●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-28.I.5:1 ~ T-28.I.6:7

5. The Holy Spirit's use of memory is quite apart from time.
  • use [júːs] : 「使うこと、利用、使用」
  • memory [méməri] : 「記憶、思い出、記憶力」
  • quite [kwáit] : 「すっかり、全く、完全に」
  • apart from : 「〜から離れて、〜は別として、〜はさておき」
❖ "The Holy Spirit's use ~ "「ホーリー・スピリットの記憶の使い方は、まったく時間に関係しない」。ホーリー・スピリットは記憶を、過去という時間に限って扱うことはない。過去の記録として、記憶を限定することはしない。



He does not seek to use it as a means to keep the past, but rather as a way to let it go.
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • rather [rǽðər] : 「それどころか、むしろ」
  • way [wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
  • let go : 「手を放す、ほっとく、あきらめる、忘れる」
❖ "He does not seek to ~ "「ホーリー・スピリットは、過去を保持する手段として、記憶を使おうと求めることはしない」。"but rather as ~ "「そうではなく、むしろ、過去を手放す手段として記憶を利用しようとするのだ」。ホーリー・スピリットは、幻想に過ぎない過去を赦して手放す道具として、記憶を利用する。記憶は、過去という幻想を頑(かたく)なに保持しており、したがって、過去は現在に大きな影響を与えている。その過去のしがらみから解き放つために、ホーリー・スピリットは、記憶を、過去の赦しに利用するのである。



Memory holds the message it receives, and does what it is given it to do.
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
  • message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ、通報、連絡事項、通信」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ "Memory holds the message ~ "「記憶は、受け取ったメッセージを保持し、」"and does what it is ~ "「与えられたなすべきことをする」。記憶は過去の記録を忠実に保持し、頭脳が命令ずるままに働く。頭脳は、過去に対して、その復讐を模索する。



It does not write the message, nor appoint what it is for. Like to the body, it is purposeless within itself.
  • write [ráit] : 「〜を書く、執筆する」
  • appoint [əpɔ́int] : 「〜を任命する、選任する、指名する、決める」
  • purposeless [pə́ːrpəslis] : 「目的のない、無益な、無意義な」
❖ "It does not write ~ "「記憶は、(自ら)メッセージを書くことはない」。記憶は、記録だけに専念する。"nor appoint what ~ "「記憶は、それが何のためになるか、(自ら)指示することはない」。記憶したものを何に役立てるのか、記憶は関知しない。"Like to the body ~ "「肉体同様、記憶も、それ自体として目的を持ってはいないのだ」。したがって、記憶は何かに利用されることはあっても、何かを利用して目的を果たすことはない。



And if it seems to serve to cherish ancient hate, and gives you pictures of injustices and hurts that you were saving, this is what you asked its message be and that it is.
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に仕える、〜のために働く」
  • cherish [tʃériʃ] : 「〜を大事にする、大切にする」
  • ancient [éinʃənt] : 「古くからの、古い、古来の」
  • hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
  • picture [píktʃər] : 「絵、像、絵画、図面、図式」
  • injustice [indʒʌ́stis] : 「不公平、不正、不法、不当」
  • hurt [hə́ːrt] : 「傷、けが、苦痛、悪意、不正」
  • save [séiv] : 「確保しておく、取っておく、残しておく」
  • ask [ǽsk] : 「〜を頼む、依頼する、〜してほしいと頼む」
❖ "And if it seems to ~ "「もし記憶が、昔の憎しみを大切にするために仕事をするように見えたなら、」"and gives you pictures ~ " 「そして、あなたに、あなたが保持し続けている不正や苦痛の絵を与えるように見えたら、」つまり、昔の憎しみを記憶していて、不正の与える苦痛に今も苦しむようなら、"this is what you ~ "「これこそが、あなたが記憶に対して求めたメッセージであり、そうなったということなのだ」。あなたの意思に反して、憎しみや不正や苦痛が、勝手に記憶の中に記録されているのではない。あなたが、自らの意思で、憎しみや不正や苦痛のメッセージを記憶に託して保持していたということなのだ。記憶を操作しているのは、あなた自身である。



Committed to its vaults, the history of all the body's past is hidden there.
  • commit [kəmít] : 「〜を収容する、〜にすべてをささげる」
  • vault [vɔ́ːlt] : 「貯蔵所、地下墓所」
  • history [hístəri] : 「歴史、経歴、病歴、履歴、前歴、過程」
  • hidden [hídn] : 「hide の過去分詞形」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
❖ "Committed to its vaults ~ "「記憶という地下墓地に収められて、」"the history of all ~ "「肉体の過去にまつわるあらゆる歴史が、その地下墓地という記憶の中に隠されているのだ」。記憶といっても、すぐに思い出されるものばかりではなく、忘却させられた記憶も多々存在する。しかし、それは失われた記憶ではなく、ただ、無意識の底の底、まるで地下墓地のような記憶の領域に隠されているだけなのだ。肉体をもって暮らしたあらゆる記憶が、そこに眠っている。



All of the strange associations made to keep the past alive, the present dead, are stored within it, waiting your command that they be brought to you, and lived again.
  • strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変わった、変な、見知らぬ」
  • association [əsòusiéiʃən] : 「連想、関連付け、交際、付き合い」
  • alive [əláiv] : 「生存して、生きていて、活動して、動作して」
  • present [préznt] : 「今、現在」
  • dead [déd] : 「死んでいる、生命のない、終わってる」
  • store [stɔ́ːr] : 「〜を蓄える、保管する、保存する、格納する」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
  • wait [wéit] : 「〜を待つ」
  • command [kəmǽnd] : 「指令、命令、指揮、統御」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす〜を持って来る」
❖ "All of the strange associations ~ "「過去を生かし、現在を殺しておくために作られた奇妙な連想のすべては、(記憶の)地下墓地に格納されているのだ」。過去という幻想にまつわる数々の思い出、その奇妙な記憶、たとえば、肉体に加えられた痛みや傷の数々、悔しい思いや、別れの悲しみ、不正に対する憤りや怒り、嫉妬、等々の記憶が、無意識の奥底、記憶の地下墓地に埋葬されている。あたかも、今なお、そんな過去の亡霊が生き長らえ、現在の記憶を殺しかけているようだ。"waiting your command ~ "「そして、それらは、あなたの元へともたらされ、再び生きるようにと、あなたから命令されるのを待っているのである」。過去という亡霊は、今という時に彷徨(さまよ)い出るのを待っている。



And thus do their effects appear to be increased by time, which took away their cause.
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、それ故に、従って」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • appear [əpíər] to do : 〜するように見える
  • increase [inkríːs] : 「増える、増大する、大きくなる」
  • took [túk] : 「take の過去形」
  • take away : 「取り除く、持ち去る、撤去する、運び去る、奪い去る」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、動機、理由」
❖ "And thus do their ~ "「こうして、それらの影響は、時間が経つにしたがって、ますます大きくなっていくように見える」。"which took away ~ "「しかも、それらは、原因そのものを奪い去ってしまうのである」。過去の記憶の亡霊達は、その亡霊を生み出した原因を忘れて、まるで根無し草のように彷徨(さまよ)うのである。彷徨いながら、ますます巨大化していく。過去の亡霊が暴れ出し、手に負えなくなってしまうのだ。



6. Yet time is but another phase of what does nothing.
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
  • phase [féiz] : 「面、相、様相、位相、段階、局面」
❖ "Yet time is but another ~ "「しかし、時間は、何もなさないという、また別の相である」。実相的な見地に立てば、時間は幻想であり無である。その意味では、時間は何かをなすわけもなく、時間が何かを作り出すわけでもない。ところが、この幻想世界では、あたかも時間は現実に存在し、時間が現実を支配し、時間が記憶を作り出しているように見えるのだ。それが、幻想的な時間の相である。



It works hand in hand with all the other attributes with which you seek to keep concealed the truth about yourself. Time neither takes away nor can restore.
  • work [wə́ːrk] : 「働く、作業する、取り組む」
  • hand in hand with : 「〜と手をつないで、〜と手を取りあって、〜と提携して」
  • other [ʌ́ðər] : 「ほかの、そのほかの、残りの、もう一方の」
  • attribute [ǽtribjùːt] : 「特質、特性、性格、属性」
  • concealed [kənsíːld] : 「隠れた、隠し持っている」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • neither [níːðər] : 「どちらも〜ない」
  • restore [ristɔ́ːr] : 「修復する、復活させる、復元する、再構築する」
❖ "It works hand in hand ~ "「時間は、その他の(幻想)の特性と連携して動作する」。たとえば、時間は、空間というまた別の幻想と連動して、あたかも時間とともに空間を移動できるような錯覚を生み出している。時間は、空間が分離や広がりを生み出すという特性を利用しているのだ。"with which you seek ~ "「その他の幻想の特性によって、あなたは、あなたに自身に関する真実を隠したままにしておこうとしているのである」。たとえば、時間と空間の広がりと隔たりを利用して、神の子が本来単一存在であるという真実を隠して、分離し、独立した存在であるかのように錯覚させているのである。その結果、"Time neither takes ~ "「時間は、取り去ることも修復することも出来ないものとなっている」。幻想世界が、完全に、時間に支配されているのである。支配というより、絶対的存在として、幻想世界の最上部に君臨している、と言った方がいいだろうか。



And yet you make strange use of it, as if the past had caused the present, which is but a consequence in which no change can be made possible because its cause has gone.
  • make use of : 「〜を使用する、〜を利用する」
  • as if : 「あたかも〜かのように、〜まるで〜であるかのように」
  • cause [kɔ́ːz] : 「〜を引き起こす、招く、〜の原因になる」
  • consequence [kɑ́nsəkwèns] : 「結果、結論、結末、成り行き、帰結」
  • change [tʃéindʒ] : 「変化、変更、移行、交換、変更点、修正点」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形」
❖ "And yet you make ~ "「そして、あなたは、時間を奇妙に使う」。"as if the past had ~ "「あたかも、過去が現在を生み出しているかのよう(な使い方)だ」。"which is but a consequence ~ "「しかし、過去とは、原因がなくなったので変化など起きる可能性のないものの結果ということになるのだ」。非常に難解な部分である。時間の存在しない実相的な視点から眺めると、幻想世界の出来事のすべては一瞬にして生じ、その一瞬が永遠に存在し続けている状態のなのだ。時間を軸として、原因が結果を生み出しているわけではないのである。我々は、そこで、時間という幻想を生み出して、すでに存在しているあらゆる可能性を内包した既成事実から、好きな事象を選び出し、あたかも映画かビデオテープを再生して見ているかのように、この幻想世界を生きているのである。本文を見ると、実相世界から眺めると、原因など存在しないから変化など起きない世界で(no change can be made possible because its cause has gone)、時間を幻想することで、あたかも原因が結果を生み出しているかのように(which is but a consequence)錯覚しているだけだ、という意味合いになる。それが、いかにも奇妙な時間の使い方だ、と述べているのである。



Yet change must have a cause that will endure, or else it will not last. No change can be made in the present if its cause is past.
  • endure [indjúər] : 「耐える、持ちこたえる、持続する」
  • or else : 「あるいは、さもないと」
  • last [lǽst] : 「続く、存続する、持続する、耐える」
  • past [pǽst] : 「過ぎた、過ぎ去った、過去の」
❖ "Yet change must have ~ "「しかし、変化には、持続する原因がなくてはならない」。"or else it will ~ "「さもないと、変化し続けることはない」。したがって、この幻想世界では、時間という錯覚を利用して、現在が原因となり、未来に結果を生み出すことで変化が持続するかのように見せかけているのである。"No change can be ~ "「もし、原因が過ぎ去ってしまってないなら、現在において、どんな変化ももたらされることは不可能だ」。時間という幻想を設定した以上、原因なくして結果は生じない。したがって、原因がなければ、どんな変化も起きないのだ。



Only the past is held in memory as you make use of it, and so it is a way to hold the past against the now.
  • held [héld] : 「hold の過去形」
  • against [əɡéinst] : 「〜に逆らって、〜にそむいて、反抗して」
❖ "Only the past is held ~ "「過去だけが、あなたがそれを使いたいように、記憶の中に保持されているのだ」。"and so it is a way ~ "「そこで、記憶は、現在に対抗して過去を保持する道具になっているのである」。本当は、過去が原因となって現在が生み出されたわけではないのに、その事実に対抗して、記憶の中の過去を勝手に解釈し、過去によって今があると思い込んでいるのである。この段落は、非常に難解な部分であるが、この幻想世界がビデオや映画だと思えば、解釈がうまくいくだろう。映画は記録されたものであって、その実態が原因と結果で構成されているものではない。映画は、上映された時点で時間を追いかけるが、映画自体が時間を持っているわけではないのだ。記憶された(映像に記録された)事象を再現する時に限って、時間という錯覚を利用しているのである。これとまったく同様に、この幻想世界は、遠い昔に起きた事象がホログラフィック的にすべて記録され、それを選択的に追体験するために、時間という錯覚を利用して経験しているに過ぎない。記録されたホログラフィックには、原因も結果もない。すべては過ぎ去ったことであって、時間さえ存在しないのだ。
 
 
 


T-28.I.3:1 ~ T-28.I.4:7

3. Nothing employed for healing represents an effort to do anything at all.
  • employ [emplɔ́i] : 「用いる、採用する、使用する、雇用する」
  • healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する」
  • effort [éfərt] : 「努力、尽力、骨折り、試み、取り組み」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "Nothing employed for ~ "「ヒーリングのために用いられるものは、まったく努力を用いることがないと表明している」。奇妙な言い回しをしているが、要するに、ヒーリングは努力を必要としないということ。特別な訓練も、特別な能力獲得も、ヒーリングには必要ない。すべてが、自然の流れで起きることなのだ。肉体を利用し、あるいは肉体の感覚器官を利用してヒーリングを行うとき、肉体的な努力は何も必要とされない。



It is a recognition that you have no needs which mean that something must be done.
  • recognition [rèkəɡníʃən] : 「認識、認証、正当性の認識」
  • need [níːd] : 「必要性、必要なもの、必要物」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "It is a recognition ~ "「それは、あなたが、何かがなされなくてはならないということを意味する必要性がないと認識することなのだ」。ここも、回りくどい表現をしているが、ヒーリングは、何かをなす、という種類のものではない、ということ。ヒーリングは、何か、特別な治療を施してやらねばならない、ということではない。何もする必要はないのだ。ヒーリングは、作り出すものではない。



It is an unselective memory, that is not used to interfere with truth.
  • unselective [ʌnsiléktiv] : 「無差別の、選択的でない」
  • memory [méməri] : 「記憶、思い出」
  • interfere [ìntərfíər] : 「邪魔をする、妨げる、遅らせる」
  • interfere with : 「〜を妨げる、〜を邪魔する、〜に干渉する」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "It is an unselective ~ "「ヒーリングは、思い出を選択することではない」。ヒーリングは、都合の良いことだけを選んで、あるは逆に都合の悪いことだけを選んで思い出し、それを利用することではない。過去の記憶は、過ぎ去ってしまったことであり、すべて幻想に過ぎないとして扱うことのだ。"that is not used ~ "「記憶とは、真実を妨げるために使われるものではないのだ」。記憶にこだわって、真実を曲げるようなことがあってはならない。記憶に振り回されるより、今、この時の足下(あしもと)を見るべきなのだ。



All things the Holy Spirit can employ for healing have been given Him, without the content and the purposes for which they have been made.
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • content [kɑ́ntent] : 「入っているもの、内容、中身、在中物」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ "All things the Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットが、ヒーリングのために用いることが出来るものはすべて、ホーリー・スピリットに与えられている」。ホーリー・スピリットは、ヒーリングのために真実だけを用いるのではない。肉体も、肉体の感覚器官も、つまり、幻想的な存在も、すべてヒーリングのために利用する。それは、ホーリー・スピリットがわざわざ何かを作り出すことではなく、すでにあるものを利用する、つまり、ホーリー・スピリットにすでに与えられたものを利用することなのである。"without the content ~ "「しかし、それらが作られた目的や、その内容は、ホーリー・スピリットは用いることはない」。たとえば、肉体は、神の子の分離を目的に作られたものであるが、ホーリー・スピリットはヒーリングに肉体を利用するとき、肉体のもつ分離という目的を完全に度外視する。感覚器官も、幻想の実在性を錯覚させるために作られたのだが、ホーリー・スピリットがヒーリングに感覚器官を利用するときは、感覚器官のもつ幻想を錯覚させるという機能を無視する。幻想が本来もっている目的や、その内容に対して、ホーリー・スピリットは、その制限を外してしまうのである。



They are but skills without an application. They await their use. They have no dedication and no aim.
  • skill [skíl] : 「技能、手腕、スキル、技、技術、技量」
  • application [æ̀pləkéiʃən] : 「適用、応用、活用、利用」
  • await [əwéit] : 「〜を待つ、待ち受ける、待望する」
  • use [júːs] : 「使うこと、利用、使用」
  • dedication [dèdikéiʃən] : 「献身、専念、熱心さ、専心」
  • aim [éim] : 「的、狙い、目標、目的、照準、見当」
❖ "They are but skills ~ "「それらは、利用されることのない機能なのだ」。肉体が神の子の分離を加速する機能をもち、感覚器官が存在しないものを存在しているかのように錯覚させる機能をもっているとは言え、ホーリー・スピリットはそれを利用することはない。それは、ホーリー・スピリットにとって、いらざる機能である。"They await their ~ "「それらは、使われるのを待っている」。が、"They have no ~ "「それらは、何も寄与することはないし、目的すらないのだ」。肉体の機能も感覚器官の機能も、幻想世界にあっては存在意義を持っているだろうが、実相世界に目覚めさせようという時には、それは役に立つ機能ではないし、そもそも、実相的な目的などもっていないのだ。



4. The Holy Spirit can indeed make use of memory, for God Himself is there.
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも、実際に」
  • make use of : 〜を使用する、〜を利用する、〜を活用する」
❖ "The Holy Spirit can ~ "「ホーリー・スピリットは、実際、記憶を利用できるのだ」。肉体的な頭脳に蓄えられた記憶という機能を、ホーリー・スピリットは、ヒーリングに利用する。"for God Himself ~ "「なぜなら、神自身が、その記憶の中に記憶されているからだ」。遠い昔、神の子が神と共に暮らしていた記憶が残っているのである。その記憶を、ホーリー・スピリットは、ヒーリングに利用するのである。忘却された記憶を、再び呼び戻すのである。いや、忘却された記憶と言うより、今に生きている記憶と呼んだ方がいい。生きている記憶を、この幻想世界で見失っているだけなのだから。



Yet this is not a memory of past events, but only of a present state.
  • past [pǽst] : 「過ぎ去った、過去の、これまでの」
  • event [ivént] : 「出来事、事件、イベント、行事」
  • past events : 「過去の出来事」
  • present [préznt] : 「現在の、今の、目下の、当面の」
  • state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
  • present state : 「現状」
❖ "Yet this is not ~ "「しかし、これは、過去の出来事の記憶ではない」。"but only of a ~ "「単に、現在の状態の記憶なのだ」。神の子が神と共に暮らしていた記憶は、幻想世界から見れば過去の出来事の記憶に見えるが、それは錯覚であって、実相世界から見れば、今、神の子は神と暮らしているので、その記憶は今の状態の記憶と言えるのである。つまり、過去の記憶とは幻想であり、本当の記憶は、現在の状態を映し出すものなのだ。



You are so long accustomed to believe that memory holds only what is past, that it is hard for you to realize it is a skill that can remember now.
  • be accustomed to : 「〜に慣れている、常習的に〜している」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
  • hard [hάːrd] : 「難しい、困難な、つらい」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
❖ "You are so long accustomed ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、「あなたは、あまりにも長い間、記憶とは過ぎ去ったことだけを保持するものだと信じることに慣れてきたので、」"that it is hard for ~ "「あなたにとって、記憶が今を思い出す機能をもっていると認識することが難しいのだ」。覚えていることが幻想世界の出来事であったなら、その記憶は過去の出来事の記憶だと言えるのだが、それが実相世界の出来事であったなら、つまり、真実の出来事であったなら、その出来事は無時間の実相的真実として保持されているので、過去という時間に閉じこめられることはない。今現在も生き続けている真実として、記憶に保持されているので、いわば、記憶は今を思い出す機能を持っている、と言えるのだ。深読みになるが、今を思い出す機能をもった記憶は、ほぼ、実相的な叡智(knowledge)に近いものだと考えていいだろう。



The limitations on remembering the world imposes on it are as vast as those you let the world impose on you.
  • limitation [lìmətéiʃən] : 「制限、極限、限定」
  • remembering [rimémbəriŋ] : 「思い出すこと、想起」
  • impose [impóuz] : 「課す、負わす、かける、与える、強いる、強要する」
  • vast [vǽst] : 「広大な、非常に広い、広漠とした、巨大な」
❖ "The limitations on ~ "「この世界が記憶の上に負わせた、記憶に対する制限は、あなたが、世界をしてあなたの上に負わせた制限同様に、広範囲にわたる」。たとえば、記憶は過去の出来事に限るというものは、この幻想世界が記憶に負わせた制限である。記憶は、やがて忘却によって消えていく、というもの制限。それはちょうど、この世界によって、あなたに課せられた制限、たとえば、肉体は死をもって終わるなどという制限と同様に、広範囲に及ぶものなのだ。



There is no link of memory to the past. If you would have it there, then there it is.
  • link [líŋk] : 「結び付き、つながり、関連性、連関」
❖ "There is no link of ~ "「記憶は、過去とリンクを持たない」。記憶は、幻想世界にあっては過去とのリンクしか持たないのだが、実相世界の記憶、真実の記憶は、無時間の世界の記憶なので、過去とリンクを持つことはない。実相世界には、そもそも過去などいうものがないからだ。"If you would have ~ "意訳する、「もしあなたが、過去という場所に記憶を持ちたいと思うなら、その時は、記憶は過去とリンクする」。あなたの意思次第で、記憶は過去とリンクをもつことは出来るが、記憶が本来的に、過去とリンクをもって結ばれているわけではない。したがって、あなたが記憶を幻想世界の中だけに留め置こうとするなら、記憶は過去とのリンクしかもてないのだが、そんな制限を外して、記憶を実相世界の領域にまで広げる時、記憶は過去とのリンクを断ち切って、今という時を思い出す機能、すなわち、叡智にまで高めることが出来るのだ。



But only your desire made the link, and only you have held it to a part of time where guilt appears to linger still.
  • desire [dizáiər] : 「欲望、欲求、願望、念願」
  • held [héld] : 「hold の過去形」
  • part [pάːrt] : 「一部、部分」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる、どうやら〜らしい」
  • linger [líŋɡər] : 「長居する、居残る、残存する、なかなか消えない」
❖ "But only your desire ~ "「しかし、あなたの願望が、リンクを作ったのだ」。あなたは記憶を、この幻想世界にだけ役立つものとしたいと願望し、その思いが実現して、記憶は過去とのリンクだけをもつに至った。"and only you have ~ "「そして、罪の意識がいつまでも居座っているような時間の一部分に対してだけ、記憶を保持してしまったのだ」。難しい言い回しをしているのだが、要するに、記憶の中でも最も重要な記憶は、遠い昔の、ある特定の時間の部分に、神の子が神を裏切って分離したという、罪の意識を持つに至った記憶に集約される、ということ。したがって、記憶を、その特定の時間から解き放って、記憶が今という時間だけに向かうようにすることが必要であって、それがヒーリングなのである。記憶をヒーリングすること、それが奇跡なのだ。
 
 
 


T-28.I.1:1 ~ T-28.I.2:9

 
 
A Course in Miracles
 
 
Text - Chapter 28
 
 
 
The Undoing of Fear
恐れの取り消し
 
 
I. The Present Memory
現在の記憶
 
 
1. The miracle does nothing. All it does is to undo. And thus it cancels out the interference to what has been done.
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、それ故に、従って」
  • cancel [kǽnsl] : 「〜を取り消す、〜を中止する、取りやめる」
  • cancel out : 「取り消す、消す、相殺する、無効にする」
  • interference [ìntərfíərəns] : 「干渉、妨害、障害、邪魔、支障、衝突」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "The miracle does ~ "「奇跡は、何もしない」。奇跡は、何かを特別に創造することはない。"All it does is ~ "「奇跡がなすことのすべては、取り消しなのだ」。"And thus it cancels ~ "「こうして、奇跡は、なされたことに対して干渉するものを取り消しにするのである」。たとえば、あなたがこの世界でなしてしまったことに対して、あなたの罪悪感が干渉して、あなたに苦痛を与える。その罪悪感を、奇跡は取り消しにしてくれるのである。あなたがこの幻想世界でなしたことも、それに対する罪の意識も、すべて幻想に過ぎない、夢に過ぎないと気付かせてくれるのだ。夢から覚めれば、夢はおのずと消えてしまう。



It does not add, but merely takes away. And what it takes away is long since gone, but being kept in memory appears to have immediate effects.
  • add [ǽd] : 「加える、合計する、足す、追加する」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • take away : 「取り除く、持ち去る、撤去する」
  • long since : 「ずっと前に」
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形」
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
  • memory [méməri] : 「記憶、思い出、記憶力」
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる」
  • immediate [imíːdiət] : 「即時の、即座の、即刻の、直接の、じかの」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "It does not add ~ "「奇跡は、加えるのではなく、ただ、取り去るだけなのだ」。幻想としてこびりついたものを剝ぎ落としてしまうのだ。"And what it takes away ~ "「奇跡が取り去るものは、ずっと昔に過ぎ去ったものであるが、」"but being kept in ~ "「記憶に留めて置くことで、直接的な影響をあたえているように見えるのである」。奇跡が取り消す対象は、過去の出来事に対する罪の意識であり、その意味では、罪も過ぎ去った過去のものである。しかし、出来事と罪の意識は、記憶に留め置かれることで、忘れることはもちろん出来ないし、あたかも今、この瞬間に直接の影響を与えているかのように思えるのだ。つまり、痛み、苦しみという形で影響を与えるのである。



This world was over long ago. The thoughts that made it are no longer in the mind that thought of them and loved them for a little while.
  • over [óuvər] : 「終わって、終了して、完了して」
  • long ago : 「ずっと以前に」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、思考、思索、熟考」
  • no longer : 「もはや〜でない」
  • thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
  • while [hwáil] : 「少しの時間、時間、期間」
  • for a little while : 「少しの間だけ」
❖ "This world was ~ "「この世界は、ずっと前に終わっているのだ」。"The thoughts that made ~ "「その世界を作った思いは、そんな思いを抱き、しばらくの間、その思いを愛した心の中には、もはや、存在していない」。実相世界は無時間無空間の世界であり、すべてのことが一瞬にして起き、その一瞬が永遠に続く。この幻想世界で起きたすべての事象は、ホログラフィック的に記録され、我々は、時間と空間の存在するこの幻想世界で、その記録された事象を追体験しているのだ。したがって、神の子が神から分離してこの幻想世界を作ったことも、神の子が神の元へ回帰して、この幻想世界が消滅してしまったことも、すでに起きたことなのだ。その意味で、この世界は、ずっと以前に終わっているのである。もちろん、幻想世界を作るきっかけとなった思い、神から分離して神なしで神のように生きるという思いも、もう、神の子の心の中に存在してはいない。



The miracle but shows the past is gone, and what has truly gone has no effects.
  • show [ʃóu] : 「見せる、示す、表す」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に」
❖ "The miracle but shows ~ "「奇跡は、過去は過ぎ去ったことなのだということを示しているだけなのだ」。過去は過ぎ去って、存在していないことを示すのが奇跡。存在しているかに見えることが幻想であり、奇跡が幻想の存在を否定することによって、幻想の過去は消滅するのである。"and what has truly ~ "「そして、確かに過ぎ去ったものは、何の影響力もないのである」。過ぎ去って存在しない幻想に、影響力はない。影響しているかに見えることが、幻想なのだ。



Remembering a cause can but produce illusions of its presence, not effects.
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、理由、動機」
  • produce [prədjúːs] : 「〜を作り出す、産生する、引き起こす」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • presence [prézns] : 「存在すること、存在」
❖ "Remembering a cause can ~ "「原因を思い出すことで、原因が存在しているかのような幻想を生み出すことは出来ても、影響を与えることは出来ない」。過去の出来事の原因自体も過去のものであるが、その原因を思い出して調べる時、確かに、その原因が今存在しているかのように錯覚してしまうことはあっても、その原因が今に影響を与えて結果するなどということはない。



2. All the effects of guilt are here no more. For guilt is over. In its passing went its consequences, left without a cause.
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • no more : 「もはや〜しない」
  • passing [pǽsiŋ] : 「通過、経過、消滅」
  • went [wént] : 「go の過去形」
  • consequence [kɑ́nsəkwèns] : 「結果、結論、結末、重大さ、重大性」
  • left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「〜から離れる、〜を去る」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
❖ "All the effects of guilt ~ "「あらゆる罪の結果というものは、もはやここにはない」。幻想が赦されて消滅したこの場に、罪の影響も結果も存在しない。"For guilt is ~ "「なぜなら、罪は終わったのだ」。罪は過去のことであって、終わったのだ。終わったものは存在しない。"In its passing went ~ "「罪が去ってしまったので、罪のもたらした結果も、過ぎ去ったのだ」。"left without ~ "「原因を伴うことなく、去ったのだ」。原因という影を記憶の中に残して、罪の影響、罪の結果は消滅した。



Why would you cling to it in memory if you did not desire its effects?
  • cling [klíŋ] : 「執着する、しがみつく」
  • cling to : 「〜に固執する、〜に粘着する」
  • desire [dizáiər] : 「〜を望む、希望する、欲する」
❖ "Why would you ~ "「もし〜であるなら、なぜあなたは、記憶の中の原因にこだわろうとするのだろうか」。"if you did not desire ~ "「もしあなたが、原因のもつ結果を熱望しないのなら、」なぜあなたは、記憶の中の原因にこだわろうとするのだろうか。結果は消滅したのだから、原因を掘り下げて考えなくていい。原因を詮索する必要があるののは、結果があなたに影響力をもっている時だけである。



Remembering is as selective as perception, being its past tense.
  • remembering [rimémbəriŋ] : 「想起、思い出すこと」
  • selective [siléktiv] : 「選択の、選択できる、選択的な、抜粋の」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知知見、見識、感じ方」
  • tense [téns] : 「時制」
  • past tense : 「過去形、過去時制」
❖ "Remembering is as selective ~ "「思い出すということは、知覚と同じように、選択出来るものなのだ」。知覚は、知覚したいと思うものを知覚し、記憶も、思い出したいと思うものを思い出す。共に、恣意的であり、選択的である。"being its past ~ "「なぜなら、それは過去事象なのだから」。過去に起きたことであるから、その中から、思い出したいものだけを思い出すのである。ならば、苦の原因も思い出すことが出来るはずだが、今、その苦が消滅したと言うのに、わざわざ苦の原因を思い出す必要はあるまい。



It is perception of the past as if it were occurring now, and still were there to see.
  • as if : 「あたかも〜かのように、〜と言わぬばかりに」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
❖ "It is perception of ~ "「思い出すとは、まるで、何かが今起きていて、まだそこにあって見えるかのように、過去を知覚することである」。したがって、罪や苦の原因をまざまざと思い出せば、それが目の前に実在しているかのように見え、結果である罪や苦が、再び亡霊のように立ち現れる危険性があるのだ。亡霊に騙されないだけの覚悟があればいいのだが、それは、なかなか難しいのだ。



Memory, like perception, is a skill made up by you to take the place of what God gave in your creation.
  • skill [skíl] : 「技能、手腕、スキル、技、技術、技量」
  • take the place of : 「〜の代わりをする、〜に取って代わる」
  • gave [géiv] : 「give の過去形」
  • creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
❖ "Memory, like perception ~ "「記憶は、知覚と同様、神があなたを創造する時に与えたものの代わりに、あなたによって作り出された技術なのである」。つまり、記憶は知覚と同様に、幻想世界で生きていくための便宜的な技術、道具に過ぎないのだ。"what God gave in your creation"「神があなたを創造する時に与えたもの」とは、記憶や知覚がその代わりとなったもののことであるから、"knowledge"「叡智」のことである。叡智は、記憶することもなく、知覚することもなく、すべてを直覚的に、全的に把握する能力である。我々はこの叡智を忘れてしまった。と言うより、自分に叡智があることをすっかり忘れて、記憶と知覚に頼って現世を生きているのである。



And like all the things you made, it can be used to serve another purpose, and to be the means for something else.
  • use [juːz] : 「使う、利用する、生かす、働かせる」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に仕える、〜のために働く」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • something else : 「何か他のもの 」
❖ "And like all the things ~ "「あなたが作ったあらゆるものと同様に、」あなたが、この幻想世界で生きていくために作った多くの便宜的な道具と同じく、"it can be used ~ "「記憶は、また別の目的のために使うことが出来るのだ」。"and to be the means ~ "「その他のもののための道具となり得るのである」。たとえば、知覚は、それを修正することで叡智へ質転換すること出来る。また、罪の意識でさえ、それを赦しの道具として利用することで、この幻想世界から救われる手段に利用出来るのである。



It can be used to heal and not to hurt, if you so wish it be.
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
  • wish [wíʃ] : 「望む、願う」
❖ "It can be used to ~ "「記憶は、あなたが、そうあって欲しいと望むなら、傷つけるためではなく、ヒーリングのために使われ得るのだ」。幻想に過ぎないものでも、それをうまく利用することで、実相の真実を勝ち取ることが出来る。肉体もそうなのだ。肉体を上手に利用することで、肉体を超越した存在へ達することが出来る。幻想の肉体を踏み台にして、実相的実在に質転換することが出来るのである。
 
 
 


T-27.VIII.13:1 ~ T-27.VIII.13:8

13. How differently will you perceive the world when this is recognized!
  • differently [dífərəntli] : 「異なって、違って、そうではなく、別に」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜だと分かる、受け入れる」
❖ "How differently will ~ "「このことが認識された時、あなたは世界を、どのように違って知覚するだろうか」。この世界も、あなたの肉体も、そして痛みも苦しみも、すべてが幻想であり夢に過ぎないと認識出来た時、あなたは世界をどのように見るだろうか。



When you forgive the world your guilt, you will be free of it.
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • forgive A B : 「AのBを赦す」
❖ "When you forgive ~ "「あなたが、世界に対してあなたの罪を赦した時、」あなたがこの世界で犯した数々の過ち、その罪を、幻想に過ぎなかったのだと認識して赦す事が出来た時、"you will be free ~ "「あなたは、罪の意識から自由になれるのだ」。罪は幻想であるとして赦され、そして消滅してしまうのである。



Its innocence does not demand your guilt, nor does your guiltlessness rest on its sins.
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • guiltlessness [ɡíltlisnis] : 「罪がないこと、無辜、潔白性」
  • rest [rést] : 「ある、置かれている」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
❖ "Its innocence does ~ "「世界の潔白性は、あなたの罪を要求しない」。世界に罪がなく潔白であるために、あなたに罪があるとしてあなたを犠牲にすることはない。"nor does your ~ "「逆に、あなたの潔白性は、世界の罪の上にあるわけではない」。あなたが潔白であるために、世界に罪があるというわけでもない。ここで「世界」と表現されているが、あなたに対峙した「他者」あるいは「同胞」と考えていいだろう。したがって、他者が潔白であるために、あなたに罪がある必要はないし、逆に、あなたが潔白であるために、他者に罪がある必要もない、となる。



This is the obvious; a secret kept from no one but yourself.
  • obvious [ɑ́bviəs] : 「明らかな、明白な、分かりきった」
  • secret [síːkrət] : 「秘密、機密、内緒事」
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
❖ "This is the obvious"「これは明白である」。"a secret kept from ~ "「こんな明白なことが、あなたに対して秘密にされてきたのだ」。つまり、幻想の中に眠りこけて、神の子は、こんな明白な事実を認識することすらなかったのだ。自分自身に対して、あなたは真実を秘密にしてきたのだ。



And it is this that has maintained you separate from the world, and kept your brother separate from you.
  • maintain [meintéin] : 「〜を保持する、維持する、保つ」
  • separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
❖ "And it is this that ~ "「そして、このことが、あなたを世界から切り離し、あなたを同胞から分離させ続けているのだ」。世界とあなた、あるいは、同胞とあなたのどちらかが潔白で、どちらかに罪があると信じることで、あなたと世界を、あるいは、あなたと同胞を分離してきたのだ。この幻想世界は二元論世界であり、実相世界で単一の純粋な無辜性は、一方が潔白、一方が罪、という二元に分離させられたのだ。だから、あなたと同胞のどちらかが、罪か潔白のどちらかを背負い込まなくてはならなくなり、あなたと同胞は分離させられたのだ。



Now need you but to learn that both of you are innocent or guilty.
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
  • innocent [ínəsənt] : 「潔白な、無罪の、無実の、罪のない」
  • guilty [gílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
❖ "Now need you but ~ "「今や、あなたは、あなたと同胞が共に、潔白であるか罪があるか、そのどちらかであることを学ぶ必要があるのだ」。あなたと同胞のどちらかが潔白でどちらかに罪がある、というのではなく、あなたと同胞が共に潔白であるか、共に罪があるか、それを知る必要がある。もちろん、あなたも同胞も、共に潔白であることが真実なのだ。したがって、あなたと同胞は分離などしていない。分離は幻想である。



The one thing that is impossible is that you be unlike each other; that they both be true.
  • impossible [impάsəbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • unlike [ʌnláik] : 「似ていない、異なっている」
  • each other : 「お互いに」
❖ "The one thing that ~ "「不可能なことが一つあるとすれば、それは、あなたと同胞が互いに似ていないということである」。"that they both ~ "「そして、潔白性と罪が共に正しいということも、不可能なことなのだ」。愛と憎しみが共に真実であることが不可能であるように、無辜と罪は同時に真実になることはない。無辜は実相であり、罪は幻想である。レベルが、まったく異質なのだ。



This is the only secret yet to learn. And it will be no secret you are healed.
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
❖ "This is the only ~ "「このことが、あなたの学ぶべき唯一の秘密である」。"And it will be ~ "「そうすれば、あなたがヒーリングされるということは、秘密でも何でもなくなるのだ」。無辜が真実であり、存在し、罪は幻想であり、存在し得ないということが、あなたの学ぶべき秘密のすべてである。その秘密を知りさえすれば、ヒーリングも奇跡も決して秘密などではなく、極く自然な出来事なのだと理解できるだろう。つまり、幻想から実相に目覚めれば、あらゆる秘密は秘密でなくなるのだ。それが、ヒーリングであり奇跡である。
 
 
 



T-27.VIII.11:1 ~ T-27.VIII.12:9

11. This single lesson learned will set you free from suffering, whatever form it takes.
  • single [síŋgl] : 「ただ一つの、たった一つの、たった一人の」
  • lesson [lésn] : 「教訓、教え、貴重な経験、実際的な知恵」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を知る、分かる、〜を学ぶ」
  • suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
  • whatever [hwʌtévər] : 「どんな〜が〜でも」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見」
❖ "This single lesson learned ~ "「このたった一つの学ばれるべきレッスンが、苦しみがどんな形をとろうとも、その苦しみからあなたを解放してくれるだろう」。 "This single lesson learned"「このたった一つの学ばれるべきレッスン」とは、あなたがこの世界から強いられている苦も、その世界自体も、単なる幻想、夢に過ぎないのだと確実に認識するレッスンのこと。



The Holy Spirit will repeat this one inclusive lesson of deliverance until it has been learned, regardless of the form of suffering that brings you pain.
  • repeat [ripíːt] : 「〜を繰り返す」
  • inclusive [inklúːsiv] : 「すべてを含んだ、包括的な、包含的な」
  • deliverance [dilívərəns] : 「救出、解放」
  • until [ʌntíl] : 「〜する時まで」
  • regardless [riɡάːrdlis] of : 「〜にかかわらず」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛、苦痛、骨折り、苦労」
❖ "The Holy Spirit will ~ "「ホーリー・スピリットは、〜される時まで、この唯一の、開放のための包括的なレッスンを繰り返すことになろう」。"until it has been ~ "「そのレッスンが(完全に)学ばれてしまうまで、」レッスンを繰り返すことになろう。"regardless of the form ~ "「あなたに痛みをもたらす苦がどんな形をとろうとも、」ホーリー・スピリットは、レッスンを繰り返すことになろう。この世界も、あなたの肉体も、単なる幻想であり夢であると、言葉で語るのは簡単であるが、実感としてそれを肯定するのは、誰にとっても非常に難しい。その原因は、肉体に備わった多くの知覚が、世界と肉体の実在を証言しているからだ。いわゆる、偽証しているのだ。だから、その一見正しそうな証言が、実は偽りなのだと見抜かなければならない。それが、非常に難しい。あまりにも知覚が精巧なイメージを与えるからだ。そこで、どうしても、肉体的な知覚を改造していかなくてはならない。と言うより、肉体的な感覚を凌駕する、また別の、いわば、心の知覚を発達させなくてはならない。それを手助けしてくれるのが、ACIMのWorkである。



Whatever hurt you bring to Him He will make answer with this very simple truth.
  • hurt [hə́ːrt] : 「痛み、苦痛。傷、けが、悪意、不正」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
  • simple [símpl] : 「簡単な、簡素な、単純な、容易な」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "Whatever hurt you ~ "「あなたがどんな痛みでも、ホーリー・スピリットの元へもって行けば、」"He will make answer ~ "「ホーリー・スピリットは、この非常にシンプルな真実をもって、あなたに答えてくれるのだ」。あなたが、肉体の痛みでも、心の痛みでも、どんな種類の痛みでも、ホーリー・スピリットに委ねてしまえば、ホーリー・スピリットは、それが単なる幻想であると、真実を答えてくれる。幻想は、消滅するしかないのだ。あなたが、痛みは幻想であると認識し、受け入れ受け流し、痛みを赦してしまえば、幻想の痛みは消滅するのである。



For this one answer takes away the cause of every form of sorrow and of pain.
  • take away : 「取り除く、持ち去る、撤去する、運び去る」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、動機、理由」
  • sorrow [sɑ́rou] : 「悲しみ、悲哀、後悔」
❖ "For this one answer ~ "「なぜなら、この唯一の答えだけが、悲しみや痛みがどんな形であろうと、その原因を取り除いてくれるからだ」。悲しみも痛みも、それが実在するとあなたが信じているところに現因がある。悲しみや痛みの幻想に、その知覚に、あなたは騙されているのだ。それさえ、正しく認識できれば、原因は取り除かれてしまう。



The form affects His answer not at all, for He would teach you but the single cause of all of them, no matter what their form.
  • affect [əfékt] : 「〜に作用する、〜に影響を及ぼす、〜に響く」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
  • teach [tíːtʃ] : 「 〜を教える、指導する」
  • no matter what : 「たとえ何が〜であろうとも」
❖ "The form affects ~ "「形というものは、ホーリー・スピリットの答えにまったく影響を与えることはない」。"for He would teach ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットはあなたに、あらゆる形がどんな形をとろうとも、その原因がたった一つであると教えてくれるからである」。形、形象、具象とは、空間に位置を占め、時間をもつものであるから、幻想世界にだけ存在出来るものなのだ。幻想として、存在できるだけなのだ。だから、形の原因は何かと問われれば、形はどんな形であれ、それは唯一、幻想が生み出したものであると答えることが出来るのだ。



And you will understand that miracles reflect the simple statement, " I have done this thing, and it is this I would undo. "
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する」
  • reflect [riflékt] : 「〜を映す、示す、反映する」
  • statement [stéitmənt] : 「声明、陳述、述べたこと、発言、供述」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
❖ "And you will understand ~ "「そしてあなたは、奇跡が、次のシンプルな発言に反映されることを理解するだろう」。"" I have done this ~ "「『私はこれをやったので、これが、私の取り消したいことである』」。『私は幻想に翻弄されて、いろんなことを仕出かしてきたが、どれも幻想に過ぎないことがわかった。だから、それを知った今、私はあらゆる幻想を取り消しにしたいと思っている』。その幻想の取り消しが、奇跡であり、ヒーリングなのだ。それを、あなたが一人でなす必要はない。その逆で、ホーリー・スピリットにすべてを委ねてしまうことが必要なのだ。ACIMの絶対他力性である。



12. Bring, then, all forms of suffering to Him Who knows that every one is like the rest.
  • rest [rést] : 「残り、残っているもの、残りの部分、残余」
❖ "Bring, then, all forms ~ "「さあ、すべての形の苦しみを、どの一つも残りのものと同じなのだと知っているホーリー・スピリットの元へ、持って行きなさい」。あらゆる苦の原因は幻想なのだと知っているホーリー・スピリットの元へ、あなたの苦しみを持っていって、ホーリー・スピリットに委ねてしまいなさい。



He sees no differences where none exists, and He will teach you how each one is caused.
  • difference [dífərəns] : 「違い、差異、相違」
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている、生存する、存続する」
  • cause [kɔ́ːz] : 「〜を引き起こす、〜の原因になる、〜を…にもたらす」
❖ "He sees no differences ~ "「ホーリー・スピリットは、何も存在していない所では、まったく違いなどないと知っている」。幻想が生じる場所には、何も存在していないのだ。何も存在していないから何の違いもない。あなたのいろいろな苦は、すべて同一であって、無なのだ。"and He will teach ~ "「そして、ホーリー・スピリットはあなたに、苦の一つ一つがどのようにして生じたのか、教えてくれるだろう」。幻想の一つ一つが、どうやって偽創造されたのか、神の子がなぜ幻想世界を作ったのか、それをあなたに教えてくれるだろう。



None has a different cause from all the rest, and all of them are easily undone by but a single lesson truly learned.
  • easily [íːzili] : 「容易に、たやすく、苦もなく、あっけなく」
  • undone [ʌndʌ́n] : 「undo の過去分詞形」
  • truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に、正確に、忠実に、心から、誠実に」
❖ "None has a different ~ "「どの幻想も、他のすべての残りの幻想と異なる原因をもつものではないのだ」。幻想の源はすべて同一である。"and all of them ~ "「すべての幻想は、唯一のレッスンが正しく学ばれることによって、容易に取り消されるのである」。その正しいレッスンを指導してくれるのがホーリー・スピリット。幻想の赦しを教えてくれるのである。赦された幻想は、消滅するのみ。



Salvation is a secret you have kept but from yourself. The universe proclaims it so.
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • secret [síːkrət] : 「秘密、機密、内緒事、秘伝、秘訣」
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • universe [júːnəvə̀ːrs] : 「宇宙、銀河、万物、森羅万象、全世界」
  • proclaim [proukléim] : 「公表する、宣言する、宣告する、公言する」
❖ "Salvation is a secret you ~ "「救いは、あなたが、あなた自身に対して隠してきた秘密である」。幻想からの救いを、あなたは自分自身に隠して来て、今まで救われずいた。"The universe proclaims ~ "「宇宙は、そうだと宣言している」。解釈が難しい一文なのだが、宇宙もまた、あなたが救いという秘密を隠してきた、と宣言している、ととらえておこう。宇宙や世界規模で真実を知った証言者達は、人が自分自身に対して救いという秘密を隠してきたとこを証言している、といった意味であろうか。



Yet to its witnesses you pay no heed at all. For they attest the thing you do not want to know.
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、参考人、証拠、証言」
  • heed [híːd] : 「注意」
  • pay no heed : 「取り合わない、気に留めない、頓着しない、念頭に置かない」
  • attest [ətést] : 「証言する、証明する、〜が正しいと証明する」
❖ "Yet to its witnesses you ~ "「しかし、世界の証言者に対して、あなたはまったく、注意を払っていない」。この世界が幻想に過ぎないと訴える証言者に対して、あなたは無関心でいる。"For they attest ~ "「なぜなら、その証言者達は、あなたが知りたいと思わないものを証言するからなのだ」。あなたは、自分の知覚を信じきって、目にする肉体、目にする世界が実在すると証言する。そこであなたは、あなたの知覚を真っ向から否定する証言者、世界が幻想であると証言する証言者を忌避してきたのだ。あなたの知覚が疑われ、否定されるのが怖いからだ。



They seem to keep it secret from you. Yet you need but learn you chose but not to listen, not to see.
  • need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
  • chose [tʃóuz] : 「choose の過去形」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • listen [lísn] : 「耳を傾ける、傾聴する、聴く、聞く」
❖ "They seem to keep ~ "「証言者達は、あなたに秘密を教えないでいるかのように見えるだろう」。証言者、ある意味で預言者たちは、あなたに対して、世界の秘密を隠して来たかのように、あなたは錯覚している。しかし、預言者達が秘密を隠してきたのではなく、あなたが彼らの言葉を聞かなかっただけなのだ。"Yet you need but ~ "「しかし、あなたが、聞きもせず、見ることもしない選択をしたのだと、あなたは学ぶ必要があるのだ」。その経緯を知った今、あなたは素直に、ホーリー・スピリットの言葉に耳を傾けるべきなのだ。あなたの心の、神聖で純粋な部分が発する声を聞くべきなのだ。そうすれば、あなたは世界の秘密を知ることが出来る。真実を知るのだ。
 
 
 


T-27.VIII.9:1 ~ T-27.VIII.10:6

9. In gentle laughter does the Holy Spirit perceive the cause, and looks not to effects.
  • gentle [dʒéntl] : 「優しい、穏やかな」
  • laughter [lǽftər] : 「笑い、楽しそうな表情」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、動機、理由」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "In gentle laughter does ~ "「優しい微笑みを浮かべながら、ホーリー・スピリットは、結果を見るのではなく、原因を知覚する」。あなたが、この幻想世界で苦に虐げられているという結果に目をやるのではなく、ホーリー・スピリットは、そもそもなぜ神の子が幻想世界を偽創造したのか、その原因に目を向けている。



How else could He correct your error, who have overlooked the cause entirely?
  • else [éls] : 「別の方法で、ほかに」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す、補正する」
  • error [érər] : 「誤り、間違い、ミス、誤字、誤用、過失」
  • overlook [òuvərlúk] : 「見落とす、見過ごす、大目に見る、許す」
  • entirely [intáiərli] : 「全く、完全に、全体に、ひたすら」
❖ "How else could He ~ "「そうでなかったら、どうしてホーリー・スピリットは、あなたの過ちを正せるだろうか」。"who have overlooked ~ "「過ちを犯したあなたは、原因を完全に見過ごしているのだから」。病気と同様に、原因が分からなかったら、治療の方法が分からないのだ。逆に、過ちを正すには、その原因に目を向ければいいのだ。



He bids you bring each terrible effect to Him that you may look together on its foolish cause and laugh with Him a while.
  • bid [bíd] : 「命じる、命令する、指示する」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • terrible [térəbl] : 「恐ろしい、怖い、ひどく悪い、ぶざまな」
  • together [təɡéðər] : 「一緒に、同時に」
  • foolish [fúːliʃ] : 「ばかばかしい、思慮のない、愚かな、ばかげた」
  • laugh [lǽf] : 「笑い声を上げる、笑う」
  • while [hwáil] : 「少しの時間、時間、期間」
❖ "He bids you bring ~ "「ホーリー・スピリットは、悲惨な結果を一つ一つ、ホーリー・スピリットの元へ持って来るように、あなたに指示を出している」。"that you may look ~ "ここの"that"は"so that"のこと、「〜するために、その結果」、「そうすれば、あなたはホーリー・スピリットと一緒に、その愚かな原因を見ることが出来、しばしホーリー・スピリットと笑い合えるのだ」。神の子が、神なしでも神のように生きていけないかと思ったことが、そもそもの原因であった。ACIMでは、これを"a tiny mad idea"「小さな狂った思い」と表現している。したがって、それは「愚かな原因」なのだ。その愚かさに、ホーリー・スピリットは気付かせてくれる。



You judge effects, but He has judged their cause. And by His judgment are effects removed.
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を判断する、〜を審査する」
  • judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、意見、分別」
  • remove [rimúːv] : 「取り除く、取り去る、取り外す、除去する」
❖ "You judge effects, but ~ "「あなたは結果を判断するが、ホーリー・スピリットは結果を生み出す原因を判断する」。"And by His ~ "「そして、ホーリー・スピリットが原因を判断することで、結果は取り除かれるのだ」。原因は幻想を抱いたことである。あなたはその幻想の結果を判断し、他者が自分を攻撃し苦しめていると判断するだろうが、ホーリー・スピリットは、そもそもの幻想の原因を判断する。幻想の原因を修正するのだから、幻想という結果は消滅するのだ。消臭剤の宣伝文句ではないが、『元から断たなきゃダメ』なのだ。



Perhaps you come in tears. But hear Him say, "My brother, holy Son of God, behold your idle dream, in which this could occur. "
  • perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • tear [tíər] : 「涙、涙液」
  • in tears : 「涙を浮かべて、泣いて、涙ながらに、泣く泣く」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • idle [áidl] : 「怠けた、怠惰な、ぐうたらな、何もしない」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
❖ "Perhaps you come ~ "「たぶん、あなたは、涙を流しながら、(ホーリー・スピリットの元へ)やって来るだろう」。悲惨にくれながら、ホーリー・スピリットの助けを求めて来るだろう。"But hear Him say ~ "「しかし、ホーリー・スピリットが次のように語ることを聞きなさい」。" "My brother, holy ~ "「『兄弟よ、神聖な神の子よ、怠惰な夢をしっかり見てみなさい」。"in which this.""「この中で、このことが起きているのだ』」。あなたはこの世界で苦を体験しているが、それは怠惰な夢なのであって、すべては、夢の中で起きていることなのだ。



And you will leave the holy instant with your laughter and your brother's joined with His.
  • leave [líːv] : 「〜から離れる、〜を残す、〜を後にする」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • join [dʒɔ́in] : 「〜と交わる、〜と一緒になる、結合する、連結する」
❖ "And you will leave ~ "「そして、あなたは笑いながら、また、ホーリー・スピリットと一緒に同胞も笑いながら、聖なる瞬間を後にすることだろう」。すべての原因が夢にあったのだと分かった聖なる瞬間、あなたも同胞も、ホーリー・スピリットと一緒になって、それを知った喜びに満ちあふれ、笑いのうちに聖なる瞬間を後にすることとなる。



10. The secret of salvation is but this: that you are doing this unto yourself.
  • secret [síːkrət] : 「秘密、機密、内緒事、秘伝、秘訣、極意」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
❖ "The secret of salvation ~ "「救いの秘密とは、こういうことなのだ」。"that you are doing ~ "「つまり、あなたは、このことをあなた自身に対してやっているのだ」。救いの秘密とは、幻想を消滅させることである。あなたが夢を見ていることを認識し、受け入れ受け流し、赦してしまえばいいのだ。それを、あなたはあなた自身に対して行わなくてはならない。それが、救いの秘訣である。



No matter what the form of the attack, this still is true. Whoever takes the role of enemy and of attacker, still is this the truth.
  • no matter what :「たとえ何が〜であろうとも」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の

  • whoever [huːévər] : 「誰が〜でも、誰を〜しても」
  • role [róul] : 「役、役目、役割、任務、職務」
  • take the role of : 「〜の役を演じる」
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」
  • attacker [ətǽkər] : 「攻撃者、攻撃する人」
❖ "No matter what the form ~ "「攻撃がどんな形でなされようと、なお、これは正しいのだ」。攻撃がどんな形をとろうとも、それが幻想であり、赦すことで消滅するという事実には変わりない。救いの秘密は、この場合も正しいのだ。"Whoever takes the role ~ "「誰が敵の役割と担おうとも、攻撃者の役割を担おうとも、なお、これは正しい」。誰が攻撃者でも敵でも、それは幻想であり、赦すことで消滅する事実に変化はない。救いの秘密は、この場合も正しいのだ。



Whatever seems to be the cause of any pain and suffering you feel, this is still true.
  • whatever [hwʌtévər] : 「〜するのは何でも」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛、苦痛、骨折り」
  • suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
  • feel [fíːl] : 「感じがする、感じる」
❖ "Whatever seems to be ~ "「あなたが感じる痛みや苦しみの原因が何であっても、なお、これは正しいのだ」。あなたの痛みも苦しみも幻想であって、それを赦せば、痛みや苦しみは消滅する。救いの秘密は、この場合も正しい。



For you would not react at all to figures in a dream you knew that you were dreaming.
  • react [riǽkt] : 「反応する、反応を示す、対処する、反撃を行う」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
  • figure [fíɡjər] : 「姿、人影、人物、形、形状」
  • knew [njúː] : 「know の過去形」
❖ "For you would not ~ "「なぜなら、あなたが夢を見ているとあなたが知っている夢の中の登場人物に対して、まったくあなたは反応したいと思わないからだ」。夢の中の攻撃者に対して、あなたは夢を見ているだけだと知っているなら、抵抗することはあるまい。夢を見ていると知っていて、夢の中で痛みを感じたなら、その痛みにすら反応することなく、放っておくだろう。同じように、この幻想世界の攻撃に対しても、痛みや苦しみに対しても、それが幻想であると知っているなら、抵抗する必要はないのだ。幻想として赦してしまえるのである。それが、救いの秘密である。救いの秘訣である。蛇足になるが、これが真の『無抵抗主義』である。無抵抗主義とは、攻撃されるままに任せよ、殺されるままに任せよ、と言っているのではない。攻撃されたら反撃していいのだ。殺されそうになったら、相手をやっつけてもいいのだ。真の無抵抗主義は、そんなレベルのことを言っているのではない。攻撃であろうと殺しであろうと、そんなことは幻想だと、宣言していることなのである。



Let them be as hateful and as vicious as they may, they could have no effect on you unless you failed to recognize it is your dream.
  • hateful [héitfl] : 「憎らしい、不愉快な、憎しみに満ちた、憎い」
  • vicious [víʃəs] : 「意地の悪い、悪意のある、卑劣な、悪しき」
  • have no effect on : 「〜には影響がない」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • fail [féil] : 「失敗する、しくじる」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
❖ "Let them be as hateful ~ "「それらが憎しみでも悪意でも、そのままにしておこう」。"they could have no effect ~ "「あなたが、それはあなたの夢に過ぎないのだということを認識し損なわない限り、それらはあなたに影響を与えることは出来ないのだ」。攻撃も痛みも苦しみも、それが幻想に過ぎないと正しく認識することが出来れば、それらはあなたに何の影響も与えることは出来ないのだ。それらは、単なる夢の出来事に過ぎないのだから。これが、真の無抵抗主義である。誰一人、何ものも、あなたを傷つけることは出来ないのだ。
 
 
 



T-27.VIII.7:1 ~ T-27.VIII.8:7

7. A timelessness in which is time made real; a part of God that can attack itself; a separate brother as an enemy; a mind within a body all are forms of circularity whose ending starts at its beginning, ending at its cause.
  • timelessness [táimlisnis] : 「無時間、時間の存在しないこと」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • part [pάːrt] : 「一部、部分」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
  • circularity [sə̀ːrkjulǽrəti] : 「円形、真円度、環状、循環性、堂々めぐり」
  • ending [éndiŋ] : 「終わり、終了、終点、末尾」
  • start [stάːrt] : 「始まる、着手する、事を起こす」
  • beginning [bigíniŋ] : 「初め、開始、始まり、発端、起源」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
❖ "A timelessness in which is ~ "意訳していく、「時間が実在するように見せかけられた無時間性、」"a part of God that ~ "「自己を攻撃出来るとされた、神の一部である神の子、」"a separate brother ~ "「敵と見なせる、分離した同胞、」"a mind within ~ "「肉体の内側に閉じこめられた心、」"all are forms of circularity ~ "「これらはすべて、循環論法の形をとっているのだ」。"whose ending starts ~ "「それは、始まりの場所から終わりが始まり、原因のある場所で終わっているものなのだ」。循環論法とは、AはBゆえに正しく、BはCゆえに正しく、CはAゆえに正しく、よってAの正しさが証明された、というもの。たとえば、『聖書は正しい。なぜなら、聖書は神の言葉であり、神は正しいからだ』とか、『科学は真実である。なぜなら、科学は真実しか取り扱わないからだ』などは循環論法。では、一つ一つ見てみよう。"A timelessness in which is time made real"「時間が実在するように見せかけられた無時間性」とは、『無時間性とは、無限の時間を意味する。したがって、無時間性とは、時間そのものの存在を証明している』といった感じ。"a part of God that can attack itself"「自己を攻撃出来るとされた、神の一部である神の子」とは、『神は万能である。したがって、神は自己を攻撃出来る。神の子は神が創造した神の一部である。したがって、神の子は自己を攻撃できる』といった感じ。"a separate brother as an enemy"「敵と見なせる、分離した同胞」とは、『同胞は、自分とは分離した存在である。したがって、同胞は他者である。他者とは、生存を競うものであり、その意味で敵である。したがって、他者は敵である』といった感じ。"a mind within a body"「肉体の内側に閉じこめられた心」とは、『存在とは、空間を占有するものである。肉体は空間を占有している。したがって、肉体は存在する。心は、空間を占有しない。したがって、心はそれ自体として存在出来ない。したがって、心は、肉体が作り上げたものであり、肉体の内部にある』といった感じ。どれもこれも循環論法であり、出発点から理由を辿っていくと出発点に戻ってしまうのだ。ちょうど、自分のしっぽを呑み込もうとしてる蛇と同じようなものなのである。蛇足になるが、世の中で、原理主義にかぶれている連中は、ほとんど、この循環論法に陥っている。たとえば、『神は正しい。聖典は神の言葉である。聖典は、神の名において悪を駆逐せよと教えている。したがって、悪をテロによって駆逐することは正しいのだ』。



The world you see depicts exactly what you thought you did.
  • depict [dipíkt] : 「描く、描写する、表現する」
  • exactly [iɡzǽktli] : 「正確に、厳密に、ぴったり、そのとおりに」
  • thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
❖ "The world you see ~ "「あなたが見ている世界は、あなたが成したと思ったことを正確に描写している」。ここの、"what you thought you did"「あなたが成したと思ったこと」とは、「あなたが望んだこと」という意味にとらえていいだろう。想念は現実化する。ましてや、夢を見ているのだから、あなたの想念、思いが夢を構成しているのだ。世界が描いて見せている光景こそ、あなたの心が夢の中で描いているものなのだ。



Except that now you think that what you did is being done to you.
  • except [iksépt] : 「ただし、〜を除いて」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "Except that now you ~ "「ただし、今のところ、あなたが成したことはあなたに成されたことだと、あなたは思っている」。本当は自演の夢なのだが、あなたは、夢の中で他者によって攻撃されていると思っている。裏を返せば、あなたは無意識に他者を攻撃したいと思っているのであり、主客逆転して夢に表れているだけなのだ。



The guilt for what you thought is being placed outside yourself, and on a guilty world that dreams your dreams and thinks your thoughts instead of you.
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する、取り付ける、収納する」
  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
  • guilty [gílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • instead [instéd] of : 「〜の代わりに」
❖ "The guilt for what ~ "「あなたが思ったことに対する罪の意識は、あなたの外側に置かれる」。"and on a guilty world that ~ "「つまり、あなたの夢を夢に見、あなたに代わってあなたの思いを思っている世界の上に、罪の意識を置くのである」。あなたは他者を攻撃したいと無意識に思っているのだが、それに対して罪の意識が働いている。その罪の意識をごまかす為に、罪の意識を心の外に置いてしまうのである。そうすれば、攻撃するのは他者であり、他者にこそ罪はある、ということになるのだ。世界は幻想であり、その意味で、世界は夢を見ている。その世界の夢にあなたが登場し、世界の夢の中であなた自身も夢を見ているのだ。あなたの夢は世界に投射され、あたかも、世界はあなたに代わって思いを抱いているかのようだ。だから、あなたの抱いた罪の意識も世界に投射され、悪いのはあなたではなく、世界が悪い、ということになる。あなたに苦を強いているのは、世界だと、あなたは主張するのである。



It brings its vengeance, not your own. It keeps you narrowly confined within a body, which it punishes because of all the sinful things the body does within its dream.
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復、あだ討ち」
  • keep : 「〜の状態にしておく、〜の状態を保つ」
  • narrowly [nǽrouli] : 「辛うじて、間一髪で、窮屈に、狭く」
  • confined [kənfáind] : 「限られた、狭い」
  • punish [pʌ́niʃ] : 「〜を罰する、〜を懲らしめる」
  • because of : 「〜のために、〜のせいで」
  • sinful [sínfl] : 「罪深い、邪悪な」
❖ "It brings its vengeance ~ "「罪の意識は、復讐をもたらすが、それはあなた自身の復讐ではない」。罪の意思を投射された世界は、あなたに対して悪でなければならない。悪いのは世界であって、あなた自身は悪くないという思いを投射したからだ。したがって、世界があなたに復讐するのであり、あなたが世界に復讐するのではない、ということになる。"It keeps you narrowly ~ "「罪の意識は、あなたを、かろうじて肉体の中に閉じこめておく」。悪いのは世界であり、自分は悪くないという思いを確実なものにするために、世界に対峙する自分の肉体を確保するのである。世界と自分を完全に分離しておこうとするのだ。世界と融合するのではなく、世界と隔絶する為に、自分を肉体の中に閉じこめてしまうのである。"which it punishes because ~ "「夢の中で肉体が成したあらゆる罪深い行いのために、罪の意識は肉体を罰するのである」。あなたは自分の攻撃性や嫉妬心、怒り、不正、等々を、自分の目から隠す為に世界の上に投射した。しかし、本当は、あなたの心に中にこそ、攻撃性や嫉妬心、怒り、不正はあるのであって、それに対する罪の意識は、無意識のうちに自分を攻撃するのである。つまり、自分であるところの肉体を攻撃し、痛みをもたらすのだ。病を発症させ、痛みと苦しみをもたらし、そして、死に誘い込もうとするのである。罪の意識は肉体を罰する、というわけだ。



You have no power to make the body stop its evil deeds because you did not make it, and cannot control its actions nor its purpose nor its fate.
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力」
  • stop [stɔ́p] : 「止める、中断する」
  • evil [íːvl] : 「悪い、害を与える、邪悪な」
  • deed [díːd] : 「行為、行い、行動」
  • control [kəntróul] : 「支配する、抑える、制御する」
  • action [ǽkʃən] : 「行動、振る舞い、活動、行為」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • fate [féit] : 「運命、宿命、命運、予言」
❖ "You have no power ~ "「あなたは、肉体に対して、その悪い行いを止めさせるパワーを持ってはいない」。"because you did ~ "「なぜなら、あなたは肉体を作ったのではないからだ」。肉体を偽創造したのは眠れる神の子であって、その夢の中に登場するあなた自身ではない。"and cannot control ~ "「したがって、あなたは、肉体の行動も、肉体の目的も、肉体の運命も、コントロールすることは出来ないのだ」。肉体があなたを支配し、コントロールしているのであって、あなたが肉体をコントロールしているのではない。夢の中であなたは、肉体に対して、主導権を与えたのだ。なぜなら、あなたは、肉体に対して、それだけが自分であると思っているからだ。



8. The world but demonstrates an ancient truth; you will believe that others do to you exactly what you think you did to them.
  • demonstrate [démənstrèit] : 「実演する、実証する、はっきり示す」
  • ancient [éinʃənt] : 「太古からの、古い、古来の」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • exactly [iɡzǽktli] : 「正確に、厳密に、ぴったり、まさしく」
❖ "The world but demonstrates ~ "「世界は、昔からの真実を実証して見せているに過ぎない」。それは、"you will believe that ~ "「あなたが他者に対して行ったことが、正確に、他者があなたに対して行うのだと、あなたは信じることになろう」。あなたは世界の夢に登場し、その夢の中で、あなた自身も夢を見ている。その、あなたの夢が世界に反映し、世界は動いていく。あなたが夢の中で想念したことは、そのまま、世界に反映して、あなたに影響するのだ。世界が結果なら、あなたは原因である。あなたが他者に対して行うことが原因となって、他者はあなたに対して行うことを結果するのである。



But once deluded into blaming them you will not see the cause of what they do, because you want the guilt to rest on them.
  • once [wʌ́ns] : 「いったん〜すると、ひとたび〜すれば」
  • delude [dilúːd] : 「だます、欺く」
  • blame [bléim] : 「非難する、とがめる、責める」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、動機、理由」
  • rest [rést] : 「ある、置かれている」
❖ "But once deluded into ~ "「しかし、ひとたび騙されて、他者を責めたりしたら、あなたは、他者が行ったことの原因を知ることは出来なくなってしまうのだ」。ひとたび、あなたが自分自身を騙して、他者があなたを攻撃したことを責めたりしたら、他者があなたに対して行ったことは、あなた自身が他者に対して行ったことだと理解することが出来なくなってしまう。"because you want ~ "「なぜなら、あなたは、罪は他者にあると思いたいからだ」。あなたは、攻撃した他者が悪いのであって、非があるのは他者であり、他者に罪がると信じたいのである。そうすれば、罪の原因が自分自身にあることが隠せるし、自分を騙せるからだ。そもそも、あなたが他者を攻撃したいと思ったのであり、その思いが現実化して、他者があなたを攻撃したのである。攻撃した他者を責めることに熱中するあまり、そのからくりに、あなたは気付くことがない。



How childish is the petulant device to keep your innocence by pushing guilt outside yourself, but never letting go!
  • childish [tʃáildiʃ] : 「子供みたいな、子供じみた、子供っぽい、幼稚な」
  • petulant [pétʃulənt] : 「短気な、こらえ性のない、怒りっぽい、不機嫌な」
  • device [diváis] : 「計画、策略、機器、装置、手段、仕掛け、工夫」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢」
  • push [púʃ] : 「〜を押す、押し付ける」
  • let go : 「あきらめる、手を放す」
❖ "How childish is ~ "「罪をあなた自身の外に押し出し、かと言って手放すこともしないで、あなたの潔白性を保とうとするような、姑息な策略は、なんとも子供っぽいではないか」。自分の罪を他者に押し付け、自分の目には見えないようにしておき、自分は潔白などと宣言することは、子供にも劣る姑息な行為である。



It is not easy to perceive the jest when all around you do your eyes behold its heavy consequences, but without their trifling cause.
  • easy [íːzi] : 「たやすい、やさしい、容易な、簡単な」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • jest [dʒést] : 「冗談、しゃれ、からかい、冷やかし、笑い物」
  • around [əráund] : 「〜の周りに、〜の周囲に」
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • heavy [hévi] : 「重い、激しい、重大な、重要な、大切な」
  • consequence [kɑ́nsəkwèns] : 「結果、結論、結末、重大さ、重大性」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • trifling [tráifliŋ] : 「取るに足りない、つまらない、わずかな、軽薄な」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、動機、理由」
❖ "It is not easy to perceive ~ "「あなたの周り全体に、あなたの目が、罪の意識のもつ重大な結果を目撃しているとき、そのつまらない原因がわからなかったなら、それを冗談だと知覚することは容易なことではない」。あなたは世界から苦という重大な結果を強いられているのだが、その原因は、あなたが自分の罪を他者に押し付けたことにあるのだと、つまり、原因は非常につまらないことなのだと気付かなければ、幻想の苦を、単なる夢に過ぎない冗談なのだと笑い飛ばすことは難しい。



Without the cause do its effects seem serious and sad indeed.
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • serious [síəriəs] : 「重大な、深刻な、本格的な、ただならぬ」
  • sad [sǽd] : 「悲しい、悲しげな、悲しむべき、無念な」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも、実際に」
❖ "Without the cause ~ "「原因がわかないので、その結果が、深刻でいかにも悲しげに見えるのだ」。この世界で生きていく苦しさという結果だけを見ているので、いかにも深刻で悲惨に思えるだろうが、その原因が、何のことはない、あなたが罪の意識を他者に押し付けたせいだと知れば、自分の愚かさに気付いて赤面し、笑ってしまうに違いないのだ。



Yet they but follow. And it is their cause that follows nothing and is but a jest.
  • follow [fάlou] : 「〜に続く、〜の次に来る」
❖ "Yet they but follow"「しかし、結果は原因に続くのである」。原因なくして結果なし。"And it is their cause that ~ "「そして、それは、無なるものから出てきた原因、冗談に過ぎない原因なのだ」。あなたの苦は、あなたの罪を他者に押し付けたという原因をもっている。ところが、そもそもその罪とは幻想に過ぎないのであり、つまり、罪は無から湧き出たものに過ぎないので、罪を実在だと信じたこと自体がお笑い草なのだ。冗談に過ぎないのである。したがって、苦なる人生は茶番なのだ。罪なる人生は茶番なのだ。逆に、言い換えれば、愛と喜びの人生こそ、天の王国へもっとも近い人生なのである。
 
 
 


T-27.VIII.5:1 ~ T-27.VIII.6:5

5. How willing are you to escape effects of all the dreams the world has ever had?
  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する、〜する用意がある」
  • escape [iskéip] : 「逃げる、ずらかる、脱出する、抜ける」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "How willing are you to ~ "「この世界が今まで見てきたあらゆる夢の影響から逃れたいと、あなたはどれくらい望んでいるだろうか」。あなたには、幻想世界から逃れて、実相世界に目覚めたいという気持ちがどれくらいあるだろうか。それが可能かどうかは、あなたの意思の強さ、望みの強さで決まる。



Is it your wish to let no dream appear to be the cause of what it is you do?
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる、現れる、出現する」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
❖ "Is it your wish to let ~ "「いかなる夢も、あなたが成すことの原因であるかのように見せたくないと、あなたは望むだろうか」。回りくどい表現をしているのだが、要するに、夢を動機として行動したくないという意思があるか、ということ。たとえば、権力という幻想を欲しいと思って、つまり、権力という幻想を原因として、行動するようなことを否定する気持ちがあるだろうか、ということ。一言で言えば、何かを行動する上で、幻想ではなく真実が欲しいと、心から思っているだろうか、ということ。



Then let us merely look upon the dream's beginning, for the part you see is but the second part, whose cause lies in the first.
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • look upon : 「〜を見る」
  • beginning [bigíniŋ] : 「初め、開始、始まり、発端、起源」
  • part [pάːrt] : 「一部、部分」
  • second [sékənd] : 「第2の、2番目の」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • first [fə́ːrst] : 「第一の、一番目の」
❖ "Then let us merely look ~ "「そうであるなら、単に、夢の始まりを見てみよう」。そもそも、幻想の始まりは何であったかを知る必要がある。"for the part you see is ~ "「なぜなら、あなたが見ている夢の部分は、夢の二番目の部分であって、その夢の原因は、一番目の夢の中に存在するからだ」。そもそも、夢の始まりは、実相世界において、神の子が眠りに陥るところから始まる。その夢の中で、幻想世界を幻想し、この世界が展開した。したがって、この世界は、第一の夢の中の、第二の夢なのだ。



No one asleep and dreaming in the world remembers his attack upon himself.
  • asleep [əslíːp] : 「眠っている状態の、就寝中の」
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、記憶している、〜を思い出す」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ "No one asleep and ~ "「この世界で眠りに陥り夢を見ている者は誰も、自分自身を攻撃したことを覚えてはいない」。第一の夢の中で、神からの分離を意思したことは、神の子が自分自身を攻撃したことに等しいのだ。自分を攻撃したとは、自分自身を否定したということ。つまり、神の子は、神から愛されている自分を否定して、神からの分離を夢に見たのである。



No one believes there really was a time when he knew nothing of a body, and could never have conceived this world as real.
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
  • knew [njúː] : 「know の過去形」
  • conceive [kənsíːv] : 「思い付く、心に描く、思い付く、着想する」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "No one believes there ~ "「誰一人として、肉体に関して何も知らず、この世界がリアルだなどと考えもしなかった時が本当にあったことなど、信じてもいない」。神の子が実相世界にあって眠りに陥るまでは、自分に肉体が必要だと考えたこともないし、幻想世界を偽創造してリアルに見せようなどと思ったこともなかった。



He would have seen at once that these ideas are one illusion, too ridiculous for anything but to be laughed away.
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • at once : 「すぐに、瞬時に、早急に、即刻、即座に」
  • idea [aidíːə] : 「考え、着想、発想、見解、意見」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • ridiculous [ridíkjələs] : 「ばかげた、おかしな、とんでもない」
  • laugh [lǽf] away : 「笑い飛ばす、一笑に付す」
❖ "He would have seen ~ "「神の子は、こんな考えは一つの幻想に過ぎず、あまりにも馬鹿ばかしくて、笑い飛ばすしかないと、すぐにでも見破ったかもしれない」。神の子が眠りに陥ってしまわなかったら、神から分離して、こんな馬鹿らしい幻想世界を偽創造するなんて思いもよらなかったろう。そんなことは笑止千万であると思ったに違いない。



How serious they now appear to be! And no one can remember when they would have met with laughter and with disbelief.
  • serious [síəriəs] : 「まじめな、真剣な、本気の、重大な、深刻な」
  • met [mét] : 「meet の過去・過去分詞形」
  • laughter [lǽftər] : 「笑い、笑い声、楽しそうな表情」
  • disbelief [dìsbilíːf] : 「信じないこと、疑惑、疑念、懐疑、不信」
❖ "How serious they ~ "「今や、そんな馬鹿な考えが、何とも深刻に見えることだろう」。"And no one can remember ~ "「しかも、誰一人として、信じることもなく笑って過ごせた時間を思い出すことさえ出来ないのだ」。神から分離して幻想世界を妄想することなど、信じられない愚挙であり、笑うしかないと思えた時があったのだと、今、この幻想世界で暮らす誰も、思い出すことが出来ないのだ。



We can remember this, if we but look directly at their cause. And we will see the grounds for laughter, not a cause for fear.
  • directly [dəréktli] : 「直接に、真っすぐに、率直に」
  • ground [ɡráund] : 「根拠、原因、理由、地面」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ "We can remember ~ "「もし、私たちが、その原因を直接見たならば、私たちは思い出すことが出来るはずだ」。"And we will see ~ "「そして、私たちはそれを、恐れの原因としてではなく、笑いの種として見ることが出来るだろう」。そもそもの原因である神の子の愚挙を、つまり、神からの分離という考えを、恐ろしいことだと感じることなく、ただただ馬鹿らしいことだと知って、笑い飛ばすことが出来るだろう。



6. Let us return the dream he gave away unto the dreamer, who perceives the dream as separate from himself and done to him.
  • return [ritə́ːrn] : 「〜を返す、戻す、返却する、返品する」
  • gave [géiv] : 「give の過去形」
  • give away : 「ただで与える、暴露する」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • separate [sépərət[ : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "Let us return the dream ~ "「放り出された夢を、その夢を見た者に返してやろう」。神の子は夢の中でこの幻想世界を夢見ているのだが、いわば、夢の中でもう一つの夢を無責任に放り出してしまったようなものだ。なぜなら、夢の中の夢を自分で処理することが出来ずに、その夢に苦しめられているからだ。そんな重荷の夢など、もともとの、夢を見ている神の子に返してやって、悪夢に過ぎない幻想世界を終わらせようではないか。"who perceives the dream ~ "「そんな、夢見る神の子は、その夢が自分とは分離したものであって、自分に対して成されたものだと知覚しているのである」。自分で夢を見ているのにもかかわらず、その夢は自分とはかけ離れたものであって、自分に向かって悪意をもって成されたものだと勘違いしているのだ。



Into eternity, where all is one, there crept a tiny, mad idea, at which the Son of God remembered not to laugh.
  • eternity [itə́ːrnəti] : 「永遠、無限」
  • crept [krépt] : 「creep の過去・過去分詞形」
  • creep [kríːp] : 「はう、ゆっくり近づく、忍び寄る」
  • tiny [táini] : 「とても小さい、ちっぽけな、極めて小さな」
  • mad [mǽd] : 「気が狂って、怒って、頭にきて、発狂して」
  • laugh at : 「〜を笑う」
❖ "Into eternity, where ~ "「あらゆるものが、一なるものである永遠性の中に、」つまり、一元論世界である実相世界の中に、"there crept a tiny, mad ~ "「ほんの小さな狂った考えが忍び込み、」"at which the Son of God ~ "「神の子は、それを笑い飛ばしながら思い出すことが出来なくなったのだ」。"a tiny, mad idea"「ほんの小さな狂った考え」とは、神の子が神なしで神のように生きていけないだろうか、という考えのこと。神から分離して、自分が神として生きていこうとする考えのことである。そんな、馬鹿らしい考えが、天の王国に住む神の子の心の中に忍び込み、そして、神の子は深い眠りに陥ったのである。今や、眠りの中で幻想に苦しむ神の子は、そんな馬鹿らしい考えを笑い飛ばすことさえ出来なくなってしまった。



In his forgetting did the thought become a serious idea, and possible of both accomplishment and real effects.
  • forgetting [fərɡétiŋ] : 「忘却、忘れること」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、見解、思考、思索、熟考 」
  • become : 「〜になる」
  • serious [síəriəs] : 「まじめな、真剣な、本気の、重大な、深刻な」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性、可能なこと」
  • both [bóuθ] A and B : 「AもBも、ABいずれも」
  • accomplishment [əkάmpliʃmənt] : 「成就、達成、完成」\
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "In his forgetting ~ "「神の子が(実相世界を)忘れるにしたがい、(ほんの小さな狂った)考えは、深刻な思いになってしまった」。"and possible of both ~ "「そして、その深刻さは現実化し影響を与えることさえ可能となったのだ」。そもそも、馬鹿らしい、ほんの小さな冗談で始まった幻想であったが、事はどんどん深刻化していって、今や神の子は、夢の中で幻想のもたらす結果に苦悩するに至ってしまった。



Together, we can laugh them both away, and understand that time cannot intrude upon eternity.
  • together [təɡéðər] : 「一緒に、同時に」
  • laugh away : 「笑い飛ばす、一笑に付す」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • intrude [intrúːd] : 「侵入する、入り込む、立ち入る」
  • eternity [itə́ːrnəti] : 「永遠、無限」
❖ "Together, we can laugh ~ "「私たちは、一緒になって、 (狂った幻想の現実化もその影響も)両者ともに、笑い飛ばすことが出来るだろうし、」"and understand that ~ "「時間というものは、永遠性の中に侵入し得ないのだと理解出来るのだ」。時間という幻想は、永遠性の実相世界に侵入出来ない。だから、神の子が眠りに陥って幻想世界を夢に見ていた時間すら、永遠不変の実相世界には存在せず、ただ、目覚めるだけですべての幻想は一瞬にして消滅してしまうのである。よく眠ったし、夢を見てしまったなあ、ということで、その夢を笑い飛ばせるのだ。



It is a joke to think that time can come to circumvent eternity, which means there is no time.
  • joke [dʒóuk] : 「冗談、悪ふざけ、つまらないこと」
  • circumvent [sə̀ːrkəmvént] : 「〜を巧みに逃れる、〜の裏をかく、だます、出し抜く」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
❖ "It is a joke to think ~ "「時間が永遠性の裏をかくために生じたと思うのはほんの冗談であり、」 "which means there ~ "「永遠性とは、時間が存在しないことを意味するのである」。永遠性がなくても、たっぷりの時間があれば十分ではないかと、時間は永遠性の裏をかこうとするが、そもそも、永遠性とは無限に長い時間を意味するのではなく、時間そのものが存在しないことを意味するので、時間と永遠性と比較することなど不可能なのだ。だから、無限に長い時間などと言えば、それは冗談に違いないのである。
 
 
 


T-27.VIII.3:1 ~ T-27.VIII.4:5

3. The body's serial adventures, from the time of birth to dying are the theme of every dream the world has ever had.
  • serial [síəriəl] : 「連続している、連続的な」
  • adventure [ædvéntʃər] : 「冒険、危険な冒険、珍しい出来事」
  • birth [bə́ːrθ] : 「出生、出産、分娩、誕生」
  • dying [dáiiŋ] : 「死にかけている、臨終の、消えかけている」
  • theme [θíːm] : 「主題、テーマ、話題、論題」
❖ "The body's serial ~ "「生まれた時から死にゆく時まで、肉体が経験する一連の出来事は、この世界が夢見るあらゆる夢のテーマとなっている」。難しい言い回しをしているのだが、要するに、世界のあらゆる夢の中心に肉体の夢が君臨している、肉体の夢が主要テーマになっている、という意味合い。生まれてから死ぬまで、肉体が経験する出来事が、そのまま世界の夢を形作っているのだ。世界の夢の中に肉体が登場して夢を見、また逆に、肉体の夢の中に世界が登場して夢を見ている、という構造をなしている。夢に内と外を設けるなら、同じ一つの幻想の内側に肉体の夢があり、同じ一つの幻想の外側に世界の夢がある、といった構造である。内と外の区別はあるが、所詮、幻想であることには変わりない。夢はどこにあっても夢に変わりはない。



The "hero" of this dream will never change, nor will its purpose.
  • hero [híərou] : 「主人公、ヒーロー、英雄、偉人」
  • change [tʃéindʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ "The "hero" of this ~ "「この夢の『ヒーロー』は決して変わることはないし、その目的も変化しない」。世界の夢に登場する主人公は、常に肉体である。その肉体がもつ目的性も変化しない。肉体は神の子の分離の象徴であり、肉体を幻想することで、神の子の分離分裂を維持するのだ。それが、肉体のもつ目的性である。そして、さらに輪を掛け、その肉体が罪を負っていると信じ込むことで、肉体は恐れを抱え込む。罪と恐れは、攻撃性を身に付け、他者を攻撃して苦を強いる。結果、ますます、神の子同士の分離は深まっていくのだ。エゴの思考システムがますます補強されていくのである。



Though the dream itself takes many forms, and seems to show a great variety of places and events wherein its "hero" finds itself, the dream has but one purpose, taught in many ways.
  • though [ðóu] : 「〜にもかかわらず、たとえ〜でも」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見」
  • show [ʃóu] : 「見せる、見えるようにする」
  • variety [vəráiəti] : 「種類、品種、多様性、多様さ」
  • a great variety of : 「多種多様の、いろいろな、種々さまざまな」
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所、席」
  • event [ivént] : 「出来事、事件、イベント、行事」
  • wherein [hwεərín] : 「そこで、その場所で」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
  • taught [tɔ́ːt] : 「teach の過去・過去分詞形」
  • teach [tíːtʃ] : 「〜を教える、指導する」
  • in many ways : 「いろいろ、さまざまに、いくらでも」
❖ "Though the dream ~ "「夢自体は、いろいろな形をとり、」"and seems to show ~ "「夢の『ヒーロー』が自分自身を見出す、多種多様な場所や出来事を示しているかに見えるだろうが、」"the dream has but ~ "「夢は、ただ一つの目的をもつに過ぎず、また、いろいろな方法でそれを教えてきた」。夢は様々な様相を呈し、夢の場面や出来事も多種多様であるが、すべてその中心には、夢の『ヒーロー』であるところの肉体が存在している。そして、肉体が一つの目的をもつと同時に、肉体を『ヒーロー』として登場させている夢自体も、肉体と同一の目的をもっているのだ。それは、幻想世界の存在物は、すべて分離し、バラバラに存在しているかように見せることである。一見、統一されているよう見えるものでさえ、時間とともに変化流動し、それは崩壊して、やはりバラバラな存在に分解されてしまうのである。いずれ、形は様々であるが、肉体も夢も、その目的は分離分裂、そして、変化流動なのだ。結局、幻想世界は二元論世界であり、あらゆるものを二元に分離する世界である。愛と憎悪、光と影、プラスとマイナス、陰と陽、喜びと悲しみ、男と女、真実と虚偽、正義と不正、等々、のように、二元に分離する。すると、二つに分離させられたものは相反する力のベクトルをそれぞれもつことになり、そこに力学的な力関係が生じて、力がダイナミックに流動することになる。変化流動が起きるのである。そして、エントロピー増大の法則を持ち出すまでもなく、変化流動する世界は渾沌へ向かう。渾沌は、必ず崩壊へと向かい。形あるものはすべて、壊れ去るのである。



This single lesson does it try to teach again, and still again, and yet once more; that it is cause and not effect. And you are its effect, and cannot be its cause.
  • single [síŋgl] : 「ただ一つの、たった一つの」
  • lesson [lésn] : 「レッスン、教訓、教え」
  • try to do : 「〜しようと試みる」
  • again [əɡéin] : 「再び、かさねて」
  • and yet : 「それなのに、それにもかかわらず、なおかつ」
  • once more : 「もう一度、繰り返して」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "This single lesson ~ "「この一つのレッスンを、肉体は、繰り返し繰り返し、さらに繰り返し、教えようとしている」。"that it is cause ~ "「その結果、肉体は原因であって、決して結果ではない」。肉体は、世界が(肉体も含め)、分離分裂を促し、変化流動していくのだというレッスンを、繰り返し繰り返し示してきた(教えてきた)。その原因となっているのが肉体であり、つまり、肉体という幻想の存在が原因となり、分離分裂、変化流動という結果が生じているのである。"And you are its ~ "「そして、あなたは、肉体の結果であって、その原因にはなり得ないのである」。幻想の肉体的存在が原因となって、分離分裂した神の子であるあなたが結果として生じている。幻想世界では、その逆ではない。つまり、神の子という単一存在が分裂し、それが原因となって、多数の肉体が結果として生じているのではないのだ。あくまでも、幻想の肉体が分離分裂し多数存在しているように見えるから、あなたも同胞も多数存在しているように見えるだけなのだ。もちろん、実相的視点に立って見れば、神の子は分離分裂などしておらず、永遠に単一の存在であり、分離分裂しているかに見える肉体は、当然、錯覚に過ぎないのである。



4. Thus are you not the dreamer, but the dream. And so you wander idly in and out of places and events that it contrives.
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、それ故に、従って」
  • dreamer [dríːmər] : 「夢を見る人、夢想家」
  • wander [wάndər] : 「歩き回る、さまよう」
  • idly [áidli] : 「何もしないで、怠けて、無為に、ぼんやり」
  • in and out : 「出たり入ったりして、見えつ隠れつ」
  • contrive [kəntráiv] : 「企画する、考案する、企む」
❖ "Thus are you not ~ "「こうして、あなたは、夢見る者なのではなく、夢そのものなのだ」。あなたが自分だと思っている自分は、夢の中に登場する夢見る者であり、夢そのものなのだ。実際に夢を見ている実体は、あるいは、幻想を抱いている実体は、実相世界に住まう神の子である。そして、幻想世界にあっては、"And so you wander idly ~ "「あなたは、夢が画策する場所や出来事に、無為に彷徨(さまよ)い、出入りしているだけなのだ」。夢の中の亡者のように、夢に彷徨い、夢に押し流されていく存在、それが、あなたである。



That this is all the body does is true, for it is but a figure in a dream.
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • figure [fíɡjər] : 「形、形状、形態、外観、姿、人影」
❖ "That this is all the body ~ "「肉体がなすことはこれだけだということは正しい」。肉体は夢(幻想)に彷徨うだけだというのは、実相的視点からみ見て、真実である。"for it is but ~ "「なぜなら、肉体は、夢の中の影に過ぎないからだ」。肉体は、夢の中を彷徨う影絵の人形に過ぎない。



But who reacts to figures in a dream unless he sees them as if they were real?
  • react [riǽkt] : 「反応する、反応を示す、対処する」
  • react to : 「〜に反応する」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • as if : 「あたかも〜かのように」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "But who reacts to figures ~ "「夢に出てくる影が、まるで実在であるかのように見えない限り、いったい誰が夢の中の影に反応するだろうか」。夢がリアルであればあるほど、人は夢に反応して、夢の中の影に過ぎない肉体を実在だと勘違いしてしまうのだ。



The instant that he sees them as they are they have no more effects on him, because he understands he gave them their effects by causing them and making them seem real.
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • no more : 「もはや〜しない」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • gave [géiv] : 「give の過去形」
  • cause [kɔ́ːz] : 「〜を引き起こす、〜の原因になる」
  • make : 「〜に〜させる」
❖ "The instant that he ~ "「人が、夢の中の影をあるがままに見ることが出来た瞬間、夢の中の影は、これ以上彼に影響を及ぼすことはない」。夢の中の影が夢に過ぎないこと、幻想や錯覚に過ぎないことを認識すれば、それが肉体であろうがモンスターであろうが、何も恐れる必要はない。夢は影響力を持たないからだ。"because he understands ~ "「なぜなら、夢の中の影を作り出し、それをリアルに見せることによって、彼が、夢の中の影に影響力をもたせることになったのだと理解するからである」。まさに、自作自演なのだ。夢の中に登場する人物を幻想によって作り出し、それをリアルに見せることで、それが実在しているかのように自分に錯覚させるのである。対象が実在だと思えるほどリアルになれば、対象があなたに与える影響力も大きくなる。こうして、あなたは、この世界の存在物も、あなた自身の肉体も、実在だと信じ込んでしまったのだ。幻想世界のこのからくりに気がつけば、その瞬間、あなたは夢や幻想から抜け出すことが出来、夢の中の影から影響を受けることはなくなるのだ。なぜなら、夢の中の影は、目が覚めれば、簡単に消滅してしまうからだ。
 
 
 


T-27.VIII.1:1 ~ T-27.VIII.2:7

 
 
VIII. The "Hero" of the Dream
夢に登場する『ヒーロー』
 
 
 
1. The body is the central figure in the dreaming of the world.
  • central [séntrəl] : 「主要な、中心となる、重要な、支配的な」
  • figure [fíɡjər] : 「姿、人影、象徴、形、形状」
❖ "The body is the central ~ "「肉体は、世界が見る夢の中で、中心的な象徴となる」。幻想の世界にあって、肉体は、数々の幻想を演出する中心的な主役(ヒーロー)となる。肉体は、したがって、幻想を維持存続させるための重要な存在となるのである。言い換えれば、肉体から脱するとき、この幻想世界から脱することが出来るのだ。肉体といかに付き合っていくか、それがこの章のテーマとなる。



There is no dream without it, nor does it exist without the dream in which it acts as if it were a person to be seen and be believed.
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • act [ǽkt] : 「行動する、振る舞う、役割を果たす、演じる」
  • as if : 「あたかも〜かのように、〜と言わぬばかりに」
  • person [pə́ːrsn] : 「個人、人格、人、人物、体、身体」
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
❖ "There is no dream ~ "「肉体を伴わない夢はない」。肉体を排した幻想はあり得ない。"nor does it exist ~ "「また、〜のような夢を伴うことがない肉体も存在しない」。"in which it acts ~ "「肉体が、あたかも、目に見え、存在が信じられるような人格を持ったものとして振る舞うことが出来るような」夢を伴うことがない肉体も存在しない。肉体が、現実的にそこに存在し、動いているのが確信できるような夢を見ているのだ。肉体は、圧倒的にリアルな夢である。リアル過ぎて、その実在性が疑われることがないのだ。



It takes the central place in every dream, which tells the story of how it was made by other bodies, born into the world outside the body, lives a little while and dies, to be united in the dust with other bodies dying like itself.
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所、席」
  • tell [tél] : 「〜に話す、言う、告げる、教える、伝える」
  • story [stɔ́ːri] : 「物語、話、情報、記事」
  • tell the story of : 「〜の話をする、〜の説明をする」
  • born [bɔ́ːrn] : 「生まれる、誕生する、産声を上げる」
  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
  • a little while : 「つかの間、わずかな時間に」
  • die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
  • unite [junáit] : 「結合する、一体となる、一体化する」
  • dust [dʌ́st] : 「ほこり、ちり、煤塵、粉塵、塵埃」
  • dying [dáiiŋ] : 「死にかけている、臨終の、消えかけている」
❖ "It takes the central ~ "「肉体は、あらゆる夢の中心的な位置を占めている」。"which tells the story ~ "「そして、肉体は、それがいかにして他の肉体から作られたか、また、肉体の外へ、世界へといかにして生み出されたか、さらに、肉体は、つかの間の間生きのび、そしてどう死んでいくか、死んだ肉体自体と同様な死にゆく他の肉体と、塵芥(ちりあくた)の中でどう結合させられるか、そういった物語を語るのである」。幻想の肉体がもっているさだめである。



In the brief time allotted it to live, it seeks for other bodies as its friends and enemies. Its safety is its main concern.
  • brief [bríːf] : 「短時間の、短い、短命な、しばらくの」
  • allot [əlɑ́t] : 「〜を割り振る、充てる、割り当てる、配る、分ける」
  • seek [síːk] for : 「〜を探し求める」
  • friend [frénd] : 「友人、仲間、友達、相棒」
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」
  • safety [séifti] : 「安全性、無事、無難なもの」
  • main [méin] : 「主要な、精いっぱいの、主な、中心的な」
  • concern [kənsə́ːrn] : 「関心事、懸案事項、気遣い、懸念、心配、不安」
❖ "In the brief time ~ "「命に割り当てられたほんの短い時間の間に、肉体は、友としての、あるいは敵としての、他の肉体を探す」。"Its safety is ~ "「肉体の安全性が、肉体の最大の関心事ということになる」。ここは、解説は必要ないだろう。



Its comfort is its guiding rule. It tries to look for pleasure, and avoid the things that would be hurtful.
  • comfort [kʌ́mfərt] : 「快適さ、快適性、心地よさ、癒やし、安らぎ」
  • guide [gáid] : 「〜を導く、案内する、〜を指導する」
  • rule [rúːl] : 「規則、ルール、規定、法則、規範」
  • try to do : 「〜しようと試みる」
  • look for : 「〜を探す、〜を期待する」
  • pleasure [pléʒər] : 「び、楽しみ、快楽、楽しいこと、好み」
  • avoid [əvɔ́id] : 「避ける、回避する、逃れる、敬遠する」
  • hurtful [hə́ːrtfəl] : 「傷つける、有害な」
❖ "Its comfort is its ~ "「肉体の快適さが、主導的なルールとなる」。肉体的な快楽追求が、肉体の行動規範となる。"It tries to look for ~ "「肉体は、快楽を追求し、害になりそうなものは排除する」。ここも説明不要。



Above all, it tries to teach itself its pains and joys are different and can be told apart.
  • above all : 「中でも、とりわけ、何にもまして、何よりも」
  • teach [tíːtʃ] : 「〜を教える、指導する」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛、苦痛、骨折り」
  • joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜、喜びの種」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • told [tóuld] : 「tell の過去・過去分詞形」
  • tell [tél] : 「〜を見分ける、分かる」
  • apart [əpάːrt] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに、別々に」
❖ "Above all, it tries to ~ "「とりわけ、肉体は、痛みと快楽が異なるものであり、別々に見分けられると、肉体自身に教えようとする」。ここの"joys"「喜び」は、実相的な真実の喜びを意味するのではなく、幻想世界の快楽を意味している。この世界の痛みも快楽も、共に幻想であり、単一の現象の単なる両端に過ぎないのだが、肉体は、痛みと快楽を分離し、異なった現象として認識するのだ。そして、痛みを悪と評価し、快楽を善と判断する。つまり、一つの幻想を、二元論に合致するように、分離分割し、評価判断するのである。



2. The dreaming of the world takes many forms, because the body seeks in many ways to prove it is autonomous and real.
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき、現れ」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • in many ways : 「いろいろ、さまざまに、いくらでも、いろいろな意味で」
  • prove [prúːv] : 「証明する、〜となる、〜であると分かる、立証する」
  • autonomous [ɔːtɑ́nəməs] : 「自主的な、自立した、自治の」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "The dreaming of ~ "「世界が夢見る夢は、様々な形をとる」。"because the body seeks ~ "「なぜなら、肉体は、肉体が独立した存在であり、実在するものだと、いろいろな手を使って、証明しようとするからである」。幻想を、いかにも実在の実相であると思わせる為に、たとえば、肉体の目は対象を視覚し、耳は音を聞き分け、手は触り心地を提供する。針を刺せば、肉体は痛みを感じ、撫でられれば、快感を覚える。肉体に付属する感覚器官は、すべて、肉体の実在性を証明しているかのようだ。



It puts things on itself that it has bought with little metal discs or paper strips the world proclaims as valuable and real.
  • bought [bɔ́ːt] : 「buy の過去・過去分詞形」
  • metal [métl] : 「金属」
  • disc = disk [dísk] : 「薄い円盤状のもの、円盤」
  • strip [stríp] : 「細長い切れ、細長い一片」
  • proclaim [proukléim] : 「公表する、宣言する、宣告する」
  • valuable [vǽljəbl] : 「役立つ、有益な、重要な、貴重な」
❖ "It puts things on itself ~ "「肉体は、世界が、価値があり実際的であると主張する小さな金属製のディスクや長めの紙切れによって購入された物を、肉体自身に取り付けたりする」。へんてこな表現にちょっと笑ってしまったのだが、肉体は、お金で物を買って着飾る、ということ。しかし、へんてこな表現だと感じる方がおかしいのかもしれない。考えてみれば、金属製のコインや紙製の紙幣が、いかにも大切にされる現実の方が、実相的観点からすれば、ずっとへんてこなのだから。



It works to get them, doing senseless things, and tosses them away for senseless things it does not need and does not even want.
  • senseless [sénslis] : 「無分別な、非常識な、常識がない、無意味な」
  • toss [tɔ́s] away : 「〜をポイと投げ捨てる、〜をポイと脇に置く」
  • need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
❖ "It works to get ~ "「肉体は、それらを手に入れる為に、働く」。"doing senseless ~ "「肉体は意味のない仕事をし、お金を、必要でも欲しくもない、無意味なものに投げ与えてしまう」。何とも、我が耳の痛くなる記述ではある。



It hires other bodies, that they may protect it and collect more senseless things that it can call its own.
  • hire [háiər] : 「雇う、借りる」
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
  • collect [kəlékt] : 「〜を集める、〜をまとめる、収集する」
❖ "It hires other ~ "「肉体は、他の肉体を借りてくる」。"that they may protect ~ "ここの"that"は"so that"のこと、「〜するために、その結果」、「他の肉体が、自分の肉体を守ってくれるように、そして、肉体が自分自身の物だと言えるような意味のない物をより多く集めるために、」他の肉体を借りてくる。一言でいえば、肉体は所有欲にかられる、ということ。肉体と欲は、切っても切れない関係にある。ここでは、肉体の物欲について語っているのだ。



It looks about for special bodies that can share its dream. Sometimes it dreams it is a conqueror of bodies weaker than itself.
  • look about for : 「〜を見回して探す、〜を捜し回る」
  • special [spéʃəl] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • conqueror [kάŋkərər] : 「征服者、勝利者」
  • weak [wíːk] : 「弱い、劣っている、力がない、脆弱な」
❖ "It looks about for ~ "「肉体は、夢を分かち合うことの出来る特別な肉体を探し回る」。ここでは、肉体のもつ肉欲について語っている。性欲というより、肉体的支配欲か。"Sometimes it dreams it ~ "「時には、肉体は、それ自身よりも弱い肉体の征服者になる夢を見る」。自分より弱い肉体の征服者、支配者になろうとする。権力欲もその一つ。



But in some phases of the dream, it is the slave of bodies that would hurt and torture it.
  • phase [féiz] : 「面、相、様相、位相」
  • slave [sléiv] : 「奴隷、捕らわれている人」
  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
  • torture [tɔ́ːrtʃər] : 「〜を拷問にかける、〜に拷問を加える」
❖ "But in some phases ~ "「しかし、夢の、ある相においては、肉体は、肉体を傷つけ責め苛(さいな)む、(別の)肉体の奴隷となることがある」。肉体は、他の肉体の攻撃目標となり、傷つけられたり、破壊されたりする可能性があるのだ。肉体が、弱肉強食の世界を、象徴的に演出している。
 
 
 


T-27.VII.15:1 ~ T-27.VII.16:4

15. Dream softly of your sinless brother, who unites with you in holy innocence.
  • softly [sɔ́ːftli] : 「柔らかく、静かに、優しく、そっと」
  • sinless [sínlis] : 「罪のない、潔白な」
  • unite [junáit] : 「結合する、一体となる、一体化する、合体する」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔、純真」
❖ "Dream softly of ~ "「そっと優しく、罪なき同胞を夢に見なさい」。同胞の罪は幻想だと、優しく認識しなさい。"who unites with ~ "「同胞は、神聖な潔白性の中で、あなたと結びついているのだ」。同胞と同様に、あなたも神の子として潔白であり、その無辜性が、あなたと同胞を結びつけている。完全な無辜の神の子として、あなたと同胞は単一存在なのだ。



And from this dream the Lord of Heaven will Himself awaken His beloved Son.
  • lord [lɔ́ːrd] : 「神」
  • heaven [hévn] : 「天国、天」
  • awaken [əwéikn] : 「目を覚まさせる、目覚める、呼び起こす」
  • beloved [bilʌ́vid] : 「最愛の、いとしい、愛される」
❖ "And from this dream ~ "「この、同胞は潔白であるという夢から、天の王国の神が自ら、愛すべき神の子を目覚めさせてくれるのである」。悪夢を払拭した後、慈愛に満ちた優しい夢を通して、やがて、神の子は実相に目覚める。



Dream of your brother's kindnesses instead of dwelling in your dreams on his mistakes.
  • kindness [káindnis] : 「親切、親切心、思いやり」
  • instead [instéd] of : 「〜の代わりに」
  • dwell [dwél] : 「住む、居住する」
  • mistake [mistéik] : 「誤り、過ち、手違い、誤解」
❖ "Dream of your brother's ~ "「あなたの夢の中で、同胞の過ちにこだわる代わりに、同胞の思いやりを夢見なさい」。同胞は過ちを犯し、罪があると信じていただろうが、それは悪夢に過ぎなかったのだと知って、そんな夢は放棄し、同胞の本当の姿、その優しい思いやりのある姿を、今、優しい夢の中で、夢見なさい。ここでは、あなたに対して同胞という形で記述しているが、同胞とあなたは神の子として単一なので、『同胞』を『あなた』に置き換えて読んでもいいのだ。すると、意味合いとしては、「あなたの夢の中で、あなた自身の過ちにこだわることなく、あなたの思いやりある心を大切にして夢見なさい」といった感じになる。



Select his thoughtfulness to dream about instead of counting up the hurts he gave.
  • select [səlékt] : 「〜を選ぶ、選び出す、抜てきする、選択する」
  • thoughtfulness [θɔ́ːtfəlnis] : 「思慮深さ、心遣い」
  • dream about : 「〜の夢を見る、〜を夢に見る」
  • count [káunt] up : 「〜を数え上げる、合計を出す、計算する」
  • hurt [hə́ːrt] : 「傷、けが、苦痛、痛み」
  • gave [géiv] : 「give の過去形」
❖ "Select his thoughtfulness ~ "「同胞があなたに与えた苦痛を数え上げる代わりに、同胞の心遣いを夢に見るべきものとして選択しなさい」。ここは、この通りでいいだろう。



Forgive him his illusions, and give thanks to him for all the helpfulness he gave.
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • forgive A B : 「AのBを赦す」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • give thanks to : 「〜に礼を述べる、〜感謝をささげる」
  • helpfulness [hélpfəlnis] : 「助けになること、有用性」
❖ "Forgive him his ~ "「同胞の幻想を赦しなさい」。同胞に罪があるという幻想を、しっかり幻想と見極めて、それを受け入れ受け流し、赦して、罪という幻想を消滅させなさい。"and give thanks ~ "「そして、同胞が与えてくれたあらゆる助けに対して、同胞に感謝しなさい」。



And do not brush aside his many gifts because he is not perfect in your dreams.
  • brush [brʌ́ʃ] : 「〜を払い落とす、〜を無視する」
  • aside [əsáid] : 「わきへ、離れて、それて、はずれて」
  • brush aside : 「払いのける、無視する」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「完璧な、完全な」
❖ "And do not brush ~ "「そして、〜だからと言って、同胞が与えてくれた多くの贈り物を無視してはいけない」。"because he is not ~ "「彼は、あなたの夢の中で完璧ではなかったのだからと言って、」同胞が与えてくれた多くの贈り物を無視してはいけない。あなたも、同胞に罪があると思い込み、同胞もまた、あなたに罪があると思い込んでいた。共に、完璧な神の子として存在してたわけではない。共に、嫌な夢を見ていただけなのだ。



He represents his Father, Whom you see as offering both life and death to you.
  • represent [rèprizént] : 「〜の代理人になる、〜を表す、描く」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • both [bóuθ] A and B : 「AもBも、ABいずれも、AのみならずBもまた」
  • life [láif] : 「命、人命、生命、寿命」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
❖ "He represents ~ "「同胞は、父なる神を表しているのだ」。同胞は、神の子として神と共におり、神を表している。もちろん、あなたも神と一体であり、神を表しているのだ。"Whom you see ~ "「あなたは、そんな神を、あなたに命と死の両方を差し出す者として、見てきたのである」。あなたは、神から命を授かったと同時に、神はあなたの運命を握り、死さえも与える者として、神を見てきた。それは、誤りである。神の代理でもある同胞が、あなたに攻撃を加え、あなたに苦を強いたために、あなたは、そう思っているかもしれないが、それが、そもそも幻想なのだ。悪夢だったのだ。神は決して、あなたに死を与えない。神は苦痛を与えることもない。あなたの信仰心を試すことも、あなたに怒りを覚えることもない。神は、嫉妬することも、復讐することもないのだ。もちろん、もちろん、自然災害を起こして、人々を抹殺することなど、決して、断じて神は行わない。旧約聖書に登場する神は、偽物の神である。



16. Brother, He gives but life. Yet what you see as gifts your brother offers represent the gifts you dream your Father gives to you.
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する」
❖ "Brother, He ~ "「兄弟よ、神は命しか与えないのだ」。"Yet what you see ~ "「しかし、あなたの同胞があなたに与えた贈り物としてあなたが見るものは、あなたの父なる神があなたに与えたとあなたが夢に見る贈り物を表している」。非常にややこしい表現をしているのだが、要するに、同胞があなたに与えたものは、神があなたに与えたものだと、あなたは夢の中で考えていた、ということ。だから、同胞があなたを攻撃し、あなたに苦痛を与えたとき、それは、神がそうしたものだと、あなたは思い込んだのだ。神が、同胞を通じて、あなたに苦という罰を下していると勘違いしてきたのだ。罪と恐れと苦の運命を、神があなたに与えたものと、あなたは信じてきたのだ。それは、完全に誤りである。神の名誉にかけて、それは、断じて誤りである。



Let all your brother's gifts be seen in light of charity and kindness offered you.
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • in light of : 「〜に照らして、〜の観点から」
  • charity [tʃǽrəti] : 「慈悲、寛容、思いやり」
  • kindness [káindnis] : 「親切、親切心、思いやり」
❖ "Let all your brother's ~ "「同胞からの贈り物を、あなたに差し出された慈悲と思いやりの光に当てて、よく見てみなさい」。同胞からの贈り物を、愛を持って見つめ直せば、そこに愛が見えてくるはずだ。同胞があなたに苦を与えたことは幻想であり、悪夢であって、同胞は、本当はそんなものをあなたに与えたのではないとわかるのである。



And let no pain disturb your dream of deep appreciation for his gifts to you.
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛、苦痛」
  • disturb [distə́ːrb] : 「〜を妨げる、邪魔をする、阻害する、乱す」
  • deep [díːp] : 「深い、深さのある」
  • appreciation [əprìːʃiéiʃən] : 「正しい評価、感謝」
❖ "And let no pain ~ "「いかなる苦痛も、同胞があなたに与えてくれた贈り物への深い感謝という夢をかき乱すことがないようにしなさい」。苦痛は幻想である。感謝は実相である。幻想の苦痛が、実相の感謝をかき消してしまわないようにしなさい。幻想に騙されないようにしなさい。
 
 
 


T-27.VII.13:1 ~ T-27.VII.14:8

13. You are the dreamer of the world of dreams. No other cause it has, nor ever will.
  • dreamer [dríːmər] : 「夢を見る人、夢想家」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
❖ "You are the dreamer ~ "「あなたは、夢見る世界の夢見る人である」。あなたは、幻想世界の中に住んで、幻想しているのだ。目に見える世界も、目に見えるあなたも、現実ではない。"No other cause ~ "意訳する、「世界は、夢以外の存在原因を持っていないし、持つこともない」。世界は単なる幻想であって、それ以上の意味はない。存在原因、存在理由がないのだ。なぜなら、そもそも存在していないからだ。



Nothing more fearful than an idle dream has terrified God's Son, and made him think that he has lost his innocence, denied his Father, and made war upon himself.
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
  • idle [áidl] : 「怠けた、怠惰な、ぐうたらな、遊んでいる」
  • terrify [térəfài] : 「脅かす、怖がらせる、恐れさせる」
  • lost [lɔ́st] : 「lose の過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
❖ "Nothing more fearful ~ "「怠惰な夢以上に恐ろしくないものが、神の子を恐れさせ、」つまり、怠惰な夢に過ぎない幻想が、神の子を恐怖に陥れ、"and made him think ~ "「神の子に、その潔白性を失ったと思わせ、父なる神を否定し、自分自身に争いをもたらしているのだ」。「神の子に、その潔白性を失ったと思わせ」とは、神を裏切った罪があると思わせ、という意味合い。「父なる神を否定し」とは、罪に対して神が罰を与えるに違いないと思い込んで、怒り狂い復讐する神を拒絶すること。



So fearful is the dream, so seeming real, he could not waken to reality without the sweat of terror and a scream of mortal fear, unless a gentler dream preceded his awaking, and allowed his calmer mind to welcome, not to fear, the Voice that calls with love to waken him; a gentler dream, in which his suffering was healed and where his brother was his friend.
  • seeming [síːmiŋ] : 「外観上の、外見だけの、見せかけの」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • waken [wéikn] : 「目覚める」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • sweat [[swét] : 「汗」
  • terror [térər] : 「恐怖、テロ」
  • scream [skríːm] : 「悲鳴、叫び」
  • mortal [mɔ́ːrtl] : 「を免れない、死すべき、死ぬべき運命の、死ぬ運命にある」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて、もし〜でなければ」
  • gentle [dʒéntl] : 「優しい、穏やかな、なだらかな」
  • precede [prisíːd] : 「〜に先行する、先んじる、先立つ、〜の先に立つ」
  • awake [əwéik] : 「目が覚める、起きる」
  • allow [əláu] : 「〜を許す、許可する、許容する、可能にする」
  • calm [kɑ́ːm] : 「穏やかな、静かな、冷静な、落ち着いた」
  • welcome [wélkəm] : 「温かく迎え入れる、歓迎する、喜んで受け入れる」
  • waken [wéikn] : 「〜を起こす、〜を奮起させる、〜に目を覚まさせる」
  • suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
❖ "So fearful is the dream ~ "「〜でない限り、夢があまりにも恐ろしく、あまりにも見かけ上リアルであるので、」"he could not waken ~ "「神の子は、恐れからの脂汗なしに、そして、死の恐怖の叫びなしに、現実に目覚めることは出来ない」。"unless a gentler dream ~ "「目覚めに先立つ優しい夢なしに、」現実に目覚めることは出来ない。"and allowed his ~ "「そして、神の子の穏やかな心が、愛をもって神の子を起こそうとする呼びかけの声に、恐れれずに、歓迎することを許すことなしに、」現実に目覚めることは出来ない。"in which his suffering ~ "「その優しい夢の中で、神の子の苦しみは癒され、同胞が神の子の友となるのである」。恐ろしい悪夢から目覚めるためには、その前に、優しい夢を見て、心を和ませないといけない、といった意味合い。ここは、あまり、理屈を考えなくていい。



God willed he waken gently and with joy, and gave him means to waken without fear.
  • will [wíl] : 「〜を望む、意図する、命ずる、決意する」
  • gently [dʒéntli] : 「親切に、静かに、優しく、穏やかに」
  • joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜、喜びの種」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
❖ "God willed he waken ~ "「神は、神の子が、優しく喜びをもって目覚めることを意思している」。"and gave him ~ "「「だから、神は、神の子が恐れを抱かずに目覚めるために、神の子に、その手段を与えたのだ」。もちろん、ホーリー・スピリットのことである。ホーリー・スピリットは、幻想からの目覚めを優しくリードしてくれる。



14. Accept the dream He gave instead of yours. It is not difficult to change a dream when once the dreamer has been recognized.
  • accept [æksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • gave [géiv] : 「give の過去形」
  • instead of : 「〜の代わりに」
  • difficult [dífikʌ̀lt] : 「難しい、困難な、難解な、厳しい」
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
  • once [wʌ́ns] : 「いったん〜すると、ひとたび〜すれば」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
❖ "Accept the dream He ~ "「あなたの夢に代えて、神が与えてくれる夢を受け入れなさい」。神が与えてくれるのは、悪夢から目覚める前の優しい夢である。"It is not difficult ~ "「ひとたび、夢見る者が認識されたなら、夢を変えることは難しくない」。あなたが夢を見ているのか、世界が夢を見ていて、そこにあなたが登場しているのか、どんな夢をあなたは、または世界は見ているのか、そういったことが認識されるなら、もはや眠りは浅くなっていき、夢から目覚めることは難しくない。恐ろしい夢から、優しい夢を経て、そして、目覚めるのだ。



Rest in the Holy Spirit, and allow His gentle dreams to take the place of those you dreamed in terror and in fear of death.
  • rest [rést] : 「休む、休息する、休憩する、休養する」
  • allow [əláu] : 「〜を許す、許可する、許容する、可能にする」
  • take the place of : 「〜の代わりをする、〜に取って代わる」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
❖ "Rest in the Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットに抱かれて、休みなさい」。"and allow His gentle ~ "「そして、ホーリー・スピリットの優しい夢が、あなたが恐怖を抱いたり死を恐れたりしながら見る夢に取って代わることを許しなさい」。恐ろしい幻想から目覚めて、ホーリー・スピリットの胸に抱かれ、実相の優しい夢に安らげばいいのだ。



He brings forgiving dreams, in which the choice is not who is the murderer and who shall be the victim.
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • forgiving [fərɡíviŋ] : 「寛大な、寛容な、許す」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • murderer [mə́ːrdərər] : 「殺人者、人殺し」
  • victim [víktim] : 「犠牲者、被害者、被災者」
❖ "He brings forgiving ~ "「ホーリー・スピリットは、赦しの夢をもたらしてくれる」。悪夢は悪夢として受け入れ、受け流し、悪夢を赦してしまえば、悪夢は自然に消滅する。その赦しをホーリー・スピリットがもたらしてくれるのだ。"in which the choice ~ "「赦しの夢の中にあっては、誰が殺人者になるか、誰が犠牲者になるか、などという選択は存在しない」。実相に目覚めれば、そこに争いはなく、攻撃もなく、苦もない。殺人者も犠牲者もいないのだ。



In the dreams He brings there is no murder and there is no death.
  • murder [mə́ːrdər] : 「殺人、謀殺」
❖ "In the dreams He brings ~ "「ホーリー・スピリットがもたらしてくれる夢の中には、殺人者もいなければ、死も存在しない」。くどいようだが、ホーリー・スピリットがもたらしてくれるのは、本当の夢(幻想)ではなく、現実(実相)を呼び覚ますための優しい、いわば中間的な夢である。



The dream of guilt is fading from your sight, although your eyes are closed.
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • fade [féid] : 「薄くなる、薄れる、あせる」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
  • although [ɔːlðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが、たとえ〜でも」
  • close [klóuz] : 「〜を閉じる、〜を閉める、〜を閉鎖する」
❖ "The dream of guilt ~ "「罪の夢は、あなたの視界の中で色あせていく」。罪という幻想が、目覚める瞬間に、消えかかっていくのだ。"although your ~ "「あなたの目が、たとえ閉じられていようとも、」罪は色あせていく。



A smile has come to lighten up your sleeping face. The sleep is peaceful now, for these are happy dreams.
  • smile [smáil]] : 「ほほ笑み、笑顔」
  • lighten [láitn] : 「〜を明るくする、〜の色を薄くする、〜を喜ばせる」
  • peaceful [píːsfl] : 「平和な、穏やかな、のどかな」
  • happy [hǽpi] : 「幸福な、満足な、幸せな」
❖ "A smile has come ~ "「眠るあなたの顔に光が差すように、微笑みが戻ってくる」。"sleeping face"「眠る顔」とあるが、夢から覚めかけた、うとうとしている顔、のこと。"The sleep is ~ "「眠りは、今や、平和である」。悪夢が消えたからだ。"for these are ~ "「なぜなら、今見ている夢は幸せな夢なのだから」。こうして、ゆっくり穏やかに目覚めていくのである。実相世界に目覚めるのだ。急激な目覚めによって、神の子が戸惑いを覚えないようにという、神の配慮である。
 
 
 



Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター