●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-1.III.9:1 ~ T-1.IV.1:5

9. Miracles are selective only in the sense that they are directed towards those who can use them for themselves.
  • selective [siléktiv] : 「選択できる、選択的な、特定の人を対象にした」
  • in the sense : 「〜という意味で」
  • direct [dərékt] : 「〜を方向づける、命令する、指図する」
  • towards = toward :[tɔ́ːrd] 「〜の方へ、〜に向かって」
  • those who : 「 〜する人々」
  • use [juːz] : 「使う、利用する、生かす、働かせる」
  • for oneself : 「自分のために、独力で」
❖ "Miracles are selective ~ "「奇跡は、それを自分自身のために利用出来る者へ向かうように方向づけられているという意味において、奇跡は選択的である」。奇跡は、棚からぼたもちが落ちるように、誰彼かまわず起きるものではない。奇跡を心から願う者だけに、奇跡は起きる。だから、その意味では、奇跡は選択的である。もっとも、選択的であるが、決して差別的ではない。
"for themselves"「自分自身のために」とあるが、これは独善的という意味ではなく、神の子が自他一如でることを考えれば、自分のための奇跡は同時に他者をも巻き込んで起きるのである。したがって、自分のために、ひいては他者のために奇跡を利用出来る者に、奇跡は向かうのである。



Since this makes it inevitable that they will extend them to others, a strong chain of Atonement is welded.
  • since [síns] : 「〜なので、〜だから」
  • make A + (形容詞B) : 「AをBの状態にする」
  • inevitable [inévətəbl] : 「当然の、必然的な、必然の、必至の」
  • extend [iksténd] : 「伸ばす、拡張する、拡大する」
  • strong [strɔ́ːŋ] : 「力強い、強力な、強い、力がある」
  • chain [tʃéin] : 「鎖、チェーン、連鎖、つながり」
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
  • weld [wéld] : 「〜を溶接する、結合する、ひとつにまとめる、統一する 」
❖ "Since this makes it ~ "「この、奇跡が選択的であることは、奇跡が他者に拡張することを必然的に起こすので、」"a strong chain of Atonement ~ "意訳する、「贖罪は強い鎖で結ばれることになる」。あなたに起きる奇跡は、自他一如である他者に波及するのだ。あなたの心の中にある罪の意識が幻想であると知ってそれを赦すとき、奇跡は罪の意識を消滅させる。そういう贖罪の奇跡は、あなた一人に止まることなく、他者に拡張し、贖罪の輪は強い鎖で結ばれることになる。ACIMで言う『同胞』とは、そういう意味である。



However, this selectivity takes no account of the magnitude of the miracle itself, because the concept of size exists on a plane that is itself unreal.
  • however [hauévər: 「 けれども、しかしながら」
  • selectivity [səlèktívəti] : 「選択性、選択度」
  • take no account of : 「 〜を無視する、〜など眼中にない、〜を度外視する」
  • magnitude [mǽgnətjùːd] : 「規模、等級、大きさ、重要さ、重要性 」
  • concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念、コンセプト、考え方」
  • size [sáiz] : 「大きさ、サイズ、寸法、規模」
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている」
  • plane [pléin] : 「平面、面、次元、程度、レベル」
  • unreal : 「実在しない、非現実的な、幻想的な、空想的な」
❖ "However, this selectivity ~ "「しかし、この奇跡のもつ選択性は、奇跡自体の規模と無関係である」。奇跡の規模が大きいから遠くの他者まで奇跡が及ぶとか、規模が小さいから近くの他者にしか波及しない、などということはない。"because the concept ~ "「なぜなら、大きさという概念は、それ自体が非実在である次元に属しているものだからである」。この幻想世界には時間と空間が存在しているが、共に幻想である。実相世界には、時間も空間も存在しない。完全に純粋な想念の世界だからだ。奇跡は実相世界の真実であって、したがって、奇跡は時間と空間の法則に従うことはない。奇跡には、空間的な大小という概念はないのだ。ACIMの序文に、奇跡には序列がない、という述べられていることを思い出そう。



Since the miracle aims at restoring the awareness of reality, it would not be useful if it were bound by laws that govern the error it aims to correct.
  • since [síns] : 「〜なので、〜だから」
  • aim at : 「〜に向ける、〜に照準を定める、〜を得ようとする」
  • restore [ristɔ́ːr] : 「回復させる、修復する、復活させる」
  • awareness [əwéərnəs] : 「認識、自覚」
  • reality [riǽləti] : 「現実性、実在性、現実のこと」
  • useful [júːsfəl] : 「役立つ、便利な、有益な、価値ある」
  • bound : 「bind の過去・過去分詞形」
  • bind [báind] : 「〜を束縛する、拘束する」
  • law [lɔ́ː] : 「 法則、原理」
  • govern [gʌ́vərn] : 「支配する、統治する」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • aim to do : 「〜しようと狙っている、〜することを目標としている」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
❖ "Since the miracle aims at ~ "意訳する、「奇跡は、実相を認識出来るように(知覚を)修正することを目指しているから、」奇跡は、幻想を幻想として、真実を真実として知覚出来るようにしてくれるから、"it would not be ~ "「もし奇跡が、修正しようとしている過ちを支配している法則によって縛られているなら、奇跡は役に立たないだろう」。仮定法過去である。仮定法過去とは、現在の事実に反することを仮定して述べる時に使う。事実とは異るが、もし仮に奇跡が、過ちを作り出した幻想世界の法則に縛られているなら、奇跡自体も幻想であって、過ちの幻想性を払拭して真実を露(あらわ)にすることなど出来まい。もしそうであるなら、奇跡は何の役に立つだろうか。
 
 
 
 
 
IV. The Escape from Darkness
暗闇から逃れること


1. The escape from darkness involves two stages: First, the recognition that darkness cannot hide. This step usually entails fear.
  • escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、逃避」
  • darkness [dɑ́ː(r)knəs] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
  • involve [invɑ́lv] : 「 〜を含む、伴う、必要とする」
  • stage [stéidʒ] : 「段落、段階、局面、場面」
  • recognition [rèkəgní∫n] : 「認識、認定、承認」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
  • step [stép] : 「段、階段、一歩、歩み、ステップ」
  • usually [júːʒu(ə)li] : 「いつもは、普通、通例」
  • entail [entéil] : 「〜を伴う、必要とする、引き起こす」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ "The escape from ~ "「闇から逃れるためには、二段階(の認識)が必要である」。"First, the recognition ~ "「第一は、闇は何も隠せないと認識することである」。ACIMで使う"darkness"「闇」は、幻想を意味する。仏教で言うところの「無明」である。したがって、本文は、幻想から目覚めるためにには、二段階の認識が必要であって、その一段目は、幻想は真実を隠し通すことは不可能だという認識である、という意味になる。"This step usually ~ "「この段階は、普通、恐れを伴う」。偽りを隠せないから、恐れるのだ。真実が露(あらわ)になることを恐れるのである。



Second, the recognition that there is nothing you want to hide even if you could.
  • even if : 「たとえ〜でも」
❖ "Second, the recognition ~ "「第二に、たとえ出来たとしても、あなたが隠したいと願うものなど何もない、という認識である」。本当に真実を知りたいと思うなら、幻想や虚偽のすべてを払拭しなくてはならない。あなたの心に何か隠して起きたいと思うようなものをもっていてはいけないという意味以上に、隠しておきたいという願いこそが幻想だと認識しなくてはいけない。



This step brings escape from fear. When you have become willing to hide nothing, you will not only be willing to enter into communion but will also understand peace and joy.
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす 」
  • become [bikʌ́m] : 「 〜になる」
  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する、〜する用意がある」
  • not only A but also B : 「A だけでなく B も」
  • enter [éntər] : 「〜に入る、〜に参加する」
  • communion [kəmjúːnjən] : 「霊的な交わり、親交、共有、交流」
  • also [ɔ́ːlsou] : 「〜もまた、同様に、また」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
  • peace [píːs] : 「平和、和平、安らぎ、平安、静けさ、静謐」
  • joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜」
❖ "This step brings ~ "「このステップが、恐れからの脱出をもたらしてくれる」。心に隠すべきものなど何もないと認識することで、恐れから逃れることが出来る。"When you have ~ "「あなたが、何も隠したくなくなるとき、あなたは単に、霊的な交わりに入って行きたいと思うだけでなく、平和と喜びを理解するようになるだろう」。自分には幻想など不必要だと思えるようになったとき、キリストやホーリー・スピリットとの霊的な交わりを持ちたいと思うだけでなく、実相的に真実である平和や喜びの意味がわかるようになる。幻想世界は二元論世界であり、幻想世界の平和や喜びは、対極概念として争いや悲しみという概念を常にもつ。しかし、実相世界は一元論世界であり、対極概念をもたない、平和や喜びは争いや悲しみという対極概念を持たず、完全に純粋である。そういう純粋で神聖な真実の平和や喜びが理解出来るようになるのだ。その理解に導いてくれるのが、霊的な交わりを結ぶことになるホーリー・スピリットである。
 
 
 

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