●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-18.IX.4:1 ~ T-18.IX.5:4

4. The circle of fear lies just below the level the body sees, and seems to be the whole foundation on which the world is based.

  • circle [sə́ː(r)kl] : 「領域、範囲、円、円周」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • below [bilóu] : 「~より下に、~の下方に、~より低い所に」
  • level [lévl] : 「水準、レベル、段、段階、地位、度合い」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
  • foundation [faundéi∫n] : 「土台、礎、基盤」
  • base [béis] : 「~の基礎を形成する、~の基礎を…に置く」
❖ "The circle of ~ "「恐れが存在する領域は、肉体が目に出来るレベルのちょうど真下に存在する」。恐れという感情が存在する領域は、目に見えている物質的な世界の直下、感情のうごめく領域である。"and seems to be ~ "「そして、この(幻想)世界が基礎を置く土台全体を作っているように見えるのだ」。そもそも、この幻想世界は、神の子の罪の意識と神による罰への恐れから成立したものであるから、世界の土台は神の子のネガティヴな感情そのものなのである。感情といっても、表面に現れた感情のみならず、無意識領域に沈潜した感情も含めて、意識、無意識両方の感情と考えた方がいいだろう。無意識の感情というとピンと来ないかも知れないが、隠された怒りの感情は、その最たるものだ。



Here are all the illusions, all the twisted thoughts, all the insane attacks, the fury, the vengeance and betrayal that were made to keep the guilt in place, so that the world could rise from it and keep it hidden.
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • twist [twíst] : 「ひねる、ねじる、巻く、曲げる」
  • twisted : 「ねじれた、ひん曲がった、ひねくれた、不愉快な」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、見解、思考、思索、熟考、思想」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃s」
  • fury [fjú(ə)ri] : 「激怒、憤慨、憤激、激情」
  • vengeance [vén(d)ʒ(ə)ns] : 「復讐、仕返し、報復」
  • betrayal [bitréiəl] : 「裏切り、密告、背信、内通」
  • keep [kíːp] [SVOC] : 「~の状態にしておく、~にしておく」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • in place : 「適切な位置に、適所に、あるべき位置に」
  • so that : 「~できるように」
  • rise [ráiz] : 「上がる、起立する、昇る」
  • hidden [hídn] : 「隠された、秘密の」
❖ "Here are all ~ "「ここに、幻想のすべて、ねじ曲げられた思考のすべて、狂った攻撃性のすべて、激怒、復讐と裏切りがある」。"that were made to ~ "「そして、それらは、罪の意識を所定の場所に縛りつけておくために作られたものなのだ」。罪の意識を、無意識の根底部分に隠し置くために、その罪の意識を外部世界へ投射して、攻撃性や復讐心、裏切り等々を作り出したのである。"so that the world ~ "「その結果、この世界がそこから立ち上がり、罪の意識を隠すこととなった」。同様に、罪の意識はこの世界さえも投射によって立ち上げ、肉体を全面に押し出すことで、その中に罪の意識を閉じこめ、隠したのである。これが、この幻想世界の成り立ちである。



Its shadow rises to the surface, enough to hold its most external manifestations in darkness, and to bring despair and loneliness to it and keep it joyless.
  • shadow [∫ǽdou] : 「影、暗がり、人影、陰、影響」
  • surface [sə́ː(r)fəs] : 「表面、面、水面」
  • enough [inʌ́f] to : 「~するのに十分な、~するに足りるほど」
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
  • external [ikstə́ː(r)nl] : 「外の、外側の、外部にある、外部の」
  • manifestation [mæ̀nəfistéiʃən] : 「明らかにすること、明示、表明、現れ、顕現」
  • darkness [dɑ́ː(r)knəs] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
  • bring [bríŋ] : 「~を持って来る、~を連れて来る」
  • despair [dispéə(r)] : 「絶望、失望、落胆」
  • loneliness [lóunlinəs] : 「孤独、寂しさ」
  • joyless [dʒɔ́ilis] : 「喜びのない、楽しくない」
❖ "Its shadow rises ~ "「罪の意識の影が、(世界の)表面に立ち昇る」。罪は隠されたが、その影は、攻撃性や復讐心や憎悪、怒り等々となって世界の表面に立ち昇り、世界を埋め尽くすに至った。"enough to hold its ~ "直訳すると、「それは、最も外側の現れを闇の中に保持するのに十分であり」。つまり、攻撃性や復讐心や憎悪、怒り等々は、この世界を闇の世界に変えるに十分で、世界の現れを闇と化すのに十分で、ということ。"and to bring despair ~ "「また、絶望と孤独をこの世界に持ち込み、世界を喜びのないものに留めるのに十分である」。



Yet its intensity is veiled by its heavy coverings, and kept apart from what was made to keep it hidden.
  • intensity [inténsəti] : 「強烈さ、激しさ、強さ、強度、強烈」
  • veil [véil] : 「ベールで覆う、覆い隠す」
  • heavy [hévi] : 「重い、激しい、重みのある、大きい、太い」
  • covering [kʌ́vəriŋ] : 「覆い、被膜、被覆、おおい、蓋」
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • apart from : 「~から離れて、~は別として、~はさておき」
  • hidden [hídn] : 「隠された、秘密の」
❖ "Yet its intensity is ~ "「しかし、罪の意識の強烈さは、その重い蓋によって覆われている」。"and kept apart from ~ "「そして、罪の意識を隠したままにしておくために作られたものから、離されているのである」。罪の意識の強烈さに耐えきれなくなって、それを外部世界へ投射して、攻撃性や復讐心や憎悪、怒り等々を作り出したのである。したがって、表面上は、攻撃性や復讐心や憎悪や怒りという重い蓋によって、罪の意識は無意識の領域に封印されているのだ。そして、表面的には、罪の意識は、攻撃性や復讐心や憎悪や怒りから切り離されているように思われていて、まるで無関係であるかのように考えられている。



The body cannot see this, for the body arose from this for its protection, which depends on keeping it not seen.
  • arose [əróuz] : 「arise の過去形」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる、発生する」
  • protection [prəték∫n] : 「保護擁護、予防、防御、防備、後援、防衛」
  • depend [dipénd] on : 「~に頼る、~を当てにする、~によって決まる、~次第である」
❖ "The body cannot ~ "「肉体はこれを見ることは出来ない」。いくら目を凝らしても、肉体の目では、無意識の領域に隠された罪の意識も、また罪の意識と攻撃性や復讐心や憎悪や怒りとの関係性も見えてこない。"for the body arose from ~ "「なぜなら、肉体は、罪の意識を守るために、そこから発生したものであるからだ」。肉体は、罪の意識を隠すために(隠し守るために)、その罪の意識から生まれた(罪の意識が投射して作った)ものなのだ。"which depends on ~ "「そして、肉体が罪の意識を守れるかどうかは、罪の意識が目に触れられるかいなかにかかっているのだ」。あなたの心が肉体に向かっているうちは、心は罪の意識が見えないので、罪の意識は無意識の根底に隠されたまま安泰である。しかし、ひとたび、心が無意識の中の罪の意識を目撃してしまったなら、心は罪の意識を白日の下に引きずり出してくることとなり、罪の意識の安泰は終止符を打つこととなる。



The body's eyes will never look on it. Yet they will see what it dictates.
  • look on : 「~を見る、見物する」
  • dictate [díkteit] : 「~を命令する、指示する、~に影響する、~を決定する」
❖ "The body's eyes ~ "「肉体の目は、決して罪の意識を見ることはない」。罪の意識を目撃出来るのは、心の目である。"Yet they will see ~ "「しかし、肉体の目は、罪の意識が命ずることを見るだけなのだ」。罪の意識が命じて作った攻撃性や復讐心や憎悪や怒りを、肉体の目は目撃することになるのだが、その大本(おおもと)の罪の意識自体は、無意識の領域に隠されているので、したがって、肉体の目では見ることは出来ない。



5. The body will remain guilt's messenger, and will act as it directs as long as you believe that guilt is real.
  • remain [riméin] : 「依然として~のままである」
  • messenger [més(ə)n(d)ʒə(r)] : 「メッセンジャー、電報配達人、使者、使い走り」
  • act [ǽkt] : 「演じる、役割を果たす、役目を務める、行動する、振る舞う」
  • direct [dərékt] : 「命令する、指図する」
  • as long as : 「~さえすれば、~する限り、~である限りは」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • real [ríː(ə)l] : 「実在する、現実の、実際の」
❖ "The body will ~ "「肉体は、罪の意識の運び屋として存在し続けるだろう」。肉体は分離の象徴であり、したがって、罪の意識の象徴でもある。"and will act as it ~ "「そして、あなたが、罪の意識を実在だと信じる限り、肉体は、罪の意識が命ずるままに行動するであろう」。 罪の意識は、攻撃性や復讐心や憎悪や怒りを表現する手段として肉体を利用する。



For the reality of guilt is the illusion that seems to make it heavy and opaque, impenetrable, and a real foundation for the ego's thought system.
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • opaque [oupéik] : 「くすんだ、、不明瞭な、曖昧な」
  • impenetrable [impénətrəbl] : 「入り込めない、見通せない、無感覚な」
  • foundation [faundéi∫n] : 「土台、礎、基盤」
❖ "For the reality of ~ "「なぜなら、罪の意識の実在性は幻想に過ぎないからだ」。もし、あなたが、罪の意識が幻想であると認識出来たなら、攻撃性や復讐心や憎悪や怒りは不必要なことであって、それを表現する肉体も不必要、したがって、それも幻想であると認識するだろう。しかし、あなたは罪の意識の実在性を信じているから、つまり、自分は神を裏切ったという罪があるのだと信じているから、罪の意識を隠すための攻撃性や復讐心や憎悪や怒りは必要であって、それを表現する肉体も必要なのだ。"that seems to make it ~ "「その幻想は、罪の意識を重く、不明瞭で、不透明にし、エゴの思考システムの現実的な基礎を作っているのである」。罪の意識を無意識の奥底に隠すために幻想世界を投射したのだから、幻想世界が罪の意識を曖昧にしているのは、当たり前といえば、当たり前だ。「エゴの思考システムの現実的な基礎を作っている」とは、攻撃性や復讐心や憎悪や怒りが、エゴの思考システムの骨組みを構築しているということ。エゴは、これこそ世界の現実の姿だとあなたを唆(そそのか)し、肉体の実在性をあなたに吹き込む。あなたはそれを信じ、したがって、罪の意識の実在性を信じる。かくして、あなたの幻想は維持され、分離は存続されるのである。



Its thinness and transparency are not apparent until you see the light behind it. And then you see it as a fragile veil before the light.
  • thinness [θínis] : 「薄さ、希薄、細さ」
  • transparency [trænspǽr(ə)nsi] : 「透明、透明性」
  • apparent [əpǽr(ə)nt] : 「はっきり見える、明らかな、明白な、見掛けの、外見だけの」
  • until [ʌntíl] : 「~する時まで」
  • behind [biháind] : 「~の後ろに、後方に、~の裏側に、~の陰に」
  • fragile [frǽdʒ(ə)l] : 「壊れやすい、もろい、割れやすい、脆弱な」
  • veil [véil] : 「ベール、覆い、覆い隠すもの」
  • before [bifɔ́ː] : 「~の前に、~に先立って、~を前にして、面前で」
❖ "Its thinness and ~ "「あなたが〜するまで、罪の意識が実は薄っぺらで透けて見えるほどだと明らかになることはあるまい」。"until you see the light ~ "「あなたが、罪の意識の後ろから光を当てて見るまで」。実相世界の光にかざしてみて初めて、罪の意識が絵に描いた餅と同様に、単なる幻想だと気付くのである。"And then you see ~ "「そして、あなたは、罪の意識が、光の前では、ぺらぺらのベールに過ぎないと知ることになるのだ」。幻想とは、ぺらぺらのベールに過ぎないのである。吹けば消えてしまうものなのだ。闇に紛れているからこそ、それが恐ろしく大きな化け物に見えるだけの話である。子供がお化けを怖がるのと同じである。
 
 
 

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