
  • exceed [iksíːd] : 「超える、上回る、突破する」
  • awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
❖ "The fury of those joined ~ "ここは、"The fury of those who are joined ~"ということで、「エゴの祭壇において結びついた者たちの怒りは、あなたがそれを意識することを遥かに越えている」。攻撃や犠牲は、日常生活の中でほんの些細な出来事にからんでなされるのだろうが、それが積もり積もって、彼ら(あなたを含めて)の怒りは爆発寸前の所まで来ているのだ。その負のエネルギーは、あなたの想像を越えている。大きな破壊エネルギーになってしまっている。



For what the ego really wants you do not realize.
  • really [ríː(ə)li] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
❖ "For what the ego really ~ "「なぜなら、エゴが本当に望むことを、あなたは分からないからだ」。あなたは、自分が爆発寸前の所まで来ていることを知らない。しかし、爆発することを、実はエゴは望んでいるのだ。あなたを破壊したいのである。破壊し、完全な廃人として、エゴの服従下に置きたいのである。決して真実を求めることのない、決して目覚めようとしない、植物状態のあなたをエゴは求めている。



10. Whenever you are angry, you can be sure that you have formed a special relationship which the ego has "blessed," for anger is its blessing.
  • whenever [(h)wenévə(r)] : 「いつ〜しようとも、〜するときはいつでも」
  • angry [ǽŋgri] : 「立腹して、怒って、憤りを感じて、憤慨して」
  • sure [∫úə(r)] : 「確信して、確信している、固く信じている」
  • form [fɔ́ː(r)m] : 「〜を形づくる、形成する、整形する」
  • special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • bless [blés] : 「祝福する、〜を神聖にする、〜を賛美する」
  • blessing [blésiŋ] : 「祝福、恩恵、幸運、恵み」
❖ "Whenever you ~ "「あなたが怒りを覚えたときはいつでも、あなたはthat以下を確信出来る」。"that you have formed a special ~ "「あなたはエゴが祝福する特別な関係を形作ったのだ」と確信出来る。"for anger is ~ "「なぜなら、怒りはエゴの祝福なのだから」。祝福という言葉がピンとこなかったら、エゴが与える褒美(ほうび)だと考えていいだろう。あなたが、孤立し、他者を非難攻撃する特別な関係性を構築したとき、その褒美として、エゴはあなたに怒りという感情を与えるのである。そんな褒美をもらっても嬉しくないのだが、受け取ってしまうこともまた事実である。受け取ってしまうが、あなたはその怒りの処理に窮してしまう。ジョン・サーノ医学博士が言うように、あなたは怒りの感情から自分の関心を逸らすために痛みや病を自ら作り出しまうのである。腰痛はその典型であるという。



Anger takes many forms, but it cannot long deceive those who will learn that love brings no guilt at all, and what brings guilt cannot be love and must be anger.
  • form [fɔ́ː(r)m] : 「形、外形、構造、現れ」
  • long [lɔ́(ː)ŋ] : 「長く、長い間、長々と続く」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を知る、分かる、〜を学ぶ」
  • ]bring [bríŋ] : 「〜を連れて来る、〜を持って来る」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "Anger takes ~ "「怒りは多くの形態をとる」。"but it cannot long deceive ~ "「しかし、怒りはthat以下を知った者を長く騙し続けることは出来ない」。"that love brings no ~ "「愛は決して罪の意識をもたらすことはなく、罪の意識をもたらすものは愛である可能性はないし、それは怒りに違いない」ことを知った者を騙し続け得ない。罪の意識と怒りは表裏一体なのだ。それは無辜(むこ)と喜びが表裏一体であることと対照をなす。あるいは、愛と喜びが表裏一体をなす、と言ってもいいだろう。



All anger is nothing more than an attempt to make someone feel guilty, and this attempt is the only basis the ego accepts for special relationships.
  • nothing more than : 「〜にすぎない、〜でしかない」
  • attempt [ətém(p)t] : 「試み、企て、攻撃、襲撃」
  • make : 「〜に〜させる」
  • guilty [gílti] : 「罪の意識がある、後ろめたい、有罪の、犯罪的な」
  • basis [béisis] : 「土台、基礎、基盤、根拠、理由」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
❖ "All anger is nothing more ~ "「すべての怒りは、誰かに罪の意識を感じさせる試みに過ぎないのだ」。"and this attempt is ~ "「そして、この試みこそ、エゴが特別な関係に対して認める唯一の基礎となっている」。罪の意識と怒りが、そして、それを生み出す試みが、エゴの認める特別な関係の基礎である、ということ。



Guilt is the only need the ego has, and as long as you identify with it, guilt will remain attractive to you.
  • need [níːd] : 「必要性、必要なもの、必要物」
  • as long as : 「〜さえすれば、〜する限り、〜である限りは」
  • identify [aidéntəfài] : 「〜を同一に扱う、同一視する」
  • identify with : 「〜と同一であるとする、〜と同一視する」
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
  • attractive [ətrǽktiv] : 「引き付ける、興味をそそる、魅力のある」
❖ "Guilt is the only ~ "「罪こそ、エゴの必要とする唯一のものである」。"and as long as you ~ "「そして、あなたがエゴと自分を同一視する限り、」"guilt will remain ~ "「罪はあなたを引きつけ続けるだろう」。ということは、あなたがエゴと同一視する限り、罪の意識からの解放はあり得ない。怒りからの解放もあり得ない。無辜(むこ)性に目覚めるという贖罪もあり得ない。真実への開眼もあり得ない。そして、神の元への回帰もあり得ないのだ。



Yet remember this; to be with a body is not communication.
  • remember [rimémbə(r)] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • communication [kəmjùːnikéi∫n] : 「伝達、通信、連絡、交信」
❖ "Yet remember ~ "「しかし、これだけは覚えておくように、」"to be with a body is ~ "「肉体として存在していることが、コミュニケーションを成立させているのではない」のだと覚えておきなさい。肉体的な存在として、その肉体の接近がコミュニケーションにつながると思うことは誤りである。肉体による特別な関係性がコミュニケーションを形作るのではない。純粋で神聖な心が真のコミュニケーションを創造するのだ。



And if you think it is, you will feel guilty about communication and will be afraid to hear the Holy Spirit, recognizing in His Voice your own need to communicate.
  • be afraid [əfréid] to : 「〜するのを怖がる、怖がって〜しない」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • communicate [kəmjúːnikèit] : 「通信する、交信する」
❖ "And if you think ~ "「もしあなたが、肉体がコミュニケーションを形成すると思っているなら、」"you will feel guilty about ~ "「あなたはコミュニケーションを交わすことに罪の意識を感じるだろう」。"and will be afraid to ~ "「そして、ホーリー・スピリットの声を聞くのが恐ろしくなるだろう」。"recognizing in His Voice ~ "分詞構文、理由、「なぜなら、ホーリー・スピリットの声に、あなた自身の、(真実なる)コミュニケーションを交わす必要性を認識するからだ」。あなたが肉体を通したコミュニケーションを信じているうちは、罪の意識は消滅しない。しかし、あなたがホーリー・スピリットの声に耳を傾けるとき、自分が本当のコミュニケーションを交わして来なかったことに気づき、真のコミュニケーションを交わしたい必要性を認識するのである。しかし、今のあなたはそれを恐れている。ホーリー・スピリットの声を聞くことすら恐れている。真実を恐れているからだ。だが、その恐れを突破出来きたとき、あなたに新たな真実のコミュニケーションの可能性が開かれる。それを信じることが、はたしてあなたに出来るだろうか? 
 
 
 

T-15.VII.7:1 ~ T-15.VII.8:9

7. In such insane relationships, the attraction of what you do not want seems to be much stronger than the attraction of what you do want.

  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • attraction [ətrǽk∫n] : 「引き付けるもの、引力、魅力、誘引」
  • strong [strɔ́(ː)ŋ] : 「強い、強力な」
❖ "In such insane ~ "「そのような狂った関係性の中にあっては、あなたが望まないことに惹かれる力は、あなたが望むことに惹かれる力に比べてより強いように思われる」。これは、2元論世界の必然であって、あなたに望むことがあれば、対極として望まないことが必ず生まれる。相反する2元が存在してしまい、その綱引きが始まるのだ。あなたは望まないとは言え、その望まないことに強く惹かれるという現象が生じる。コンフリクトが起きるのである。例えば、生きる望みを代表する、生への欲望をエロスと言うのに対して、死を望む、死への欲望をタナトスと言う。この両者が渾然としてあなたの心の中に存在することになる。では、エロスとタナトスが綱引をすると、どうなるであろうか? 往々にして、マイナスの力、陰なる力にあなたは強く引かれてしまうのである。負の力は侮(あなど)れない。正の力を凌ぐことが往々にしてある。



For each one thinks that he has sacrificed something to the other, and hates him for it.
  • each one : 「各自」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「〜をささげる、〜をいけにえにする、〜を犠牲にする」
  • hate [héit] : 「〜を憎む、〜をひどく嫌う」
❖ "For each one thinks that ~ "「なぜなら、(関係性をもった二人の)各々が、that以下と思うからである」。"that he has sacrificed ~ "「他方の者のために何かを犠牲にし、そのために他方の者を嫌う」と思うからである。幻想世界の愛の必然で、相手を愛していると同時に、嫌悪し、恨み、憎悪するのである。その根底に、犠牲があると言っている。関係性を築いたことで制限が生まれ、制限が犠牲につながる。犠牲は恨みを生み出し、憎悪へと発展する。幻想世界の愛が変化流動していく道筋である。



Yet this is what he thinks he wants. He is not in love with the other at all. He merely believes he is in love with sacrifice.
  • be in love with : 「〜に恋して、〜といい仲で、〜に心を奪われて」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、犠牲にすること、いけにえ」
❖ "Yet this is what ~ "「しかし、これこそが、自分の望むものだと思うのである」。憎悪に裏打ちされた愛こそが本物の愛で、それを望んでると信じてしまうのだ。つまり、自己欺瞞(じこぎまん)が顔を出す。"He is not in love ~ "「彼は他方の者をまったく愛してはいない」。憎悪を隠し持った愛をどんなに尊重しても、それで人を愛しているなどとは決して言えない。"He merely believes ~ "「彼は単に、犠牲に恋していると信じているだけだ」。自分は愛の犠牲者だ、というわけである。自己欺瞞から自己憐憫(じこれんびん)へと発展するのである。愛したが故に傷ついた自分を哀れと思うわけだ。



And for this sacrifice, which he demands of himself, he demands that the other accept the guilt and sacrifice himself as well.
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • as well : 「同じに、同様にうまく、その上、なお」
❖ "And for this sacrifice ~ "「そして、この犠牲のために、」"which he demands ~ "「もっとも、その犠牲は自分で求めたものではあるが、」"he demands that ~ "「彼はthat以下を要求する」。"that the other accept ~ "「他方の者も罪を受け入れ、同じように自分を犠牲にすること」を要求する。自分と同じように、愛の根底に罪の意識と犠牲の意識を持つようにと、他方の者に要求するのである。つまり、同じ穴のムジナになれ、というわけだ。そうでないと、狂った関係性は保てなくなるからだ。関係性を正しく純粋なものへと昇華させるのではなく、関係性を狂ったまま、あるいは腐ったまま、維持保存しようとする。自己保身である。まさに関係性は、腐れ縁となるのである。



Forgiveness becomes impossible, for the ego believes that to forgive another is to lose him.
  • Forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • forgive [fə(r)gív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • another [ənʌ́ðə(r)] : 「もう一つ、もう一人」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
❖ "Forgiveness becomes ~ "「赦しは不可能となる」。"for the ego believes ~ "「なぜなら、エゴは、他者を赦すことは、その人を失うことだと信じているからだ」。つまり、他者を赦すことは、他者への支配権を失うことだと信じているわけだ。互いに隷属関係になっているその関係性を破壊するような赦しを認めるわけにはいかないのである。あくまでも他者を罪ある者として、犠牲者として保存しておきたいためである。



It is only by attack without forgiveness that the ego can ensure the guilt that holds all its relationships together.
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • ensure [en∫úə(r)] : 「〜を確かにする、保証する、請け合う、確保する」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
❖ "It is only by attack without ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文、「すべての関係性を一緒に束ねている罪の意識を、エゴが確実なものに出来るのは、赦しなき攻撃のみである」。赦しへのエネルギーを、全く逆方向の攻撃性へ振り向かせるのである。他者を攻撃することで赦しを忘れるためである。ところで、赦し(forgiveness)はACIMの最重要なキーワードである。一連の文章を読んでお気づきだと思うが、あなたの攻撃性を退治する最大の武器はこの赦しなのである。無条件で赦す気持ちが出来れば、あなたはエゴを退散させることが出来る。つまり、攻撃性を攻撃性で攻撃しても無駄。攻撃性をやっつけるには赦ししかないのだ。



8. Yet they only seem to be together. For relationships, to the ego, mean only that bodies are together.
  • seem [síːm] : 「〜のように見える、〜するように思われる」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • body [bɑ́di] : 「体、身体、人体、肉体」
❖ "Yet they only seem ~ "「しかし、関係性をもつ二人は、ただ一緒にいるだけとしか見えない」。"For relationships, to ~ "「なぜなら、エゴにとって、関係性とは単に肉体が共にあるということしか意味しないからである」。エゴにとっては、関係性とは、肉体的な距離の近さでしかない。二人の心が分かち合われ、共鳴し合って、共に真実に目覚めようとするような関係性など、エゴの眼中にはないのである。



It is always this that the ego demands, and it does not object where the mind goes or what it thinks, for this seems unimportant.
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • object [ɑ́bdʒikt] : 「目的、目的物、目標物、対象」
  • unimportant [ʌ̀nimpɔ́ː(r)t(ə)nt] : 「重要でない、大切でない」
❖ "It is always this that ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文、「エゴが要求することは、常にこの肉体の接近である」。"and it does not object ~ "「そして、心がどこへ向かうのかとか、心が何を考えているかなどということはエゴの関心の対象ではない」。"for this seems ~ "「なぜなら、こんなことは(エゴにとっては)重要でないからだ」。エゴの関心の中心は、ただ肉体にある。心の動きは無視される。なぜなら、エゴにとって肉体が実在で、心は非実在だからである。もちろん、ホーリー・スピリットにとってはその逆で、肉体は非実在で心が実在である。



As long as the body is there to receive its sacrifice, it is content. To the ego the mind is private, and only the body can be shared.
  • as long as : 「〜さえすれば、〜する限り」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、犠牲にすること」
  • content [kɑ́ntent] : 「満足している」
  • private [práivət] : 「個人の、私有の、私的な、自分だけが持つ」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "As long as the body is ~ "「肉体がそこにあって、犠牲を受けている限り、エゴは満足する」。"To the ego the mind ~ "「エゴにとって心は、個人的に所有されるものであって、」"and only the body can ~ "「肉体だけが分かち合えるものなのである」。エゴは、心の分かち合いを認めない。快楽的な、肉体の分かち合いのみを認める。快楽的と書いたが、犠牲を伴う快楽であるので、痛みを伴う。したがって、その痛みさえも快楽であるわけだ。まさに、錯綜したマゾヒズム的関係と言える。



Ideas are basically of no concern, except as they bring the body of another closer or farther.
  • basically [béisikli] : 「基本的に、根本的に、大筋で」
  • concern [kənsə́ː(r)n] : 「関心事、懸案事項、心配、不安」
  • of concern :「関心事である、心配事である」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • close [klóus] : 「近い、接近した、近接した、緊密な」
  • bring [bríŋ] : 「〜を連れて行く、〜を持って来る」
  • farther [fɑ́ː(r)ðə(r)] : 「さらに遠い、もっと遠い」
❖ "Ideas are basically ~ "「(エゴにとって、)想念は基本的に関心外である」。"except as they bring ~ "「もっとも、想念が他者の肉体を近づかせたり遠のかせたりする場合は除かれる」。心の発する想念が、肉体の距離に影響を与えるときだけ、エゴは想念に関心をもつ。それ以外の想念など、エゴにとって非実在である。



And it is in these terms that it evaluates ideas as good or bad. What makes another guilty and holds him through guilt is "good."
  • term [tə́ː(r)m] : 「条項、条件、規約、期限、期間、語、言葉」
  • evaluate [ivǽljuèit] : 「評価する、審査する、判断する」
  • guilty [gílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "And it is in these terms ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文、「そして、エゴが想念の良し悪しを評価するのは、これらの条件を満たした時である」。エゴにとって、想念が肉体的距離を縮めれば、それは良い想念。肉体的距離を広げれば、それは悪い想念、ということになる。"What makes another guilty ~ "「他者に罪の意識を持たせ、罪の意識を通じて他者を保持出来るようであれば、それは良い(想念)である」。悪い想念はその逆となる。すなわち、・・・次の文。



What releases him from guilt is "bad," because he would no longer believe that bodies communicate, and so he would be "gone. "
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ、離す」
  • no longer : 「もはや〜でない」
  • communicate [kəmjúːnikèit] : 「連絡する、通信する、交信する」
❖ "What releases him ~ "「他者を罪の意識から解放するものであれば、(エゴにとって)それは悪い(想念)である」。"because he would no longer believe ~ "「なぜなら、罪から解放された他者は、もはや肉体がコミュニケーションを交わすことなど信じられなくなるからであり、その結果、彼はいなくなってしまうからだ」。だから悪い想念だとエゴは思うのである。さて、罪の意識から解放される前は、肉体と肉体が接近し合って、そこにコミュニケーションが生じていると信じられていた。しかし、それは罪の意識が肉体の存在を幻想させた結果であり、罪の意識から解放され、したがって肉体という幻想から解放された後では、もはや、肉体同士がコミュニケーションを交わすことが出来るなどとは信じられなくなるのである。つまり、神との真のコミュニケーションを経験すれば、肉体同士のコミュニケーションは偽物だと気づくわけだ。こうして、偽りから解放されることで、彼はエゴから離れて行くことになる。エゴなら見れば、彼は去ってしまうのである(he would be "gone. ")。
 
 
 

T-15.VII.5:1 ~ T-15.VII.6:10

5. It is this chain that binds the Son of God to guilt, and it is this chain the Holy Spirit would remove from his holy mind.

  • chain [t∫éin] : 「鎖、連鎖、束縛」
  • bind [báind] : 「〜を縛る、結び付ける、〜を束縛する、拘束する」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • remove [rimúːv] : 「取り除く、取り去る、取り外す、除去する」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • mind [máind] : 「心、心情、精神、気性、心性」
❖ "It is this chain that ~ "強調構文、「神の子を罪の意識に縛り付けているのはこの特別な関係性の連鎖である」。"and it is this chain ~ "「また、ホーリー・スピリットが、神の子の神聖な心から取り除こうとしているのはこの特別な関係性の連鎖である」。神の子が特別な関係性を求めている限りは、罪の意識を断ち切ることは出来ない。そこで、ホーリー・スピリットに、特別な関係性を取り除くための指導を求めることになる。それはホーリー・スピリットの使命でもある。



For the chain of savagery belongs not around the chosen host of God, who cannot make himself host to the ego.
  • savagery [sǽvidʒri] : 「残忍性、残虐性」
  • belong [bilɔ́(ː)ŋ] : 「合っている、なじんでいる、〜に属する」
  • around [əráund] : 「近くに、そばに、〜の周りに、〜の周囲に」
  • chosen [t∫óuzn] : 「choose の過去分詞形、選ばれた、好きな」
  • host [hóust] : 「主人、宿主、亭主」
❖ "For the chain of savagery ~ "「なぜなら、残忍性の連鎖は、神が選ばれたホスト役の近くにはふさわしくないからだ」。特別な関係性は他者を排他攻撃する性質を持っているので、"the chain of savagery"「残忍性の連鎖」と表現したのだろう。また、神が選んだホスト役とは次のような意味合いがある。神はその側(かたわら)に神の子を常に置いておき、共に平和や喜びを分かち合いたいと思っているのである。愛の分かち合いの対象が、神の選んだホスト役ということになる。その神の選んだホスト役である神の子は、"who cannot make himself ~ "「自分自身を、エゴの子分になど出来ないのである」。同じ"host"という言葉を使っているが、意味合いは全く異なる。こちらのホストは、エゴに隷属するホスト、いわばヤクザの子分といった意味合いである。



In the name of his release, and in the Name of Him Who would release him, let us look more closely at the relationships the ego contrives, and let the Holy Spirit judge them truly.
  • in the name of : 「〜の名において」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
  • closely [klóusli] : 「綿密に、密接に、念入りに、接近して、厳密に、詳しく」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • contrive [kəntráiv] : 「立てる、企画する、作る、考案する、たくらむ、策動する」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を判断する、〜を裁く」
  • truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に、正確に、忠実に、偽りなく」
❖ "In the name of his ~ "「(神から選ばれたホスト役である)神の子の解放という名において、」それを旗印に、それを目的に、という意味。"and in the Name of ~ "「そして、神の子を解放するホーリー・スピリットの名において、」ホーリー・スピリットの、解放のパワーを借りて、といった意味合い。"let us look more closely ~ "「エゴのたくらむ関係性をもっと詳しく見ていこう」。"and let the Holy Spirit ~ "「そして、エゴのたくらむ関係性を、ホーリー・スピリットに正しく判断してもらおう」。あなたが判断するのではなく、判断はホーリー・スピリットに任せるのである。実相世界に目覚めていないあなたには、正しい判断はまだ出来ないからだ。



For it is certain that if you will look at them, you will offer them gladly to Him.
  • certain [sə́ː(r)tn] : 「確実な、確かな、確信して、間違いのない」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • gladly [ɡlǽdli] : 「喜んで」
❖ "For it is certain that ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文、「もしあなたが、エゴのたくらむ関係性を、目を凝らして見るならば、」"you will offer them ~ "「その関係性を、喜んでホーリー・スピリットに差し出すことになるだろうからだ」。エゴのたくらみを自分で認識した上で、その関係性をホーリー・スピリットに差し出し、判断してもらうわけだ。



What He can make of them you do not know, but you will become willing to find out, if you are willing first to perceive what you have made of them.
  • find out : 「見いだす、気が付く、知ってしまう」
  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する、〜に前向きである」
  • first [fə́ː(r)st] : 「そもそも、まず、初めて、最初に」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "What He can make of ~ "あなたが差し出した、エゴの画策する関係性を、「ホーリー・スピリットがどう判断するか、あなたには分からない」。"make of"を「判断する」と解釈した。あなたが差し出した関係性を使って、ホーリー・スピリットが作り出すことの出来るもの、つまり、判断可能なこと、ととらえたからだ。"but you will become willing ~ "「しかし、もし、あなたがエゴの画策した関係性から何を作ったか、まず最初に知ろうとするなら、あなたは、ホーリー・スピリットの答えを知りたいと思うようになるだろう」。ホーリー・スピリットに判断を委ねてしまって、それで終りとしてもいいのだが、判断を委ねる前に、あなたは特別な関係性を吟味し、それが他者を排他し、他者を攻撃した実態を目の当たりにしたのだから、いったいホーリー・スピリットがあなたの特別な関係性に対してどんな判断を下し、どのように処理するのか知りたいと思うだろう。非常に回りくどい言い方をしているが、要点は、ホーリー・スピリットに関係性の判断を委ねる前に、まずあなたが、自分の作った関係性が排他攻撃した事実をしっかり認識しなさい、ということ。



6. In one way or another, every relationship the ego makes is based on the idea that by sacrificing itself, it becomes bigger.
  • in one way or another : 「あれこれと、あれやこれやで、いろいろな点で、どうにかして、なんとかして」
  • base [béis] on : 「〜に基づく、〜に準拠する」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「〜を犠牲にする、〜をいけにえにする」
❖ "In one way or another ~ "「色々な点で、エゴの作り出す関係性のすべては、that以下の考えに基づいている」。"that by sacrificing ~ "「自己を犠牲にすることで、関係性はますます大きくなる」という考えに基づいている。さて、どういう意味だろう? エゴの画策する特別な関係性は、平等性を完全に欠いた、一方が他方に隷属する関係である。まず、ここに自己犠牲が見られる。愛を奪うとか、愛で支配するとか、愛に縛られる、腐れ縁である、等々の言葉で表現される関係性は、基幹部分が犠牲である。金や愛欲で結ばれる関係性も、実態のない幻想に依存することなので、自己犠牲と考えていい。心を売り飛ばしたようなものだからである。また、特別な関係性が孤立と排他、そして攻撃に向かうとき、明らかに犠牲が伴なう。平和や喜びを分かち合うことが出来ない関係性であるからだ。つまり、平和、喜びを犠牲にしているわけだ。このように色々な点で、エゴの画策する関係性は犠牲という基本概念に基づいている。そして、不思議なことに、犠牲が多くなればなるほど、あるいは犠牲が大きければ大きいいほど、その関係性自体も強固になるとエゴは信じている。犠牲で傷ついた者同士、その傷を舐め合うことで関係性が強固になると言わんばかりである。しかし、実際、そう思っている人は多いのだ。



The "sacrifice," which it regards as purification, is actually the root of its bitter resentment.
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
  • regard [rigɑ́ː(r)d] : 「〜を〜と見なす」
  • purification [pjù(ə)rəfikéi∫n] : 「浄化、精製」
  • actually [ǽkt∫u(ə)li] : 「実際は、本当は、実は、実のところ」
  • root [rúːt] : 「根、根元、根底、本質、基礎」
  • bitter [bítə(r)] : 「苦々しい、悲痛な、悲惨な、冷酷な、無情の」
  • resentment [rizéntmənt] : 「怒り、敵意、恨み、憤慨、憤り」
❖ "The "sacrifice," which ~ "「『犠牲』は、エゴは浄化と見なしているが、それは、」"s actually the root ~ "「実際のところ、苦々しい怒りの根源である」。犠牲によって生まれる感情は怒りである。ジョン・サーノ医学博士は、無意識は、怒りの発露を恐れて、痛みや病を作り出し、関心を苦々しい怒りから逸(そ)らして痛みや病に向かわせる、と言っている。その怒りの生まれ出る場所は、実は犠牲なのである。そして、犠牲を生み出しているのは、エゴの画策する特別な関係性なのだ。どうだろう、怒り、犠牲、特別な関係性、この三者の連鎖がはっきり見えてくるではないか。



For it would prefer to attack directly, and avoid delaying what it really wants.
  • prefer [prifə́ː(r)] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • directly [dəréktli] : 「直接に、真っすぐに、すぐに、直ちに」
  • avoid [əvɔ́id] : 「避ける、回避する、逃れる」
  • delay [diléi] : 「〜を遅らせる、延期する、滞らせる」
  • really [ríː(ə)li] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に、真に」
❖ "For it would prefer to attack ~ "「なぜなら、怒りは直接攻撃することを好み、(怒りが)本当に望んだことを遅らせることを避けるからだ」。怒りは抑制しにくいものであって、怒りの対象を見つけるとすぐ攻撃する。怒りをこらえて爆発を遅らせることは至難の業だ。



Yet the ego acknowledges "reality" as it sees it, and recognizes that no one could interpret direct attack as love.
  • acknowledge [əknɑ́lidʒ] : 「認める、承認する、同意する、認識する」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • interpret [intə́ː(r)prət] : 「解釈する、解明する、説明する」
  • direct [dáirekt] : 「直接の、真っすぐな」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ "Yet the ego acknowledges ~ "「しかし、エゴは、『現実』を、エゴがそれを見たとおりのものとして認識している」。目に見えるものがエゴの現実である。したがって、"and recognizes that no one could ~ "「エゴは、誰も直接的な攻撃を愛などとは解釈していないことを知っている」。エゴは非難攻撃をオブラートにくるんで、それが愛に満ちた正しい行いであると言ってあなたに納得させようとするのだが、あなたがそんな嘘に騙されていないことをうすうす気づいているのだ。しかし、エゴはゴリ押しするのである。



Yet to make guilty is direct attack, although it does not seem to be.
  • guilty [gílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • although [ɔː(l)ðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが、〜とはいえ」
❖ "Yet to make guilty is ~ "「しかし、(誰かに対して)罪の意識を持たせることは直接的攻撃である」。"although it does not ~ "「たとえそのようには見えないにしても」。表面的に見える攻撃だけが攻撃ではない。意識や心を攻撃する陰湿な直接攻撃も存在する。エゴは、そんな攻撃を好むわけだ。



For the guilty expect attack, and having asked for it they are attracted to it.
  • expect [ikspékt] : 「予期する、期待する」
  • ask for : 「〜を求める、〜を要求する、〜を要する」
  • attract [ətrǽkt] : 「引く、引き込む、引き付ける、魅惑する、魅了する」
❖ "For the guilty expect ~ "「なぜなら、罪の意識は攻撃を予期し、」つまり、罪があるから誰かに攻撃されはしないかと恐れるのである。"and having asked for ~ "分詞構文、理由、「(まるで)攻撃を要求しているので、」"they are attracted ~ "「罪の意識をもっているものは、攻撃に引かれてしまうのである」。錯綜した心理が語られている。エゴの作戦はこうだ。エゴはあなたを攻撃する代わりに、あなたが罪の意識を持ち続けるように仕組む。お前は神を裏切った罪人であると宣告し続けるのである。あなたは自分の心の中に罪の意識を持ち続けることになる。しかし、罪の意識と同時に、神から罰せられる恐れも抱くことになるのだ。そこで、ここが錯綜した心理なのだが、あなたは、神があなたを罰する代わりに、他者があなたを攻撃しあなたを傷めつけることを無意識に望むのである(having asked for it)。一種の自己犠牲であって(マゾヒズム的ではあるが)、自分を痛めつけることで、神の罰を軽減しようとするのである。つまり、あなたは他者からの攻撃に心引かれるのだ(they are attracted to it)。さらに、あなたは孤独と心の痛み、罪の意識と罰への恐れを解消出来ぬままに、あなたと同類の特別な相手を求める。そこに特別な関係を築き、今度は他者を排他攻撃する役回りを演ずることになる。エゴの策略は実に巧妙である。このエゴに対向するのは実に至難技であるのだ。しかし、そこにホーリー・スピリットがいてくれることを感謝しようではないか。
 
 
 

T-15.VII.3:1 ~ T-15.VII.4:6

3. The sick attraction of guilt must be recognized for what it is.

  • sick [sík] : 「病気で、病気の、悪趣味な、病的な、異常な」
  • attraction [ətrǽk∫n] : 「引き付けるもの、引力、魅力、誘引」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「評価する、認める、〜を認識する、〜を認証する」
❖ "The sick attraction of ~ "「罪に対して病的な魅力を感ずることは、それが何たるか、認識する必要がある」。なぜ罪の意識に引かれるか、なぜ罪の意識にこだわるのか、その原因を調べて見なければならない、ということ。あなたの罪の意識はどこからやって来るのか。また、それから逃れたいのか否か。逃れたいなら、どうすればいいのか。



For having been made real to you, it is essential to look at it clearly, and by withdrawing your investment in it, to learn to let it go.
  • real [ríː(ə)l] : 「現実の、実際の、本物の」
  • essential [isén∫l] : 「絶対必要な、必須の、最も重要な、肝心な」
  • clearly [klíə(r)li] : 「はっきりと、疑いもなく、明らかに、明瞭に」
  • withdraw [wiðdrɔ́ː] : 「引っ込める、取り消す、取り下げる、撤回する」
  • investment [invés(t)mənt] : 「投資、投下資本、出資、投資金」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を知る、分かる、〜を学ぶ」
  • let it go : 「あきらめる」
❖ "For having been made ~ "分詞構文、理由、「なぜなら、罪の意識はあなたにとって現実的であるので、」"it is essential to look ~ "ここは"it ~ to ~ "の構文、「罪の意識を明瞭に見ることは絶対必要である」。"and by withdrawing your ~ "「そして、罪の意識に投資することを取り下げることによって、」"to learn to let ~ "「罪の意識を手放してしまうことも絶対必要である」。そのためのACIMである、と言っても過言ではない。



No one would choose to let go what he believes has value.
  • choose [t∫úːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • let go : 「解雇する、手を放す、あきらめる」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価」
❖ "No one would choose ~ "「誰も、価値があると信じているものを手放すことを選択したがらないものだ」。"what he believes has value"は"what has value"「価値があるもの」に"he believes"を挿入して、「価値があると信じているもの」となっている。



Yet the attraction of guilt has value to you only because you have not looked at what it is, and have judged it completely in the dark.
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を判断する、〜を裁く」
  • completely [kəmplíːtli] : 「完全に、十分に、全面的に、全く、徹底的に」
  • dark [dɑ́ː(r)k] : 「闇、暗黒」
❖ "Yet the attraction of guilt ~ "「しかし、罪の意識に引きつけられることは、〜という理由だけで、あなたにとって価値があるのだ」。"because you have not ~ "「あなたは、罪の意識が何たるか見たことはないし、闇の中だけで完全にそれを判断してしまった」という理由だけで、あなたにとって価値があるのだ。つまり、価値判断を誤った、ということ。それは、罪の意識を十分に吟味しなかったことと、幻想の、闇の世界において判断したことが原因になっている。したがって、光の下へ引きずり出して見る必要がある。白日の下にさらすのである。



As we bring it to light, your only question will be why it was you ever wanted it.
  • bring [bríŋ] : 「〜を連れて行く、〜を持って行く」
  • light [láit] : 「光、明かり」
  • question [kwést∫n] : 「質問、問題、疑問、問い、質疑、疑義」
❖ "As we bring it ~ "「私たちが、罪の意識を光の下にもって行くにしたがい、」"your only question will be ~ "「あなたの唯一の疑問は、なぜあなたは罪の意識など欲っしたのだろうか、ということになるであろう」。実相世界の光に当ててみれば、自分が罪の意識を持ったことが不思議に思えてくるのだ。ちょうど、夜見る夢が恐ろしいのものであっても、夢から覚めれば、何であんなに恐ろしかったのだろうかと不思議に思えるのと同じである。



You have nothing to lose by looking open-eyed, for ugliness such as this belongs not in your holy mind.
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • open-eyed : 「目を見開いた、油断のない、抜け目のない」
  • ugliness [ʌ́glinəs] : 「醜さ、醜悪さ」
  • belong [bilɔ́(ː)ŋ] : 「〜に属する、所属する」
  • belong in : 「〜に住む、〜の一員となるにふさわしい」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
❖ "You have nothing ~ "「あなたは、目を見開いて見ることで、失うものは何もないのだ」。"for ugliness such ~ "「なぜなら、この罪の意識のような醜悪なものは、あなたの神聖な心の中に存在してはいないのだから」。罪の意識のような醜いものは単なる幻想、錯覚であって、実在する神聖な心の中に存在出来るものではない。安心して、醜悪なものを、目を見開いて見るべきなのだ。その非実在性をしっかり知ることになるのだから。



This host of God can have no real investment here.
  • host [hóust] : 「主人、宿主、亭主」
  • real [ríː(ə)l] : 「現実の、実際の、本物の」
  • investment [invés(t)mənt] : 「投資、投下資本、出資、投資金」
❖ "This host of God can ~ "「この、神のホスト役は、この(幻想の)世界において、実際の投資など出来ないのだ」。"host of God"「神のホスト役」とは、神の子のこと。神に寄り添って、喜び、平和を分かち合う役、といった意味合い。"real investment"「実際の投資」とは、愛や喜びや平和、創造に、神から受け継いだパワーを使うこと。つまり、神の子は、幻想のこの世界にあって、罪の意識に偽りの投資を続けてきたが、それは夢であって、愛や平和への本当の投資は、実相世界の心の中で行われるものなのだ、ということ。罪の意識への投資は幻想であるので、たとえ投資が失敗しても、あなたは何も失うものはない。安心して、偽りの投資をやめなさい、と言っているわけだ。そして、真実の投資に、あなたをパワーを使うべきなのだ。



4. We said before that the ego attempts to maintain and increase guilt, but in such a way that you do not recognize what it would do to you.
  • attempt [ətém(p)t] : 「〜を試してみる、〜を企てる」
  • maintain [meintéin] : 「〜を保持する、維持する、保つ」
  • increase [inkríːs] : 「〜を増やす、増大させる、増加させる」
  • in such a way that : 「〜といったのような方法で、〜となるように」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
❖ "We said before that ~ "「以前、私たちはthat以下を言った」。"that the ego attempts ~ "「エゴは罪の意識を維持し増大させようと試みている」と言った。"but in such a way that ~ "「その罪の意識があなたに対して何をするか、あなたに分からないようにするやり方で、」罪の意識を維持し増大させようと試みていると言った。エゴはあなたの心の中の罪の意識を維持増大させ、あなたが幻想から目覚めないようにするのである。なぜなら、あなたが真実を知って実相世界に目覚めたとき、あなたの幻想は消滅し、同時にエゴという幻想も消滅してしまうからだ。エゴはそれを最も恐れている。



For it is the ego's fundamental doctrine that what you do to others you have escaped.
  • fundamental [fʌ̀ndəméntl] : 「基本となる、基本の、基礎の、基本的な、必須の」
  • doctrine [dɑ́ktrin] : 「教義、信条、教理、主義」
  • escape [iskéip] : 「〜を免れる、はぐらかす、逃げる、避ける」
❖ "For it is the ego's fundamental ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文、「なぜなら、エゴの基本教義は、あなたが他者に対して行ったことから、あなたは逃れてしまうということだからである」。その結果、罪の意識があなたに対して何をするか、あなたは気付かないことになるわけだ。さて、どういう意味だろうか? まず、あなたが他者に対して行うこととは、これはエゴの勧めることだから、簡単に言って非難攻撃と考えていい。なぜ、あなたは非難攻撃するのか? あなたは他者を非難攻撃することで、自分の心の中の罪の意識や恐れから目を逸らすことが出来るからだ。罪の意識と恐れがあなたに攻撃をさせているのである。エゴはあなたに攻撃を行わせることで、罪の意識と恐れを温存することを狙っているのだ。そこで、問題は、"what you do to others you have escaped"の部分である。あなたは他者を攻撃することで、その攻撃から逃れているという意味合いになる。これがエゴの基本教義、すなわちエゴの思考システムであると言っているから、結局、あなたが他者から攻撃されないためには、攻撃される前に他者を攻撃せよ、ということになる。あるいは、奪われる前に奪い取れ、そうすれば奪われずにすむということである。しかし、これを、実相世界の真実に照らしてみると、自他一如によって、あなたが他者を攻撃することは、あるいは他者から奪い取ることは、取りも直さず、あなたが攻撃されること、あなたが奪われることに等しい。エゴは、その原理を理解することが出来ないのである。



The ego wishes no one well. Yet its survival depends on your belief that you are exempt from its evil intentions.
  • wish [wí∫] : 「望む、祈る、祈念する」
  • survival [sə(r)váivl] : 「生き残ること、生存者、生き残り、残存、存続」
  • depend [dipénd] : 「〜次第である、〜による、〜に左右される」
  • depend on : 「〜によって決まる、〜次第である、〜に頼る、〜を当てにする」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信用、信頼」
  • exempt [igzém(p)t] : 「免除されている、免疫の」
  • be exempt from : 「〜を免除される」
  • evil [íːvl] : 「悪い、害を与える、邪悪な」
  • intention [intén∫n] : 「意図、意思、決意、心づもり、故意」
❖ "The ego wishes ~ "「エゴは、誰も良かれと思うことはない」。"Yet its survival depends on ~ "「しかし、エゴの存続は、あなたがthat以下を信じていることにかかっている」。"that you are exempt from ~ "「あなはが、エゴの邪悪な意図から免除されている」と信じることにかかっている。ここの文意は誤解されそうである。あなたが、エゴの邪悪な意図に自分だけは引っかからないぞ、と信じていることに、エゴの存続がかかっているという意味ではない。その逆だ。エゴは邪悪な意図をもってあなたに接しているのではないとあなたが信じることに、エゴの存続がかかっているのである。エゴは誰も良かれなどとは思っていないので、結局、あなたはエゴの騙されいるのである。



It counsels, therefore, that if you are host to it, it will enable you to direct its anger outward, thus protecting you.
  • counsel [káunsl] : 「助言する、忠告する」
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • host [hóust] : 「主人、宿主、亭主」
  • enable [enéibl] : 「〜を可能にする、〜に可能性を与える、〜が…できるようにする」
  • direct [dərékt] : 「〜を方向づける、〜に命令する」
  • anger [ǽŋgə(r)] : 「怒り、憤り」
  • outward [áutwə(r)d] : 「外側へ、外へ」
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、こんなふうに」
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
❖ "It counsels, therefore, that ~ "「したがって、エゴはthat以下を助言する」。"that if you are host ~ "ここの"host"は「子分」、あるいは「腰巾着(こしぎんちゃく)」と訳した方がいいだろう、「もしあなたが、エゴの子分になったなら、」"it will enable you ~ "「エゴはあなたに、エゴの怒りを外部に向けさせてやり、こうして、あなたを守ってやろう」と助言する。まさにエゴは、ヤクザの発想をするのだ。あなたがエゴに忠誠を誓わないならあなたに怒りを向け、エゴの子分になるなら、あなたに向ける怒りを外部に逸らしてやろうというわけだ。エゴの怒りで攻撃されない分だけ、あなたはエゴから守られているという計算である。ところで、エゴの子分になったあなたにとって、エゴの怒りは、今やあなたの怒りでもあるから、あなたはあなたの怒りを外に向けて放出し、他者を非難攻撃するのである。まさにヤクザの子分に成り下がるわけだ。



And thus it embarks on an endless, unrewarding chain of special relationships, forged out of anger and dedicated to but one insane belief; that the more anger you invest outside yourself, the safer you become.
  • embark [embɑ́ː(r)k] : 「乗船する、着手する」
  • embark on : 「〜に乗り出す、〜に着手する」
  • endless [éndləs] : 「終わりのない、永遠の、絶え間のない」
  • unrewarding : 「報いの得られない、やりがいのない」
  • chain [t∫éin] : 「鎖、連鎖、束縛」
  • special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • forge [fɔ́ː(r)dʒ] : 「〜を鍛造する、〜を無理やり作る、偽造する、でっち上げる」
  • out of : 「〜から、〜によって、〜を材料として」
  • anger [ǽŋgə(r)] : 「怒り、憤り」
  • dedicate [dédikèit] : 「〜をささげる、献身する、専念する、打ち込む」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • invest [invést] : 「〜を投資する、出資する、運用する、〜に注ぎ込む」
  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
  • safe [séif] : 「安全な、無事な、安泰で」
❖ "And thus it embarks on ~ "「こうしてエゴは、終りなき、そして報われる事なき特別な関係の連鎖へと(あなたを)船出させる」。あなたの罪の意識を温存し、怒りを外へ向かわせる関係、すなわち、平等性を完全に欠いた特別な関係性をあなたに求めさせ、その関係の孤立性を利用して外部と対立させ、あなたを非難攻撃へと向かわせるのである。あなたはある関係を結んだかと思うと、程なくその関係は破綻し、こりることなく、また別の関係を求めるという連鎖に巻き込まれる。"forged out of anger and ~ "「その特別な関係は、怒りから作られたものであり、たった一つの狂った信念に寄与することとなる」。それは、"that the more anger you ~ "「あなたが、より多くの怒りをあなた自身の外側に投げつければ投げつけるほど、あなたはますます安全になる」というものである。攻撃される前に攻撃せよというエゴの指示は、そうすれば、あなたは攻撃されずに安全だという理屈で成立している。攻撃こそは最大の防御であると信じているのだ。こうして、あなたは孤立的な特別な関係性の中に潜り込んで非難攻撃を続け、かくして、幻想から実相への目覚めは期待も出来ないものになる。当然、実相に目覚めて、神の子が心を再統一させるなどということは夢のまた夢となるのだ。完全平等な真の関係性の構築などもできない。こうして、エゴは安泰というわけである。
 
 
 

T-15.VII.1:1 ~ T-15.VII.2:7

 

XII. The Needless Sacrifice
不必要な犠牲
 
 
 
1. Beyond the poor attraction of the special love relationship, and always obscured by it, is the powerful attraction of the Father for His Son.
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の域を越えて、〜を超越して、〜の向こうに」
  • poor [púə(r)] : 「貧しい、乏しい、弱い、貧弱な、不幸な、哀れな」
  • attraction [ətrǽk∫n] : 「魅力、誘引、引力、引き付けるもの」
  • special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • obscure [əbskjúə(r)] : 「覆い隠す、〜を暗くする、見えなくする、曖昧にする」
  • powerful [páuə(r)fl] : 「強い、強力な、力強い、迫力のある」
❖ "Beyond the poor attraction ~ "「特別な愛の関係のもつ貧しい魅力を超えて、」"and always obscured ~ "「それによって常に曖昧にされてきたのだが、」"is the powerful attraction ~ "「神の子を惹きつける、神の迫力ある魅力が存在する」。"the special love relationship"「特別な愛の関係」とは、簡単に言えば、その代表として、この幻想世界の男女の愛情関係と思っていい(もちろん、それに限定する必要はないのだが)。愛憎渦巻く変化流動と、そして、孤立と対立を生む愛情関係のことだ。それを、"the poor attraction"「貧しい魅力」と言っている。



There is no other love that can satisfy you, because there is no other love.
  • satisfy [sǽtisfài] : 「〜を満足させる、納得させる、充足させる」
❖ "There is no other love ~ "「(神の愛をおいて、)あなたを満足させる愛は他にない」。"because there is ~ "「なぜなら、(神の愛をおいて、)他に愛はないからだ」。嫌悪や憎悪といった対立概念をもたない純粋な愛、神聖な愛が実相世界の愛である、神の愛は完全平等、拡張増大する愛である。



This is the only love that is fully given and fully returned. Being complete, it asks nothing.
  • fully [fúli] : 「十分に、完全に、全く、すっかり、全体に」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • return [ritə́ː(r)n] : 「〜を返す、戻す、返却する」
  • complete [kəmplíːt] : 「完璧な、完全な」
  • ask [ǽsk] : 「〜を求める、〜を要求をする、〜を頼む」
❖ "This is the only love ~ "「神の愛こそ、完全に与えられ、完全に返される唯一の愛である」。"Being complete ~ "分詞構文、理由、「完璧であるので、神の愛は何も求めはしない」。神の真実の愛は、旧約聖書の神のように人間に信仰や服従を求めたりする愛ではない。何一つ、無理強いしないのだ。なぜなら、神の愛は完全に充足しており、何も必要としないからだ。



Being wholly pure, everyone joined in it has everything. This is not the basis for any relationship in which the ego enters.
  • wholly [hóu(l)li] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • pure [pjúə(r)] : 「純粋な、清潔な、清らかな、きれいな」
  • join [dʒɔ́in] : 「結び付ける、結合する、〜に加わる、〜に加入する」
  • basis [béisis] : 「土台、基礎、基盤、根拠、理由」
  • enter [éntə(r)] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
❖ "Being wholly pure ~ "「完全に純粋なので、その愛に結びついた者はすべて、あらゆるものをもっている」。あらゆるものと言っても、もちろん、物質を意味しているのだはない。想念として、あらゆるものをもっているのだ。"This is not the basis for ~ "「こういったことは、エゴが入り込むいかなる関係性の基盤にはなり得ない」。簡単に言えば、神の愛は、エゴの勧める愛とは完全に異なっている、ということ。そもそも、基盤自体が全く違うのだから。そこに打ち立てられる愛という建物も全く異質なのだ。



For every relationship on which the ego embarks is special.
  • embark [embɑ́ː(r)k] : 「乗船する、着手する」
  • embark on : 「〜に乗り出す、〜に着手する、〜従事する」
❖ "For every relationship ~ "「なぜなら、エゴが乗り込む関係のすべては、特別性を有しているからだ」。この世界の男女の愛の関係に見られるように、エゴの関係性は、孤立と対立を生み、二人だけの小さな世界に埋没する。外部世界に対立し、敵を生む。そもそも、その愛は奪い奪われした愛であり、消耗する愛、変化流動する愛である。憎悪という対極概念を常に背中に背負った愛である。平等性を完全に欠いていることは言うまでもない。



2. The ego establishes relationships only to get something. And it would keep the giver bound to itself through guilt.
  • establish [istǽbli∫] : 「達成する、樹立する、確立する」
  • keep [kíːp] [SVOC] : 「〜の状態にしておく、保つ、〜にしておく」
  • bound [báund] : 「bind の過去・過去分詞形」
  • bind [báind] : 「〜を縛る、結び付ける、〜を束縛する、拘束する」
  • through [θruː] : 「経て、〜の中を通って、〜を介して、〜を通じて、〜の手を経て」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "The ego establishes ~ "「エゴは、何かを得るためだけに、関係性を打ち立てる」。エゴの大鉄則、得るためには奪え、を思い出そう。"And it would keep ~ "「そして、エゴは、罪の意識を通して、与えるものをエゴに縛り付けておくだろう」。一人でいるのは孤独で寂しいから、誰かと関係を持ちたいと思うのだ。安寧を得るために関係性を持つ。しかし、そういった安易な関係性をもつことで、なぜ自分がそれほどに孤独で寂しいのか、その真の原因を問いかけることから逃げる。神から乖離した心が真の原因であることに気づかないままに終わる。神からの乖離で罪の意識を抱いてしまったことにも気付かず、罪の意識を、無意識の底の底に隠し持って終わる。全く、エゴの思う壺なのだ。



It is impossible for the ego to enter into any relationship without anger, for the ego believes that anger makes friends.
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • enter [éntə(r)] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • anger [ǽŋgə(r)] : 「怒り、憤り」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する」
❖ "It is impossible for the ego ~ "ここは"It ~ to ~ "の構文、「エゴにとって、怒りをもたずにいかなる関係性に入っていくことも不可能である」。エゴは、関係性の中に必ず怒りという感情を入り込ませる、ということ。"for the ego believes that ~ "「なぜなら、エゴは、怒りが友達を作ると信じているからだ」。怒りを敵に置き換えてみるといい。共通の敵を作ることで友人同士になるのである。敵を作る感情は怒りであり、憎しみだ。したがって、エゴの構築する関係性の基盤には怒りと憎悪が渦巻いている。その基盤から、得るためには奪え、という発想が生まれてくるのである。こういう基盤と関係性から、神の子が心を再統一させる可能性が生じて来るだろうか? あるいは、神の子は単一の存在で、自他一如であるという真実が見えてくる可能性はあるだろうか? 



This is not its statement, but it is its purpose. For the ego really believes that it can get and keep by making guilty.
  • statement [stéitmənt] : 「声明、メッセージ、陳述、述べたこと、発言」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • really [ríː(ə)li] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に、真に」
  • guilty [gílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
❖ "This is not its ~ "「関係性に怒りの感情を入り込ませるなどと、エゴは明言こそしない」。"but it is its ~ "「しかし、それはエゴの目的である」。"For the ego really believes that ~ "「なぜなら、エゴはthat以下を実際に信じているからだ」。"that it can get and ~ "、ここの"by making guilty"は"by making you guilty [SVOC]"「あなたを罪ある状態にすることで」、「あなたに罪の意識を持たせることで」と考えていい、「エゴは、あなたに罪の意識を持たせることで、怒りを持ち、また怒りを保持出来ると」信じているからだ。あなたに怒りを持たせ、他者を排他し攻撃するよう唆(そそのか)すのである。その目的は、神の子の分離を保つためである。実相世界への目覚めを阻止するためである。もしあなたが、真実に気がついて実相に目覚めたなら、幻想は消滅し、結果、エゴも消滅してしまうからだ。エゴはそれを最も恐れている。エゴは是が非でも、あなたに罪の意識と怒りを保持させ、他者を排他攻撃させて、神の子の分離を維持してもらわなくてはならないのである。



This is its one attraction; an attraction so weak that it would have no hold at all, except that no one recognizes it.
  • attraction [ətrǽk∫n] : 「引き付けるもの、引力、出し物、魅力、誘引」
  • weak [wíːk] : 「弱い、劣っている、力がない、脆弱な」
  • hold [hóuld] : 「握ること、支配力、威力、保留」
  • except [iksépt] : 「ただし、除いて」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
❖ "This is its one ~ "「(心を怒りと罪の意識で武装するということも)エゴの魅力の一つであろう」。"an attraction so weak ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、「しかし、その魅力はあまりにも弱々しく、まったくエゴの保持出来るものではない」。"except that no ~ "「とは言え、だれもそれに気付かないのだが」。これを読んでいると、エゴの心理学は、ニヒリズムやエゴイズムの心理学を連想させる。犯罪心理学もそれに近いかもしれない。孤独、怒り、罪の意識、絶望、攻撃、弱さ、支配欲、略奪、破壊、等々、エゴの心理学用語は事欠くことはない。



For the ego always seems to attract through love, and has no attraction at all to anyone who perceives that it attracts through guilt.
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • seem [síːm] : 「〜のように見える、〜のように思える、〜のようだ」
  • attract [ətrǽkt] : 「魅惑する、魅了する、引き込む、引き付ける」
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して、〜を介して」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "For the ego always seems ~ "「なぜなら、エゴはいつも、愛を介して引きつけているように見せているし、」"and has no attraction at all ~ "「エゴが罪の意識を介して引きつけていると知覚する者にはまったく魅力を感じないからだ」。エゴの作戦はこうである。罪の意識を抱いた者同士、孤独に苛まれた者同士、怒りに燃える者同士を引付け合わせるのである。そうして、その者同士に特別な関係を構築させ、ますます孤立させ、怒りに油を注ぎ、罪という傷口に塩をすり込むのである。彼らは怒りと痛みに耐えきれなくなり、外部に向かって爆発的な攻撃行動に出る。攻撃し、破壊し、奪い尽くす。これが、エゴの作戦であり目的である。しかし、こういった戦争状態を賛美し鼓舞しても、それに魅力を感じる者は少ないであろう。そこでエゴは、孤独な者同士、愛しあうことで孤独は癒えるだろうとか、怒りを持った者同士、愛を通じて怒りを鎮めることができるだとか、罪を持った者同士、傷を舐め合って慰めあうべきだとか、とかく愛や慈悲を匂わせて人を惹きつけるのである。だが、知恵ある者は決して騙されたりしたはいけない。エゴの戦略は実に巧妙なのである。
 
 
 

T-15.VI.7:1 ~ T-15.VI.8:7

7. It is through us that peace will come. Join me in the idea of peace, for in ideas minds can communicate.

  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
  • join [dʒɔ́in] : 「〜に加わる、〜に加入する、結合する、連結する」
  • idea [aidíːə] : 「考え、着想、アイデア、発想、思い付き」
  • communicate [kəmjúːnikèit] : 「連絡する、通信する、交信する」
❖ "It is through us that ~ "「平和がやって来るのは、私たちを通じてである」。イエスがキリストとして、そして実相に目覚めたあなたもキリストとして、後に続く同胞たちを聖なる瞬間に導いて、そして平和をつかんでもらうのである。ここで言う平和とは、争いという対極概念を持たない純粋な平和のこと。実相世界の真の平和である。"Join me in the idea of ~ "「平和という想念の中に、私と加わりなさい」。イエスと一緒になって、平和という想念を心に持ちなさい、ということ。さて、平和は"idea"「想念」である、と言っている。平和とは争いのない状態を意味すると考えるのは、幻想世界の判断である。実相世界の平和は絶対的な平和であって、抽象、想念の世界の完璧な平和状態である。言葉を尽くしても表現出来るようなものではないのだ。"for in ideas minds ~ "「なぜなら、想念の中で、心はコミュニケートするからだ」。心は想念を使ってコミュニケートする。言葉を使って、とは言っていない。思いが直接伝わる、と解釈していいだろう。



If you would give yourself as your Father gives His Self, you will learn to understand Selfhood.
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を知る、分かる、悟る、〜を学ぶ」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • selfhood : 「自我、個我、個性、自分本位」
❖ "If you would give ~ "「もしあなたが、父なる神が自分自身を与えるように、あなた自身を与えたいと思うようになれば、」"you will learn to ~ "「あなたは、あなたの個我を理解することを学ぶであろう」。あなたの個我、あなたのアイデンティティは神の子である。しかし、その属性も含めて、神の子たるものが何なのか、まだあなたは理解できてはいない。しかし、あなたが自分自身を惜しげもなくすべて与え尽くすとき、あなたはすべてを得ることが出来、あなたの個我が何たるかが理解出来ることになる。なぜなら、あなたは叡智(knowledge)を獲得出来るからだ。



And therein is love's meaning understood. But remember that understanding is of the mind, and only of the mind.
  • therein [ðè(ə)rín] : 「その中に、その場所に、そのときに」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、目的、意図」
  • understood [ʌ̀ndə(r)stúd] : 「understand の過去・過去分詞形」
  • remember [rimémbə(r)] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
❖ "And therein is love's ~ "「そして、そのとき、愛の意味が理解される」。"But remember that ~ "「しかし、that以下を覚えておきなさい」。"that understanding is ~ "「理解とは、心がすることであって、心だけが出来るのである」。理解とは、肉体的、あるいは頭脳的な理性がなす仕事ではない。真の理解は、心の業である。つまり、叡智(knowledge)による直覚的把握が、真の理解である。般若心経でいう智慧の完成とは、そういう意味である。



Knowledge is therefore of the mind, and its conditions are in the mind with it.
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • condition [kəndí∫n] : 「事情、条件、状態、状況、様子」
❖ "Knowledge is therefore ~ "「それゆえ、叡智は心のものである」。叡智は決して知識でも理性でもない。心が叡智になるのだ。叡智が心になるのである。"and its conditions are ~ "「そして、叡智の条件もまた、叡智と共に心の中にある」。叡智を獲得する条件とは何か? それを知ることも、叡智の業であろう。叡智の条件を言葉で説明出来るようでは、叡智が知識であり理性だという事になってしまう。説明不能なのだ。仏教では、不立文字(ふりゅうもんじ)と言う。叡智を知るには叡智をもってする以外ない。だから、叡智の獲得のため、このACIMを学んでいるのではないか。つまり、ACIMを学んだだけですべてを知ったような気持ちになってはいけない。ACIMによって叡智を獲得し、その叡智がすべてを知らしめるのである。ACIMを学んで、ただそれだけでいい気になっているようでは、それは増上慢(ぞうじょうまん)というものだ。自戒を含めて、あえて言っておこう。



If you were not an idea, and nothing but an idea, you could not be in full communication with all that ever was.
  • full [fúl] : 「充満する、満ちた、全部の、全面的な、徹底した、完全な」
  • in communication with : 「〜と文通して、〜と連絡を取って、〜と通信して」
  • ever [évə(r)] : 「今までに、これまで、いつも、絶対に」
❖ "If you were not ~ "ここは"If you were an idea, and nothing but an idea"の否定と考えると意味が取りやすい。つまり、「もし、あなたが想念であり、想念以外の何ものでもない」のではなかったら、という意味。簡単に、「もし、あなたが想念ではなかったら」という意味。もちろん、仮定法過去である。現在の事実に反して仮定している。"you could not be in full ~ "「あなたは、ずっとそうであったすべてのものと、完全なコミュニケーションがとれないであろう」。"all that ever was"これを訳すのは難しいのだが、神のことである。「ずっと、そこに存在し続けたもののすべて」、「永遠にあり続けるもののすべて」、「存在のすべて」、「永遠の存在」、そういった意味合いであろう。総括すれば、「あなたが想念でなかったら、神と心を通わすことは不可能なのだ」ということになる。重要なのは、あなたは想念である、ということである。決して肉体ではない。決して頭脳的理性ではない。あなたは具象的実体ではなく、抽象的実体なのだ。あなたは想念であり、心である。ここをしっかりと押さえないと、ACIMの理解のすべてが崩れてしまう。



Yet as long as you prefer to be something else, or would attempt to be nothing else and something else together, you will not remember the language of communication, which you know perfectly.
  • as long as : 「〜さえすれば、〜する限り」
  • prefer [prifə́ː(r)] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む、〜の方を選ぶ 」
  • attempt [ətém(p)t] : 「 〜しようと努力する、〜するよう努める」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
  • remember [rimémbə(r)] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
  • perfectly [pə́ː(r)fik(t)li] : 「完全に、完璧に」
❖ "Yet as long as you prefer ~ "「しかしあなたが、(想念以外の)何か別の存在になる方を好んだり、」"or would attempt to be nothing ~ "「あるいは、何ものにもなりたくない、または想念と共にまた別の存在でありたいと試みるようでは、」"you will not remember ~ "「あなたは、(神との)コミュニケーションを司る言語を思い出すようなことはないであろう」。"which you know ~ "「その言語を、実はあなたは完璧に知っているのだが」。"the language of communication"と言っても、我々が通常知っている言語や言葉のことではない。想念としての存在と想念としての存在が、直覚をもって交わし合う言語、つまり、神の言葉、である。では、テレパシーか、と言うと、そう断定は出来ない。お気づきだろうが、ACIMはほとんどオカルト用語を使わない。私の推測だが、ACIMが単なるスピリチュアル本やオカルト本と同列に扱われることを避けるためではないかと思える。異論はあろうが、それらとは、ACIMは格が違う。これまた異論はあろうが、私は、ACIMは真実を語る長い長い詩だと思っている。



8. In the holy instant God is remembered, and the language of communication with all your brothers is remembered with Him.
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • language [lǽŋgwidʒ] : 「言語、言葉」
❖ "In the holy instant ~ "「聖なる瞬間に、神は思い出される」。"and the language of communication ~ "「そして、あなたの同胞全てとコミュニケーションをかわせる言語を、神を思い出すと同時に、思い出されるのである」。聖なる瞬間は、実相世界への目覚めである。神を思い出すのはもちろんのこと、自分が神の子であることも、そして、神の子同士の心が単一であることも、単一の心として意思を疎通しあえることも思い出すのである。



For communication is remembered together, as is truth.
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "For communication is ~ "「なぜなら、真実が思い出されるにしたがい、コミュニケーションも一緒に思い出されるからである」。と言うことは、コミュニケーション自体も真実であるということだ。コミュニケーションは実相世界の自然な営みということになる。ただし、実相世界のコミュニケーションは、この世界のものとは異質である。想念と想念の直接の交信と考えていいだろう。簡単に言えば、思いが直接つながりあう、ということになるか。しかし、繰り返しになるが、テレパシーという言葉で一括(くく)りにすべきではない(たとえ、テレパシーという現象があったとしても、である)。ACIMは、幻想世界における超常現象を語る本ではないのだ。そうでなく、実相世界の真実が生み出す奇跡を語る本なのだから。



There is no exclusion in the holy instant because the past is gone, and with it goes the whole basis for exclusion.
  • exclusion [iksklúːʒ(ə)n] : 「排除、除外、排他、排斥」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • gone [gɔ́(ː)n] : 「go の過去分詞形」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
  • basis [béisis] : 「根拠、理由、基準、原理、土台、基礎、基盤」
❖ "There is no exclusion ~ "「聖なる瞬間においては、過去という時間は消え去るので、排他は存在しない」。"and with it goes ~ "「時間が消滅するに従い、排他の基礎となるすべてが消滅するのである」。他者を排他する動機は、他者の過去の行いを理性によって判断評価することに基礎を置く。アイツは悪いことをしたからアイツを排他する、とうわけである。しかし、過去という時間が消滅した今、判断評価する材料も消えてしまう。同時に、排他それ自体が意味を失うのだ。一言で言えば、時間の存在しない実相世界では、判断評価は存在せず、したがって、排他という行為自体も存在しない。



Without its source exclusion vanishes. And this permits your Source, and that of all your brothers, to replace it in your awareness.
  • source [sɔ́ː(r)s] : 「もと、源、起点、原因」
  • vanish [vǽni∫] : 「消える、消えてなくなる、姿を消す、去る」
  • permit [pə(r)mít] : 「許可する、許す、認める、容認する、可能にする」
  • replace [ripléis] : 「〜を取り換える、交換する、差し替える、切り替える、置き換える、置換する」
  • awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
❖ "Without its source ~ "「(判断評価の)源がないので、排他は消滅する」。"And this permits ~ "「そして、このことが、あなたの意識の中で、あなたの(本当の)源、そして同胞すべての源が、排他の源にとって代ることを許すのである」。"Source"は、もちろん、神のことである。時間が存在する幻想世界では、排他の源は過去であった。しかし、時間の存在しない実相世界では、過去は判断評価の源になり得ない。では、何が源として存在するか? 究極の源、第一原因として、神のみである。つまり、愛の源であり、喜びの源、平和の源、美の源、真実の源、そして、心自体の源である。それ以外の源を、あなたは必要とするだろうか? 



God and the power of God will take Their rightful place in you, and you will experience the full communication of ideas.
  • power [páuə(r)] : 「力、能力、勢力」
  • rightful [ráitfəl] : 正当な、合法的な、道徳的に正しい
  • experience [ikspí(ə)riəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
  • full [fúl] : 「 いっぱいの、充満する、満ちた、全部の、全面的な」
❖ "God and the power ~ "「神と神のパワーが、あなたの心の中で正しい位置を占めるであろう」。正しく機能し始めるのだ。"and you will experience ~ "「そして、あなたは、想念の完全なコミュニケーションを経験することになるだろう」。想念として存在するあなたと、想念として存在する神が、完全な想念のコミュニケーションを交わし合うのである。いわば、想念同士が重なり合い、混じり合うのである。調和共鳴であり、そこにはもはや、神と神の子の区別は存在し得なくなる。三位一体の予兆である。



Through your ability to do this you will learn what you must be, for you will begin to understand what your Creator is, and what His creation is along with Him.
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • ability [əbíləti] : 「能力、才能、できること、手腕」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を知る、分かる、〜を学ぶ」
  • begin [bigín] : 「〜を始める、〜するようになる、〜に取り掛かる」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • Creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
  • creation [kriéi∫n] : 「創作物、作品、創造、創作」
  • along with : 「〜と一緒に、〜とともに、〜と同伴で、〜と同調して」
❖ "(想念による完璧なコミュニケーションを行うという)あなたの能力を通して、"you will learn ~ "「あなたは、あなたが何たるかを学ぶであろう」。"for you will begin ~ "「なぜなら、あなたは、あなたの創造主が何たるかを理解し始めるであろうからだ」。"and what His creation ~ "「創造主を理解することと共に、創造されたもの達が何たるかを理解し始めるだろうから」。真のコミュニケーションを通して、あなたは神と神の子を理解し始める。神とのコミュニケーションを通して、叡智による直覚が始動するのである。
 
 
 

T-15.VI.5:1 ~ T-15.VI.6:10

5. In the world of scarcity, love has no meaning and peace is impossible.

  • scarcity [skéə(r)səti] : 「不足、欠乏、食糧難、まれなこと、希少」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない、無理な」
❖ "In the world of ~ "「不足ということが存在するこの世界では、愛は意味をもたず、平和は不可能である」。実相世界はすべてが完全に満たされた世界であるが、この幻想世界はすべてが、完全に満たされることはない。必ず、不足がつきまとう。そうした不足の世界にあって、完全で完璧な愛や平和は存在し得ない。



For gain and loss are both accepted, and so no one is aware that perfect love is in him.
  • gain [géin] : 「利益、得ること、獲得、利得」
  • loss [lɔ́(ː)s] : 「失うこと、紛失、損失、喪失」
  • both [bóuθ] : 「両方とも、双方とも」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • aware [əwéə(r)] : 「気付いている、気が付いて、承知して、知って」
  • perfect [pə́ː(r)fikt] : 「完璧な、完全な」
❖ "For gain and loss ~ "「なぜならば、(この世界では、)得ることも失うことも、どちらも受け入れられているからだ」。"and so no one is ~ "「それゆえ、誰も、自分の心の中に完全な愛が存在していることに気付いていない」。得たり失ったりする愛は知っているし、得たり失ったりする平和も経験している。しかし、永遠不変な、嫌悪や憎悪といった対極概念の存在しない、永遠不変で純粋な愛が、実はあなたの心の中に存在していることに気付いていない。その愛は、あなたの心の最も純粋で神聖な部分に存在している。



In the holy instant you recognize the idea of love in you, and unite this idea with the Mind that thought it, and could not relinquish it.
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • idea [aidíːə] : 「考え、着想、アイデア、発想、思い付き」
  • unite [junáit] : 「〜を結合させる、一つにする、結び付ける、接合する」
  • thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
  • relinquish [rilíŋkwi∫] : 「放棄する、手放す、あきらめる、断念する」
❖ "In the holy instant ~ "「聖なる瞬間に、あなたは、あなたの心の中の愛という想念を認識し、」"and unite this idea with ~ "「その愛を意思し、それを放棄しなかった神の心と、愛という想念を結びつけるのである」。愛は神が創造し、神の子を愛することを放棄することなく、神は愛を温めてきた。聖なる瞬間に、あなたや同胞たちは、自分の心の純粋な部分に存在し続けていた愛が、実は神の愛であったことに気付くのである。つまり、神の子は神と愛をもってつながれるのだ。



By holding it within itself, there is no loss. The holy instant thus becomes a lesson in how to hold all of your brothers in your mind, experiencing not loss but completion.
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • lesson [lésn] : 「レッスン、学科、授業、教訓、教え」
  • experience [ikspí(ə)riəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
  • completion [kəmplíː∫n] : 「完成、完了、終了」
❖ "By holding it within ~ "「愛という想念をそれ自体の心の中に保持するので、失うことはない」。"The holy instant thus becomes ~ "「したがって、聖なる瞬間は、どうすればあなたの心の中にすべての同胞を保持出来るかというレッスンになるのである」。"experiencing not loss ~ "「(レッスンを学んだ)結果、喪失を経験することなく、完成を経験するのである」。"to hold all of your brothers in your mind"「あなたの心の中にすべての同胞を保持すること」とは、あなたの心の中に、すべての同胞の愛を保持することと思っていいだろう。つまり、あなたとすべての同胞が結合し、再統一して一体化するのである。それが、神の子の本来の姿である。すべての分裂していた神の子の心は単一の心(Mind)になる。"completion"「完成」とは、本来の神の子に回帰するという意味合い。神の子としての存在の完成のこと。あるいは、仏教的に、智慧の完成、ととらえてもいいだろう。



From this it follows you can only give. And this is love, for this alone is natural under the laws of God.
  • follow [fɑ́lou] : 「〜に続く、〜の次に来る、〜の後について行く」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
  • natural [nǽt∫(ə)r(ə)l] : 「普通の、ありのままの、自然の」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
❖ "From this it follows ~ "「この後に続くことは、あなたは与えることだけが出来るということである」。"And this ~ "「それが愛なのである」。"for this alone is natural ~ "「なぜなら、与えるということだけが、神の法の下で自然なことであるからだ」。エゴにとっては、愛は奪うものだ。しかし、神の愛は与えることである。しかも、すべてを惜しげなく与え尽くすことである。しかも、与えることで何一つ失うことはなく、まったく逆に、あなたは無限に満たされるのである。これが、神の法であり、極、自然なことなのである。



In the holy instant the laws of God prevail, and only they have meaning.
  • prevail [privéil] : 「広がる、流行する、勝つ、勝る、勝利を得る」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "In the holy instant ~ "「聖なる瞬間では、神の法が広がっている」。"and only they have ~ "「そして、神の法だけが意味を持つ」。"the laws of God"「神の法」と言うと、神の裁きや最後の審判を思い浮かべるかもしれないが、ACIMの言う神の法には裁きや審判の意味合いは全くない。裁く神、罰する神は旧約聖書の神であって、ACIMの神とは完全に無縁である。ACIMの言う神の法とは、一言で言えば、愛の法である。あるいは喜びの法と言ってもいい。平和の法である。自由の法、平等の法である。



The laws of this world cease to hold any meaning at all.
  • cease [síːs] : 「〜をやめる、よす、中止する」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない」
❖ "The laws of this world ~ "神の法の前では、「この世界の法はまったく意味を失ってしまう」。幻想世界の法が、実相世界の法に勝るわけがない。かたや非存在であり、かたや実在なのだから。



When the Son of God accepts the laws of God as what he gladly wills, it is impossible that he be bound, or limited in any way.
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • gladly [glǽdli] : 「喜んで」
  • will [wíl] : 「〜を望む、意図する、意思する」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない、無理な」
  • bound [báund] : 「bind の過去・過去分詞形」
  • bind [báind] : 「〜を縛る、結び付ける、〜を束縛する、拘束する」
  • limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
  • in any way : 「何らか、多少なりとも、決して、形はどうあれ」
❖ "When the Son of God accepts ~ "「神の子が、神の法を、喜んで望むものとして受け入れるとき、」"it is impossible that ~ "「that以下は不可能である」。"that he be ~ "「神の子が束縛され、いかなる形でも制限されるということは」不可能である。神の法には束縛という言葉も制限という言葉もない。あるのは完全な自由と完全な平等である。神の法は、自由平等の法である。



In that instant he is as free as God would have him be. For the instant he refuses to be bound, he is not bound.
  • have [həv] : 「〜に〜させる」
  • refuse [rifjúːz] : 「拒む、拒絶する、断る」
❖ "In that instant he is ~ "「聖なる瞬間においては、神が神の子にそうあって欲しいと望むように、神の子は自由である」。"For the instant he ~ "「なぜなら、神の子が束縛を拒絶した瞬間、神の子はもはや束縛されないからだ」。神の子の意思と神の意思が調和共鳴するのである。神は神の子が自由であることを意思し、神の子は束縛を拒否する。その二つの意思が共鳴して、神の子は完全な自由となるのだ。



6. In the holy instant nothing happens that has not always been. Only the veil that has been drawn across reality is lifted.
  • happen [hǽpn] : 「起こる、発生する、降り懸かる」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「常に、いつも」
  • veil [véil] : 「ベール、覆い、覆い隠すもの」
  • drawn [drɔ́ːn] : 「draw の過去分詞形」
  • draw [drɔ́ː] : 「〜を引き出す、取り出す、振り出す」
  • across [əkrɑ́s] : 「〜を横切って、〜を横断して」
  • lift [líft] : 「持ち上げる、解除する、取り除く、撤廃する」
❖ "In the holy instant ~ "「聖なる瞬間に、常にそうでなかったことが起きるわけではない」。何か特別なことが起きるわけではない。"Only the veil that ~ "「ただ、それまで現実を覆っていたベールが取り除かれるだけなのである」。幻想世界の夢が覚めて、実相が見え始めるのだ。



Nothing has changed. Yet the awareness of changelessness comes swiftly as the veil of time is pushed aside.
  • change [t∫éin(d)ʒ] : 「変わる、変化する」
  • awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
  • changelessness [tʃéindʒlisnəs] : 「変化のなさ、変化しないこと、無変化」
  • swiftly [swíftli] : 「速く、迅速に、早急に、急速に、素早く」
  • push aside : 「脇へ押しやる、押しのける」
❖ "Nothing has ~ "「何も変化しない」。"Yet the awareness of ~ "「しかし、時間というベールが取り除かれるにしたがい、無変化とう意識が迅速にやってくるのだ」。時間は幻想である。その幻想のベールが剥がされると、そこには無時間の実相が展開される。時間が存在しないのだから、結果、変化は生じない。あなたは実相世界の永遠不変性に気がつくのである。



No one who has not yet experienced the lifting of the veil, and felt himself drawn irresistibly into the light behind it, can have faith in love without fear.
  • experience [ikspí(ə)riəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
  • felt [félt] : 「feel の過去形」
  • drawn [drɔ́ːn] : 「draw の過去分詞形」
  • draw [drɔ́ː] : 「〜を引き出す、取り出す、振り出す」
  • irresistibly [ìrizístəbli] : 「たまらなく、抗し難いほどに」
  • behind [biháind] : 「〜の後ろに、後方に、〜の裏側に、〜の陰に」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、自信、信念、確信」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
❖ "No one who has not yet ~ "「ベールが持ち上げられるのをまだ経験したことのない者は誰でも、また、ベールの後ろの光の中に、抵抗出来ないほどに引っぱられていく自分自身を感じたことのない者は誰でも、」"can have faith in ~ "「恐れを抱かずに、愛を信じることは出来ない」。実相世界の真の愛を知ることがなければ、愛を全的に信じることが出来ず、結果、恐れが伴うのだ。



Yet the Holy Spirit gives you this faith, because He offered it to me and I accepted it.
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
❖ "Yet the Holy Spirit gives ~ "「しかし、ホーリー・スピリットが、あなたが愛を信じることが出来るようにしてくれる」。"because He offered ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットは私に、愛への信頼を与えてくれたし、私はそれを受け入れたのだから」。イエスは神の子としてホーリー・スピリットの差し出す愛への信頼を受け入れてキリストになった。同様に、あなたも、ホーリー・スピリットの差し出す愛への信頼を受け入れなさい、ということ。



Fear not the holy instant will be denied you, for I denied it not.
  • deny [dinái] : 「〜に…を与えない、〜を否定する、否認する、拒む」
❖ "Fear not the holy instant ~ "「聖なる瞬間はあなたに与えられないのではないかと恐れてはならない」。"for I denied it ~ "「なぜなら、私はそれを拒絶しなかったのだから」。どういう意味だろう? イエスは、ホーリー・スピリットが与えてくれた聖なる瞬間を受け入れた。ホーリー・スピリットはそれを知っているから、あなたも聖なる瞬間を受け入れてくれるに違いないと思っている。したがって、ホーリー・スピリットは必ずあなたに聖なる瞬間を与えてくれるはずだ。そんな意味にとらえたが、どうであろうか? 



And through me the Holy Spirit gives it unto you, as you will give it. Let no need you perceive obscure your need of this.
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • obscure [əbskjúə(r)] : 「ぼんやりした、はっきりとしない、不明瞭な」
❖ "And through me ~ "「そして、私を通して、ホーリー・スピリットはあなたに聖なる瞬間を与えてくれるのである」。"as you will ~ "「あなたが聖なる瞬間を与えるにしたがい」。さて、ここはどういう意味だろう? あなたが聖なる瞬間をホーリー・スピリットから与えられ、その与えられた聖なる瞬間を同胞に与えるとき、つまり、聖なる瞬間を分かち合うとき、という意味合いではないだろうか。あるいは、聖なる瞬間になるべき時間をホーリー・スピリットに預けてしまうとき、とも解釈出来るかもしれない。いずれにしても、あなたの意思、意欲が必要だ。聖なる瞬間はただ待っていただけでは手に入らない。それを意思し、意欲しなくてはならない。その声をホーリー・スピリットが聞き逃すはずはないのだ。"Let no need you ~ "「あなたが聖なる瞬間を必要としていることを曖昧に知覚する必要はない」。ここの"need"は助動詞的に使われており、"to perceive"が原形不定詞になっている。「曖昧に知覚する必要がないようにしなさい」つまり、「はっきりと認識しなさい」とういこと。何を? あなたが聖なる瞬間を必要としていることを。つまり、あなたが聖なる瞬間を、意思と意欲をもって欲していることをホーリー・スピリットに示さなくてはならないのだ。



For in the holy instant you will recognize the only need the Sons of God share equally, and by this recognition you will join with me in offering what is needed.
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • equally [íːkw(ə)li] : 「平等に、同等に、等しく、同様に、一様に」
  • recognition [rèkəgní∫n] : 「認識、認証、感謝、正当性の認識」
  • join [dʒɔ́in] : 「加わる、加入する、参加する、交わる、一緒になる」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
❖ "For in the holy instant ~ "「なぜなら、聖なる瞬間において、あなたは、神の子が平等に分かち合う必要性だけを認識するであろうからだ」。"and by this recognition ~ "「そして、この認識によって、あなたは、必要とされるものを差し出すという私(の使命)にあなたは加わることとなるであろう」。"the only need the Sons of God share equally"「神の子が平等に分かち合う必要性だけ」とは何か? もちろん、筆頭は愛であろうか。喜びも分かち合う必要があるし、平和も然り、創造性も分かち合いの対象になる。"join with me in offering what is needed"「必要とされるものを差し出すという私(の使命)に加わる」とは、どういうことであろうか? あなたは聖なる瞬間を経験出来たわけだが、まだ無明の同胞は多くいる。その同胞に、聖なる瞬間を差し出す使命がホーリー・スピリット、あるいはキリストにはあり、あなたもその使命に参画するのである。はっきり言えば、あなたがキリストとしての使命を担うのである。実相に目覚めるには、そのくらいの覚悟は必要だというわけである。もう一度言おう、あなたはキリストになるのだ。なぜなら、あなたはキリストなのだから。
 
 
 

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