●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-27.VIII.7:1 ~ T-27.VIII.8:7

7. A timelessness in which is time made real; a part of God that can attack itself; a separate brother as an enemy; a mind within a body all are forms of circularity whose ending starts at its beginning, ending at its cause.
  • timelessness [táimlisnis] : 「無時間、時間の存在しないこと」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • part [pάːrt] : 「一部、部分」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
  • circularity [sə̀ːrkjulǽrəti] : 「円形、真円度、環状、循環性、堂々めぐり」
  • ending [éndiŋ] : 「終わり、終了、終点、末尾」
  • start [stάːrt] : 「始まる、着手する、事を起こす」
  • beginning [bigíniŋ] : 「初め、開始、始まり、発端、起源」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
❖ "A timelessness in which is ~ "意訳していく、「時間が実在するように見せかけられた無時間性、」"a part of God that ~ "「自己を攻撃出来るとされた、神の一部である神の子、」"a separate brother ~ "「敵と見なせる、分離した同胞、」"a mind within ~ "「肉体の内側に閉じこめられた心、」"all are forms of circularity ~ "「これらはすべて、循環論法の形をとっているのだ」。"whose ending starts ~ "「それは、始まりの場所から終わりが始まり、原因のある場所で終わっているものなのだ」。循環論法とは、AはBゆえに正しく、BはCゆえに正しく、CはAゆえに正しく、よってAの正しさが証明された、というもの。たとえば、『聖書は正しい。なぜなら、聖書は神の言葉であり、神は正しいからだ』とか、『科学は真実である。なぜなら、科学は真実しか取り扱わないからだ』などは循環論法。では、一つ一つ見てみよう。"A timelessness in which is time made real"「時間が実在するように見せかけられた無時間性」とは、『無時間性とは、無限の時間を意味する。したがって、無時間性とは、時間そのものの存在を証明している』といった感じ。"a part of God that can attack itself"「自己を攻撃出来るとされた、神の一部である神の子」とは、『神は万能である。したがって、神は自己を攻撃出来る。神の子は神が創造した神の一部である。したがって、神の子は自己を攻撃できる』といった感じ。"a separate brother as an enemy"「敵と見なせる、分離した同胞」とは、『同胞は、自分とは分離した存在である。したがって、同胞は他者である。他者とは、生存を競うものであり、その意味で敵である。したがって、他者は敵である』といった感じ。"a mind within a body"「肉体の内側に閉じこめられた心」とは、『存在とは、空間を占有するものである。肉体は空間を占有している。したがって、肉体は存在する。心は、空間を占有しない。したがって、心はそれ自体として存在出来ない。したがって、心は、肉体が作り上げたものであり、肉体の内部にある』といった感じ。どれもこれも循環論法であり、出発点から理由を辿っていくと出発点に戻ってしまうのだ。ちょうど、自分のしっぽを呑み込もうとしてる蛇と同じようなものなのである。蛇足になるが、世の中で、原理主義にかぶれている連中は、ほとんど、この循環論法に陥っている。たとえば、『神は正しい。聖典は神の言葉である。聖典は、神の名において悪を駆逐せよと教えている。したがって、悪をテロによって駆逐することは正しいのだ』。



The world you see depicts exactly what you thought you did.
  • depict [dipíkt] : 「描く、描写する、表現する」
  • exactly [iɡzǽktli] : 「正確に、厳密に、ぴったり、そのとおりに」
  • thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
❖ "The world you see ~ "「あなたが見ている世界は、あなたが成したと思ったことを正確に描写している」。ここの、"what you thought you did"「あなたが成したと思ったこと」とは、「あなたが望んだこと」という意味にとらえていいだろう。想念は現実化する。ましてや、夢を見ているのだから、あなたの想念、思いが夢を構成しているのだ。世界が描いて見せている光景こそ、あなたの心が夢の中で描いているものなのだ。



Except that now you think that what you did is being done to you.
  • except [iksépt] : 「ただし、〜を除いて」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "Except that now you ~ "「ただし、今のところ、あなたが成したことはあなたに成されたことだと、あなたは思っている」。本当は自演の夢なのだが、あなたは、夢の中で他者によって攻撃されていると思っている。裏を返せば、あなたは無意識に他者を攻撃したいと思っているのであり、主客逆転して夢に表れているだけなのだ。



The guilt for what you thought is being placed outside yourself, and on a guilty world that dreams your dreams and thinks your thoughts instead of you.
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する、取り付ける、収納する」
  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
  • guilty [gílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • instead [instéd] of : 「〜の代わりに」
❖ "The guilt for what ~ "「あなたが思ったことに対する罪の意識は、あなたの外側に置かれる」。"and on a guilty world that ~ "「つまり、あなたの夢を夢に見、あなたに代わってあなたの思いを思っている世界の上に、罪の意識を置くのである」。あなたは他者を攻撃したいと無意識に思っているのだが、それに対して罪の意識が働いている。その罪の意識をごまかす為に、罪の意識を心の外に置いてしまうのである。そうすれば、攻撃するのは他者であり、他者にこそ罪はある、ということになるのだ。世界は幻想であり、その意味で、世界は夢を見ている。その世界の夢にあなたが登場し、世界の夢の中であなた自身も夢を見ているのだ。あなたの夢は世界に投射され、あたかも、世界はあなたに代わって思いを抱いているかのようだ。だから、あなたの抱いた罪の意識も世界に投射され、悪いのはあなたではなく、世界が悪い、ということになる。あなたに苦を強いているのは、世界だと、あなたは主張するのである。



It brings its vengeance, not your own. It keeps you narrowly confined within a body, which it punishes because of all the sinful things the body does within its dream.
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復、あだ討ち」
  • keep : 「〜の状態にしておく、〜の状態を保つ」
  • narrowly [nǽrouli] : 「辛うじて、間一髪で、窮屈に、狭く」
  • confined [kənfáind] : 「限られた、狭い」
  • punish [pʌ́niʃ] : 「〜を罰する、〜を懲らしめる」
  • because of : 「〜のために、〜のせいで」
  • sinful [sínfl] : 「罪深い、邪悪な」
❖ "It brings its vengeance ~ "「罪の意識は、復讐をもたらすが、それはあなた自身の復讐ではない」。罪の意思を投射された世界は、あなたに対して悪でなければならない。悪いのは世界であって、あなた自身は悪くないという思いを投射したからだ。したがって、世界があなたに復讐するのであり、あなたが世界に復讐するのではない、ということになる。"It keeps you narrowly ~ "「罪の意識は、あなたを、かろうじて肉体の中に閉じこめておく」。悪いのは世界であり、自分は悪くないという思いを確実なものにするために、世界に対峙する自分の肉体を確保するのである。世界と自分を完全に分離しておこうとするのだ。世界と融合するのではなく、世界と隔絶する為に、自分を肉体の中に閉じこめてしまうのである。"which it punishes because ~ "「夢の中で肉体が成したあらゆる罪深い行いのために、罪の意識は肉体を罰するのである」。あなたは自分の攻撃性や嫉妬心、怒り、不正、等々を、自分の目から隠す為に世界の上に投射した。しかし、本当は、あなたの心に中にこそ、攻撃性や嫉妬心、怒り、不正はあるのであって、それに対する罪の意識は、無意識のうちに自分を攻撃するのである。つまり、自分であるところの肉体を攻撃し、痛みをもたらすのだ。病を発症させ、痛みと苦しみをもたらし、そして、死に誘い込もうとするのである。罪の意識は肉体を罰する、というわけだ。



You have no power to make the body stop its evil deeds because you did not make it, and cannot control its actions nor its purpose nor its fate.
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力」
  • stop [stɔ́p] : 「止める、中断する」
  • evil [íːvl] : 「悪い、害を与える、邪悪な」
  • deed [díːd] : 「行為、行い、行動」
  • control [kəntróul] : 「支配する、抑える、制御する」
  • action [ǽkʃən] : 「行動、振る舞い、活動、行為」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • fate [féit] : 「運命、宿命、命運、予言」
❖ "You have no power ~ "「あなたは、肉体に対して、その悪い行いを止めさせるパワーを持ってはいない」。"because you did ~ "「なぜなら、あなたは肉体を作ったのではないからだ」。肉体を偽創造したのは眠れる神の子であって、その夢の中に登場するあなた自身ではない。"and cannot control ~ "「したがって、あなたは、肉体の行動も、肉体の目的も、肉体の運命も、コントロールすることは出来ないのだ」。肉体があなたを支配し、コントロールしているのであって、あなたが肉体をコントロールしているのではない。夢の中であなたは、肉体に対して、主導権を与えたのだ。なぜなら、あなたは、肉体に対して、それだけが自分であると思っているからだ。



8. The world but demonstrates an ancient truth; you will believe that others do to you exactly what you think you did to them.
  • demonstrate [démənstrèit] : 「実演する、実証する、はっきり示す」
  • ancient [éinʃənt] : 「太古からの、古い、古来の」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • exactly [iɡzǽktli] : 「正確に、厳密に、ぴったり、まさしく」
❖ "The world but demonstrates ~ "「世界は、昔からの真実を実証して見せているに過ぎない」。それは、"you will believe that ~ "「あなたが他者に対して行ったことが、正確に、他者があなたに対して行うのだと、あなたは信じることになろう」。あなたは世界の夢に登場し、その夢の中で、あなた自身も夢を見ている。その、あなたの夢が世界に反映し、世界は動いていく。あなたが夢の中で想念したことは、そのまま、世界に反映して、あなたに影響するのだ。世界が結果なら、あなたは原因である。あなたが他者に対して行うことが原因となって、他者はあなたに対して行うことを結果するのである。



But once deluded into blaming them you will not see the cause of what they do, because you want the guilt to rest on them.
  • once [wʌ́ns] : 「いったん〜すると、ひとたび〜すれば」
  • delude [dilúːd] : 「だます、欺く」
  • blame [bléim] : 「非難する、とがめる、責める」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、動機、理由」
  • rest [rést] : 「ある、置かれている」
❖ "But once deluded into ~ "「しかし、ひとたび騙されて、他者を責めたりしたら、あなたは、他者が行ったことの原因を知ることは出来なくなってしまうのだ」。ひとたび、あなたが自分自身を騙して、他者があなたを攻撃したことを責めたりしたら、他者があなたに対して行ったことは、あなた自身が他者に対して行ったことだと理解することが出来なくなってしまう。"because you want ~ "「なぜなら、あなたは、罪は他者にあると思いたいからだ」。あなたは、攻撃した他者が悪いのであって、非があるのは他者であり、他者に罪がると信じたいのである。そうすれば、罪の原因が自分自身にあることが隠せるし、自分を騙せるからだ。そもそも、あなたが他者を攻撃したいと思ったのであり、その思いが現実化して、他者があなたを攻撃したのである。攻撃した他者を責めることに熱中するあまり、そのからくりに、あなたは気付くことがない。



How childish is the petulant device to keep your innocence by pushing guilt outside yourself, but never letting go!
  • childish [tʃáildiʃ] : 「子供みたいな、子供じみた、子供っぽい、幼稚な」
  • petulant [pétʃulənt] : 「短気な、こらえ性のない、怒りっぽい、不機嫌な」
  • device [diváis] : 「計画、策略、機器、装置、手段、仕掛け、工夫」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢」
  • push [púʃ] : 「〜を押す、押し付ける」
  • let go : 「あきらめる、手を放す」
❖ "How childish is ~ "「罪をあなた自身の外に押し出し、かと言って手放すこともしないで、あなたの潔白性を保とうとするような、姑息な策略は、なんとも子供っぽいではないか」。自分の罪を他者に押し付け、自分の目には見えないようにしておき、自分は潔白などと宣言することは、子供にも劣る姑息な行為である。



It is not easy to perceive the jest when all around you do your eyes behold its heavy consequences, but without their trifling cause.
  • easy [íːzi] : 「たやすい、やさしい、容易な、簡単な」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • jest [dʒést] : 「冗談、しゃれ、からかい、冷やかし、笑い物」
  • around [əráund] : 「〜の周りに、〜の周囲に」
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • heavy [hévi] : 「重い、激しい、重大な、重要な、大切な」
  • consequence [kɑ́nsəkwèns] : 「結果、結論、結末、重大さ、重大性」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • trifling [tráifliŋ] : 「取るに足りない、つまらない、わずかな、軽薄な」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、動機、理由」
❖ "It is not easy to perceive ~ "「あなたの周り全体に、あなたの目が、罪の意識のもつ重大な結果を目撃しているとき、そのつまらない原因がわからなかったなら、それを冗談だと知覚することは容易なことではない」。あなたは世界から苦という重大な結果を強いられているのだが、その原因は、あなたが自分の罪を他者に押し付けたことにあるのだと、つまり、原因は非常につまらないことなのだと気付かなければ、幻想の苦を、単なる夢に過ぎない冗談なのだと笑い飛ばすことは難しい。



Without the cause do its effects seem serious and sad indeed.
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • serious [síəriəs] : 「重大な、深刻な、本格的な、ただならぬ」
  • sad [sǽd] : 「悲しい、悲しげな、悲しむべき、無念な」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも、実際に」
❖ "Without the cause ~ "「原因がわかないので、その結果が、深刻でいかにも悲しげに見えるのだ」。この世界で生きていく苦しさという結果だけを見ているので、いかにも深刻で悲惨に思えるだろうが、その原因が、何のことはない、あなたが罪の意識を他者に押し付けたせいだと知れば、自分の愚かさに気付いて赤面し、笑ってしまうに違いないのだ。



Yet they but follow. And it is their cause that follows nothing and is but a jest.
  • follow [fάlou] : 「〜に続く、〜の次に来る」
❖ "Yet they but follow"「しかし、結果は原因に続くのである」。原因なくして結果なし。"And it is their cause that ~ "「そして、それは、無なるものから出てきた原因、冗談に過ぎない原因なのだ」。あなたの苦は、あなたの罪を他者に押し付けたという原因をもっている。ところが、そもそもその罪とは幻想に過ぎないのであり、つまり、罪は無から湧き出たものに過ぎないので、罪を実在だと信じたこと自体がお笑い草なのだ。冗談に過ぎないのである。したがって、苦なる人生は茶番なのだ。罪なる人生は茶番なのだ。逆に、言い換えれば、愛と喜びの人生こそ、天の王国へもっとも近い人生なのである。
 
 
 


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