●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-31.VII.4:1 ~ T-31.VII.5:7


4. You live in that world just as much as this. For both are concepts of yourself, which can be interchanged but never jointly held. 

  • as much as : 「〜と同じ程度に」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
  • concept [kάnsept] : 「概念、観念」
  • interchange [ìntərt∫éindʒ] : 「〜を置き換える、互いにやりとりする、入れ替える」
  • jointly [dʒɔ́intli] : 「合同で、一緒に、両方に、連帯して」
  • held [héld] : 「holdの過去形」
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する、心に抱く」

❖ "You live in that world ~ "「この世界に住んでいるのと同じくらい、あなたはあの世界(実相世界)に住んでいる」。あなたはこの幻想世界の住人であるが、それは夢の中の話しであって、本当は、あなたは実相世界に生きている。"For both are concepts ~ "「なぜなら、どちらの世界も、あなたの自己概念であるからだ」。ここは、「どちらもあなたの自己概念となり得るからだ」、と解釈した方がいいだろう。"which can be ~ "「ただし、それらは、置き換え可能ではあるが、決して(二つを)一緒に保持出来るものではない」。幻想世界に物質的な生物として生きている自己概念を持つことも、実相世界で心として生きている自己概念を持つことも、どちらも可能である。しかし、同時にそのどちらをも持つことは出来ない。あなたは自由意思をもって、そのどちらかを選択しなくてはいけない。



The contrast is far greater than you think, for you will love this concept of yourself, because it was not made for you alone. 

  • contrast [kάntræst] : 「対比、対照、差異、不一致」
  • great [ɡréit] : 「大きい、大きな、巨大な、主要な」
  • alone [əlóun] : 「独力で、単独で」

❖ "The contrast is ~ "「(二つの自己概念の)コントラストは、あなたが思っている以上に大きい」。"for you will love ~ "「なぜなら、あなたはこの(実相的な)自己概念を愛するようになるからだ」。幻想世界に生きる自己概念は、苦と痛みに苦しめられてきたが、実相世界に生きる自己概念は、それとは全く対照的に、喜びと幸せに満ちあふれる。あなたは、そんな自己概念を愛するようになるのだ。"because it was not ~ "「というもの、その(実相的)自己概念は、あなた一人のために創られたものではなからだ」。幻想世界の自己概念は、あなた一人のプライベートな概念である。しかし、実相世界の自己概念は、神の子として単一の概念である。いわば、あなたも同胞も、みんなが単一の神の子として創造され、単一の自己概念をもっている世界なのだ。分離の自己概念は苦と痛みと恐れを生み出す。単一として融合された自己概念は喜びと幸せと愛を生みだす。あなたがどちらの自己概念に誘われ、それを愛するようになるか、問うまでもあるまい。



Born as a gift for someone not perceived to be yourself, it has been given you. 

  • born [bɔ́ːrn] : 「生まれる、誕生する、産声を上げる」
  • gift [ɡíft] : 「贈り物、プレゼント」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を理解する」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」

❖ "Born as a gift for ~ "「あなた自身だと知覚されない誰かのため贈り物として生まれ、また、その贈り物はあなたにも与えられたのだ」。あなたは同胞のために生まれ、同胞はあなたのために生まれた。互いが互いの贈り物なのだ。なぜなら、実相世界にあっては、あなたと同胞は同一の神の子であって、自他一如であるからだ。幻想世界のあなたと同胞の分離は錯覚に過ぎない。あなたは同胞を幻想から救う役割を担って、いわば同胞への贈り物として生まれてきたのであり、同胞はあなたを幻想から救う役割を担って生まれてきた。同胞はあなたへの贈り物なのだ。



For your forgiveness, offered unto him, has been accepted now for both of you.

  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • accept [æksépt] : 「受け入れる、承認する、容認する」

❖ "For your forgiveness ~ "「なぜなら、同胞に差し出されたあなたの赦しは、今や、あなたと同胞の両者のために受け入れられたからだ」。あなたが、同胞の存在を幻想として認め、受け入れて赦すとき、同時に、あなたはあなた自身の幻想性を受け入れて赦したことになるからだ。あなたと同胞は分離などしていない。



5. Have faith in him who walks with you, so that your fearful concept of yourself may change. 

  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、自信、信念、確信」
  • so that : 「〜するために、その結果」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」

❖ "Have faith in him ~ "「あなたと共に歩む同胞を信頼しなさい」。"so that your ~ "「その結果、あなたの恐れに満ちた自己概念は変わるだろう」。得るために奪え、攻撃される前に攻撃せよ、というエゴの思考システムに従って形成したあなたの自己概念は、したがって、あなたもいつか攻撃されるだろうという恐れをずっと抱いてきた。しかし、エゴの思考システムを脱して、ホーリー・スピリットの思考システムによって再構築したあなたの自己概念は、同胞を悪しき攻撃者と見ることはない。共に、実相世界に向かって歩む同伴者と見るようになったのだ。そこに恐れはない。



And look upon the good in him, that you may not be frightened by your "evil" thoughts because they do not cloud your view of him. 

  • look upon : 「〜を見る」
  • frighten [fráitn] : 「〜を怖がらせる」
  • evil [íːvəl] : 「悪意ある、険悪な、邪悪な」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、考え、見解」
  • cloud [kláud] : 「〜を雲らせる、〜を不透明にする、曖昧にする」
  • view [vjúː] : 「視界、視野、視力、光景、意見、見識」

❖ "And look upon ~ "「そして、同胞の良きものに視線を当てなさい」。"that you may not ~ "「そうすれば、あなたは、あなたの『悪しき』思いによって恐れを抱かさせられることはなくなるだろう」。"because they do not ~ "「なぜなら、あなたの『悪しき』思いが、同胞を見るあなたの視界を曇らすことはなくなるからだ」。あなたはこれまで、同胞はあなたを攻撃する敵だと思ってきた。罪があるのは同胞であり、あなたのものを奪い、あなたに恐れと痛みを与えてきたと思ってきた。あなたは同胞を恨み、憎み、機会があれば攻撃してやりたと、『悪しき』思いを抱いてきた。しかし、今、あなたはそんな思いは幻想だと知り、その幻想を払拭したのだ。もはや『悪しき』思いがあなたの知覚を曇らせることはない。『悪しき』思い自体が消滅したからだ。あなたの目に入るのは、同胞の良き部分ばかりである。それが真実だからだ。



And all this shift requires is that you be willing that this happy change occur. No more than this is asked. 

  • shift [ʃíft] : 「交代、変更、変化、転換」
  • require [rikwáiər] : 「〜を必要とする、求める」
  • willing [wíliŋ] : 「〜することをいとわない、〜する気がある」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
  • ask [ǽsk] : 「〜を求める、〜を頼む、依頼する」

❖ "And all this shift ~ "「こういった(自己概念の)シフトが必要とするものは、こんな幸せな変化が起こって欲しいと望むことなのだ」。"No more than ~ "「それ以上のことは何も求められてはいない」。幻想から実相へ目覚めたいという、あなたの自由意思があればいい。自由意思による自由選択だけが、あなたに求められているすべてである。その意思を高らかに宣言し、後は、すべてをホーリー・スピリットに委(ゆだ)ねるだけでいい。ACIMの絶対他力である。



On its behalf, remember what the concept of yourself that now you hold has brought you in its wake, and welcome the glad contrast offered you. 

  • on one's behalf [bihǽf] : 「〜のために、〜の利益になるように」
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bringの過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
  • wake [wéik] : 「航跡、通った跡」
  • in one's wake : 「〜の通った跡に」
  • welcome [wélkəm] : 「歓迎する、喜んで受け入れる」
  • glad [ɡlǽd] : 「満足して、うれしく思う」

❖ "On its behalf ~ "「そのために、今まであなたが保持してきた自己概念が、その痕跡として、あなたにもたらして来たものを思い出し、」"and welcome the glad ~ "「あなたに差し出された(新しい自己概念がもたらしてくれる)喜ばしいコントラストを歓迎しなさい」。幻想的自己概念が、その痕跡として残していったものは、苦と痛みと哀しみ、そして恐れだけであった。今、そんな自己概念を捨てて、実相的な自己概念を手に入れたあなたは、喜びと幸せと平和に満たされるのである。そのコントラストを、心から歓迎して、受け入れればいい。



Hold out your hand, that you may have the gift of kind forgiveness which you offer one whose need for it is just the same as yours. 

  • hold out : 「伸ばす、差し出す」
  • kind [káind] : 「優しい、親切な」
  • need [níːd] : 「必要、要求」

❖ "Hold out your ~ "「手を差し伸べなさい」。"that you may ~ "「そうすれば、あなたは、優しい赦しという贈り物を得られるだろう」。"which you offer one ~ "「それは、あなたが必要としているものとちょうど同じものを必要としてる同胞に、あなたが差し出す優しい赦しという贈り物でもあるのだ」。ややこしい言い回しなのだが、要するに、あなたも同胞も同じ赦しを必要としており、互いに優しい赦しという贈り物を分かち合う、ということ。あなたと同胞は、同時に、幻想を幻想として受け入れ赦し、幻想を消滅させるのである。幻想からの救いが、互いの優しい贈り物となる。



And let the cruel concept of yourself be changed to one that brings the peace of God.

  • cruel [krúːəl] : 「残酷な、むごい、残虐な、無慈悲な、非情な」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平安、静けさ、静謐」

❖ "And let the cruel ~ "「そして、あなたの非情な自己概念を、神の平和をもたらす自己概念へと変えさせなさい」。幻想の自己概念を赦すことで、あなたの自己概念の幻想性は消滅し、あなたの自己概念は実相的な真実に変わる。あなたが再び自己概念を作り変える必要はない。幻想から目覚めることで、自ずと自己概念は変わるのだ。それは、神の平和、実相世界の平和をもたらしてくれる自己概念である。神の子としての自己概念を持てばいいのだ。なぜなら、あなたが神の子であるということは真実であり、それ以外の自己概念はあり得ないからだ。神から愛される自分であること、それ以上の真実があり得ようか。
 
 
 


Workbook精読を開始しました。http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp をご覧下さい。


T-31.VII.2:1 ~ T-31.VII.3:6


2. You could not recognize your "evil" thoughts as long as you see value in attack. 

  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、認める、受け入れる」
  • evil [íːvəl] : 「悪意ある、険悪な、邪悪な」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、考え、思想」
  • as long as : 「〜である限りは、〜する以上は、〜であるならば」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」

❖ "You could not ~ "「あなたが、攻撃に価値を見出している限り、あなたは、あなたの『悪しき』思いを認識することは出来ない」。あなたが、他者の過ちや罪に対して、それを許して見過ごしてやる代わりに、罪を暴き罰しようとして攻撃する限り、あなた自身の心に潜む攻撃的な性悪な思いをありのままに認識することは出来ない。他者は、鏡に写ったあなた自身である。他者に過ちや罪があるように見えるのは、あなた自身に過ちや罪がある証拠である。つまり、過ちや罪を幻想として認識出来ずに、実在だと信じている証拠である。その過ちや罪が他者に存在すると見なし、攻撃する限り、視線が他者に向いているので、自分の心の中の罪や過ちや攻撃性を認識出来ないのだ。



You will perceive them sometimes, but will not see them as meaningless. 

  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を理解する」
  • sometimes [sʌ́mtàimz] : 「時々、たまに」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味が分からない、無意味な」

❖ "You will perceive ~ "「時には、あなたは自分の『悪しき』思いを知覚することがあるかもしれないが、」"but will not see ~ "「それが意味のないものであると見なすことは出来ないだろう」。時には、自分は悪いヤツだと思うことはあっても、それは『悪しき』思いを認識したことではなく、何となく感じただけのことで、その思いが幻想に過ぎず、本当は存在してもいず、意味のないことだと見破ることは不可能である。



And so they come in fearful form, with content still concealed, to shake your sorry concept of yourself and blacken it with still another "crime. "

  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見」
  • content [kɑ́ntent] : 「入っているもの、内容、中身」
  • conceal [kənsíːl] : 「隠す、隠匿する、秘密にする」
  • shake [ʃéik] : 「〜を動揺させる、ぐらつかせる」
  • sorry [sɑ́ri] : 「哀れな、惨めな、嘆かわしい、情けない、お粗末な」
  • concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念」
  • blacken [blǽkən] : 「傷つける、汚す、汚点を付ける、黒く塗る、暗くする」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
  • crime [kráim] : 「犯罪、罪」

❖ "And so they come ~ "「そこで、『悪しき』思いは、中身を隠したままで、恐ろしげな形をとって現れてくる」。漠然とした恐怖感を抱かせ、その理由を隠しまま、様々な形をとって、『悪しき』思いはあなたの目の前に出現する。"to shake your sorry ~ "「そして、あなた自身の惨めな自己概念を揺(ゆ)さぶり、また別の『罪』をもってあなたの自己概念を汚すのである」。あなたは、他者の過ちや罪を攻撃し、自分の正義を示したかも知れないが、心は決して幸せになれない。いつも不安を抱き、次は自分が攻撃されはしないかと恐れを抱く(come in fearful form)。しかし、その恐れは、なぜ恐れを抱かざるを得ないかという理由を隠したままなのだ(still concealed)。漠然とした恐れと不安に駆られ、あなたが正しいと思っている自己概念は動揺する(to shake your sorry concept of yourself)。ひょっとしたら、不安と恐れと動揺は、自分自身に罪があるせいではないかと思い、他者に向けられた罪とはまた別の罪の意識(another crime)を自分自身に向けて、あなたの自己概念を罪の意識で汚す(blacken it)ことになる。



You cannot give yourself your innocence, for you are too confused about yourself. 

  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無垢、純潔、純真」
  • confused [kənfjúːzd] : 「困惑した、混乱した、支離滅裂な」

❖ "You cannot give ~ "「あなたはあなた自身に、潔白性を与えることは出来ない」。あなたは、自分を潔白だと信じることが出来ない。他者のみならず、自分にも罪があるに違いないと思い始めるからだ。"for you are too ~ "「なぜなら、あなたは、あなた自身に関してあまりにも混乱しているからだ」。他者のみならず、自分にも罪があるに違いないと思い始め、あなたが正しいと思っている自己概念が混乱を来(きた)すのだ。お分かりのように、この一連の動きはエゴの作戦である。エゴは、神の子の分離を促進するために、得るためには奪え、攻撃される前に攻撃せよ、殺されるくらいなら殺せ、と教える。他者は邪悪であり、他者に罪があると、あなたに信じ込ませるのだ。あなたはエゴの思考システムにまんまと騙されて、エゴの言うなりになる。しかし、エゴが狡猾なのはそれだけではない。エゴは、エゴを偶像として信奉するあなたに、しかし、決して満足や幸せを与えない。常に不安を抱かせ、恐れをちらつかせる。あなたは決して神に愛されない愚劣な人間だと思わせ、神からの分離を確保するのだ。神から捨てられたと信じるあなたを混乱させ、エゴは、あなた自身の自己分裂を画策するのである。こうして、あなたには、似非(えせ)宗教に逃れるか、発狂するか、自殺するか、この3つの選択肢が残されることになる。もちろん、酒や薬物に溺れる行為は、自殺の疑似体験である。病は、精神的な歪みが生み出す発狂の疑似体験である。肉欲や物欲にのめり込むのは、似非宗教の疑似体験である。どれもこれも、真実なる幸せに到達することのない不毛な放浪なのだ。



But should one brother dawn upon your sight as wholly worthy of forgiveness, then your concept of yourself is wholly changed. 

  • dawn [dɔ́ːn] : 「分かり始める、見え出す」
  • sight [sáit] : 「視野、視界、視力、視覚、景色、眺め」
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • worthy [wə́ːrði] : 「〜に値する、〜するに足りる」
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」

❖ "But should one brother ~ "「しかし、同胞の一人でも、あなたの目に、完全に赦しに値すると映り出したなら、」"then your concept of ~ "「あなたの自己概念は、完全に変化する」。同胞の罪や攻撃性が、実は幻想に過ぎないとわかり始めると、あなたに自身の自己概念もまた幻想に過ぎないとわかり始めて、自分が変わっていく。エゴの思考システムからの脱却が始まるのである。エゴからの解放であり、偶像からの目覚めである。



Your "evil" thoughts have been forgiven with his, because you let them all affect you not. 

  • forgiven [fərɡívn] : 「forgiveの過去分詞」
  • affect [əfékt] : 「〜に作用する、〜に影響を及ぼす、〜に響く」

❖ "Your "evil" thoughts ~ "「あなたの『悪しき』思いは、同胞の『悪しき』思いと共に赦されてしまったのだ」。"because you let ~ "「なぜなら、あなたは、『悪しき』思いのすべてがあなたに影響を与えないようにしたからである」。罪の意識や恐れ、攻撃性、憎しみなど、『悪しき』思いのすべては幻想に過ぎず、あなたに実相的な影響を与えることは不可能なのだと知って、幻想性を認識しそれを赦すとき、幻想は消滅する。あなたの自己概念の幻想性も消滅していくのだ。



No longer do you choose that you should be the sign of evil and of guilt in him. 

  • no longer : 「もはや〜でない」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • sign [sáin] : 「象徴、シンボル、しるし、証拠」
  • evil [íːvəl] : 「悪、邪悪、不正、不道徳」
  • guilt [ɡílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」

❖ "No longer do you ~ "「もはやあなたは、あなたが、同胞の罪や邪悪さのシンボルになるべきなのだという選択をすることはない」。同胞を悪者と見なすことは、あなた自身に『悪しき』思いが存在する証拠であり、結果的に、悪いと見なされた同胞は、あなたの邪悪さのシンボルになってしまう。しかし今、あなたは、『悪しき』思いを同胞に投射し同胞を悪者に仕立て上げる必要など、まったくないと知ったのである。幻想は不要だと確信したのである。



And as you give your trust to what is good in him, you give it to the good in you.

  • trust [trʌ́st] : 「信頼、信用」

❖ "And as you give ~ "「そして、あなたが、同胞の心の中の良きものに信頼を与えるにしたがい、」" you give it to ~ "「あなたは、あなたの心の中の良きものに信頼を与えるのである」。あなたの心の中の実相的な真実である良きものの存在に気付き、それを信じる自分を確信出来るようになる。幻想から解放され、実相に目覚めていくのだ。エゴの思考システムから抜け出し、ホーリー・スピリットの思考システムに移行していくのである。



3. In terms of concepts, it is thus you see him more than just a body, for the good is never what the body seems to be. 

  • in terms of : 「〜に関して、〜の観点から」
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」

❖ "In terms of ~ "「(自己)概念に関して、概念はこのように、あなたが同胞を、単なる肉体以上のものだと見なすことなのである」。自己概念の側面から見れば、自分自身を、あるいは同胞を、肉体と見なす概念から、肉体ではなく心と見なす概念に移行していくのだ。"for the good is ~ "意訳する、「なぜなら、良きものとは、決して、肉体の見掛けの姿ではないからだ」。肉体は変化流動し、死へと向かう幻想である。肉体は、どうあがいても、決して実相に変わることはない。良きものである心は実相であって、幻想の肉体がそれを代表することなど出来ないのだ。今、肉体という幻想から良きものという実相に目覚めることで、あなた自身の自己概念も、幻想から実相へと変化していくのである。



The actions of the body are perceive as coming from the "baser" part of you, and thus of him as well. 

  • action [ǽkʃən] : 「動き、動作、作用、働き」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • base [béis] : 「劣った、劣等の、卑劣な、さもしい」
  • as well : 「同じに、同様にうまく」

❖ "The actions of ~ "「肉体的な動きは、あなたの『より劣った』部分からやってくるものとして知覚され、同様に、同胞の『より劣った』部分から発生するものと知覚される」。心の『より劣った』部分とは、心の幻想的側面のことで、つまり、エゴに操られている部分のことである。他者を攻撃する肉体的な動きは、エゴに支配された下等な心の部分から生じる。弱肉強食を生きる肉体は、エゴの操り人形である。



By focusing upon the good in him, the body grows decreasingly persistent in your sight, and will at length be seen as little more than just a shadow circling round the good. 

  • focus [fóukəs] : 「〜の焦点を合わせる、集中させる」
  • grow [ɡróu] : 「〜の状態になる、増える、増大する」
  • decreasingly [dikríːsiŋli] : 「減少して、少なくなって」
  • persistent [pərsístənt] : 「持続性の、永続性の、しつこい、なかなか去らない」
  • sight [sáit] : 「視野、視界、視力、視覚、景色、眺め」
  • at length [léŋkθ] : 「ついに、しまいには」
  • shadow [ʃǽdou] : 「影、暗がり、暗部」
  • circle [sə́ːrkl] : 「〜を円で囲む、〜の周りを回る、〜を周回する」
  • round [ráund] : 「回って、ぐるりと、周囲に」

❖ "By focusing upon ~ "「同胞の良きものに焦点を当てるにしたがい、」"the body grows ~ "「肉体は、あなたの目にとって、そのしつこさをどんどん減らしていく」。あなたの目には、つまり、あなたの感覚器官には、肉体は物質として確かに実在しているかに映るのだが、そのしつこさが、だんだんと減少していく。幻想性が薄れ、実在性が露(あらわ)になっていくのだ。"and will at length ~ "「そしてついには、肉体は、せいぜい、良きものの周りを囲む単なる影として見られるようになる」。もはや肉体は、物質として実在するというより、影のような幻想として存在するように見えてくる。



And this will be your concept of yourself, when you have reached the world beyond the sight your eyes alone can offer you to see. 

  • reach [ríːtʃ] : 「達する、至る、着く、到着する」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
  • alone [əlóun] : 「独力で、単独で」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」

❖ "And this will be ~ "「あなたが〜したとき、これが、あなた自身の自己概念となるのである」。あなたの自己概念は肉体でなく、心があなたの自己概念となる。"when you have ~ "「あなたが、あなたの目だけがあなたに見るようにと差し出す光景を超越した世界に到達したとき、」これが、あなた自身の自己概念となるのである。あなたの感覚器官だけがその実在性を錯覚させているこの幻想世界を越えて、実相世界に到達出来た時、あなたは、自分自身を心の存在だと確信することが出来るのだ。



For you will not interpret what you see without the Aid that God has given you. And in His sight there is another world.

  • interpret [intə́ːrprit] : 「解釈する、解明する、説明する」
  • without [wiðáut] : 「なくて、持たないで」
  • aid [éid] : 「援助、救済、補助、助成、補佐」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」

❖ "For you will not ~ "「なぜなら、あなたは、神があなたに与えた助けなしに、あなたが目にするものを解釈することはなくなるからだ」。ここの"the Aid that God has given you"「神があなたに与えた助け」とは、ホーリー・スピリットのことだと思っていいだろう。あなたが感覚器官でものを知覚し、それが実在か幻想かを判断するとき、あるいは、真実か虚偽かを判断するとき、ホーリー・スピリットがあなたを助けてくれる、ということ。"And in His sight ~ "「そして、神の視界には、別の世界が存在しているのだ」。神の視野には、幻想世界ではなく、実相世界が見えている。天の王国である。それが実在であって、それ以外に実在する世界はない。
 
 
 

Workbook精読を開始しました。http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp をご覧下さい。

T-31.VI.7:1 ~ T-31.VII.1:9


7. Your will be done, you holy child of God. It does not matter if you think you are in earth or Heaven. 

  • will [wíl] : 「意志、願望、意欲」
  • done [dʌ́n] : 「doの過去分詞」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • matter [mǽtər] : 「重要である、問題である」
  • earth [ə́ːrθ] : 「地球、地上」
  • heaven [hévən] : 「天国、天、天の王国」

❖ "Your will be done ~ "「神聖な神の子であるあなたよ、あなたの意思は必ずなされる」。あなたの正しい意思は、必ず現実化する。"It does not matter ~ "「あなたが地上にいると思っていようが天上にいると思っていようが、それは問題でない」。あなたがこの世界に生きていると思っていようが、本当は天の王国に生きていると思っていようが、あなたの意思が実現することに関しては、それは重要でない。重要なのは、あなたの意思であり、自由意思であり、実相的な真実の意思である。



What your Father wills of you can never change. 

  • change [tʃéindʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」

❖ "What your Father ~ "「父なる神があなたに向けた意思は、決して変わることはない」。神の意思とは、言い換えれば、神の愛である。あなたに向けられた神の愛は、永遠に不変である。



The truth in you remains as radiant as a star, as pure as light, as innocent as love itself. And you are worthy that your will be done!

  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理」
  • remain [riméin] : 「とどまる、残る、生き残る、残存する」
  • radiant [réidiənt] : 「光を放つ、さんぜんとした、光り輝く、明るい」
  • pure [pjúər] : 「純粋な、混じりけのない、清らかな、きれいな」
  • light [láit] : 「光、ライト、明かり」
  • innocent [ínəsənt] : 「無実の、潔白な、純真な、無邪気な」
  • worthy [wə́ːrði] : 「〜に値する、〜するに足りる」

❖ "The truth in you ~ "「あなたの心の中の真実は、星のように光り輝き、光のように純粋で、愛それ自体のように純潔であり続ける」。"And you are worthy ~ "「そしてあなたは、あなたの意思がなされるにふさわしいのだ」。ここは理屈を追わずに、ただ朗読するだけでいいだろう。声に出して、英文を読んでみよう。イエスの息づかいを感じよう。





VII. The Savior's Vision
救い主のヴィジョン


1. Learning is change. Salvation does not seek to use a means as yet too alien to your thinking to be helpful, nor to make the kinds of change you could not recognize. 

  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • change [tʃéindʒ] : 「変化、変更、移行、交換」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • seek [síːk] : 「探し求める、得ようと努力する」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、手法」
  • as yet : 「今のところは」
  • alien [éiljən] : 「性質の異なる、異質な、縁もゆかりもない」
  • thinking [θíŋkiŋ] : 「考えること、思考、考え、意見、判断」
  • helpful [hélpfəl] : 「役立つ、助けになる、有益な」
  • kind [káind] : 「種類、性質、本質」
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「認める、受け入れる、〜を認識する」

❖ "Learning is ~ "「学ぶとは、変化することである」。学ぶとは、自己変革である。自分を変えていくのだ。自分を実相化、真実化してくことだ。"Salvation does not ~ "「救いは、あなたがまだ役に立つとも思っていない手段を利用しようとしないし、あなたが受け入れることの出来ない種類の変化をもたらそうなどともしない」。救いは、おどろおどろしい魔法をあなたに与えるものでない。学びによる自己変革をしていくあなたに、その時々に応じて適切な手段を与え、少しずつ、あなたに変化を促(うなが)していくのだ。その方法は、ACIMのこの『Text』に続く『Workbook』に詳しく述べられている。



Concepts are needed while perception lasts, and changing concepts is salvation's task. 

  • concept [kάnsept] : 「概念、観念」
  • while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ」
  • last [lǽst] : 「続く、存続する、持続する」
  • task [tǽsk] : 「仕事、職務、役割、目的」

❖ "Concepts are needed ~ "「概念とは、知覚が続く限り、必要とされる」。"and changing ~ "「そして、概念を変化させることが、救いの仕事なのだ」。"while perception lasts"「知覚が続く限り」ということを、少し説明しよう。この二元論幻想世界で物事を把握するとは、感覚器官による知覚を頼りとして得られた情報を、二極分化した概念のマップに当てはめて評価、判断することである。たとえば花を、目という感覚器官で捉えてイメージ情報を得て、二極分化した美と醜の概念マップに当てはめて評価判断し、「ああ、この花はすごく美しい」と知るのである。また、ある人を見て、美醜の判断のほかに、言ったこと、やったことを善悪の二極概念マップに照らし合わせて評価判断し、「あいつは悪いヤツだ」と知るのである。つまり、「知覚が続く限り」とは、この二元論幻想世界に生きて、知覚し判断する限り、という意味である。知覚と概念が組み合わされて、評価判断を下す、というサイクルによって、この世の知が形成されるのだ。
ところが、実相世界は想念の一元論世界であり、知覚は存在しない。物体が存在しないのだから、知覚など不要なのだ。一元論であるから、二極分化した概念のせめぎ合いもない。評価も判断も不要なのだ。そして、知覚がない代わりに、知覚が実相化した叡智(knowledge)が存在する。叡智は知覚することなく、直覚的に、全的に、すべてを瞬時で知る。たとえば、美を直覚した叡智は、美醜の概念マップに照らし合わせて評価判断することなどない。美は、叡智によって直覚されると、喜びと平和と愛を生み出し、静けさの中で拡張増大していくのである。ただそれだけだ。余計なものなど、何一つ発生しない。たとえば、叡智は、幻想世界に住む人間を知覚して、その人間を評価判断することもない。悪も善も、そんな概念の存在しない実相世界の叡智が、善悪の判断を下す分けがないではないか。悪人も善人も、ただ幻想として受け入れ、その幻想を赦してしまうのだ。
世の多くの宗教が、神は、人間の生前の所業を評価判断して、悪人は地獄に、善人は天国へ振り分けると言うが、まったく笑止千万な戯言(たわごと)である。おまけに、最後の審判とやらを持ち出して、世の終わりに、神が人間の善悪を審判するとまで言い出す。これがエゴなのだ。神ではない。神には、善悪などという概念はないし、神は、審判などという言葉すらもってはいない。神は、人間の善悪という幻想を赦し、幻想を消去して、人間を永遠に愛するだけなのだ。これほど単純な道理が、どうして既成宗教にかぶれた者達にはわからないのだろう?
善悪のない実相世界ではあるが、ならば、神に反抗する悪魔は、いったいどんな存在なのか? 一言で言うなら、幻想である。二元論幻想世界に毒された人間の妄想が、善悪の審判を下す神と悪を信奉する悪魔を、想念の中に生み出しただけなのだ。想念は現実化するから、悪魔はこの幻想世界に存在する。幻想としての悪魔が、諸悪を実行して、幻想の神(にせ神)を悩ますのある。光と闇の戦い、善と悪の戦い、神と悪魔の戦い、等々、人間の妄想が、華々しい二元論的戦争を生み出しているだけである。その戦争は、この幻想世界で演じられはするが、実在の実相世界にその戦いが波及することは決してない。幻想は実相世界に侵入することは出来ないのだ。神は、決して幻想しない。神は幻想を赦すのみ、ピリオド。



For it must deal in contrasts, not in truth, which has no opposite and cannot change. 

  • deal in : 「〜を扱う」
  • contrast [kɑ́ntræst] : 「対比、対照、差異、不一致、正反対のもの」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • opposite [άpəzit] : 「正反対のもの、正反対」

❖ "For it must deal ~ "「なぜなら、概念は対立するものを扱うが、真実を扱うことはないからだ」。お分かりだろう、概念は、二極対立の概念として、幻想を扱うのであって、実相の一元論としての真実と係りをもつことは一切ない。"which has no ~ "「その真実は、対立もなければ変化することもない」。実相世界は一元論の世界である。愛はあるが憎悪はない。美はあるが醜はない。愛や美は真実であるが、憎悪や醜は幻想だからだ。真実は対立概念としての虚偽をもたないのだ。対立概念をもたないから、二極分化した概念の力関係による力学的せめぎ合いはない。したがって、真実が変化流動することはないのだ。



In this world's concepts are the guilty "bad"; the "good" are innocent. 

  • guilty [ɡílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • bad [bǽd] : 「悪い、ひどい、偽の」
  • innocent [ínəsənt] : 「無実の、潔白な、純真な、無邪気な」

❖ "In this world's concepts ~ "「この世界の概念では、罪は『悪(あ)しきもの』で、潔白は『良きもの』とされる」。幻想世界にあっては、すべてを二極に色分けするのである。それが、概念の仕事となる。概念も想念の一つであるから、現実化し(正確な意味では、幻想化し)、この世界は対立する二極の概念で構成される。対立は力を生み出し、力が変化を生み出す。しかし、変化流動は、物理学者がエントロピー増大の法則を持ち出すまでもなく、崩壊へ向かう。いわば、力と力の対立は、死をもって安定化するのだ。したがって、『悪(あ)しきもの』も『良きもの』も、最後は平等に『死』を迎える。罪ある者も潔白な者も、最後は平等に死ぬのである。これが、この世の性(さが)である。分離の性(さが)なのだ。



And no one here but holds a concept of himself in which he counts the "good" to pardon him the "bad. "

  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
  • count [káunt] : 「〜と見なす、考慮する」
  • pardon [pάːrdn] : 「許す、赦免する、放免する」

❖ "And no one here ~ "「そして、この世界に住む誰一人として、『良きもの』は『悪(あ)しきもの』を赦すという自己概念を持つことはない」。対立する二つの概念、この世の善と悪を超越して、ともに幻想に過ぎないと達観して、幻想を赦してしまう自分自身を確立する者は、この世界にはいない。



Nor does he trust the "good" in anyone, believing that the "bad" must lurk behind. 

  • trust [trʌ́st] : 「信用する、信頼する」
  • lurk [lə́ːrk] : 「待ち伏せする、隠れて待つ、潜在する」
  • behind [biháind] : 「後に、後ろへ、後ろ側に、背後に」

❖ "Nor does he trust ~ "「また、誰一人、他者の中の『良きもの』を信頼することもない」。"believing that ~ "「背後に、『悪しきもの』が潜んでいるに違いないと信じているからだ」。二元論としての善悪の存在を信じている限り、他者を完全に信頼することは不可能だ。二元論の善悪は幻想なのだと達観し、それを赦すことなくして、本当の信頼はない。幻想から抜け出すための秘密の鍵は、赦しなのだ。



This concept emphasizes treachery, and trust becomes impossible. Nor could it change while you perceive the "bad" in you.

  • emphasize [émfəsàiz] : 「強調する、力説する、際立たせる」
  • treachery [trétʃəri] : 「不信、裏切り、背信、不実」
  • trust [trʌ́st] : 「信頼、信用」
  • impossible [impάsəbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」

❖ "This concept ~ "「こういった概念は、裏切りを際立たせ、信頼は不可能となる」。"Nor could it change ~ "「あなたが、あなたの心の中に『悪しきもの』を知覚している間は、こういった概念が変化する可能性はない」。あなたが、自分の心の中に罪の意識を抱き、自分は『悪しきもの』だと思っているうちは、それは、あなたが幻想の虜(とりこ)になっている証拠であり、二つの対立概念で構成されたあなたの自己概念は、実相化に向けて変化する可能性はない。
 
 
 


T-31.VI.5:-1 ~ T-31.VI.6:10


5. You who believe that you can choose to see the Son of God as you would have him be, forget not that no concept of yourself will stand against the truth of what you are. 

  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • forget [fərɡét] : 「〜を忘れる、〜を思い出せない」
  • concept [kάnsept] : 「概念、観念、考え、意見」
  • stand against : 「〜に立ち向かう、〜に刃向かう、〜に抵抗する」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」

❖ "You who believe ~ "「神の子を、あなたがそうさせたいと思うように見ることを選べると信じているあなたよ、」神の子である自分のイメージを、勝手に自分で選択し、作り上げることが出来ると信じているあなたよ、"forget not that ~ "「あなたの自己概念は、真実のあなたの姿に対立するであろうことを忘れてはいけない」。神の子は神によって創造されたのであるから、永遠不変に真実である。あなたが幻想の中で、その神の子のイメージを変えようとしても、決して真実を変えることはない。あなたの歪んだ自己概念は、ことごとく本当の神の子の姿に対立してしまうのだ。



Undoing truth would be impossible. But concepts are not difficult to change. 

  • undoing [ʌndúiŋ] : 「ほどくこと、解くこと、取り消し」
  • impossible [impάsəbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • difficult [dífikʌ̀lt] : 「困難な、厳しい」
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」

❖ "Undoing truth would ~ "「真実を取り消しにすることなど、不可能なのだ」。"But concepts are ~ "「しかし、概念というものは、変えることが難しくない」。自己概念は、あなたが勝手に幻想するものだから、真実ではなく、したがって、容易に変化し得る。変化させることが出来ると言うよりも、必然的に変化していき、崩壊へと向かうのだ。



One vision, clearly seen, that does not fit the picture as it was perceived before will change the world for eyes that learn to see, because the concept of the self has changed.

  • vision [víʒən] : 「洞察力、想像力、考え方、視覚、視力」
  • clearly [klíərli] : 「はっきりと、明らかに、明瞭に、疑いもなく」
  • seen [síːn] : 「seeの過去分詞形」
  • fit [fít] : 「合う、適合する、調和する、一致する」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する」
  • change [tʃéindʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」

❖ "One vision ~ "「以前、知覚されたような絵柄に合わない、鮮明な一つのヴィジョンは、」"will change the world ~ "「ものの見方を学んだ目にとっては、世界を変えるだろう」。"because the concept ~ "「なぜなら、自己概念が変化したからだ」。あなたは以前、真実の神の子のイメージから外れた自分勝手な自己概念を作り上げ、それを外部に投射して、あなたにぴったりの世界を作り上げた。その世界は苦と痛みと罪に満ちており、あなたは惨めな進化した猿を演じてきた。しかし、あなたは実相的なものの見方を学び、その目をもって世界を見れば、世界は今までとは変わった絵柄に見えてくるのだ。それがヴィジョンであり、あなたの自己概念が変化し、真実の神の子に近づいた証拠なのだ。肉体的な感覚器官による知覚が、実相的なヴィジョンに変化したのである。



5. Are you invulnerable? Then the world is harmless in your sight.  

  • invulnerable [invʌ́lnərəbl] : 「傷つくことのない、不死身の」
  • harmless [hάːrmlis] : 「無害の、安全な、当たり障りのない」
  • sight [sáit] : 「視野、視界、視力、視覚、景色、眺め」

❖ "Are you ~ "「あなたは、傷つき得ないだろうか」。幻想の肉体が傷つけられたとしても、実相の心は決して傷つき得るものではないと実感出来るだろうか。"Then the world ~ "「そうであるなら、あなたの視野には、この世界は無害と映る」。世界が幻想として見えてくるので、幻想に過ぎない夢が、現実のあなたを傷つけることは不可能だと納得出来て、あなたの目に世界は無害なものとして映る。苦も痛みも絶望も罪も、すべては幻想であり、夢であり、決して現実のあなたを傷つけることは出来ないと理解出来るのである。



Do you forgive? Then is the world forgiving, for you have forgiven it its trespasses, and so it looks on you with eyes that see as yours. 

  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • forgiving [fərɡíviŋ] : 「寛大な、寛容な」
  • forgiven [fərɡívn] : 「forgiveの過去分詞」
  • trespass [tréspəs] : 「不法侵入、不法侵害、罪、違反、不正」
  • look on : 「〜を見る」

❖ "Do you ~ "「あなたは、赦せるだろうか」。"Then is the world ~ "「そうであるならば、世界は赦しの世界となる」。"for you have ~ "「なぜなら、あなたは世界の不正を赦したのであり、世界は、あなたの目と同じ目であなたを見るからだ」。あなたが、世界の苦も痛みも絶望も罪も、その不正のすべてを幻想だと見抜いて、その幻想性を受け入れ受け流し、赦すことが出来れば、あなたの世界に対するその見方は世界に向かって投射され、今度は、世界があなたを同じ目で見るようになる。つまり、あなたの罪も痛みも憎悪も怒りも、すべて幻想であり夢なのだと世界が教えてくれるのだ。



Are you a body? So is all the world perceived as treacherous, and out to kill. 

  • treacherous [trétʃərəs] : 「不誠実な、裏切りをする、当てにならない、信頼できない」
  • be out to : 「しきりに〜したがる、〜をしようと躍起になる」
  • kill [kíl] : 「殺す、葬る、始末する」

❖ "Are you ~ "「あなたは、肉体であろうか」。"So is all the world ~ "「そうであるなら、世界のすべてが不誠実で、しきりに殺したがっているように知覚されるだろう」。あなたが、肉体を幻想ではなく実在だと信じている限り、世界の不誠実も裏切りも実在であり、世界はあなたを抹殺しようと常にあなたを脅かす。



Are you a spirit, deathless, and without the promise of corruption and the stain of sin upon you? 

  • spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神」
  • deathless [déθlis] : 「不死の、不滅の」
  • promise [prάmis] : 「約束、契約、約束したこと、約束したもの」
  • corruption [kərʌ́pʃən] : 「堕落、邪悪、腐ること、腐敗」
  • stain [stéin] : 「染み、汚点」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」

❖ "Are you a spirit ~ "「あなたは、スピリットで、不死で、腐敗という約束もなければ、あなたの上に罪という汚点もないだろうか」。罪や死や腐敗、崩壊、恐れ、等々の幻想から解放されて、あなたは不死なるスピリットとして生きているだろうか。あなたは、実相的な自己を確立しただろうか。幻想と癒着した自己概念を脱ぎ捨てることが出来ただろうか。



So the world is seen as stable, fully worthy of your trust; a happy place to rest in for a while, where nothing need be feared, but only loved. 

  • stable [stéibl] : 「しっかりした、安定した、断固とした、不変の」
  • fully [fúlli] : 「十分に、完全に、全く、すっかり、全体に」
  • worthy [wə́ːrði] : 「〜に値する、〜するに足りる」
  • trust [trʌ́st] : 「信頼、信用」
  • place [pléis] : 「場所、個所、地域、土地、広場」
  • rest [rést] : 「休む、休息する、休憩する、休養する」
  • for a while [hwáil] : 「しばらくの間、少しの間」
  • fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖が」

❖ "So the world is ~ "「そうであるなら、世界は安定し、あなたの信頼に十分足るものと見ることが出来る」。幻想世界が安定化し、信頼に足るようになる、という意味ではない。幻想が実相化するわけがない。そうではなく、あなた自身が安定化し、自分を信頼することが出来て、この幻想世界を夢の出来事として安心して見ることが出来る、という意味合いである。もはや世界は、あなたを傷つけることも殺すことも出来ないと理解出来るようになるのである。その意味で、世界は安全であり、信頼出来る、というわけだ。"a happy place to rest ~ "「しばしの間、世界は憩うことが出来る幸せな場所となり、何も恐れるに足るものもなく、愛されるものだけの世界となる」。一言で言えば、あなたは世界という夢を楽しむことが出来るようになるのだ。あたかも、夜見る夢の中で、その夢を楽しむようなものだ。"for a while"「しばらくの間」とあるが、「幻想世界が完全に消滅するまでの少しの間」「あなたが天の王国に回帰するまでのしばらくの間」「あなたが肉体を抜けるまでの少しの間」等々、と解釈していいだろう。



Who is unwelcome to the kind in heart? And what could hurt the truly innocent?

  • unwelcome [ʌnwélkəm] : 「歓迎されない、快く受け入れられない」
  • kind [káind] : 「思いやりのある、いたわりの、優しい、親切な」
  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
  • truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に」
  • innocent [ínəsənt] : 「無実の、潔白な、率直な、純真な、無邪気な」

❖ "Who is unwelcome ~ "「心優しい者にとって、誰が歓迎出来ないだろうか」。夢を夢として楽しんでいる心の充実した者は、夢の登場人物のすべてを、夢の立役者としてすべて歓迎し、受け入れるだろう。"And what could ~ "「そして、いったい何が、本当に潔白な者を傷つけ得るだろうか」。夢を楽しんでいる心は実相的に潔白である。罪のかけらもない。そんな心を、夢の中の何が傷つけることが出来るだろう。もはや心は、この幻想世界から解放されたのだ。幻想に捕われているからこそ、罪ありと断罪されて傷つけられるのであって、幻想から抜け出したなら、罪もなければ、断罪もされ得ない。傷つけられることもないのだ。ただただ、夢を楽しめばいい。
 
 
 



T-31.VI.3:1 ~ T-31.VI.4:8


3. Salvation does not ask that you behold the spirit and perceive the body not. It merely asks that this should be your choice. 

  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」

❖ "Salvation does not ~ "「救いは、あなたに、スピリットを注視し、肉体は知覚するな、などと頼んではいない」。「救い」が主語になって表現されているが、むしろ、救いに導くホーリー・スピリットは〜、と解釈した方が通りはいい。実相世界には強制という概念はない。ホーリー・スピリットはあなたに、強制もしなければ命令もしない。何にもまして、あなたの意思、自主性を重んずる。"It merely asks that ~ "「救いは、ただ単に、スピリットを見るか肉体を見るかは、あなたの選択に任せているのだ」。もっとも、あなたが肉体を見ることを選択すれば、救いは遠のき、スピリットを見ることを選択すれば、救いは近づく。ただし、ホーリー・スピリットは、その選択をあなたの自由意思に任せているのだ。
ところで、救いとは、この世界の幻想性からの解放のことである。幻想に過ぎない肉体だけを実在と信じて見ている限り、幻想性からの解放、救いはない。実相として実在するスピリットを自由意思で選択することで、幻想からの救いは実現するのである。



For you can see the body without help, but do not understand how to behold a world apart from it. 

  • without help : 「助けなしに、手を借りずに」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
  • apart from : 「〜から離れて」

❖ "For you can see ~ "「なぜなら、あなたは、何の助けがなくても肉体を見ることが出来るが、」"but do not understand ~ "「肉体から離れた世界を見るためにはどうしたらいいか、あなたは理解出来ないからだ」。あなたが肉体を見ることを選択したなら、ホーリー・スピリットは、そのための助けを何もあなたに与えることはない。なぜなら、助けがなくても、あなたはちゃんと肉体を見ることが出来るからだ。しかし、あなたがスピリットを見ることを選択したなら、肉体を含めたこの物質世界を離れた精神世界(実相世界)を見る方法をあなたは知らないので、ホーリー・スピリットはあなたに助けを与えてくれるのである。



It is your world salvation will undo, and let you see another world your eyes could never find. 

  • undo [ʌndú] : 「元へ戻す、取り消す」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
  • find [fáind] : 「発見する、見いだす、見つける、探し出す、気付く」

❖ "It is your world ~ "「救いが取り消しにするのは、あなたの世界である」。あなたが生きていると信じるこの幻想世界を消滅させるのが救いである。救いは、幻想を取り消しにするのだ。"and let you see ~ "「そして救いは、あなたの目が決して見つけることの出来なかった別の世界を、あなたに見せてくれるのである」。肉体的な感覚器官では、実相世界、精神世界は見えてこない。幻想しか捉えることは出来ないのだ。しかし、救いによって幻想が消滅すれば、あなたの眼前に、実在する実相世界、精神世界が展開することになる。



Be not concerned how this could ever be. You do not understand how what you see arose to meet your sight. For if you did, it would be gone. 

  • concerned [kənsə́ːrnd] : 「心配している、気遣っている、憂慮している」
  • arose [əróuz] : 「ariseの過去形」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる、発生する」
  • sight [sáit] : 「視野、視界、景色、眺め、視力、視覚」
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「goの過去分詞形」

❖ "Be not concerned ~ "「こんなことがどうやって可能なのか、気遣う必要はない」。それは、ホーリー・スピリットの仕事である。あなたは、ホーリー・スピリットに任せておけばいい。"You do not understand ~ "「あなたは、あなたが見ているものが、どうやって、あなたの視野になっているのか、理解していない」。あなたは、目によって知覚したものが視野となって目の前に見えていると理解しているだろうが、それは誤りだ。あなたは、見たいと思うもののイメージを外部に投射して、何もないところに幻想を見ているに過ぎない。心が錯覚を生み出しているに過ぎないのだ。色即是空、空即是色である。しかし、今のあなたには、それが理解出来ない。だから、目に見えるものが、実在する現実だと信じているのだ。"For if you did ~ "「なぜなら、もしあなたが理解出来ているとすれば、世界は消滅するだろう」。見ているものが幻想だと理解出来れば、そして、幻想を実相的に赦すことが出来れば、幻想は消滅し、世界も、あなたの目の前から消滅してしまう。この世界が、あなたの目の前に実在として見えている限り、あなたは、世界の幻想性、それを生み出してる知覚の錯覚、錯覚を生み出している心の想念の力を理解してはいない。



The veil of ignorance is drawn across the evil and the good, and must be passed that both may disappear, so that perception finds no hiding place. 

  • veil [véil] : 「覆い隠すもの、ベール」
  • ignorance [íɡnərəns] : 「無知、無教育、知らないこと、無学」
  • drawn [drɔ́ːn] : 「drawの過去分詞形」
  • draw [drɔ́ː] : 「〜を引く、引き込む」
  • across [əkrɑ́s] : 「〜にわたって、〜の全域で、〜を横切って、〜を横断して」
  • evil [íːvəl] : 「悪、不正、不道徳」
  • pass [pǽs] : 「通り越す、通る、通り過ぎる、通過する」
  • disappear [dìsəpíər] : 「姿を消す、存在しなくなる、なくなる、消滅する」
  • so that : 「〜するために、それで、その結果、それゆえ」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
  • hiding place : 「隠れ場所、隠し場所、隠れ家」

❖ "The veil of ignorance ~ "「無知のベールは、悪しきものと良きものに渡って、(すべてを)覆い隠している」。"and must be passed ~ "「善悪の両者が消滅するには、この無知のベールを越えなくてはならない」。"so that perception ~ "「その結果、知覚は、隠しておける場所を見失うのだ」。善と悪に象徴されるように、この幻想世界は相反する対極概念で構成された二元論世界である。だから、真実が見えてこないのだ。ここに、無知の原因がある。何が真実で、何が虚偽か、わからない状態に置かれているのだ。もし、無知のベールを飛び越えることが出来たなら、幻想世界は消滅し、二元論の善悪などという概念は消え去ってしまうのである(both may disappear)。その結果、真実だけが露見し、虚偽を隠しておけるような場所など存在しなくなる(no hiding place)。もはや知覚は、二元論世界を構成していた対極概念を曖昧なままに覆い隠すことは出来ない。むしろ、知覚それ自体が知覚を超越して、叡智(knowledge)に生まれ変わるのだ。無知が存在出来るのはこの幻想世界だけであって、実相世界には叡智だけが存在する。



How is this done? It is not done at all. What could there be within the universe that God created that must still be done?

  • done [dʌ́n] : 「doの過去分詞」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
  • universe [júːnəvə̀ːrs] : 「宇宙、万物、森羅万象、全世界」
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、〜を創り出す」

❖ "How is this ~ "「どうすれば、こうしたことが成し遂げられるか」。"It is not done ~ "「それは、まったく、成し遂げるというものではない」。新たに、一元論実相世界を創造する必要などない。今見ている二元論の夢から覚めてしまえばいいだけの話しである。"What could there ~ "「神が創造した宇宙の中にあって、いったい、成し遂げられなくてはならない何が存在出来ようか」。下手な訳で申し訳ない。完全完璧な神が完全完璧な実相世界を創造したのだから、あなたには、それに加えて、新たな創造を成し遂げなければならないことなど何もない。神の創造した実相世界、天の王国に、ただ目覚めるだけでいいのである。



4. Only in arrogance could you conceive that you must make the way to Heaven plain. 

  • arrogance [ǽrəɡəns] : 「尊大、横柄、傲慢」
  • conceive [kənsíːv] : 「心に描く、思い付く、着想する、〜と考える」
  • plain [pléin] : 「平易な、明らかな、明白な、質素な、簡素な」

❖ "Only in arrogance ~ "「傲慢さにおいてだけ、あなたは、天の王国に至る道を平易なものにしなくてはならないと考えてしまうのだ」。たとえば、中世のキリスト教にあっては、免罪符が罪を帳消しに、天国へ昇れる通行手形としたわけで、今日の既成宗教においても、すべてとは言わないが、同様な、怪しげな説が唱えられている。すべて、多額な金額がからんでくる詐欺である。また、宗教に限らず、怪しげな哲学や政治や思想もまた、地上に天国を作ろうなどと、思い上がった構想をひねり出す。かつての共産思想を思い出すまでもない。理性の傲慢である。



The means are given you by which to see the world that will replace the one you made. 

  • means [míːnz] : 「手段、方法、手法」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • replace [ripléis] : 「〜を取り替える、〜を交換する、〜を置換する」

❖ "The means are given ~ "「あなたの作った世界を置き換えてしまう世界を目にするための方法は、すでにあなたに与えられている」。新たに天の王国を作り出す必要も、そこに至る道を新たに作り出す必要もない。実相世界はすでに存在しており、そこに至る道も、ホーリー・スピリット、あるいはキリストによって示されるのだ。あなたの役割は、あなたの意思によって、それを選択するだけである。これよりも平易なことがあろうか。



Your will be done! In Heaven as on earth this is forever true. 

  • will [wíl] : 「意志、願望、意欲」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」

❖ "Your will be ~ "ここは、"Your will should be done!"と考えて、「あなたの意思は成就するに違いない」。実相世界に目覚めることを、あなたの意思で選択すれば、それは、必ず成就する。"In Heaven as ~ "「天の王国においても、地上と同様に、これは永遠に真実である」。あなたの意思は、天の王国にあっても、この幻想世界にあっても、必ず成就する。真実である想念は、必ず現実化するのだ。



It matters not where you believe you are, nor what you think the truth about yourself must really be. 

  • matter [mǽtər] : 「重要である、問題である」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に、真に」

❖ "It matters not where ~ "「あなたがどこにいると信じていようが、あなた自身についての真実が実際何であると考えようが、それは、問題ではない」。重要なのは、あなたが、あなたの自由意思をもって真実を選択することである。真実の実現を想念することである。今あなたが、この地上世界にあって、自分は肉体的存在だと信じていても、それはかまわない。真実を意思する自由な選択が重要なのだ。簡単に言えば、ホーリー・スピリットを選択する意思が重要なのである。



It makes no difference what you look upon, nor what you choose to feel or think or wish. 

  • difference [dífərəns] : 「相違、相違点、異なる部分、特異点」
  • make no difference : 「違いがない」
  • look upon : 「〜を見る」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • feel [fíːl] : 「感じがする、感じる」
  • wish [wíʃ] : 「望む、願う、祈る」

❖ "It makes no difference ~ "「あなたが目にしているものが何であれ、あなたが何を感じとろうとしているか、何を思い、何を希望しているか、そこにはまったく違いは生じない」。極端な話し、あなたがどんな虚偽の中にいたとしても、今、あなたが真実を自由意思をもって選択することが重要なのであって、夢の中のあなたの姿など、結果に違いを生じさせる類(たぐ)いのものではない。



For God Himself has said, "Your will be done. " And it is done to you accordingly.

  • accordingly [əkɔ́ːrdiŋli] : 「それ故に、従って、それに応じて」

❖ "For God Himself ~ "「なぜなら、神自らが、『あなたの意思は成就する』と言ったからだ」。神は真実以外を知らない。真実以外の発言をすることもない。神が『あなたの意思は成就する』と言ったのなら、必ず、そうなるのだ。お望みなら、これは神の法だと考えていいだろう。"And it is done ~ "「そして、それに応じて、あなたの意思はあなたに対して成就するのだ」。あなたが、実相世界の真実に目覚めたいと、自由意思をもってそれを選択すれば、それは、必ず、意思通りに成就するのである。それが、神の法である。神の約束と思ってもいい。神もまた、あなたの意思の実現を願っているからだ。
 
 
 


T-31.VI.1:1 ~ T-31.VI.2:7



VI. Recognizing the Spirit
スピリットの受け入れ
 
 

1. You see the flesh or recognize the spirit. There is no compromise between the two. 

  • flesh [fléʃ] : 「肉、人間、人類」
  • spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神」
  • compromise [kάmprəmàiz] : 「譲歩、妥協、歩み寄り、和解」
  • between [bitwíːn] : 「〜の間に」

❖ "You see the flesh ~ "「あなたは、肉体を見るか、スピリットを見るか、どちらかである」。あなたは、自分が実在の肉体をもった物質的存在と見るか、実在するスピリットをもった精神的存在とみるか、二つに一つである。"There is no ~ "「この二つの間に妥協はない」。心身二元論はこの世の常識になっているが、真実ではない。つまり、肉体に心が宿るという見方は虚偽である。幻想に実相が宿る道理はない。



If one is real the other must be false, for what is real denies its opposite. 

  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • false [fɔ́ːls] : 「うその、虚偽の、正しくない、誤った」
  • deny [dinái] : 「否定する拒否する、拒絶する」
  • opposite [άpəzit] : 「反対、逆の物、反対の物」

❖ "If one is real ~ "「もし、一方が現実(実在)なら、他方は虚偽(非実在)である」。"for what is ~ "「なぜなら、現実であるものは、現実とは反対のものを否定するからだ」。肉体が現実的な実在なら、心は非実在であって、それは頭脳が作り上げた単なる理性に過ぎないことになる。スピリット(心)が現実的実在なら、肉体は非実在であって、それは心が作り出した幻想に過ぎない。



There is no choice in vision but this one. What you decide in this determines all you see and think is real and hold as true. 

  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • vision [víʒən] : 「先見、先見の明、洞察力、想像力、考え方」
  • decide [disáid] : 「決定する、決心する、決意する」
  • determine [ditə́ːrmin] : 「決定する」
  • hold [hóuld] : 「心に抱く、維持する、保持する」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」

❖ "There is no choice ~ "「ものの(存在の)見方においては、こういう見方以外に選択の余地はない」。肉体と心は二律背反であって、肉体と心を同時に現実的実在として選択することは出来ない。"What you decide ~ "「この決定に際して、あなたが見たり考えたりするものを決定したものが現実となり、それを真実だとして心に抱く」。あなたが肉体を選択したなら、あなたの現実は肉体的な現実となり、肉体は真実であって、心は幻想となる。逆に、あなたが心を選択したなら、心はあなたの現実となり、肉体は幻想となる。誤解してはいけないのは、あなたの選択によって真実が決まる、という意味ではない。真実はどちらか一方であって、もし虚偽なるものを選択したとしたら、その虚偽があなたの現実となって、虚偽を生きることになる、ということなのだ。



On this one choice does all your world depend, for here have you established what you are, as flesh or spirit in your own belief. 

  • depend [dipénd] : 「〜によって決まる、左右される」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、制定する、成立させる」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」

❖ "On this one choice ~ "「あなたの世界は、この一つを選択するということに依存している」。あなたが肉体を選択したなら、虚偽なるこの幻想世界があなたの現実となって、幻想を生きることとなり、心(スピリット)を選択したなら、まだ見ぬ実相世界があなたの現実となって、実相があなたの目の前に立ち現れる。"for here have ~ "「なぜなら、選択した世界において、あなたは、自分が何であるか確立するからである」。"as flesh or spirit ~ "「つまり、あなた自身の信念として、肉体かスピリットか、(そのどちらかを自分自身だと)確立するからだ」。あなたが幻想を選択するか実相を選択するかによって、あなたは幻想世界に生きるか実相世界に生きるかが決定し、幻想世界に生きるなら、あなたは肉体として、実相世界に生きるならスピリットとして、あなたは自己を確立する。



If you choose flesh, you never will escape the body as your own reality, for you have chosen that you want it so. 

  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • escape [iskéip] : 「〜から逃げる、ずらかる、脱出する」
  • reality [riǽləti] : 「現実性、実在性」
  • chosen [tʃóuzn] : 「chooseの過去分詞形」

❖ "If you choose flesh ~ "「もしあなたが、肉体を選択したなら、あなたの現実としての肉体から逃れることは決して出来ない」。幻想の肉体を現実と信じて生きるのだから、その現実から逃れることは出来ず、肉体の死をもって生を完結することになる。"for you have chosen ~ "「なぜなら、あなたはそうあって欲しいと選択してしまったからだ」。あなたは肉体が現実であって欲しいと想念したのだから、その想念が現実化して、あなたは肉体の現実を生き、そして、肉体として死んでいくのである。肉体から逃れることなど思いもよらず、したがって、死から逃れることも出来ない。そのように、あなたが願ったからだ。



But choose the spirit, and all Heaven bends to touch your eyes and bless your holy sight, that you may see the world of flesh no more except to heal and comfort and to bless.

  • bend [bénd] : 「曲がる、カーブする、たわむ」
  • touch [tʌ́tʃ] : 「〜に触る、触る」
  • bless [blés] : 「〜を神聖にする、〜を祝福する、〜を賛美する、あがめる」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • sight [sáit] : 「視力、視覚、見る能力、視野、視界、景色、眺め」
  • no more : 「もはや〜しない」
  • heal [híːl] : 「癒やす、救う、治す、治癒する」
  • comfort [kʌ́mfərt] : 「慰める、安心させる、楽にする」

❖ "But choose the spirit ~ "「しかし、スピリットを選択したなら、天の王国のすべてが、身をかがめてあなたの目に触れ、あなたが目にする神聖な光景を祝福するのだ」。あなたが実相のスピリットを選択したなら、あたかも目に触れんばかりに、あなたの目の前に天の王国のすべての実在が展開し、神聖な光景を見ることの出来たあなたを祝福してくれるだろう。"that you may see ~ "「その結果、あなたは、肉体の世界を、癒したり慰めたり祝福したりする以外のものとして、見ることはもうなくなるだろう」。肉体の幻想世界を幻想として見ることはあっても、現実の実在として見ることはなくなるのだ。「癒したり慰めたり祝福したりする以外のものとして」とあるが、いわば、あなたが娯楽で映画を見るような感覚で、この世界を眺めるようになる、という意味合い。実相的な、本物の癒しや慰めや祝福とは異なることに注意すべき。



2. Salvation is undoing. If you choose to see the body, you behold a world of separation, unrelated things, and happenings that make no sense at all. 

  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • undoing [ʌndúiŋ] : 「ほどくこと、解くこと、取り消し」
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • unrelated [ʌnriléitid] : 「関係のない、無関係の」
  • happening [hǽpniŋ] : 「出来事、事件」
  • make no sense : 「意味をなさない、理にかなわない」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」

❖ "Salvation is ~ "「救いは、取り消し作業である」。実在の現実だと思っている幻想を取り消す作業が救い。つまり、幻想からの救いである。"If you choose ~ "「もしあなたが、肉体を見ることを選択したなら、あなたは、分離や、関係性のない物事、まったく意味のない出来事などで出来上がった世界を目撃することになる」。まさに、二元論幻想世界を目撃することになる。そもそも、この世界は、神からの分離を象徴して、神の子が心の外部に投射して作った幻想なのだ。



This one appears and disappears in death; that one is doomed to suffering and loss. 

  • appear [əpíər] : 「現れる、出現する、登場する」
  • disappear [dìsəpíər] : 「存在しなくなる、なくなる、消滅する、消失する」
  • death [déθ] : 「死、死亡、破滅、消滅」
  • doom [dúːm] : 「運命づける」
  • suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しみ、苦痛、悩み」
  • loss [lɔ́s] : 「失うこと、喪失、紛失」

❖ "This one appears ~ "「この世界の肉体は、現れたかと思うと死によって消え去る」。"that one is doomed ~ "「また肉体は、苦しみ、失うように運命づけられている」。幻想の特質は、変化流動性である。二元論世界の必然であって、対立する二つの概念が、その力をせめぎ合って力学的に変化していくのだ。肉体も、生と死の力のせめぎ合いによって老いて死に至る。変化流動は、崩壊と死に向かうのである。そこに、苦と痛みと喪失のドラマが展開する。



And no one is exactly as he was an instant previous, nor will he be the same as he is now an instant hence. 

  • exactly [iɡzǽktli] : 「正確に、厳密に、ぴったり、きっちり」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • previous [príːviəs] : 「前の、以前の」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
  • hence [héns] : 「今から、今から先、今後」

❖ "And no one is ~ "「誰一人として、一瞬前の彼、そのままではない」。"nor will he be ~ "「また、今の一瞬が過ぎれば、彼は今の彼と同一ではない」。変化とは、時間と空間の関数である。この幻想世界が、時間と空間に支配されている限り、変化流動は尽きることなく続く。対して、実相世界は、無時間、無空間の世界であり、したがって、永遠不変の世界である。無時間、無空間と言うと、そんなものが存在するわけがないと反論されそうだが、そうではない。時間の関数を積分変換することで、時間のない関数を作り出し、それをまた逆変換してやることで、時間のない関数から時間の関数を作り出せるように、実相世界は、いわば、時間と空間をその内部に畳み込んでいると考えればいいだろう。ちょうど、ホログラムのように、余分な次元を畳み込んで内部に保持し、必要とあれば、それを再生するようなものなのだ。



Who could have trust where so much change is seen, for who is worthy if he be but dust? Salvation is undoing of all this. 

  • trust [trʌ́st] : 「信用する、信頼する」
  • so much : 「それほどたくさんの」
  • change [tʃéindʒ] : 「変化、変更、移行、交換」
  • seen [síːn] : 「seeの過去分詞形」
  • worthy [wə́ːrði] : 「尊敬すべき、立派な、価値ある」
  • dust [dʌ́st] : 「ちり、ほこり、遺骸、亡骸」

❖ "Who could have trust ~ "「いったい誰が、それほど多くの変化が見て取れる世界を信用出来るだろうか」。"for who is worthy ~ "「なぜなら、いったい誰が、塵(ちり)にも等しいものであるなら、価値などあるだろうか」。変化流動し、崩壊と死に向かい、ついには塵となって地に埋もれてしまう肉体など、価値もなければ信頼さえ出来まい。"Salvation is undoing ~ "「救いは、そのすべてを取り消しにしてくれるのだ」。変化流動も、崩壊も死も、すべて幻想であると認識して、その幻想性を消滅させることが、救いの目的である。もちろん死も、救いによって消滅する。死は幻想に過ぎないからだ。



For constancy arises in the sight of those whose eyes salvation has released from looking at the cost of keeping guilt, because they chose to let it go instead.

  • constancy [kάnstənsi] : 「不変性、恒常性」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる、発生する」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする」
  • cost [kɔ́st] : 「犠牲、代償、損失」
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • instead [instéd] : 「代わりに、それよりむしろ、そうしないで」

❖ "For constancy arises ~ "「なぜなら、不変性が、〜の視野に立ち上がってくるからだ」。"those whose eyes ~ "「救いが、罪の意識を保持する代償を見てばかりいたことから解放してやった目の持ち主」の視野に立ち上がってくるからだ。"because they chose ~ "「なぜなら、彼らは、救いを得る代わりに罪の意識を保持する代償を放棄しすることを選んだからだ」。あなたは肉体を選択し、変化流動する幻想世界に生きて、その代償として苦と痛みと罪の意識に苦しみ、死を受け入れることにしたのだが、その無意味さに気付いて、幻想を放棄する選択をし、救いを受け入れたなら、救いはすべての幻想を取り消しにしてくれ、あなたの眼前に、不変性をもつ実相世界が立ち上がってくる。
 
 
 


T-31.V.17:1 ~ T-31.V.17:9



17. The world can teach no images of you unless you want to learn them. 

  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する」

❖ "The world can ~ "「あなたが、(世界から)あなたのイメージについて学ぼうと願わない限り、世界はあなたに、あなたのどんなイメージも教えることは出来ない」。あなたの心は、あなたの望みを世界に投射して世界を形成し、その世界に迎合するような自己概念を作っている。したがって、世界のイメージとあなたのイメージは重なっているのだ。もしあなたが、世界に迎合するような自己イメージをその世界から学ぼうと願わないなら、世界とあなたの慣れ合い的な関係性は断たれて、世界はあなたに、あなたのイメージはこうあるべきだなどと、厚かましい教えを強いることは出来なくなる。簡単に言えば、あなたが世界の幻想性気付けば、世界はあなたに幻想を強いることは出来なくなるのである。ここで言う"images"「イメージ」とは、この世での仮の姿、幻想のことである。



There will come a time when images have all gone by, and you will see you know not what you are. 

  • go by : 「過ぎる、経過する」

❖ "There will come ~ "「イメージがすべて消えてしまう時がやって来るだろう」。"and you will see ~ "意訳する、「そして、あなたは、本当ではないあなたを生きてきたと知ることになろう」。あなたが、世界はあなたの心の投射によって作られているのだと知り、そんな幻想の世界に迎合するような形の、偽りの自分を形成する学びを放棄しようと思ったなら、あなたの偽りのイメージはやがて消滅してしまう。そういう時が、必ずやって来る。その時、あなたは、夢の中にあって偽りの自分を演じ続けてきたのだと、知るのである。



It is to this unsealed and open mind that truth returns, unhindered and unbound. 

  • unsealed [ʌnsíːld] : 「封印されていない」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • return [ritə́ːrn] : 「戻る、帰る、返還する」
  • unhindered [ʌnhíndərd] : 「妨げられていない」
  • unbound [ʌnbáund] : 「束縛されていない、束縛から解放された」
❖ "It is to this unsealed ~ "「真実が戻ってくる心とは、このような閉ざされずに開かれた心なのだ」。"unhindered and ~ "「妨げられることもなく、束縛もされていない心なのである」。幻想にがんじがらめになっていない心にこそ、真実は回帰する。あなたが、実相の真実に目覚めるには、世界の幻想性に束縛されない自由な心が必要である。逆に、あなたが幻想から解放された時、実相世界の真実があなたの心に流れ込んでくる。



Where concepts of the self have been laid by is truth revealed exactly as it is. 

  • concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念」
  • laid [léid] : 「layの過去・過去分詞形」
  • lay by : 「蓄える、貯蔵する、貯蓄する」
  • reveal [rivíːl] : 「明らかにする、暴露する、見せる、公開する」
  • exactly [iɡzǽktli] : 「正確に、厳密に、ぴったり、きっちり」

❖ "Where concepts of ~ "「自己概念が蓄えられていた場所に、真実が有りのままに見えてくるのだ」。幻想の自己概念を蓄えているのは、あなたの心である。その同じ心に、幻想に代わって、真実がありのままに流れ込んでくる。あなたの心の大半はエゴによって支配されており、エゴが強いる幻想に束縛されたあなたの心が、世界に迎合する自己概念を形成しいる。そのエゴの支配から心が解放されれば、あなたの心に実相の真実が流れ込んでくるのだ。幻想が消滅し、実相が有りのままに、あなたの目の前に現れてくるのである。



When every concept has been raised to doubt and question, and been recognized as made on no assumptions that would stand the light, then is the truth left free to enter in its sanctuary, clean and free of guilt. 

  • raise [réiz] : 「引き起こす、提起する、取り上げる、惹起する、もたらす」
  • doubt [dáut] : 「〜を疑う、〜を疑問に思う」
  • question [kwéstʃən] : 「〜を疑問に思う、〜を問題にする」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、認める、受け入れる」
  • assumption [əsʌ́mpʃən] : 「仮定、前提」
  • stand [stǽnd] : 「持ちこたえる、対抗する」
  • left [léft] : 「leaveの過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、ある状態のままにしておく」
  • enter [énter] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • sanctuary [sǽŋktʃuèri] : 「聖域、神聖な場所」
  • clean [klíːn] : 「汚れていない、清潔な、きれいな」
  • guilt [ɡílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」

❖ "When every concept ~ "「すべての自己概念を疑い、疑問にさらす時、」"and been recognized  ~ "「そして、すべての自己概念は、(真実の)光に対抗し得る仮定の上に作られたものではないと認識した時、」"then is the truth ~ "「その時こそ、真実は、汚れのない、罪のかけらもない聖域に自由に入って来れる状態になるのだ」。ひょっとしたら、自分の自己概念は、幻想の世界に迎合するように形成した幻想の概念に過ぎないのではないかと疑問に思う時、そして、実相的な真実の光の下に自己概念をさらせば、自己概念を形成した基礎である仮定、つまり、世界は実在し、自分もまた実在するとした仮定の虚偽性が暴(あばか)れるに違いないと認識する時、汚れのない潔癖な心の聖域に、実相的な真実が自由に流れ込んでくるのである。



There is no statement that the world is more afraid to hear than this:

  • statement [stéitmənt] : 「発言、意見、供述、発言すること」
  • be afraid [əfréid] to do : 「〜するのを怖がる、怖がって〜しない」

❖ "There is no statement ~ "「次の言葉以上に、世界が耳にするのも恐ろしいと思っている宣言はない」。世界が耳にするとは、つまり、エゴが耳にする、ということ。世界やエゴの幻想性が暴れる宣言を、エゴは最も恐れているのだ。幻想性が暴れて、幻想が赦されれば、幻想は消滅し、エゴも消滅してしまうからだ。



I do not know the thing I am,
and therefore do not 
know what I am doing,
where I am,or how to look 
upon the world or on myself.


Yet in this learning is salvation born.
And What you are will tell you of Itself.

  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って」
  • look upon : 「〜を見る」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • be born [bɔ́ːrn] : 「生まれる、誕生する、産声を上げる」

❖ "I do not know ~ "「私は、私が何であるかわからないし、」"and therefore ~ "「したがって、何をしているのかも、どこにいるのかも、世界や私自身をどう見たらいいのかもわからない」。"Yet in this learning ~ "「しかし、この学びの中にこそ、救いは生まれる」。"And What you ~ "「そして、本当のあなたが、あなたにそれ自身を語るだろう」。ずっと自分は闇の幻想世界の中を彷徨(さまよ)い続け、自分が誰であるか、何をしているか、どこにいるのか、世界や自分をどう認識していいのか、まったくわからなかった。自分はずっと、幻想の偶像であるエゴの支配下にあった。しかし、今、このACIMの導く学びを知って、その中にこそ、幻想世界からの解放、救いがあると知った。そして、本当の自分であるところのもの、つまり、ホーリー・スピリットこそが、自分に、本当の自分ということを知らしめてくれるのだろう。
 
 
 



T-31.V.15:1 ~ T-31.V.16:7


15. Seek not your Self in symbols. There can be no concept that can stand for what you are. 

  • seek [síːk] : 「見つけようとする、探し求める」
  • symbol [símbl] : 「象徴、シンボル」
  • concept [kάnsept] : 「概念、観念」
  • stand for : 「〜を表す」

❖ "Seek not your ~ "「象徴の中に、あなた自身を見出そうとしてはいけない」。"There can be no ~ "「本当のあなた自身を語ることの出来る概念は存在出来ないからだ」。"in symbols"「象徴の中に」とは、「この現象界の中に、この幻想世界の中に」という意味。対立する概念で構成された二元論現象世界の概念の中に、本当の自分自身を言い当てる概念を見出そうとしてはいけない。二元論は幻想であり、本当のあなた自身、実相のあなた自身、一元論的真実のあなた自身は、二元論現象世界の概念に当てはまり得ないからだ。神の子としての実相的あなた自身は、この世界のどんな象徴をもってしても表現出来るものではない。たとえば、この弱肉強食の世界にあって、常に戦い、努力し、勝利を勝ち得る自分こそが真実の自分自身であると思うかも知れないが、ホーリー・スピリットの思考システムに照らして見れば、それは、夢の中で必死に走り続ける哀れなネズミに等しい。
ACIMは、この世の努力を否定しているのではない。無意味な努力を哀れんでいるだけだ。もちろん、哀れみに留まることはない。そこで、東洋思想的な『無為自然』という生き方や、『知足』という生き方が発想されてくるのである。夢の世界の狂騒に巻き込まれることなく、心静かに世を眺めてやり過ごす生き方である。しかし、ACIMは、『無為自然』や『知足』に留まることもない。そこを超越して、絶対的な実相世界への開眼へとあなたを導く。



What matters it which concept you accept while you perceive a self that interacts with evil, and reacts to wicked things? 

  • matter [mǽtər] : 「重要である、大きな違いがある」
  • accept [æksépt] : 「引き受ける、受諾する、承認する、認める」
  • while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、〜なのに」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • interact [intəːrǽkt] with : 「〜と関係を持つ、〜と相互に作用する、〜と接触する」
  • evil [íːvəl] : 「悪、不正、悪の源、邪心」
  • react [riǽkt] to : 「〜に反応する」
  • wicked [wíkid] : 「ひどく悪い、不道徳な、意地が悪い」

❖ "What matters it ~ "「あなたが、邪悪さと関係したり、悪いものに反応したりする自分を知覚するうちは、どんな自己概念をあなたが受け入れても、そこにどんな違いが生じるであろうか」。ここの"evil"とか"wicked things"は、この世界の基準での悪を意味するのではなく、実相的視点から見たときの意味のないもの、と捉えればいいだろう。つまり、幻想としての、諸々の象徴(symbols)である。あなたが、幻想に過ぎない意味ない象徴に自己を見出そうとしているうちは、あなたが何を選ぼうと、大きな違いは生じてこない、という意味である。たとえば、金儲けに狂おうが、肉欲に狂おうが、権力に狂おうが、すべては意味のない自己概念の狂騒であって、どれをとっても違いはない。そんなものと関わりを持ちたいと思っているうちは、本当の自分自身に出会えるチャンスはない。



Your concept of yourself will still remain quite meaningless. And you will not perceive that you can interact but with yourself. 

  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
  • quite [kwáit] : 「すっかり、全く、完全に、とても、非常に」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味が分からない、無意味な」

❖ そんなものと関わりを持ちたいと思っているうちは、"Your concept of yourself ~ "「あなたの自己概念は、まったく意味のないもののままである」。幻想に振り回されているだけだから、実相的意味などないのだ。"And you will not ~ "「あなたが、関わりをもつことが出来きるのはあなた自身しかいないと知ることもない」。あなたは、あなた自身の心を世界に投射して、この世界を幻想として形作っているのだから、世界と関わりをもつということは、実は、自分自身と関わりをもつことを意味するのだ。あなたは世界を見ているのではない、あなた自身の心の有り様を見ているだけなのだ。そういう、あなたと世界との関係性に気付くこともない。



To see a guilty world is but the sign your learning has been guided by the world, and you behold it as you see yourself. 

  • guilty [ɡílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • sign [sáin] : 「象徴、シンボル、しるし、証拠、兆し、兆候」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • guide [gáid] : 「〜を導く、案内する」
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」

❖ "To see a guilty world ~ "「罪ある世界にばかり目を向けているということは、〜という印(しるし)以外の何ものでもない」。"your learning has ~ "「あなたの学びは世界によって主導され、あなたが自分を見るように世界を見ている」という印(しるし)以外の何ものでもない。あなたの心が世界を投射によって生み出しているのだから、逆に、投射された世界に目を奪われているうちは、世界があなたの心を支配していることになる。あなたは幻想を生み出し、その幻想に騙されているわけだ。



The concept of the self embraces all you look upon, and nothing is outside of this perception. 

  • embrace [imbréis] : 「囲む、取り巻く、包含する、受け入れる、採用する」
  • look upon : 「〜を見る」
  • outside [áutsáid] : 「〜の外の、〜の外側に」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」

❖ "The concept of ~ "「自己概念は、あなたの目にするものすべてを抱きかかえており、この知覚の外には何もない」。あなたが目にする幻想の世界のすべては、あなたの自己概念が生み出したものであって、あなたの自己概念が目にする世界を包含している。その知覚し得る物質、現象以外の、つまり、幻想以外の存在に、あなたは気付いていないのだから、あなたは、幻想世界の外には何もないと思っている。すべては世界であり、すべては世界と共存する自分自身だと思っている。簡単に言えば、夢を見ているとき、夢の世界がすべてであり、そこに登場する自分だけがすべてだと信じているようなものなのだ。夢から目覚めた自分の存在、本当の自分の実在に気付きもしない。夢見るあなたには、夢がすべてで、それ以外に何も存在していないのだ。



If you can be hurt by anything, you see a picture of your secret wishes. Nothing more than this. 

  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
  • picture [píktʃər] : 「絵、像、光景、見物、実態、事実、状況」
  • secret [síːkrit] : 「秘密の、内緒の、ひそかな、機密の、隠れた」
  • wish [wíʃ] : 「願い、望みの物、願望、希望」

❖ "If you can be ~ "「もしあなたが、何かによって傷つけられ得るなら、あなたは秘密の望みの絵を見ていることになる」。"picture of your secret wishes"「秘密の望みの絵」とは、心の奥に抱いた悪しき欲望、と考えていい。後ろめたさを感じる望み、欲望である。人を騙してまでも金を手に入れたいとか、人をけ落としてまでも地位を得たいとか、偽りの愛欲をもってしても肉欲を満たしたいとか、人を不幸に陥れてまでも権力を手に入れたいとか、そういった類(たぐ)いの、悪しき秘密の絵柄の望みである。そんな、人の道に反する悪しき望みに支配されている限り、あなたはいつか、何ものかによって痛い目を見る、傷つけられるのだ。とは言え、その痛みは当然の帰結であって、やはり、哀しき幻想に過ぎない。



And in your suffering of any kind you see your own concealed desire to kill.

  • suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しみ、苦痛、悩み」
  • concealed [kənsíːld] : 「隠れた、隠し持っている」
  • desire [dizáiər] : 「熱望、切望、欲望」

❖ "And in your suffering ~ "「いかなる種類の苦しみの中にも、あなたは、あなた自身が隠しもった、殺したいという欲望を見ることになる」。他者があなたの望みの実現を阻害したことが原因となり、あなたは心に痛みを覚える。あなたは、その他者を恨み、怒り、復讐心に燃える。かくしてあなたは、心の中で、他者を攻撃してやりたいと願うようになる。これが、"your own concealed desire to kill"「あなた自身が隠しもった、殺したいという欲望」である。ここの"kill"「殺す」とは、文字通り肉体的に生命を奪うという意味合いではなく、想念として抹殺してしまいたい、という意味合いに捉えればいいだろう。つまり、強烈な否定である。



16. You will make many concepts of the self as learning goes along. 

  • go along: 「進行する、〜に付随する」

❖ "You will make many ~ "「学びが進行するに従い、あなたは、多くの自己概念を形成してゆく」。たとえば、金儲けに奔走する自己を形成したが、それが他者の妨害で頓挫すると、心に痛みを覚えて他者に恨みを抱く。そういう学びを世の中から得たわけだが、それに懲りずに、また別の自己を形成しようとする。今度は、金によらず、権力によって他者を支配する自分を夢見るようになる。こうして、幻想世界に生きるための学びを通して、あなたは多くの自己概念を形成していくことになる。そして、そのすべてに挫折するのだ。しかし、多くの挫折を通して、もし、あなたが人生を真摯に見つめるチャンスを得たなら、当然、この世の無常を知ることになる。無常とは、すべては変化流動して止まないという世界観のことであって、これが、世界は幻想だと気付く切っ掛けになるのだ。真実が永遠不変であるなら、無常の世は真実ではない。虚偽は心が生み出した幻想に過ぎず、したがって、この世は幻想だ、というわけである。



Each one will show the changes in your own relationships, as your perception of yourself is changed. 

  • show [ʃóu] : 「見せる、示す、表す、表示する」
  • change [tʃéindʒ] : 「変化、変更、移行、交換」
  • relationship [riléiʃnʃìp] : 「関係、結び付き、関係性、関わり」
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」

❖ "Each one will show ~ "「あなた自身に対する見方が変わるに従い、一つ一つの自己概念は、あなた自身の関係性の変化を示すことになる」。あなたは自己を投射して他者や世界を形成していくのだから、あなた自身が変われば、投射する内容も当然変化し、あなたと他者、あなたと世界の関係性も変化していく。



There will be some confusion every time there is a shift, but be you thankful that the learning of the world is loosening its grasp upon your mind. 

  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱状態、無秩序、当惑、困惑、戸惑い」
  • shift [ʃíft] : 「交代、変更、変化、転換」
  • thankful [θǽŋkfəl] : 「感謝している、ありがたく思う」
  • loosen [lúːsn] : 「解く、ほどく、緩める、解放する」
  • grasp [ɡrǽsp] : 「しっかりつかむこと、保持、支配」

❖ "There will be some ~ "「(関係性が)シフトする度に、ある程度の困惑が生じるだろう」。"but be you thankful ~ "「しかし、世界が提供する学びが、あなたの心を支配する力を緩めていくことに感謝しなさい」。あなたと他者や世界との関係性が変化するとき、あなたは多少の困惑を覚えるかもしれないが、その関係性が実相の真実に向かう限り、世界によるあなたへの支配力は減少していく。あなたが世の無常を感じるようになれば、世界の幻想性が見えてきて、幻想世界へのめり込んでいたあなたの心の有り様が変化してくのである。



And be you sure and happy in the confidence that it will go at last, and leave your mind at peace. 

  • sure [ʃúər] : 「確信して、確信している、固く信じている、確かな」
  • confidence [kάnfədəns] : 「確かさ、確信、自信、信頼、信用」
  • in the confidence that : 「that以下を確信して」
  • at last : 「最後に、ついに、とうとう」
  • leave [líːv] : 「ある状態のままにしておく、〜をそのままにしておく」
  • at peace : 「平和に、安らかに、安らかな気持ちで、心穏やかで」

❖ "And be you sure ~ "「そして、世界によるあなたの支配はついに消滅し、あなたの心は安らかになるはずだと信じて、確信し幸せを感じなさい」。物質的豊かさ、金儲け、社会的地位、出世、名声、権力、支配、肉欲、等々の欲望で構成されていた、あなたと世界の関係性は、あなたが実相に向かって変化するに従い、徐々に消滅してくのだ。あなたの心は、平和と幸せと確信に満ちてくる。



The role of the accuser will appear in many places and in many forms. 

  • role [róul] : 「役、役柄、役割、役目、任務」
  • accuser [əkjúːzər] : 「刑事訴訟の原告、告訴人、告発人」
  • appear [əpíər] : 「現れる、出現する、登場する」
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所、立場、境遇、環境」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見」

❖ "The role of the accuser ~ "「非難する役割をもった者が、多くの場所に、多くの形をとって現れてくるだろう」。あなたが世界から離れて行くに従い、あなたを社会的な敗北者であるとか、負け犬であるとか、落後者であるとか、自己中心的であるとか、理想主義者であるとか、馬鹿者であるとか、愚かであるとか、気違いであるとか、精神を病んでいるとか、様々な非難を浴びせられることがあろう。あなたは、世界の学びを放棄し、世界の規範からドロップ・アウトしてアウトサイダーになるのだから、世界の多数派から見れば、あなたは裏切り者なのだ。世捨て人に見えることだろう。



And each will seem to be accusing you. Yet have no fear it will not be undone.

  • each [íːtʃ] : 「各々、それぞれ、めいめい」
  • accuse [əkjúːz] : 「〜を責める、〜を非難する」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • undone [ʌndʌ́n] : 「undoの過去分詞形」
  • undo [ʌndú] : 「元へ戻す、取り消す」

❖ "And each will ~ "「(周りの者)一人一人が、あなたを非難しているように見えることだろう」。"Yet have no fear ~ "「しかし、そんな非難は取り消されることはないだろうと、恐れてはいけない」。あなたは正しい方向に進んでいるのであって、幻想に過ぎない他者からの非難など、いつかは消滅して取り消されるのだ。いつかとは、あなたが世界の幻想性を見抜いて受け入れ受け流し、赦す時である。赦しによって幻想は消滅し、あなたは実相に目覚めるのだ。夢から覚めたとき、あなたの所業も多数の非難も同時に消滅して、取り消されることになる。世の中の一番の愚か者は、一番の賢者になるのである。
 
 
 


T-31.V.13:1 ~ T-31.V.14:7


13. Although this step has gains, it does not yet approach a basic question. Something must have gone before these concepts of the self.

  • although [ɔːlðóu] : 「〜ではあるが、〜だけれども」
  • gain [ɡéin] : 「利益、得ること、獲得、利得」
  • approach [əpróutʃ] : 「〜に近づく、〜に接近する」
  • basic [béisik] : 「基礎の、基本的な」
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「goの過去分詞形」
  • concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念」

❖ "Although this step ~ "「この段階が達成されたとしても、」あなたが、世界に適合するように自己概念を形成している段階から、あなたの願望を外部世界に投射して、この幻想世界を形成していると気付く段階に移行出来たとしても、"it does not yet ~ "「しかしまだ、根本的な問いに近づいてはいない」。そもそも、そのような投射したり投射されてたりする関係性を最初に築いたものは何なのか? 心の根底には誰がいて、また誰がいないのか? "Something must have ~ "「これらの自己概念が形成される前に、何かが失われたに違いない」。神の子としてのあなたの心のほとんどはエゴに占領され、ホーリー・スピリットは心の奥底に追いやられたのだ。したがって、正確には、「失われた」のではなく、追いやられ、そして忘れ去られてのである。



And something must have done the learning which gave rise to them. Nor can this be explained by either view.

  • done [dʌ́n] : 「doの過去分詞」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • gave [ɡéiv] : 「giveの過去形」
  • rise [ráiz] : 「発生、起源、根源、原因」
  • give rise to : 「〜を引き起こす、〜を生じさせる」
  • explain [ikspléin] : 「〜を説明する、明らかにする、釈明する」
  • either [íːðər] : 「どちらの〜でも、どちらの〜も」
  • view [vjúː] : 「意見、見識、考え、物の見方、見解」

❖ "And something must ~ "「そして、何かが、自己概念を生じさせるような学びを行ったに違いない」。そもそも、天の王国に住まっていた神の子には、自己概念など必要なかった。あえて自己概念があるとすれば、それはただ、神の子である、それのみである。しかし、神の子が神から分離し、この幻想世界を心の外部に投射して偽創造したとき、神の子は、自分が神の子であることを忘れ、新たに自己概念を形成する必要に迫られたのだ。どの様な自己を形成したらいいのか、それをエゴから学んだ、というわけである。"Nor can this be ~ "「これは、どちらの見方からも説明され得ない」。世界があなたを形成しているという見方からも、あなたが世界を形成していると見方からも、自己概念を形成する切っ掛けとなった第一原因は説明出来ない。まさに、鶏と卵の議論になってしまうではないか。あなたが先か、世界が先か? 



The main advantage of the shifting to the second from the first is that you somehow entered in the choice by your decision.

  • main [méin] : 「主要な、主な、中心的な」
  • advantage [ædvǽntidʒ] : 「有利な点、有利性、利点、長所、強み」
  • shifting [ʃíftiŋ] : 「転移、移動」
  • somehow [sʌ́mhàu] : 「ういうわけか、どうしたものか、どうにかして」
  • enter [énter] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • decision [disíʒən] : 「決定、決断、決心」

❖ "The main advantage ~ "「第一の見方から第二の見方へ移行する主な利点は、」世界に迎合するように自己概念を形成しているという第一の見方から、あなたの欲望が投射によって世界を形成しているという第二の見方に移行する、その主要な利点は、"is that you somehow ~ "「あなたが、どうにかして、あなたの決断によって選択するという領域に入ったことである」。簡単に言えば、受動的な自己概念形成から能動的自己概念形成に移行したことが利点になっている、ということ。世界があなたを単純に支配しているのでなく、あなたが世界を勝手に作っている、ということ。ただし、めちゃくちゃな世界ではあるが・・・。"by your decision"「あなたの決断によって」とあるが、あなたが世界に対して、こうあって欲しいと望む、その決断によって、という意味合い。こういう世界か、ああいう世界か、あなたが自己決断によって世界を選択出来るわけだ。自己決断とか能動的自己概念形成とか選択とか言えば聞こえはいいが、要するに、あなたの独断と偏見であり、つまりは、あなたの我がままである。



But this gain is paid in almost equal loss, for now you stand accused of guilt for what your brother is.

  • be paid in :  「〜が支払われる」
  • almost [ɔ́ːlmoust] : 「ほとんど」
  • equal [íːkwəl] : 「〜と等しい、〜に相当する、同等の、程度が等しい」
  • loss [lɔ́s] : 「失うこと、喪失、紛失」
  • accuse [əkjúːz] : 「〜に責任を問う、〜を責める」
  • stand accused of : 「〜のことで非難されている、〜のことで責められている」

❖ "But this gain is ~ "「しかし、これを得たことによって、同等の損失を被ることになる」。あなたが能動的な決断によって世界を選択出来るとは言え、それによって、あなたは損害を被ることになる。"for now you stand ~ "「なぜなら、今やあなたは、あなたの同胞が何であるかということに関して、非難される立場に立たされたからだ」。あなたが能動的な決断によって世界や同胞の姿を選択することが出来るということは、もし世界や同胞に罪があるなら、それはあなたの罪であるということを示しているからだ。同胞の罪という結果は、あなたの罪が原因となっているわけだ。そこで、あなたは罪に関して有罪を宣告されるわけである。もちろん、あなたの心があなたに対して有罪を宣告するのである。したがって、あなたの心に罪の意識が深く刻まれることになる。



And you must share his guilt, because you chose it for him in the image of your own.

  • share [ʃέər] : 「分かち合う、共有する、共に味わう」
  • guilt [ɡílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • chose [tʃóuz] : 「chooseの過去形」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • image [ímidʒ] : 「イメージ、画像、像、映像、印象、心証」
  • in the image of : 「〜をひな型にして」

❖ "And you must ~ "「そして、同胞の罪の意識を、あなたは分かち合わなくてはならない」。"because you chose ~ "「なぜなら、あなたは、あなた自身のイメージに合わせて、同胞のイメージとして罪を選択したからだ」。つまり、あなたは、あなたの罪の意識を同胞に投射している、ということ。あなたと同胞は鏡像関係にある。鏡の中の同胞に罪があるように見えたなら、それはあなたの罪の意識が映ったものなのだ。



While only he was treacherous before, now must you be condemned along with him.

  • while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • treacherous [trétʃərəs] : 「不誠実な、裏切りをする、当てにならない」
  • condemn [kəndém] : 「〜に有罪の判決を下す、〜を非難する、責める」
  • along with : 「〜と一緒に、〜とともに、〜に加えて」

❖ "While only he was ~ "「以前は、同胞だけが不誠実であったのに、」"now must you ~ "「今や、あなたは、同胞と並んで非難されなくてはならなくなった」。同胞が不誠実で、裏切り者に見えたなら、それは、同胞だけではなく、あなた自身がそうだからだ。今や、同胞に限らず、あなたも不実な者として非難の対象となる。罪の意識は、その根を執拗に、あなたの心の奥まではびこらせていくのである。
蛇足になるが、あなたは、その罪の意識を帳消しにしようとして、無意識のうちに罰を求める。罰せられることで、罪の意識は取り消しになると信じているのだ。世の中の既成宗教の論理を見てみると、かならず、神の罰の記述がある。なぜか? 人は罰せられたいと願っているからだ。罰せられて罪が帳消しになれば、晴れて、神に愛されると信じているからである。もちろん、ACIMは、それを否定する。神は、決して罰しない。だから、罪からの救いは、神の罰にも、神自身にもあるのではない。あなたが自ら、己(おの)が罪の意識から救わなくてはならないのだ。ACIMの最大のテーマである。



14. The concept of the self has always been the great preoccupation of the world.

  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、常にいつでも」
  • great [ɡréit] : 「大きい、大きな、巨大な、主要な」
  • preoccupation [priὰkjupéiʃən] : 「没頭、夢中にさせるもの、気を取られていること、夢中、最大の関心事」

❖ "The concept of ~ "「自己概念は常に、世界の大きな関心事であった」。自分とは何なのか、自分はどうあらねばならないのか、この問題が、世界の哲学を作り、世界の倫理学を作り、世界の神学を作り、世界の宗教を作り、世界の道徳を作り、世界の行動規範を作ってきた。もちろん、自分とは何なのか、という問いは、世界とは何なのか、という問いに通じる。つまり、存在とは何なのか、という問いである。



And everyone believes that he must find the answer to the riddle of himself.

  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • find [fáind] : 「見つける、探し出す、発見する、見いだす」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
  • riddle [rídl] : 「謎、難問、難題、難解な事物」

❖ "And everyone believes ~ "「そして、誰もが、彼自身の謎に対する答えを発見出来るものと信じている」。誰もが、この世界に迎合する哲学、倫理、宗教、道徳、等々が、自己概念の問題に答えを出してくれるものと信じてきた。そして、修行僧のごとく学び、苦行し、自己否定し、哀れに祈り、答えを求めて闇を彷徨(さまよ)い、世界の苦と痛みの中に埋没していった。あるいは、酒に溺れ、薬物に浸かり、肉欲に溺れ、物欲にしがみつき、金を求め、権力と支配を崇拝し、大食をむさぼり、快楽という快楽の限りを尽くす生き方に埋没してきた。



Salvation can be seen as nothing more than the escape from concepts.

  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • seen [síːn] : 「seeの過去分詞形」
  • nothing more than : 「〜にすぎない、〜でしかない」
  • escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、避難、逃避、回避」

❖ "Salvation can be seen ~ "「救いは、自己概念から逃れること以上のものではないと見なされてきた」。"can"とあるので、可能性はそこにしかないと見なされてきた、という意味合い。確かに、悪しき自己概念からの解放は救いである。しかし、どんなすばらしい自己概念を形成しても、本当の解放にはならない。罪の意識からの解放がない限り、本当の救いはないのだ。罪の意識からの解放とは、幻想からの解放である。したがって、本当の救いは、幻想からの救いなのだ。夢から目覚めること、実相に覚醒すること、そこに本当の救いがある。



It does not concern itself with content of the mind, but with the simple statement that it thinks.

  • concern [kənsə́ːrn] : 「〜に関係する、〜と関係がある」
  • content [kάntent] : 「入っているもの、内容、中身」
  • simple [símpl] : 「簡素な、簡略した、シンプルな、難しくない」
  • statement [stéitmənt] : 「発言、意見、述べること、陳述、供述」

❖ "It does not concern ~ "「(世界が考える)救いは、心の中にあるものにそれ自体を関係づけてはおらず、」"but with the simple ~ "「心が考えている単純な宣言にだけに関係づけている」。心の中にあるものとは、ここでは単純に、エゴと捉えていいだろう。世界が考える救いは、エゴそれ自体に関係しているのではなく、エゴが思考し、エゴがあなたに教える単純な命令に関係していると信じられている。つまり、エゴの存在は知られることなく、エゴの命令だけを聞いていれば救われると思っているのだ。エゴの命令とは、理性的な価値判断や善悪判断、理性的な道徳規範、等々のこと。その内容にこそ、救いは関連してくるのであって、その内容を教えている理性としてのエゴは問題にされない。本当は、まったく逆である。救いは心そのものである。エゴに支配された心を解放することこそ、心の救いなのだ。ホーリー・スピリットを復権させることが、解放と救いに結びつく。



And what can think has choice, and can be shown that different thoughts have different consequence.

  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • shown [ʃóun] : 「showの過去分詞」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、考え、見解」
  • consequence [kάnsəkwèns] : 「結果、結論、帰結」

❖ "And what can think ~ "「思うことの出来るものは、選択し、」"and can be shown ~ "「異なった思いは異なった結果を生むと示され得る」。思いは、あれかこれか、選択出来るし、その思いが異なれば、当然、結果も異なってくる。理性的判断としてのエゴは心を支配し、エゴに支配された心はその思いを世界の中に具現化する。心は判断し、選択し、様々な結果を得る。



So it can learn that everything it thinks reflects the deep confusion that it feels about how it was made and what it is.

  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する、〜であると分かる」
  • reflect [riflékt] : 「〜を映す、示す、反映する、〜を反射する」
  • deep [díːp] : 「深い、深甚な、深遠な、難解な、困難な」
  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱、当惑、混同」
  • feel about : 「〜について感じる」

❖ "So it can learn that ~ "「したがって、心はthat以下を学び得る」。"that everything it ~ "「心が思うあらゆることは、心がどう作られ、心は何なのかということに関して心が感じる深い混乱を反映する」と学び得る。心は、エゴに支配されているが、心の中の最も純粋で神聖な部分にホーリー・スピリットが宿っている。エゴは、頭脳としての理性を利用して、心に理性的な思いを抱かせ、ホーリー・スピリットは、心の正気さを利用して、心に真実の思いを抱かせる。あなたの心には、色々様々な思いが、あらゆる思いが錯綜するのだ。それが、深い混乱を招くこととなる。いったい自分は、猿から進化したただの動物か、それとも、神が創造した神の子か? 心は、単なる進化した頭脳の産物か、それとも、心だけが神が与えてくれた実在か? 心は、そういう深い混乱を学ぶのである。「学ぶ」とあるが、ここでは「感じる、わかる」という意味合い。「心の思いが混乱を反映する」とは、「心の思いが混乱を作り出している、混乱を招いている」という意味合い。



And vaguely does the concept of the self appear to answer what it does not know.

  • vaguely [véiɡli] : 「漠然と、曖昧に」
  • appear to do : 「〜するように見える」
  • answer [ǽnsər] : 「〜に答える、〜に返事する」

❖ "And vaguely does ~ "「そして、漠然ではあるが、自己概念は、(混乱した)心がわからないことに答えてくれるように見えるのだ」。あなたの心は、エゴとホーリー・スピリットの思いに二分され、混乱を極める。混乱した心は、あなたの疑問に対する答えを知らない。そこであなたは、支配力の強いエゴの思いを採用して、世界に迎合するような自己概念を作り出し、混乱に終止符を打とうとする。エゴによって形作った自己概念を信じれば、少なくとも、世渡りに対する有効な答えは得られるからだ。たとえそれが真実でなくても、少なくとも有用ではある。世界は物質として実在する。人間は猿から進化した動物である。心は、進化した頭脳が作り上げたものであって、心として単独には実在しない。物質と理性が世界を支配するのであり、したがって、科学は何よりも勝る。あなたと他者は独立に肉体として存在する。あなたを攻撃する他者に罪があるのであって、あなたは潔白だ。だから、攻撃される前に、他者を攻撃せよ。この世は弱肉強食であって、生きるために奪え。世界は、愛と憎悪、善と悪、陰と陽、等々、対立する二元で構成され、その力の戦いが世界をダイナミックに動かしている。世界は精神であり、戦いこそがその精神の活力である。世界も人間も、戦いによって進化していくのだ。戦え、闘争しろ、攻撃せよ、奪え、殺せ、憎め、卑しめよ、踏みつけろ、裏切れ、騙せ、等々、等々・・・。
 
 
 


T-31.V.11:1 ~ T-31.V.12:7


11. Perhaps the reason why this concept must be kept in darkness is that, in the light, the one who would not think it true is you. 

  • perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠」
  • concept [kάnsept] : 「概念、観念」
  • kept [képt] : 「keepの過去・過去分詞形」
  • darkness [dάːrknis] : 「暗がり、暗闇」
  • light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」

❖ "Perhaps the reason ~ "「多分、この自己概念が闇の中に隠されておかねばならなかった理由は、光の中では、その自己概念が正しいと思わない者はあなただということになるからだ」。世界が悪なら、あなたの持っている悪をわざわざ隠す必要はない。周りが悪だらけなのだから、誰からも非難もされることはないし、恥ずかしくもない。しかし、あなたは、心の奥の憎悪や怒りや攻撃性をひた隠しにしている。その理由は、多分、あなたがその悪感情を真実の光の中に取り出してよく見てみれば、それが本物ではないと気付くはずだからだろう。つまり、虚偽の悪感情を隠し持つことで、悪という幻想からの目覚めを遠ざけようとするエゴの意図が働いているに違いないのだ。あなたは見ないように、気付かないように、隠すように、仕向けられているのだ。



And what would happen to the world you see, if all its underpinnings were removed? 

  • happen [hǽpən] : 「起こる、発生する」
  • underpinning [ʌ́ndərpiniŋ] : 「基礎、土台、支えとなるもの」
  • remove [rimúːv] : 「取り除く、取り去る、取り外す、除去する」

❖ "And what would ~ "「もし、(隠された)自己概念の土台すべてが取り除かれたなら、あなたの目にする世界に、いったい何が起こるだろう」。善良な顔を装ってはいるが、心の奥に悪い感情を隠し持っていると思っているあなたが、もし、白日の下にその悪感情をさらけ出したなら、それが虚偽であり、幻想、錯覚に過ぎないと気付くだろう。幻想を土台にして形成された偽りの悪感情だと知ることになる。もし、あなたが、その幻想の土台のすべてを赦して消滅させたなら、世界はどうなるか? 幻想の世界も消滅してしまうだろうし、エゴも、当然消滅する。したがって、エゴが一番恐れることは、あなたが真実に目覚めることであって、虚偽の悪感情をあなたの目から隠すようにして、しかも、あなたに保持させているのだ。何とも狡猾な作戦ではないか。



Your concept of the world depends upon this concept of the self. And both would go, if either one were ever raised to doubt. 

  • depend [dipénd] upon : 「〜によって決まる、〜次第である、〜に頼る」
  • either [íːðər] one : 「どちらか一つ」
  • raise [réiz] : 「引き起こす、提起する、取り上げる」

❖ "Your concept of ~ "「あなたの世界に対する概念は、あなたの自己概念に依存している」。あなたが自分の悪感情を隠し持って、それを幻想だと見抜けない間は、あなたは世界の幻想性を見抜けない。あなたが自分を見るように、あなたは世界を見るからだ。あなたが自己概念を形成したように、あなたは世界の概念を形成するのである。"And both would ~ "「そして、もし、あなたの概念か世界の概念のどちらかが、疑問に晒(さら)されたなら、両者が消滅してしまうだろう」。あなたの自己概念か世界の概念が、真実の光に晒されて、その虚偽性、幻想性が暴れたなら、両者とも消滅する。概念のみならず、肉体をもったあなたの存在も、物質だらけの世界の存在も、共に消滅するのだ。虚偽、幻想は消え去り、あなたは、真実の実相世界に生まれ変わるのである。エゴの最も恐れるシナリオである。



The Holy Spirit does not seek to throw you into panic. So He merely asks if just a little question might be raised.

  • seek [síːk] : 「見つけようとする、探し求める」
  • throw [θróu] : 「投げる、発射する」
  • panic [pǽnik] : 「恐慌、恐怖、パニック」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • ask [ǽsk] : 「〜を尋ねる、質問する、聞く、問う」
  • question [kwéstʃən] : 「質問、疑問、問い、質疑」

❖ "The Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットは、あなたを恐怖の中に放り投げようなどと模索してはいない」。あなたは幻想だから自己消滅してしまえ、などとあなたを脅して、恐怖に陥れるようなことは、ホーリー・スピリットはしない。"So He merely asks ~ "「そこでホーリー・スピリットは、疑問をちょっと持ってみてはどうかと、ただ問い掛けてみるだけだ」。あなたが隠し持っていると信じている心の底の憎悪や怒りや攻撃性に対して、それは本当に本物だろうかと疑問を持って、真実の光の元に晒(さら)してみることを、あなたに勧めているのだ。



12. There are alternatives about the thing that you must be. You might, for instance, be the thing you chose to have your brother be. 

  • alternative [ɔːltə́ːrnətiv] : 「取って代わるもの、代替手段、選択肢」
  • for instance [ínstəns] : 「例えば、例として」
  • chose [tʃóuz] : 「chooseの過去形」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」

❖ "There are alternatives ~ "「あなたの自己概念に対して、別の選択肢がある」。"the thing that ~ "は、「あなたがそうあらねばならないもの、あなたのあるべき姿」という意味合いで、ここでは簡単に自己概念と訳してみた。あなたは偽善的側面を表に出し、偽悪的側面を隠し持って生きているが、そんな自己概念の外に、別の自分の姿をもつという選択肢が残されている。"You might ~ "「たとえば、あなたは、あなたの同胞を、そうあらせたいと選択する、その者になれるかも知れない」。下手な訳で申し訳ない。あなたは、同胞にこうあってほしいと願うことがあるだろうが、その願い、想念を、自分自身に投射して、あなた自身がその願い通りの人間になれる可能性もある。あなたと同胞はこの幻想世界にあって、互いに互いの思いを投射し合って、互いのイメージを生きている。いわば、あなたは自分として生きていながら、他者としても生きているようなものなのだ。ならば、他者に対して、こうあってほしいと望めば、それが自分に跳ね返って来て、あなたがそのような自分として生きていけるわけだ。そういう選択肢もあり得る、ということ。



This shifts the concept of the self from what is wholly passive, and at least makes way for active choice, and some acknowledgment that interaction must have entered in. 

  • shift [ʃíft] : 「変える、移す、換える、代える」
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に、すっかり」
  • passive [pǽsiv] : 「受動的な、受け身の」
  • at least : 「少なくとも、最少に見ても」
  • active [ǽktiv] : 「積極的な、自ら働き掛ける、能動的な」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • acknowledgment [æknάlidʒmənt] : 「承認、同意、認知」
  • interaction [intəːrǽkʃən] : 「相互作用、相互関係」
  • enter [énter] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」 

❖ "This shifts the concept ~ "「こうすれば、完全に受け身の自己概念から(別の)自己概念にシフト出来る」。"and at least makes ~ "「そして、少なくとも、積極的な選択の道も出来るし、」"and some acknowledgment ~ "「相互関係が入り込めるに違いないと認識出来る道筋も出来る」。二面性をもったあなたの自己概念は、いわば、この世界と他者があなたに投射した概念であって、あなたは、世界と他者によって受動的に作られたあなたである。しかし、あなたが積極的に、他者に対して、正しくこうあって欲しいと願えば、あなたが他者と世界を変えることが出来、それが跳ね返って、あなた自身が変わるのだ。あなたは、積極的に、他者との相互関係を利用して、自己概念を変えることが出来るのである。



There is some understanding that you chose for both of you, and what he represents has meaning that was given it by you. 

  • understanding [ʌ̀ndərstǽndiŋ] : 「理解、把握」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
  • represent [rèprizént] : 「表す、示す、象徴する、意味する」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」

❖ "There is some ~ "「that以下を、多少なりとも理解出来るだろう」。"that you chose ~ "「あなたは、あなた方両者のために選択するのであり、」あなたが他者に対して、こうあって欲しいと望み、積極的にその姿を選択することは、それが跳ね返って来てあなたに自身の自己概念を変えることになるのだから、あなたと他者の両方に影響を与えるのだ。"and what he ~ "「そして、同胞が表すことは、あなたによって与えられた意味をもつ」ということを、多少なりとも理解出来るだろう。他者に対して影響を与えて、他者もあなた自身も変えられていくのだから、他者の姿や素振りは、あなたが積極的に他者に与えた意味をもつのだ。
幻想のあなたと幻想の他者が、幻想の世界でエゴに操られて生きているのだが、あなたが正しい選択をして、他者にこうあって欲しいと願うことで、あなたと他者は、少しではあっても、心の最も神聖で純粋な部分の実相に近づくことが出来るのだ。幻想から実相への目覚めに、近づけるのである。



It also shows some glimmering of sight into perception's law that what you see reflects the state of the perceiver's mind. Yet who was it that did the choosing first? 

  • also [ɔ́ːlsou] : 「〜もまた、同様に、また、〜もやはり」
  • glimmering [ɡlíməriŋ] : 「かすかな光、ちらちらする光」
  • sight [sáit] : 「視野、視界、景色、眺め、視力、視覚」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
  • reflect [riflékt] : 「〜を映す、示す、反映する」
  • state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況。有り様」

❖ "It also shows ~ "「それはまた、〜という知覚の法則に、微(かす)かな視野を投げかけてくれる」。知覚の法則が、少しわかってくる、という意味。それは、"that what you see ~ "「あなたが目にするものは、知覚する者の心の状態を反映する」という知覚の法則である。つまり知覚とは、物的対象が初めにそこにあって、あなたの肉体的な感覚器官がそれを知覚する、というものではなく、あなたの心が見たいと思ったものを、そこに見るものなのだ、ということ。あなたの心の想念が、対象にその想念を反映して、あなたはそれを見るのである。ならば、"Yet who was it ~ "「しかし、一番最初に選択した者とは、いったい誰だろう」。あなたの想念が他者に反映し、同時に他者の想念があなたに反映して、あなたと他者が互いに知覚し合っている。では、両者に想念を抱かせた、元々の第一者とは誰か? エゴの操り人形に過ぎない両者に、正しい心の動きを促した最初の存在とは何か? 



If you are what you chose your brother be, alternatives were there to choose among, and someone must have first decided on the one to choose, and let the other go.

  • alternative [ɔːltə́ːrnətiv] : 「取って代わるもの、代替手段、選択肢」
  • decide [disáid] on : 「〜を決める、〜を決定する」

❖ "If you are what ~ "「もしあなたが、同胞にこうあって欲しいと選択した、そのものであるなら、」"alternatives were ~ "「(外にも)選択肢があったはずで、」"and someone must ~ "「誰かが、選択したその一つを決定し、他の選択肢を排除したに違いない」。お気付きのように、もちろん、あなたに正しい選択を促しているのは、あなたの心の最も純粋で神聖な部分に宿っているホーリー・スピリットである。ホーリー・スピリットの声を聞くとは、こういうことなのだ。ホーリー・スピリットの声は、ラジオの声のような、天から聞こえてくるような種類のものではない。あなたが正しい選択をし、愛と喜びをもって実相に近づこうとするとき、それを促しているのが、ホーリー・スピリットの声なき声なのだ。あなたも他者も、エゴに操られる幻想の人形に過ぎない。しかし、その人形の心の奥には、つまり、怒りや憎悪や攻撃性を隠している心の奥の、さらに奥底には、実相の領域がちゃんと残っていて、そこにホーリー・スピリットが宿り、神とのチャンネルを保持し、あなたを正しい方向へと導いてくれているのだ。これがなかったら、あなたは本当の操り人形に等しく、まさに、木偶の坊(でくのぼう)である。しかし、あなたは心の神聖で純粋な部分を失わなかったし、失うことも不可能なのだ。なぜか? あなたは神に必要とされているからだ。神は決してあなたを手放したりしなかったし、手放すことも断じてない。
もう一言・・・とは言うものの、ホーリー・スピリットの声なき声と、あなたの頭脳による理性的判断とを勘違いしてはいけない。これを誤れば、あなたは体の中に、口うるさい教育ママを一匹飼うことになってしまう。だからACIMは、判断停止を訴えているのだ。理性による判断を停止して、心の声に耳を傾けよ、とはそういうことである。
 
 
 


T-31.V.9:1 ~ T-31.V.10:11


9. Thus are the Holy Spirit's lesson plans arranged in easy steps, that though there be some lack of ease at times and some distress, there is no shattering of what was learned, but just a re-translation of what seems to be the evidence on its behalf. 

  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • lesson plan : 「レッスン・プラン、授業計画」
  • arrange [əréindʒ] : 「準備する、〜をきちんと並べる、配置する」
  • easy [íːzi] : 「たやすい、容易な、困難がない」
  • step [stép] : 「段、階段、ステップ、手順」
  • though [ðóu] : 「〜にもかかわらず、たとえ〜でも」
  • lack [lǽk] : 「不足、欠乏、欠如、欠落」
  • ease [íːz] : 「容易さ、たやすさ」
  • at times : 「時々、折々、時たま、時には」
  • distress [distrés] : 「苦悩、悲嘆、苦痛、悩み、遭難、災難」
  • shatter [ʃǽtər] : 「〜を打ち砕く、粉々に割る、壊滅させる、粉々にする」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する、〜であると分かる」
  • retranslation [ritrænsléiʃən] : 「再翻訳、再変換」
  • evidence [évədəns] : 「証拠、証言、痕跡、形跡」
  • behalf [bihǽf] : 「支持、味方、利益」
  • on one's behalf : 「〜のために、〜の利益になるように」

❖ "Thus are the Holy Spirit's ~ "「このように、ホーリー・スピリットのレッスン・プランは、容易な段階を踏んでいくようにアレンジされている」。"that though there ~ "「すなわち、ある時はその容易さが欠けることがあってフラストレーションが溜まるかもしれないが、学んだことが打ち砕かれてしまうようなことはないし、証拠だと思われているものを、その証拠のためにも、再解釈してみることなのだ」。善良さを装っている側面と、隠された性悪な側面をもっているあなたの自己概念ではあるが、その自己概念はあなたが作った幻想であり、実相的な実在としてのあなたは、神の子として純粋に無辜(むこ)なのだと教えるレッスンがホーリー・スピリットのレッスンである。そのレッスンを、ホーリー・スピリットは、段階を設けて苦労なく習得出来るように用意してくれる。とは言え、時には難しいと思える場合も有り、ストレスが溜まるような時もあろうが、それまで学んだことを否定して破壊するには及ばない。ホーリー・スピリットのレッスン・プランは自動で上昇するエスカレーターではない。自分の足で、その階段を登って行かなくてはならないのだ。少々の困難や苦労に出会っても、決して学びを放棄してはいけない。ホーリー・スピリットのレッスンは、あなたが本当だと思っている証拠を再び見つめ直し、正しい証拠なら正しいと、誤った証拠なら誤っていると、その証拠のためにも、証拠を吟味して再解釈していく課程なのだ。たとえば、あなたは、目に見え感じ取れるから、この肉体は実在の証拠だと主張するだろうが、ホーリー・スピリットは、実在しないものでさえ感覚はそこにそれがあると感覚出来ることを示し、心が思いを現実化している証拠を見せてくれる。目に見える存在の再解釈をあなたに示すのだ。またあなたは、あなたと他者の二人を比較して、あなたは他者と分離した存在だと、肉体の分離を証拠に、主張するだろうが、ホーリー・スピリットは、あなたと他者は鏡像の関係であって、あなたと他者は分離などしていないと、存在の再解釈を提示してくれる。等々、いろいろな思い込みを正してくれるのが、ホーリー・スピリットのレッスンである。



Let us consider, then, what proof there is that you are what your brother made of you. 

  • consider [kənsídər] : 「〜をよく考える、熟考する」
  • proof [prúːf] : 「証拠、立証、証明、証し、裏付け」
  • make A of B : 「BをAの状態にする、BからAを得る」

❖ "Let us consider, then, ~ "「それでは早速、あなたは、あなたの同胞が作り上げたものだという証拠がどこにあるか、考察しよう」。"you are what your brother made of you"ここの部分が訳し難いのだが、あなたの同胞があなたに対して、こういう状態の姿であれと思った、その状態と姿が、あなた自身である、ということ。簡単に言えば、あなたは同胞が幻想したそのものである、ということ。その証拠から探ろう、というわけだ。



For even though you do not yet perceive that this is what you think, you surely learned by now that you behave as if it were. 

  • even though : 「〜であるけれども、〜であるにしても、〜にもかかわらず」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • surely [ʃúərli] : 「疑いなく、しっかりと、確かに、確実に」
  • by now : 「今頃はもう、そろそろ」
  • behave [bihéiv] : 「振る舞う、行動をする、動く」

❖ "For even though you ~ "「なぜなら、あなたは、これはあなたが思っていることだとまだ知覚してはいないが、」"you surely learned ~ "「あなたは、あなたが、あたかもそうであるかのように振る舞っていると、今までに確かに学んで来たのであるから」。あなたは、あなたの同胞が幻想した姿を生きているとは思ってもいないし、そのように知覚も出来ないのだが、今までACIMを学んできて、あなたは同胞と同じような振る舞いをしていることに気付いているはずだ。同胞があなたを憎むとき、あなたも同胞を憎むようになるし、同胞があなたを愛するとき、あなたも同胞を愛するようになるなど、あなたと同胞の思いが共鳴し合って、互いに互いの自己を形成し合っていることに気付いている。さらに、ひょとしたら、あなたと同胞は一体の存在であり、切っても切れない関係にあるのではないかと感じる瞬間もあったはずだ。あたかも双子のように、あたかも不思議な深い繋がり、一体性があるかのように感じたこともあろう。だから、確信はないとは言え、この、あなたと同胞の不可分性から話しを始めるのが都合が良かろう、ということ。



Does he react for you? And does he know exactly what would happen? 

  • for : 「〜の代わりに、〜のために」
  • react [riǽkt] : 「反応する、反応を示す、対処する」
  • exactly [iɡzǽktli] : 「正確に、厳密に」
  • happen [hǽpən] : 「起こる、発生する、降り懸かる」

❖ "Does he react ~ "「同胞は、あなたに代わって反応するだろうか」。"And does he know ~ "「同胞は、(あなたに)何が起きるか正確に知っているだろうか」。今のあなたには、そうだと肯定することは出来ない。同胞があなたに代わって反応し、あなたの行動を制御しているなんて信じられないし、あなたの身に起こることを、同胞があらかじめ知っているはずもない。では、その証拠はどこにあるのか? あるいは、それを否定する証拠はどこにあるのか? 



Can he see your future and ordain, before it comes, what you should do in every circumstance? 

  • future [fjúːtʃər] : 「未来、将来、先行き、将来像」
  • ordain [ɔːrdéin] : 「定める、命じる、運命づける」
  • circumstance [sə́ːrkəmstæ̀ns] : 「周囲の事情、環境、状況」

❖ "Can he see your ~ "「同胞は、あなたの未来が見えるだろうか、」"and ordain ~ "「そして、未来がやって来る前に、あらゆる状況においてあなたが何をなすのか、運命づけることが出来るだろうか」。もちろん、あなたの答えは否(いな)である。そんなことがあってはたまらない。とは言え、あなたは占い師にあなたの運命を見てもらうことはやぶさかではない。いったい、どんなあなたの心理が働いているのだろう? 運命が他者によって決定されることを否定しながら、運命の存在にうすうす気付いているのだから。



He must have made the world as well as you to have such prescience in the things to come.

  • as well as : 「AもBも、AおよびB、〜と同様に」
  • prescience [préʃəns] : 「予知、先見、洞察」

❖ "He must have made ~ "ここの不定詞は仮定的に訳して、「もし、物事の起こることを予見出来るなら、同胞はあなたと同様、この世界を作ったに違いない」。諸現象が偶然ではなく、必然的に起こるなら、運命と言うべきものが存在して、人は先々を予見出来るに違いない。それを肯定するなら、いったい誰が運命を形作ったか? 神か? いや、神はこんな幻想世界に一切の関わりを持たない。ならば、この幻想世界の運命を作ったのは、幻想に生きている同胞であり、あなたではないか。



10. That you are what your brother made of you seems most unlikely. 

  • unlikely [ʌnláikli] : 「ありそうもない、疑わしい、思いも寄らない」

❖ "That you are what ~ "「あなたがあなたの同胞が作ったものであるということは、最もありそうにないことのように思われている」。誰かから、あなたを作ったのは私だと言われても、あなたは完全にそれを否定するだろう。誰かから、あなたに対する心象をあなたに投射していると言われれば、それは多少あり得るかも知れないと思うだろう。さらに、誰かから、あなたという想念を現実化して、あなたのイメージを顕在化しているのだと言われれば、ひょっとして、あなたも他者への想念を現実化し、イメージ化して、あなたの目に見える世界の中にその他者を配置しているのかもしれないと考えるだろう。



Even if he did, who gave the face of innocence to you? Is this your contribution? 

  • even if : 「たとえ〜でも」
  • gave [géiv] : 「giveの過去形」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔」
  • contribution [kὰntrəbjúːʃən] : 「貢献、寄付、出資、寄与」

❖ "Even if he did ~ "「たとえ同胞があなたを作ったとしても、あなたに善良そうな顔を与えたのは誰なのか」。"Is this your ~ "「これは、あなたが寄与したことなのか」。あなたの自己概念は、偽善的、欺瞞的な善良さという側面をもつ。なぜ偽善的で欺瞞的なのかと言うと、心の奥底に憎悪や怒りや攻撃性を隠し持っていて、表面的には善人を演じているからだ。さて、そういう二面性をもったあなたの、その欺瞞的な善良性を、他者である同胞が作ったのであろうか? それとも、同胞によらず、あなた自身が作ったものなのか? もしあなたが、実相的な世界に住む住人であるなら、一元論世界の必然として、あなたは二面性を持つことは原理的に不可能だ。実相世界にあるなら、あなたは純粋に善であり、悪のかけらも持つことはない。真実だけがあなたを構成し、虚偽は存在しない。さて、あなたは今、善と悪との二面性をもっている。ならば、あなたは実相世界に生きているのではなく、したがって、あなたは幻想に生きているのだ。あなたが実在だと思っているあなた自身は幻想であって、誰かのイメージに過ぎないのである。ならば、幻に過ぎないあなたを幻想している本体は、幻想のあなた自身か、それとも幻想の他者であろうか? 



Who is, then, the "you" who made it? And who is deceived by all your goodness, and attacks it so? 

  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
  • goodness [ɡúdnis] : 「良いこと、高潔、善良、親切」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」

❖ あなたの善良そうな一面を形作ったことにあなたが寄与しているなら、"Who is, then, ~ "「ならば、あなたを作った『あなた』とは、いったい誰なのか」。"And who is deceived ~ "「そして、いったい誰が、あなたの善良さに騙されて、また、それを攻撃したりするのだろうか」。幻想のあなたを幻想しているのは、幻想のあなたであろうか? 幻想の他者であろうか? いや、幻想の他者はあなたの幻想の善良さに騙され、騙されたことであなたを攻撃しているのだから、わざわざ、そんな幻想を弄(もてあそ)ぶことはあるまい。ならば、あなたも他者も、そして、この世界のすべてを幻想している張本人は、いったい誰なのか? 



Let us forget the concept's foolishness, and merely think of this; there are two parts to what you think yourself to be. 

  • forget [fərɡét] : 「〜を忘れる、〜を思い出さない」
  • concept [kάnsept] : 「概念、観念」
  • foolishness [fúːliʃnis] : 「愚かさ、愚鈍さ」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • think of : 「〜のことを考える、〜について判断する」
  • part [pάːrt] : 「一部、部分、部品、パーツ」

❖ "Let us forget ~ "「(自己)概念のもつ愚かさは忘れて、ただ次のことを考えよう」。あなたが二面性を持っていることは幻想であって、実に愚かなことなのだが、今は、その愚かさは棚上げにして、二面性についてだけ考えてみよう。"there are two parts ~ "「あなたが、あなた自身であると思っているあなたには、二つの部分がある」。あなたには、欺瞞的な善の一面と、憎悪や怒りや攻撃性を隠し持っている悪の一面との、二面がある。この二面性について考えてみよう。



If one were generated by your brother, who was there to make the other? And from whom must something be kept hidden? 

  • generate [dʒénərèit] : 「〜を生む、〜を起こす、〜を作り出す」
  • kept [képt] : 「keepの過去・過去分詞形」
  • hidden [hídn] : 「hide の過去分詞形、隠された、秘密の」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」

❖ "If one were generated ~ "「もし、その一面が、あなたの同胞によって生み出されたものであるなら、他の一面を作るために、誰がそこにいるだろうか」。"And from whom ~ "「隠され続けてきたものは、いったい誰の目から隠されてきたのか」。あなたは、憎悪や怒りや攻撃性という悪の一面を隠し持ってきたが、あなたの目から隠そうとしているのか、同胞の目から隠そうとしているのか。もし、その悪の一面が同胞によって作られたのなら、同胞の目から隠す意味はないではないか。ならば、あなたは、あなたの目から隠そうとしているのだろうか。



If the world be evil, there is still no need to hide what you are made of. 

  • evil [íːvəl] : 「悪意ある、険悪な、悪魔のような、邪悪な」

❖ "If the world ~ "「もし、この世界が邪悪なものであるなら、あなたが作ったものなど隠す必要はまったくない」。この世界が悪なら、あなたが悪の一面を持っていることなど、誰の目からも隠す必要はないではないか。いったい何が、悪という一面を必死に隠そうとしているのだろうか。



Who is there to see? And what but is attacked could need defense?

  • defense [diféns] : 「防衛、防御」

❖ "Who is there ~ "「いったい誰が、(悪という一面を)見ようとして、そこにいるのか」。"And what but is ~ "「攻撃されるものだけが、防御を必要としているのではないのか」。この世界が悪であるなら、あなたは自分の悪を隠す必要もないし、悪であることを理由に攻撃されることもないから、守ることも必要ない。しかし、現実的に、あなたは自分の悪を隠そうと必死であるし、その悪が明るみに出れば、悪を理由に他者から攻撃を受ける。そういう悪という一面は、いったいどこから来るのか、誰が作ったのか。幻想を作っておいて、その幻想を忌避しようとしているのは誰なのか。そもそも、なぜ二面性という幻想が必要なのか。幻想の源はどこにあるのか。
この疑問に対して、安易な答えを提示するのは早計かもしれないが、これまでのACIMが教えるところをかいつまんで説明してみよう。神の子が神と暮らしていた頃は、そこは一元論実相世界、天の王国であるから、神の子は二面性などもっていなかった。純粋に無辜であり、純粋に愛であった。怒りや憎悪や攻撃性など存在しなかった。あるとき神の子は、神なしで神のように存在出来ないだろうかという、小さな狂った考え(tiny, mad idea)をもった。次の瞬間、神の子は深い眠りに陥り、その夢の中で、神の子は神から分離したのである。眠りの中で、神の子の思いは現実化したのだ。夢の中で、神の子は天の王国を脱出し、神の存在しない世界に墜落していった。聖書で言うところの失楽園である。この世界は夢の世界であり、幻想である。しかも、神からの分離を象徴する二元論の世界なのだ。純粋な愛は愛と憎悪に分裂し、喜びと悲しみ、善と悪、美と醜、真実と虚偽、等々、すべてが対極概念(二面性)をもつことになった。当然、夢を見ている神の子自身も分裂し、自分と他者が作られたのだ。もちろんどちらも幻想であって、二元論幻想世界に適応する二面的性質を有することとなる。幻想としてのあなたも、幻想としての他者(同胞)も、ともに、眠りに落ちた単一の神の子が夢の中で幻覚している幻の存在なのだ。その夢の中の幻想としてのあなたと他者は、あたかも分離して独立に存在しているかのように振る舞い、夢の舞台を闊達に演じているのである。夢の中のあなたはあなたで幻想し、他者もまた独立に幻想する。あなたは幻想によって他者を勝手に作り変えることが出来、逆に、他者もあなたを勝手に幻想する。あなたと他者は、あたかも鏡像の関係のように、互いに互いの姿を見ながら、互いのイメージに向かって自己を投射し、作り変え、作り変えられているのだ。あなたという幻想を作っているのは他者の幻想であり、他者という幻想を作っているのはあなたの幻想である。そして、共に、深い眠りに落ちた神の子の夢の中の茶番劇を演ずる演技者なのだ。
創世記では、この世界、そして人間を創造したのは神であるとしているが、神は幻想などしない。この幻想世界、肉体をもつ人間を創造したのは、神の子の夢であって、したがって、偽創造である。その神の子の夢を擬人化すれば、それがエゴである。エゴが、神の創造をまねて、分離分裂した世界、分離分裂した人間を偽創造し(幻想し)、エゴが、幻想の我々を操り人形のように踊らせているのだ。
神の子が眠りに落ちて夢を見ている世界は、時間も空間も存在しない想念の世界であって、夢は時間を追って進行するものではない。可能性のあるすべてのシナリオが夢の中で一瞬にして起き、それが永遠に続くのである。したがって、シナリオはすでに存在し、シナリオの選択によってこの世界の諸事象は時間を軸として進行していく。つまり、起こり得ることはすでに運命として起こっているのだ。世界もあなたも他者も、その運命の波に乗って泳がされていく。しかし、シナリオはすべての可能性を網羅して無数に存在する。だから、あなたは、その中からあなたの意思でシナリオを選択出来るのだ。あなたは、すでに出来上がって完了した運命に翻弄されて生きているが、あなたの意思がシナリオを選択し直すことで、運命を変えることが出来るのである。そして、幸いなことに、あらゆるシナリオの最後には、あなたも他者も幻想を赦し、幻想を消滅させて実相に目覚め、天の王国へ回帰することになる。そのとき、深い眠りに落ちた神の子は、その眠りから目覚め、自分は神の元から一歩たりとも離れていなかったことを知るのである。
最後に、もう一言。あなたも他者も、眠れる神の子が夢に見ている幻想であり、偽善的側面を表に出し、同時に偽悪的側面を心の奥底に隠して、二面性を生きているのだが、その心のさらに奥底に、つまり、無意識の更なる深みに、最も純粋で神聖な心の部分を失わずにいる。そこにホーリー・スピリットが宿り、最も神聖な神の祭壇がある。その祭壇が、実相世界の神へと繋がるチャンネルであり、幻想のあなたを実相へと繋げる唯一の道である。つまり、あなたは完全な幻想として生きているのではなく、実相への、つまり、神への繋がりを保ちつつ、実相への復活を約束されて生きているのだ。これを忘れてはいけない。なぜなら、それを与えてくれたのは、神の愛なのだから。 

 
 



Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター