●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-26.VII.19:1 ~ T-26.VII.20:5

19. Abide in peace, where God would have you be. And be the means whereby your brother finds the peace in which your wishes are fulfilled.
  • abide [əbáid] : 「とどまる、居住する」
  • in peace : 「平和に、平安に、安らかに、無事に」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • whereby : 「それによって〜するところの」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
  • fulfill [fulfíl] : 「成就する、実現させる、果たす、全うする」
❖ "Abide in peace"「平和の中にとどまりなさい」。"where God would ~ "「そこにこそ、神はあなたを住まわせたいのだ」。"And be the means ~ "「そして、あなたの同胞があなたの望みが達成する平和を探し出すときの、手段となりなさい」。あなたが、平和を求める同胞を幻想の罪から救い出すとき、つまり、あなたが手段となって同胞の実相的な平和が達成されたとき、同時に、あなたの真の平和も達成されるのだ。神の子は、共に、平和の内にとどまることが出来るのである。それは、神の願いでもある。



Let us unite in bringing blessing to the world of sin and death.
  • unite [junáit] : 「結合する、一体となる、一体化する」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • blessing [blésiŋ] : 「神の恵み、恩恵、祝福」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
❖ "Let us unite in bringing ~ "「一体となって、罪と死の世界に祝福をもたらそうではないか」。神の子が平和の内に一体となって、罪と死という幻想世界に、それは夢に過ぎないのだという福音をもたらし、幻想から目覚めるという祝福を与えようではないか。



For what can save each one of us can save us all. There is no difference among the Sons of God.
  • save [séiv] : 「救う、助ける」
  • each one of us : 「人は誰しも」
  • difference [dífərəns] : 「違い、差異、相違」
  • among [əmʌ́ŋ] : 「〜の間に、〜のうちで」
❖ "For what can save ~ "「なぜなら、私たち一人一人を救い出せるということは、みんなを救い出せることなのだから」。あなたが同胞を幻想から救い出し、同胞があなたを幻想から救い出せるということは、あなたも同胞も全世界を救い出せることを意味しているのだ。なぜなら、神の子は一体であり、自他一如であるから、神の子一人を救い出すことは、全人類の救いに繋がるからだ。"There is no difference ~ "「神の子の間に、違いというものはない」。神の子は多数存在しているかに見えるが、本当は違いなどなく、皆等しいのだ。なぜなら、神の子は、実相的に単体であり、同一であり、自他一如だからだ。



The unity that specialness denies will save them all, for what is one can have no specialness. And everything belongs to each of them.
  • unity [júːnəti] : 「つであること、単一性、統一、結束、一体性」
  • specialness [spéʃəlnis] : 「特別であること、特別性」
  • deny [dinái] : 「」〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する
  • belong [bilɔ́ːŋ] to : 「〜に属する、〜の所有物である」
❖ "The unity that specialness ~ "「特別性が否定するところの単一性こそが、神の子全体を救うのである」。"for what is one ~ "「なぜなら、一つであることは、特別性など持ち得ないからだ」。あの神の子だけは特別だから、彼は救いから漏れる、などということはない。神の子に特別性はなく、皆同一であるから、一人を救うことは、神の子全体を救うことになるのだ。"And everything belongs ~ "「そして、あらゆるものが、神の子一人一人に属しているのである」。救いだけに限らず、神の属性のすべてが、神の子一人一人に継承されているのだ。したがって、神の子全体が、平和の中に留まる権利があり、喜びに燃える権利があり、至上の愛に包まれる権利があり、極上の美を謳歌する権利があるのだ。まさに、真実を創造する権利があるのである。



No wishes lie between a brother and his own. To get from one is to deprive them all. And yet to bless but one gives blessing to them all as one.
  • wish [wíʃ] : 「願い、望みの物、願望、希望」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
  • deprive [dipráiv] : 「奪う、取り上げる、剥奪する」
  • bless [blés] : 「祝福する、〜を賛美する」
  • blessing [blésiŋ] : 「祝福、恩恵、幸運、恵み」
❖ "No wishes lie between ~ "「同胞と、同胞自身のが持っているものの間に、望みというものは存在しない」。実相的に、神の子はあらゆるものを神から継承したのだから、欠けているものも、不足しているものもないのだ。したがって、神の子が持っているものに関して、望みという感覚は存在し得ない。あるがままがすべてで、すべてを所有して、そこにいるのだ。"To get from one ~ "「誰か一人から奪うということは、神の子全体から奪うことを意味する」。"And yet to bless but ~ "「しかし、誰か一人でも祝福するということは、一体なる者として、神の子全体に祝福を与えることになるのだ」。実相世界では、与えることと得ることは同一である。自他一如なのだ。



20. Your ancient Name belongs to everyone, as theirs to you. Call on your brother's name and God will answer, for on Him you call.
  • ancient [éinʃənt] : 「古代の、古くからの、古い、古びた」
  • call on : 「呼び掛ける、訪ねる、求める、要求する」
  • answer [ǽnsər] : 「答える、返事する」
❖ "Your ancient Name ~ "「あなたの古い呼び名は、みんなのものである」。『神の子』という呼び名は、同胞みんなの呼び名でもある。"as theirs to ~ "「それは、みんなの古い呼び名が、あなたの呼び名でもあることと同じなのだ」。同胞みんなも神の子であると同時に、あなたも当然、神の子なのだ。"Call on your brother's ~ "「あなたの同胞の名を呼べば、神が答えてくれるだろう」。"for on Him ~ "「なぜなら、同胞の名を呼ぶことは、神の名を呼んだとこであるからだ」。同胞を神の子と呼ぶことは、神の名を呼ぶことに等しく、したがって、同胞に代わって神が答えてくれるのだ。あなたの神の子を呼ぶ声を、神はちゃんと聞いてくれる。聞いて、答えてくれるのだ。もっとも、それは、ホーリー・スピリットを通して、であるが。



Could He refuse to answer when He has already answered all who call on Him? A miracle can make no change at all.
  • refuse [rifjúːz] to : 「〜することを拒む」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み、前々から」
  • make no change : 「変化を起こす」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "Could He refuse to ~ "「神が、神を呼ぶすべての神の子にすでに答えたというのに、神が答えを拒絶出来るだろうか」。神の子は、神に救いを求めて神の名を呼んだ。その呼び声に、神はすでに答えたのだ。実相的には、それは既成事実であり、変化しようのない事実である。ただし、この幻想世界にあっては、時間という枠組みの中にあるので、時間軸にそって、それを追体験しているのである。まだ、神は答えていないように思うだろうが、実相的には、神はすでに答えているのだ。神とても、その既成事実を覆して、答えを拒絶することは出来ない。"A miracle can ~ "「奇跡は、まったく変化を生むことは出来ない」。奇跡に、変化を生み出すパワーがないという意味合いではない。実相的に、真実が成立したその既成事実を、奇跡とても、覆すことはない、という意味だ。奇跡は、幻想を覆し、幻想を消滅させるという変化を起こすのであって、真実で構成された実相をいじることは決してしないのだ。



But it can make what always has been true be recognized by those who know it not; and by this little gift of truth but let to be itself, the Son of God allowed to be himself, and all creation freed to call upon the Name of God as One.
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • allow [əláu] : 「〜を許す、許可する、許容する」
  • creation [kriéiʃən] : 「創作物、作品、創造、創作」
  • call upon : 「= call on」
❖ "But it can make what ~ "「しかし、奇跡は、常に真実であり続けるものを、その真実を知らない者たちに認識させることは出来る」。奇跡は、真実を覆すようなことをするのではなく、真実に気付かせることをするのだ。真実に目覚めさせるのである。真実の目覚め、それが奇跡である。"and by this little gift ~ "「そして、この真実という小さな贈り物をあるがままにまかせ、」奇跡は、真実を変えるのではなく、真実をあるがままに生かし、"the Son of God ~ "「神の子が神の子自身であることを許し、」奇跡は、神の子を神の子としてあるがままに生かし、"and all creation freed to ~ "「神によって創造されたあらゆるものが、単一なるものとして、神の名を自由に呼べるようにするのである」。奇跡は、神によって創造されたものが神と同一の存在なのだと宣言出来る自由を与えてくれるのである。実相世界の存在である、神によって創造された真実達は、神と融合し、神と一体となり、神という名で呼ばれて然るべきもの達なのだ。もちろん、神の子も神と融合し、神と一体となって、神自身に統一される。神の子は神なのだと、あるいは、あなたは神なのだと、そう宣言する正当性を有しているのである。結局、一元論世界の存在は、唯一、単一、神だけなのだ。"Go is"「神あり」、これが、実相世界の究極的な姿なのである。
 
 
 


T-26.VII.17:1 ~ T-26.VII.18:5

17. In crucifixion is redemption laid, for healing is not needed where there is no pain or suffering.
  • crucifixion [krùːsəfíkʃən] : 「十字架刑、磔刑、はりつけ」
  • redemption [ridémpʃən] : 「贖い、贖罪、救済、解放、償い、救出」
  • laid [léid] : 「lay の過去・過去分詞形」
  • lay [léi] : 「〜を横たえる、〜を置く」
  • healing [híːliŋ] :「治療、回復、治癒、癒やし」
  • need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛」
  • suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
❖ "In crucifixion is ~ "「磔刑の中に、解放がある」。"for healing is not ~ "「なぜなら、痛みも苦痛も存在しないところに、ヒーリングは必要ないからだ」。さて、非常に誤解されやすい箇所である。慎重に解釈しよう。「磔刑の中に、解放がある」あるいは、「磔刑の中に、贖いがある」という意味だが、決して、断じて、磔刑によって解放、贖いが達成される、という意味ではない。ここでの『磔刑』は、イエス・キリストの磔刑を差しているのではないのだ。ACIMは、いかなる形の犠牲も攻撃も否定しているからだ。磔刑だけが例外だ、というのではない。では、ここで何を言いたいのだろうか。『磔刑』という言葉を、『心の闇』、『心の苦しみ』と置き換えたらいいだろう。つまり、この幻想世界に生きること自体が磔刑に等しいという意味だ。そこで、あなたが、心に痛みや苦痛を感じている時こそ、それを癒すヒーリングが必要なのであって、奇跡のヒーリングによって心の痛みや苦痛から解放され得るのだ、という意味である。簡単に言えば、苦しみの多い幻想世界にあってこそ、そこから解放され得るのであって、苦しみの存在しない実相世界では、ヒーリングは存在しないといういことである。心に罪の意識の存在するこの世界でこそ、罪の贖い、贖罪は必要なのであって、罪自体が存在しない実相世界では、贖いも贖罪も必要ではない。そういう、意味合いである。くどいようだが、決して、磔刑を推奨し、自ら進んで刑に処せられ、贖罪を果たし、解放されよ、という意味ではない。断じて、そうではない。



Forgiveness is the answer to attack of any kind. So is attack deprived of its effects, and hate is answered in the name of love.
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
  • deprive [dipráiv] : 「奪う、取り上げる、剥奪する」
  • deprive A of B : 「AからBを奪う、AにBを与えない」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
  • answer [ǽnsər] : 「〜に答える」
  • in the name of : 「〜の名において」
❖ "Forgiveness is the answer ~ "「赦しは、いかなる種類の攻撃に対しても、その答えである」。いかなる種類の攻撃にさらされても、あなたは赦しをもってそれに答えよ、ということ。イエスの生き様、そのものである。"So is attack deprived ~ "「そうすれば、攻撃の影響は奪われてしまうのであり、」"and hate is answered ~ "「憎しみは、愛という名において、答えられるのだ」。攻撃してきた相手の憎悪に対して、愛をもってそれに答えよ、ということ。愛と赦しは表裏一体である。愛をもって赦すのである。ところで、ACIMの赦しとは、一般に思われている許しとは大いに異なる。ある攻撃に対して、攻撃という事象は幻想世界だけに存在する幻想に過ぎないのだと認識し、その攻撃の幻想性を受け入れ、受け流してしまうこと。それが、ACIMの赦しである。簡単に言えば、他者が攻撃してきたなら、それは夢の中の出来事なのだと見て取って、その夢を夢として赦してしまうのである。幻想は幻想と知られた瞬間に消滅してしまう。夢は夢と知られたとき、夢から醒めるのだ。



To you to whom it has been given to save the Son of God from crucifixion and from hell and death, all glory be forever.
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • save [séiv] : 「救う、助ける」
  • hell [hél] : 「地獄、ひどい体験、修羅場、生き地獄」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
  • glory [glɔ́ːri] : 「栄光、称賛、名誉、誇り、壮観、荘厳、繁栄」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
❖ "To you to whom it ~ "「神の子を、磔刑から、そして地獄や死から救うために、赦しというものが与えられたあなたよ、あなたの栄光が永遠でありますように」。赦すことが出来、救いをもたらすことが出来るあなたには、神の子としての栄光があるのだ。その栄光こそ、永遠に輝いているのである。



For you have power to save the Son of God because his Father willed that it be so.
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力」
  • will [wíl] : 「〜を望む、意図する、命ずる、決意する」
❖ "For you have power ~ "「なぜなら、あなたには、神の子を救うパワーがあるからだ」。"because his Father ~ "「それは、父なる神が、そうであるように意思したからである」。あなたが神の子を苦しみから救い出せるように、神はあなたに実相的な神のパワーを継承したのだ。それは、神の意思であり、神の愛なのである。



And in your hands does all salvation lie, to be both offered and received as one.
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
  • both A and B : 「AもBも、ABいずれも、AのみならずBもまた 」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
❖ "And in your hands ~ "「あなたの手の中には、あらゆる救いが存在している」。"to be both offered ~ "「その救いは、一つのものとして、差し出され、受け取られるためにある」。あなたが同胞を救い、同胞はあなたを救うという、救いの分かち合いが、神の意思である。救うことと救われることは、実相的に同一なのだ。苦しみから救い、罪から救うということは、『キリスト』という名において象徴化される。結局、神の子は、この幻想世界で自らのキリスト性に目覚めることが必要なのである。なぜなら、あなたはキリストそのものだからだ。



18. To use the power God has given you as He would have it used is natural.
  • natural [nǽtʃərəl] : 「自然の、普通の、ありのままの、当然の」
❖ "To use the power God ~ "「神があなたに与えたパワーを、神がそれを使って欲しいと思うように使うことは、自然なことだ」。あなたの救いのパワー、赦しのパワー、ヒーリングのパワー、奇跡のパワーは、神から与えられたものであって、神は、神の子がそれを使うことを意思している。ならば、そのパワーを使うことこそ自然なことであって、使わないことは不自然だ。



It is not arrogant to be as He created you, nor to make use of what He gave to answer all His Son's mistakes and set him free.
  • arrogant [ǽrəɡənt] : 「尊大な、傲慢な、無礼な、横柄な」
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、〜を創り出す」
  • mistake [mistéik] : 「誤り、判断上の間違い、ミス、過ち」
  • set free : 「自由にする」
❖ "It is not arrogant ~ "「あなたが、神があなたを創造した通りに振る舞うことは、決して傲慢なことではない」。"nor to make use of ~ "「あらゆる神の子の過ちに答えるために、そして、神の子を自由にするために、神が与えてくれたものを使うことも、決して、傲慢なことではない」。あなたが、自らキリストして同胞を救い、解放することは、決して、傲慢なことではない。神は、あなたがキリストとして、神のパワーを使うことを望んでいるのだ。あなたが、自分をキリストであると宣言することは、決して傲慢なことではない。神の意思に沿うことなのだ。



But it is arrogant to lay aside the power that He gave, and choose a little senseless wish instead of what He wills.
  • lay aside : 「のけておく、しまっておく、捨てる、放棄する」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • senseless [sénslis] : 「無分別な、非常識な、常識がない、愚かな、無意味な」
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
  • instead [instéd] of : 〜の代わりに
❖ "But it is arrogant to ~ "「しかし、神が与えたパワーを使わずに放棄し、神の意思することに代えて、ちっぽけな意味のない望みを選択しすることこそ、傲慢なのである」。"a little senseless wish"「ちっぽけな意味のない望み」とは、この幻想世界で、金や地位や権力を求めること。実体のない、幻想的な快楽を求めることだ。自らのキリスト性に目覚めることなく、世俗的な幻想の快楽ばかりを追いかけていることこそ、傲慢なのだ、ということ。



The gift of God to you is limitless. There is no circumstance it cannot answer, and no problem which is not resolved within its gracious light.
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
  • limitless [límitlis] : 「無限の、制限のない」
  • circumstance [sə́ːrkəmstæ̀ns] : 「周囲の事情、環境、状況、事情」
  • problem [prɑ́bləm] : 「問題、疑問、難問、難題」
  • resolve [rizάlv] : 「解決する、消滅する、決意する、決定する」
  • within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側で」
  • gracious [ɡréiʃəs] : 「親切な、優しい、上品な、丁寧な、優雅な」
  • light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
❖ "The gift of God ~ "「神があなたに与えた贈り物は、制限がない」。神が神の子に継承した神の属性は無限であって、制限などない。したがって、神の子の持っている神のパワーにも制限がないのだ。あなたはどんな赦しも、どんな救いも、どんなヒーリングも、どんな奇跡も起こし得るのである。"There is no circumstance ~ "「その神からの贈り物が答えられないような状況はないし、」神から与えられたパワーが効力を発揮出来ない状況はないし、"and no problem which ~ "「(そのパワーのもつ)優しい光の中で、解決出来ない問題などない」。あなたのパワーに制限はない。あなたは、どんな問題も解決出来、どんな状況にあっても答えを出せるのだ。そのパワーを信じられるか信じられないか、それはあなたの選択であって、その選択によって、あなたは全く別方向の道を歩むことになるである。片や、優しい光の中に向かう道であり、片や、闇の中に向かう道である。
 
 
 


T-26.VII.15:1 ~ T-26.VII.16:7

15. Illusions serve the purpose they were made to serve. And from their purpose they derive whatever meaning that they seem to have.
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に仕える、〜のために働く」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • derive [diráiv] : 「引き出す、導き出す、得る、導く、抽出する」
  • whatever [hwʌtévər] : 「〜するのは何でも」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "Illusions serve the purpose ~ "「幻想は、幻想が仕えるように作られた目的に、仕えるのだ」。幻想は目的があって作られるのだが、その目的から外れることなく、幻想は目的に仕える。"And from their purpose ~ "「そして、その目的から、幻想は、目的のもっていそうな意味ならば何でも引っ張り出してくるのだ」。幻想は、都合のいい意味を目的から引き出してくる。例を考えよう。この幻想世界は目的をもって作られた。神の子が神から分離し、神を裏切ったという罪の意識に絶えられなくなって自己を乖離し、神の子という自己を捨てて分離分裂した多数の人間という人格を作り出した。そして、神からの分離を象徴する幻想世界を、心の外部に投射して作り出したのだ。したがって、幻想世界は、分離を目的に、分離を象徴して疑似創造されたのである。さらにその上に、分離という目的が持っている別の意味、たとえば、他者と自分は異なっているという特別性や、罪は実在するという信仰や、時空の存在、崩壊と死の存在、変化流動の法則、等々を、幻想は次々と引っ張り出してくるのである。



God gave to all illusions that were made another purpose that would justify a miracle whatever form they took.
  • gave [géiv] : 「give の過去形」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「正当だと説明する、弁明する、正当化する」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見」
❖ "God gave to all illusions ~ "「神は、作り出されたあらゆる幻想に対して、〜するような、また別の目的を与えた」。" that would justify ~ "「どんな形をとろうとも、奇跡を正当化するような、」また別の目的を、神は与えた。神は、ホーリー・スピリットを通して、幻想に対して答えを与えた。幻想をヒーリングして、幻想を消滅させ、真実に導くという奇跡を与えたのだ。つまり、幻想の持つ目的対して、その幻想が奇跡によって消滅するという別の目的を与えたのだ。消滅という目的である。幻想が本来持っている幻想の存続という目的と、真っ向からぶつかり合う幻想の消滅という目的、それを果たすのが奇跡である。だから、奇跡は、この世界の法則、物理法則から心の法則まで、あらゆる法則を破って、超常的な事象を起こすのである。究極、奇跡は死をも征服するのだ。イエスが死者を蘇らせた奇談は、それを語っている。



In every miracle all healing lies, for God gave answer to them all as one. And what is one to Him must be the same.
  • healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
❖ "In every miracle ~ "「あらゆる奇跡の中に、ヒーリングは存在する」。幻想をヒーリングし、幻想を消滅させることが奇跡である。悪夢から目覚めさせることがヒーリングであり、真実への目覚めを与えることが奇跡だ。ヒーリングと奇跡は表裏一体であり、したがって、同一であると考えていい。"for God gave answer ~ "「神は幻想に対して、ヒーリングと奇跡は一つのものだとして、答えたのだ」。"And what is one ~ "「神にとって一つであるものは、同一であらねばならないのだ」。あらゆる幻想に対して、神の使者であるホーリー・スピリットは一つの答えを提示する。ヒーリングと奇跡という同一の答えである。では、答えが一つであるなら、様々な形をとって現れる幻想もまた、一つではないのか。



If you believe what is the same is different you but deceive yourself.
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
❖ "If you believe what ~ "「もしあなたが、同じものを異なるものと信じているなら、あなたはあなた自身を欺いているのだ」。幻想も一つ、それに対する神の答えも一つ。一つであるものを異なると感じるのは、あなたの知覚があなたを欺(あざむ)いているからだ。あなたは知覚に騙(だま)されているのだ。



What God calls One will be forever One, not separate. His Kingdom is united; thus it was created, and thus will it ever be.
  • call [kɔ́ːl] : 「〜と呼ぶ」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
  • unite [junáit] : 「を結合させる、一つにする、結び付ける」
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、こんなふうに」
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、〜を創り出す」
❖ "What God calls One ~ "「神が一つと呼ぶものは、永遠に一つであり、分離などしていない」。たとえば、神は神の子を一つだと呼ぶ。だから、神の子は分離することなく、単一の存在なのだ。神は、神と神の子は一つだと呼ぶ。だから、神と神の子は分離することなく、一体であり、単一存在なのだ。こうして、実相世界の存在は、すべて神に収斂し、神こそが単一の存在として、そこにあるのだ(God is)。一元論世界の必然である。"His Kingdom is ~ "「神の王国(天の王国)は、一つに結びついている」。天の王国は単一であり、単体であり、一元のみの世界なのである。"thus it was created ~ "「そのように創造されたのであり、いつまでもそうなのだ」。



16. The miracle but calls your ancient Name, which you will recognize because the truth is in your memory.
  • ancient [éinʃənt] : 「古くからの、古い、古びた」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • memory [méməri] : 「記憶、思い出」
❖ "The miracle but calls ~ "「奇跡は、あなたの古い呼び名を呼ぶ」。奇跡は、あなたを、古い呼び名である『神の子』と呼ぶ。つまり、奇跡はあなたに、あなたが神の子であることを思い出させるということだ。"which you will ~ "「それを、あなたは認識するであろう」。神の子という呼び名が、自分の呼び名であることを認識するであろう。"because the truth is ~ "「なぜなら、真実があなたの記憶の中にあるからだ」。あなたが神の子であるという真実が、あなたの記憶の中に残っているからだ。



And to this Name your brother calls for his release and yours.
  • call for : 「〜を要求する、訴える、〜を求めて呼ぶ」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
❖ "And to this Name your ~ "「あなたのこの『神の子』という呼び名に向かって、あなたの同胞は、同胞の解放とあなたの解放を求めるのである」。同胞は、『神の子』という名のあなたに、罪からの解放、幻想からの解放を求めるのだ。それは同時に、あなた自身の解放にも繋がるのである。あなたと同胞は、互いに救い主なのである。



Heaven is shining on the Son of God. Deny him not, that you may be released.
  • shine [ʃáin] : 「輝く、光る」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
❖ "Heaven is shining ~ "「天の王国は、神の子の上に輝いている」。"Deny him not ~ "「神の子である同胞を否定してはいけない」。神の子である同胞があなたに求める救いを、拒絶してはいけない。"that you may be ~ "ここのthat"は"so that"、「その結果、〜するために」、「その結果として、あなたは解放され得るのだから」。



Each instant is the Son of God reborn until he chooses not to die again.
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • reborn [ribɔ́ːrn] : 「再生した、生き返った、よみがえった、生まれ変わった」
  • until [ʌntíl] : 「〜する時まで」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
  • again [əɡéin] : 「再び、かさねて」
❖ "Each instant is ~ "「〜の時まで、瞬間瞬間に、神の子は生まれ変わるのだ」。"until he chooses not ~ "「神の子が、再び死ぬことを選択しなくなるまで、」瞬間瞬間に、神の子は生まれ変わるのだ。ここでの"reborn"「生まれ変わる」は、幻想世界においての生まれ変わりを意味している。実相世界への復活ではない。つまり、現在という時が瞬時にして死んで過去となり、次の瞬間、あなたは現在に生まれ変わる、という意味合いである。さらに長い時間的なスパンで見れば、現世で生き、現世で死に、また来世に生まれ変わるという、輪廻転生を意味する。あなたが死という幻想を消滅させるまで、つまり、死を選択することがなくなるまで、それは続くのだ。



In every wish to hurt he chooses death instead of what his Father wills for him.
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
  • instead [instéd] of : 「〜の代わりに」
  • will [wíl] : 「〜を望む、意図する、命ずる、決意する」
❖ "In every wish ~ "「傷つけたいと望むたびに、神の子は、父なる神の神の子への意思の代わりに、死を選んでいるのだ」。神は神の子に、死からの救いを強く願っている。神の子の死からの解放を意思しているのだ。しかし、神の子は他者を攻撃し、他者を傷つけたいと願っている限り、攻撃という幻想から抜け出せない。幻想に必死にしがみついているのだから、同時に、死という幻想からも抜け出せないのだ。自ら、死を選択していることになる。神は、神の子の自由意思を何よりも重んじているので、神の子が自ら進んで、死の選択を放棄し、解放を選択しない限り、神は手出しが出来ないのである。



Yet every instant offers life to him because his Father wills that he should live.
  • offer [ɔ́ːfər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • life [láif] : 「命、生命」
  • live [lív] : 「生きる、生存する、生きている、生き延びる」
❖ "Yet every instant ~ "「しかし、あらゆる瞬間は、神の子に命を差し出しているのだ」。神の子は、瞬間瞬間に生まれ変わり、新しい命が授かるのである。神の子が死を選択することがなくなるまで、それは続く。言い換えれば、神の子は、瞬間瞬間に、死からの解放を選択するチャンスが与えられているのだ。"because his Father ~ "「なぜなら、父なる神は、神の子が生き延びることを意思しているからなのだ」。神の子が、実相的に、真実に生きることを神は望み、そのためのチャンスを、瞬間瞬間に、神は神の子に与えているのだ。だから、あなたは、生まれ変わりをいつまでも求めるべきではない。死と再生のプロセスに終止符を打つ選択をすべきなのだ。死からの解放を意思し、つまり、死からの救いを強く意念し、ホーリー・スピリットの救いを受けるべきなのだ。エゴを捨て、ホーリー・スピリットを選択すべきなのだ。幻想からの目覚め、実相への目覚めを選択すべきなのだ。それが、この世での、現世での、あなたの目的なのである。それ以外に、何があろう。
 
 
 


T-26.VII.13:1 ~ T-26.VII.14:8

13. Cause and effect are one, not separate. God wills you learn what always has been true: that He created you as part of Him, and this must still be true because ideas leave not their source.
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • separate [sép(ə)rət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」
  • will [wíl] : 「〜を望む、意図する、命ずる、決意する」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • always [ɔ́ːlweiz] :「いつも、常に」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、〜を創り出す」
  • part [pάːrt] : 「一部、部分」
  • idea [aidíə] : 「考え、着想、知識、見解」
  • leave [líːv] : 「〜から離れる、〜と別れる、〜を残す」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起点、原因」
❖ "Cause and effect ~ "「原因と結果は一つであり、分離などしていない」。"God wills you learn ~ "「神は、あなたが、常に真実であり続けるものを学んで欲しいと意思しているのだ」。"that He created ~ "「たとえば、神はあなたを、神の一部として創造したこと」。"and this must still ~ "「それは、今でも真実であるに違いないのだ」。"because ideas leave ~ "「なぜなら、想念は、その源から離れることはないからだ」。神はあなたを神の一部として創造したということは、神はそれを想念し、意思し、望んだのであり、無時間の天の王国においては、今もなお神はそれを想念し、意思し、望んでいるのである。神の想念や意思や望みは、神の心を決して離れることはないし、離れたこともない。常に、途切れることなく、神の想念は現実化し続けるのである。だから、実相世界では、「原因と結果は一つであり、分離などしていない」のである。



Such is creation's law; that each idea the mind conceives but adds to its abundance, never takes away.
  • creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
  • each [íːtʃ] : 「それぞれの、一つ一つの、めいめいの」
  • conceive [kənsíːv] : 「抱く、心に描く、思い付く、着想する」
  • add to : 「〜を増加させる、〜を加える、〜を増大させる」
  • abundance [əbʌ́ndəns] : 「多量、豊富、多数、潤沢、裕福」
  • take away : 「取り上げる、取り除く、持ち去る」
❖ "Such is creation's ~ "「創造の法とは、そういうものなのだ」。"that each idea ~ "「つまり、心が抱いた想念は、豊かにすることはあれ、決して減らしたりするものではないのだ」。神の想念、実相世界の想念は、一方向を向いたまま、無限に拡大し続ける。その永遠不変の想念が、永遠不変に現実化し、どんどん増大して豊かになっていくのである。たとえば、愛を想念すれば愛は現実化し、その愛はどんどん増大して豊かになっていく。喜びも、増大することこそあれ、減少することはない。真の創造とはそういうものであり、それが創造の法である。



This is as true of what is idly wished as what is truly willed, because the mind can wish to be deceived, but cannot make it be what it is not.
  • be true of : 「〜についてもいえる、〜に当てはまる」
  • idly [áidli] : 「何もしないで、怠けて、無為に、ぼんやり」
  • wish [wíʃ] : 「望む、祈る、祈念する 」
  • truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に、心から、誠実に」
  • will [wíl] : 「〜を望む、意図する、命ずる、決意する」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
❖ "This is as true of ~ "「このことは、心から意思したことと同様に、何となく願ったことについても当てはまる」。実相的に明確な想念についても、幻想的な曖昧な思いについても、まったく同様に、想念は現実化し、どんどん増加するものなのだ。だだし、実相的想念の現実化は実在性をもって実現されるのだが、幻想的想念は、増加するといっても、それはいつまでも幻想に留まることになる。妄想が誇大化するのだ。"because the mind can ~ "「なぜならば、心は騙されたいと望むことも可能であるが、しかし、それが本来そうではないものに仕立て上げることは不可能だからだ」。心は、幻想という想念によって騙され得るが、そして、それを誇大妄想的に増大させることは出来るのだが、幻想という本来持っている性質を変化させて、その想念を実在する実相に変えることは不可能なのだ。したがって、神の子が神から分離して以来、神の子は幻想的な想念を現実化し増大させて、今日の幻想世界、幻想宇宙を疑似創造してきたのだが、それがどんなにリアルに見えようが、実体を持たない幻想、幻覚に過ぎないことは変わりない。幻想は実相になり得ないのである。



And to believe ideas can leave their source is to invite illusions to be true, without success.
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • invite [inváit] : 「招待する、招く、〜を勧誘する、勧める」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • success [səksés] : 「成功、上出来」
❖ "And to believe ideas ~ "「想念が想念の源を離れ得ると信じることは、幻想を真実なるものとして招き入れることである」。"without success"「しかし、成功することはない」。心が源となって生み出される想念は心を離れて現実化すると信じることは、たとえそれが虚偽なるものでも現実化され得ると信じることであって、結果的に、誇大な幻想を作り上げてしまうことに繋がるのだ。そして、虚偽なる想念を現実化しても、幻想が実在の実相に変化することはない。試みは必ず、失敗するのである。それに対して、心が真実の想念を持つとき、真実の想念自体が実在であるから、実在する心を離れることなく、瞬間にして、実体をもった実在として現実化される。現実化された想念自体が、その源の心を形作り、心を増大させていくのである。原因と結果が一体なのである。これが、真の創造である。



For never will success be possible in trying to deceive the Son of God.
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
❖ 成功することはないと言ったのは、"For never will success ~ "「なぜなら、神の子を騙そうと試みることに、成功の見込みはないからだ」。嘘のペンキは、いつか必ず剥がれるのだ。この幻想世界がどんなにリアルに見えようが、虚偽であり嘘であり幻覚である以上、いつか必ず、神の子はその幻想性、虚偽性に気付き、そのペンキを剥がし落とす時が来るのだ。その時が今でないと、誰が言えるだろうか。



14. The miracle is possible when cause and consequence are brought together, not kept separate.
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
  • consequence [kɑ́nsəkwèns] : 「結果、結論、結末、成り行き、帰結」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • together [təɡéðər] : 「一緒に、同時に」
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • keep : 「〜の状態にしておく、〜の状態を保つ、〜にしておく」
separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」 ❖ "The miracle is possible ~ "「奇跡は、原因と結果が離れたままにされずに、一緒に持ち込まれたとき、可能となるのだ」。原因と結果が融合するとき、奇跡は起きる。たとえば、心が原因となって愛を想念し、愛が生み出され、その結果である愛が心そのものとなったとき、それが、奇跡なのだ。一元論世界は、時間の存在しない世界であるから、原因から結果に移る時間自体が存在しない。原因がそのまま結果として出現するのである。そこに、原因と結果の融合が生まれるのである。原因と結果が、まさに一元論的に、一元になってしまうのだ。



The healing of effect without the cause can merely shift effects to other forms. And this is not release.
  • healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に、たかが〜にすぎない」
  • shift [ʃíft] : 「移す、入れ替える、切り替える」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
❖ "The healing of effect ~ "「原因を考えずに、結果だけをヒーリングすることは、単に、結果を他の結果に移し替えることに過ぎない」。"And this is not ~ "「これは、解放とは言い難い」。病を、その表面的な症状だけを治療しただけでは、真のヒーリングではない。症状の様相が別の症状に移し替えられるだけなのだ。真のヒーリングは、病を幻想している心自体をヒーリングすることである。心を幻想から解放することで、病という症状を消すことがヒーリングである。



God's Son could never be content with less than full salvation and escape from guilt.
  • content [kɑ́ntent] : 「満足している」
  • be content with : 「〜に満足している」
  • less than : 「〜未満の、〜に満たない」
  • full [fúl] : 「いっぱいの、いっぱいになる、充満する」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、逃避、回避」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "God's Son could never ~ "「神の子は、完璧な救い、完全な、罪の意識からの脱出、それ以下では、満足させられることは不可能だ」。神の子に必要なのは、中途半端な救いや解放ではなく、全的な、完璧な救いや解放である。半分だけ実相に目覚め、後の半分は幻想に浸っているなどということは、救いでも解放でもない。



For otherwise he still demands that he must make some sacrifice, and thus denies that everything is his, unlimited by loss of any kind.
  • otherwise [ʌ́ðərwàiz] : 「さもなければ、そうしないと、そうでなければ」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • unlimited [ʌnlímitid] : 「制限のない、無制限の、自由な、無条件の」
  • loss [lɔ́s] : 「失うこと、紛失、損失、喪失」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
❖ "For otherwise he still ~ "「なぜなら、さもなければ、神の子は、更なる犠牲を求め、」"and thus denies that ~ "「こうして、あらゆるものが神の子のものであり、いかなる種類の喪失によっても制限されることはないということを否定してしまうからだ」。神の子が、幻想から中途半端に救われて解放されたなら、片足はまだ幻想世界に留まったままなので、幻想世界の法則に制限され、神の属性のすべてを継承していることを否定し、攻撃や犠牲を強いる行為に走ってしまうだろう。



A tiny sacrifice is just the same in its effects as is the whole idea of sacrifice.
  • tiny [táini] : 「とても小さい、ちっぽけな、極めて小さな」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
❖ "A tiny sacrifice is ~ "「小さな犠牲でさえ、犠牲という想念全体と同様に、結果的にはまったく同じなのだ」。実相的には、愛がどれだけあるかが問題なのではなく、愛があるかないかが問題なのである。同様に、幻想的には、犠牲がどれだけ強いられるかが問題なのではなく、犠牲があるかないかが問題なのだ。結果的な犠牲の大きさが問題なのではない。どんなに小さくても、犠牲があったかなかったかが問題なのだ。ところで、犠牲とは、心が幻想によって欺かれている状態を言う。したがって、幻想は、その大小が問題なのではなく、幻想か幻想でないのか、それが問題なのだ。



If loss in any form is possible, then is God's Son made incomplete and not himself.
  • in any form : 「いかなる種類のものであれ」
  • incomplete [ìnkəmplíːt] : 「不完全な、不十分な、未完成の、出来損ないで」
❖ "If loss in any form ~ "「もし、いかなる形であれ、損失が可能ならば、」"then is God's Son ~ "「その時は、神の子は不完全なものにされ、神の子自身でなくなってしまうのだ」。何かを失うことは、この幻想世界でこそ可能であろうが、損失も喪失も、実相世界には存在しない。実相世界では、得ることはあっても失うことはないのだ。与えることと得ることが同一である世界に、喪失が存在出来るわけがないのだ。したがって、もし神の子が何かを失う可能性をもっているなら、その神の子は実相世界に住んでいるのではなく、幻想世界に捕らわれていることを意味する。幻想的な神の子は、まったく不完全であり、本当の神の子それ自身だと、決して言い難い。



Nor will he know himself, nor recognize his will. He has forsworn his Father and himself, and made Them Both his enemies in hate.
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • forsworn [fɔːrswɔ́ːrn] : 「forswear の過去分詞形」
  • forswear [fɔːrswέər] : 「強く否定する、〜を否認する、〜を偽証させる」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」
  • hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
❖ そうであれば、"Nor will he know ~ "「神の子は、自分自身を知ることも、自分の意思を認識することも出来ないだろう」。幻想的な神の子は、いわば、眠りに落ち込んだ存在である。眠っている者が、真の自分自身を認識することも、真の意思を知ることも、ともに不可能である。"He has forsworn ~ "「神の子は、父なる神も神の子自体も強く否定し、憎しみの中で、両者を敵に回したのである」。神の子は、神から分離した後、深い眠りに陥り、その夢の中で、自らが神の子であることを否定し、神の属性のすべてを継承したことも忘れ、神を裏切った罪の意識に嘖まれ、神の罰を恐れて神の愛を否定したのだ。そんな、悪夢を見ている神の子が、自分自身を知ることも、自分自身の意思を知ることも、可能であろうか。
 
 
 


T-26.VII.11:1 ~ T-26.VII.12:6

11. What is the Will of God? He wills His Son have everything. And this He guaranteed when He created him as everything.
  • will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
  • will [wíl] : 「〜を望む、意図する、命ずる、決意する」
  • guarantee [ɡæ̀rəntíː] : 「保証する、請け合う、約束する」
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、〜を創り出す」
❖ "What is the Will ~ "「神の意思とは何か」。"He wills His Son ~ "「神は、神の子がすべてをもつことを意思している」。"And this He guaranteed ~ "「神が神の子を、すべてのものとして創造したとき、神はこのことを保証したのだ」。"when He created him as everything"「神が神の子を、すべてのものとして創造したとき」とは、神が神の子に神の属性のすべてを継承して、神の子を創造したとき、という意味合い。だから、神の子は創造された瞬間から、神と同じすべての属性を有しているはずなのだ。その事実を、神の子は忘れている。



It is impossible that anything be lost, if what you have is what you are.
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • lost [lɔ́st] : 「lose の過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
❖ "It is impossible that ~ "「もし、あなたが持っているものが、本当のあなた自身であるなら、何ものも失われ得ないのだ」。神の属性をもった、実相的な神の子が、あなた自身の本当の姿であるなら、あなたは、神の属性の何ものも失うことはない。実相的真実は、失われることはないからだ。



This is the miracle by which creation became your function, sharing it with God.
  • creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
  • share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "This is the miracle ~ "「これは、奇跡であり、その奇跡によって、創造性があなたの役割となり、創造性を神と分かち合っていることになるのだ」。神の子が神の属性のすべてをもっており、失うことが決してないということは、奇跡的な、素晴らしいことであって、その神の属性は神の子に、真実の創造を促しているのだ。神の子は、神と共に、実相世界の真実を創造し生み出していくのである。



It is not understood apart from Him, and therefore has no meaning in this world.
  • understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understand の過去・過去分詞形」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する」
  • apart from : 「〜から離れて、〜は別として、〜はさておき」
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "It is not understood ~ "「創造性は、神を離れて理解することは出来ないし、」"and therefore has ~ "「それゆえ、この世界では何の意味もない」。真の創造性は、神の存在する実相世界においてのみ理解可能なことであって、真実の創造は、この幻想世界にあっては意味をもたない。実相的な実在が、幻想という枠組みの中に入るわけがない、という意味合い。



Here does the Son of God ask not too much, but far too little.
  • ask [ǽsk] : 「〜を求める、〜を頼む、依頼する」
  • far too : 「あまりにも〜な」
❖ "Here does the Son of God ~ "「この幻想世界においては、神の子は、多くを要求しないどころか、要求があまりにも少な過ぎる」。この幻想世界において、神の子は、真実をあまりにも求めなさ過ぎる。真実の創造を、あまりにも追求しなさ過ぎる。真実も創造もそっちのけで、ただただ夢の中に埋没しているだけだ。



He would sacrifice his own identity with everything, to find a little treasure of his own.
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「〜を犠牲にする、〜をささげる」
  • identity [aidéntəti] : 「同一性、自我同一性、独自性、固有性」
  • treasure [tréʒər] : 「宝、富、宝物、財産」
❖ "He would sacrifice ~ "「神の子は、自分自身のほんの少しの宝物を探し出すためなら、あらゆるものと同一である自分自身を犠牲にするだろう」。神の子がこの幻想世界で、取るに足らぬ宝物、たとえば金であり地位であり権力を手に入れるためには、神の子は、神の属性のすべてを有しているという自己を犠牲にすることさえ厭(いと)わない。金のためなら、地位のためなら、権力のためなら、真実の愛も真実の喜びも真実の平和も犠牲にしてしまうのだ。真実を犠牲にして幻想を手に入れようとするのである。



And this he cannot do without a sense of isolation, loss and loneliness.
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • sense [séns] : 「感覚、知覚、良識、分別、道理」
  • isolation [àisəléiʃən] : 「孤立、分離、隔離、孤独、孤立感」
  • loss [lɔ́s] : 「失うこと、紛失、損失、喪失」
  • loneliness [lóunlinəs] : 「孤独感、寂しさ、独りぼっち」
❖ "And this he cannot ~ "「こんなことは、分離感や喪失感や孤立感なしでは、神の子の出来ることではない」。神の子がこの幻想世界で分離分裂し、神の属性を失ってしまったという喪失感、他者と一体になれない分離感、一人生きねばならない孤立感、等々が神の子を苦しめているのだ。その心の闇をごまかすために、ますます幻想にのめり込んで、実相的な価値などまったくない金や地位や権力という麻薬に手を染めていくのである。



This is the treasure he has sought to find. And he could only be afraid of it.
  • sought [sɔ́ːt] : 「seek の過去・過去分詞形」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • be afraid [əfréid] of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
❖ "This is the treasure ~ "「こんなものが、神の子の探し求めている宝物なのだ」。"And he could only ~ "「そして、(その結果、) 神の子は宝物を恐れることになるのである」。金や地位や権力を失いはしないか、誰かによって奪われはしないかと、日々、戦々恐々として生きなくてはならなくなる。それを失ってしまったら、自分は無に帰してしまうと信じているのだ。そして、恐れが、ますます麻薬を求めていくのである。恐れを麻痺させるためだ。



Is fear a treasure? Can uncertainty be what you want? Or is it a mistake about your will, and what you really are?
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • uncertainty [ʌnsə́ːrtnti] : 「確信のなさ、不確かさ、不確実さ、不確実性」
  • mistake [mistéik] : 「誤り、判断上の間違い、ミス、過ち」
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
❖ "Is fear a treasure?"「一体、恐れが宝物だと言えるだろうか」。"Can uncertainty ~ "「不確実性が、あなたの望むものになり得ようか」。不確実性の中で、変化流動して崩壊に向かう金や地位や権力が、あなたの望むものなのか。"Or is it a mistake ~ "「あるいは、そんな宝物を求めることは、あなたの意思についての、そして、本当のあなたは何なのかということについての、誤りではないのか」。実相的な自分自身を幻想的な自分と取り違えるという、知覚の誤りなのだ。



12. Let us consider what the error is, so it can be corrected, not protected.
  • consider [kənsídər] : 「よく考える、熟考する」
  • error [érər] : 「誤り、間違い、ミス、誤字、誤用、過失」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
❖ "Let us consider ~ "「誤りとは何なのか、よく考えてみよう」。"so it can be ~ "「そうすれば、誤りは正せるし、守らなくてもすむ」。ここの"protected"は、防御するという意味合いではなく、保持し続ける、といった意味合い。幻想の誤りを、後生大事にいつまでも心の中に保持続けるということだ。



Sin is belief attack can be projected outside the mind where the belief arose.
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • project [prədʒékt] : 「〜を投影する、発射する、投げ出すs」
  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
  • arose [əróuz] : 「arise の過去形」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる」
❖ "Sin is belief attack ~ "「罪とは、攻撃性は心の外側に投射され得るものだと信じるところに生まれる」。"where the belief ~ "「心がその信念を生み出しているのだ」。攻撃性は、あなたの心が生み出す悪感情である。しかし、あなたはその感情をあなたの心の中だけで処理しきれないのだ。そこで、攻撃性を心の外部に投射して、誰かを悪者に仕立てて攻撃しようとするのである。他者に罪があると断言して、罪あるものは攻撃しても正当だとあなたは信じる。あるいは、攻撃性を自分自身に向けて、罪ある自分は自分で攻撃しても正当であると信じるのである。しかし、自分を攻撃することが怖いので、他者に攻撃心を向ける。攻撃性を投射し、悪者を外部に求めるのだ。したがって、心が生み出す悪感情の攻撃性と、罪を心の外に見つけ出すことは、表裏一体なのである。



Here is the firm conviction that ideas can leave their source made real and meaningful.
  • firm [fə́ːrm] : 「堅い、堅固な、頑丈な、断固とした」
  • conviction [kənvíkʃən] : 「信念、確信」
  • leave [líːv] : 「〜から離れる、〜を残す」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起点、原因」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、意味深長な、重要な」
❖ "Here is the firm conviction ~ "「ここでは、想念は、想念の源を離れ得るという固い確信が現実的で意味があるとされるのだ」。心が想念を生み出す源なのだが、その想念は心を離れて外部に投射されて、想念の勝手な世界が外部に描き出せるという確信がある。簡単に言えば、心は幻想することも、妄想を抱くことも、錯覚することも出来、それを心の外部に投射して、そこにリアルで意味のあり気な幻想世界、妄想世界、錯覚世界を作り出してしまうのである。それが可能だと固く信じているがために、今、あなたは、投射された幻想世界に生きているのだ。



And from this error does the world of sin and sacrifice arise.
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる、発生する」
❖ "And from this error ~ "「この誤りから、罪と犠牲の世界が立ち現れているのである」。心が想念を外部に投射出来るという誤った考えから、それが現実化して、この幻想世界が立ち現れたのだ。思いは必ず、現実化するのである。



This world is an attempt to prove your innocence, while cherishing attack.
  • attempt [ətémpt] : 「試み、企て」
  • prove [prúːv] : 「証明する、〜となる、〜であると分かる」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔」
  • while [hwáil] : 「〜なのに、〜ではあるものの、〜だが」
  • cherish [tʃériʃ] : 「〜を大事にする、大切にする」
❖ "This world is an attempt ~ "「この世界は、攻撃性を大切にしておきながら、あなたの無辜性を証明しようとする試みである」。他者に罪を幻想し、罪ある他者は攻撃するに限ると信じておきながら、罪のない自分は正当であると主張する、そういった世界がこの幻想世界である。他者に罪を見出すとは、本当は、自分の罪を認めたことになるのである。



Its failure lies in that you still feel guilty, though without understanding why.
  • failure [féiljər] : 「失敗、不成功、破綻」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • still [stíl] : 「まだ、今でもまだ、いまだに、今もなお」
  • feel [fíːl] : 「感じがする、感じる」
  • guilty [gílti] : 「犯罪的な、罪を犯した、罪の意識がある、後ろめたい」
  • though [ðóu] : 「〜にもかかわらず、たとえ〜でも」
❖ "Its failure lies in that ~ "「この誤りは、あなたがいまだに罪の意識を感じているということの中に存在する」。"though without ~ "「たとえ、その理由が分からなくても」。あなたは、罪があるのは他者であって、罪ある者は攻撃して然るべきだと主張し、罪のない自分は正当だと断言するが、そのあなたの心の中には、罪の意識が確かに眠っている。あなたは、どうあがいても、罪の意識から解放されていないのだ。その罪の意識が何処から来るものなのか、あなたは知らないのだが。この罪の意識こそ、遠い昔、神を裏切って神から分離したという、神の子の罪の意識なのである。つまり、神に対する原罪意識なのだ。



Effects are seen as separate from their source, and seem to be beyond you to control or to prevent. What is thus kept apart can never join.
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こう)に、〜を越えて、〜を過ぎて」
  • control [kəntróul] : 「支配する、抑える、制御する」
  • prevent [privént] : 「防ぐ、妨げる、防止する、阻止する、止める」
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • keep [kíːp] : 「〜の状態にしておく、保つ、〜にしておく」
  • apart [əpάːrt] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに、別々に」
  • join [dʒɔ́in] : 「交わる、一緒になる、結合する」
❖ "Effects are seen as ~ "「結果は、その源から分離したものと見られる」。結果は原因から離れて、独自に存在しているかに見られる。心が原因となって生まれ、外部に投射された結果が、心を離れて独立に存在しているように見えるのである。"and seem to be ~ "「そして、その結果は、あなたの制御や抑制を越えてしまっているように見られるのだ」。あなたの心が生んだ結果ではあるが、心を離れてしまったために、あなたの心の制御を受けないのだ。"What is thus kept apart ~ "「このように、分離させられたものは、決して結合することはない」。幻想世界において、心から分離させられ、独立に存在しているかに見られる結果というものは、二度と結合したりしない。結合しないという原則が、分離を象徴するこの幻想世界そのものだからだ。もちろん、実相世界では、このようなことは起きない。心が原因となって生み出されたものは心から分離することなく存在し、むしろ、原因も結果もなく、渾然として一体なのである。したがって、あなたの心が愛や喜びを創造し生み出すと言うよりも、創造され生み出された愛や喜びがあなたの心そのものである、と言った方が正確なのだ。原因と結果が融合し、一元となるのだ。実相世界は、一元論世界である。
 
 
 


T-26.VII.9:1 ~ T-26.VII.10:6

9. Forgiveness takes away what stands between your brother and yourself.
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • take away : 「取り除く、持ち去る、撤去する、運び去る」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
❖ "Forgiveness takes away ~ "「赦しは、あなたの同胞とあなた自身の間に立ちはだかるものを、取り除いてくれる」。あなたの同胞とあなた自身の間に立ちはだかるものとは、罪という幻想であり、分離という幻想である。幻想が、あなたと同胞を分けているのだ。その幻想を幻想と認識し、受け入れ受け流して赦してしまうことで、幻想は消滅する。赦しは、障害物を取り除いてくれるのだ。



It is the wish that you be joined with him, and not apart.
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
  • join [dʒɔ́in] : 「参加する、交わる、一緒になる」
  • apart [əpάːrt] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに」
❖ "It is the wish that ~ "「赦しとは、あなたが同胞と一緒にいたという願望、離れていたくないという願望なのだ」。遠い昔、神の子が神と共に暮らしていたとき、神の子は分離分裂することなく、単一の存在であった。その記憶は、今なおあなたの心の奥底に残っていて、あなたは、同胞と分離していることを解消し、再び統一されたいという望みを心の底に抱いているのだ。それを現実化させてくれるのが、赦しである。幻想を赦したいと望むことは、分離を解消して再統一されたいという望みなのである。神の子の、本能的な望みなのである。



We call it "wish" because it still conceives of other choices, and has not yet reached beyond the world of choice entirely.
  • conceive [kənsíːv] : 「抱く、心に描く、思い付く、着想する」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • reach [ríːtʃ] : 「〜に達する、〜に至る」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜の域を越え」
  • entirely [intáiərli] : 「全く、完全に、全体に、ひたすら」
❖ "We call it "wish" because ~ "「私たちが赦しを『望み』と呼んだのは、望みはまだ、他の選択をはらんでいるからであり、」"and has not yet reached ~ "「選択の存在する世界を完全に超越する地点に達していないからなのだ」。この二元論の幻想世界にある限りは、選択という概念は意味をもつ。あれかこれかの選択が出来るからだ。しかし、一元論の実相世界では、選択という概念はない。これしかない世界に、選択の可能性はないからだ。ところで、赦しには、赦すか赦さないかの選択が可能であるし、幻想を消滅させることも、幻想を温存しておくことも、選択出来るのである。赦しは、したがって、この幻想世界の事象であって、選択を超越した実相世界の事象ではないのだ。赦しを望むか望まないか、あなたの選択次第なのだ。実相を望むか幻想を望むか、あなたの選択次第なのである。



Yet is this wish in line with Heaven's state, and not in opposition to God's Will.
  • in line with : 「〜と一致して」
  • state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
  • opposition [ὰpəzíʃən] : 「反対、敵対、対立」
  • in opposition to : 「〜に反対で」
❖ "Yet is this wish in line with ~ "「しかし、この望みは、天の王国の状況に整合しているし、神の意思に反するものではない」。赦しを望むということは、天の王国、実相世界の法に添うものである。幻想の消滅を促(うなが)す赦しだから、実相世界の真実に整合するのだ。もちろん、神の意思にも整合するのである。



Although it falls far short of giving you your full inheritance, it does remove the obstacles that you have placed between the Heaven where you are, and recognition of where and what you are.
  • although [ɔːlðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが」
  • fall far short of : 「〜にはほど遠い、〜には及ばない」
  • inheritance [inhérətəns] : 「相続、受け継いだもの、継承物」
  • remove [rimúːv] : 「取り除く、取り去る、取り外す、除去する」
  • obstacle [ɑ́bstəkl] : 「障害、妨害、邪魔」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する、取り付ける」
  • recognition [rèkəɡníʃən] : 「認識、認証、正当性の認識」
❖ "Although it falls far short of ~ "「赦しだけでは、あなたの継承したものをあなたに与えるには不足であるが、」あなたは神の子として、神の属性のすべてを継承し、天の王国に住んでいたのだが、赦しを実行するだけでは、その状態に戻ることは出来ないのだが、"it does remove ~ "「赦しは、天の王国とあなたが今いる場所の間にあなたが置いた障害物、つまり、あなたが何処にいて、あなたは何者なのかという認識を邪魔する障害物を取り除くことは出来るのだ」。あなたは、本当は、天の王国、実相世界に住んでいる神の子である。しかし、深い眠りに陥って、この幻想世界に住んでいる夢を見ている。その夢、幻想が、真実を認識するときの障害物になっているのだ。赦しは、その幻想を消滅させること、つまり、障害物を取り除くことは出来るのである。



Facts are unchanged. Yet facts can be denied and thus unknown, though they were known before they were denied.
  • fact [fǽkt] : 「事実、現実、真実、実際、真相」
  • unchanged [ʌntʃéindʒd] : 「変化していない、不変の、変わらない」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、だから、このようにして」
  • unknown [ʌnnóun] : 「知られていない、未知の、不明の」
  • though [ðóu] : 「〜にもかかわらず、たとえ〜でも」
  • known [nóun] : 「know の過去分詞形」
❖ "Facts are ~ "「事実は変化しない」。真実は不変である。"Yet facts can be denied ~ "「しかし、事実は、否定され、したがって、知られないままにされることは起こり得るのである」。"though they were known ~ "「その事実が、否定される前は、知られていたにも関わらず」。たとえば、あなたは神の子であるという事実。たとえば、あなたは神と共に暮らしていたという事実。たとえば、あなたと同胞は単一の存在であるという事実。あなたがそれを否定するまでは、あなたはその事実を認識していたのだ。そして、否定した瞬間に、あなたは忘れ去ってしまったのだが、事実自体は不変である。



10. Salvation, perfect and complete, asks but a little wish that what is true be true; a little willingness to overlook what is not there; a little sigh that speaks for Heaven as a preference to this world that death and desolation seem to rule.
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「完璧な、完全な」
  • complete [kəmplíːt] : 「完結した、完成した、全部そろった、完全な」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • willingness [wíliŋnis] : 「意欲、いとわずにすること、快くすること」
  • overlook [òuvərlúk] : 「見過ごす、大目に見る、許す、目をつぶる」
  • sigh [sái] : 「ため息」
  • speak for : 「〜を要求する、〜を欲しいと言う」
  • preference [préfərəns] : 「優先、選り好み、選択、ひいき、好物」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
  • desolation [dèsəléiʃən] : 「荒らすこと、荒廃、荒れ地」
❖ "Salvation, perfect and ~ "「完全で完璧である救いは、真実なるものは真実であるという小さな望みを求めるだけなのだ」。救いは、真実は真実であるという事実を、快く受け入れなさいという願いである。"a little willingness ~ "「つまり、そこにないものを、ほんの少しだけ、快く見過ごしてしまうことであり、」本当はそこにない幻想を、幻想として快く無視してしまうことであり、"a little sigh that speaks ~ "「死と荒廃が支配するこの世界より優先して、天の王国こそを求める、小さなため息なのである」。死と荒廃が支配する幻想世界に住むよりも、天の王国である実相世界に住みたいと望んでため息をつくことである。



In joyous answer will creation rise within you, to replace the world you see with Heaven, wholly perfect and complete.
  • joyous [dʒɔ́iəs] : 「喜びに満ちた、楽しい、楽しげな、とてもうれしい」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
  • creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
  • rise [ráiz] : 「立ち上がる、起立する」
  • within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側で」
  • replace [ripléis] : 「を取り換える、交換する、差し替える、置き換える」
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
❖ "In joyous answer ~ "「(救いに対する)喜びの答えの中で、あなたの心の中に創造性が立ち上がるのだ」。救われたあなたが、喜びを持って答えるとは、真実を創造したいという気持ちを表すことなのである。"to replace the world ~ "「(創造の結果、) あなたが目にする世界を、完全に完璧な天の王国に代えてしまうのだ」。幻想世界を払拭して、目の前に実相世界が立ち現れるのである。



What is forgiveness but a willingness that truth be true? What can remain unhealed and broken from a unity which holds all things within itself?
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
  • unhealed [ʌnhíːld] : 「治癒していない、未治癒の」
  • broken [bróukn] : 「れた、故障した、損傷している」
  • unity [júːnəti] : 「統一、一つであること、単一性、結束」
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
❖ "What is forgiveness but ~ "「赦しは、真実が真実であって欲しいと願う望みでなくて、何だろうか」。"What can remain ~ "「いったい何が、それ自体の内にすべてのものを保持している単一性から外れて、癒されず、壊れたままに、取り残されることが出来るだろうか」。"a unity which holds all things within itself"「それ自体の内にすべてのものを保持している単一性」とは、一元論世界の天の王国のこと、あるいは、単一存在の神自体のことである。神の子は誰でも、例外なく、天の王国に、つまり神の元へ、救われるのだ。癒されることなく、壊れたままで(心に病を抱えたままで)、この幻想世界に取り残されることはない。



There is no sin. And every miracle is possible the instant that the Son of God perceives his wishes and the Will of God are one.
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • will [wíl] : 「意思、意欲、願望」
❖ "There is no ~ "「罪は、存在しない」。罪は幻想に過ぎず、実相的には存在してはいない。"And every miracle is ~ "「〜した瞬間、あらゆる奇跡は可能となるのだ」。"the instant that ~ "「神の子が、自分の望みと神の意思は同一なのだと知覚した瞬間、」あらゆる奇跡は可能となるのだ。あなたの望みは神の意思であり、神の意思はあなたの望みなのだと認識出来たとき、つまり、あなたが神と調和共鳴したとき、つまり、あなたが神そのものとなったとき、あなたは神のパワーをもって、あらゆる奇跡を起こすことが可能となるのだ。実相的な実在として、神の子が神と融合したとき、神の子は神のパワーを継承した真のヒーラー、奇跡の伝道者となるのである。
 
 
 


T-26.VII.7:1 ~ T-26.VII.8:10

7. Sin is not error, for it goes beyond correction to impossibility.
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正、是正、補正」
  • impossibility [impɑ̀səbíləti] : 「不可能、不能」
❖ "Sin is not ~ "「罪は、過ちではない」。"for it goes beyond ~ "「なぜなら、罪は、修正を飛び越えて、修正の不可能な地点まで進行するものだからである」。過ちは修正可能だ。しかし、罪は修正不可能な地点まで達する。だが、実相世界からの視点で見れば、修正の不可能なものは存在しない。したがって、修正不可能に見える罪は実在ではなく、幻想に過ぎないのだ。結果的に、罪は修正されるのではなく、消滅させられるのである。それを司るものが、赦しである。



Yet the belief that it is real has made some errors seem forever past the hope of healing, and the lasting grounds for hell.
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • make A do : 「Aに〜させる」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • past [pǽst] : 「〜を過ぎて、〜を過ぎ去って」
  • lasting [lǽstiŋ] : 「長続きする、永久の、永続する、続く」
  • ground [ɡráund] : 「根拠、原因、理由、地面、地べた、地盤」
  • hell [hél] : 「地獄、ひどい体験、修羅場、生き地獄」
❖ "Yet the belief that ~ "「しかし、罪が実在すると信じる心は、過ちを、永遠にヒーリングの希望から遠ざけて、地獄のための果てることない理由にしてしまったのだ」。罪の意識が、過ちからヒーリングを取り上げ、この幻想世界を地獄の様相に変えてしまったのだ。つまり、神の子は自らの罪を断罪し、自らを地獄の独房に閉じこめる終身刑を宣告したのだ。そういう悪夢を見続けているのだ。



If this were so, would Heaven be opposed by its own opposite, as real as it.
  • oppose [əpóuz] : 「反対する、反抗する、対抗する、敵対する」
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「反対、正反対のもの、逆の物、反対の物」
❖ "If this were so ~ "仮定法過去、「もし、そうであるなら、天の王国は、それと同じくらい実在的であるところの、天の王国の正反対のものによって、対抗させられていることになる」。神の子が、自分の罪の実在を信じ、地獄というこの世界に自らを閉じこめてしまったことが、仮に幻想ではなく真実ならば、実在する天の王国に対して、正反対のこの世界が実在し、天の王国に脅威を与えていることになる。もちろん、真実は、そうではない。この世界は幻想に過ぎず、実在する天の王国に脅威を与えることはないのだ。したがって、神の子が、自分の罪の実在を信じ、地獄というこの世界に自らを閉じこめてしまったことは、幻想であり、単なる悪夢である。それを、しっかりと認識し、受け入れ受け流すことが、赦しである。



Then would God's Will be split in two, and all creation be subjected to the laws of two opposing powers, until God becomes impatient, splits the world apart, and relegates attack unto Himself.
  • will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
  • split [splít] : 「裂く、割る、分ける」
  • creation [kriéiʃən] : 「創作物、作品、創造、創作」
  • subject [səbdʒékt] : 「〜を支配する、支配下に置く、服従させる」
  • law [lɔ́ː] : 「法則、法、法律、法規、法令」
  • opposing [əpóuziŋ] : 「対立するところの、正反対の」
  • until [ʌntíl] : 「〜する時まで」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • impatient [impéiʃənt] : 「ジリジリして、待ちきれずに、〜したくて」
  • apart [əpάːrt] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに、別々に」
  • relegate [réləgèit] : 「委ねる、任せる、追いやる、追放する」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ 前文の仮定からの続きで、"Then would God's Will ~ "「(それが真実なら、) 神の意思は二つに分裂していることになり、」つまり、神は天の王国もこの地上の世界も、二つとも創造したことになり、"and all creation be ~ " 「神によって創造されたあらゆるものは、神が〜するときまで、二つの対立するパワー支配されていることになる」。片や、ホーリー・スピリットに代表されるパワーであり、片や、エゴに代表されるパワーである。"until God becomes ~ "「神が、我慢しきれなくなって、世界を二つに裂き、攻撃性を神自らに差し向けるときまで、」神が創造したものは、二つの対立するパワーに支配されていることになる。神は、天の王国とこの地上の世界が対立して存在することに我慢しきれずに、二つの世界を完全に切り裂いてしまうという攻撃性に出てしまう。自ら創造した二つのものを切り裂くのだから、神は自分の創造性を攻撃したことになるのだ。何を言いたいのかと言うと、神が自らの意思で天の王国も、地上の世界も創造したのなら、二つの世界は相反するパワーが支配する世界となり、矛盾する二つの世界が同時に実在してしまうことになる。それは、神自らの意思の矛盾を表すことになるのだ。そこで、神は、自分の意思の矛盾に我慢しきれずに、二つの世界を差別化する行為に出るだろう。二つの世界を切り裂いた後、一方を天国に、他方を地獄に仕立てるわけだ。こうしておけば、罪のない者は天の王国へ、罪ある者は地獄へ送られるという、一見、神の意思に矛盾のないような二つの世界の棲み分けができ上がるのである。こうした考え方は、仏教にもキリスト教にも、他の宗教にも、極く普通に見られる論理である。そして、この論理は、数千年の間、人間世界を支配してきたのだ。だが、ACIMは、それは誤った考えであると見抜く。神は、矛盾する二つの世界を創造したのではない。神の意思に矛盾はない。神は決して、世界を二分するような攻撃はしない。神は、天の王国だけを創造したのだ。この地上の世界は、神の子が、神からの分離の象徴として偽創造した幻想の世界である。その幻想性こそが、地獄の正体である。一般に信じられている、地獄という、実体を伴って実在する世界はない。罪の実在を信じる心の闇が、地獄という幻想世界を生み出しているだけだ。蛇足になるが、2000年前、イエス・キリストは、この真実、真理を知ったのである。しかし、それをイエスが声高に言ったとしても、当時の誰がいったいそれを信じただろうか。せいぜい、神への冒涜罪として、イエスは、石打ち刑をもっていとも簡単に葬り去られただけであろう。2000年を経た今、やっと、イエスの真理を受け入れる世界の環境が整ったのだ。そして、イエスは真理を語ったのだ。それが、このACIMである。



Thus has He lost His Mind, proclaiming sin has taken His reality from Him and brought His Love at last to vengeance's heels.
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、こんなふうに」
  • lost [lɔ́st] : 「lose の過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • proclaim [proukléim] : 「公表する、宣言する、〜を明白に示す、〜であることを明らかにする」
  • taken [téikn] : 「take の過去分詞形」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜を連れて行く、〜を持って行く」
  • at last : 「最後に、ついに、とうとう、やっと」
  • vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復、あだ討ち」
  • heel [híːl] : 「かかと、足」
  • to heel : 「支配されて」
❖ 仮定の続き、"Thus has He lost ~ "「こうして、神は神の心を失ってしまうことになる」。"proclaiming sin has ~ "「そして、罪は、神から神の実相性を奪い、神の愛を、ついには復讐の支配下に置いてしまうことになるのだ」。地獄の世界も神が創造したものであるなら、神は、破壊と死を主導する神となり、心も愛も奪われて、ただただ、復讐する神に成り下がってしまっただろう。旧約聖書に謳われる、復讐する神、嫉妬する神、怒れる神、妬む神、破壊する神、疑う神、試す神、等々の、神のイメージは、まさにこれである。グノーシスの福音書では、こういった創造神は、デミウルゴスという名の低級な神として描写される。ACIMでは、それはエゴである。ただし、そのエゴも実在ではなく、神の子の心の闇が幻想したものに過ぎない。だから、聖書に謳われる神の暴挙を恐れる必要はない。そんな神は偽物である。存在すらしていないのだ。



For such an insane picture an insane defense can be expected, but can not establish that the picture must be true.
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • picture [píktʃər] : 「光景、見物、絵柄、図面、絵、像、絵画」
  • defense [diféns] : 「防衛、防御」
  • expect [ikspékt] : 「予期する、期待する、要求する、求める」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、達成する、樹立する」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ "For such an insane ~ "「こういった狂気の絵図には、狂気の防御法が期待出来よう」。地獄の攻撃性には、攻撃的な防御法が存在する。たとえば、奪われる前に奪え、殺される前に殺せ、というわけである。目には目を、歯には歯を、というわけだ。"but can not establish ~ "「しかし、その絵図が真実に違いなどと、確立されるわけではないのだ」。この地獄の幻想世界の攻撃性が、正当であるなどと、誰も確立出来るものではない。証明出来るものではない。なぜなら、正当でないからだ。嘘であり、幻想であり、単なる悪夢に過ぎないからだ。同様に、旧約聖書の、復讐する神、破壊する神の正当性を確立することは、誰にも出来ない。復讐する神、破壊する神は正当でないからだ。嘘の神だからだ。つまり、神ではないのだ。神の面をかぶったエゴである。神の仮面を付けたエゴが茶番劇を演じる世界、それが、この幻想世界である。そして、あなたも踊らされて、孤独な茶番劇を演じているのだ。その事実に気付きなさいと、ACIMは繰り返し述べているのである。



8. Nothing gives meaning where no meaning is. And truth needs no defense to make it true.
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
  • defense [diféns] : 「防衛、防御」
❖ "Nothing gives meaning ~ "「何ものも、意味のないところに意味を与えることはない」。幻想に対して、実相的な意味を与えることは不可能だ。"And truth needs ~ "「そして、真実は、それを真実にするために守る必要などない」。真実は、自分の真実性を守る必要はないのだ。幻想が実相を攻撃してそれを破壊することは不可能だ。非実在が、実在を消滅させることなど原理的に不可能なのである。



Illusions have no witnesses and no effects. Who looks on them is but deceived.
  • witness [wítnəs] : 「証拠、証言、目撃者、証人」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • look on : 「〜を見る」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
❖ "Illusions have no ~ "意訳する、「幻想は、その実在を証明する証人もいなければ、実相に影響を与えることもない」。"Who looks on them ~ "「幻想を目にしている者は、ただ、騙されているだけだ」。幻想を目撃している者は、幻想に騙されているだけであって、決して、幻想の実在性を証明する証人にはなれない。実在しない幻想が、真実に影響を与えることは不可能である。 



Forgiveness is the only function here, and serves to bring the joy this world denies to every aspect of God's Son where sin was thought to rule.
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き、効用」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に仕える、〜のために働く、〜に役立つ」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす〜を持って来る」
  • joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜」
  • deny [dinái] : 「〜に…を与えない、〜を否定する、否認する、拒む」
  • aspect [ǽspekt] : 「局面、状況、側面、様子、外見」
  • thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
  • rule [rúːl] : 「統治する、支配する、牛耳る」
❖ "Forgiveness is the only ~ "「この世界では、、赦しが(神の子の)唯一の役割である」。この幻想世界における神の子の役割は、幻想をしっかり幻想と見極め、その事実を受け入れ、受け流し、幻想を赦してしまうことである。そうすることで、幻想は消滅するのである。"and serves to bring ~ "「そして赦しは、罪が支配していると思われている神の子のあらゆる側面において、この世界が否定した喜びをもたらすという働きをするのだ」。罪の意識に支配された神の子は、あらゆる側面において、喜びにブレーキがかけられる。心の底から、愛や平和を喜べないのだ。罪という幻想の黒雲が、神の子の心を覆っているからだ。しかし、幻想を赦してしまえば、あるいは、罪という幻想を赦してしまえば、つまり、罪は幻想であると認識し、受け流してしまえば、罪という幻想は消滅し、神の子の心の黒雲も消滅するのだ。かくして、神の子は、何の陰(かげ)りもなく、心の底から喜びを感じることが出来るのである。したがって、真実の喜びをもたらしてくれるのは、その、幻想に対する赦しなのである。



Perhaps you do not see the role forgiveness plays in ending death and all beliefs that rise from mists of guilt.
  • perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • role [róul] : 「役、役目、役割、任務、職務」
  • end [énd] : 「終わらせる、やめる、締めくくる」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • rise [ráiz] : 「立ち上がる、起立する」
  • mist [míst] : 「霧、かすみ、もや」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "Perhaps you do not ~ "「多分、あなたは、〜において、赦しが演じる役割を知らないのだ」。"in ending death and ~ "「死や、罪の意識の靄(もや)から立ち上がるあらゆる信仰を終わらせることにおいて、」赦しが演じる役割を知らないのだ。罪の意識の靄から立ち上がるあらゆる信仰とは、罪の存在を信じるあまり、罪ある他者を攻撃してよいとか、自分は特別であって他者と区別されるべき存在だとか、罪を贖(あがな)った自分だけが天国へ行けるとか、そういった諸々の信仰のこと。罪は幻想だから、罪の実在を源とする信念、信仰は、すべて幻想である。赦しは、それらの信念や信仰に終止符を打つのである。もちろん、死も幻想であるから、赦しは、死という宿命からも解放してくれるのである。



Sins are beliefs that you impose between your brother and yourself.
  • impose [impóuz] : 「課す、負わす、かける、与える、強いる」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
❖ "Sins are beliefs that ~ "「罪とは、あなたが、あなたの同胞とあなた自身の間に負わせた信仰である」。あなた自身に罪がある、あるいは、あなたの同胞に罪がある、と宣言し合いながら、攻撃したり攻撃されたりしている関係性が、あなたと同胞の間に存在する。赦し合わず、攻撃し合っているいるのだ。そんな、偽りの攻撃的な関係性の中心部にある信念が、罪の実在性に対する信仰である。



They limit you to time and place, and give a little space to you, another little space to him.
  • limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
  • give space to : 「〜にスペースを開ける、〜に席を譲る」
❖ "They limit you to ~ "「罪の実在性を信じる信仰が、あなたを、時空に縛りつけているのだ」。"and give a little ~ "「そして、あなたには、少しのスペースを与え、同胞には、また少しのスペースを与える、といった具合である」。幻想世界では、生きる空間も生きる時間も制限される。ほんの80年前後、ほんの地球規模で、人は生き、人は死んでいく。そんな制限を作っているのは、実は、その本人である。あなたの心が、時空という幻想を作り出しているに過ぎないのだ。あなたの、罪という幻想を信じる心が、時空を作り上げているのである。時空という、ほんの小さな隔たりを、つまり、分離を、あなたの心は妄想しているのだ。



This separating off is symbolized, in your perception, by a body which is clearly separate and a thing apart.
  • separating [sépərèitiŋ] : 「分離」
  • symbolize [símbəlàiz] : 「〜を象徴する、記号で表す」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • clearly [klíərli] : 「はっきりと、疑いもなく、明らかに」
  • separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」
  • apart [əpάːrt] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに」
❖ "This separating off ~ "「この分離は、あなたの知覚の中で、〜によって象徴化されているのだ」。"by a body which is ~ "「明らかに分離し、個別化されたものとしての肉体によって、」象徴化されているのだ。肉体がバラバラに、個別に存在しているかに見える理由は、時空という幻想を偽創造する段階において、神の子の存在もまた分離し個別的に存在しているかに見せるために必要だったのだ。分離の象徴として、肉体は偽創造されたのだ。そして、分離の本体は、神の子の神からの分離である。それは、実相世界の一元論の否定であった。一元論を否定するには、二元を作ればいい。愛には憎しみを、喜びには悲しみを、平和には争いを、そして、心の分離を作り出すために、肉体の分離を作り出したのである。



Yet what this symbol represents is but your wish to be apart and separate.
  • symbol [símbl] : 「象徴、記号、シンボル、表象」
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する、象徴する」
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
❖ "Yet what this symbol represents ~ "「しかし、この象徴が表すことは、離れていたい、分離していたいというあなたの望みに過ぎないのである」。突き詰めて行けば、あなたが、神から分離していたという望みの象徴なのだ。神の子が、神なしで神のように存在していたいと望んだ、その望みの象徴なのである。想念は必ず現実化するから、神からの分離という想念も一瞬にして現実化し、分離を象徴する幻想世界が出来上がった。その世界の中で、神の子は、自らも分離を象徴する存在として、肉体を偽創造して、分離分裂していったのである。
 
 
 


T-26.VII.5:1 ~ T-26.VII.6:10

5. God's answer lies where the belief in sin must be, for only there can its effects be utterly undone and without cause.
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • utterly [ʌ́tərli] : 「全く、完全に、徹底的に、すっかり」
  • undone [ʌndʌ́n] : 「undo の過去分詞形」
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、理由」
❖ "God's answer lies where ~ "「罪への信仰が存在するに違いないところには、(必ず)神の答えがある」。"for only there can ~ "「なぜなら、その場所においてのみ、罪への信仰の結果が完全に取り消され、その原因も無くなってしまうからだ」。罪の意識に代表されるような幻想の存在する所には、神の答えであるヒーリングと奇跡が必ず存在し、その幻想は取り消され、幻想の原因となっている分離という想念も払拭される。神の答えであるヒーリングと奇跡を誘導してくれるのが、もちろん、ホーリー・スピリットである。実行役は、あなただ。



Perception's laws must be reversed, because they are reversals of the laws of truth.
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
  • reverse [rivə́ːrs] : 「逆にする、反対方向に向ける、逆転させる、裏返す」
  • reversal [rivə́ːrsəl] : 「逆転、逆戻り、反転」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "Perception's laws must ~ "「知覚の法は、逆転させられるに違いない」。"because they are ~ "「なぜなら、知覚の法は、真実の法が逆さまにされたものだからである」。知覚とは、幻想を実在と思わせる錯覚である。トリックである。虚偽なのだ。神の答えであるヒーリングと奇跡は、その偽りの知覚の法を逆転させ、正しい法へと質転換させるのである。正しい法とは、叡智(knowledge)の法であり、真実の法である。



The laws of truth forever will be true, and cannot be reversed; yet can be seen as upside down.
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • upside [ʌ́psàid] down : 「逆さまに」
❖ "The laws of truth ~ "「真実の法は、永遠に真実のままである」。"and cannot be ~ "「逆転させられることはない」。"yet can be seen ~ "「ただ、逆さまに見ることが可能なだけなのだ」。真実の法である叡智の法は、永遠不変である。真実が虚偽に逆転させられることはない。ただ、逆さまに見られてしまうことはあるのだ。たとえば、本当は、心が肉体を作って、あたかも肉体が現実に存在しているかのように錯覚しているだけなのであるが、この幻想世界では、それが逆転し、肉体の脳が心を作っているように見えるのである。主客が逆転しているのだ。



And this must be corrected where the illusion of reversal lies.
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
❖ "And this must be ~ "「こうしたことは、逆転の幻想が存在するところ、必ず、正されるのである」。真実を逆さまにした幻想が存在するところに、神の答えであるヒーリングと奇跡が作用して、幻想は修正されるのだ。誤った知覚は修正され、真実の法である叡智(knowledge)の生まれる土台が出来るのである。



6. It is impossible that one illusion be less amenable to truth than are the rest.
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • less [lés] : 「より少ない、より少数の、より小さい」
  • amenable [əmíːnəbl] : 「素直に従う、従順な、反論せずに受け入れる」
  • amenable to : 「〜に素直な、〜の影響を受けやすい 」
  • rest [rést] : 「残り、残っているもの、残りの部分、残余」
❖ "It is impossible that ~ "「ある幻想が、残りの幻想よりも、真実に対して素直に修正されないなどということは不可能だ」。幻想は様々な形をとって現れるが、幻想は一つである。したがって、この幻想は修正されやすく、あの幻想は修正され難い、などということはない。神の答えであるヒーリングと奇跡は、いかなる形の幻想に対しても、差別なく、確実に作用し修正するのだ。奇跡に序列(order)はないのである。ヒーリングに、難易の差はない。



But it is possible that some are given greater value, and less willingly offered to truth for healing and for help. No illusion has any truth in it.
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
  • given [ɡívən] : 「give の過去分詞形」
  • great [ɡréit] : 「大きい、大きな、巨大な」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価」
  • willingly [wíliŋli] : 「喜んで、進んで、積極的に、快く」
  • offer [ɔ́ːfər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
❖ "But it is possible that ~ "「しかし、ある幻想はより大きな価値が与えられ、ヒーリングや助けを求めて真実に差し出すことを渋ることはあり得る」。たとえば、金や地位や権力に対して抱く執着である。金や地位や権力は、単なる幻想なのだが、なかなかその執着から脱することは難しい。しかし、"No illusion has ~ "「いかなる幻想も、その中に、真実の一かけらもないのだ」。



Yet it appears some are more true than others, although this clearly makes no sense at all.
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる、〜らしい」
  • although [ɔːlðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが、〜とはいえ」
  • clearly [klíərli] : 「はっきりと、疑いもなく、明らかに」
  • sense [séns] : 「意味、意義、良識、分別、道理、思慮」
  • make no sense : 「意味をなさない、理にかなわない、要領を得ない」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "Yet it appears some ~ "「ある幻想は、他の幻想よりも、より真実らしく見えることもある」。"although this clearly ~ "「こんなことは、まったく意味のないことではあるが」。たとえば、愛があまりにも強くて、つい憎んでしまう、などいうことは真実らしく見えるが、それとても、偽りである。たとえば、安全は金で買えるということも真実らしく見えるが、それも偽りである。愛が肉欲によって補強されるということも、一見、真実らしく見えるが、偽りである。



All that a hierarchy of illusions can show is preference, not reality.
  • hierarchy [háiərὰːrki] : 「階層、序列」
  • show [ʃóu] : 「見せる、明らかにする」
  • preference [préfərəns] : 「好み、優先、選り好み、選択」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
❖ "All that a hierarchy ~ "「幻想の示すあらゆる階層は、好みの問題であり、真実ではない」。幻想のもつ表面的な価値の序列は、これまた幻想であって、幻想は、形を変えても単一なのだ。したがって、幻想がもっているかに見える序列性は、その幻想に対する好みの問題であり、幻想に対する執着度の問題なのだ。執着心が強いほど、その幻想自体に価値があるように錯覚するのである。



What relevance has preference to the truth? Illusions are illusions and are false. Your preference gives them no reality.
  • relevance [réləvəns] : 「関連、関連性、妥当性」
  • false [fɔ́ːls] : 「うその、虚偽の、偽りの、偽の」
❖ "What relevance has ~ "「好みは、真実とどんな関係性をもっていると言うのか」。幻想に対する好みによって、その対象が真実になったり、真実でなくなったりすることはない。あくまでも、幻想は幻想に過ぎないのだ。"Illusions are illusions ~ "「幻想は幻想であって、偽りである」。"Your preference ~ "「あなたの好みが、幻想に対して、いかなる実相性も与えることはないのだ」。あなたが幻想に、どんなに入れ込んでも、幻想を実相化することは出来ない。夜見た夢の何かが、目覚めたら手元にあった、などということがあるだろうか。



Not one is true in any way, and all must yield with equal ease to what God gave as answer to them all.
  • in any way : 「何らか、多少なりとも、決して、形はどうあれ」
  • yield [jíːld] : 「譲る、譲歩する、屈する」
  • yield to : 「負ける、屈する、屈服する、譲る、譲り渡す、明け渡す」
  • equal [íːkwəl] : 「同等の、程度が等しい、均等な、平等な」
  • ease [íːz] : 「容易さ、たやすさ」
  • with ease : 「容易に、やすやすと」
  • gave [géiv] : 「give の過去形」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
❖ "Not one is true ~ "「形はどうであれ、幻想の一つたりとも、真実ではない」。"and all must yield with ~ "「そして、あらゆる幻想は、どれも簡単に、神がすべての幻想に対して答えとして与えたものに、屈してしまうに違いないのだ」。あらゆる幻想は、神の答えであるヒーリングや奇跡によって、消滅してしまうのだ。ヒーリングや奇跡は、基本的に、幻想からの目覚めを促すから、幻想がどんな形であれ、容易に消えてしまうのだ。幻想に序列はない。したがって、幻想を消滅させるヒーリングや奇跡にも序列はないのだ。夢ははかなく消えていく。幻想もまた、容易に消滅するのである。この世の出来事は水の泡のように消えていく、という仏教的洞察は正しい。



God's Will is One. And any wish that seems to go against His Will has no foundation in the truth.
  • will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
  • go against [əɡéinst] : 「逆らう、従わない、反対する、反する、合わない」
  • foundation [faundéiʃən] : 「土台、礎、基盤、根拠、基礎、根幹」
❖ "God's Will is ~ "「神の意思は一つである」。実相世界は一元論世界であるあるから、神の意思も当然一つであり、永遠不変である。決して、揺るがない。"And any wish that ~ "「神の意思に反するかに見える、いかなる望みも、真実の中に基盤を持ってはいないのだ」。神の意思に反する意思や願望は、実相世界には存在しない。実相世界のあらゆる意思と願望は、神の意思に統一されている。したがって、もし神の意思に反する意思や望みが存在しているかに見えたなら、それは実相世界のものではなく、幻想世界の、単なる幻想、錯覚である。何ら、実相世界の真実性に、基盤となる根を下ろしているものではない。水の泡が、地に根を下ろしていないのと同様なのだ。しかし、悲しいかな、人はなぜこれほどまでに、水の泡を追い求めるのだろうか。仏教ではそれを、煩悩(ぼんのう)と呼ぶ。
 
 
 


T-26.VII.3:1 ~ T-26.VII.4:9

3. Guilt asks for punishment, and its request is granted. Not in truth, but in the world of shadows and illusions built on sin.
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • ask for : 「〜を求める、〜を要求する、〜を要する」
  • punishment [pʌ́niʃmənt] : 「罰すること、罰、刑罰、処罰、懲罰」
  • request [rikwést] : 「頼むこと、依頼、要求」
  • grant [grǽnt] : 「許可する、承諾する、かなえてやる」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • shadow [ʃǽdou] : 「影、暗がり、人影、陰」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • built [bílt] : 「build の過去形、過去分詞形」
  • build [bíld] : 「建てる、建造する、構築する、架設する」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
❖ "Guilt asks for ~ "「罪は罰を要求する」。"and its request ~ "「そして、その要求は叶えられるのである」。とは言え、"Not in truth, but ~ "意訳する、「真実の中で叶えられるのではなく、罪の上に構築された影と幻想の世界の中で、罪の求める罰は叶えられるのだ」。罪と罰は幻想であり、実相の中に存在出来るものではない。罪と罰は、実相世界から見れば影であり闇であるこの幻想世界の産物なのだ。



The Son of God perceived what he would see because perception is a wish fulfilled.
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
  • fulfill [fulfíl] : 「実行する、遂行する、履行する、実現させる」
❖ "The Son of God perceived ~ "「神の子は、見たいと思うものを知覚するのである」。"because perception is ~ "「なぜなら、知覚とは、達成された願望であるからだ」。見たいと思うことが、知覚として見えてくるだけであって、そこに、実体があるわけではない。つまり、知覚は幻想を作り出して見ているだけであって、したがって、錯覚なのだ。



Perception changes, made to take the place of changeless knowledge.
  • change [tʃéindʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」
  • take the place of : 「〜の代わりをする、〜に取って代わる」
  • changeless [tʃéindʒlis] : 「変化のない、不変の」
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
❖ "Perception changes"「知覚は変化する」。"made to take ~ "分詞構文、先頭に"being"を補う、理由、「知覚は、変化しない叡智に置き換えられたものだからだ」。永遠不変の実相的な叡智の代わりに、この幻想世界では、変化流動する知覚が機能する。知覚が叡智の代理を務めるのだ。しかし、似て非なる物である。



Yet is truth unchanged. It cannot be perceived, but only known. What is perceived takes many forms, but none has meaning.
  • unchanged [ʌntʃéindʒd] : 「変化していない、不変の、変わらない」
  • known [nóun] : 「know の過去分詞形」
  • know [nóu] : 「理解している、知っている、承知している」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意 、重要性」
❖ "Yet is truth ~ "「しかし、真実は変化しない」。"It cannot be ~ "「真実は知覚されるものではなく、ただ単に、知られるものなのだ」。叡智(knowledge)は、知る(know)ものだから、"knowledge"なのだ。決して、"perceiveledge"ではない。"What is perceived ~ "「知覚されるものは、多くの形をとるが、」"but none has ~ "「何の意味もない」。知覚は、願望が勝手に作り出した錯覚に過ぎないから、ころころと形を変えるが、意味などない。つまり、真実にほど遠いものなのだ。意味のない夢が、ころころ変化するのと同じである。



Brought to truth, its senselessness is quite apparent. Kept apart from truth, it seems to have a meaning and be real.
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • senselessness [sénslisnis] : 「無意味さ」
  • quite [kwáit] : 「すっかり、全く、完全に」
  • apparent [əpǽrənt] : 「はっきり見える、明らかな、明白な」
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • keep : 「〜の状態にしておく、(状態を)保つ、〜にしておく」
  • apart from : 「〜から離れて、〜は別として、〜はさておき」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "Brought to truth ~ "「知覚を真実の元に持ってくれば、その意味のなさは、まったく明白である」。"Kept apart from truth ~ "分詞構文、先頭に"Being"を補う、「知覚は、真実から離されて置かれるとき、」"it seems to have ~ "「それは、意味があり、実在するとと思われるだけなのである」。今、この世界が実在し、意味があると思うなら、あなたは自分の知覚に騙されているのだ。ということは、あなたは、この世界に騙されていたいと願っているのである。



4. Perception's laws are opposite to truth, and what is true of knowledge is not true of anything that is apart from it.
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「正反対の、逆の、あべこべの、対照的な」
❖ "Perception's laws are ~ "「知覚の法は、真実と正反対である」。虚偽である。"and what is true ~ "「叡智のもつ真実性は、叡智から離れたものの真実ではない」。実相世界の叡智が語る真実は、この幻想世界で語られる真実とは無関係である。この世の真実は、見せかけの真実であり、本当の真実ではない。



Yet has God given answer to the world of sickness, which applies to all its forms.
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
  • sickness [síknəs] : 「病気」
  • apply [əplái] : 「当てはまる、妥当する、適用される、適合する」
❖ "Yet has God given answer ~ "「しかし、神は、病んだ世界に答えを与えてたのだ」。"which applies to ~ "「神の答えは、あらゆる形の病に適応される」。神の答えとは、ヒーリングであり、つまり、奇跡である。幻想という病に犯された世界に、真実を知らしめるヒーリングをもたらし、幻想を実相に変える奇跡を起こすのだ。



God's answer is eternal, though it works in time, where it is needed.
  • eternal [itə́ːrnl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の」
  • though [ðóu] : 「〜にもかかわらず、たとえ〜でも、〜とはいえ」
  • work [wə́ːrk] : 「働く、作業する、仕事をする」
  • need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
❖ "God's answer is ~ "「神の答えは、時間という枠組みの中で機能するとは言え、それは永遠なるものである」。神の答えであるヒーリングと奇跡は、実相的な真実であるが、時間の存在するこの幻想世界で機能するものである。"where it is ~ "「この幻想世界にこそ、神の答えは必要とされるからだ」。実相世界には病は存在しないから、ヒーリングも奇跡も必要ではない。病の存在する幻想世界においてのみ、ヒーリングと奇跡は必要とされるのだ。



Yet because it is of God, the laws of time do not affect its workings.
  • affect [əfékt] : 「〜に作用する、〜に影響を及ぼす、〜に響く」
  • working [wə́ːrkiŋ] : 「働くこと、仕事、労働、機能、仕組み」
❖ "Yet because it is ~ "「しかし、その答えは神のものであるから、」神の答えは実相世界のものであるから、"the laws of time ~ "「時間の法は、神の答えの作用に影響を及ぼすことはない」。ヒーリングや奇跡は、実相世界の神の答えであるから、時間という枠組みも空間という隔たりも超越している。あなたが、過去を癒したいと思ったなら、過去を癒せるのであり、未来の奇跡を今ここで起こすことも可能だ。目の前の同胞をヒーリングすることも、地球の裏側に住む同胞をヒーリングすることも可能なのだ。実相のヒーリングと奇跡は、時空の法則を完全に超越しているのである。



It is in this world, but not a part of it. For it is real, and dwells where all reality must be.
  • part [pάːrt] : 「一部、部分」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • dwell [dwél] : 「存在する、住む、居住する」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
❖ "It is in this world ~ "「神の答えであるヒーリングも奇跡もこの世界にあるが、幻想世界の一部ではない」。神の答えは、実相的な真実であって、この世界の一部である幻想ではない。"For it is real ~ "「なぜなら、それは実相であって、あらゆる実相の存在する所に住んでいるのだ」。ヒーリングも奇跡も、実相世界である天の王国の住人であって、幻想世界の住人ではない。しかし、ヒーリングも奇跡も、この幻想世界に舞い降りて来て、実質的な仕事をしてくれるのである。



Ideas leave not their source, and their effects but seem to be apart from them.
  • idea [aidíːə] : 「考え、知識、発想」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起点、原因」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "Ideas leave not ~ "「想念は、その源を離れることはない」。想念、思い、考えは、その源である心から分離されるものではない。"and their effects ~ "「想念のもたらす結果だけが、あたかも想念から離れて存在するかに見えるだけなのだ」。想念は、いつでも現実化するのだが、現実化された結果は、その想念から離れて存在しているかに見える。しかし、想念自体は、その源である心から離れることはなく、したがって、結果自体も心から分離されるものではないのだ。



Ideas are of the mind. What is projected out, and seems to be external to the mind, is not outside at all, but an effect of what is in, and has not left its source.
  • project [prədʒékt] : 「〜を投影する、発射する、投げ出す」
  • external [ikstə́ːrnl] : 「外の、外側の、外部にある、外部の」
  • outside [áutsáid] : 「外側の、屋外の、外部の、局外の」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
  • left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「〜から離れる、〜を出る、〜と別れる」
❖ "Ideas are of ~ "「想念は、心のものである」。"What is projected ~ "「(心の想念が)外部に投射されたものは、したがって、心の外側に存在しているように見えるのだが、(本当は)外にあるものではなく、心の中にある結果なのだ」。"and has not left ~ "「そして、想念の源から離れることは決してないのである」。すべては心が生み出し、生み出されたもののすべては、心の中にある。心がすべてであって、その外に側には何もない。あたかも、あるように知覚するのは、心が外部に投射した錯覚であって、投射された世界は、映画の世界同様に、実在ではない。心の外に展開するこの世界は、したがって、幻想世界なのである。
 
 
 



T-26.VII.1:1 ~ T-26.VII.2:4

 
 
VII. The Laws of Healing
ヒーリングの法
 
 
1. This is a course in miracles. As such, the laws of healing must be understood before the purpose of the course can be accomplished.
  • course [kɔ́ːrs] : 「課程、講座、科目、コース、進路」
  • as such : 「そのようなものとして、それ自体は」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
  • healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
  • understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understand の過去・過去分詞形」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • accomplish [əkάmpliʃ] : 「成し遂げる、達成する、完成させる」
❖ "This is a course ~ "「これは、奇跡のコースである」。"As such, the laws ~ "「だから、〜の前に、ヒーリングの法は理解されていなければならない」。ヒーリングの法とは、ヒーリングは何であり、いかなるときにそれが可能か、という原理のこと。"before the purpose of ~ "「このコースの目的が、達成され得る前に、」ヒーリングの法は理解されていなければならない。このコース自体が心のヒーリングであるから、コースの目的が達成される前に、ヒーリングの原理をしっかり理解しておかなくはならない。



Let us review the principles that we have covered, and arrange them in a way that summarizes all that must occur for healing to be possible. For when it once is possible it must occur.
  • review [rivjúː] : 「〜を再調査する、再検討する、もう一度見る、見直す」
  • principle [prínsəpl] : 「原則、原理、公理、原論、法則」
  • cover [kʌ́vər] : 「取り上げる、報道する、取材する」
  • arrange [əréindʒ] : 「〜をきちんと並べる、整える、配置する、配列する 」
  • summarize [sʌ́məràiz] : 「要約する、かいつまんで言う、集約する」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
❖ "Let us review the principles ~ "「私たちが(これまでに)取り上げた原理を再検討し、」"and arrange them in a way that ~ "「それらの原理を、ヒーリングが可能となるために起こらなくてはならないすべてのことを要約する形で、整理してみよう」。ヒーリングの成立条件を再検討、再整理してみよう。"For when it once is ~ "「なぜなら、ヒーリングがひとたび可能となるとき、ヒーリングは起きるのだから」。ヒーリングの可能な条件がそろえば、必ず、ヒーリングは起きるからだ。ここでは、ヒーリングと奇跡を重ねて考えていいだろう。したがって、ヒーリングの再検討と再整理は、奇跡の再検討と再整理なのだ。それは、このACIM(奇跡のコース)に直接、関わってくる。



2. All sickness comes from separation. When the separation is denied, it goes.
  • sickness [síknəs] : 「病気」
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
❖ "All sickness comes ~ "「あらゆる病は、分離からやって来る」。心的、あるいは肉体的病のすべては、心的、あるいは肉体的分離がその原因である。"When the separation ~ "「分離が否定されたとき、病は去るのである」。病の原因と、ヒーリングの成立条件である。心的、肉体的な分離を、それが幻想であると受け入れ、受け流し、赦してしまうとき、ヒーリングが起こるのだ。病は癒されるのである。



For it is gone as soon as the idea that brought it has been healed, and been replaced by sanity.
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形、去った、なくなった、消失した」
  • as soon as : 「〜するとすぐに、〜するや否や」
  • idea [aidíːə] : 「考え、着想、知識、意図、狙い」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
  • replace [ripléis] : 「〜を取り換える、交換する、差し替える、置き換える」
  • sanity [sǽnəti] : 「正気、健全さ」
❖ "For it is gone as soon ~ "「なぜなら、病をもたらした(分離という)考えがヒーリングされ、正気さで置き換えられるやいなや、病は去ってしまうからだ」。ヒーリングは病を直接的に治すのではない。病の原因となっている分離という考えを正すのである。 心を、正気さに回帰させるのだ。真実に気付かせるのである。分離は幻想であると認識させるのだ。病の原因が治癒すれば、結果の病はおのずと消えてしまうのである。



Sickness and sin are seen as consequence and cause, in a relationship kept hidden from awareness that it may be carefully preserved from reason's light.
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • consequence [kɑ́nsəkwèns] : 「結果、結論、結末、成り行き、帰結」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、理由」
  • relationship [riléiʃnʃìp] : 「」関係、結び付き、かかわり合い、関連
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • keep [kíːp] : 「 〜の状態にしておく、保つ、〜にしておく」
  • hidden [hídn] : 「隠された、秘密の」
  • awareness [əwέərnis] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
  • carefully [kέərfəli] : 「注意深く、丁寧に、慎重に、入念に」
  • preserve [prizə́ːrv] : 「〜を保つ、保存する、貯蔵する、保護する」
  • reason [ríːzn] : 「理性、理知、良識、分別、正気」
  • light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
❖ "Sickness and sin are ~ "「病と罪の意識は、結果と原因であると見なせる」。神の子が神から分離したことで、神の子は神に対して罪の意識を抱くようになった。分離と罪の意識は、切っても切れない関係にある。そして、罪の意識が原因となって、病が結果されたわけで、罪と病も、切っても切れない関係にある。"in a relationship kept ~ "「that以下に気付くことから隠され続ける関係にあるのだ」。"that it may be carefully ~ "「病と罪の意識の関係が、正気さの光から注意深く守られているということ」に気付くことから、病と罪の意識の関係性は隠されている。だから、ヒーリングには気付きが必要なのだ。気付きがヒーリングの条件の一つとなる。罪と病とが因果関係をもっているという事実が、誰にも気付かれないように、隠されてきたのだ。正気さの光が当たらないように、注意深く守られてきたのだ。その秘密を暴き、はっきりと気付くことが、どうしてもヒーリングには、あるいは、奇跡には必要なのである。むしろ、気付くことがヒーリングそのものとなる。なぜなら、気付くことで病は去ってしまうからだ。したがって、真実を知るということは、非常に大きなパワーを持っているのである。奇跡のパワーである。
 
 
 


T-26.VI.2:1〜 T-26.VI.3:6

2. Lead not your little life in solitude, with one illusion as your only friend.
  • lead [líːd] : 「送る、導く、連れていく」
  • lead a life : 「生活を送る、暮らす」
  • solitude [sάlətjùːd] : 「孤独、独りぼっち」
  • in solitude : 「一人で、寂しく」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
❖ "Lead not your little ~ "「あなたのささやかな人生を、〜と共に、独りぼっちで送らないようにしなさい」。"with one illusion ~ "「あなたの唯一の友として、一つの幻想と共に、」あなたのささやかな人生を、独りぼっちで送らないようにしなさい。たとえば、幻想に過ぎない罪の意識を、あたかも大切な友であるかのように心に抱いて、一生を孤独の中で生きるようなことのないように。あるいは、幻想のエゴを唯一の友として、孤独な人生を一人歩まないように。



This is no friendship worthy of God's Son, nor one with which he could remain content.
  • friendship [fréndʃip] : 「友情、友情関係」
  • worthy [wə́ːrði] : 「〜に値する、〜するに足りる、〜にふさわしい」
  • remain [riméin] [SVC] : 「依然として〜のままである」
  • content [kɑ́ntent] : 「満足している」
  • content with : 「〜に満足している、〜に甘んじている」
❖ "This is no friendship ~ "「こんな幻想は、神の子にふさわしくない友であるし、」"nor one with which ~ "「決して、神の子が満足し続けることの出来る友でもない」。たとえば、罪という幻想は、純粋で神聖な神の子にふさわしくないし、罪の意識を抱くことに満足を覚えることもないのだ。だから、孤独なのである。エゴを友とすることも、同様である。



Yet God has given him a better Friend, in Whom all power in earth and Heaven rests.
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • better [bétər] : 「より良い、より優れている、優越する」
  • earth [ə́ːrθ] : 「地球、地上、全世界」
  • rest [rést] : 「ある、置かれている」
❖ "Yet God has given ~ "「しかし、神は、神の子により良い友を与えたのだ」。神は神の子に、最良の友であるホーリー・スピリットを遣わせた。"in Whom all power ~ "「その友であるホーリー・スピリットの中には、地上における、そして天の王国におけるあらゆるパワーが宿っているのである」。幻想世界にも実相世界にも通じる、真の奇跡を起こし得るパワーを、ホーリー・スピリットは有している。たとえば、幻想の罪の意識を、実相の愛に質転換する奇跡を起こすパワーなどである。



The one illusion that you think is friend obscures His grace and majesty from you, and keeps His friendship and forgiveness from your welcoming embrace.
  • obscure [əbskjúər] : 「〜を曖昧にする、覆い隠す、〜を暗くする」
  • grace [gréis] :「恩恵、恩寵、神の愛、優雅、優美」
  • majesty [mǽdʒesti] : 「尊厳、王者の威厳、威厳」
  • keep A from doing : 「Aに〜させない」
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • welcome [wélkəm] : 「温かく迎え入れる、歓迎する、〜を喜んで受け入れる」
  • embrace [embréis] : 「受諾、採用、承認、容認、抱擁」
❖ "The one illusion that ~ "「あなたが友だと思っている、一つの幻想は、ホーリー・スピリットの恩恵や威厳を、あなたの目から覆い隠している」。幻想の罪の意識によって、あなたは、ホーリー・スピリットの慈悲やその偉大さが見えないのだ。"and keeps His friendship ~ "意訳する、「そして、ホーリー・スピリットの友情や赦しをあなたが歓迎して受け入れることを、阻害しているのである」。あなたは、威圧的なエゴを支配者と位置づけて、友であるホーリー・スピリットを受け入れることを拒んでいる。エゴもまた、一つの幻想なのだ。したがって、エゴに捕らわれたあなたの目は、真実を見ることが出来ないのである。



Without Him you are friendless. Seek not another friend to take His place. There is no other friend.
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • take one's place : 「〜の代わりをする、〜と交代する、地位を占める」
❖ "Without Him ~ "「ホーリー・スピリットなしでは、あなたに友はいない」。ホーリー・スピリットを友に出来ないようでは、同胞を真実の友とすることも不可能だ。"Seek not another friend ~ "「ホーリー・スピリットの代わりを探して、他の友を求めてはいけない」。ホーリー・スピリットを友とする代わりに、エゴを友とするようなことがあってはならない。"There is no other ~ "「(ホーリー・スピリット以外に、)友はいないのだから」。



What God appointed has no substitute, for what illusion can replace the truth?
  • appoint [əpɔ́int] : 「〜を任命する、選任する、指名する」
  • substitute [sʌ́bstətjùːt] : 「代用品、代替、代理人、代わりのもの」
  • replace [ripléis] : 「〜を取り換える、取って代る、後任となる 」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "What God appointed ~ "「神が指命した者に、その代理となる者はいない」。神はホーリー・スピリットに、神の子を補佐する役目を任命した。その、神の子の補佐役になれる代理人はいない。エゴには、ホーリー・スピリットの代理は務まらないのだ。"for what illusion ~ "「なぜなら、いかなる幻想が、真実にとって代われるだろうか」。幻想のエゴが、実相のホーリー・スピリットに取って代わることなど、原理的に不可能なのだ。



3. Who dwells with shadows is alone indeed, and loneliness is not the Will of God.
  • dwell [dwél] : 「住む、居住する、存在する」
  • shadow [ʃǽdou] : 「影、暗がり、人影、陰」
  • alone [əlóun] : 「独りで、ただ〜だけで、唯一の」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも」
  • loneliness [lóunlinəs] : 「孤独、寂しさ、独りぼっち」
  • will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
❖ "Who dwells with ~ "「影とともに暮らす者は、確かに孤独である」。影に過ぎない幻想と共に生きる者は、確かに孤独である。"and loneliness is ~ "「そして、孤独は、神の意思することではない」。神の子が、ホーリー・スピリットを友とし、そして、真実の同胞を友として生きることを、神は意思しているのだ。



Would you allow one shadow to usurp the throne that God appointed for your Friend, if you but realized its emptiness has left yours empty and unoccupied?
  • allow [əláu] : 「〜を許す、許可する、許容する」
  • usurp [juːsə́ːrp] : 「奪う」
  • throne [θróun] : 「王座、王位、国王、王権、王威」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
  • emptiness [émptinis] : 「空なこと、空虚、むなしさ、無意味」
  • left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「ある状態のままにしておく」
  • empty [émpti] : 「空の、空いている、誰もいない」
  • unoccupied [ʌnάkjupàid] : 「占有されていない、使用中でない、空いている」
❖ "Would you allow one ~ "「もし〜であるなら、あなたは、神があなたの友であるホーリー・スピリットに与えた王権を、一つの影が奪うことを許すだろうか」。神は、神の代理権(王権)をホーリー・スピリットに与えたのだが、幻想がその代理権を奪うことを、つまり、エゴがその神の代理権を奪うことを、あなたは許すだろうか。"if you but realized ~ "「もし、あなたが、ホーリー・スピリットの王権が空になったなら、あなたの王権も空にされ、使うことも出来なくなると知っているなら、」あなたは、神があなたの友であるホーリー・スピリットに与えた王権を、一つの影が奪うことを許すだろうか。ホーリー・スピリットの神の代理権が奪われて空になってしまったら、あなたの心に住むホーリー・スピリットはあなたの元を離れてしまうことになり、あなたの王権、つまり、神の子として、神から継承したあらゆる権利が、ホーリー・スピリットとともに奪われて空になってしまうのである。そんなことを、あなたは許すであろうか。そんな結果を招くことを知りながら、幻想に勝手なまねをさせておくだろうか。



Make no illusion friend, for if you do, it can but take the place of Him Whom God has called your Friend.
  • take the place of : 「〜の代わりをする、〜に取って代わる」
❖ "Make no illusion ~ "「どんな幻想も、友としてはいけない」。"for if you do, it ~ "「なぜなら、もし、そんなことをしたなら、幻想は、神があなたの友と呼んだホーリー・スピリットに取って代わる可能性があるからだ」。幻想のエゴを友と考えようものなら、神があなたのために友として遣わしたホーリー・スピリットの地位(王権、神の代理権)を、エゴが奪ってしまうことになる。あなたは、幻想のエゴに支配されてしまうのだ。



And it is He Who is your only Friend in truth. He brings you gifts that are not of this world, and only He to Whom they have been given can make sure that you receive them.
  • in truth : 「実のところ、実際には」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
  • make sure that : 「〜ということを確実にする、きっと〜となるようにする」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する」
❖ "And it is He Who is ~ "強調構文、「ホーリー・スピリットこそが、真実、あなたの唯一の友なのだ」。"He brings you ~ "「ホーリー・スピリットは、この世界のものではない贈り物をあなたにもたらしてくれるのであり、」この幻想世界には存在しない、実相世界の真実、たとえば、愛であり平和であり美、慈しみ、喜び、等々の贈り物を、ホーリー・スピリットはあなたに与えてくれるのである。"and only He to ~ "意訳する、「贈り物を託されたホーリー・スピリットだけが、確実にあなたがそれを受け取ることを保証してくれるのだ」。つまり、神がホーリー・スピリットに、神の子に与える贈り物を託したのだ。贈り物を託されたホーリー・スピリットだけが、確実に、あなたに神の贈り物を届けることが出来るのである。



He will place them on your throne, when you make room for Him on His.
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する、取り付ける」
  • make room for : 「〜のためのスペースをあける、〜に席を譲る」
❖ "He will place them ~ "「あなたが、ホーリー・スピリットの王権の上に、(それを置く)スペースを作ったとき、ホーリー・スピリットは、あなたの王権の上に、神の贈り物を置くのである」。少々込み入っているのだが、あなたが、ホーリー・スピリットの神の代理権を受け入れたなら、ホーリー・スピリットは神から託された神の贈り物を、神の子として当然受け取れる権利として、神の子であるあなたに授けることが出来るのである。この段落で、"throne"という言葉を、あえて「王座」と訳さずに「王権」と解釈したのは、ホーリー・スピリットの"throne"は神の代理権、神の子の"throne"は神の属性のすべてを継承する権利、と解釈したからである。実相世界では、神と神の子とホーリー・スピリットは三位一体であるから、神の持つ権利、パワー、意思、属性は、神の座である王座も含めてすべて、神の子の、そして、ホーリー・スピリットのものなのである。
 
 
 


T-26.V.14:1 ~ T-26.VI.1:9

14. Forgive the past and let it go, for it is gone. You stand no longer on the ground that lies between the worlds.
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • let go : 「解雇する、手を放す、ほっとく、あきらめる、忘れる」
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形、去った、なくなった、消失した」
  • stand [stǽnd] : 「立っている、立ち上がる、立つ」
  • no longer : 「もはや〜でない」
  • ground [gráund] : 「地面、地べた、地盤、土地、立場、立脚点」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
❖ "Forgive the past ~ "「過去を赦し、手放してしまいなさい」。過去を幻想と受け入れて、受け流してしまいなさい。"for it is gone"「なぜなら、過去は過ぎたことなのだから」。"You stand no longer ~ "「あなたは、幻想世界と実相世界の間に存在する大地に、もはや立ってはいないのだ」。幻想世界と実相世界の間の境界地に立っているのではなく、もはや、実相世界の入り口、天の王国の扉の前に至ったのだ。



You have gone on, and reached the world that lies at Heaven's gate.
  • go on : 「進み続ける、邁進する」
  • reach [ríːtʃ] : 「〜に達する、〜に至る」
  • gate [géit] : 「入り口、門扉、ゲート、門」
❖ "You have gone on ~ "「あなたは進み続け、天の王国の扉の前にある世界に到達したのだ」。あとは、その扉を開けて、天の王国の中に入っていけばいいだけだ。



There is no hindrance to the Will of God, nor any need that you repeat again a journey that was over long ago.
  • hindrance [híndrəns] : 「妨害、障害物、邪魔者」
  • will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
  • need [níːd] : 「必要性、必要なもの、必要物」
  • repeat [ripíːt] : 「〜を繰り返す」
  • again [əɡéin] : 「再び、さらに、また一方」
  • journey [dʒə́ːrni] : 「旅、行路、道のり、道程、遍歴」
  • over [óuvər] : 「終わって、終了して、完了して」
  • long ago : 「ずっと以前に」
❖ "There is no hindrance ~ "「神の意思を妨害するものは何もないし、」"nor any need that ~ "「あなたは、遠い昔に終わってしまった旅を再び繰り返す必要などないのだ」。天の王国への回帰の旅は、実は、遠い昔に終了している。まだ、それが果たされていないと思うのは、あなたが夢を見て、過去の記憶を再体験しているからだ。あなたは旅の途中にあると思っているが、実は、実相的に、その旅は完了しているのである。



Look gently on your brother, and behold the world in which perception of your hate has been transformed into a world of love.
  • look on : 「〜を見る」
  • gently [dʒéntli] : 「親切に、静かに、優しく、穏やかに」
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
  • transform [trænsfɔ́ːrm] : 「〜を変形する、〜を変換する」
❖ "Look gently on ~ "「同胞を優しく見つめ、」"and behold the world ~ "「嫌悪感を抱いて知覚していた世界が、愛の世界に形を変えたことに視線を向けないさい」。憎しみという幻想が、実相に目覚めることで愛に質転換したのだ。この世界は嫌悪の対象ではなく、同胞を優しく見つめ、他者を愛することで、愛の世界に変わったのである。奇跡が起きたのだ。
 
 
 
 
VI. The Appointed Friend
指命された同胞
 
 
1. Anything in this world that you believe is good and valuable and worth striving for can hurt you, and will do so.
  • believe [bilíːv] : 「 信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • valuable [vǽljəbl] : 「役立つ、有益な、重要な、貴重な」
  • worth [wə́ːrθ] : 「〜の価値がある、〜に値する、〜相当の」
  • strive [stráiv] : 「努力する、努める、、懸命に努力する、励む」
  • strive for : 「〜のために懸命に努力する、〜を得ようと努力する」
  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
❖ "Anything in this world ~ "「良いものであり、有益なものであり、努力して求める価値があるとあなたが信じている、この世界の何ものも、あなたを傷つけ得るし、また、傷つけることになろう」。あなたが価値があると信じている幻想は、たとえば、地位であり名誉であり金であり権力などは、あなたの心を傷つける幻想である。今、そうでなくても、きっといつかはあなたを傷つけことになるのだ。なぜなら、幻想は変化流動し、必然的に崩壊へ、死へ向かうからだ。



Not because it has the power to hurt, but just because you have denied it is but an illusion, and made it real.
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • make [SVOC] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "Not because it has ~ "「それが、傷つけ得るパワーを有しているからではない」。幻想自体は、実相の心を傷つけ得るパワーをもっているわけではない。"but just because you ~ "「単に、あなたが、それが幻想であることを否定し、それを現実のものとしたからなのだ」。幻想を幻想として否定せずに、幻想を信じ込んでしまったので、その想念が現実化し、幻想があたかも実際に存在するかのように、あなたの目の前に現れ出たのである。お化けを信じる子供には、実際に、お化けが目の前に見えるのだ。それと同じである。



And it is real to you. It is not nothing. And through its perceived reality has entered all the world of sick illusions.
  • through [θruː] : 「〜を通り抜けて、経て、〜の中を通って」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • enter [énter] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • sick [sík] : 「病気で、病気の、不健全な、病的な、異常な」
❖ "And it is real ~ "「そしてそれは、あなたにとって、現実となったのだ」。ありもしない幻想が、あなたにとっては現実となったのである。なにしろ、目に見えるからだ。だから、"It is not nothing"「それは、無ではない」。あなたにとっては、無であるはずの幻想は、無でなくなったのだ。"And through its perceived ~ "「その、知覚された現実を通して、」幻覚を現実と知覚する、その知覚を通して、"has entered all ~ "「病んだ幻想の世界のすべてが、入り込んできたのである」。正気さを失った幻想、病んだ幻想のすべてが、誤った知覚を通して流れ込み、この世界全体を構成するに至ったのだ。



All belief in sin, in power of attack, in hurt and harm, in sacrifice and death, has come to you.
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • hurt [hə́ːrt] : 「傷、けが、苦痛、痛み、苦痛、悪意、不正」
  • harm [hάːrm] : 「害、損害、危害、悪意、被害、痛手、害悪」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
❖ "All belief in sin ~ "「罪を信じる心のすべて、攻撃のパワーを信じ、傷つけ害を与えることを信じ、犠牲と死を信じる心のすべてが、あなたの元にやって来たのである」。あらゆる幻想がこの世界に流れ込んできたと同時に、罪、攻撃、痛み、害、犠牲、死、等々の、負のパワーをもった幻想も世界の中に流れ込んできたのだ。流れ込んで、あなたの心にまとわりついたのだ。



For no one can make one illusion real, and still escape the rest.
  • escape [iskéip] : 「〜を免れる、はぐらかす、避ける」
  • rest [rést] : 「残り、残っているもの、残りの部分、残余」
❖ "For no one can ~ "「なぜなら、誰一人として、一つの幻想だけを現実化して、残りの幻想からは逃れてしまうなどということは出来ないからだ」。一つの幻想を受け入れることは、幻想すべてを受け入れることを意味する。だから、あらゆる幻想の数々が、この世界に流れ込んできたのだ。



For who can choose to keep the ones that he prefers, and find the safety that the truth alone can give?
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
  • prefer [prifə́ːr] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む、〜の方を選ぶ」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
  • safety [séifti] : 「安全性、無事、無難なもの」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単独で」
❖ "For who can choose ~ "「なぜなら、いったい誰が、好きなものを一つだけ保持することを選んでおいて、真実だけが与えることの出来る安全を見つけることなど出来るだろうか」。前文と同じ内容なのだが、たとえば、金という幻想だけを好き好んで選んでおいて、その他の地位や名誉や権力などの幻想から逃れることは出来ないし、たとえ一つの幻想が手に入ったとしても、本当の心の平安は得られるものでははい。心の平安、心の安全は、真実だけが与え得るものなのだ。なぜなら、心の平安や安全は永遠不変なものでなければならず、変化流動し崩壊と死へ向かう幻想では、決して永遠の平安や安全は手に入らないからだ。



Who can believe illusions are the same, and still maintain that even one is best?
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
  • maintain [meintéin] : 「〜と主張する、支持する」
  • best [bést] : 「最高の、最も良い、最善の、絶好の」
❖ "Who can believe ~ "「いったい誰が、幻想はみな同じだと信じていながら、なお、たった一つだけがベストなのだと主張出来るだろうか」。金も地位も名誉も権力も、むなしい幻想に過ぎないと認めておいて、しかし、金だけはどうしても欲しいなどと主張することなど誰に出来ようか。ここで言いたいのは、幻想の形をあれこれ吟味して選択することは意味がなく、幻想は幻想としてひと括(くく)りに認め、受け入れ、受け流し、赦してしまえ、ということ。あらゆる幻想を、一括して消滅させることが肝要なのだ。どれか一つだけ残しておこうなどいう姑息なことを考えてはいけない。どれか一つが、すべての幻想ということに繋がってしまうからだ。
 
 
 


Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター