●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-31.VII.2:1 ~ T-31.VII.3:6


2. You could not recognize your "evil" thoughts as long as you see value in attack. 

  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、認める、受け入れる」
  • evil [íːvəl] : 「悪意ある、険悪な、邪悪な」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、考え、思想」
  • as long as : 「〜である限りは、〜する以上は、〜であるならば」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」

❖ "You could not ~ "「あなたが、攻撃に価値を見出している限り、あなたは、あなたの『悪しき』思いを認識することは出来ない」。あなたが、他者の過ちや罪に対して、それを許して見過ごしてやる代わりに、罪を暴き罰しようとして攻撃する限り、あなた自身の心に潜む攻撃的な性悪な思いをありのままに認識することは出来ない。他者は、鏡に写ったあなた自身である。他者に過ちや罪があるように見えるのは、あなた自身に過ちや罪がある証拠である。つまり、過ちや罪を幻想として認識出来ずに、実在だと信じている証拠である。その過ちや罪が他者に存在すると見なし、攻撃する限り、視線が他者に向いているので、自分の心の中の罪や過ちや攻撃性を認識出来ないのだ。



You will perceive them sometimes, but will not see them as meaningless. 

  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を理解する」
  • sometimes [sʌ́mtàimz] : 「時々、たまに」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味が分からない、無意味な」

❖ "You will perceive ~ "「時には、あなたは自分の『悪しき』思いを知覚することがあるかもしれないが、」"but will not see ~ "「それが意味のないものであると見なすことは出来ないだろう」。時には、自分は悪いヤツだと思うことはあっても、それは『悪しき』思いを認識したことではなく、何となく感じただけのことで、その思いが幻想に過ぎず、本当は存在してもいず、意味のないことだと見破ることは不可能である。



And so they come in fearful form, with content still concealed, to shake your sorry concept of yourself and blacken it with still another "crime. "

  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見」
  • content [kɑ́ntent] : 「入っているもの、内容、中身」
  • conceal [kənsíːl] : 「隠す、隠匿する、秘密にする」
  • shake [ʃéik] : 「〜を動揺させる、ぐらつかせる」
  • sorry [sɑ́ri] : 「哀れな、惨めな、嘆かわしい、情けない、お粗末な」
  • concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念」
  • blacken [blǽkən] : 「傷つける、汚す、汚点を付ける、黒く塗る、暗くする」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
  • crime [kráim] : 「犯罪、罪」

❖ "And so they come ~ "「そこで、『悪しき』思いは、中身を隠したままで、恐ろしげな形をとって現れてくる」。漠然とした恐怖感を抱かせ、その理由を隠しまま、様々な形をとって、『悪しき』思いはあなたの目の前に出現する。"to shake your sorry ~ "「そして、あなた自身の惨めな自己概念を揺(ゆ)さぶり、また別の『罪』をもってあなたの自己概念を汚すのである」。あなたは、他者の過ちや罪を攻撃し、自分の正義を示したかも知れないが、心は決して幸せになれない。いつも不安を抱き、次は自分が攻撃されはしないかと恐れを抱く(come in fearful form)。しかし、その恐れは、なぜ恐れを抱かざるを得ないかという理由を隠したままなのだ(still concealed)。漠然とした恐れと不安に駆られ、あなたが正しいと思っている自己概念は動揺する(to shake your sorry concept of yourself)。ひょっとしたら、不安と恐れと動揺は、自分自身に罪があるせいではないかと思い、他者に向けられた罪とはまた別の罪の意識(another crime)を自分自身に向けて、あなたの自己概念を罪の意識で汚す(blacken it)ことになる。



You cannot give yourself your innocence, for you are too confused about yourself. 

  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無垢、純潔、純真」
  • confused [kənfjúːzd] : 「困惑した、混乱した、支離滅裂な」

❖ "You cannot give ~ "「あなたはあなた自身に、潔白性を与えることは出来ない」。あなたは、自分を潔白だと信じることが出来ない。他者のみならず、自分にも罪があるに違いないと思い始めるからだ。"for you are too ~ "「なぜなら、あなたは、あなた自身に関してあまりにも混乱しているからだ」。他者のみならず、自分にも罪があるに違いないと思い始め、あなたが正しいと思っている自己概念が混乱を来(きた)すのだ。お分かりのように、この一連の動きはエゴの作戦である。エゴは、神の子の分離を促進するために、得るためには奪え、攻撃される前に攻撃せよ、殺されるくらいなら殺せ、と教える。他者は邪悪であり、他者に罪があると、あなたに信じ込ませるのだ。あなたはエゴの思考システムにまんまと騙されて、エゴの言うなりになる。しかし、エゴが狡猾なのはそれだけではない。エゴは、エゴを偶像として信奉するあなたに、しかし、決して満足や幸せを与えない。常に不安を抱かせ、恐れをちらつかせる。あなたは決して神に愛されない愚劣な人間だと思わせ、神からの分離を確保するのだ。神から捨てられたと信じるあなたを混乱させ、エゴは、あなた自身の自己分裂を画策するのである。こうして、あなたには、似非(えせ)宗教に逃れるか、発狂するか、自殺するか、この3つの選択肢が残されることになる。もちろん、酒や薬物に溺れる行為は、自殺の疑似体験である。病は、精神的な歪みが生み出す発狂の疑似体験である。肉欲や物欲にのめり込むのは、似非宗教の疑似体験である。どれもこれも、真実なる幸せに到達することのない不毛な放浪なのだ。



But should one brother dawn upon your sight as wholly worthy of forgiveness, then your concept of yourself is wholly changed. 

  • dawn [dɔ́ːn] : 「分かり始める、見え出す」
  • sight [sáit] : 「視野、視界、視力、視覚、景色、眺め」
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • worthy [wə́ːrði] : 「〜に値する、〜するに足りる」
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」

❖ "But should one brother ~ "「しかし、同胞の一人でも、あなたの目に、完全に赦しに値すると映り出したなら、」"then your concept of ~ "「あなたの自己概念は、完全に変化する」。同胞の罪や攻撃性が、実は幻想に過ぎないとわかり始めると、あなたに自身の自己概念もまた幻想に過ぎないとわかり始めて、自分が変わっていく。エゴの思考システムからの脱却が始まるのである。エゴからの解放であり、偶像からの目覚めである。



Your "evil" thoughts have been forgiven with his, because you let them all affect you not. 

  • forgiven [fərɡívn] : 「forgiveの過去分詞」
  • affect [əfékt] : 「〜に作用する、〜に影響を及ぼす、〜に響く」

❖ "Your "evil" thoughts ~ "「あなたの『悪しき』思いは、同胞の『悪しき』思いと共に赦されてしまったのだ」。"because you let ~ "「なぜなら、あなたは、『悪しき』思いのすべてがあなたに影響を与えないようにしたからである」。罪の意識や恐れ、攻撃性、憎しみなど、『悪しき』思いのすべては幻想に過ぎず、あなたに実相的な影響を与えることは不可能なのだと知って、幻想性を認識しそれを赦すとき、幻想は消滅する。あなたの自己概念の幻想性も消滅していくのだ。



No longer do you choose that you should be the sign of evil and of guilt in him. 

  • no longer : 「もはや〜でない」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • sign [sáin] : 「象徴、シンボル、しるし、証拠」
  • evil [íːvəl] : 「悪、邪悪、不正、不道徳」
  • guilt [ɡílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」

❖ "No longer do you ~ "「もはやあなたは、あなたが、同胞の罪や邪悪さのシンボルになるべきなのだという選択をすることはない」。同胞を悪者と見なすことは、あなた自身に『悪しき』思いが存在する証拠であり、結果的に、悪いと見なされた同胞は、あなたの邪悪さのシンボルになってしまう。しかし今、あなたは、『悪しき』思いを同胞に投射し同胞を悪者に仕立て上げる必要など、まったくないと知ったのである。幻想は不要だと確信したのである。



And as you give your trust to what is good in him, you give it to the good in you.

  • trust [trʌ́st] : 「信頼、信用」

❖ "And as you give ~ "「そして、あなたが、同胞の心の中の良きものに信頼を与えるにしたがい、」" you give it to ~ "「あなたは、あなたの心の中の良きものに信頼を与えるのである」。あなたの心の中の実相的な真実である良きものの存在に気付き、それを信じる自分を確信出来るようになる。幻想から解放され、実相に目覚めていくのだ。エゴの思考システムから抜け出し、ホーリー・スピリットの思考システムに移行していくのである。



3. In terms of concepts, it is thus you see him more than just a body, for the good is never what the body seems to be. 

  • in terms of : 「〜に関して、〜の観点から」
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」

❖ "In terms of ~ "「(自己)概念に関して、概念はこのように、あなたが同胞を、単なる肉体以上のものだと見なすことなのである」。自己概念の側面から見れば、自分自身を、あるいは同胞を、肉体と見なす概念から、肉体ではなく心と見なす概念に移行していくのだ。"for the good is ~ "意訳する、「なぜなら、良きものとは、決して、肉体の見掛けの姿ではないからだ」。肉体は変化流動し、死へと向かう幻想である。肉体は、どうあがいても、決して実相に変わることはない。良きものである心は実相であって、幻想の肉体がそれを代表することなど出来ないのだ。今、肉体という幻想から良きものという実相に目覚めることで、あなた自身の自己概念も、幻想から実相へと変化していくのである。



The actions of the body are perceive as coming from the "baser" part of you, and thus of him as well. 

  • action [ǽkʃən] : 「動き、動作、作用、働き」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • base [béis] : 「劣った、劣等の、卑劣な、さもしい」
  • as well : 「同じに、同様にうまく」

❖ "The actions of ~ "「肉体的な動きは、あなたの『より劣った』部分からやってくるものとして知覚され、同様に、同胞の『より劣った』部分から発生するものと知覚される」。心の『より劣った』部分とは、心の幻想的側面のことで、つまり、エゴに操られている部分のことである。他者を攻撃する肉体的な動きは、エゴに支配された下等な心の部分から生じる。弱肉強食を生きる肉体は、エゴの操り人形である。



By focusing upon the good in him, the body grows decreasingly persistent in your sight, and will at length be seen as little more than just a shadow circling round the good. 

  • focus [fóukəs] : 「〜の焦点を合わせる、集中させる」
  • grow [ɡróu] : 「〜の状態になる、増える、増大する」
  • decreasingly [dikríːsiŋli] : 「減少して、少なくなって」
  • persistent [pərsístənt] : 「持続性の、永続性の、しつこい、なかなか去らない」
  • sight [sáit] : 「視野、視界、視力、視覚、景色、眺め」
  • at length [léŋkθ] : 「ついに、しまいには」
  • shadow [ʃǽdou] : 「影、暗がり、暗部」
  • circle [sə́ːrkl] : 「〜を円で囲む、〜の周りを回る、〜を周回する」
  • round [ráund] : 「回って、ぐるりと、周囲に」

❖ "By focusing upon ~ "「同胞の良きものに焦点を当てるにしたがい、」"the body grows ~ "「肉体は、あなたの目にとって、そのしつこさをどんどん減らしていく」。あなたの目には、つまり、あなたの感覚器官には、肉体は物質として確かに実在しているかに映るのだが、そのしつこさが、だんだんと減少していく。幻想性が薄れ、実在性が露(あらわ)になっていくのだ。"and will at length ~ "「そしてついには、肉体は、せいぜい、良きものの周りを囲む単なる影として見られるようになる」。もはや肉体は、物質として実在するというより、影のような幻想として存在するように見えてくる。



And this will be your concept of yourself, when you have reached the world beyond the sight your eyes alone can offer you to see. 

  • reach [ríːtʃ] : 「達する、至る、着く、到着する」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
  • alone [əlóun] : 「独力で、単独で」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」

❖ "And this will be ~ "「あなたが〜したとき、これが、あなた自身の自己概念となるのである」。あなたの自己概念は肉体でなく、心があなたの自己概念となる。"when you have ~ "「あなたが、あなたの目だけがあなたに見るようにと差し出す光景を超越した世界に到達したとき、」これが、あなた自身の自己概念となるのである。あなたの感覚器官だけがその実在性を錯覚させているこの幻想世界を越えて、実相世界に到達出来た時、あなたは、自分自身を心の存在だと確信することが出来るのだ。



For you will not interpret what you see without the Aid that God has given you. And in His sight there is another world.

  • interpret [intə́ːrprit] : 「解釈する、解明する、説明する」
  • without [wiðáut] : 「なくて、持たないで」
  • aid [éid] : 「援助、救済、補助、助成、補佐」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」

❖ "For you will not ~ "「なぜなら、あなたは、神があなたに与えた助けなしに、あなたが目にするものを解釈することはなくなるからだ」。ここの"the Aid that God has given you"「神があなたに与えた助け」とは、ホーリー・スピリットのことだと思っていいだろう。あなたが感覚器官でものを知覚し、それが実在か幻想かを判断するとき、あるいは、真実か虚偽かを判断するとき、ホーリー・スピリットがあなたを助けてくれる、ということ。"And in His sight ~ "「そして、神の視界には、別の世界が存在しているのだ」。神の視野には、幻想世界ではなく、実相世界が見えている。天の王国である。それが実在であって、それ以外に実在する世界はない。
 
 
 

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