3. Salvation is immediate. Unless you so perceive it, you will be afraid of it, believing that the risk of loss is great between the time its purpose is made yours and its effects will come to you.
- salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
- immediate [imíːdiət] : 「即時の、即座の、即刻の、迅速な」
- unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- be afraid [əfréid] of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
- believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
- risk [rísk] : 「危険性、恐れ、リスク」
- loss [lɔ́s] : 「失うこと、紛失、損失、喪失」
- great [gréit] : 「大きい、大きな、巨大な」
- between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "Salvation is ~ "「救いは即時的である」。実相的には、救いは求めれば、即時的にすぐに叶えられるはずなのだ。しかし、そう思えないところに、問題がある。"Unless you so perceive ~ "「そう知覚しない限り、あなたは、救いを恐れることになるのだ」。救いを即時的なものと感じられないなら、救いを求めても無駄であり、失うものが大きいと感じて、それを求めることに恐れを感じてしまうのである。"believing that the risk ~ "「救いという目的があなたの目的にされる時と、その結果があなたに現れる時までの間に、喪失の危険性が大いにあると信じてしまうからだ」。救いを求めてもすぐに叶えられないどころか、結果が出るまでに、失うことが多くあるだろう恐れるのだ。失うものとは、たとえば、パートナーとの特別な関係性、あなたの持っている自負心や優越心である特別性、等々はその最たるものだ。金や地位や権力を失ってしまうかも知れない。平凡な日常性を失うかも知れない。つまり、取るに足らぬ幻想を失う恐れなのだ。
In this form is the error still obscured that is the source of fear.
- form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
- error [érər] : 「誤り、間違い、ミス」
- obscure [əbskjúər] : 「ぼんやりした、曖昧な、不明瞭な」
- source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起点、原因」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ "In this form is ~ "「こういう形の中にあっては、恐れの源となる誤りは、まだ曖昧である」。"In this form"「こういう形の中にあっては」とは、救われたいが、それが実現するまでには時間がかかって、失うものが多いだろうと恐れる段階では、ということ。その段階では、あなたは、恐れの原因とであるところの幻想への病的な依存性に、はっきりとは気付いていない。自分の誤りが曖昧にされているのだ。幻想に対する麻薬的な依存性にはっきりと気付いているなら、その誤りを正すために、即刻、心から救いを求めるはずなのだ。自分の心の病に気付いていないから、金や地位や権力を失う危険性を恐れて、心の病の治療(ヒーリング)に踏み切れないでいるのである。
Salvation would wipe out the space you see between you still, and let you instantly become as one.
- wipe out : 「消滅させる、消し去る、ふき取る」
- space [spéis] : 「空間、スペース」
- instantly [ínstəntli] : 「すぐに、すぐさま、一瞬にして、即座に」
- become [bikʌ́m] : 「〜になる」
❖ "Salvation would wipe ~ "「救いは、あなた方が、まだあなた方の間に見ている空間を一掃し、」"and let you instantly ~ "「すぐにも、あなた方を一体なるものにしてくれるはずなのだ」。分離を象徴する幻想世界にあって、神の子は分離分裂し、それを補強するかのように時空間という幻想をも作り出した。救いは、その幻想から目覚めさせることであるから、救いが実現すれば、神の子同士の間の垣根、つまり、空間という幻想も消滅し、即座に、神の子は本来の姿である一体性に戻れるはずのだ。
And it is here you fear the loss would lie. Do not project this fear to time, for time is not the enemy that you perceive.
- lie [lái] : 「ある、存在する」
- project [prάdʒekt] : 「〜を投影する、発射する、投げ出す」
- enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "And it is here you ~ "「喪失があるだろうと、あなたが恐れるのは、まさにここ、この空間なのだ」。幻想が消滅すれば、神の子は一体となり、その結果、あなたは他の同胞より優勢であるという特別性も消滅する。あなたの地位も権力も、他者との区別が付かなくなったら意味を失うのだ。空間があるからこそ、あなたは守られていると感じている。空間が平凡な日常を守っていると感じているのだ。その空間を失うことを、あなたは第一に恐れているのである。"Do not project this ~ "「決して、この恐れを投射して時間を生み出してはいけない」。"for time is not ~ "「なぜなら、時間は、あなたが知覚するような敵ではないのだから」。空間的な隔たりは、長くも出来るし、短くも出来る。心の繋がりに、距離的な自由度があるのだ。しかし、空間的な隔たりを絶対的なものにするために、すなわち、心のコントロールの外に置くために、その隔たりを心の外に投射してしまえば、隔たりは時間へと変身する。そうなってしまえば、時間という隔たりを、長くしたり短くしたり、逆戻りしたりする自由を、心は完全に失うのだ。神の子同士の隔たりは、絶対的なものとなってしまう。時間は、あたかも、あなたに対抗する、絶対的な権力を持った敵のようにさえ思えてしまうだろう。つまり、あなたは、時間に支配されていると感じてしまうのだ。時間の奴隷になってしまうのだ。しかし、時間は、本当は単なる幻想であり、消滅させることが可能な錯覚に過ぎない。時間の使い方によっては、あなたを幻想から解放する道具に出来るものなのだ。決して、あなたを支配する敵ではない。もちろん、解放するための道具として、時間の使い方を知っているのが、ホーリー・スピリットである。
Time is as neutral as the body is, except in terms of what you see it for.
- neutral [njúːtrəl] : 「中立の、無色の、中間色の」
- except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
- in terms of : 「〜に関して、〜の点から見て、〜の観点では」
❖ "Time is as neutral ~ "「時間は、肉体と同様に、ニュートラルなのだ」。時間も肉体も、共に単なる幻想であり、また、幻想から目覚めるための道具になり得るものなのだ。良くもあり悪しくもある、という意味で、ニュートラルなのだ。"except in terms of ~ "「ただし、あなたが、時間や肉体を何のためのものかと見る、その観点を除外してのことだが」。あなたは、肉体や時間を実在だと思い、あなたの特別性を補強してくれるものだと信じているだろうが、そういった観点で見るのではなく、実相的な観点から見れば、肉体も時間も、ニュートラルなものなのだ。害もなければ得もない。
If you would keep a little space between you and your brother still, you then would want a little time in which forgiveness is withheld a little while.
- keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
- forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
- withheld [wiðhéld] : 「withhold の過去形、過去分詞形」
- withhold [wiðhóuld] : 「〜を抑える、差し控える、与えないでおく」
- a little while : 「ちょっとの間、ほんの少し間」
❖ "If you would keep ~ "「もしあなたが、あなたと同胞の間に、まだ、小さな空間的隔たりを保っておきたいと思っているなら、」"you then would want ~ "「そのときは、赦しが、ほんの少しの間保留されるという、わずかの時間を、あなたが望んでいるということなのだ」。救いと赦しは表裏一体であって、幻想を幻想と認識して、それを受け入れ受け流して赦してしまうことが、実相的な赦しである。その赦しが実現すれば、結果として幻想は消滅し、あなたは幻想から実相へと救われるのだ。赦しが原因となって、救いが結果すると思っていい。しかし、本来、実相には時間は存在しないから、原因である赦しと結果である救いは同時に起きる。その意味では、実相的には、原因と結果の間には区別はない。しかし、あなたが、同胞との間に隔たりを求め、その隔たりを心の外部に投射して、絶対的な隔たりとして時間を作ってしまえば、原因と結果は分裂し、赦しを実行しても、救いがすぐに現れてこないという事態が起きるのである。時間的な、いわゆる、タイム・ラグが出現するのだ。ヒーリングを実行しても、その結果が癒しとしてすぐには現れない。奇跡を願っても、奇跡はなかなか起きないのだ。その原因は、あなたが分離を保って置くために、隔たりを心の外部に投射して、時間を作ってしまったことにある。逆に言えば、もしあなたが、あなたと同胞の間に、空間的な隔たりも時間的な隔たりも望まず、それを消滅させてしまったなら、赦しと救いは同時に起き、ヒーリングは即座に結果を表し、奇跡は望んだ瞬間に起きることになる。即時性とは、タイム・ラグがないことだが、結局、時間それ自体が消滅した状態を言うのである。原因と結果の区別の消滅である。
And this but makes the interval between the time in which forgiveness is withheld from you and given seem dangerous, with terror justified.
- interval [íntərvəl] : 「隔たり、間隔、合間」
- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
- dangerous [déindʒərəs] : 「危険な、物騒な」
❖ 赦しが保留されることを、あなたが望んだために、"And this but makes ~ "「このことが、赦しがあなたに与えられず、危険なもののように見えてしまうという、時間のインターバルを作り出してしまうのだ」。想念は必ず現実化するから、赦しを保留したいというあなたの願いも、すぐに現実化され、保留を確保する時間のインターバルが出現するのだ。幻想を失うことを恐れ、赦しを躊躇する気持ちが、赦しを求めても結果はなかなか現れないという時間的なインターバル、タイム・ラグを生み出しているのである。大体、良からぬことはすぐに実現し、あって欲しいことはなかなか起きないがこの世の常だ。その皮肉を作り出しているのは、あなたの心なのである。
4. Yet space between you and your brother is apparent only in the present, now, and cannot be perceived in future time.
- apparent [əpǽrənt] : 「明らかな、明白な、見掛けの」
- present [préznt] : 「今、現在」
- future [fjúːtʃər] : 「未来、将来、今後」
❖ "Yet space between ~ "「しかし、あなたと同胞の間の空間は、明らかに、現在、今だけに存在し、未来という時間に知覚されるものではない」。知覚される空間的隔たりは、今、ここにあるのだ。未来に、空間的隔たりが生まれる、という性質のものではない。
No more can it be overlooked except within the present. Future loss is not your fear.
- no more : 「もはや〜しない、それ以上〜ない」
- overlook [òuvərlúk] : 「見て見ぬふりをする、見過ごす、大目に見る」
- within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側で」
- future [fjúːtʃər] : 「未来の、今後の」
❖ "No more can it be ~ "「現在という時間以外に、空間的隔たりを見過ごすことも出来ないのだ」。あなたと同胞の間の空間的な隔たりを見過ごして、あなたと同胞の間の垣根を取り払ってしまえるのは、今、このときに限られる。"Future loss is ~ "「未来の喪失は、あなたの恐れになることはない」。今、ここで、あなたと同胞の間の空間が消滅し、幻想の数々を失ってしまうことが恐ろしいのであって、未来にそれが起きることを怖がっているのではない。救いを躊躇しているのは、未来ではなく、今、この時なのだ。したがって、あなたが幻想の恐れと戦わなくてはならないのは、今この時であって、未来に戦いを延ばそうと思ってはいけない。古い歌の文句ではないが、『いつか』という時は、決して訪れることはない(Someday never comes)。
But present joining is your dread. Who can feel desolation except now? A future cause as yet has no effects.
- joining [dʒɔ́iniŋ] : 「連結、接合、結合」
- dread [dréd] : 「恐怖、不安、心配」
- desolation [dèsəléiʃən] : 「荒らすこと、荒廃、荒れ地」
- cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
- as yet : 「今のところ、今までのところ」
- effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "But present joining ~ "「しかし、今(同胞と)結合することが、あなたの恐れになっている」。今知覚する、あなたと同胞の間の幻想の隔たりを、赦して消滅させることを、あなたは恐れている。"Who can feel ~ "「今を除いて、誰が荒廃を感じ得ようか」。心の孤独、心の闇、心の荒廃を感じているのは今であって、未来にそれを感じるという性質のものではない。"A future cause ~ "「未来にある原因は、まだ、今ここに結果を表してはいないのだ」。聖書に言う『明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む』(マタイによる福音書6章34節:新共同訳)という言葉の真意は、ここにある。
And therefore must it be that if you fear, there is a present cause. And it is this that needs correction, not a future state.
- therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って」
- correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正、是正、補正」
- state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
❖ "And therefore must ~ "「したがって、もしあなたが恐れているなら、その原因は今にある、ということは確かだ」。救いを恐れて躊躇している原因は、今、ここにあるはずだ。"And it is this that ~ "「修正を必要としているのは、このことであって、未来の状態なのではない」。今、ここで恐れを生み出している原因を修正することこそが必要なのであって、未来の姿を修正しようとしても無駄である。まだ起きてもいない未来を修正すること自体が不可能なのだ。ならば、未来は思い悩む必要はなく、仏陀が言うように、今ここで、あなたの足に刺さっているトゲを抜くことの方がよっぽど大切なのだ。10年先の米を買う金を心配するよりも、今見ている悪夢から目覚める方が大切なのである。なぜなら、10年先の米を買う心配をすること自体が悪夢なのであり、それは、あなたの心が病んでいる証拠だからである。