●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-31.IV.2:1 ~ T-31.IV.3:10


2. Real choice is no illusion. But the world has none to offer. All its roads but lead to disappointment, nothingness and death. 

  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際、本物の」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • road [róud] : 「道、進路、道筋、道程」
  • lead to : 「〜に通じる、〜へ導く」
  • disappointment [dìsəpɔ́intmənt] : 「失望、落胆、失意」
  • nothingness [nʌ́θiŋnis] : 「存在しないこと、無、非実在、無価値」
  • death [déθ] : 「死、死亡、破滅、消滅」

❖ "Real choice is ~ "「本当の選択とは、まったく幻想的ではない」。実相的選択とは、真実を選択することであって、この世界の幻想、すなわち虚偽をあれこれ選択することではない。したがって、"But the world ~ "「この世界は、本当の選択を一つも差し出してはくれない」。この幻想世界は幻想しかもっていないので、真実の選択肢を差し出すことは出来ない。だから、この世界でどんな選択をしても、"All its roads but ~ "「選択したあらゆる道は、失望や虚無、そして死へ導くのである」。幻想世界は、変化流動する幻想だけを提供し得る。選択肢はそれしかない。幻想は崩壊と死に向かい、したがって、この世界で選択したあらゆる道は、無意味な絶望と崩壊と死に向かうのだ。



There is no choice in its alternatives. Seek not escape from problems here. 

  • alternative [ɔːltə́ːrnətiv] : 「取って代わるもの、代替手段、選択肢」
  • seek [síːk] : 「探し求める、求める」
  • escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、避難、逃げ道、逃避、回避」
  • problem [prɑ́bləm] : 「問題、課題」

❖ "There is no choice ~ "「それに代えて選択するものはない」。この世界のどんなものを選択しても、それは幻想に過ぎず、実相的な真実の代わりになることはない。真実は、実相世界にしか存在しないのだ。"Seek not escape ~ "「この世界で、問題から逃れようとしてはいけない」。何を選択しても、問題を解決出来ないからだ。崩壊と死から逃れることは出来ない。だから、まず第一に、この幻想世界から逃れることを選択しなくてはならないのだ。例えば、苦と痛みからの解放を求めて、物質的な豊かさや社会的な地位を選択しても、その問題は決して解決しない。幻想から解放されない限り、苦と痛み、絶望と崩壊と死から逃れることは出来ないのである。



The world was made that problems could not be escaped. Be not deceived by all the different names its roads are given. They have but one end. 

  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • end [énd] : 「結果、結末、停止、終わり」

❖ "The world was made ~ "「この世界は、問題から逃れられないように作られた」。この世界は幻想として偽創造されたのであって、幻想をいくら追っても、実相は得られない。苦と痛みの解決策は、この世界にはないのだ。"Be not deceived ~ "「(問題を解決すると言われる)道に与えられた名前が違っても、それに騙されてはいけない」。快楽に溺れれば苦は消える、多くの金が手に入れば痛みも消える、権力で他者を支配すれば幸せになれる、等々、いろいろな問題解決の道が提示されるが、それに騙されてはいけない。"They have but ~ "「それらの道の行き着く先は、ただ一つである」。もちろん、絶望と崩壊と死である。変化流動する幻想の必然である。



And each is but the means to gain that end, for it is here that all its roads will lead, however differently they seem to start; however differently they seem to go. 

  • each [íːtʃ] : 「各々、それぞれ、めいめい」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、手法」
  • gain [ɡéin] : 「得る、獲得する」
  • however [hauévər] : 「どんなに〜でも、いかに〜であろうとも」
  • differently [dífərəntli] : 「異なって、違って、そうではなく」
  • start [stάːrt] : 「開始、着手、スタート」

❖ "And each is but ~ "「道それぞれは、その終着点を手に入れるための手段に過ぎない」。幻想世界の問題解決策という道は、すべて、絶望と死へという終着点を手に入れるため手段に過ぎない。"for it is here that ~ "「なぜなら、道のスタートがどんなに違っても、行き先がどんなに違って見えても、すべての道が導く場所はここなのだから」。つまり、幻想の道は、すべて絶望と崩壊と死へ繋がるのである。金儲けの道も、権力への道も、快楽への道も、宗教へ逃避する道も、すべて、行き着く先は絶望と死の終着駅である。



Their end is certain, for there is no choice among them. All of them will lead to death. 

  • certain [sə́ːrtn] : 「明白な、疑う余地がない、避けられない」
  • among [əmʌ́ŋ] : 「〜の間で、〜がそれぞれ」

❖ "Their end is ~ "「それらの行き着く先は確実である」。"for there is no ~ "「そこに、選択の余地はない」。どれを選んでも、終着駅は同じである。"All of them ~ "「そのすべては、死へ導くのだ」。絶望と崩壊と死、それが、幻想世界のあらゆる道の終着駅である。



On some you travel gaily for a while, before the bleakness enters. And on some the thorns are felt at once. 

  • gaily [géili] : 「陽気に、愉快に、楽しく」
  • for a while : 「しばらくの間、少しの間」
  • bleakness [blíːknis] : 「荒涼としていること、わびしさ」
  • enter [énter] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • thorn [θɔ́ːrn] : 「とげ、はり、苦痛の種」
  • felt [félt] : 「feelの過去・過去分詞形」
  • feel [fíːl] : 「〜を感じる、感知する」
  • at once : 「すぐに、瞬時に、早急に、即刻」

❖ "On some you travel ~ "「道の中のいくつかは、闇が忍び込む前なら、しばしの間、あなたの旅も楽しかろう」。金儲けに浮かれて、快楽に溺れ、権力に酔っているうちは、それもまた楽しいであろうが、闇はあなたのすぐ側に迫って来ている。"And on some ~ "「また、ある道中では、すぐに、棘の痛みが感じれることだろう」。苦と痛みから逃れようとしても、その苦と痛みがすぐに感じられてしまう道もある。



The choice is not what will the ending be, but when it comes.

  • ending [éndiŋ] : 「終わり、終了、終点、末尾」

❖ "The choice is not what ~ "「(この世界での)選択は、終わりがどうであるべきかという選択ではなく、終わりがいつ来るか、という選択になってしまうのだ」。終わりは絶望と崩壊と死であることは明白である。道の選択は、つまるところ、終着駅の選択ではなく、どれだけ遅く、あるいはどれだけ早く、その終着駅に到達するか、という選択でしかない。



3. There is no choice where every end is sure. Perhaps you would prefer to try them all, before you really learn they are but one. 

  • sure [ʃúər] : 「確信して、確信している、確かな、 確実な」
  • perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • prefer [prifə́ːr] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む、〜の方を選ぶ 」
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する、分かる、知る」

❖ "There is no choice ~ "「あらゆる終点が確実であるところに、選択の余地などまったくない」。"Perhaps you would prefer ~ "「あなたが、本当に、すべての道の選択がただ一つであると学ぶまでは、」この世界での問題解決のための道の終着点が絶望と崩壊と死の一つしかないと知るまでは、「たぶんあなたは、あらゆる道の選択を試みてみたいと思うだろう」。快楽の追求でダメなら、金の追求、それがダメなら権力の追求と、あらゆる手段を試して見たくなるだろう。しかし、どれも無駄なことである。



The roads this world can offer seem to be quite large in number, but the time must come when everyone begins to see how like they are to one another. 

  • quite [kwáit] : 「かなり、なかなか、とても、非常に」
  • large [lάːrdʒ] : 「多い、多数の」
  • in number : 「数えてみると、数の上では」
  • begin [bigín] : 「〜を始める、〜に取り掛かる、着手する」
  • one another : 「お互い」

❖ "The roads this world ~ "「この世界が提供し得る道は、膨大な数ほどあるように見えるだろう」。"but the time must ~ "「しかし、誰もが、すべての道は他の道と同じようなものだと知り始める時が必ずやって来る」。この世界の様々な道は、形こそ異なっていようが、幻想である一点では皆同じである。幻想である以上、終着駅は絶望と崩壊と死である。みな同じなのだ。誰もがそれを悟る時が、いずれ訪れる。



Men have died on seeing this, because they saw no way except the pathways offered by the world. 

  • die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
  • saw [sɔ́ː] : 「seeの過去形」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • pathway [pǽθwei] : 「小道、歩道、通路、経路、進路」

❖ "Men have died ~ "「人は、こんなことを見ながら死んで行ったのだ」。"because they saw ~ "「なぜなら、彼らは、この世界によって差し出される道以外に、どんな道も見つけられなかったからだ」。幻想に生き、幻想に死んで行ったのである。逆に言えば、幻想から抜け出す道を見出しさえすれば、彼は死という幻想からさえも抜け出すことが出来たのである。しかし、無死への道、すなわち実相への道は、この世界が提供出来るものではない。



And learning they led nowhere, lost their hope. And yet this was the time they could have learned their greatest lesson. 

  • led [léd] : 「leadの過去・過去分詞形」
  • nowhere [nóuhwὲər] : 「どこにも〜ない」
  • lost [lɔ́st] : 「loseの過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • hope [hóup] : 「希望,望み」
  • great [ɡréit] : 「重要な、重大な、偉大な、素晴らしい」

❖ "And learning they ~ "「そして、どんな道もどこへも導いてくれないと知って、希望を失ったのである」。結局、ニヒリズムの道へ、神の否定の道へ、虚無と絶望と悲観の道へ流れ出て行く以外になくなったのだ。奇しくも、ドストエフスキーと夏目漱石が同一の結論に達したように、既成の似非宗教に逃れるか、自殺するか、発狂するか、その三つの道しか残されていない。そういうポイントに達してしまったのだ。"And yet this was ~ "「しかし、こんな時こそ、彼らが最も偉大なレッスンを学ぶ可能性のある時だったのだ
」。つまり、実相へ目覚める最大のチャンスであったのだ。真実を知る最大のチャンスであった。虚無と絶望と悲観を乗り越え、幻想を赦してそれを消滅させる最大の学びの瞬間であったのだ。



All must reach this point, and go beyond it. It is true indeed there is no choice at all within the world. 

  • reach [ríːtʃ] : 「達する、至る、着く、到着する」
  • point [pɔ́int] : 「点、場所、位置」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも、実際に」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜のうちに」

❖ "All must reach ~ "「みんな、このポイントに達し、そして、そこを越えなくてはならない」。幻想の道はすべて、絶望と崩壊と死の終着点に達するのだと達観しするポイントに達し、幻想を超越しなくてはならない。"It is true indeed ~ "「まことに、この世界にあっては、選択などまったくないということは真実である」。この世界のどんな道を選択しても、実相的な真実に到達することは出来ないということは真実である。したがって、この世界の選択自体も幻想であって、本当の選択などこの世界には存在しない。



But this is not the lesson in itself. The lesson has a purpose, and in this you come to understand what it is for.

  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」

❖ "But this is not ~ "「しかし、これ自体が(本当の)レッスンそのものだというわけではない」。この世界では真実へ向かう道の選択は不可能だと知っただけでは、それだけでは本当のレッスンだとは言い難い。それは、真実を獲得する始まりに過ぎないのだ。"The lesson has ~ "「このレッスンには目的があり、この目的の中でこそ、レッスンが何のためにあるのか、あなたは理解することが出来るのである」。もちろん、レッスンの目的は幻想から解放されるということであって、幻想をしっかり認識し、幻想を受け入れ受け流し、赦すことで幻想を消滅させるのである。この世界の幻想から解放されるのだ。
総括しよう。この世界の苦と痛みから解放されて、本当の幸せや喜びを得る道は、この世界にはない。どんな選択も、その道は絶望と崩壊と死に向かう。ならば、第一に、救いの道はこの世界にはないのだと認識し、第二に、この世界の幻想性を赦して幻想を消滅することに限る。これが、この世に生まれてきた最大の目的であり、これに尽きる。幻想から目覚め、そして、実相への旅を始めるのだ。その旅はキリストを同伴しての旅であり、何と楽しく、足取りの軽いことか。天の王国の最期のゲートに行き着けば、それからは、神自身があなたの手を取って王国に招き入れてくれる。かくして、あなたは実相世界への回帰を果たすことが出来、神との再会を祝うのである。そのとき、あなたの目からウロコが落ち、実は、あなたは神から一歩も離れていなかったことに気が付く。ただただ長く深い夢を見ていたのだと知るのである。
 
 
 



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