3. Relate only with what will never leave you, and what you can never leave.
- relate [riléit] : 「合致する、適応する、うまく折り合う、なじむ」
- relate with : 「〜とうまく折り合う」
- leave [líːv] : 「〜を見捨てる、置きっぱなしにする、置き忘れる」
❖ "Relate only with ~ "「あなたを決して見捨てたりしないであろうもの、そして、あなたが決して見捨てたり出来ないものと、ただそれだけと良い関係を作りなさい」。もちろんその対象は、ホーリー・スピリットであり、キリストであり、神自身である。決してエゴであってはならない。
The loneliness of God's Son is the loneliness of his Father. - loneliness [lóunlinəs] : 「孤独、寂しさ、独りぼっち」
❖ "The loneliness of ~ "「神の子の孤独は、父なる神の孤独でもある」。あなたが神聖なるものとの、真の関係を絶って孤独に陥れば、それはあなたの孤独にとどまらず、神の孤独でもあるのだ。なぜなら、神はあなたをその傍らに置いておきたいと意思しているからだ。
Refuse not the awareness of your completion, and seek not to restore it to yourself. - refuse [rifjúːz] : 「拒む、拒絶する、断る」
- awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
- completion [kəmplíː∫n] : 「完成、完了、終了」
- seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
- restore [ristɔ́ː(r)] : 「元に戻す、回復させる、復活させる、復帰させる」
❖ "Refuse not the awareness ~ "「あなたは完成しているのだという意識を拒絶してはいけない」。"and seek not to ~ "「そして、孤独をあなた自身に戻したりしてはいけない」。あなたは神の子として何一つ欠けることなく完成している。その意識を拒絶せず、神と良い関係を保って、再び自分は孤独であるなどと思わないように。実際、あなたは孤独ではないのだから。
Fear not to give redemption over to your Redeemer's Love. - redemption [ridém(p)∫n] : 「贖い、贖罪、救済、解放、償い、救出」
- redeemer [ridíːmər] : 「身請け人、救い主、贖い主、キリスト」
❖ "Fear not to give ~ "「あなたを解放してくれる者の愛に、解放を委ねることを恐れてはいけない」。"redemption"という言葉には「贖罪」という意味もあるのだが、私見では、ACIMでは「救済」の意味に使われることの方が多いように思われる。贖罪をはっきり示すときは、"Atonement"を使っている。したがって、ここの文章は、あなたが罪の意識から救われたいと思うなら、罪の意識からあなたを救ってくれるキリストの愛、あるいはホーリー・スピリットの愛に絶対他力、絶対依存していいのだよ、という意味合いにある。絶対他力を恐れてはならない。幻想世界で眠りに陥っているあなたには、自力で罪の意識から解放される力はないからだ。神の愛を信じて、神のパワーに他力する心の素直さが必要なのである。
He will not fail you, for He comes from One Who cannot fail. - fail [féil] : 「裏切る、〜を失望させる、〜の役に立たない」
- come from : 「〜から来る、〜に由来する、〜の生まれである」
❖ "He will not fail ~ "「キリスト(あるいはホーリー・スピリット)は決してあなたを失望させたりしない」。"for He comes from ~ "「なぜなら、キリストは、失望させることの出来ない神からやって来た者であるからだ」。一元論の実相世界では、裏切りとか失望という概念が存在しない。純粋な信頼と希望が存在するのである。
Accept your sense of failure as nothing more than a mistake in who you are. - accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
- sense [séns] : 「感覚、感覚能力、官能、感触、知覚」
- failure [féiljə(r)] : 「失敗、不成功」
- nothing more than : 「〜にすぎない、〜でしかない」
- mistake [mistéik] : 「誤り、判断上の間違い、ミス、過ち、手違い、誤解」
❖ "Accept your sense of ~ "ここは意訳する、「あなたが失敗し失望するのではないかと思ったなら、それは、本当のあなたを誤解しているに過ぎないのだと認めなさい」。あなたは罪の意識に苦しみ、孤独に陥っている。そこから救われたいのであれば、キリストの愛に全面的に依存していい。しかし、キリストがあなたの救済に失敗し、あなたは失望してしまうのではないかと恐れている。それは、あなたがあなた自身を知らないせいだ。なぜなら、あなたは神の子として、その心の神聖な部分にキリストを保持し、そして究極的にあなた自身がキリストであるからだ。これがあなたの本当の姿であり、あなたはそれをまだ認識出来ていないのである。それがわかれば、失敗や失望は単なる幻想に過ぎないことがわかる。あなたは100%安心してキリストに他力していいのである。
For the holy host of God is beyond failure, and nothing that he wills can be denied. - holy [hóuli] : 「神聖な」
- host [hóust] : 「主人、ホスト、宿主」
- beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の域を越えて、〜を超越して」
- will [wíl] : 「〜を望む、意図する、命ずる、決意する」
- deny [dinái] : 「〜に…を与えない、〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
❖ "For the holy host ~ "「なぜなら、神の神聖なホスト役は失敗を超越しており、」"and nothing that he ~ "「彼が意思することは、叶えられないことはないからである」。"host"この言葉のピッタリな訳語がないのだが、神の傍らにいて神と共に喜びを分かち合う者、といった意味合いがある。伴侶という意味に近いかもしれない。いずれ、神の子のことである。キリストとしての神の子は失敗や失望などという概念から超越している。意思したことは必ず実現する。なぜなら、神の子は一元論実相世界に存在しているのであり、実相世界には失敗とか失望といった概念自体が存在しないからだ。
You are forever in a relationship so holy that it calls to everyone to escape from loneliness, and join you in your love. And where you are must everyone seek, and find you there.- forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
- relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
- escape [iskéip] : 「逃げる、脱出する、抜ける」
- join [dʒɔ́in] : 「結び付ける、結合する、連結する、合わせる」
❖ "You are forever in ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、「あなたはあまりにも神聖な関係性の中に永遠に存在しているので、」"that it calls to everyone ~ "「その神聖な関係性は、あらゆる者に、孤独から抜け出し、自分の愛に自分を結びつけるようにと呼びかけているのだ」。"holy relationship"「神聖な関係」は"special relationship"「特別な関係」に対照する言葉である。つまり、神と神の子とキリスト(ホーリー・スピリット)の三者間の関係のことだ。"join you in your love"「あなたの愛にあなたを結びつける」とはどういうことだろう? あなた自身の愛に気づくという意味にもとれそうだが、あなたの心の中に愛として存在するキリストやホーリー・スピリットにあなた自身を結びつけ、その神聖な関係性を愛する、といった意味合いになるのではないだろうか。"And where you are must ~ "「そして、すべての者は、あなたがいる場所を探し、そこにあなたがいることを見出すに違いない」。"everyone"「すべての者」と"you"「あなた」を自他一如によって同一だとして考えると、ここの文章が解釈出来るだろう。あなたを始めあらゆる同胞たちが、いったい本当の自分はどこにいるのかと探すのである。外を眺めても自分は見つからず、最終的に自分の内側を探査する。そして、心の奥の最も神聖な部分、最も純粋な部分に本当の自分が存在していることを見出すのだ。そこはキリストが、あるいはホーリー・スピリットが住まう場所であり、そこに神の子として同時に存在する自分を見出したとき、あなたや同胞たちは自分がキリストであることを認識するのである。
4. Think but an instant on this: God gave the Sonship to you, to ensure your perfect creation. - instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
- think on : 「〜を熟考する、〜に思いをめぐらす」。
- ensure [en∫úə(r)] : 「〜を確かにする、保証する、請け合う、確保する」
- perfect [pə́ː(r)fikt] : 「完全な、完璧な」
- creation [kriéi∫n] : 「創作物、作品、創造、創作」
❖ "Think but an instant ~ "「ほんの少しの間、次のことに思いを巡らしてみなさい」。"God gave the Sonship ~ "「神はあなたを、神の子として創造した」。文字通りに言えば、「神はあなたに息子という地位を与えた」となる。"to ensure your ~ "「そして、あなたが完璧に創造されてことを確認した」。神は神の子を創造し、神の属性のすべてを継承した。その意味でも、神は神の子を完璧に創造したのである。つまり、神とそっくりに神の子を生み出したのだ。では、ダーウィンの進化論と整合性はなくなるのか? レベル・コンフュージョンを起こしてはならない。神は神の子を神に似せて創造した。その神の子が神からの分離をふと思い立ち、深い眠りに陥った。その眠りの中で見られている夢が、この世界であり宇宙である。夢の中で、百数十億年前のビック・バンから始まって、宇宙の進化、生物の進化を夢見ているのである。したがって、夢の中の世界では、ニュートン力学もマクスウェルの電磁気学もアインシュタインの相対論もシュレディンガーの量子論もホーキングの宇宙論も、もちろん、ダーウィンの進化論も科学的に正当であろう。しかし、それはあくまでも夢の中の、つまり、幻想世界(幻想的時空世界)の中で正当であるだけであって、ひとたび夢から覚めたら、あなたはその正当性をいつまでも引きずることは不必要である。実相世界に戻れば、実相世界の真実が目の前に展開するのであって、そのとき、神が神の子を神に似せて創造した事実がはっきりと認識されるということなのである。したがって、ACIMは非科学的であるとする批判は正当でない。科学は幻想世界を扱い、ACIMは実相世界を扱っているのだから、レベル・コンフュージョンを起こせばおかしな批判が生じてしまうのである。科学は物質の実在性に基本を置き、ACIMは心の実在性に基本を置く。その役割分担を混同すると誤解を生じてしまうのだ。もちろん、ACIMを振りかざして、科学の不当性を主張することも誤った行為である。
This was His gift, for as He withheld Himself not from you, He withheld not His creation. - withheld : 「withholdの過去形」
- withhold [wiðhóuld] : 「〜を抑える、差し控える、保留する、与えないでおく」
❖ "This was His gift ~ "「(あなたが神の子として創造されたのは)神の贈り物である」。"for as He withheld ~ "「なぜなら、神はあなたに神自身を与えないでおくようなことはしないように、」"He withheld not ~ "「神は、創造したものを(あなたに)与えずにおくことはしないからだ」。回りくどい言い方をしているが、要するに、神は神自身を、そして、神が創ったものも、すべてあなたに与えている、ということ。神はすべてを与えるのである。すべてを与えるということは、実相世界では、すべてを与えられることでもある。したがって、神には不足はなく、永遠の充足があるだけだ。だから、神の子として、あなたも同胞にすべてを与えるべきなのである。そうすれば、あなたはすべてを与えられ、永遠の充足を覚えるはずだ。与えると言っても、もちろん、物質やお金を与えるのではない。想念としての愛、喜び、平等性、平和、美、慈しみ、等々の完全な抽象想念を与え、そして受け取るのである。もっとも、想念が実在であることを知れば、もはや物質もお金も不要になってしまうだろうが。
Nothing that ever was created but is yours. Your relationships are with the universe. - ever [évə(r)] : 「今までに、これまで、かつて」
- creat [kriéit] : 「創造する、創り出す」
- universe [júːnəvə̀ː(r)s] : 「宇宙、銀河、全世界、全人類」
❖ "Nothing that ever ~ "「これまでに創造されたものはすべて、あなたのものである」。"Your relationships are with ~ "「あなたの関係性とは、全世界(宇宙)との関係性なのである」。すべてがあなたのものだと言っても、ここで所属や所有を語っているのではない。すべてがあなたと同等な関係性をもっている、ということだ。同等な関係性であるから、ほぼ重なりあって、調和共鳴しているのである。つまり、あなたは万物と調和共鳴し、あなたが万物であると言ってもいい。したがって、あなたが万物をもっていると言ってもいいわけだ。ここで"universe"「世界、宇宙」という言葉が使われているが、この幻想世界のことではないし、幻想の宇宙でもない。そこで、真に実在する万物と考えることにして、実相世界と言う代わりに、ここでは実相宇宙とでも命名しておこうか。
And this universe, being of God, is far beyond the petty sum of all the separate bodies you perceive. - beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の域を越えて、〜を超越して」
- petty [péti] : 「ささいな、つまらない、わずかな、小さい、けちな」
- sum [sʌ́m] : 「合計、和、計」
- separate [sépərèit] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
- body [bɑ́di] : 「物体、実質、集まり、塊」
- perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "And this universe ~ "「そして、この実相宇宙は、神のものであるから、」"is far beyond ~ "「あなたが知覚する、分離した物体のケチな合計をはるかに超越している」。実在する実相宇宙は神の実相世界であるから永遠無限な宇宙である。我々が数々の物質の集合体(和)として観測出来る認識範囲をはるかに越えている。我々が住んでいるこの幻想の全宇宙も、神の実相宇宙に比べてば、けし粒の大きさしかない。
For all its parts are joined in God through Christ, where they become like to their Father. - through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
- like [láik] : 「似ている、類似の、類似した、同様の」
❖ "For all its parts are ~ "「なぜなら、幻想宇宙のすべての構成物は、キリストを通して神の中で結合するからだ」。"where they become ~ "「その場所で、すべての構成物は父なる神に似たものとなるのである」。「構成物」が人なのか物なのか、混乱してきたかもしれないが、どちらでもいい。所詮どちらも幻想なのだから。ここでは、肉体と解釈するとスムーズに行くだろう。その昔、神から分離し、さらに自己分裂を起こした我々の心は肉体と物質を幻想した。しかし、我々がこの幻想宇宙という夢から覚めるとき、その聖なる瞬間に、肉体と物質という幻想を持ち運んでいた我々の心はキリストの導きを通して神の元で再統一される。我々の心は一なる心(Mind)になるのである。その時、当然、幻想の肉体と物質は消滅し、幻想のこの宇宙も消滅する。物質世界は消滅するのである。そして、一つになった心は、自らが神の子として神に似ていることをあらためて確認するのである。
Christ knows of no separation from His Father, Who is His one relationship, in which He gives as His Father gives to Him.- separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
- relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
❖ "Christ knows of ~ "「キリストは、父なる神から一歩たりとも離れてはいないことを知っている」。"Who is His one ~ "「そして、その神との関係性こそが唯一の関係なのである」。"in which He gives ~ "「その関係性の中にあって、神がキリストに与えたように、今度はキリストが与えることとなるのだ」。夢から覚めたあなたは、神から分離したと思い込んでいたのは夢に過ぎず、本当は神から一歩たりとも離れていなかったことを知る。そして、キリストを通じて神の元で再統一した神の子の心は、今や、自分がキリストであることを認識するのである。神の子であるあなたは、キリストとして神の前に立つことになるのだ。さらに、神と神の子とホーリー・スピリットの三位の間の関係性が唯一の真実なる関係であると知る。今や、神とそっくりな自分を確認したあなたは、神が神の子にすべてを与えて惜しまなかったように、あなたもすべてを与えることを学ぶのである。何を与えるのか? もちろん、愛であり喜びであり平和であり、創造と美、永遠不変を与えるのである。お気づきだと思うが、この地点まで来ると、与えることと与えられることは完全に一致し、それが「分かち合う(share)」という言葉の真の意味だとわかるだろう。つまり、分かち合いとは、ある物を互いに所有し合うという意味ではなく、所有という概念を完全に放棄して与え尽くす状態のことなのである。所有を放棄し、完全に与え尽くしたとき、そこに真の分かち合いが生まれ、あなたはすべてを与えられた状態になる。つまり、そういう奇跡が起きるのである。しかし、誤解してはならない。ACIMは、物もお金も含めてすべてを他者に与えよ、と言っているのではない。何かの宗教的団体に布施として財産を寄進せよなどと言っているのではない。ACIMは、あくまでもあなたの心の改革を求めるのであって、心が所有という概念から救われることを求めているだけなのである。