14. Forgive the past and let it go, for it is gone. You stand no longer on the ground that lies between the worlds.
- forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
- past [pǽst] : 「過去、昔」
- let go : 「解雇する、手を放す、ほっとく、あきらめる、忘れる」
- gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形、去った、なくなった、消失した」
- stand [stǽnd] : 「立っている、立ち上がる、立つ」
- no longer : 「もはや〜でない」
- ground [gráund] : 「地面、地べた、地盤、土地、立場、立脚点」
- lie [lái] : 「ある、存在する」
❖ "Forgive the past ~ "「過去を赦し、手放してしまいなさい」。過去を幻想と受け入れて、受け流してしまいなさい。"for it is gone"「なぜなら、過去は過ぎたことなのだから」。"You stand no longer ~ "「あなたは、幻想世界と実相世界の間に存在する大地に、もはや立ってはいないのだ」。幻想世界と実相世界の間の境界地に立っているのではなく、もはや、実相世界の入り口、天の王国の扉の前に至ったのだ。
You have gone on, and reached the world that lies at Heaven's gate.
- go on : 「進み続ける、邁進する」
- reach [ríːtʃ] : 「〜に達する、〜に至る」
- gate [géit] : 「入り口、門扉、ゲート、門」
❖ "You have gone on ~ "「あなたは進み続け、天の王国の扉の前にある世界に到達したのだ」。あとは、その扉を開けて、天の王国の中に入っていけばいいだけだ。
There is no hindrance to the Will of God, nor any need that you repeat again a journey that was over long ago.
- hindrance [híndrəns] : 「妨害、障害物、邪魔者」
- will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
- need [níːd] : 「必要性、必要なもの、必要物」
- repeat [ripíːt] : 「〜を繰り返す」
- again [əɡéin] : 「再び、さらに、また一方」
- journey [dʒə́ːrni] : 「旅、行路、道のり、道程、遍歴」
- over [óuvər] : 「終わって、終了して、完了して」
- long ago : 「ずっと以前に」
❖ "There is no hindrance ~ "「神の意思を妨害するものは何もないし、」"nor any need that ~ "「あなたは、遠い昔に終わってしまった旅を再び繰り返す必要などないのだ」。天の王国への回帰の旅は、実は、遠い昔に終了している。まだ、それが果たされていないと思うのは、あなたが夢を見て、過去の記憶を再体験しているからだ。あなたは旅の途中にあると思っているが、実は、実相的に、その旅は完了しているのである。
Look gently on your brother, and behold the world in which perception of your hate has been transformed into a world of love.
- look on : 「〜を見る」
- gently [dʒéntli] : 「親切に、静かに、優しく、穏やかに」
- behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
- hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
- transform [trænsfɔ́ːrm] : 「〜を変形する、〜を変換する」
❖ "Look gently on ~ "「同胞を優しく見つめ、」"and behold the world ~ "「嫌悪感を抱いて知覚していた世界が、愛の世界に形を変えたことに視線を向けないさい」。憎しみという幻想が、実相に目覚めることで愛に質転換したのだ。この世界は嫌悪の対象ではなく、同胞を優しく見つめ、他者を愛することで、愛の世界に変わったのである。奇跡が起きたのだ。
VI. The Appointed Friend
指命された同胞
1. Anything in this world that you believe is good and valuable and worth striving for can hurt you, and will do so.
- believe [bilíːv] : 「 信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
- valuable [vǽljəbl] : 「役立つ、有益な、重要な、貴重な」
- worth [wə́ːrθ] : 「〜の価値がある、〜に値する、〜相当の」
- strive [stráiv] : 「努力する、努める、、懸命に努力する、励む」
- strive for : 「〜のために懸命に努力する、〜を得ようと努力する」
- hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
❖ "Anything in this world ~ "「良いものであり、有益なものであり、努力して求める価値があるとあなたが信じている、この世界の何ものも、あなたを傷つけ得るし、また、傷つけることになろう」。あなたが価値があると信じている幻想は、たとえば、地位であり名誉であり金であり権力などは、あなたの心を傷つける幻想である。今、そうでなくても、きっといつかはあなたを傷つけことになるのだ。なぜなら、幻想は変化流動し、必然的に崩壊へ、死へ向かうからだ。
Not because it has the power to hurt, but just because you have denied it is but an illusion, and made it real.
- deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
- illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
- make [SVOC] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "Not because it has ~ "「それが、傷つけ得るパワーを有しているからではない」。幻想自体は、実相の心を傷つけ得るパワーをもっているわけではない。"but just because you ~ "「単に、あなたが、それが幻想であることを否定し、それを現実のものとしたからなのだ」。幻想を幻想として否定せずに、幻想を信じ込んでしまったので、その想念が現実化し、幻想があたかも実際に存在するかのように、あなたの目の前に現れ出たのである。お化けを信じる子供には、実際に、お化けが目の前に見えるのだ。それと同じである。
And it is real to you. It is not nothing. And through its perceived reality has entered all the world of sick illusions.
- through [θruː] : 「〜を通り抜けて、経て、〜の中を通って」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
- reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
- enter [énter] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
- sick [sík] : 「病気で、病気の、不健全な、病的な、異常な」
❖ "And it is real ~ "「そしてそれは、あなたにとって、現実となったのだ」。ありもしない幻想が、あなたにとっては現実となったのである。なにしろ、目に見えるからだ。だから、"It is not nothing"「それは、無ではない」。あなたにとっては、無であるはずの幻想は、無でなくなったのだ。"And through its perceived ~ "「その、知覚された現実を通して、」幻覚を現実と知覚する、その知覚を通して、"has entered all ~ "「病んだ幻想の世界のすべてが、入り込んできたのである」。正気さを失った幻想、病んだ幻想のすべてが、誤った知覚を通して流れ込み、この世界全体を構成するに至ったのだ。
All belief in sin, in power of attack, in hurt and harm, in sacrifice and death, has come to you.
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
- sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
- attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
- hurt [hə́ːrt] : 「傷、けが、苦痛、痛み、苦痛、悪意、不正」
- harm [hάːrm] : 「害、損害、危害、悪意、被害、痛手、害悪」
- sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
- death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
❖ "All belief in sin ~ "「罪を信じる心のすべて、攻撃のパワーを信じ、傷つけ害を与えることを信じ、犠牲と死を信じる心のすべてが、あなたの元にやって来たのである」。あらゆる幻想がこの世界に流れ込んできたと同時に、罪、攻撃、痛み、害、犠牲、死、等々の、負のパワーをもった幻想も世界の中に流れ込んできたのだ。流れ込んで、あなたの心にまとわりついたのだ。
For no one can make one illusion real, and still escape the rest.
- escape [iskéip] : 「〜を免れる、はぐらかす、避ける」
- rest [rést] : 「残り、残っているもの、残りの部分、残余」
❖ "For no one can ~ "「なぜなら、誰一人として、一つの幻想だけを現実化して、残りの幻想からは逃れてしまうなどということは出来ないからだ」。一つの幻想を受け入れることは、幻想すべてを受け入れることを意味する。だから、あらゆる幻想の数々が、この世界に流れ込んできたのだ。
For who can choose to keep the ones that he prefers, and find the safety that the truth alone can give?
- choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
- keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
- prefer [prifə́ːr] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む、〜の方を選ぶ」
- find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
- safety [séifti] : 「安全性、無事、無難なもの」
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
- alone [əlóun] : 「独りで、単独で」
❖ "For who can choose ~ "「なぜなら、いったい誰が、好きなものを一つだけ保持することを選んでおいて、真実だけが与えることの出来る安全を見つけることなど出来るだろうか」。前文と同じ内容なのだが、たとえば、金という幻想だけを好き好んで選んでおいて、その他の地位や名誉や権力などの幻想から逃れることは出来ないし、たとえ一つの幻想が手に入ったとしても、本当の心の平安は得られるものでははい。心の平安、心の安全は、真実だけが与え得るものなのだ。なぜなら、心の平安や安全は永遠不変なものでなければならず、変化流動し崩壊と死へ向かう幻想では、決して永遠の平安や安全は手に入らないからだ。
Who can believe illusions are the same, and still maintain that even one is best?
- same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
- maintain [meintéin] : 「〜と主張する、支持する」
- best [bést] : 「最高の、最も良い、最善の、絶好の」
❖ "Who can believe ~ "「いったい誰が、幻想はみな同じだと信じていながら、なお、たった一つだけがベストなのだと主張出来るだろうか」。金も地位も名誉も権力も、むなしい幻想に過ぎないと認めておいて、しかし、金だけはどうしても欲しいなどと主張することなど誰に出来ようか。ここで言いたいのは、幻想の形をあれこれ吟味して選択することは意味がなく、幻想は幻想としてひと括(くく)りに認め、受け入れ、受け流し、赦してしまえ、ということ。あらゆる幻想を、一括して消滅させることが肝要なのだ。どれか一つだけ残しておこうなどいう姑息なことを考えてはいけない。どれか一つが、すべての幻想ということに繋がってしまうからだ。