8. Be very still an instant. Come without all thought of what you ever learned before, and put aside all images you made.
- still [stíl] : 「静止した、じっとした、動かない、穏やかな、平穏な」
- instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
- without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで」
- thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、考え、見解、思い付き」
- learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する、〜であると分かる」
- before [bifɔ́ːr] : 「以前に、前に、早く、先に」
- put aside: 「〜をやめる、〜を捨てる、〜をあきらめる」
- image [ímidʒ] : 「イメージ、画像、像、映像、印象、心証」
❖ "Be very still ~ "「ほんのしばらくの間、ただじっとしていなさい」。"Come without all ~ "「あなたが以前学んだことすべてに思いを馳せることなく、あなたが作り出したイメージもすべてうっちゃっておきなさい」。あなたは、これまでずっとエゴの思考システムを学び、頭脳による理性的思考を優先してきたが、そこで描かれるイメージはすべて幻想である。肉体的な知覚が、あたかも幻想がその場に実在しているかのように錯覚させているだけだ。今、心を空っぽにして、以前の思考もイメージも捨て去って、静かに瞑想しなさい。
The old will fall away before the new without your opposition or intent.
- fall away : 「外れて落ちる、はがれ落ちる、剥離する」
- opposition [ὰpəzíʃən] : 「反対、敵対」
- intent [intént] : 「意図、目的、故意」
❖ "The old will fall away ~ "「あなたが反対したり意図しなくても、古い思考やイメージは、新しい思考やイメージの前では、はがれ落ちてしまうものだ」。夢に見ていることに反発したり、夢から目覚めようと意図しなくても、自然に夢から目覚めるように、古いエゴの思考システムははがれ落ちて、新しいホーリー・スピリットの思考システムが立ち上がってくる。そのために、心を静め、心を空っぽにして、しばらくの間、じっとしていなさい。なお、ACIMでは、強く瞑想を勧めているわけではない。瞑想は目的ではなく、単なる手段であると認識しているからだ。つまり、瞑想さえすればすべてが自然に解決するとは考えておらず、まず初めに、ホーリー・スピリットの思考システムに回帰することを優先しているのだ。そのための道具が瞑想というわけである。瞑想は目的ではなく手段に過ぎない。だが、瞑想は強力な、必須の手段である。
There will be no attack upon the things you thought were precious and in need of care.
- attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
- thought [θɔ́ːt] : 「thinkの過去・過去分詞形」
- precious [préʃəs] : 「高価な、貴重な、重要な、大事な」
- in need of : 「〜を必要としている」
- care [kέər] : 「心配、苦労、心痛、世話、介護、ケア、手入れ」
❖ "There will be no ~ "「あなたが、価値があると思い、大切にしなくてはならないと思っている物を攻撃する必要はまったくない」。この幻想世界に生きて、大切だと思っていたり価値があると信じ込んでいることを、たとえそれが幻想に過ぎないと知っても、無理やりそれを攻撃して、崩壊に導く必要はない。なぜなら、幻想に過ぎないものは、自然にはがれ落ちてしまうからだ。その自然な成り行きに導いてくれるのがホーリー・スピリットの思考システムであり、そのための瞑想である。
There will be no assault upon your wish to hear a call that never has been made.
- assault [əsɔ́ːlt] : 「肉体的暴力、攻撃、暴行」
- wish [wíʃ] : 「願い、望みの物、願望、希望」
- hear [híər] : 「〜を聞く、聴く、〜が聞こえる、耳にする」
- call [kɔ́ːl] : 「呼び声、要求、需要」
❖ "There will be no assault ~ "「決してなされたものではない呼び声を聞きたいと思う願いが攻撃されることもない」。ここの"a call that never has been made"「決してなされたものではない呼び声」とは、存在し得ない呼び声ということで、幻想の呼びかけのことである。つまり、幻想に過ぎないエゴという偶像があなたに誘いかけたその呼び声のこと。あなたはエゴの呼びかけを耳にしたいと望んでいるかも知れないが、それを、ホーリー・スピリットの思考システムが攻撃し、破壊しようとしているのではない。攻撃し破壊しなくても、幻想の呼びかけは自然に消滅してしまうからだ。
Nothing will hurt you in this holy place, to which you come to listen silently and learn the truth of what you really want.
- hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
- holy [hóuli] : 「神聖な、聖なる」
- place [pléis] : 「場所、個所、住所」
- listen [lísn] : 「耳を傾ける、傾聴する、聴く、聞く」
- silently [sáiləntli] : 「静かに、黙って、無言で」
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」\
- really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
❖ "Nothing will hurt ~ "「この神聖な場所では、何ものもあなたを傷つけたりしない」。幻想から目覚めた、実相という神聖な場所では、あなたを攻撃し傷つけるものはない。虚偽や幻想がはがれ落ちるだけである。"to which you come ~ "「その場所へと、あなたは、心静かに耳を澄ませ、本当にあなたが望んでいるものの真実を学ぶためにやって来るのである」。あなたは、金を求め物質的な豊かさを希求し、名誉や地位を望んで生きてきたが、それは、本当にあなたが欲しているものではない。あなたが心を静めて、耳を澄ませば、ホーリー・スピリットの呼び声が聞こえてくるのであり、その神聖な瞬間に、あなたが本当に求めている真実の安らぎや平和や愛や美を学ぶことが出来るのだ。
No more than this will you be asked to learn.
- no more than : 「ただの〜にすぎない、たかが〜、〜しかない、たった、わずか」
- ask [ǽsk] : 「求める、要求をする、必要とする」
❖ "No more than this ~ "「これ以上のことを、あなたは、学ぶようにとは求められていない」。あなたがホーリー・スピリットから求められているものは、真実を学べということだけである。少なくとも、幻想を攻撃し破壊せよ、などとは求められていない。
But as you hear it, you will understand you need but come away without the thoughts you did not want, and that were never true.
- understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
- come away : 「〜から離れていく」
- true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ "But as you hear ~ "「しかし、あなたがそれ(心の中のホーリー・スピリットの呼び声)を聞いているうちに、あなたが望んでもいない思考や決して真実ではない思いをうち捨てて、そこから離れ、(ここに)やって来る必要だけがあるのだと理解出来るようになる」。真実でもなく、望みもしなかったエゴの思考システムをうち捨てて、そこから遠く離れて、真実の住む実相世界に回帰することだけが求められているのだと理解出来よう。それを誘(いざな)っているのが、あなたの心の中のホーリー・スピリットである。
9. Forgive your brother all appearances, that are but ancient lessons you have taught yourself about the sinfulness in you.
- forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
- appearance [əpíərəns] : 「外観、外見、見掛け、容姿、風貌」
- ancient [éinʃənt] : 「古代の、古くからの、古い、古びた」
- lesson [lésn] : 「授業、レッスン」
- taught [tɔ́ːt] : 「teachの過去・過去分詞形」
- sinfulness [sínfəlnis] : 「罪深さ、罰当たりであること」
❖ "Forgive your brother ~ "「あなたの同胞の、その見掛けのすべてを赦しなさい」。あなたが目にする同胞の見掛けは単なる幻想に過ぎないのだと認識し、受け入れ受け流して赦しなさい。"that are but ancient ~ "「それは、あなたの心の中の罪の意識に関して、あなたがあなた自身に教えた昔のレッスンに過ぎない」。神から分離した遠い昔、あなたは神を裏切ってしまったという罪の意識を抱え込むことになった。その罪の重さをごまかすために、幻想世界を打ち立て、それこそが現実なのだと、あなたはあなた自身に教えたのだ。そんな幻想のレッスンの中には、同胞は敵であり、奪い奪われる対象に過ぎないのだという、同胞の見掛けが含まれている。今、そんな幻想の見掛けなど赦してしまえ、というわけである。なお、"you have taught yourself"「あなたが、あなた自身に教えた」とあるが、「あなたが作りだしたエゴという偶像によって教えられた」という意味である。
Hear but his call for mercy and release from all the fearful images he holds of what he is and of what you must be.
- call for : 「〜を求めて呼ぶ、〜を呼び求める、〜を要求する」
- mercy [mə́ːrsi] : 「慈悲、情け、寛大な措置」
- release [rilíːs] : 「釈放、救出、解放」
- fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
- hold [hóuld] : 「心に抱く、〜であると考える」
❖ "Hear but his call for ~ "「慈悲と解放を求める同胞の呼び声に耳を傾けなさい」。何からの開放かというと、"from all the fearful ~ "「自分は何であるか、そして、あなたは何であらねばならないかということに関して、彼が抱いた恐ろしいイメージのすべてから」の解放。同胞もあなたと同様に、自分は他者から分離した肉体をもった実在だと信じ、他者は攻撃したり攻撃されたり奪ったり奪われたりする対象だと思っている。もちろん、心の中には罪の意識を抱きつつ、苦と痛みの世を彷徨(さまよ)っていると思っている。そういった苦と恐怖から救って欲しいと、同胞は助けを求めている。その声に耳を傾けなさい。
He is afraid to walk with you, and thinks perhaps a bit behind, a bit ahead would be a safer place for him to be.
- be afraid [əfréid] to : 「〜するのを怖がる、怖がって〜しない」
- walk with : 「〜とともに歩む」
- perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
- bit [bít] : 「少し、ちょっと、少量、わずか」
- behind [biháind] : 「後に、後ろへ、後ろ側に、背後に」
- ahead [əhéd] : 「前方に、前途に、これから先に」
- safe [séif] : 「安全な、無事な、安泰で」
❖ "He is afraid to ~ "「彼は、あなたと共に歩むことを恐れいている」。彼は、あなたが同胞を攻撃し奪う役割をもっている存在だと信じているから、あなたと一緒に歩むことなど、恐ろしくて出来ないのだ。"and thinks perhaps ~ "「そして、多分、少し後ろか、少し前かに位置する方が、彼にとってより安全だと思っている」。共に歩むことは恐ろしいのだが、同じ穴のムジナとして、幻想世界の同方向に進んでいる。肩を並べることは恐ろして出来ないので、ちょっと前かちょっと後ろを歩くのである。しかし、共に、崩壊と死の方向へ歩んでいるのだ。
Can you make progress if you think the same, advancing only when he would step back, and falling back when he would go ahead?
- make progress [prάɡres] : 「進歩する、進行する」
- same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
- advance [ædvǽns] : 「前へ進む、前進する、進歩する、進展する」
- step back : 「後ずさりする、後に下がる、後退する」
- fall back : 「後退する、後ずさりする、退却する、たじろぐ」
- go ahead : 「先へ進む、前進する」
❖ "Can you make progress ~ "「同胞が後退したときだけ前進出来、同胞が前進したときは後退するというように、もしあなたが(同胞と)同様に考えているなら、あなたは先に進むことなど出来るだろうか」。簡単に言えば、あなたと同胞は足の引っ張り合をしていて、さっぱり前に進むことが出来ない、ということ。同胞が金持ちになれば、あなたは自分は貧乏だと感じて悲しみ、あなたの地位が上がれば、同胞の地位は下がったと感じて喜ぶ。そんな歩みなど、本当の旅だと言えるだろうか? 所詮、夢の中の出来事ではないか。
For so do you forget the journey's goal, which is but to decide to walk with him, so neither leads nor follows.
- forget [fərɡét] : 「〜を忘れる、〜を思い出せない」
- journey [dʒə́ːrni] : 「旅、旅行」
- goal [ɡóul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
- decide [disáid] : 「決定する、決心する、決意する」
- walk with : 「〜とともに歩む、」
- neither [níːðər] A nor B : 「AでもなくBでもない、AとBのどちらも〜ない」
❖ "For so do you ~ "「なぜなら、そんなことをすれば、あなたは旅の目的を忘れていまうことになる」。あなたが同胞と共に歩まねばならないのは、本当の旅路であって、実相世界への回帰の旅であるはずだ。この幻想世界の、足の引っ張り合いという旅を演じている限り、本当の旅路の目的を忘れていると言える。"which is but to decide ~ "「それは、同胞と一緒に歩む決意をすることであり、導いたり追従したりするものではない」。あなたと同胞は自他一如であり、どちらが指導的立場でも、どちらが追従する立場でもない。一体となって、実相世界への旅路を歩んで行く神の子同士なのだ。
Thus it is a way you go together, not alone. And in this choice is learning's outcome changed, for Christ has been reborn to both of you.
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
- together [təɡéðər] : 「一緒に、共に」
- alone [əlóun] : 「独力で、単独で、一人で」
- choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
- outcome [áutkʌ̀m] : 「結果、結末、成果、所産」
- change [tʃéindʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」
- learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
- reborn [ribɔ́ːrn] : 「再生した、生き返った、よみがえった、生まれ変わった」
- both [bóuθ] : 「両方、双方」
❖ "Thus it is a way ~ "「こうして、旅路は、あなた達が一緒になって進む道のりであり、単独で歩く道程ではない」。"And in this choice ~ "「これを選択することで、学びの結果は変化させられる」。エゴの主導する旅ではなく、ホーリー・スピリットの主導する旅を、同胞と共に選択したのだから、その結果も自ずからまったく異なってくる。エゴの旅は崩壊と死へ向かい、ホーリー・スピリットの旅は永遠の命へと生まれ変わる旅である。"for Christ has been ~ "「なぜなら、キリストが、あなたがた二人のとって、蘇るからだ」。あなたと同胞の心の中のホーリー・スピリット、つまりキリストが、あなたがたの意識の中に再生される。心が実相として生まれ変わるのだ。あなたと同胞の選んだ旅路は、心の命の復活への旅である。心の救いの道であり、キリストへの道なのだ。