4. A common purpose is the only means whereby perception can be stabilized, and one interpretation given to the world and all experiences here.
- common [kάmən] : 「公共の、公衆の、共通の」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙」
- means [míːnz] : 「手段、方法、手法」
- whereby [hweərbái] : 「〜するところの」
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知,知見、見識、感じ」
- stabilize [stéibəlàiz] : 「安定させる、一定に保つ」
- interpretation [intə̀ːrprətéiʃən] : 「解釈、説明、解説」
- given [gívn] : 「giveの過去分詞形」
- experience [ikspíəriəns] : 「経験、体験、見聞」
❖ "A common purpose is ~ "「共通の目的(を持つこと)は、それによって知覚が安定化され、世界とあらゆる経験に対して与えられるただ一つの解釈を得る唯一の方法である」。あなたと同胞が、幻想世界から実相世界へと目覚めることを共通の目的(common purpose)とするとき、この幻想世界をどう見るべきか、この世界での経験をどう解釈(interpretation)するべきか、世界をどう知覚(perception)するべきか、そういった解釈や知覚が安定化され(be stabilized)、ただ一つに収斂(しゅうれん)していく。逆に言えば、世界や経験の解釈や見方を安定化させ、一つに収斂させるには、神の子全体が幻想世界から実相世界へと目覚めることを共通の目的として持つことが、唯一の方法(the only means)となるのだ。
In this shared purpose is one judgment shared by everyone and everything you see.
- shared [ʃέərd] : 「共用の、共有の、共通の」
- judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、意見、分別」
- share [ʃέər] : 「分かち合う、共同使用する、共有する」
❖ "In this shared purpose ~ "「この分かち合われる目的の中にこそ、あなたが目にするあらゆるもの、あらゆる人達によって分かち合われる唯一の判断がある」。あなたと同胞が共に、幻想世界から実相世界への目覚めを生きる目的として分かち合ったとき、たとえば、金や地位や権力といった偶像をもつことはその目的に反するものだというような、共通の判断が出来るのである。つまり、一つの目的を分かち合うことは、目にする事象への揺るぎない一つの判断を分かち合うことに繋がる。
You do not have to judge, for you have learned one meaning has been given everything, and you are glad to see it everywhere.
- judge [dʒʌ́dʒ] : 「判断する、〜だと思う、裁く」
- learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する、身に付ける、獲得する」
- meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、目的、意図」
- be glad [ɡlǽd] to : 「喜んで、〜する、〜してうれしい」
❖ "You do not have ~ "「あなたは、(自分で)判断する必要はない」。"for you have learned ~ "「なぜなら、あなたは、あらゆるものにたった一つの意味が与えられたのだと知ったからであり、」"and you are glad ~ "「あなたは、あらゆる場所に、その意味を見出して嬉しく思うからだ」。幻想世界のあらゆるものに、一つの目的と意味を見るとは、結局、ホーリー・スピリットの導いてくれる目的と意味を選択することである。幻想世界から実相世界へと目覚めることをホーリー・スピリットが促してくれるからだ。そのときあなたは、自らの理性による判断を放棄し、代わりに、喜びをもって実相的判断をホーリー・スピリットに委ねるのである。
It cannot change because you would perceive it everywhere, unchanged by circumstance.
- change [tʃéindʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- unchanged [ʌntʃéindʒd] : 「変化していない、不変の、変わらない」
- circumstance [sə́ːrkəmstæ̀ns] : 「周囲の事情、環境、状況」
❖ "It cannot change ~ "「その判断は、〜なので、変化しない」。"because you would ~ "「あなたは、あらゆる場所にその判断が状況によって変化することなく、知覚する」ので、判断は変化しない。あなたがこの世界に生きて経験する幸も不幸も、苦も楽も、すべては幻想世界から実相世界への目覚めのためなのだと知って、その価値や意味の判断をホーリー・スピリットに委ねたとき、あなたが選択したその判断は、状況によって変化流動することはない。ホーリー・スピリットの導く判断は実相的な判断であり、永遠不変に真実だからだ。状況によってころころ変わる判断など、真実だと言えるだろうか?
And so you offer it to all events, and let them offer you stability.
- offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
- event [ivént] : 「出来事、事件、事象、行事」
- stability [stəbíləti] : 「安定、持続、不変、安定性、安定度、持続性」
❖ "And so you offer it ~ "「そうして、あなたは、あらゆる出来事にその判断を差し出し、」"and let them offer ~ "「その出来事があなたに安定性をもたらすようにさせるのである」。あなたが経験するあらゆる出来事、あらゆる事象に、ホーリー・スピリットの実相的判断を適用し、一つの目的と一つの意味を付与する。そうすることで、あなたは肉体的にも精神的にも安定することになるのだ。迷いはない。どんなことが起きようとも、心が揺らぐことはない。
5. Escape from judgment simply lies in this; all things have but one purpose, which you share with all the world.
- escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、避難、逃げ道、逃避、回避」
- simply [símpli] : 「全く、とても、本当に、簡単に、分かりやすく」
- lie [lái] : 「ある、存在する」
❖ "Escape from judgment ~ "「判断からの逃げ道は、単に、ここにある」。頭脳による理性的判断から逃れる方法は、まさにここにある。すなわち、頭脳による理性的判断を放棄し、実相的な叡智による判断をホーリー・スピリットに委ねるのだ。"all things have ~ "「あらゆるものは、たった一つの目的を持ち、あなたはそれを、世界のすべてと分かち合うのである」。幻想世界のあらゆるものは、実相世界への目覚めという唯一の目的をもち、あなたもその目的に参画して、世界と目的を分かち合うのである。
And nothing in the world can be opposed to it, for it belongs to everything, as it belongs to you.
- oppose [əpóuz] : 「反対する、反抗する、対抗する、敵対する」
- be opposed to : 「〜に反対している、〜に向かい合っている」
- belong [bilɔ́ːŋ] to : 「〜に属する、〜の所有物である」
❖ "And nothing in the world ~ "「この世界の何ものも、たった一つの目的に対抗することは出来ない」。"for it belongs to ~ "「なぜなら、その目的はあなたに属しているように、あらゆるものに属しているからだ」。ホーリー・スピリットの導いてくれた実相的目的、つまり実相世界への目覚めてという目的は、あなたにも、同胞にも、世界のあらゆる事象にも共通して属していることなので、それに反抗するものは存在出来ない。存在しているとすれば、それは、存在しているように見えるだけの幻想に過ぎない。
In single purpose is the end of all ideas of sacrifice, which must assume a different purpose for the one who gains and him who loses.
- single [síŋɡl] : 「ただ一つの、たった一つの、たった一人の」
- sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
- assume [əsjúːm] : 「〜と仮定する、思い込む、見なす、〜を前提とす」
- different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
- gain [géin] : 「利益を得る、得をする」
- lose [lúːz] : 「損害を受ける、損をする」
❖ "In single purpose is ~ "「単一の目的の中にこそ、犠牲という考えの終焉がある」。実相世界に目覚めるという単一の目的を、あなたも同胞も共通に持つとき、犠牲にしたり犠牲にされたりという幻想の思考は停止する。つまり、犠牲そのものが幻想だと気付くのである。"which must assume ~ "「犠牲という考えとは、誰かが得て、誰かが失うための、(単一の目的とは別の)異なった目的を前提にすることなのだ」。一人が実相世界への目覚めを目的とし、他者が物質的豊かさを目的にしたとしよう。物質的豊かさを求めるにはエゴの思考システムに従えばいいわけで、得るためには奪えという原理が働く。かくして、物質的な豊かさを目的とする者は、実相への目覚めを目的とした者から物や金を奪い取り、彼を犠牲にして富を得ることになる。異なった目的が存在するとき、それが協調して共存することは不可能であり、誰かが誰かを犠牲にし、得る者と失う者が生じてしまうのである。日常的な場面においても、例えば、和を重んずる目的と、プライバシーを重んずる目的は共存出来ない。和を重んずればプライバシーが犠牲にされ、プライバシーを重んずれば和が犠牲にされる。そこで、凡夫である我々は、適当な妥協を図って生きて行くわけだ。
There could be no thought of sacrifice apart from this idea. And it is this idea of different goals that makes perception shift and meaning change.
- thought [θɔ́ːt] : 「考え、見解、思い付き、考えること、思考」
- apart from : 「〜から離れて、〜は別として、〜はさておき」
- goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの、着点」
- shift [ʃíft] : 「交代、変更、変化、転換」
❖ "There could be no thought ~ "「こういう思考を抜きにして、犠牲という考えは存在し得ない」。異なる目的が存在し、しかもそれが共存出来るという思考を抜きにして、犠牲という考えは存在出来ない。簡単に言えば、異なる目的が存在すれば、必ず犠牲が生じる、ということ。"And it is this idea ~ "強調構文、「知覚を移ろわせ、意味を変えさせるのは、この、異なった目的が存在するという考えである」。たとえば、物質的豊かさや金が幸せをもたらすと信じて、それを求める目的をもった者は、物や金に対する見方、価値観、つまり、知覚が他者のそれとはまったく異なる。生きていく上で必要な物と金が手に入りさえすればいいと思う者と異なる価値観をもつのだ。目的が異なれば、見方も変わる。知覚は変化し、価値観も変化する。変化するものは実相的な真実とは言えない。したがって、異なる目的が存在すること自体が真実ではない。幻想なのだ。偽りなのである。
In one united goal does this become impossible, for your agreement makes interpretation stabilize and last.
- united [juːnáitid] : 「結ばれた、協力した、結合した」
- impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
- agreement [əgríːmənt] : 「同意、合意、承諾、契約、取り決め」
- stabilize [stéibəlàiz] : 「安定する、固定する」
- last [lǽst] : 「続く、存続する、持続する」
❖ "In one united goal ~ "「統一された目的の中では、これは不可能になる」。目的が単一であれば、物事に対する見方、価値観に変化は生じない。真実の見極めが出来るからだ。幻想に惑わされて、知覚が変化することはない。"for your agreement makes ~ "「なぜなら、あなたの合意が、解釈を安定化させ永続させるからだ」。あなたが統一された目的に参加することに合意して、あなたも同一の目的をもつようになれば、あなたの知覚は変化することがなくなり、出来事に対する解釈も実相的な真実に沿ってなされるようになり、安定化し、永続するようになる。
誤解してはいけないのは、ACIMは、個々人の生活の場における様々な目的を否定しているのではないということだ。ある人は美しい音楽を奏でることを目的とし、ある人は家族の幸せを目的とし、またある人は科学による真理の追求を目的とするだろう。それはそれでいいのであって、ACIMは、そんな様々な異なる目的を捨てろなどとは言っていない。ただ、生活上のどんな目的を持とうが、人生の最終目的、この世に生を受けた目的は、唯一、単一の目的であって、幻想世界から実相世界へ目覚めて、天の王国へ回帰することなのだと、しっかりと認識せよ、ということなのである。この単一の実相的な目的を見失ったなら、生活の場での様々な目的は何の意味も持たなくなってしまう。単なる幻想の目的となってしまうのだ。夢の中のあがきになってしまうだろう。