●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-30.VI.10:1 ~ T-30.VII.1:8

10. Look on your brother with this hope in you, and you will understand he could not make an error that could change the truth in him.
  • look on : 「〜を見る」
  • hope [hóup] : 「希望、望み」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • error [érər] : 「誤り、間違い、ミス、過失」
  • make an error : 「間違いをする、誤りを犯す」
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "Look on your brother ~ "「この希望を胸にして、あなたの同胞を見なさい」。"this hope"「この希望」とは、前段落を受けているのだが、その中でも、「同胞が、神によって創造された栄光の神の子であると理解出来たとき、あなたは、あなた自身もまた、栄光の神の子であると理解出来るのだ」という希望。"and you will understand ~ "「そうすれば、あなたは、同胞が、彼についての真実を変えるような過ちを犯すことは出来ないのだと、理解するだろう」。幻想の過ちによって、同胞の実相的な真実が変えられることはない。たとえば、幻想の罪によって、神の子であるという実相的真実が崩壊することはない。不可能なのだ。



It is not difficult to overlook mistakes that have been given no effects.
  • difficult [dífikʌ̀lt] : 「難しい、困難な、難解な、厳しい」
  • overlook [òuvərlúk] : 「見て見ぬふりをする、見過ごす、大目に見る」
  • mistake [mistéik] : 「ミス、過ち、手違い、誤解、落ち度」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "It is not difficult ~ "「何の影響も与えない過ちを見過ごすことは難しくはない」。過ちは幻想に過ぎないから、実相へ影響を与えることはない。過ちによって影響を受けたように感じるだけであって、本当は何の影響もないのだ。だから、そんな影響力のない幻想など、簡単に見過ごしてしまうことが出来る。難しいことではない。



But what you see as having power to make an idol of the Son of God you will not pardon.
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力」
  • idol [áidl] : 「アイドル、偶像、崇拝される人、神像」
  • pardon [pάːrdn] : 「許す、赦免する、放免する」
❖ "But what you see ~ "「しかし、神の子を偶像に変えてしまうパワーをもつとあなたが見なす者を、あなたは赦さないだろう」。"to make an idol of the Son of God"「神の子を偶像に変えてしまう」とは、神の子としての実相的なあなたを、偶像という幻想に変えてしまうこと。簡単に言えば、心の存在であるあなたを、肉体の存在としてのあなたに変えてしまうことである。神の子であることを否定して、猿から進化した動物に過ぎないと見なすことだ。そういったパワーを持つものとしてあなたが見なす者とは、ここでは、エゴと考えていいだろう。エゴは、ホーリー・スピリットと同一であるあなたの心を否定して、幻想に過ぎない肉体的、頭脳的な存在にあなたを変えてしまう。そういうエゴを、あなたは赦せないだろう、と言っている。エゴさえも、本来は幻想に過ぎないのだから、赦すことで消滅させることが出来るのだが、あなたにとってはそれが非常に難しく思えてしまうのだ。だから、いつまでもエゴはあなたを支配し続ける。さらに言うなら、あなたは心のどこかでエゴを慕っているのだ。エゴを完全に否定出来ない心の弱さをもっている。だから、赦すことも出来ないでいる。



For he has become to you a graven image and a sign of death. Is this your savior? Is his Father wrong about His Son?
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • graven [ɡréivən] : 「彫られた、刻まれた、心に刻まれた」
  • image [ímidʒ] : 「イメージ、画像、像、映像」
  • graven image : 「〔木や石を彫って作った〕偶像」
  • sign [sáin] : 「標示、サイン、標識、記号、表れ、兆し」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
  • savior [séiviər] : 「救助者、救い手、救済者、救い主」
  • wrong [rɔ́ːŋ] : 「間違った、誤っている」
  • be wrong about : 「〜のことを誤解する」
❖ "For he has become ~ "「なぜなら、彼はあなたにとって、偶像であり死の表れになるからだ」。エゴは、あなたの心を支配する偶像であり、エゴは結果的にあなたに死をもたらす死神である。あなたは、エゴいう名の死神に取り憑かれているのだ。"Is this your ~ "「これは、あなたの救い主だろうか」。エゴは、あなたに救いを提供すると囁く。得るためには奪え、攻撃される前に攻撃せよ、物質と肉体こそがすべてであって、愛や思いやりは感傷的な幻想である、と囁く。それが一体、救いだろうか? エゴは救い主であろうか? "Is his Father wrong ~ "「父なる神は、神の子に対して誤っているのだろうか」。あなたが、エゴに支配される神の子になったのは、神に責任があるのか? 神が神の子を創造するとき、何か間違いを犯したのだろうか?



Or have you been deceived in him who has been given you to heal, for your salvation and deliverance?
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • deliverance [dilívərəns] : 「救出、解放」
❖ "Or have you been ~ "「あるいは、あなたは、ヒーリングするためにあなたに与えられた者に、あなたを救い解放するのだと称して、騙され続けているのだろうか」。神に責任がないとしたら、あなたを癒し、救いと解放を与えてやると囁くエゴに、あなたは騙され続けているに違いない。





VII. The New Interpretation
新たな解釈


1. Would God have left the meaning of the world to your interpretation?
  • left [left] : 「leave の過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする、〜を任せる、頼む、委ねる」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義」
  • interpretation [intə̀ːrprətéiʃən] : 「解釈、説明、解説」
❖ "Would God have left ~ "「神は、世界の意味を、あなたの解釈に委ねようとしたのだろうか」。この世界を現実と思うか、幻想と思うか、神は、その解釈を神の子であるあなたの勝手に任せたのだろうか。そんなことはない。もしそうであるなら、幻想世界からあなたを救い出すために、神は、ホーリー・スピリットをあなたに遣わせたわけがない。



If He had, it has no meaning. For it cannot be that meaning changes constantly, and yet is true.
  • change [tʃéindʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」
  • constantly [kάnstəntli] : 「絶えず、しきりに、絶え間なく、常に」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の、実際どおりの」
❖ "If He had, it ~ "「もし神が、あなたに世界の解釈を任せたのなら、それは、何の意味ももたないことになる」。"For it cannot be ~ "「なぜなら、それは、意味が絶えず変化し、それでもなおかつ真実だ、ということにはなり得ないからだ」。神が世界の解釈をあなたに委ねたのなら、あるときは世界を実相と見なし、あるときは幻想と見なして、世界のもつ意味がころころ変化することになる。そうであっても、神があなたに委ねたのなら、そのどちらも真実であると神が保証したことになる。そんなことがあり得るわけがない。真実は一つであって、世界は実相であるか、幻想であるか、そのどちらかなのだ。そうでなくては、世界は何の意味も持つことは出来ない。世界が実相なら、現実としての実在という意味をもち、幻想なら、その幻想の世界から目覚めるためという目的、つまり意味をもつ。



The Holy Spirit looks upon the world as with one purpose, changelessly established.
  • look upon : 「〜を見る」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • changelessly : 「変わることなく、不変的に」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、達成する、樹立する」
❖ "The Holy Spirit looks ~ "「ホーリー・スピリットは世界を、ただ一つの目的、変わることなく確立された目的を持つものとして見る」。ホーリー・スピリットは、この世界を幻想世界と見抜いており、神の子が幻想世界から目覚めるための、いわばスプリングボード(踏み切り板)という唯一の目的をもっている世界と見ている。ホーリー・スピリットは闇を、頭ごなしに否定しているのではない。闇は、闇から抜け出るためという目的と意味をもっていると、見なしているのだ。



And no situation can affect its aim, but must be in accord with it.
  • situation [sìtʃuéiʃən] : 「状況、場所、状態、立場、事情、情勢、事態」
  • affect [əfékt] : 「〜に作用する、〜に影響を及ぼす、〜に響く」
  • aim [éim] : 「的、狙い、目標、目的、照準、見当」
  • in accord with : 「〜と一致して、〜に合って、〜と調和して」
❖ "And no situation can ~ "「そして、どんな状況も、世界のもつ目的に影響を与えることは出来ない」。"but must be in accord ~ "「しかも、すべての状況は、世界の目的と調和していなければならないのだ」。あなたがエゴの囁きに屈して、世界を現実的な実相だと信じている状況になろうが、エゴが直接ホーリー・スピリットと、実相幻想の論争を戦わせる状況になろうが、この幻想世界が実相世界への目覚めのためのスプリングボードという目的を持っている事実に影響はない。むしろ、あらゆる実相的な状況は、世界の持つ目的に調和するものでなくてはならない。つまり、世界の目的、世界の意味、世界の存在理由と調和するには、あなたが実相的な視点に立って、自ら実相に合致するような状況を作り出さなくてはならないのだ。具体的には、この世界を幻想と見抜き、その幻想から救い出されたいと希求し、ホーリー・スピリットに救いを求めることなのである。あなたの強い意思をもって、ホーリー・スピリットに救いを求めることなのである。あなたの意思なくしては、何も始まらないのだ。



For only if its aim could change with every situation could each one be open to interpretation which is different every time you think of it.
  • be open to : 「〜を受けやすい」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • think of : 「〜のことを考える、〜について判断する」
❖ "For only if its aim could ~ "「なぜなら、世界のもつ目的が、あらゆる状況に応じて変わり得るときだけ、」"could each one be open ~ "「世界の目的は、あなたがそれを考える毎に異なる解釈に晒されることになるからだ」。世界のもつ目的が1つに確定していて、それに応じてあなたの解釈が決まるというのではなく、あなたが世界の目的をどう解釈するかによって、世界の目的はころころと変わってしまう、ということ。あなたがエゴの唆(そそのか)しに負けて、世界が実在する現実だと解釈すれば、世界の持つ目的は、弱肉強食によって優者が生き残る目的になろうし、あなたがホーリー・スピリットの導きに従って、世界を幻想とだと解釈するなら、世界の目的は、その世界の幻想性を赦して、世界を消滅させることになる。



You add an element into the script you write for every minute in the day, and all that happens now means something else.
  • add [ǽd] : 「加える、合計する、足す、追加する、増す」
  • element [éləmənt] : 「成分、要素」
  • script [skrípt] : 「脚本、台本、原稿、せりふ」
  • minute [mínət] : 「分、わずかな時間、寸刻」
  • happen [hǽpn] : 「起こる、発生する、降り懸かる」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • something else : 「何か他のもの」
❖ "You add an element ~ "「あなたは、毎日、刻一刻と、あなたが書きつづる台本に(新たな)要素を付け加える」。日々の生活の中で、あなたは、ある時はホーリー・スピリットに救いを求めたり、その5分後にはエゴの囁きに耳を傾けて金儲けという新しい要素を生活に付け加えたり、また5分後には、無償の愛に生きようなどと、また新たな要素を付け加えては、刻一刻と気分をころころと変えている。"and all that happens ~ "「その度に、今起こっていることのすべては、他の何かを意味することになるのだ」。さっきまでの人生の意味や目的が、今は、また別の意味と目的をもつことになる。簡単に言えば、あなたは幻想的生き方と実相的生き方の間をふらふらと行ったり来たりしているようなものだ。ヨハネの黙示録第3章16節に書かれた「熱くも冷たくもなく、なまぬるいので、わたしはあなたを口から吐き出そうとしている(新共同訳)」という事情は、このことをうまく語っている。



You take away another element, and every meaning shifts accordingly.
  • take away : 「取り除く、持ち去る、撤去する」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
  • shift [ʃíft] : 「変わる、移る、転換する」
  • accordingly [əkɔ́ːrdiŋli] : 「それに応じて、それ相応に、それに沿って」
❖ "You take away another ~ "「あなたは、また別の要素を取り去ってしまうと、」"and every meaning ~ "「それに応じて、あらゆる意味は移ろってしまうのだ」。要素を加えても、人生(世界)の意味や目的は変わり、要素を取り除いても、人生(世界)の意味や目的はころころと変わる。実相に対して熱くなることもなく、幻想に対して冷たくなることもなく、実相と幻想の間の生ぬるい生き方をしているわけだ。これじゃ、ホーリー・スピリットもあなたを口から吐き出したくなるだろう。もちろん、ホーリー・スピリットはそんなことは絶対しないのだが・・・。
 
 
 


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