●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-31.V.7:1 ~ T-31.V.8:5


7. Concepts are learned. They are not natural. Apart from learning they do not exist. They are not given, so they must be made. 

  • concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念」
  • natural [nǽtʃərəl] : 「天然の、生まれながらの、自然の」
  • apart from : 「〜から離れて、〜は別として」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • exist [iɡzíst] : 「存在する、生きている、生存する、存続する」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」

❖ "Concepts are ~ "「概念とは、学習されるものである」。"They are not ~ "「概念は、生得のものではない」。"Apart from learning ~ "「学ばれることなくして、概念は存在しない」。"They are not ~ "「概念は、与えられるものではなく、必ず、作り出されるものなのだ」。あなたが自分だと思っているあなたの自己概念は、生得的なものではなく、成長するにしたがって、あなたが世界から学んだり、他者から習ったり、自分で矯正したりして作り上げてきたものなのだ。その学びのレッスンは、実は、幻想を学ぶレッスンに過ぎない。幻想に準じた偽りなのである。




Not one of them is true, and many come from feverish imaginations, hot with hatred and distortions born of fear. 

  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の、正確な、忠実」
  • come from : 「〜に由来する、源を〜に発する」
  • feverish [fíːvəriʃ] : 「熱中した、熱狂的な、興奮した」
  • imagination [imæ̀dʒənéiʃən] : 「想像力、心象、空想」
  • hot [hάt] : 「激しい、怒った、熱い」
  • hatred [héitrid] : 「強い嫌悪、憎しみ、憎悪、嫌悪」
  • distortion [distɔ́ːrʃən] : 「歪めること、ゆがみ、ねじれ、歪曲」
  • born [bɔ́ːrn] : 「生まれる、誕生する」
  • born of : 「〜から生まれる、〜のもとに生まれる」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」

❖ "Not one of ~ "「(形成された)自己概念はどれも、真実ではない」。あなたが学んで作り上げた自己概念は、幻想に準じたものであって、真実ではない。自己概念自体も幻想であり、虚偽であり虚像である。"and many come ~ "「その多くは、熱狂的な空想から生じたものであり、」"hot with hatred ~ "「憎しみと、恐れから生み出された歪みで熱くなっている」。あなたの自己概念は、幻想世界の与えるレッスンによって形成された幻想、虚像であって、それは、心の中の恐れや罪の意識や怒りや攻撃性という、熱く歪んだ悪感情から吐き出されてくるものなのだ。"feverish imaginations"「熱狂的な空想」とは、エゴを熱狂的に信じる、その幻想性、虚妄性、といった意味合い。エゴは、あなたに他者への恐怖心をかき立たたせ、他者への攻撃心を煽り立てる。あなたは他者を憎み、恐れ、攻撃性に燃える。いわば、アドレナリンが噴出して、熱くなるのだ。心の歪んだ状態(distortions)である。



What is a concept but a thought to which its maker gives a meaning of his own? 

  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、考え、見解」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」

❖ "What is a concept ~ "「概念とは、概念を作り出す者が、自分自身の意味を与える思いそのもの以外の何だろうか」。一言で言えば、自己概念とは、自分がこうありたいと思う自己イメージのことである。幻想世界は、あなたの思いが幻想した通りに出来上がっているので、あなた自身のイメージも、あなたが勝手に作ったものなのだ。幻想を作るのに真実はいらない。夢の中で、あなたが変幻自在に自分を形作っているのと同じなのだ。夢に登場するあなたは実在などしない。



Concepts maintain the world. But they can not be used to demonstrate the world is real. 

  • maintain [meintéin] : 「持続する、保持する、支持する」
  • demonstrate [démənstrèit] : 「実証する、立証する、実演する」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」

❖ "Concepts maintain ~ "「概念は、この世界を維持する」。心が想念した通りに、この世界は出来上がっている。もちろんあなたは、どんなに平和を想念しても世界は戦争だらけではないか、と文句を言うだろう。想念とは、心の深層レベルの思いであって、頭脳による理性的なおしゃべりとは違うのだ。頭の中の善悪判断によって戦争を否定し平和を望んでも、それで世界が平和になるわけではない。幻想を赦し、幻想を消滅させることこそが心の深層レベルに到達出来る道であって、それを欠いては何も起きない。その心の深層レベルは、今はエゴに支配されているので、こんなメチャクチャな世界が出来上がっているのである。"But they can not ~ "「しかし、概念は、世界が実在することを実証するために用いることは出来ない」。概念によって維持されて目の前に展開する世界ではあるが、それをもって世界は実在するなどとは言えない。もちろん、目の前に展開する世界は、単なる幻想に過ぎない。夢に見ているだけの世界だ。



For all of them are made within the world, born in its shadow, growing in its ways and finally "maturing" in its thought. 

  • within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側で」
  • shadow [ʃǽdou] : 「影、暗がり、暗部」
  • grow [gróu] : 「成長する、育つ、大きくなる」
  • finally [fáinəli] : 「ついに、最後に、最終的に、とうとう」
  • mature [mətjúər] : 「熟す、熟成する、成熟する」

❖ "For all of them ~ "「なぜなら、すべての概念は、世界の中で作られているからであり、」自己概念も世界も、幻想という枠組みから一歩も外に出ることはない。"born in its ~ "「世界という影の中に生まれ、世界の提供する道に沿って成長し、ついには、世界の想念の中で『成熟していく』ものだからである」。いわば、目に見える世界とあなた自身の自己概念は同一なのだ。あなたが世界を幻想し、幻想された世界に沿って、あなたの自己概念が形成されていく。



They are ideas of idols, painted with the brushes of the world, which cannot make a single picture representing truth.

  • idea [aidíːə] : 「考え、着想、アイデア、発想、思い付き」
  • idol [áidl] : 「偶像、崇拝の対象、虚像、幻想」
  • paint [péint] : 「〜にペンキを塗る」
  • brush [brʌ́ʃ] : 「ブラシ、はけ、絵筆、画筆」
  • single [síŋɡl] : 「ただ一つの、たった一つの」
  • represent [rèprizént] : 「表す、示す、象徴する、意味する」

❖ "They are ideas ~ "「概念は、偶像の思いである」。概念は、幻想が現実化したものに過ぎない。幻想が形をとったとき、それが偶像である。"painted with ~ "「世界というブラシで絵の具を塗られているに過ぎないのだ」。"which cannot make ~ "「そんなブラシが、真実を表す絵の、ただの一枚も描けるわけがない」。幻想は幻想を描けるだけであって、幻想が真実を描ける道理はない。世界というブラシが偶像に色を塗り、また逆に偶像が世界に色を塗る。もちろん、虚偽の色であり、したがって、変化流動して色はあせ、ペンキは剥がれてしまうのだ。



8. A concept of the self is meaningless, for no one here can see what it is for, and therefore cannot picture what it is. 

  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味が分からない、無意味な」
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • picture [píktʃər] : 「〜を描写する、絵に描く、想像する、心に描く」

❖ "A concept of ~ "「自己概念など、意味はない」。幻想に過ぎないから、真実の一つも語ってくれはしない。"for no one here ~ "「なぜなら、この世界に住む誰一人として、自己概念が何のためにあるのか知ることが出来ないからだ」。自己概念は幻想の世界に迎合するために存在するのだと誰も気付きはしない。"and therefore ~ "「したがて、誰も、自己概念がどんなものなのか描くことも出来ないのだ」。自己概念の虚偽性、欺瞞性、幻想性をはっきり描き出せる者は誰もいない。簡単に言えば、あなたは何なのか、と問われて、誰も明確な答えを出すことは出来ない、ということ。



Yet is all learning that the world directs begun and ended with the single aim of teaching you this concept of yourself, that you will choose to follow this world's laws, and never seek to go beyond its roads nor realize the way you see yourself. 

  • direct [dirékt] : 「命令する、指揮する」
  • begun [biɡʌ́n] : 「beginの過去分詞形」
  • single [síŋɡl] : 「ただ一つの、たった一つの」
  • aim [éim] : 「目標、目的」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • follow [fάlou] : 「〜に続く、〜の後について行く、〜に従う、追随する」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
  • seek [síːk] : 「探し求める、求める」
  • beyond [bijάnd] : 「を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
  • realize [ríəlàiz ] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」

❖ "Yet is all learning ~ "「しかし、世界が命ずる学びのすべては、あなたにこんな自己概念を教えることを唯一の目的として終始している」。"that you will choose ~ "「それは、あなたが、この世界の法に従うことを選択し、世界の提供する道を越えて進むことを探し求めたりせずに、あなた自身を知るための道を認識しないことなのだ」。簡単に言えば、世界は、あなたが幻想のままこの世界に留まることを選択させ、世界に迎合する自己概念を形成するように仕向け、教育し、決して、幻想世界を越える実相世界に本当の自分自身を見出す道を閉ざしている、ということ。エゴに支配された幻想世界の目的のすべては、幻想維持なのである。あなたが幻想を赦し、幻想を消滅させたら、世界はもちろん、エゴも消滅してしまうからだ。決して、あなたに実相を知ってもらうわけにはいかない。あなたが夢を見続ける状態を、是が非でも維持しなければならないのだ。



Now must the Holy Spirit find a way to help you see this concept of the self must be undone, if any peace of mind is to be given you. 

  • find [fáind] : 「見つける、探し出す、発見する、見いだす」
  • undone [ʌndʌ́n] : 「undoの過去分詞形」
  • undo [ʌndú] : 「元へ戻す、取り消す」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平安、静けさ、静謐」

❖ "Now must the Holy ~ "「もし、心の平和があなたに与えられるべきであるなら、その時こそ、ホーリー・スピリットは、あなたがこの自己概念を取り消しにしなくてはならないと知る手助けをする方法を見出すに違いない」。もしあなたが、本当の心の平安を求めるなら、ホーリー・スピリットはあなたを手助けして、幻想の自己概念を消滅させる方法を必ず教えてくれるはずだ。なぜなら、それは真実であって、ホーリー・スピリットは真実のすべてを知っているからだ。幻想から実相へと目覚める本当の方法をホーリー・スピリットは知っているし、その地点にあなたを導くことをその使命としているからだ。



Nor can it be unlearned except by lessons aimed to teach that you are something else. 

  • unlearned [ʌnlə́ːrnid] : 「学ばずに得た、生得の」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • aimed [éim] : 「意図する、するつもりである」

❖ "Nor can it be ~ "「その方法は、あなたが(自分で形作った自己概念とは)異なる何者かであると教えることを目的としたレッスン以外に、学び取れる可能性はない」。ホーリー・スピリットがあなたに与えるレッスンは、つまり、このACIMは、あなたがこれは自分だと思っている今の自分とは全く異なった自分こそが実相的な本当の自分なのだと教えることを目的としている。今の自分は幻想に過ぎず、本当の実在する自分は、その夢から目覚めなくては見えてこないのだと知らしめるレッスンである。これが、ホーリー・スピリットの与えてくれるレッスンである。



For otherwise, you would be asked to make exchange of what you now believe for total loss of self, and greater terror would arise in you.

  • otherwise [ʌ́ðərwàiz] : 「さもなければ、そうしないと」
  • exchange [ikstʃéindʒ] : 「換えること、交換」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • total loss : 「丸損、全損」
  • great [ɡréit] : 「大きい、大きな、巨大な、主要な」
  • terror [térər] : 「恐怖、テロ」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる」

❖ "For otherwise, you ~ "「なぜなら、そうでなかったら、あなたは、今あなたが信じている自分自身と、完全な自己喪失とを交換するように要求されてしまい、より大きな恐怖があなたの心の中に立ち昇ってしまいかねないからだ」。ホーリー・スピリットのレッスンに従って、幻想から実相へと目覚める以外に、あなたの救いの道はない。なぜなら、幻想の自己概念を生きる限り、ドストエフスキーが言うように、宗教に逃れるか、自殺するか、発狂するか、つまり、完全な自己喪失の道しか残されていないからだ。虚偽の自己と自己喪失とを交換するような愚行を犯してはいけない。虚偽の自己を消滅させることこそ、あなたが成さなければならないこの世での役割なのだ。虚偽の自己を消滅させたとき、同時に、この幻想の世界も消滅する。
 
 
 


T-31.V.5:1 ~ T-31.V.6:8

5. Beneath the face of innocence there is a lesson that the concept of the self was made to teach. 
  • beneath [biníːθ] : 「〜の真下に」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔」
  • concept [kάnsept] : 「概念、観念、考え」
  • teach [tíːtʃ] : 「〜を教える、指導する」
❖ "Beneath the face ~ "「潔癖な顔の下に、自己概念が(ある教えを)教えるために作られたレッスンがある」。下手な訳で申し訳ない。偽善的な自己の側面の下に、つまり、善良な顔をしている表面的な自己のその下に、他者の裏切りに対して憎悪を覚えたり自己を防衛するために他者への攻撃を正当化したりする自己の暗い一面が潜んでおり、その存在を学ぶためのレッスンが必要である。自己概念の形成とは、そのレッスンを学ぶために作られたと言っていい。この自己概念は幻想の自己なのだが、その存在理由は、幻想の自己を通して、真実の自己を学ぶためなのだ。実は、幻想の自己概念に限らず、この幻想世界の本当の存在理由は、それが幻想であると見抜かれて、真実の実相世界に目覚めるためにあるのだと言ってよい。あたかも、嘘を通して真実を知るようなものである。真実を知るために、嘘が必要だったのだと思えばいい。



It is a lesson in a terrible displacement, and a fear so devastating that the face that smiles above it must forever look away, lest it perceive the treachery it hides. 
  • terrible [térəbl] : 「ひどく嫌な、とても不快な、恐ろしい、怖い」
  • displacement [displéismənt] : 「置き換え、転移、変位」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
  • devastating [dévəstèitiŋ] : 「破壊的な、壊滅的な、衝撃的な」
  • smile [smáil] : 「声を立てずに笑う、ほほ笑む、微笑する」
  • above [əbʌ́v] : 「〜よりも上側に、〜の上に」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • look away : 「横を向く、よそ見する、目をそらす、目を背ける」
  • lest [lést] : 「〜しないように、〜するといけないから」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • treachery [trétʃəri] : 「不信、背信、不実、欺瞞、裏切り」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
❖ "It is a lesson in ~ "「それは、怖い価値転換のレッスンである」。善良であると思っていた自分が、実はその影に悪意を持っていることを教えるレッスンであるから、自己への価値観がひっくり返って、怖い思いがするのだ。"and a fear so ~ "「恐れがあまりに破壊的であるので、その上で笑っている顔は永遠に目を逸らさずにいられない」。"the face that smiles above it"「その上で笑っている顔」とは、憎悪や攻撃性を隠し持った自己の暗い心の奥底の、その上層部に表れる表面的な善良な自己の側面、ということ。その偽善的な自己は、自分の心の奥底の憎悪や攻撃性から目を逸らし続ける。自分にそんな一面があることが恐ろしいからだ。"lest it perceive ~ "「隠し持った欺瞞を知覚しないようにするためである」。自己欺瞞を認識しないように、心の奥底の醜悪さから目を逸らし続けるのである。



The lesson teaches this: "I am the thing you made of me, and as you look on me, you stand condemned because of what I am."
  • condemned [kəndémd] : 「有罪と宣告された、有罪の判決を受けた」
❖ "The lesson teaches ~ "「そのレッスンは、次のように教えている」。"I am the thing you ~ "意訳する、「私をこんな風に作ったのはあなただ」。心の奥底の憎悪や攻撃性を作ったのはあなた自身である。"and as you look on ~ "「あなたが私を見るとき、私が何であるかということを理由に、あなたは有罪とされるのだ」。あなたが自分の心の奥底に目を向けると(as you look on me)、そこにあなたの本性(what I am)が見て取れて、醜悪な憎悪や怒りや攻撃性を持っていることを理由として、あなたは自分で自分を罪ある人間であると有罪の判定を下す(stand condemned)。
蛇足になるが、表面的な偽善の欺瞞的自己概念は、隠し持った憎悪や怒りや攻撃性を罪と判断して、隠し通そうとする。しかし、憎悪や怒りや攻撃性という負の想念は非常に強力なパワーをもっており、おとなしく隠されたままに眠り続けることはない。チャンスがあれば、あなたの現実生活の表面に怒濤のように出て来ようとする。そこで、恐れをなすあなたは、自ら肉体的な痛みを作り出して、憎悪や怒りや攻撃性の出現から目を逸らせようとするのだ。痛みや病を自ら作り出して、自分の罪を罰し、帳尻を合わせようとする。自己欺瞞は自己をバッシングして、罪の意識を帳消しにしようとするのだ。



On this conception of the self the world smiles with approval, for it guarantees the pathways of the world are safely kept, and those who walk on them will not escape.
  • conception [kənsépʃən] : 「思考、構想、観念」
  • approval [əprúːvəl] : 「承認、認可、賛成、賛同、是認、同意」
  • guarantee [ɡæ̀rəntíː] : 「保証する、請け合う」
  • pathway [pǽθwey] : 「小道、歩道、通路、経路、進路」
  • safely [séifli] : 「安全に、支障なく、無事に」
  • kept [képt] : 「keepの過去・過去分詞形」
  • those who : 「〜する人々」
  • escape [iskéip] : 「逃げる、ずらかる、脱出する、抜ける」
❖ "On this conception ~ "「この(偽善的、欺瞞的)自己概念に対して、この世界は薄笑いを浮かべながら、これで良しとする」。"for it guarantees ~ "「なぜなら、(偽善的、欺瞞的)自己概念は、この世界が安全に保たれるような道を保証してくれるからであり、その道を歩く者は決して逃れられないからだ」。自分は善良であるとする偽善的、欺瞞的自己概念の側面も、その心の奥底に隠し持った憎悪や怒りや攻撃性という側面も、共にこの幻想世界における自己概念の幻想的側面である。善と悪に二極分化した幻想が、自己欺瞞を通して力比べをしているのだ。こうやって分裂した二者を戦わせておけば、幻想から目覚めて実相に回帰しようなどとは露ほども思わないだろう。かくして、幻想の世界は安泰であり、もちろん、それを指揮するエゴという偶像も安泰なのだ。
たとえば、世界を支配する大国が、それに従わない小国を牛耳るにはどうするか? その小国を、政府側と反政府側とに二分して戦わせるのである。小国は内乱で疲弊し、かくして、大国は安泰となる。エゴと世界の戦略も同様なのだ。ところが、政府側と反政府側とに二分され戦った小国は、ただ疲弊するだけで終わるだろうか? いや、二分し戦わせた大国に対して、その小国の憎悪の目は向けられる。こうして、内部への憎悪と怒りは外部へと向かい、内外の憎悪と怒りが絡み合って複雑化し、争いの様相は収拾のつかない頂点に達する。



6. Here is the central lesson that ensures your brother is condemned eternally. For what you are has now become his sin. 
  • central [séntrəl] : 「中心の、中央の、主要な、重要な」
  • ensure [inʃúər] : 「〜を確かにする、保証する、請け合う」
  • eternally [itə́ːrnəli] : 「永久に、絶えず、変わることなく、永遠に」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
❖ "Here is the central ~ "「ここに、レッスンの中心があり、それは、」"that ensures your ~ "「あなたの同胞が、永遠に、(罪有りと)非難されるべき者だということ(を教えるレッスン)である」。"For what you are ~ "「なぜなら、本来のあなたが、今や、同胞の罪になってしまったからだ」。あなたの欺瞞的自己概念は、心の奥底に憎悪や怒りや攻撃性を垣間見て、そんな悪感情をもつ自分には罪があると思い、自分自身に有罪を宣言する。ところが、その罪の意識を生み出した元を正せば、他者の裏切りであり他者の攻撃である。ならば、自分に罪の意識を抱かせた張本人は他者であって、大本(おおもと)の罪は他者にあるのだ。永遠に責められるべきは、あなたの同胞である。こう信じることで、あなたの罪は、今や同胞の罪となるのである。二分化された小国が、大本の大国にその罪を宣言するのと同じである。
そもそも、あなたと同胞は一体であり、同胞は鏡に写ったあなた自身である。同胞に罪を宣言することは、自分に罪を宣言することと等しく、あなたの心の憎悪や怒りや攻撃性が、同胞の姿を通して顕現されたと思えばいい。同胞の罪は、あなたの罪の偶像なのだ。象徴なのである。



For this is no forgiveness possible. No longer does it matter what he does, for your accusing finger points to him, unwavering and deadly in its aim. 
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • possible [pάsəbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
  • no longer : 「もはや〜でない」
  • matter [mǽtər] : 「重要である」
  • accusing [əkjúːziŋ] : 「告発する、非難するような」
  • accusing finger : 「非難の矛先」
  • point [pɔ́int] to : 「〜を指さす、〜を指摘する、〜を提示する」
  • unwavering  [ʌnwéivəriŋ] : 「動揺しない、断固とした」
  • deadly [dédli] : 「恐ろしく、ひどく、全く、極度に」
  • aim [éim] : 「的、標的」
❖ "For this is no ~ "「なぜなら、これはもう、赦しが可能な状態ではないからだ」。偽善的、自己欺瞞的自己は、自分の隠し持った憎悪や怒りや攻撃性を現実化してしまったのだ。それは、同胞の罪を宣言することで、同胞の罪を現実化してしまったがために、同時に自己の罪も現実化してしまったということである。罪という幻想を赦す領域を越えてしまったのだ。罪という幻想に完全に支配され、赦しによって幻想の罪から開放される可能性のない状態に陥ってしまったのだ。"No longer does ~ " 「もはや、同胞が何をなしたか、問題ではない」。"for your accusing ~ "「なぜなら、あなたの非難の矛先は同胞に向かっており、揺るぎなく、完全に狙いが定められてしまったからだ」。今や、あなたの自己欺瞞的な自己概念は、自分の心の奥底の矛盾に向かわずに、外の世界、他者である同胞に向かう。内向的憎悪と怒りと攻撃性は、外向して同胞に照準を合わせる。かつて、あなたがいたわった同胞を、今度は激しく攻撃するのだ。見せ掛けの愛は、根深い憎悪へと変わった。もはや、隠し通すことなく、あなたは憎悪と怒りと攻撃性を生きることになる。あなたは、罪そのものを生きることになるのだ。したがって、あなたはますます、罪ある自己を罰する方向へと進んでいくのである。ドストエフスキーが言うように、盲目的宗教に逃れるか、自殺するか、発狂するか、の選択となる。幻想地獄とは、そういうことである。



It points to you as well, but this is kept still deeper in the mists below the face of innocence. 
  • as well : 「同じに、同様にうまく」
  • deep [díːp] : 「深い、深さがある」
  • mist [míst] : 「霧、かすみ、もや」
  • below [bilóu] : 「〜より下に、〜の下方に」
❖ "It points to you ~ "「その矛先は、あなたにも同様に向けられる」。あなたと同胞は同体なので、当然、同胞を罪としたあなたの非難は、あなた自身の心の奥底の憎悪や怒りや攻撃性にも向けられる。"but this is kept ~ "「しかし、これは、潔癖さを装う顔の下の靄(もや)の中深くに、いまだに保持されている」。非難の矛先の向かう先は、あなたの心の奥底にある深い靄に包まれた憎悪や怒りや攻撃性という、つまり、あなたに罪の意識を抱かせる悪感情である。今や、偽善的な自己概念の敵は、同胞であり、あなた自身ということになったのだ。



And in these shrouded vaults are all his sins and yours preserved and kept in darkness, where they cannot be perceived as errors, which the light would surely show. 
  • shroud [ʃráud] : 「覆う、包む」
  • vault [vɔ́ːlt] : 「アーチ形の天井、円天井、地下墓所、ひつぎ保護容器」
  • preserve [prizə́ːrv] : 「〜を保つ、保存する、貯蔵する、保護する」
  • darkness [dάːrknis] : 「暗がり、暗闇、秘密、内密」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • light [láit] : 「光、明かり」
  • surely [ʃúərli] : 「疑いなく、しっかりと、確かに、確実に、必ず」
  • show [ʃóu] : 「見せる、見えるようにする」
❖ "And in these shrouded ~ "「この靄で包まれた地下墓地の中で、同胞の罪とあなたの罪が保持され、闇の中に隠され続ける」。"where they cannot ~ "「そこでは、罪は誤りであると知覚される可能性はなく、」"which the light ~ "「罪が誤りであるということは、光が確実に示してくれるものなのだ」。あなたの罪も同胞の罪も幻想に過ぎない。幻想の二元論世界で生きていくためにエゴによって学ばされた幻想の罪なのだ。それは、心の奥深くに保持されて靄に包まれ、通常の感覚器官や理性では、その幻想性は知覚出来ない。実相的な真実を照らし出してくれる光によってのみ、その幻想性は明るみに出され得るのだ。つまり、実相に目覚めて真実の光を得るまでは、罪の幻想地獄から抜け出すことは不可能なのだ。



You can be neither blamed for what you are, nor can you change the things it makes you do. 
  • neither [níːðər] A nor B : 「AでもなくBでもない、AとBのどちらも〜ない」
  • blame [bléim] : 「非難する、とがめる、責める」
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
❖ "You can be neither ~ "「あなたが何であるかということで、あなたが責められることは不可能であるし、それがあなたにさせたことを、あなたは変えることも出来ない」。"what you are"「あなたが何であるかということ、あなたの本性、本当のあなたの姿、等々」とは、心の奥底に隠し持った憎悪や怒りや攻撃性、そしてそれに対する罪の意識のこと。あなたの本性がそうであるとしても、それは他者の裏切りによって生じた、いわば正当防衛的な感情であり、正当防衛的な罪であるから、誰によっても責められることはない。ましてや、正当防衛的な感情によってなしたことを、あなたは真実の正当に変えることも出来ない。あなたは、自分の罪は誰からも責められることはない、罰せられることはないと信じているが、実は、肉体的な痛みや病によって自己を罰しているのだ。責められることも罰せられることもない罪によってなされたことは、悔い改めて変える必要さえないと信じているが、そう思う分だけ、苦渋は増えていく。



Your brother then is symbol of your sins to you who are but silently, and yet with ceaseless urgency, condemning still your brother for the hated thing you are.
  • symbol [símbl] : 「象徴、シンボル」
  • silently [sáiləntli] : 「静かに、黙って、無言で」
  • ceaseless [síːslis] : 「絶え間ない、絶え間のない」
  • urgency [ə́ːrdʒənsi] : 「しつこさ、強引さ、緊急性、切迫感」
  • condemn [kəndém] : 「〜を非難する、責める、〜に有罪の判決を下す」
  • hated [héitd] : 「憎まれた、嫌われた」
❖ "Your brother then ~ "「こうして、あなたの同胞は、あなたにとってあなたの罪の象徴となる」。あなたの心の中の罪が、鏡の中の同胞の罪として、あなたの目の前に現れる。あなたは自分の罪の意識を、同胞へ投射しているのだ。あなたが目にするものはすべて、あなたの心の投射なのである。"who are but ~ "「そういうあなたは、押し黙ったまま、しかし、絶え間ない危機感に嘖まれ、あなたが嫌な人間にされたことで、同胞を責め続けるのだ」。同胞さえ裏切らなかったら、あなたは善良な人間として、自分の嫌な一面である憎悪や怒りや攻撃性を見ずにすんだはずだと思っている。自分に罪の意識を抱かせた張本人は同胞であって、同胞は責めるに値する。しかし、そうは思うものの、あなたの心は穏やかではない。心のどこかで、このからくりの矛盾に気が付いているのだ。その矛盾を指摘されたなら、今度は本当に自分が罪ある人間にされるのではないかと、絶え間ない危機感に嘖まれる。どんなに口を閉じて押し黙ってみても、心の奥底にある罪の意識の靄は晴れることはない。自分の罪の意識が、化け物のように心から抜け出して、同胞の心にその姿を表していることに気付いているのだ。同胞の罪が、あなたの罪の象徴であることを知ってしまうのである。あなたは、自己の罪を外部に投射し、そこに罪の象徴を築き、偶像を祭る。そのすべてが、実は、あなた自身なのである。
 
 
 


T-31.V.3:1 ~ T-31.V.4:4


3. This aspect can grow angry, for the world is wicked and unable to provide the love and shelter innocence deserves. 

  • aspect [ǽspekt] : 「様子、外見、局面、状況、側面、特徴」
  • grow [ɡróu] : 「〜の状態になる、成長する」
  • angry [ǽŋɡri] : 「立腹して、怒って、憤りを感じて」
  • wicked [wíkid] : 「ひどく悪い、不道徳な、意地が悪い」
  • be unable to : 「〜することができない」
  • provide [prəváid] : 「提供する、もたらす、与える」
  • shelter [ʃéltər] : 「避難所、シェルター、保護、安全」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔、純真」
  • deserve [dizə́ːrv] : 「〜を受けるに値する、〜の価値がある、〜にふさわしい」

❖ "This aspect ~ "「この側面は、怒りへと変化し得る」。この側面とは、あなたの自己概念の偽善的側面のこと。他者への偽善的思いやりは、往々にして怒りへ変化してしまうことがある。怒りや憎悪に容易に変化するから偽善的なのだ。"for the world is ~ "「なぜなら、この世界は性悪(しょうわる)であり、罪なき者が受けるに値する愛や保護を提供出来ないからだ」。あなたは他者に対して、思いやりやいたわり、哀れみや慰めを与えてやり、それをもって自分は罪なき善人だと思い込んでいる。だから、世界はそんな自分に対して、見返りとして、愛や保護を提供してくれるはずだと期待しているのだ。しかし、世界は非情で性悪なので、あなたの期待する見返りは決して与えてくれない。そこであなたは、世界のもつ不条理に対して怒りを覚えるのである。



And so this face is often wet with tears at the injustices the world accords to those who would be generous and good. 

  • wet with tears : 「目が潤む」
  • injustice [indʒʌ́stis] : 「不公平、不正、不当な処置」
  • accord [əkɔ́ːrd] : 「与える、認める、許容する」
  • generous [dʒénərəs] : 「寛大な、寛容な」

❖ "And so this face is ~ "「そこで、(偽善的側面の)この顔は、往々にして、世界が、寛大で良き者達に向かって与える不公正に対して、涙するのだ」。こんなに善行を積んでいるのに、世界は自分に幸せを約束するどころか、苦と痛みしか与えてくれない、と言って、悔し涙にくれるというわけだ。なんと世界は不公正であり不条理に満ちているのか、と、非情な世界を罵倒するのである。



This aspect never makes the first attack. But every day a hundred little things make small assaults upon its innocence, provoking it to irritation, and at last to open insult and abuse.

  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • assault [əsɔ́ːlt] : 「攻撃、暴行」
  • make an assault on : 「〜を急襲する、〜に猛攻撃をかける」
  • provoke [prəvóuk] : 「〜を引き起こす、招く、起こさせる、誘発する」
  • irritation [ìrətéiʃən] : 「焦燥、苛立ち、立腹」
  • at last : 「最後に、ついに、とうとう」
  • insult [ínsʌlt] : 「侮辱的言動、侮辱、無礼な言動」
  • abuse [əbjúːz] : 「虐待、酷使、嫌がらせ」

❖ "This aspect ~ "「この側面は、決して第一攻撃を仕掛けない」。自己の偽善的側面は、自分から先制攻撃を仕掛けることはない。自己防衛に徹するというわけである。彼が悪いから彼を憎むのであり、彼女が奪ったから彼女から奪うのである。他者が裏切ったから他者を攻撃するのであって、悪いのは自分ではなく他者である。決して、こちらから攻撃を仕掛けることはないのだが、"But every day ~ "「しかし、毎日、その(自己概念のもつ偽善的)潔癖さに対して多くの小さな攻撃が仕掛けられる」。あなたが信じている自分の潔癖さ、善良さに対して、日常的な小さな攻撃が数多く仕掛けられる。小さな裏切りが多発するのだ。"provoking it to ~ "「苛立ちを引き起こし、ついには、あからさまな侮辱や嫌がらせを惹起させるのである」。あなたの偽善的側面は、小さな日常的攻撃に晒され、怒りや苛立ちが引き起こされて、ついには憎悪へと変化する。こうして、あなたは、いたたまれずに攻撃する側へと回ることになる。



4. The face of innocence the concept of the self so proudly wears can tolerate attack in self-defense, for is it not a well-known fact the world deals harshly with defenseless innocence? 

  • concept [kάnsept] : 「概念、観念」
  • proudly [práudli] : 「誇らしげに、自慢げに、得意になって」
  • wear [wέər] : 「身に着けている、〜を表している」
  • tolerate [tάlərèit] : 「〜を大目に見る、我慢する、耐える」
  • self-defense : 「自衛、自己防衛、護身、正当防衛」
  • well-known : 「よく知られている、なじみ深い、周知の、既知の」
  • fact [fǽkt] : 「事実、真相、現実、実際」
  • deal [díːl] with : 「〜を扱う、〜を取り扱う、〜に対応する」
  • harshly [hάːrʃli] : 「厳しく、厳正に、苛酷に、荒々しく」
  • defenseless [difénslis] : 「無防備の、防御手段がない」

❖ "The face of innocence ~ "「自己概念が誇らしげに装っている潔癖さという顔は、自己防衛としての攻撃を大目に見る」。自己の偽善的な側面は、暴力を強く否定はするが、他者からの攻撃に対する自己防衛は容認する。"for is it not ~ "「というのも、この世界が防衛能力をもたない潔癖な者に対して過酷な扱いをするということは、よく知られた事実ではないだろうか」。この不条理な世界は、潔白な者を守ってはくれないので、他者の攻撃に対して自分で自分を守らなくてはならない。したがって、偽善的な側面は、暴力を否定していながら、自己防衛のための攻撃、暴力は肯定するのである。



No one who makes a picture of himself omits this face, for he has need of it. The other side he does not want to see. 

  • omit [oumít] : 「除く、除外する」

❖ "No one who makes ~ "「自分自身の姿を描く者達は誰も、この顔を除外することはない」。エゴの思考システムにしたがって自己概念を描く者達は、暴力を否定しながら、自己防衛という暴力は肯定するという側面(顔)を自己概念から除外することはない。"for he has ~ "「なぜなら、それが必要だからだ」。過酷なこの世界で生きていくには、自己を守るための暴力は必要なのだと信じている。"The other side ~ "「他の側面は、彼は見ようともしない」。"the other side"「他の側面」とは、非情に難しいのだが、イエス・キリストが示した暴力に対する究極の対処の仕方であると考えていいだろう。イエスは単なる攻撃も、そして自己を防衛する暴力さえも否定した。右の頬を打たれたら、左の頬を差し出せ、とさえ言った。この難解な対処法の真の意味に目を向ける者はいない。



Yet it is here the learning of the world has set its sights, for it is here the world's "reality" is set, to see to it the idol lasts.

  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • sight [sáit] : 「照準器、視野、視界」
  • set one's sights : 「狙いを定める、照準を合わせる」
  • reality [riǽləti] : 「現実性、実在性」
  • see to it : 「取り計らう、面倒を見る、引き受ける」
  • idol [áidl] : 「偶像、虚像、幻想」
  • last [lǽst] : 「続く、存続する、持続する」

❖ "Yet it is here ~ "「しかし、この世界が狙いを定める学びがここにある」。"for it is here ~ "「なぜなら、偶像が永続するように取り計らうために、この世界の『現実』がセットされるのはここだからだ」。非常に難解な箇所ではあるが、同時に非常に重要な箇所でもある。"to see to it the idol lasts"「偶像が永続するように取り計らうため」とは、偶像のエゴがいつまでも存続出来るように取り計らうため、ということ。簡単に言えば、幻想が消滅させられることなく永続出来るように取り計らうため、ということ。目に見える過酷で非情な不条理の世界こそが現実であり、実在であり、錯覚などではないと、世界(エゴ)は人々に学ばせているのだ。世界(エゴ)が狙いを定めた学びの目的とは、世界の幻想性を隠し通すことなのである。目に見える世界は現実であり、肉体も現実の実在であり、攻撃も反撃も現実だと教え込み、身をもって体験させ、世界や肉体の幻想性に目を向けることを阻止しようとしているのだ。
しかし、2000年前、イエスただ一人が、世界や肉体、この現象界の幻想性を暴いたのである。イエスは、右の頬を叩かれた肉体は幻想であり、その暴力もまた幻想であると知ったのである。ならば、左の頬を差し出すことは、その幻想に巻き込まれない最善の方法ではないか。自己防衛は、幻想を助長するだけのことでしかないと知っていたのである。イエスは幻想を幻想として認識し、受け入れ受け流して赦し、幻想を消滅させた。イエスの心は幻想の肉体から解放されたのだ。頬を叩かれた肉体は、イエスの心が抜け果てたワラ人形に過ぎず、イエスの心は痛みさえ感じることはない。痛みを感じるのは幻想の肉体であって、それはイエスにとっては消滅してしまった肉体なのだ。
蛇足になるが、イエスの磔刑を少し考察しよう。同じラインで考えればいい。イエスは磔刑という悲劇的現実を受け入れたのではない。磔刑という幻想性を受け入れ、赦しただけなのだ。十字架上のイエスの肉体は、心が抜け果てたワラ人形であり、イエスの心(スピリット)は、もうそこにはいない。なるほど、現象としては、磔刑上のイエスの肉体は血を流し、痛みに身もだえしたであろうが、それもまた夢であり、イエスの心(スピリット)は痛みさえ感じない。
イエスの罪状はローマ軍への反乱罪であり、ローマ軍の刑法に従って磔刑となったのが、鏨(たがね)のような太い釘を、腕の橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃこつ)の間、そして両足の踝(くるぶし)の下に、非情にも打ち付けられた。何とも残虐な光景であり、キリスト教者は、その悲劇性に心を揺さぶられるのである。福音書を書いたヨハネでさえ、その悲劇性に感動して、磔刑上のイエスに「わが神、わが神、どうして私を見捨てられたのですか」と言わしめている。しかし、これは、ヨハネの完璧な創作である。なぜなら、ヨハネが福音書を書いたのは、イエスの死後100年前後の頃であり、よしんばヨハネが、誰かがイエスの最期の言葉を耳にしたと伝え聞いたとしても、一体誰が、ゴルゴダの丘の上のローマ兵で囲まれた磔刑上、数メートルにも及ぶ十字架上でかすかにつぶやく瀕死のイエスの最期の言葉を聞き取れたであろうか。ヨハネは、イエスが肉体として処刑されたと判断し、その悲劇性に感動して、キリスト物語を創作したのである。イエスの心(スピリット)が、イエスの肉体を抜け出し、肉体を消滅させたなどと、よもやヨハネは思わなかったのだ。
イエスの復活もまた、多くのキリスト教者の誤解がまとわりつく出来事である。イエスの肉体が血と肉を伴って復活したのではない。肉体など、イエスにとってはどうでもよいものだった。なぜなら肉体は幻想に過ぎないからだ、古い革袋そのものだからだ。イエスは、心(スピリット)として復活したのであり、幻想の肉体を超越したのだ。その真実、事実を理解出来ない同胞のために、イエスはわざわざ想念を現実化して、あたかも再び肉体をまとったかのように復活して見せただけである。イエスの復活に意味などない。イエスは心(スピリット)に回帰しただけなのだ。それが重要なのである。そして、このACIMは、イエスのような肉体的悲劇を伴わずして、すべての同胞が心(スピリット)に回帰出来ることを保証する。その導きを提示しているのである。
 
 
 


T-31.V.1:1 ~ V-31.V.2:9


V. Self-Concept versus Self
本当の自己と、それに対する自己概念

 
 
1. The learning of the world is built upon a concept of the self adjusted to the world's reality. It fits it well. 

  • built [bílt] : 「buildの過去形」
  • concept [kάnsept] : 「概念、観念、考え」
  • adjust [ədʒʌ́st] : 「適合させる、順応させる」
  • reality [riǽləti] : 「現実性、実在性、実在」
  • fit [fít] : 「合う、適合する、一致する」

❖ "The learning of ~ "「この世界の学びは、世界の現実性に適応させられた自己の概念の上に構築される」。"It fits it ~ "「学びは、自己概念によく合うのだ」。この幻想世界の現実、それは幻想に過ぎないのだが、その現実に適応するように自分を形作っていく課程が、この世界での学びになっている。自己概念も、それを形成する学びも、この幻想世界の現実に適合するようになされるのだ。その結果、自己概念と学びと幻想世界の現実は、奇妙なほどよくマッチするのである。



For this an image is that suits a world of shadows and illusions. Here it walks at home, where what it sees is one with it. 

  • image [ímidʒ] : 「イメージ、画像、像、映像」
  • suit [súːt] : 「合う、適合する」
  • shadow [ʃǽdou] : 「影」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • at home : 「くつろいで、気楽に」

❖ "For this an image ~ "「これによって、影と幻想のこの世界にピッタリ合うイメージが形成される」。ここの"image"とは、肉体的な感覚器官が捉えた目に見える現象、あるいは、理性的な頭脳が捉えた心象という意味であろう。簡単に言えば、見たり感じたり考えたりすることすべてが、幻想世界の現実にピッタリ合う、ということ。違和感を感じさせないのだ。違和感を抱かないように処世術を学び、自己概念を形成してくのである。したがって、"Here it walks ~ "「ここでは、イメージは居心地よく進行していく」。"where what it ~ "「イメージと世界とが一体であると見ているからだ」。目に見え感じたままが世界の現実だと思い、それに適合した自分もまた現実そのものだと信じているからだ。ひょっとしたら、この世界は嘘の世界であり、それに適合した自分も嘘の自分であるかも知れないと、誰も考えることはない。幻想の世界に幻想の自分を泳がせ、それ以外の可能性を思い浮かべることはないのである。



The building of a concept of the self is what the learning of the world is for. 

  • build [bíld] : 「築く、作り上げる、建てる、組み立てる」

❖ "The building of ~ "「自己の概念を形成していくことは、世界についての学びが何のためにあるかということに等しい」。世界について学んでいくことは、その世界に適合するように自己を形成していくことに等しい。虚偽の幻想に慣れる処世術を学ぶことが、自己を形成していくことなのだ。つまり、虚偽の自己概念を形成することこそ、この世界の学びの目的なのである。



This is its purpose; that you come without a self, and make one as you go along. 

  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • go along : 「進行する、進む」

❖ "This is its ~ "「これが、学びの目的である」。"that you come ~ "「つまり、あなたは(本当の)自己を持たないようになること、」"and make one ~ "「そして、長ずるにしたがい、(本当の自己をもたない)自分を作っていくことなのである」。幻想世界の幻想にピッタリ適合した幻想の自分を形成してくことが、あなたの生きている目的になっている。実相的な真実の自分に気付かないような、つまり、夢から覚めないような生き方をしているのである。



And by the time you reach "maturity" you have perfected it, to meet the world on equal terms, at one with its demands.

  • by the time : 「〜する時までに」
  • reach [ríːtʃ] : 「達する、至る、着く、到着する」
  • maturity [mətʃúərəti] : 「成熟、成熟ぶり、完成、十分な成長」
  • perfect [pərfékt] : 「完全なものにする、仕上げる、完成させる」
  • meet [míːt] : 「合う、満足させる、かなえる、満たす」
  • on equal terms : 「対等に、同じ条件で、同等に」
  • at one with : 「〜と一体になって」
  • demand [dimǽnd] : 「求めるもの、要求」

❖ "And by the time ~ "「そして、あなたが『成熟期』に到達するまでには、あなたはそれを完成させる」。あなたが大人になる頃には、あなたは幻想世界に適合した嘘の自分を完成させてしまうのだ。"to meet the world ~ "「世界に対して同等になるように自分を合わせ、世界の要求と一体になるのである」。あなたは、幻想世界と同化し、あなた自身が幻想世界そのものと化してしまう。幻想世界の要求はあなたの欲望そのものとなる。



2. A concept of the self is made by you. It bears no likeness to yourself at all. 

  • bear [bέər] : 「〜を身につける、持つ、有する」
  • likeness [láiknis] : 「似ていること、類似」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」

❖ "A concept of ~ "「自己の概念はあなたによって作られる」。あなたが世界に合わせて自分自身を形成する。"It bears no likeness ~ "「それは、本当のあなた自身とまったく似ても似つかない」。実相的な本当のあなた自身とは、あなたが神によって創造された神の子であるということ。幻想世界で生きるあなたは、神の子である本当のあなた自身と似ても似つかない。それに気付くこともない。



It is an idol, made to take the place of your reality as Son of God. 

  • idol [áidl] : 「偶像、崇拝の対象、虚像、幻想」
  • take the place of : 「〜の代わりをする、〜に取って代わる」

❖ "It is an idol ~ "「(あなたが形成した)自己概念は、偶像であり、」"made to take ~ "「神の子としてのあなたの実存に置き換えて作られたものなのだ」。この世界で生きるあなたは偽りのあなたであって、いわば着ぐるみを着た偶像である。偶像の親玉はエゴであるから、あなたは、エゴに迎合するように自分を作りかえた偶像である。



The concept of the self the world would teach is not the thing that it appears to be. 

  • teach [tíːtʃ] : 「〜を教える、指導する」
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる」

❖ "The concept of ~ "意訳する、「この世界が教える自己概念は、それらしく見えるものとは異なる」。この世界が教えるあなたの自己概念とは、言い換えれば、エゴがあなたに教えるあなた自身のことであって、エゴの思考システムに毒されたあなたは表面的な見掛け通りの姿ではない。非常に複雑で巧妙な自己を形成する。この世界は二元論世界であって、すべての概念は二つの対立概念に二分化され、その二つの力のせめぎ合いによってダイナミックに変化流動する。あなた自身の自己概念も例外ではなく、例えば、あなたの自己概念は善と悪の二極に分離し、右に左に変化流動するのである。美と醜の間を行き来し、生への憧れと死への憧れが交錯し続ける。愛と憎悪を合わせ持つ自分を見ることになる。「それらしく見える」善良なあなたは、実は、悪意を隠し持ったくせ者かもしれない。



For it is made to serve two purposes, but one of which the mind can recognize. 

  • serve [sə́ːrv] : 「〜に仕える、〜に役立つ」
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、認める、受け入れる」

❖ "For it is made ~ "「なぜなら、自己概念は、二つの目的に仕えるように作られるからだ」。二極化した価値観の両者に都合よく振る舞うように自己を形成するのである。"but one of which ~ "「しかしその一方だけを、心は受け入れることが出来る」。心は実相世界の存在であり、一元論世界の価値観をもつ。二極化しないのだ。したがって、心は、善は受け入れるが悪は受け入れることはない。美は存在するが、心にとって醜は存在しない。心には、愛という概念はあるが、憎悪という概念はない。心は生を生きるが、死することはない。



The first presents the face of innocence, the aspect acted on. It is this face that smiles and charms and even seems to love. 

  • present [préznt] : 「示す、提示する、伝える、述べる」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔」
  • aspect [ǽspekt] : 「様子、外見、顔つき、姿、表情、局面、状況、側面」
  • act on : 「〜に従って行動する」
  • smile [smáil] : 「ほほ笑む、微笑する」
  • charm [tʃάːrm] : 「魅力的である」

❖ "The first presents ~ "「第一の自己は、無邪気な顔を表し、行動によって示すという側面をもつ」。エゴの思考システムによって二分化されたあなたの自己のうち、例えば人を愛すという側面は、見るからに無邪気で温厚な表情を見せ、それを行動で表す。"It is this face ~ "「微笑みかけ、魅力的で、愛しているかにさえ見える顔は、この第一の自己である」。表面的にはそう見えるが、その奥には憎悪という感情が隠されている。つまり、あなたがエゴの思考システムに従って自己を形成している限り、あなたがどんなに善を実行しようとも、その影には常に悪が潜んでおり、あなたは『偽善』というワナから逃れることは出来ないのだ。



It searches for companions and it looks, at times with pity, on the suffering, and sometimes offers solace. It believes that it is good within an evil world.

  • search [sə́ːrtʃ] : 「探る、うかがう、探す」
  • companion [kəmpǽnjən] : 「仲間、友、連れ」
  • at times : 「時々、折々、時たま、時には」
  • pity [píti] : 「哀れみ、かわいそうなこと、同情」
  • suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しみ、苦痛、悩み」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • solace [sάləs] : 「慰め、安堵、癒やし」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側で」
  • evil [íːvəl] : 「不道徳な、よこしまな、邪悪な、悪意ある」

❖ "It searches for ~ "「第一の自己は、愛する対象(連れ)を求め、」"and it looks ~ "「時には哀れみをもって、苦しむ者に目を向け、」"and sometimes ~ "「時には慰めを差し出す」。まさに、偽善を堂々と提示するのだ。"It believes that ~ "「第一の自己は、この邪悪な世界にあっては、慰めは良いことだと信じているのである」。この苦と痛みの世界にあっては、他者を非情に扱うよりは、同情をもって接した方がずっと良いと信じている。もちろん、これは誤った信念ではない。しかし、実相的な真実に照らし合わせてみると、偽善であることは明白である。なぜなら、悪より善を成した方が価値があるだろうと、二極化した二つの概念を理性で判断しているからだ。したがって、あなたが同情をもって接した他者が、たとえばあなたを裏切るようなことをしでかせば、あなたの同情は簡単に憎しみに変わってしまうのである。あなたは、その時々の判断によって善と悪を選んでいるだけであって、真実の善を求めているわけではない。エゴに支配された心ではあるが、本当の真善美を求める心の一部が失われたわけではないので、その心の一部を、あたかもなだめるかのように、エゴの思考システムは、あなたに善悪の判断を許し、あなたに偽善を行う自由を与えている、というわけである。エゴがいかに頭の良い、巧妙な策士であるかが理解出来よう。
 
 
 



T-31.IV.10:1 ~ T-31.IV.11:7


10. He has not left His Thoughts! He could no more depart from them than they could keep Him out. 

  • left [léft] : 「leaveの過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「放置する、〜を残す、置きっぱなしにする」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、考え、見解」
  • no more A than B : 「AでないのはBでないのと同じ」
  • depart [dipάːrt] from : 「〜から離れる」
  • keep out : 「締め出す、入らせない」

❖ "He has not left ~ "「神は、その思いを置き去りになどしなかった」。ここの「神の思い」とは、神の子に対する神の「愛」だと解釈していい。神はあなたへの愛を放棄することはなかったのだ。"He could no more ~ "「思いが神を締め出したり出来ないように、神もまた、思いから離れることは出来ないのだ」。神は愛と一体であり、愛が神を締め出したり出来ないように、神もまた愛を放棄することなど出来ない。神は、あらゆる真実の想念の総体であり、愛そのものだからである。



In unity with Him do they abide, and in Their Oneness Both are kept complete. 

  • in unity [júːnəti] with : 「〜と仲良く」
  • abide [əbáid] : 「とどまる、居住する」
  • oneness [wʌ́nnis] : 「単一性、唯一性、同一性、同じであること」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
  • kept [képt] : 「keepの過去・過去分詞形」
  • keep [kíːp] : 〜の状態にしておく、〜の状態を保つ] 
  • complete [kəmplíːt] : 「全部そろった、完全な、全部の、完結した」

❖ "In unity with ~ "「思いは、神と共に仲良く暮らす」。愛は神と共に喜びの内に存在する。"and in Their Oneness ~ "「神と思いの一体性の中にこそ、完全性が保たれるのだ」。愛のない神も、神のない愛も存在出来ない。神と愛は一体であり、その一体性の中に神の完成がある。その神の愛は神の子へ向けられているのであり、言い換えれば、神と神の子の一体性の中にこそ、神の完成はある。神と神の子とホーリー・スピリットの三位(さんみ)の一体が、神の完成なのだ。神の完成は、したがって、神の子の完成でもあり、あなたは神と一体になることで自己完成する。それこそが、あなたの最終目的である。



There is no road that leads away from Him. A journey from yourself does not exist. 

  • road [róud] : 「道、主要道路、道路」
  • lead [líːd] : 「連れて行く、案内する」
  • away from : 「〜から離れて」
  • journey [dʒə́ːrni] : 「旅、旅行」
  • exist [iɡzíst] : 「存在する、生きている、生存する、存続する」

❖ "There is no road ~ "「神から遠ざかる道など存在しない」。存在するように見えたなら、その道は幻想である。真実の道は神に通ずる道なのだ。本当の道は、神と神の子の一体性への道であるから、神への道は、言い換えれば、神の子自身への道である。したがって、"A journey from ~ "「あなた自身から遠ざかる道もまた、存在しない」。神を求める道はあなた自身を求める道であり、あなた自身を探す道は、神を見出す道なのだ。



How foolish and insane it is to think that there could be a road with such an aim! Where could it go? 

  • foolish [fúːliʃ] : 「愚かな、分別のない、滑稽な、ばかげた」
  • insane [inséin] : 「常軌を逸した、正気とは思えない、ばかげた、愚かな」
  • aim [éim] : 「目標、目的」

❖ "How foolish and insane ~ "「神やあなた自身から遠ざかる目的を持っている道が存在可能であるように思うことは、なんと愚かで馬鹿げたことか」。"Where could ~ "「そんな道は、いったいどこに行き着くのだろうか」。幻想の道が実相的な真実に繋がる道理はない。どこにも行き着けない道が、この世の幻想の道なのだ。



And how could you be made to travel on it, walking there without your own reality at one with you?

  • travel [trǽvəl] : 「旅する、旅行する」
  • reality [riǽləti] : 「現実性、現実のこと、実在」
  • at one with : 「〜と一体になって」

❖ "And how could you ~ "「そんな目的をもって、どうやって、あなたに旅をさせられ得ようか」。つまり、この幻想世界で神やあなた自身から遠ざかる目的をもつような旅などしていても、あなたは真実の旅をしているとは言えない。"walking there ~ "「それは、あなたの実在性と一体になることなく歩き回っているに過ぎないのだ」。"your own reality"「あなた自身の実在性」とは、あなた自身の本当の姿、あなたの実存、あなたの実相、神の子としての真実の存在、等々のこと。この幻想世界にあって、あなたが、自分自身の本当の姿、神の子である自分自身に気付かずに生きているなら、あなたは本当の旅をしているとは言えない。闇の世を彷徨(さまよ)っているに過ぎないのだ。



11. Forgive yourself your madness, and forget all senseless journeys and all goal-less aims. 

  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • madness [mǽdnis] : 「狂気、熱狂、熱中」
  • forget [fərɡét] : 「〜を忘れる、〜を思い出せない」
  • senseless [sénslis] : 「無分別な、非常識な、愚かな、無意味な」
  • goal-less : 「目標のない」

❖ "Forgive yourself ~ "「あなた自身の狂気を赦し、意味のない旅のすべて、行き着く先のない無目的性のすべてを忘れなさい」。真実に近づくことなく、闇の世を彷徨い続けることは、幻想であり夢の中の出来事なのだと見抜いて受け入れ、赦してしまいなさい。幻想の旅を本物だと勘違いしているあなたの愚かな狂気もまた幻想なのだと見抜いて受け入れ、赦してしまいなさい。あなたは生きていると主張するが、夢を見ているだけなのだ。その無目的な夢のすべてを赦しなさい。幻想と見抜いて赦し、幻想を消滅させなさい。



They have no meaning. You can not escape from what you are. For God is merciful, and did not let His Son abandon Him. 

  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • escape [iskéip] : 「逃げる、ずらかる、脱出する」
  • merciful [mə́ːrsifəl] : 「慈悲深い、情け深い、情けのある、寛大な」
  • abandon [əbǽndən] : 「捨てる、遺棄する、見捨てる、捨て去る」

❖ "They have ~ "「無目的な旅は、意味がないのだ」。"You can not escape ~ "「あなたは、本当のあなた自身から逃れることは出来ない」。夢を見ているあなたではあるが、神の子としての本当のあなた自身から遠ざかることは不可能だ。"For God is merciful ~ "「なぜなら、神は慈悲深く、神の子に自分自身を捨てようなことはさせないからだ」。神は、あなたから神の子の資格を剥奪するようなことはしない。どんなあなたであっても、あなたは、神に愛される神の子であり、神はあなたを見捨てることはない。神の慈悲とは、永遠不変に神の子を愛するその愛のことである。



For what He is be thankful, for in that is your escape from madness and from death. 

  • thankful [θǽŋkfəl] : 「感謝している、ありがたく思う」
  • escape : 「逃亡、脱出、避難、逃避、回避」
  • death [déθ] : 「死、死亡、破滅、消滅」

❖ "For what He is ~ "「なぜなら、本当の神の姿こそ、感謝すべきものであり、」神の子を永遠に愛す神の慈悲こそ感謝すべきことであり、"for in that is your ~ "「その神の姿の中でこそ、あなたは狂気と死から逃れられるのだから」。神の子を永遠に愛す神の慈悲を知るとき、あなたは狂気と死という幻想から逃れられるのだ。覚醒出来るのである。そのとき、神への不変の感謝が生まれる。



Nowhere but where He is can you be found. There is no path that does not lead to Him.

  • nowhere [nóuhwὲər] : 「どこにも〜ない」
  • found [fáund] : 「findの過去・過去分詞形」
  • find [fáind] : 「見つける、探し出す、発見する、見いだす」
  • path [pǽθ] : 「小道、細道、道筋、方向、生き方」

❖ "Nowhere but where ~ "「神が存在するところ以外に、あなたは自分自身を見つけることは出来ない」。神とあなたは一体なのだ。神のいない場所にあなたはいない。"There is no path ~ "「神へ通じることのない道など存在しない」。実相的な真実の道はすべて神へ通じる。あなたが本当の自分を探したいのであれば、その道は必ず神へ通じる道なのだ。あなたはその道を歩むベきであって、闇の世を彷徨う狂気を打ち切りにしなくてはならない。この世の成功への道に色目を使うようではいけないのだ。
 
 
 


T-31.IV.8:1 ~ T-31.IV.9:6


8. There is a choice that you have power to make when you have seen the real alternatives. 

  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • alternative [ɔːltə́ːrnətiv] : 「代替手段、取って代わるもの、選択肢」

❖ "There is a choice ~ "意訳する、「あなたが実相的な選択肢を見つけたとき、そこあってこそ、あなたは選択のパワーを発揮出来るのだ」。幻想世界であれこれ偽りの選択をして、失敗と失望を重ねているあなたではあるが、ひとたび、偽りに代えて真実の実相を選択しようと思い立ったなら、あなたは、その本当の選択を、勇気というパワーをもって実行出来るのだ。



Until that point is reached you have no choice, and you can but decide how you would choose the better to deceive yourself again. 

  • until [əntíl] : 「〜する時まで、〜になってやっと」
  • point [pɔ́int] : 「時点、瞬間、場所、位置」
  • reach [ríːtʃ] : 「達する、至る、着く、到着する」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • decide [disáid] : 「〜しようと決心する、〜することに決める」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • better [bétər] : 「より良い、より望ましい」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」

❖ "Until that point is reached ~ "「そういうポイントに達するまでは、あなたはどんな選択も出来ない」。真実に目覚めるまでは、実相的な真実の選択は出来ない。"and you can but ~ "「ただただ、いかにしてより良くあなた自身を騙せる選択が出来るかと、再び決定を繰り返すだけである」。この幻想世界で、いかに偽りの幸せを掴むか、それだけに躍起となって、自分自身を騙し続けるのである。高い地位を得て人を支配し優位に立つか、金の力で人を支配するか、愛欲をもってパートナーを隷属させるか、いかに名声を博して人の上に立つか、等々の、人生の目的選択は偽りであって、実相的な本当の選択ではない。だから、自己欺瞞なのだ。



This course attempts to teach no more than that the power of decision cannot lie in choosing different forms of what is still the same illusion and the same mistake. 

  • attempt [ətémpt] : 「〜しようと努力する、〜を試してみる、〜を企てる」
  • no more than : 「ただの〜にすぎない、たかが〜」
  • decision [disíʒən] : 「決定、決断、決心」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • mistake [mistéik] : 「ミス、誤り、過ち」

❖ "This course attempts ~ "「このACIMは、that以下に書かれてあること以上を教えるものではない」。"that the power of ~ "「決定するパワーとは、同じ幻想、同じ過ちの、異なった形の中から選択することにあるのではない」ということ以上を教えるものではない。本当のパワーのある実相的な選択とは、この幻想世界にあっていろいろな形をとって現れる偽りの選択肢の中から選び取る作業のことではない。そうではなく、幻想世界の選択肢をすべて捨てて、実相の真実を選び取る選択こそ、パワーある真実の選択なのだ。



All choices in the world depend on this; you choose between your brother and yourself, and you will gain as much as he will lose, and what you lose is what is given him. 

  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • depend [dipénd] on : 「〜に頼る、〜を当てにする」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBとの間に」
  • gain [géin] : 「得る、獲得する」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」

❖ "All choices in the world ~ "「この世界におけるあらゆる選択は、次に述べることに依存している」。"you choose between ~ "「あなたは、あなた自身と同胞との間で選択しているだけあり、」"and you will gain ~ "「同胞が失った分だけ、あなたは得られるだろうし、」"and what you lose ~ "「あなたが失ったものが、同胞に与えられる」ということなのだ。これが、この世界における、あなたの選択の姿である。他者の地位を奪ってあなたが高い地位を勝ち取るとか、他者の隙をついていかに他者の金を自分の懐に入れるか、いかに人より高級な家に住み、いかに人より高級な服を着、いかに人より高級な仕事に就くか、等々、この世界の選択とは、エゴの思考システムが教える通り、得るためには奪え、攻撃される前に攻撃せよ、欲なくして出世なし、なのである。二元論の世界では、相反する二つの力のせめぎ合いである。愛すらも奪うか奪われるかの駆け引きに使われ、支配するか支配されるか、まったく単純な弱肉強食の世界になってしまうのである。



How utterly opposed to truth is this, when all the lesson's purpose is to teach that what your brother loses you have lost, and what he gains is what is given you.

  • utterly [ʌ́tərli] : 「全く、完全に、徹底的に、すっかり」
  • be opposed [əpóuzd] to : 「〜に反対している、〜に向かい合っている」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • teach [tíːtʃ] : 「〜を教える、指導する」
  • lost [lɔ́st] : 「loseの過去・過去分詞形」

❖ "How utterly opposed ~ "「〜したとき、どんなに、こんなことは真実に反することか」。"when all the lesson's ~ "「同胞が失ったものをあなたも失い、同胞が得たものがあなたが得るものだと教えることが、このレッスンの目的のすべてだとわかったとき、」得るためには奪え、攻撃される前に攻撃せよなどというエゴの思考システムの教えは真実に反するということが理解出来よう。実相世界の神の法則は「与えることは得ること」である。得るために与えよ。そして、与えても減らず、増えていくだけなのだ。愛を与え愛を得、喜びを与え喜びを得る、実相世界の分かち合いの法則は、この世の物理法則を超越する。



9. He has not left His Thoughts! But you forgot His Presence and remembered not His Love. 

  • left [léft] : 「leaveの過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、考え、思いやり」
  • forgot [fərɡάt] : 「forgetの過去・過去分詞形」
  • forget [fərɡét] : 「〜を忘れる、〜を思い出せない」
  • presence [prézns] : 「存在すること、存在」
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」

❖ "He has not left ~ "「神は、その思いを置き去りにはしなかった」。神は、神の子に対する愛や思いやりを忘れることはなかった。"But you forgot ~ "「しかし、あなたは、神の存在を忘れ、神の愛を思いだすこともなかった」。神があなたを楽園から追放したのではない。神の子であるあなたが神から分離し、神から遠く離れ、神の存在を忘れ、神の愛を忘れ、この幻想世界の孤独を選んだのだ。



No pathway in the world can lead to Him, nor any worldly goal be one with His. 

  • pathway [pǽθwei] : 「小道、歩道、通路、経路、進路」
  • lead to : 「〜に通じる、〜に繋がる」
  • worldly [wə́ːrldli] : 「この世の、現世の」
  • goal [ɡóul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
  • one with : 「〜と一体である、〜と共にある」

❖ "No pathway in ~ "「この世界のどんな道を辿っても、神に行き着くことは出来ないし」、"nor any worldly ~ "「この世界のどんな目的も、神の目的と一致はしない」。幻想世界の偽りの道を辿っても、決して実相世界の神に近づくことは出来ない。どんなに多くの餅の絵を描こうとも、それが本物の餅に変身することはないのだ。悲しいかな、夢を見ているうちは、100万回聖書を読んだとしても、決して神に近づくことは出来ない。神の目的は、神の子を夢から目覚めさせることであって、この夢の世界に留まっている限り、あなたの目的は達成されることはない。あなたの目的は夢の目的に過ぎないのだから。



What road in all the world will lead within, when every road was made to separate the journey from the purpose it must have unless it be but futile wandering? 

  • road [róud] : 「道、主要道路、道路」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
  • separate [sépərèit] : 「す、分ける、バラバラにする、隔てる」
  • journey [dʒə́ːrni] : 「旅、旅行」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • futile [fjúːtl] : 「役に立たない、効果のない、無益な、無駄な、くだらない、つまらない」
  • wandering [wάndəriŋ] : 「放浪、さすらい」

❖ "What road in all the world ~ "「この全世界の中のどんな道が、心の内側に導いてくれるだろうか」。"when every road ~ "「徒労に終わるさすらいではない限り、旅が持つべき目的からその旅を分離するためにあらゆる(この世の)道が作られているというのに、」この全世界の中のどんな道が、心の内側に導いてくれるだろうか。金儲けを目的としたこの世の旅も、支配や権力を目的とした旅も、徒労に終わる旅である。実相的な真実に目覚めるという目的をもった旅ではないからだ。むしろ、金儲けや支配欲や権力欲に駆られた旅は、真実の目的からその旅を分離し遠ざける旅でしかない。そんな旅路が、心の内奥の真実に導いてくれるはずはない。



All roads that lead away from what you are will lead you to confusion and despair. 

  • away from : 「〜から離れて」
  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱、当惑、混乱状態、無秩序」
  • despair [dispέər] : 「絶望、失望、落胆」

❖ "All roads that lead ~ "「本当のあなた自身から遠ざかる道はすべて、あなたを、混乱や絶望へと導くだろう」。心の内奥の実相的な自分自身に繋がらない道を歩んでいけば、幻想の霧の中に彷徨(さまよ)うこととなり、苦と痛みと恐れと、混乱、絶望の旅となる。



Yet has He never left His Thoughts to die, without their Source forever in themselves.

  • die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起源」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」

❖ "Yet has He never left ~ "「しかし、神は、神の思いを、その思いの根源を思い自体の中に永遠に残すことなく、滅びるままに放置したことなどないのだ」。非常に難解な文章である。"His Thoughts"「神の思い」とは、神の想念そのもののことだ。実相世界は想念の世界であり、あらゆる想念の総体が神である。神はすべてを包括する存在だからだ(all-encompassing)。神は、その想念を滅びるままにさせたことなどない、と言っている。神の想念は、永遠不変に存在し続けるということだ。"their Source"「その想念の源」とは、想念の根本に存在する最も重要な思いのことであって、神の子に対する神の愛という想念だと解釈していいだろう。よって、神の想念の中の最も根源にある神の子に対する永遠に愛を失って、思いを滅ぼすようなことなどを神はしなかった、という意味合いになる。簡単に言えば、神は神の子を永遠に愛し続けている、ということである。だから、あなたは、あなた自身の心の内奥への真実の旅を選択し、そこへの旅を続け、神の愛に回帰しなさい、ということになる。
 
 
 


T-31.IV.6:1 ~ T-31.IV.7:7

6. The learning that the world can offer but one choice, no matter what its form may be, is the beginning of acceptance that there is a real alternative instead. 

  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • no matter what : 「たとえどんな〜であろう」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見」
  • beginning [biɡíniŋ] : 「初め、開始、始まり、発端、起源」
  • acceptance [ækséptəns] : 「受け入れること、承諾、承認、受諾」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • alternative [ɔːltə́ːrnətiv] : 「別の可能性、取って代わるもの、代替手段、選択肢」
  • instead [instéd] : 「代わりに、それよりむしろ、そうしないで」

❖ "The learning that ~ "「この世界は、たった一つの選択しか提供出来ないのだと知ることは、」"no matter what ~ "「それがどんな形をとるにしても、」"is the beginning of ~ "「それに代わる選択肢があるのだと受け入れ始めたことなのだ」。あなたは、この世の苦や痛みに対する解決法として、有り余る金を手に入れたいとか、高い地位に就きたいとか、権力を握って他者を支配したいとか、肉欲や食欲に身を委ねる快楽に溺れたいとか、様々な形の選択を弄ぶかもしれないが、それらは形こそ異なれ、すべては幻想であって、絶望と崩壊と死に向かう選択なのだ。結局、この世界での解決法の選択は、結果的にただ一つしかないと知るのである(この世界はたった一つの選択しか提供出来ないと知るのである)。しかし、それは絶望ではなく、悲観することも諦念することもない。なぜなら、それに代わる本当の解決法を選択出来るのだと知るからだ(それに代わる選択肢があるのだと受け入れるからだ)。この世の幻想から目覚め、実相の真実に生きるという選択がちゃんと存在するのである。



To fight against this step is to defeat your purpose here. You did not come to learn to find a road the world does not contain. 

  • fight [fáit] : 「格闘する、戦う」
  • against [əɡéinst] : 「〜に逆らって、〜にそむいて、反抗して」
  • step [stép] : 「一歩、歩み、道のり、道筋、階段」
  • defeat [difíːt] : 「負かす、倒す、破る、打倒する、駄目にする、無にする」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い、理由、意義、意味」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する、〜であると分かる」
  • find [fáind] : 「発見する、見いだす」
  • road [róud] : 「道、道路、進路、道筋、道程」
  • contain [kəntéin] : 「含む、包含する」

❖ "To fight against ~ "「このステップに抗(あらが)って戦うことは、この世界におけるあなたの目的を打ち砕くことになる」。幻想的な解決法を捨て、実相的な解決法を選択するというステップを嫌うことは、あなたがこの世に生まれてきた意味を台無しにする。"You did not come ~ "「あなたは、この世界が持ってもいない道を探すための学びを目的に生まれて来たのではない」。ここの"come"を「(この世に)生まれ出る」と解釈してみた。この世界は真実の道をあなたに提供出来ない。苦や痛みからの救いの道を、この幻想世界はあなたに差し出すことは出来ないのだ。この世界があなたに提供出来る道は、せいぜい偽りの、ごまかしの道だけである。そんな虚偽の道を探し出すために、あなたは今生の世界に生まれ出て来たのではない。



The search for different pathways in the world is but the search for different forms of truth. 

  • search [sə́ːrtʃ] : 「捜索、探査、追求」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • pathway [pǽθwei] : 「小道、歩道、通路、経路、進路」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」

❖ "The search for ~ "「この世界の異なった道を探し求めることは、真実の異なった形を探し求めることでしかない」。あなたは、真実の生き方は人の上に立って、自己の優位性を確保することだと信じている。金によって、あるいは地位によって、権力によって、快楽によって、他者よりも優れた生き方をすることこそが真実の生き方だと信じている。そんな様々な形によって、つまり、この世界の様々な道を歩むことによって、真実が手に入ると思い込んでいるのだ。



And this would keep the truth from being reached.

  • keep A from doing : 「Aに〜させない」
  • reach [ríːtʃ] : 「達する、至る、着く、到着する」

❖ しかし、"And this would keep ~ "「こうしたことは、真実に到達することを妨げるだろう」。あなたの信じる真実の生き方は虚偽である。虚偽を真実だと信じている限り、あなたは決して実相的な真実に近づくことは出来ない。あなたは夢に中に真実があると思い込み、夢の中で様々な形の真実を追い求めているが、どれもこれも幻想であって虚偽に過ぎない。夢から目覚めた現実(実相)にこそ、本当の真実は存在するのであって、それ以外の場所を探しても決して真実は見つからないのだ。



7. Think not that happiness is ever found by following a road away from it. This makes no sense, and cannot be the way. 

  • happiness [hǽpinis] : 「幸福、喜び、幸せ」
  • found [fáund] : 「findの過去・過去分詞形」
  • follow [fάlou] : 「〜の後について行く、〜を追跡する」
  • away from : 「〜から離れて」
  • make no sense [séns] : 「意味をなさない、理にかなわない」

❖ "Think not that happiness ~ "「幸せは、それから離れていく道を辿ることで発見されると考えてはいけない」。実相的な真実の幸せは、その実相から遠ざかるような幻想的な道、つまり、この世の道を歩むことでは得られない。"This makes no sense ~ "「これは、まったく意味を成さない」。幸せから離れて行く道を歩むことで幸せに近づくなどということは、文字通り不合理である。"and cannot ~ "「そしてそれは、(本当の)道などになり得ない」。権力への道、物欲への道、快楽への道、富への道は、実相的な幸せから離れて行く道であって、本当の道などではない。



To you who seem to find this course to be too difficult to learn, let me repeat that to achieve a goal you must proceed in its direction, not away from it. 

  • course [kɔ́ːrs] : 「針路、航路、講座、コース」
  • difficult [dífikʌ̀lt] : 「困難な、厳しい」
  • repeat [ripíːt] : 「〜を繰り返して言う」
  • achieve [ətʃíːv] : 「成し遂げる、達成する、成就する、やり遂げる」
  • goal [ɡóul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
  • proceed [prəsíːd] : 「進む、前進する」
  • direction [dirékʃən] : 「方向、向き」

❖ "To you who seem ~ "「このコースが難し過ぎて学べるものではないと見ているらしいあなたに対して、」"this course"「このコース」とは、このACIMのこと、そのレッスンのこと。"let me repeat that ~ "「目的を達成するために、あなたは、コースから外れることなく、その方向へ前進しなくてはならないと、私は繰り返し言おう」。"goal"「目的」とは、この世の幻想から実相へと目覚め、苦と痛みから解放されて、天の王国へ回帰すること。そのためには、ACIMの道を外さず、真っすぐに進むべきだ。



And every road that leads the other way will not advance the purpose to be found. 

  • lead [líːd] : 「導く、つながる」
  • other way : 「反対、横方向」
  • advance [ædvǽns] : 「促進する、早める」

❖ "And every road that ~ "意訳する、「反対方向へ導く道はすべて、目的を早く見出す手助けにはならない」。実相とは逆方向の、この世の道を歩むことは、実相的な真実の道の発見を遅らせるだけだ。



If this be difficult to understand, then is this course impossible to learn. But only then. 

  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
  • impossible [impάsəbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」

❖ "If this be difficult ~ "「このことが理解しがたいと言うなら、」"then is this course ~ "「その時は、このコースを学ぶことは不可能だ」。"But only ~ "「これが理解出来た時に限って、このコースは学ぶことが出来るのだ」。この世の成功に繋がるような道を断念する必要があるのだと理解出来ない限り、本当の道へ導くACIMを学び取ることは不可能だ。もちろん、あなた個人についてもそうなのだが、あえて言うなら、物欲と権力と快楽に溺れる既存の宗教が、あなたを真実の道に導くことも不可能なのだ。



For otherwise, it is a simple teaching in the obvious.

  • otherwise [ʌ́ðərwàiz] : 「さもなければ、そうしないと、そうでなければ」
  • simple [símpl] : 「易しい、難しくない、簡素な」
  • teaching [tíːtʃiŋ] : 「教え、教義」
  • obvious [άbviəs] : 「明らかな、疑う余地のない」

❖ "For otherwise ~ "「なぜなら、そうでなかったら、このコースは、明らかにシンプルな教えなのだから」。あなたの理解を鈍らせているのは、この世への執着、欲である。従って、この世への執着や欲を捨てたなら、ACIMの教えがいかにも容易なものだと知ることが出来るのだ。
ACIMは、この世への執着や欲を、苦行や修業によって無理に断絶せよ、などと命令しているのではない。この世への執着や欲は、幻想への憧れに過ぎず、子供がおもちゃに憧れを持つことに等しいのだと教えているのである。子供が長じておもちゃを捨てるように、あなたも、この世への執着や欲を、それはおもちゃに過ぎないと達観して、苦もなく自然にそれを捨てなさい、と諭しているのだ。だから、ACIMは、おもちゃを捨てると同様に、容易な学び(simple teaching)なのである。
 
 
 



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