11. What choices can be made between two states, but one of which is clearly recognized?
- choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
- between [bitwíːn] : 「〜の間で」
- state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
- clearly [klíərli] : 「はっきりと、疑いもなく、明らかに」
- recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
❖ "What choices can ~ "「一方の状況だけが明確に認識されている時に、二つの状況の間でどんな選択が出来るだろうか」。たとえば、この幻想世界に住んでいるという状況は明確に認識しているが、実相世界が存在することにはほとんど気付くことさえない。そんな二つの状況のどちらかを選択するということは、非常に困難なのだ。見えない世界を選択することは、とりわけ難しいのである。
Who could be free to choose between effects, when only one is seen as up to him?
- choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
- effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
- up to : 「〜次第で、〜に合致して、〜に一致して、〜の性に合って」
❖ "Who could be free ~ "「一方の結果だけが自分次第で決まる時に、二つの結果の間で、誰がいったい自由に選択出来るだろうか」。幻想世界にあっては、あなたの意思次第で結果(運命)を変えること出来る。しかし、まだ見たこともない実相世界にあっては、自分の意思で結果を選び取れるかどうかもわからない。そんな状況で、幻想的結果と実相的結果のうち一つを選択せよ、と言われても戸惑うばかりである。
An honest choice could never be perceived as one in which the choice is split between a tiny you and an enormous world, with different dreams about the truth in you.
- honest [ɑ́nəst] : 「正直な、誠実な、素直な、公正な」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- split [splít] : 「割れた、分割した、分裂した、分けた」
- tiny [táini] : 「とても小さい、ちっぽけな、極めて小さな」
- enormous [inɔ́ːrməs] : 「莫大な、非常に大きい、巨大な」
- different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "An honest choice could ~ "「正しい選択は、〜のような選択として知覚されることは決してない」。"as one in which ~ "「あなたの中の真実について異なった夢を抱いているちっぽけなあなたと巨大な世界の間で二分されるような選択」として、正しい選択は、知覚されることはない。さて、難解である。"about the truth in you ~ "「あなたの中の真実について」とは、ここでは、知覚がとらえたものは実在であり、リアルであり、肉体も世界も現実であるというもの。それに対する、ちっぽけなあなた(a tiny you)は、肉体は外部世界からの攻撃を受けて苦を強いられていると思っている。それが、ちっぽけなあなたが見ている夢だ。方や、巨大な世界(an enormous world)は、あなた以外の他者の大集団であり、一人一人が特別性を求めて他者を排し、攻撃し、奪い合うことを日常としている。これが、巨大な世界が見ている夢だ。世界は世界として夢を見、その夢にあなたも参加し、登場しているのだが、そのあなた自身も個人的に、世界とはまた異なった夢を見ているという、つまり、夢の中で夢を見ているという、夢の二重構造をなしているのだ。したがって、夢を選択するとき、あなたは自分の夢を優先させるか世界の夢を優先するかで、選択が二つに裂かれるのである(he choice is split between ~ )。つまり、世界の幻想(夢)の登場人物として自分を演じるか、自分の幻想(夢)だけの主人公として自分を演じるか、その二つに選択が分裂するのだ。ところが、その二つはどちらにしても、共に幻想を選択することであって、実相の選択がからんでくるわけではない。したがって、二つに分裂した選択といっても、どちらも、正しく、正直な選択だとは言えないのである(An honest choice could never be perceived as one)。
The gap between reality and dreams lies not between the dreaming of the world and what you dream in secret. They are one.
- gap [gǽp] : 「割れ目、すき間、隔たり、ギャップ、格差」
- reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
- lie [lái] : 「ある、存在する」
- in secret [síːkrət] : 「秘密に、内緒で、ひそかに、こっそり、人の目を盗んで」
❖ "The gap between reality ~ "「現実(実相)と夢(幻想)との間のギャップは、この世界の夢と、あなたが密かに夢見ているものの間にあるのではない」。"They are ~ "「両者は、同じである」。世界の幻想(夢)の登場人物として生きるか、つまり、他者の幻想(夢)の中で生きるか、自分だけの幻想(夢)の中の主人公で生きるか、その選択の間に、実相と幻想のギャップがあるのではない。どちらを選択しても幻想には変わりないのだ。本当の選択、正直な選択とは、幻想世界をとるか実相世界をとるかの選択でなければならない。実相と幻想を隔てるギャップは、世界とあなたの夢の隔たりなどではないのだ。
The dreaming of the world is but a part of your own dream you gave away, and saw as if it were its start and ending, both.
- part [pάːrt] : 「一部、部分」
- give away : 「ただで与える、裏切る、見捨てる、分配する、渡す」
- saw [sɔ́ː] : 「see の過去形」
- as if : 「あたかも〜かのように、〜と言わぬばかりに」
- start [stάːrt] : 「出発、開始、きっかけ、スタート、始まり」
- ending [éndiŋ] : 「結末、終わり、終了、終点」 both [bóuθ] : 「両方ともに」
❖ "The dreaming of the world ~ "「世界が夢に見ている幻想(夢)は、あなたが手放したあなた自身の幻想(夢)の一部に過ぎないのだ」。"and saw as if it were ~ "意訳する、「そして、共に、一方の夢が始まれば、他方の夢も始まり、一方の夢が終われば、他方の夢も終わるといった具合である」。神の子が神から分離して、この幻想世界を偽創造したことは、自分という内側と、世界という外側を強引に分離して二分したことを意味する。したがって、一つの幻想を見るにしても、自分の内側の幻想を夢見る自分と、自分の外側の世界が夢見る幻想に登場する自分とに、二分されるのである。いわば、あなたは世界の幻想の一部であり、世界はあなたの幻想の一部なのだ。二つの幻想が独立に存在しているわけではない。始まりも終わりも、ともに同調し合っているのである。
Yet was it started by your secret dream, which you do not perceive although it caused the part you see and do not doubt is real.
- start [stάːrt] : 「始める、開始する」
- although [ɔːlðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが、〜とはいえ」
- cause [kɔ́ːz] : 「〜を引き起こす、招く、〜の原因になる」
- doubt [dáut] : 「〜を疑う、〜を疑問に思う」
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "Yet was it started by ~ "「しかし、世界の幻想は、あなたの秘密の夢によって始められたのだ」。神の子が神から分離し、神を裏切ってしまったという罪の意識と、神からの罰に対する恐れに耐えかねて、神の子は自己を乖離し、この幻想世界を心の外側に投射して、幻想世界を偽創造した。幻想世界の夢は、神の子の幻想からスタートしたのだ。"which you do not ~ "「あなたの夢が、あなたが目にし、リアルだと疑いもしないものの一部として世界を作り上げたにも関わらず、あなたはそれを知覚することはない」。あなたは、自分が神の子としてこの幻想世界を偽創造したことを認識することはない。あなたは、あなたの幻想の一部としてこの世界を作ったのだが、その幻想の中で、あなたはこの世界の一部にくくり込まれたのだ。しかし、あなたには、その自覚さえないのだ。なぜなら、気付くことすらなく、眠りこけているからだ。
How could you doubt it while you lie asleep, and dream in secret that its cause is real?
- while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
- lie [lái] : 「横たわる、寝る、横たわっている」
- asleep [əslíːp] : 「眠って、就寝中の」
❖ "How could you doubt ~ "「あなたはぐっすり眠っており、世界の存在原因は実在するのだと秘密のうちに夢見ているの間に、どうして、あなたは疑うこと出来るだろう」。あなたの肉体も世界の物質も、その存在は実在にしか見えないような夢を見ている中で、それが幻想ではないかと疑うことは出来ないのである。
12. A brother separated from yourself, an ancient enemy, a murderer who stalks you in the night and plots your death, yet plans that it be lingering and slow; of this you dream.
- separate [sépərèit] : 「分離する、隔てる、引き離す、切り離す」
- ancient [éinʃənt] : 「古代の、古くからの、古い、古びた」
- enemy [énəmi] : 「敵、敵国」
- murderer [mə́ːrdərər] : 「殺人者、人殺し」
- stalk [stɔ́ːk] : 「〜に忍び寄る、〜に犯意をもってしつこく近づく」
- plot [plɑ́t] : 「たくらむ、企てる」
- death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
- plan [plǽn] : 「〜の計画を立てる、〜を計画する」
- lingering [líŋɡəriŋ] : 「延々と続く、なかなか消えない、ゆっくりと行われる」
- slow [slóu] : 「遅い、鈍い、ぐずぐずする」
❖ あなたの幻想(夢)に登場する他者のイメージは、"A brother separated ~ "「あなた自身から分離した同胞、古(いにしえ)の敵、夜な夜なあなたに忍び寄ってあなたの死を画策する殺人者、しかも、死を長引かせ遅らせようと計画している殺人者、」"of this you ~ "「そんな同胞の姿を、あなたは夢に見ているのだ」。あなたが幻想する世界に登場する同胞のイメージである。あるいは、世界が幻想するあなたと同胞のイメージである。誰もの心も罪と恐れに縁取られ、攻撃し、奪い、殺す。その幻想の光景には、憎しみと嫉妬と恐れと敵意と苦しみと痛みが蔓延しているのだ。
Yet underneath this dream is yet another, in which you become the murderer, the secret enemy, the scavenger and the destroyer of your brother and the world alike.
- underneath [ʌ̀ndərníːθ] : 「〜の下に、〜の表面下に」
- another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
- become [bikʌ́m] : 「〜になる」
- scavenger [skǽvindʒər] : 「腐食動物、清掃動物、ハイエナ」
- destroyer [distrɔ́iər] : 「破壊者、破壊するもの」
- alike [əláik] : 「同様に、一様に」
❖ "Yet underneath this ~ "「しかし、こんな夢の下には、また別の夢が存在している」。"in which you become ~ "「その夢の中では、あなたが殺人者であり、秘密の敵であり、腐肉を食らう者、世界と同様に同胞をもぶち壊す破壊者である」。あなたと同胞の役割を入れ替えれば、今度は、あなたが殺人者になるのだ。あなたと同胞に、立場の違いはない。ともに、悪夢を見る単一の神の子なのだ。
Here is the cause of suffering, the space between your little dreams and your reality.
- cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
- suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
- space [spéis] : 「空間、スペース、場所、余地」
❖ "Here is the cause ~ "「ここに、苦しみの原因がある」。"the space between ~ "「それは、あなたの小さな夢と現実の間の隙間である」。あなたの小さな夢は、あなたが特別な存在として他者を攻撃し、奪い、優勢であろうとするが、現実の世界では、他者の夢は、あなたに対して特別な存在としてあなたを攻撃し、あなたから奪い、あなたに対して優勢であろうとする。つまり、他者もあなたも、共に、弱肉強食の夢を見ているのだ。二つの夢のギャップ(隙間)、ここに、この世界で生きる苦の原因がある。
The little gap you do not even see, the birthplace of illusions and of fear, the time of terror and of ancient hate, the instant of disaster, all are here.
- birthplace [bə́ːrθplèis] : 「出生地、発祥地、発祥の地、発生地、源」
- illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
- terror [térər] : 「恐怖、テロ」
- hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
- instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
- disaster [dizǽstər] : 「災害、天災、災難、惨事、厄災」
❖ "The little gap you ~ "「この小さなギャップを、あなたは見ることもない」。あなたの幻想と他者の幻想の間の小さなギャップに、あなたは気付きもしない。"the birthplace of ~ "「そこは、幻想と恐れの生まれる場所であり、」二つの幻想の力関係が、幻想に力学的な動きを与えるのである。幻想の世界が変化流動するのだ。幻想はますます幻想を生み出し、その幻想がますます恐れを生み出していく。"the time of terror ~ "「恐怖の時代、古(いにしえ)の憎しみ、災害の瞬間、それらがすべて、このギャップに存在しているのだ」。あなたの幻想と世界の幻想の間の小さな隙間に、悲劇的な摩擦が生じるのである。摩擦熱は、あなたに非情な苦をもたらすのだ。
Here is the cause of unreality. And it is here that it will be undone.
- unreality [ʌnriǽləti] : 「非現実性、実在しないもの、虚構」
- undone [ʌndʌ́n] : 「undo の過去分詞形」
- undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
❖ "Here is the cause ~ "「ここに、非現実性の原因がある」。幻想と幻想が衝突し、摩擦し合い、ますます幻想を加熱していく。幻想がその火勢を衰えさせることはない。非現実が非現実を増大させていくのだ。しかし、実相世界から見れば、"And it is here that ~ "「ここにこそ、取り消されるべきものがある」。この荒れ狂う幻想こそ、実相的に見れば、取り消しにし、消滅させられるべきものだ。それが、幻想世界の苦からの救いとなる。幻想の苦を、幻想世界で取り消しには出来ないのである。幻想それ自体を、消滅させない限り、幻想の苦は消えない。従って、幻想から救われるには、幻想を幻想として受け入れ受け流し、完全に赦していしまうことが、何にも増して肝要となる。その赦しの実践を教えてくれるのが、ホーリー・スピリットであり、このACIMである。