●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-30.V.9:1 ~ T-30.V.10:8

9. An ancient hate is passing from the world. And with it goes all hatred and all fear.
  • ancient [éinʃənt] : 「古くからの、古い、古びた、古来の」
  • hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
  • pass [pǽs] : 「通る、過ぎる、通り過ぎる、やむ、終わる」
  • hatred [héitrid] : 「強い嫌悪、憎しみ、憎悪、嫌悪」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ "An ancient hate is ~ "「いにしえの憎しみは、この世界から消える」。"And with it goes ~ "「それに伴って、あらゆる嫌悪、あらゆる恐れも消えて行くのだ」。憎しみも嫌悪も恐れも、その起源は、神の子が神から分離した時点に遡(さかのぼ)る。したがって、いにしえの憎しみ(ancient hate)なのだ。つまり、幻想世界を偽創造したした時点に生まれた憎しみや嫌悪や恐れは、幻想を赦して幻想が消滅した今、共に消滅して行くのである。



Look back no longer, for what lies ahead is all you ever wanted in your heart. Give up the world!
  • look back : 「振り返って見る」
  • no longer : 「もはや〜でない」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • ahead [əhéd] : 「前方に、前途に、これから先に」
  • heart [hάːrt] : 「心、胸の内、気持ち」
  • give up : 「あきらめる、断念する、放棄する」
❖ "Look back no ~ "「もはや、後ろを振り返ってはいけない」。幻想世界に未練を残してはいけない。ましてや、偶像を懐かしがってもいけない。"for what lies ahead ~ "「なぜなら、前途にあるものは、あなたが胸の内にずっと望んでいたすべてであるからだ」。あなたは心の中でずっと、恐れも罪の意識もない、本当の平和、本当の安らぎを求め続けてきた。そのすべてが、あなたの目指す実相世界にあるのだ。もはや、幻想世界に振り向いてはいけない。



But not to sacrifice. You never wanted it. What happiness have you sought here that did not bring you pain?
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「〜を犠牲にする、〜を捧げる、〜を生け贄にする」
  • happiness [hǽpinəs] : 「幸福、喜び、幸せ」
  • sought [sɔ́ːt] : 「seek の過去・過去分詞形」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛」
❖ "But not to ~ "「しかし、犠牲にするためではない」。幻想世界を犠牲にして、実相世界を目指すのではない。"You never wanted ~ "「あなたは、決してそれを望んではいなかったのだ」。幻想世界の苦や痛み、恐れや罪を、あなたは望んでいたわけではない。だから、それを犠牲にするなどということはない。"What happiness have ~ "直訳すると、「この世界で、あなたに痛みをもたらさなかったどんな幸せを、あなたは探し求めてきたのか」。つまり、この幻想世界であなたが追い求めた幸せは、ことごとくあなたに痛みをもたらした、ということ。たとえば、金が幸せをもたらしてくれると思って、金という偶像を崇拝したのだが、その偶像はあなたに痛みしかもたらさなかった。



What moment of content has not been bought at fearful price in coins of suffering?
  • moment [móumənt] : 「瞬間、現在、時、時期」
  • content [kɑ́ntent] : 「満足」
  • bought [bɔ́ːt] : 「buy の過去・過去分詞形」
  • buy [bái] : 「〜を買う、〜を購入する」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、ものすごい」
  • price [práis] : 「値段、価格、相場、市価」
  • coin [kɔ́in] : 「貨幣、小銭、金、硬貨」
  • suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
❖ "What moment of ~ "「苦痛という名のコインを恐ろしいほど払って買い求めなかった満足の瞬間があっただろうか」。幻想世界で得た満足の瞬間は、ことごとく、苦痛をもたらすものばかりであった。大変な思いをして金を手に入れ、つかの間の満足を味わうことがあっても、その金もすぐに消えうせ、再び苦痛があなたを襲った。膨大な苦痛を代償にして満足を得ても、それははかなく消えて行く。



Joy has no cost. It is your sacred right, and what you pay for is not happiness.
  • joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜、満足、成功」
  • cost [kɔ́st] : 「費用、経費、原価、犠牲、代償、損失」
  • sacred [séikrid] : 「神聖な、宗教的な」
  • right [ráit] : 「正しい要求、正当な要求、当然の権利」
  • pay for : 「〜の代価を払う、〜の代金を支払」
  • happiness [hǽpinəs] : 「幸福、喜び、幸せ」
❖ "Joy has no ~ "「喜びは、費用がかからない」。喜びは、何一つ犠牲を強いることはない。"It is your sacred ~ "「喜びは、あなたの神聖な権利である」。"and what you ~ "「あなたがお金を払わなくてはならないものは、決して幸せなものではない」。あなたが何かを犠牲にしなくてはならないなら、それによって手に入れたものは、決して喜びでも幸せでもない。喜びも幸せも、真実なるものはすべて、金や犠牲によって手に入れることの出来るものではないのだ。



Be speeded on your way by honesty, and let not your experiences here deceive in retrospect.
  • speed [spíːd] : 「〜を加速する、速める、〜を急がせる」
  • honesty [ɑ́nəsti] : 「正直、誠実、公正」
  • experience [ikspíəriəns] : 「経験、体験、見聞」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
  • retrospect [rétrəspèkt] : 「回想、回顧、追想」
  • in retrospect : 「思い返せば、今にして思えば、回想して」
❖ "Be speeded on your ~ "「誠実さによって、あなたの進むべき道を急ぎなさい」。実相世界を愛し、信じ、祈ることで、天の王国への回帰の道を進む、その歩みを加速しなさい。"and let not your ~ "「この世界におけるあなたの経験を回想することで騙されてはいけない」。この幻想世界で経験した数々の苦や痛みを、それが現実であって真実なのだと思ってはいけない。天の王国の、想像を絶する喜びや幸せを、嘘なのだと思ってはいけない。そう思わせているのが、外でもないエゴなのだから。



They were not free from bitter cost and joyless consequence.
  • bitter [bítər] : 「苦々しい、悲痛な、悲惨な、つらい、冷酷な、無情の」
  • joyless [dʒɔ́ilis] : 「喜びのない、楽しくない、つまらない」
  • consequence [kάnsəkwèns] : 「結果、結論、結末、成り行き、帰結」
❖ "They were not ~ "「この世界での経験は、冷酷な犠牲や喜びのない結果から自由ではなかった」。この幻想世界で経験したものは、つらい犠牲や喜びのない結末だけであった。だから、そこには真実はない。苦や痛みは真実ではないのだ。幻想である。騙されてはいけない。



10. Do not look back except in honesty. And when an idol tempts you, think of this:
There never was a time an idol brought you anything
except the "gift" of guilt. Not one was bought
except at cost of pain, nor was it ever paid by you alone.
  • look back : 「振り返って見る」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • idol [áidl] : 「アイドル、偶像、崇拝される人、神像」
  • tempt [témpt] : 「〜を誘惑する、〜を唆す」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単一で」
❖ "Do not look back ~ "「誠実さなくして、振り返って見てはいけない」。エゴや偶像に騙されるようなふがいない誠実さであるなら、決して過去を振り返ってはいけない。簡単に騙されてしまうから。"And when an idol ~ "「そして、偶像があなたを誘惑しそうになったら、次のように考えなさい」。"There never was ~ "「偶像が、罪という『贈り物』以外に、あなたに何かをもたらしたことは決してなかった」。"Not one was bought ~ "「痛みという代償なくして、何も買われた例はなかったし、」"nor was it ever ~ "「あなた一人だけで、その代償を支払ったこともない」。あなた一人だけが痛みという代償を支払っただけでなく、周りの他者を巻き込んで、他者にも痛みを与えてきた、ということ。他者も、痛みという代償を支払ってきたのだ。幻想世界に生きるとは、命をすり減らし、苦と痛みを支払って偶像を崇拝すること、それに尽きる。



Be merciful unto your brother, then. And do not choose an idol thoughtlessly, remembering that he will pay the cost as well as you.
  • merciful [mə́ːrsifəl] : 「慈悲深い、情け深い、情けのある、寛大な」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • thoughtlessly [θɔ́ːtlisli] : 「軽率に、不注意に、よく考えないで」
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
❖ "Be merciful unto ~ "「そこで、あなたの同胞に対して、慈悲深くありなさい」。苦と痛みに巻き込んでしまった同胞に対して、慈悲をもって償いなさい。"And do not choose ~ "「そして、軽率に偶像を選択してはいけない」。"remembering that he ~ "「あなたと同様に、同胞もまた代償を支払うことになると思い出して、」軽率に偶像を選択してはいけない。結局、あなたと同胞は自他一如なのであり、あなたが偶像を崇拝し苦と痛みの代償を払うことは、同胞もまた、偶像を崇拝し苦と痛みの代償を払うことに繋がってしまうのである。



For he will be delayed when you look back, and you will not perceive Whose loving hand you hold.
  • delay [diléi] : 「〜を遅らせる、延期する、滞らせる」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • hold [hóuld] : 「〜を手に持つ、握る」
❖ "For he will be delayed ~ "「なぜなら、あなたが振り返れば、同胞が遅れてしまうからであり、」あなたが幻想世界に未練を感じて後ろを振り返ると、あなたと同胞の、天の王国への回帰の旅が遅れることになる。"and you will not ~ "「あなたは、いったい誰の愛の手を握っているか知覚出来なくなってしまうからだ」。キリストの手を握っているものやら、エゴの手を握っているものやら、わけが分からなくなってしまうのだ。もちろん、同胞の手は、キリストの手なのであるが。



Look forward, then, and walk with confidence, with happy hearts that beat in hope and do not pound in fear.
  • look forward [fɔ́ːrwərd] : 「前方を見る、将来に目を向ける」
  • confidence [kάnfədəns] : 「信頼、信用、確かさ、確信、自信」
  • with confidence : 「胸を張って、自信たっぷりに、自信を持って、敢然と」
  • beat [bíːt] : 「鼓動する、脈打つ」
  • hope [hóup] : 「希望、望み」
  • in hope : 「希望を持って、期待して」
  • pound [páund] : 「激しく鼓動する、激しく打つ」
  • in fear : 「心配のあまり、恐れて、おどおどして、ビクビクして」
❖ "Look forward ~ "「そこで、前方だけを見て、確信を持って歩み、」"with happy hearts ~ "「恐ろしさの中で激しく鼓動する心ではなく、希望に高鳴る幸せな心を持って歩みなさい」。天の王国への回帰の旅は、心躍る喜びの旅である。希望への旅なのだ。必ず目的地に到達出来るという確信を持って歩むべし。
 
 
 

Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター