●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-26.VIII.5:1 ~ T-26.VIII.6:8

5. The plans you make for safety all are laid within the future, where you cannot plan.
  • plan [plǽn] : 「計画、企画、予定、設計図、図面」
  • safety [séifti] : 「安全、無事、無難なもの」
  • laid [léid] : 「lay の過去・過去分詞形」
  • lay [léi] : 「〜を横たえる、〜を置く」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
  • future [fjúːtʃər] : 「未来、将来、今後」
  • plan [plǽn] : 「〜の計画を立てる、〜を計画する」
❖ "The plans you make ~ "「安全のためにあなたが立てる計画のすべては、未来の中に置かれるが、」"where you cannot ~ "「未来という場所で、あなたは計画することは出来ないのだ」。実相的に存在している時間は、今、現在だけであって、過去や未来は存在しない。この世界においては、時間が連続的に進行していくという幻想を抱いているだけだ。あなたは、未来の安全のための準備を計画しているが、未来に行って、未来を見て、その上で計画を立てるわけではないから、ほとんど意味のないことなのだ。ちょうど、明日の夜見る夢のための準備をしているようなものだ。怖い夢を見るかもしれないと、心の準備をすることは、まったく意味がないとは言えないが、おおよそバカげている。


No purpose has been given it as yet, and what will happen has as yet no cause.
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • as yet : 「今のところは」
  • happen [hǽpn] : 「起こる、発生する」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
❖ "No purpose has ~ "「まだ、未来には目的が与えられていないのであり、」"and what will happen ~ "「起こるであろうことに、まだ原因がないのだ」。未来は、可能性で構成された世界である。実相的に言えば、遠い昔、起こり得るすべての事象が一瞬にして起こり、そのすべてがホログラフィック的に記録され、この時間の存在する幻想世界で、すでに起きたすべての事象の中から好きなものを選択しながら、それを追体験しているに過ぎない。未来を選択しているかに見えるだろうが、選択出来るのは現在であり、あなたが接触出来るのは現在だけである。未来に、事象を起こす原因があるのではない。現在をどう選択するかが、つまり、現在に何を目的とするかが、未来の原因になるのだ。簡単な例を考えよう。あなたは10年後の生活の安全を考えて、一生懸命お金を貯めようと思うだろう。10年後、あなたは健康を害して働くことが出来ず、お金に窮する可能性があると考えるからだ。しかし、今、そう考えることは、それを目的として未来に原因を与えることになるのだ。つまり、あなたの想念はそのまま未来に現実化される。あなたは10年後、健康を害し働けなくなってお金に窮し、こつこつ貯めたお金で命をつなぐことになる。10年前に、お金を貯める計画を立てて良かったと思うだろう。それは悪かろう、などと言うのではない。そういった生き方をしても良かろう。しかし、未来は未来に任せ、今この時に、最も大切な人生の目的を果たそうとする生き方の方が、どれだけ健全であろうか。未来は未来に任せるというのは、日々赦しを実行して、その結果をホーリー・スピリットに委ねてしまう、という生き方である。そういう想念が原因となって、未来はそのように現実化する。10年後、あなたは日々赦しを実行し、きっと心の安定を手にしているだろう。



Who can predict effects without a cause? And who could fear effects unless he thought they had been caused, and judged disastrous now?
  • predict [pridíkt] : 「〜を予測する、〜を予見する」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
  • cause [kɔ́ːz] : 「〜を引き起こす、招く、〜の原因になる」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を判断する、〜に判断を下す」
  • disastrous [dizǽstrəs] : 「災害を引き起こす、破滅的な、悲惨な」
❖ "Who can predict ~ "「いったい誰が、原因のないままに、結果だけを予測出来るだろうか」。時間の存在するこの幻想世界では、因果律が成立していて、原因なくして結果はない。原因のない予測は不可能なのだ。"And who could fear ~ "「結果が実現され、今、悲惨な状態になっていると思わない限り、いったい誰が、結果を恐れたりするだろうか」。罪の意識に嘖(さいな)まれ、孤独の内に生きるあなたは、因果応報のためにそうなっていると、あるいは過去世のカルマのせいでそうなっていると考えるかも知れない。原因は自分にあり、その結果を今苦しんでいると思っているかも知れない。しかし、そう信じることが、未来の原因となって、思いが未来に現実化してしまうのだ。きっと、あなたは、自分の罪を責め続け、過去世のカルマを呪うという未来を演じ続けることになるだろう。したがって、ACIMは、そういう原因と結果の呪縛を断ち切れと教えているのである。時間は幻想であり、時間の存在しない実相では因果律が崩壊するのだと教えているのだ。今、このときに、実相に目覚める生き方をしろ、と言っているのである。なぜなら、今がすべてあり、今以外に何もないからなのだ。ないものを、思い煩うことはない。ありもしないものを夢に見て、幻想を恐れる必要など、どこにもないからなのだ。



Belief in sin arouses fear, and like its cause, is looking forward, looking back, but overlooking what is here and now.
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • arouse [əráuz] : 「目覚めさせる、呼び起こす、刺激する」
  • forward [fɔ́ːrwərd] : 「前方へ」
  • look forward : 「前方を見る、将来に目を向ける」
  • look back : 「振り返って見る」
  • overlook [òuvərlúk] : 「見て見ぬふりをする、見過ごす、大目に見る」
❖ "Belief in sin arouses ~ "「罪の存在を信じる気持ちは、その原因であるかのように、恐れを呼び覚ます」。"is looking forward ~ "「未来を見たり、過去を振り返ったり、しかし、今、ここにあるものを見過ごしてしまうのだ」。罪の意識に嘖まれた心は、どんな罪を犯したのだろうか過去を振り返り、どんな罰が待っているだろうかと未来を恐れたりするが、今、ここにある、無辜(むこ)なる神の子という自分の存在をすっかり忘れているのだ。幻想を信じきったままで、実相に目覚めることの重要性に気付いていないのだ。今、ここで、すべてを赦すという、実相的な創造行為の素晴らしさを知らないでいるのだ。奇跡の存在を知らないのだ。



Yet only here and now its cause must be, if its effects already have been judged as fearful.
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み、もはや」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
❖ "Yet only here and now ~ "「しかし、もし、罪の意識の結果が、すでに恐ろしいものと判断されているなら、その原因は、今、ここだけにあるに違いないのだ」。今、ここで、罪の意識に嘖まれ、その結果として罰を恐れるべきだと判断しているなら、その原因は、今、ここに存在しているに違いない。つまり、今、ここで、罪と罰という幻想にどっぷりと浸りきっている自分に原因があるのだ。今、ここで、あなたは悪夢を見ているのだ。それが、罪と恐れの原因のすべてである。



And in overlooking this, is it protected and kept separate from healing. For a miracle is now.
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • keep : 「〜の状態にしておく、保つ、〜にしておく」
  • separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」
  • healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
❖ "And in overlooking ~ "「今、ここに原因があることを見過ごすことで、恐れは守られ、ヒーリングから引き離されてしまうのだ」。"For a miracle ~ "「なぜなら、奇跡とは、今のことだからである」。奇跡は、実相的な創造であり、この幻想世界に、瞬時ではあるが、実相的事象を展開することである。つまり、奇跡の瞬間、この幻想世界のあらゆる法則は破られるのだ。空間や時間の存在も一瞬消滅する。今、ここ、という場所と時間しか存在し得なくなるのだ。それが、奇跡の実相である。したがって、"a miracle is now"「奇跡とは、今のことである」となる。



It stands already here, in present grace, within the only interval of time that sin and fear have overlooked, but which is all there is to time.
  • stand [stǽnd] : 「立っている、立つ、立ち上がる」
  • present [préznt] : 「現在の、今の、目下の、当面の」
  • grace [gréis] : 「優雅、優美、恩恵、恩寵、神の愛」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側で」
  • interval [íntərvəl] : 「隔たり、間隔、合間」
❖ "It stands already ~ "「奇跡は、すでにここにある」。"in present ~ "「今という時の恩寵の中にあり、」"within the only interval ~ "「奇跡は、罪や恐れが見過ごした(今という)時間のインターバルを伴ってここにあるのだ」。"but which is ~ "「しかし、時間にとって、あるものはその(今という)時間のインターバルがすべてなのである」。下手な訳で、申し訳ない。実相は無時間無空間であるが、時空間の用語をあえて使うなら、実相は、『今、ここに』という表現になる。奇跡が存在出来る瞬間も、その実相的な、『今、ここに』なのだ。奇跡の恩寵は、まさに、今、ここにあるのだ(in present grace)。その『今、ここに』という、過去と未来の間の瞬間的なインターバルである『今』を見過ごして(the only interval of time that sin and fear have overlooked)、過去の罪にこだわり、未来の罰に恐れを抱いてばかりいるのが、罪と恐れに捕らわれた心なのである。その過去と未来は、実相的には幻想である。時間は、過去と現在と未来の3者が一体となって時間を構成していると考えられているが、真実は、時間は今しかない(which is all there is to time)。しかも、実相的には、今という時間の概念も存在しないものなのだ。



6. The working out of all correction takes no time at all. Yet the acceptance of the working out can seem to take forever.
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正、是正」
  • take time : 「時間を取る、時間がかかる」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
  • acceptance [ækséptəns] : 「受け入れること、受け入れ、承諾、承認」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
❖ "The working out of ~ "「あらゆる修正をなすためには、時間は全くかからない」。誤りの修正は、実相的創造の一つであって、無時間の仕事である。あえて言うなら、誤りの修正は、今という時間の、瞬間的な時間のインターバルにおいて成される奇跡なのである。"Yet the acceptance of ~ "「しかし、修正が成され得るものだと(心が)受け入れるためには、永遠の時間がかかりそうに見える」。幻想慣れした心には、時間が一瞬止まって、奇跡がなされ、誤りの修正が成就されるという事実が、なかなか承認出来ないのだ。



The change of purpose the Holy Spirit brought to your relationship has in it all effects that you will see.
  • change [tʃéindʒ] : 「変化、変更、移行、交換」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • relationship [riléiʃnʃìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い」
❖ "The change of purpose ~ "「奇跡が、あなたの(特別な)関係性にもたらした、目的の変化は、修正という奇跡の中に、あなたが目にするであろうすべての結果をもっている」。またまた、下手な訳で申し訳ない。罪の意識を温存し、ごまかし隠し通すために、あなたが作り出した、パートナーとの特別な関係性、つまり、傷を舐め合いながら幻想に浸りきる関係性は、ホーリー・スピリットが新たな目的をそこに導入することで変身する。つまり、パートナーとの愛欲的関係性を、共に実相世界に目覚めるための協調的な関係性に変身させるのである。それはまさに、修正という奇跡であって、関係性のもつ目的を変えたことによる結果はすべて、修正という奇跡の中に現れるのだ。そして、あなたはその奇跡の結果を、確実に目の当たりにすることが出来るのである。



They can be looked at now. Why wait till they unfold in time and fear they may not come, although already there?
  • wait [wéit] : 「じっとしている、待つ」
  • till [tíl ] :「〜まで」
  • unfold [ʌnfóuld] : 「開く、姿を現す」
  • although [ɔːlðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが」
❖ "They can be looked ~ "「結果は、今このときに、目の当たりにすることが出来る」。関係性の目的を実相的なものに変えた結果は、修正の奇跡が瞬間に起きて、今、目にすることが出来る。奇跡は、今しかないのだ。"Why wait till they ~ "「なぜ、結果が、時間という枠組みの中で展開して行くのを待たなくてはならないのか」。"and fear they ~ "「なぜ、結果は現れないかもしれないと恐れなくてはならないのか」。"although already ~ "「結果は、すでに存在しているというのに」。修正を願い、赦しを実行し、奇跡を期待しても、それが、すぐに目の前に現れないのが、この世の常である。しかし、そうではないと言っているのだ。修正も赦しも奇跡も、その結果はすでに、今、ここにある、と言っている。あなたが、それを見ないだけの話しなのだ。分離という幻想を信じるがあまり、心の隔たりを心の外部に投射して時間を作ってしまったので、今、ここにある結果が、未来のある時点に転送されてしまったのだ。あなたの心が、時間という幻想から解放されたなら、奇跡の結果は、瞬時にして、あなたの目の前に現れるはずなのだ。なぜなら、結果は今、ここにあるからだ。原因と結果という時間的ズレが存在しない実相では、原因と結果は融合し一つとなって、想念は一瞬にして現実化するのである。



You have been told that everything brings good that comes from God. And yet it seems as if this is not so.
  • as if : 「あたかも〜かのように、〜と言わぬばかりに」
❖ "You have been told ~ "「あなたは、that以下を言われたことがある」。"that everything brings ~ "「神からやって来るものは、すべて良きものをもたらす」と言われたことがある。"And yet it seems ~ "「しかし、そうではないように思われるだろう」。神に奇跡を願っても叶えられず、神があなたの声を聞いていないかも知れないと、あるいは、聞いても受け入れてもらえないと思っているかもしれない。しかし、そうではないのだ。分離という幻想を信じるがあまり、時間を作り出して、結果の発現を遅らせているだけなのだ。神に原因があるのではなく、あなたの心に原因があるのだ。



Good in disaster's form is difficult to credit in advance. Nor is there really sense in this idea.
  • disaster [dizǽstər] : 「災害、災難、惨事、厄災、大失敗、最悪のこと」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見」
  • difficult [dífikʌ̀lt] : 「難しい、困難な、難解な、厳しい」
  • credit [krédit] : 「認める、〜を信用する、信じる」
  • advance [ədvǽns] : 「前進、進展、進歩、躍進、進出」
  • in advance : 「前もって、あらかじめ、先立って」
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
  • sense [séns] : 「良識、分別、道理、思慮、判断力、正気、平常心」
  • idea [aidíːə] : 「考え、着想、アイデア、発想、見解、意見」
❖ "Good in disaster's form ~ "「災いの形をとった良きことは、前もって信じるのは難しい」。災いや苦しみが、やがては良きことに変わるなどと信じることは、あなたには難しい。"Nor is there really ~ "「こんな考えの中には、本当は、何の意味もないのだ」。おや、と思うかもしれないが、災い転じて福となる、という諺は真実を言い当てていない。良きことは、今、ここにすでに実現しているのである。しかし、あなたは、幻想という黒雲に覆われて、つまり、災いや苦しみに嘖(さいな)まれて、それが見えないだけなのだ。幻想が実相に変化出来ないように、災いや苦しみが、良きことに変身することは出来ない。では、どうすればいいか。災いや苦しみの悪夢から、目覚めるだけいいのだ。目が醒めれば、悪夢から解放されて、目の前に、良きことがあると気付くのである。そういう知覚の修正、ヒーリング、奇跡は、明日でも明後日でもなく、今、ここで、実行されるのだ。なぜなら、実相的には、それはすでに完了して、今ここにあるからだ。
 
 
 


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