3. The body's serial adventures, from the time of birth to dying are the theme of every dream the world has ever had.
- serial [síəriəl] : 「連続している、連続的な」
- adventure [ædvéntʃər] : 「冒険、危険な冒険、珍しい出来事」
- birth [bə́ːrθ] : 「出生、出産、分娩、誕生」
- dying [dáiiŋ] : 「死にかけている、臨終の、消えかけている」
- theme [θíːm] : 「主題、テーマ、話題、論題」
❖ "The body's serial ~ "「生まれた時から死にゆく時まで、肉体が経験する一連の出来事は、この世界が夢見るあらゆる夢のテーマとなっている」。難しい言い回しをしているのだが、要するに、世界のあらゆる夢の中心に肉体の夢が君臨している、肉体の夢が主要テーマになっている、という意味合い。生まれてから死ぬまで、肉体が経験する出来事が、そのまま世界の夢を形作っているのだ。世界の夢の中に肉体が登場して夢を見、また逆に、肉体の夢の中に世界が登場して夢を見ている、という構造をなしている。夢に内と外を設けるなら、同じ一つの幻想の内側に肉体の夢があり、同じ一つの幻想の外側に世界の夢がある、といった構造である。内と外の区別はあるが、所詮、幻想であることには変わりない。夢はどこにあっても夢に変わりはない。
The "hero" of this dream will never change, nor will its purpose.
- hero [híərou] : 「主人公、ヒーロー、英雄、偉人」
- change [tʃéindʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ "The "hero" of this ~ "「この夢の『ヒーロー』は決して変わることはないし、その目的も変化しない」。世界の夢に登場する主人公は、常に肉体である。その肉体がもつ目的性も変化しない。肉体は神の子の分離の象徴であり、肉体を幻想することで、神の子の分離分裂を維持するのだ。それが、肉体のもつ目的性である。そして、さらに輪を掛け、その肉体が罪を負っていると信じ込むことで、肉体は恐れを抱え込む。罪と恐れは、攻撃性を身に付け、他者を攻撃して苦を強いる。結果、ますます、神の子同士の分離は深まっていくのだ。エゴの思考システムがますます補強されていくのである。
Though the dream itself takes many forms, and seems to show a great variety of places and events wherein its "hero" finds itself, the dream has but one purpose, taught in many ways.
- though [ðóu] : 「〜にもかかわらず、たとえ〜でも」
- form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見」
- show [ʃóu] : 「見せる、見えるようにする」
- variety [vəráiəti] : 「種類、品種、多様性、多様さ」
- a great variety of : 「多種多様の、いろいろな、種々さまざまな」
- place [pléis] : 「場所、個所、住所、席」
- event [ivént] : 「出来事、事件、イベント、行事」
- wherein [hwεərín] : 「そこで、その場所で」
- find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
- taught [tɔ́ːt] : 「teach の過去・過去分詞形」
- teach [tíːtʃ] : 「〜を教える、指導する」
- in many ways : 「いろいろ、さまざまに、いくらでも」
❖ "Though the dream ~ "「夢自体は、いろいろな形をとり、」"and seems to show ~ "「夢の『ヒーロー』が自分自身を見出す、多種多様な場所や出来事を示しているかに見えるだろうが、」"the dream has but ~ "「夢は、ただ一つの目的をもつに過ぎず、また、いろいろな方法でそれを教えてきた」。夢は様々な様相を呈し、夢の場面や出来事も多種多様であるが、すべてその中心には、夢の『ヒーロー』であるところの肉体が存在している。そして、肉体が一つの目的をもつと同時に、肉体を『ヒーロー』として登場させている夢自体も、肉体と同一の目的をもっているのだ。それは、幻想世界の存在物は、すべて分離し、バラバラに存在しているかように見せることである。一見、統一されているよう見えるものでさえ、時間とともに変化流動し、それは崩壊して、やはりバラバラな存在に分解されてしまうのである。いずれ、形は様々であるが、肉体も夢も、その目的は分離分裂、そして、変化流動なのだ。結局、幻想世界は二元論世界であり、あらゆるものを二元に分離する世界である。愛と憎悪、光と影、プラスとマイナス、陰と陽、喜びと悲しみ、男と女、真実と虚偽、正義と不正、等々、のように、二元に分離する。すると、二つに分離させられたものは相反する力のベクトルをそれぞれもつことになり、そこに力学的な力関係が生じて、力がダイナミックに流動することになる。変化流動が起きるのである。そして、エントロピー増大の法則を持ち出すまでもなく、変化流動する世界は渾沌へ向かう。渾沌は、必ず崩壊へと向かい。形あるものはすべて、壊れ去るのである。
This single lesson does it try to teach again, and still again, and yet once more; that it is cause and not effect. And you are its effect, and cannot be its cause.
- single [síŋgl] : 「ただ一つの、たった一つの」
- lesson [lésn] : 「レッスン、教訓、教え」
- try to do : 「〜しようと試みる」
- again [əɡéin] : 「再び、かさねて」
- and yet : 「それなのに、それにもかかわらず、なおかつ」
- once more : 「もう一度、繰り返して」
- cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
- effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "This single lesson ~ "「この一つのレッスンを、肉体は、繰り返し繰り返し、さらに繰り返し、教えようとしている」。"that it is cause ~ "「その結果、肉体は原因であって、決して結果ではない」。肉体は、世界が(肉体も含め)、分離分裂を促し、変化流動していくのだというレッスンを、繰り返し繰り返し示してきた(教えてきた)。その原因となっているのが肉体であり、つまり、肉体という幻想の存在が原因となり、分離分裂、変化流動という結果が生じているのである。"And you are its ~ "「そして、あなたは、肉体の結果であって、その原因にはなり得ないのである」。幻想の肉体的存在が原因となって、分離分裂した神の子であるあなたが結果として生じている。幻想世界では、その逆ではない。つまり、神の子という単一存在が分裂し、それが原因となって、多数の肉体が結果として生じているのではないのだ。あくまでも、幻想の肉体が分離分裂し多数存在しているように見えるから、あなたも同胞も多数存在しているように見えるだけなのだ。もちろん、実相的視点に立って見れば、神の子は分離分裂などしておらず、永遠に単一の存在であり、分離分裂しているかに見える肉体は、当然、錯覚に過ぎないのである。
4. Thus are you not the dreamer, but the dream. And so you wander idly in and out of places and events that it contrives.
- thus [ðʌ́s] : 「このようにして、それ故に、従って」
- dreamer [dríːmər] : 「夢を見る人、夢想家」
- wander [wάndər] : 「歩き回る、さまよう」
- idly [áidli] : 「何もしないで、怠けて、無為に、ぼんやり」
- in and out : 「出たり入ったりして、見えつ隠れつ」
- contrive [kəntráiv] : 「企画する、考案する、企む」
❖ "Thus are you not ~ "「こうして、あなたは、夢見る者なのではなく、夢そのものなのだ」。あなたが自分だと思っている自分は、夢の中に登場する夢見る者であり、夢そのものなのだ。実際に夢を見ている実体は、あるいは、幻想を抱いている実体は、実相世界に住まう神の子である。そして、幻想世界にあっては、"And so you wander idly ~ "「あなたは、夢が画策する場所や出来事に、無為に彷徨(さまよ)い、出入りしているだけなのだ」。夢の中の亡者のように、夢に彷徨い、夢に押し流されていく存在、それが、あなたである。
That this is all the body does is true, for it is but a figure in a dream.
- true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
- figure [fíɡjər] : 「形、形状、形態、外観、姿、人影」
❖ "That this is all the body ~ "「肉体がなすことはこれだけだということは正しい」。肉体は夢(幻想)に彷徨うだけだというのは、実相的視点からみ見て、真実である。"for it is but ~ "「なぜなら、肉体は、夢の中の影に過ぎないからだ」。肉体は、夢の中を彷徨う影絵の人形に過ぎない。
But who reacts to figures in a dream unless he sees them as if they were real?
- react [riǽkt] : 「反応する、反応を示す、対処する」
- react to : 「〜に反応する」
- unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
- as if : 「あたかも〜かのように」
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "But who reacts to figures ~ "「夢に出てくる影が、まるで実在であるかのように見えない限り、いったい誰が夢の中の影に反応するだろうか」。夢がリアルであればあるほど、人は夢に反応して、夢の中の影に過ぎない肉体を実在だと勘違いしてしまうのだ。
The instant that he sees them as they are they have no more effects on him, because he understands he gave them their effects by causing them and making them seem real.
- instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
- no more : 「もはや〜しない」
- understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
- gave [géiv] : 「give の過去形」
- cause [kɔ́ːz] : 「〜を引き起こす、〜の原因になる」
- make : 「〜に〜させる」
❖ "The instant that he ~ "「人が、夢の中の影をあるがままに見ることが出来た瞬間、夢の中の影は、これ以上彼に影響を及ぼすことはない」。夢の中の影が夢に過ぎないこと、幻想や錯覚に過ぎないことを認識すれば、それが肉体であろうがモンスターであろうが、何も恐れる必要はない。夢は影響力を持たないからだ。"because he understands ~ "「なぜなら、夢の中の影を作り出し、それをリアルに見せることによって、彼が、夢の中の影に影響力をもたせることになったのだと理解するからである」。まさに、自作自演なのだ。夢の中に登場する人物を幻想によって作り出し、それをリアルに見せることで、それが実在しているかのように自分に錯覚させるのである。対象が実在だと思えるほどリアルになれば、対象があなたに与える影響力も大きくなる。こうして、あなたは、この世界の存在物も、あなた自身の肉体も、実在だと信じ込んでしまったのだ。幻想世界のこのからくりに気がつけば、その瞬間、あなたは夢や幻想から抜け出すことが出来、夢の中の影から影響を受けることはなくなるのだ。なぜなら、夢の中の影は、目が覚めれば、簡単に消滅してしまうからだ。