5. How willing are you to escape effects of all the dreams the world has ever had?
- be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する、〜する用意がある」
- escape [iskéip] : 「逃げる、ずらかる、脱出する、抜ける」
- effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "How willing are you to ~ "「この世界が今まで見てきたあらゆる夢の影響から逃れたいと、あなたはどれくらい望んでいるだろうか」。あなたには、幻想世界から逃れて、実相世界に目覚めたいという気持ちがどれくらいあるだろうか。それが可能かどうかは、あなたの意思の強さ、望みの強さで決まる。
Is it your wish to let no dream appear to be the cause of what it is you do?
- wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
- appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる、現れる、出現する」
- cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
❖ "Is it your wish to let ~ "「いかなる夢も、あなたが成すことの原因であるかのように見せたくないと、あなたは望むだろうか」。回りくどい表現をしているのだが、要するに、夢を動機として行動したくないという意思があるか、ということ。たとえば、権力という幻想を欲しいと思って、つまり、権力という幻想を原因として、行動するようなことを否定する気持ちがあるだろうか、ということ。一言で言えば、何かを行動する上で、幻想ではなく真実が欲しいと、心から思っているだろうか、ということ。
Then let us merely look upon the dream's beginning, for the part you see is but the second part, whose cause lies in the first.
- merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
- look upon : 「〜を見る」
- beginning [bigíniŋ] : 「初め、開始、始まり、発端、起源」
- part [pάːrt] : 「一部、部分」
- second [sékənd] : 「第2の、2番目の」
- lie [lái] : 「ある、存在する」
- first [fə́ːrst] : 「第一の、一番目の」
❖ "Then let us merely look ~ "「そうであるなら、単に、夢の始まりを見てみよう」。そもそも、幻想の始まりは何であったかを知る必要がある。"for the part you see is ~ "「なぜなら、あなたが見ている夢の部分は、夢の二番目の部分であって、その夢の原因は、一番目の夢の中に存在するからだ」。そもそも、夢の始まりは、実相世界において、神の子が眠りに陥るところから始まる。その夢の中で、幻想世界を幻想し、この世界が展開した。したがって、この世界は、第一の夢の中の、第二の夢なのだ。
No one asleep and dreaming in the world remembers his attack upon himself.
- asleep [əslíːp] : 「眠っている状態の、就寝中の」
- remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、記憶している、〜を思い出す」
- attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ "No one asleep and ~ "「この世界で眠りに陥り夢を見ている者は誰も、自分自身を攻撃したことを覚えてはいない」。第一の夢の中で、神からの分離を意思したことは、神の子が自分自身を攻撃したことに等しいのだ。自分を攻撃したとは、自分自身を否定したということ。つまり、神の子は、神から愛されている自分を否定して、神からの分離を夢に見たのである。
No one believes there really was a time when he knew nothing of a body, and could never have conceived this world as real.
- believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
- really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
- knew [njúː] : 「know の過去形」
- conceive [kənsíːv] : 「思い付く、心に描く、思い付く、着想する」
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "No one believes there ~ "「誰一人として、肉体に関して何も知らず、この世界がリアルだなどと考えもしなかった時が本当にあったことなど、信じてもいない」。神の子が実相世界にあって眠りに陥るまでは、自分に肉体が必要だと考えたこともないし、幻想世界を偽創造してリアルに見せようなどと思ったこともなかった。
He would have seen at once that these ideas are one illusion, too ridiculous for anything but to be laughed away.
- seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
- at once : 「すぐに、瞬時に、早急に、即刻、即座に」
- idea [aidíːə] : 「考え、着想、発想、見解、意見」
- illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
- ridiculous [ridíkjələs] : 「ばかげた、おかしな、とんでもない」
- laugh [lǽf] away : 「笑い飛ばす、一笑に付す」
❖ "He would have seen ~ "「神の子は、こんな考えは一つの幻想に過ぎず、あまりにも馬鹿ばかしくて、笑い飛ばすしかないと、すぐにでも見破ったかもしれない」。神の子が眠りに陥ってしまわなかったら、神から分離して、こんな馬鹿らしい幻想世界を偽創造するなんて思いもよらなかったろう。そんなことは笑止千万であると思ったに違いない。
How serious they now appear to be! And no one can remember when they would have met with laughter and with disbelief.
- serious [síəriəs] : 「まじめな、真剣な、本気の、重大な、深刻な」
- met [mét] : 「meet の過去・過去分詞形」
- laughter [lǽftər] : 「笑い、笑い声、楽しそうな表情」
- disbelief [dìsbilíːf] : 「信じないこと、疑惑、疑念、懐疑、不信」
❖ "How serious they ~ "「今や、そんな馬鹿な考えが、何とも深刻に見えることだろう」。"And no one can remember ~ "「しかも、誰一人として、信じることもなく笑って過ごせた時間を思い出すことさえ出来ないのだ」。神から分離して幻想世界を妄想することなど、信じられない愚挙であり、笑うしかないと思えた時があったのだと、今、この幻想世界で暮らす誰も、思い出すことが出来ないのだ。
We can remember this, if we but look directly at their cause. And we will see the grounds for laughter, not a cause for fear.
- directly [dəréktli] : 「直接に、真っすぐに、率直に」
- ground [ɡráund] : 「根拠、原因、理由、地面」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ "We can remember ~ "「もし、私たちが、その原因を直接見たならば、私たちは思い出すことが出来るはずだ」。"And we will see ~ "「そして、私たちはそれを、恐れの原因としてではなく、笑いの種として見ることが出来るだろう」。そもそもの原因である神の子の愚挙を、つまり、神からの分離という考えを、恐ろしいことだと感じることなく、ただただ馬鹿らしいことだと知って、笑い飛ばすことが出来るだろう。
6. Let us return the dream he gave away unto the dreamer, who perceives the dream as separate from himself and done to him.
- return [ritə́ːrn] : 「〜を返す、戻す、返却する、返品する」
- gave [géiv] : 「give の過去形」
- give away : 「ただで与える、暴露する」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- separate [sépərət[ : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
- done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "Let us return the dream ~ "「放り出された夢を、その夢を見た者に返してやろう」。神の子は夢の中でこの幻想世界を夢見ているのだが、いわば、夢の中でもう一つの夢を無責任に放り出してしまったようなものだ。なぜなら、夢の中の夢を自分で処理することが出来ずに、その夢に苦しめられているからだ。そんな重荷の夢など、もともとの、夢を見ている神の子に返してやって、悪夢に過ぎない幻想世界を終わらせようではないか。"who perceives the dream ~ "「そんな、夢見る神の子は、その夢が自分とは分離したものであって、自分に対して成されたものだと知覚しているのである」。自分で夢を見ているのにもかかわらず、その夢は自分とはかけ離れたものであって、自分に向かって悪意をもって成されたものだと勘違いしているのだ。
Into eternity, where all is one, there crept a tiny, mad idea, at which the Son of God remembered not to laugh.
- eternity [itə́ːrnəti] : 「永遠、無限」
- crept [krépt] : 「creep の過去・過去分詞形」
- creep [kríːp] : 「はう、ゆっくり近づく、忍び寄る」
- tiny [táini] : 「とても小さい、ちっぽけな、極めて小さな」
- mad [mǽd] : 「気が狂って、怒って、頭にきて、発狂して」
- laugh at : 「〜を笑う」
❖ "Into eternity, where ~ "「あらゆるものが、一なるものである永遠性の中に、」つまり、一元論世界である実相世界の中に、"there crept a tiny, mad ~ "「ほんの小さな狂った考えが忍び込み、」"at which the Son of God ~ "「神の子は、それを笑い飛ばしながら思い出すことが出来なくなったのだ」。"a tiny, mad idea"「ほんの小さな狂った考え」とは、神の子が神なしで神のように生きていけないだろうか、という考えのこと。神から分離して、自分が神として生きていこうとする考えのことである。そんな、馬鹿らしい考えが、天の王国に住む神の子の心の中に忍び込み、そして、神の子は深い眠りに陥ったのである。今や、眠りの中で幻想に苦しむ神の子は、そんな馬鹿らしい考えを笑い飛ばすことさえ出来なくなってしまった。
In his forgetting did the thought become a serious idea, and possible of both accomplishment and real effects.
- forgetting [fərɡétiŋ] : 「忘却、忘れること」
- thought [θɔ́ːt] : 「考え、見解、思考、思索、熟考 」
- become : 「〜になる」
- serious [síəriəs] : 「まじめな、真剣な、本気の、重大な、深刻な」
- possible [pɑ́səbl] : 「可能性、可能なこと」
- both [bóuθ] A and B : 「AもBも、ABいずれも」
- accomplishment [əkάmpliʃmənt] : 「成就、達成、完成」\
- effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "In his forgetting ~ "「神の子が(実相世界を)忘れるにしたがい、(ほんの小さな狂った)考えは、深刻な思いになってしまった」。"and possible of both ~ "「そして、その深刻さは現実化し影響を与えることさえ可能となったのだ」。そもそも、馬鹿らしい、ほんの小さな冗談で始まった幻想であったが、事はどんどん深刻化していって、今や神の子は、夢の中で幻想のもたらす結果に苦悩するに至ってしまった。
Together, we can laugh them both away, and understand that time cannot intrude upon eternity.
- together [təɡéðər] : 「一緒に、同時に」
- laugh away : 「笑い飛ばす、一笑に付す」
- understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
- intrude [intrúːd] : 「侵入する、入り込む、立ち入る」
- eternity [itə́ːrnəti] : 「永遠、無限」
❖ "Together, we can laugh ~ "「私たちは、一緒になって、 (狂った幻想の現実化もその影響も)両者ともに、笑い飛ばすことが出来るだろうし、」"and understand that ~ "「時間というものは、永遠性の中に侵入し得ないのだと理解出来るのだ」。時間という幻想は、永遠性の実相世界に侵入出来ない。だから、神の子が眠りに陥って幻想世界を夢に見ていた時間すら、永遠不変の実相世界には存在せず、ただ、目覚めるだけですべての幻想は一瞬にして消滅してしまうのである。よく眠ったし、夢を見てしまったなあ、ということで、その夢を笑い飛ばせるのだ。
It is a joke to think that time can come to circumvent eternity, which means there is no time.
- joke [dʒóuk] : 「冗談、悪ふざけ、つまらないこと」
- circumvent [sə̀ːrkəmvént] : 「〜を巧みに逃れる、〜の裏をかく、だます、出し抜く」
- mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
❖ "It is a joke to think ~ "「時間が永遠性の裏をかくために生じたと思うのはほんの冗談であり、」 "which means there ~ "「永遠性とは、時間が存在しないことを意味するのである」。永遠性がなくても、たっぷりの時間があれば十分ではないかと、時間は永遠性の裏をかこうとするが、そもそも、永遠性とは無限に長い時間を意味するのではなく、時間そのものが存在しないことを意味するので、時間と永遠性と比較することなど不可能なのだ。だから、無限に長い時間などと言えば、それは冗談に違いないのである。