3. What is temptation but a wish to make illusions real? It does not seem to be the wish that no reality be so.
- temptation [temptéiʃən] : 「誘惑、衝動、誘惑物」
- wish [wíʃ] : 「願い、望みの物、願望、希望」
- illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "What is temptation ~ "「誘惑は、幻想を現実にしたいと望む以外の何ものだろう」。"It does not seem to ~ "「誘惑は、どんな実相もそうではないものにしたいと望むことではないように見える」。回りくどい言い方をしているが、要するに、実相を実相ではない幻想にしたいと望むのではなく、幻想を現実化したいと望むことが、あなたにとって抗しがたい誘惑になっている、ということ。あなたはまだ実相を知らない状態にあるので、その実相を否定して実相を幻想化しようなどとは思いつかない。あなたの感覚器官が感知しているこの世の幻想の数々を、それが現実で実在だと信じたいだけなのだ。むしろ、この世の幻想があなたに対して、それが実在で現実だとあなたに思わせたいと誘惑していると言った方がいいかもしれない。
Yet it is an assertion that some forms of idols have a powerful appeal that makes them harder to resist than those you would not want to have reality.
- assertion [əsə́ːrʃən] : 「主張、表明、断言、断定」
- form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿」
- idol [áidl] : 「偶像、崇拝の対象、虚像、幻想」
- powerful [páuərfəl] : 「強い、強力な、力強い、迫力のある」
- appeal [əpíːl] : 「魅力、心を引きつける力」
- resist [rizíst] : 「〜に抵抗する、〜と抗争する、耐える」
- reality [riǽləti] : 「現実、現実性、実在性」
❖ "Yet it is an assertion that ~ "「しかし、誘惑は、that以下の主張である」。誘惑はthat以下を主張している。"that some forms of idols ~ "「ある種の偶像は、あなたが実在性をもって欲しいとは思わない偶像よりも、より抗しがたい強力な魅力をもっているものなのだ」ということを主張している。"idol"「偶像」とは、幻想に過ぎないのだが、その実在性をあなたが信じているところの幻想的実体のこと。たとえば、物質的な豊かさが幸せをもたらしてくれると信じれば、あなたにとって金や物は偶像となる。また、不幸や苦が現実だと信じれば、その不幸や苦はあなたの偶像となる。そこで、不幸や苦のように、あなたにとって現実であって欲しくはないと思うような偶像(those you would not want to have reality)に対して、金や物のように、あなたにとって現実であって欲しいと思うような偶像は、より抗しがたい強烈な魅力をもって(powerful appeal that makes them harder to resist )、あなたにアピールする。誘惑は、その抗しがたい強烈な魅力そのものの主張なのだ(it is an assertion that ~ )。
Temptation, then, is nothing more than this; a prayer the miracle touch not some dreams, but keep their unreality obscure and give to them reality instead.
- nothing more than : 「〜にすぎない、〜でしかない」
- prayer [prέər] : 「祈り、請願、祈願、祈りの言葉」
- touch [tʌ́tʃ] : 「〜に触る、達する、影響する、傷つける」
- unreality [ʌnriǽləti] : 「非現実性、実在しないもの、虚構」
- obscure [əbskjúər] : 「はっきりとしない、不明瞭な、曖昧な」
- instead [instéd] : 「代わりに、それよりむしろ、その代わりに」
❖ "Temptation, then, is ~ "「したがって、誘惑は、次に述べること以上のものではない」。"a prayer the miracle ~ "「奇跡が夢に影響を与えることなく、夢の非実在性を曖昧にし、それどころか、夢に現実性を与えてくれるように祈ること」以上のものではない。赦しの奇跡は、幻想を幻想と認めて受け入れ受け流し、幻想を消滅させること。しかし、あなたは、奇跡が夢をかき消してしまわないようにと祈り、さらに、夢を現実化させて欲しいとさえ祈るのである。その誘惑に、あなたは負けてしまっている。誘惑は、幻想を消滅させる奇跡が怖いのだ。その誘惑に負けているあなたに、いったい奇跡は起こり得るだろうか?
And Heaven gives no answer to the prayer, nor can a miracle be given you to heal appearances you do not like.
- answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
- prayer [prέər] : 「祈る人」
- heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
- appearance [əpíərəns] : 「外観、外見、見掛け、容姿、状況、様子」
❖ "And Heaven gives ~ "「そんな祈りをする者に対して、天の王国は答えを与えることは決してない」。"nor can a miracle ~ "「また、あなたが好まない見掛けをヒーリングするために、奇跡があなたに与えられることもない」。夢に過ぎない幻想を現実化させて欲しいと祈っても、天はそれに答えることはしない。幻想を実相化させることは不可能なのだ。しかも、あなたが忌み嫌う苦や不幸という現実生活の見掛けを消滅させて癒してくれる奇跡さえ、あなたに与えられることはない。幻想を望むあなたに、実相の奇跡が与えられる分けがないのだ。実相を望む者だけに、実相的な奇跡は起きるのである。実に単純な論理である。
You have established limits. What you ask is given you, but not of God Who knows no limits. You have limited yourself.
- establish [istǽbliʃ] : 「確立する、制定する、成立させる」
- limit [límit] : 「限界、境界、〜を限定する、制限する」
❖ "You have established ~ "「あなたは、制限を確立してしまった」。あなたは幻想だけに留まるという制限を自らに課したのだ。だから、実相的な奇跡は、その制限のために、あなたに与えられることはない。"What you ask ~ "「あなたが頼んだものは、あなたに与えられる」。あなたが幻想を望んだから、幻想があなたに与えられたのだ。"but not of God Who ~ "「しかし、制限を知らない神から与えられるのではない」。あなたが幻想を望み、それが与えられたとしても、そんな幻想は、制限も限界も知らない神から与えられたのではない。幻想は、実相が与えるものではない。"You have limited ~ "「あなたは、あなた自身を制限してしまったのだ」。幻想に留まり、幻想を望んで幻想が与えられたとしても、実相の奇跡は決してあなたに与えられない。あなたが、物質的な豊かさが幸せを約束すると信じて、金と物を願えば、それはあなたに与えられるかも知れないが、しかし、それによって、実相的な本当の幸せは決してあなたに与えられない。幻想の幸せが、実相の幸せに結びつくことは決してないのだ。
4. Reality is changeless. Miracles but show what you have interposed between reality and your awareness is unreal, and does not interfere at all.
- changeless [tʃéindʒlis] : 「変化のない、不変の」
- show [ʃóu] : 「見せる、示す」
- interpose [ìntərpóuz] : 「〜を間に入れる、差し挟む」
- between [bitwíːn] A and B: 「AとBの間に」
- awareness [əwέərnis] : 「意識性、認識」
- unreal [ʌnríəl] : 「実在しない、非現実的な、実存しない、虚偽の」
- interfere [ìntərfíər] : 「干渉する、邪魔をする、妨げる」
- at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "Reality is ~ "「実相は変化しない」。"Miracles but show ~ "「奇跡は、あなたが、実相とあなたが認識したものの間に差し挟んだものは実在しないし、何も邪魔することはないと示してくれるだけだ」。実在する実相と、あなたの知覚が認識したものの間に存在するかに見えるギャップは、知覚が認識したものも含めて幻想であり、あなたの実相の邪魔になるような実体など持たないのだと、赦しの奇跡は示してくれる。実在する実体をもつ実相は、あなたの感覚器官で知覚出るものではなく、あなたの感覚器官が知覚して実在だと信じているものは、それ自体も、また、ギャップとして存在しているかに見える空間も、幻想に過ぎない。赦しの奇跡が幻想を消滅させたとき、あなたの知覚が認識したものやギャップは消滅し、それらが本当に幻想であったのだと知ることが出来るのである。
The cost of the belief there must be some appearances beyond the hope of change is that the miracle cannot come forth from you consistently.
- cost [kɔ́st] : 「犠牲、代償、損失」
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信用、信頼、信仰、信条」
- beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
- hope [hóup] : 「希望、望み」
- change [tʃéindʒ] : 「変化、変更、移行、交換」
- come forth [fɔ́ːrθ] : 「現れる、出てくる」
- consistently [kənsístəntli] : 「一貫して、常に、相変わらず」
❖ "The cost of the belief ~ "「変化して欲しいという期待を越えた所に、(変化しない)何らかの見掛けが存在するに違いないと信じることの代償は、」"that the miracle cannot ~ "「奇跡が、一貫してあなたから生み出されることはないということなのだ」。下手な訳で申し訳ない。ここの"beyond the hope of change"の部分の解釈がはっきりとしないのだが、単純に「変化しない見掛けが存在すると信じる代償は〜」と考えていいのではないだろうか。あえて"hope"「希望」という言葉にこだわるなら、次のような解釈が可能かもしれない。見掛け(幻想)には、変化して欲しいと望む見掛け(幻想)と、変化して欲しくないと望む見掛け(幻想)がある。たとえば、苦や不幸や痛み、恐れ、絶望、恨み、等々の見掛け(幻想)は、それが変化して楽や幸や希望に変わって欲しいと思うだろうし、せっかく手に入れた金や物や名誉や地位は、変化することなくいつまでもあなたの側にあって欲しいと思うだろう。したがって、本文は、「苦や不幸のように、変化して欲しいと希望する見掛けがある一方で、それを越えたところに、金や地位のような変化して欲しくない見掛けが存在するのだと信じる代償は〜」という意味合いになる。いずれにしても、幻想を信じていることに変わりはないので、幻想に埋没したあなたに実相的な奇跡が起きるはずははい。しかも、"consistently"とあるから、一貫して、常に、奇跡は起きることはないのだ。幻想的な人間に奇跡は完全に無縁である。
For you have asked it be withheld from power to heal all dreams.
- withheld [wiðhhéld] : 「withhold の過去、過去分詞形」
- withhold [wiðhóuld] : 「与えないでおく、〜を抑える、差し控える」
❖ "For you have asked ~ "「なぜなら、あなたは、あらゆる夢をヒーリングするパワーを奇跡に与えないで欲しいと頼んでしまったからだ」。赦しの奇跡は、例外なくあらゆる幻想を消滅させる。それが、奇跡の持つヒーリングのパワーである。しかし、あなたは、せっかく手に入れた見掛け(幻想)の金や地位を失いたくないと思って、奇跡に対してヒーリングのパワーを与えないで欲しいと願ったのだ。したがって、結果的に、あなたの苦や不幸さえも、奇跡によって消滅させられることが不可能となった。幻想を保持したがために、あなたは奇跡と無縁な存在になったのである。
There is no miracle you cannot have when you desire healing. But there is no miracle that can be given you unless you want it.
- desire [dizáiər] : 「〜を要求する、〜が欲しいと強く思う」
- healing [híːliŋ] : 「治療、治癒、回復、癒やし」
- unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
❖ "There is no miracle you ~ "「あなたがヒーリングを心から望むなら、得られない奇跡などない」。ヒーリングを望むとは、真実の実相を望むことに外ならない。真実を望めば、真実の奇跡が与えられるのだ。"But there is no miracle ~ "「しかし、あなたが奇跡を望まない限り、あなたに与えられる奇跡はない」。真実の実相的奇跡は、たなぼた式に天から降ってくるものではない。あなたが真実の奇跡を心から希求したとき、初めてあなたに与えられるものなのだ。実相に目覚めたいと強く望むとき、あなたは実相への目覚めという奇跡が与えられるのであって、あなたが何も意思せずに、幻想から突如として目覚めることは決してない。
Choose what you would heal, and He Who gives all miracles has not been given freedom to bestow His gifts upon God's Son.
- choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
- freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
- bestow [bistóu] : 「授ける、与える」
- gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
❖ "Choose what you ~ "「あなたはヒーリングしたいのだいうことを選択しなさい」。つまり、幻想を消滅させて、実相に目覚めるというヒーリング(奇跡)を選択し、強く意思しなさい。"and He Who gives ~ "「そうすれば、あらゆる奇跡を与えてくれる神が、神の贈り物を神の子に授ける自由を与えられないでいることはない」。つまり、神は自由に、あなたに奇跡を与えてくれる、ということ。もちろん神は、ホーリー・スピリットを通じて、あなたに奇跡を与えるのである。こうしてあなたは、幻想を消滅させて、実相に目覚めるというヒーリング(奇跡)を現実のものとすることが出来るのだ。
When he is tempted, he denies reality. And he becomes the willing slave of what he chose instead.
- tempt [témpt] : 「〜を誘惑する、〜する気にさせる」
- deny [dinái] : 「与えない、拒否する」
- become [bikʌ́m] : 「〜になる」
- willing [wíliŋ] : 「自分から進んで、快くやる」
- slave [sléiv] : 「奴隷、捕らわれている人」
- chose [tʃóuz] : 「chooseの過去形」
- instead [instéd] : 「代わりに、それよりむしろ、そうしないで」
❖ "When he is ~ "「神の子は誘惑されると、実相を否定する」。人は、金や物や地位や情欲に誘惑されると、、つまりきらびやかな見掛けだけの幻想に誘惑されると、地味な真実の実相よりも、派手な見掛けを求めて突っ走る。"And he becomes ~ "「そして神の子は、(実相の)代わりに選んだものを欲しがる奴隷になってしまうのだ」。つまり、幻想の見掛けを求める奴隷になってしまう。なんとも、おもちゃを欲しがる子供のようなものだ。いや、確かに、あなたは幻想というおもちゃを求める奴隷に過ぎない。