●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-31.VI.3:1 ~ T-31.VI.4:8


3. Salvation does not ask that you behold the spirit and perceive the body not. It merely asks that this should be your choice. 

  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」

❖ "Salvation does not ~ "「救いは、あなたに、スピリットを注視し、肉体は知覚するな、などと頼んではいない」。「救い」が主語になって表現されているが、むしろ、救いに導くホーリー・スピリットは〜、と解釈した方が通りはいい。実相世界には強制という概念はない。ホーリー・スピリットはあなたに、強制もしなければ命令もしない。何にもまして、あなたの意思、自主性を重んずる。"It merely asks that ~ "「救いは、ただ単に、スピリットを見るか肉体を見るかは、あなたの選択に任せているのだ」。もっとも、あなたが肉体を見ることを選択すれば、救いは遠のき、スピリットを見ることを選択すれば、救いは近づく。ただし、ホーリー・スピリットは、その選択をあなたの自由意思に任せているのだ。
ところで、救いとは、この世界の幻想性からの解放のことである。幻想に過ぎない肉体だけを実在と信じて見ている限り、幻想性からの解放、救いはない。実相として実在するスピリットを自由意思で選択することで、幻想からの救いは実現するのである。



For you can see the body without help, but do not understand how to behold a world apart from it. 

  • without help : 「助けなしに、手を借りずに」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
  • apart from : 「〜から離れて」

❖ "For you can see ~ "「なぜなら、あなたは、何の助けがなくても肉体を見ることが出来るが、」"but do not understand ~ "「肉体から離れた世界を見るためにはどうしたらいいか、あなたは理解出来ないからだ」。あなたが肉体を見ることを選択したなら、ホーリー・スピリットは、そのための助けを何もあなたに与えることはない。なぜなら、助けがなくても、あなたはちゃんと肉体を見ることが出来るからだ。しかし、あなたがスピリットを見ることを選択したなら、肉体を含めたこの物質世界を離れた精神世界(実相世界)を見る方法をあなたは知らないので、ホーリー・スピリットはあなたに助けを与えてくれるのである。



It is your world salvation will undo, and let you see another world your eyes could never find. 

  • undo [ʌndú] : 「元へ戻す、取り消す」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
  • find [fáind] : 「発見する、見いだす、見つける、探し出す、気付く」

❖ "It is your world ~ "「救いが取り消しにするのは、あなたの世界である」。あなたが生きていると信じるこの幻想世界を消滅させるのが救いである。救いは、幻想を取り消しにするのだ。"and let you see ~ "「そして救いは、あなたの目が決して見つけることの出来なかった別の世界を、あなたに見せてくれるのである」。肉体的な感覚器官では、実相世界、精神世界は見えてこない。幻想しか捉えることは出来ないのだ。しかし、救いによって幻想が消滅すれば、あなたの眼前に、実在する実相世界、精神世界が展開することになる。



Be not concerned how this could ever be. You do not understand how what you see arose to meet your sight. For if you did, it would be gone. 

  • concerned [kənsə́ːrnd] : 「心配している、気遣っている、憂慮している」
  • arose [əróuz] : 「ariseの過去形」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる、発生する」
  • sight [sáit] : 「視野、視界、景色、眺め、視力、視覚」
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「goの過去分詞形」

❖ "Be not concerned ~ "「こんなことがどうやって可能なのか、気遣う必要はない」。それは、ホーリー・スピリットの仕事である。あなたは、ホーリー・スピリットに任せておけばいい。"You do not understand ~ "「あなたは、あなたが見ているものが、どうやって、あなたの視野になっているのか、理解していない」。あなたは、目によって知覚したものが視野となって目の前に見えていると理解しているだろうが、それは誤りだ。あなたは、見たいと思うもののイメージを外部に投射して、何もないところに幻想を見ているに過ぎない。心が錯覚を生み出しているに過ぎないのだ。色即是空、空即是色である。しかし、今のあなたには、それが理解出来ない。だから、目に見えるものが、実在する現実だと信じているのだ。"For if you did ~ "「なぜなら、もしあなたが理解出来ているとすれば、世界は消滅するだろう」。見ているものが幻想だと理解出来れば、そして、幻想を実相的に赦すことが出来れば、幻想は消滅し、世界も、あなたの目の前から消滅してしまう。この世界が、あなたの目の前に実在として見えている限り、あなたは、世界の幻想性、それを生み出してる知覚の錯覚、錯覚を生み出している心の想念の力を理解してはいない。



The veil of ignorance is drawn across the evil and the good, and must be passed that both may disappear, so that perception finds no hiding place. 

  • veil [véil] : 「覆い隠すもの、ベール」
  • ignorance [íɡnərəns] : 「無知、無教育、知らないこと、無学」
  • drawn [drɔ́ːn] : 「drawの過去分詞形」
  • draw [drɔ́ː] : 「〜を引く、引き込む」
  • across [əkrɑ́s] : 「〜にわたって、〜の全域で、〜を横切って、〜を横断して」
  • evil [íːvəl] : 「悪、不正、不道徳」
  • pass [pǽs] : 「通り越す、通る、通り過ぎる、通過する」
  • disappear [dìsəpíər] : 「姿を消す、存在しなくなる、なくなる、消滅する」
  • so that : 「〜するために、それで、その結果、それゆえ」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
  • hiding place : 「隠れ場所、隠し場所、隠れ家」

❖ "The veil of ignorance ~ "「無知のベールは、悪しきものと良きものに渡って、(すべてを)覆い隠している」。"and must be passed ~ "「善悪の両者が消滅するには、この無知のベールを越えなくてはならない」。"so that perception ~ "「その結果、知覚は、隠しておける場所を見失うのだ」。善と悪に象徴されるように、この幻想世界は相反する対極概念で構成された二元論世界である。だから、真実が見えてこないのだ。ここに、無知の原因がある。何が真実で、何が虚偽か、わからない状態に置かれているのだ。もし、無知のベールを飛び越えることが出来たなら、幻想世界は消滅し、二元論の善悪などという概念は消え去ってしまうのである(both may disappear)。その結果、真実だけが露見し、虚偽を隠しておけるような場所など存在しなくなる(no hiding place)。もはや知覚は、二元論世界を構成していた対極概念を曖昧なままに覆い隠すことは出来ない。むしろ、知覚それ自体が知覚を超越して、叡智(knowledge)に生まれ変わるのだ。無知が存在出来るのはこの幻想世界だけであって、実相世界には叡智だけが存在する。



How is this done? It is not done at all. What could there be within the universe that God created that must still be done?

  • done [dʌ́n] : 「doの過去分詞」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
  • universe [júːnəvə̀ːrs] : 「宇宙、万物、森羅万象、全世界」
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、〜を創り出す」

❖ "How is this ~ "「どうすれば、こうしたことが成し遂げられるか」。"It is not done ~ "「それは、まったく、成し遂げるというものではない」。新たに、一元論実相世界を創造する必要などない。今見ている二元論の夢から覚めてしまえばいいだけの話しである。"What could there ~ "「神が創造した宇宙の中にあって、いったい、成し遂げられなくてはならない何が存在出来ようか」。下手な訳で申し訳ない。完全完璧な神が完全完璧な実相世界を創造したのだから、あなたには、それに加えて、新たな創造を成し遂げなければならないことなど何もない。神の創造した実相世界、天の王国に、ただ目覚めるだけでいいのである。



4. Only in arrogance could you conceive that you must make the way to Heaven plain. 

  • arrogance [ǽrəɡəns] : 「尊大、横柄、傲慢」
  • conceive [kənsíːv] : 「心に描く、思い付く、着想する、〜と考える」
  • plain [pléin] : 「平易な、明らかな、明白な、質素な、簡素な」

❖ "Only in arrogance ~ "「傲慢さにおいてだけ、あなたは、天の王国に至る道を平易なものにしなくてはならないと考えてしまうのだ」。たとえば、中世のキリスト教にあっては、免罪符が罪を帳消しに、天国へ昇れる通行手形としたわけで、今日の既成宗教においても、すべてとは言わないが、同様な、怪しげな説が唱えられている。すべて、多額な金額がからんでくる詐欺である。また、宗教に限らず、怪しげな哲学や政治や思想もまた、地上に天国を作ろうなどと、思い上がった構想をひねり出す。かつての共産思想を思い出すまでもない。理性の傲慢である。



The means are given you by which to see the world that will replace the one you made. 

  • means [míːnz] : 「手段、方法、手法」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • replace [ripléis] : 「〜を取り替える、〜を交換する、〜を置換する」

❖ "The means are given ~ "「あなたの作った世界を置き換えてしまう世界を目にするための方法は、すでにあなたに与えられている」。新たに天の王国を作り出す必要も、そこに至る道を新たに作り出す必要もない。実相世界はすでに存在しており、そこに至る道も、ホーリー・スピリット、あるいはキリストによって示されるのだ。あなたの役割は、あなたの意思によって、それを選択するだけである。これよりも平易なことがあろうか。



Your will be done! In Heaven as on earth this is forever true. 

  • will [wíl] : 「意志、願望、意欲」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」

❖ "Your will be ~ "ここは、"Your will should be done!"と考えて、「あなたの意思は成就するに違いない」。実相世界に目覚めることを、あなたの意思で選択すれば、それは、必ず成就する。"In Heaven as ~ "「天の王国においても、地上と同様に、これは永遠に真実である」。あなたの意思は、天の王国にあっても、この幻想世界にあっても、必ず成就する。真実である想念は、必ず現実化するのだ。



It matters not where you believe you are, nor what you think the truth about yourself must really be. 

  • matter [mǽtər] : 「重要である、問題である」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に、真に」

❖ "It matters not where ~ "「あなたがどこにいると信じていようが、あなた自身についての真実が実際何であると考えようが、それは、問題ではない」。重要なのは、あなたが、あなたの自由意思をもって真実を選択することである。真実の実現を想念することである。今あなたが、この地上世界にあって、自分は肉体的存在だと信じていても、それはかまわない。真実を意思する自由な選択が重要なのだ。簡単に言えば、ホーリー・スピリットを選択する意思が重要なのである。



It makes no difference what you look upon, nor what you choose to feel or think or wish. 

  • difference [dífərəns] : 「相違、相違点、異なる部分、特異点」
  • make no difference : 「違いがない」
  • look upon : 「〜を見る」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • feel [fíːl] : 「感じがする、感じる」
  • wish [wíʃ] : 「望む、願う、祈る」

❖ "It makes no difference ~ "「あなたが目にしているものが何であれ、あなたが何を感じとろうとしているか、何を思い、何を希望しているか、そこにはまったく違いは生じない」。極端な話し、あなたがどんな虚偽の中にいたとしても、今、あなたが真実を自由意思をもって選択することが重要なのであって、夢の中のあなたの姿など、結果に違いを生じさせる類(たぐ)いのものではない。



For God Himself has said, "Your will be done. " And it is done to you accordingly.

  • accordingly [əkɔ́ːrdiŋli] : 「それ故に、従って、それに応じて」

❖ "For God Himself ~ "「なぜなら、神自らが、『あなたの意思は成就する』と言ったからだ」。神は真実以外を知らない。真実以外の発言をすることもない。神が『あなたの意思は成就する』と言ったのなら、必ず、そうなるのだ。お望みなら、これは神の法だと考えていいだろう。"And it is done ~ "「そして、それに応じて、あなたの意思はあなたに対して成就するのだ」。あなたが、実相世界の真実に目覚めたいと、自由意思をもってそれを選択すれば、それは、必ず、意思通りに成就するのである。それが、神の法である。神の約束と思ってもいい。神もまた、あなたの意思の実現を願っているからだ。
 
 
 


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