●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-31.V.11:1 ~ T-31.V.12:7


11. Perhaps the reason why this concept must be kept in darkness is that, in the light, the one who would not think it true is you. 

  • perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠」
  • concept [kάnsept] : 「概念、観念」
  • kept [képt] : 「keepの過去・過去分詞形」
  • darkness [dάːrknis] : 「暗がり、暗闇」
  • light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」

❖ "Perhaps the reason ~ "「多分、この自己概念が闇の中に隠されておかねばならなかった理由は、光の中では、その自己概念が正しいと思わない者はあなただということになるからだ」。世界が悪なら、あなたの持っている悪をわざわざ隠す必要はない。周りが悪だらけなのだから、誰からも非難もされることはないし、恥ずかしくもない。しかし、あなたは、心の奥の憎悪や怒りや攻撃性をひた隠しにしている。その理由は、多分、あなたがその悪感情を真実の光の中に取り出してよく見てみれば、それが本物ではないと気付くはずだからだろう。つまり、虚偽の悪感情を隠し持つことで、悪という幻想からの目覚めを遠ざけようとするエゴの意図が働いているに違いないのだ。あなたは見ないように、気付かないように、隠すように、仕向けられているのだ。



And what would happen to the world you see, if all its underpinnings were removed? 

  • happen [hǽpən] : 「起こる、発生する」
  • underpinning [ʌ́ndərpiniŋ] : 「基礎、土台、支えとなるもの」
  • remove [rimúːv] : 「取り除く、取り去る、取り外す、除去する」

❖ "And what would ~ "「もし、(隠された)自己概念の土台すべてが取り除かれたなら、あなたの目にする世界に、いったい何が起こるだろう」。善良な顔を装ってはいるが、心の奥に悪い感情を隠し持っていると思っているあなたが、もし、白日の下にその悪感情をさらけ出したなら、それが虚偽であり、幻想、錯覚に過ぎないと気付くだろう。幻想を土台にして形成された偽りの悪感情だと知ることになる。もし、あなたが、その幻想の土台のすべてを赦して消滅させたなら、世界はどうなるか? 幻想の世界も消滅してしまうだろうし、エゴも、当然消滅する。したがって、エゴが一番恐れることは、あなたが真実に目覚めることであって、虚偽の悪感情をあなたの目から隠すようにして、しかも、あなたに保持させているのだ。何とも狡猾な作戦ではないか。



Your concept of the world depends upon this concept of the self. And both would go, if either one were ever raised to doubt. 

  • depend [dipénd] upon : 「〜によって決まる、〜次第である、〜に頼る」
  • either [íːðər] one : 「どちらか一つ」
  • raise [réiz] : 「引き起こす、提起する、取り上げる」

❖ "Your concept of ~ "「あなたの世界に対する概念は、あなたの自己概念に依存している」。あなたが自分の悪感情を隠し持って、それを幻想だと見抜けない間は、あなたは世界の幻想性を見抜けない。あなたが自分を見るように、あなたは世界を見るからだ。あなたが自己概念を形成したように、あなたは世界の概念を形成するのである。"And both would ~ "「そして、もし、あなたの概念か世界の概念のどちらかが、疑問に晒(さら)されたなら、両者が消滅してしまうだろう」。あなたの自己概念か世界の概念が、真実の光に晒されて、その虚偽性、幻想性が暴れたなら、両者とも消滅する。概念のみならず、肉体をもったあなたの存在も、物質だらけの世界の存在も、共に消滅するのだ。虚偽、幻想は消え去り、あなたは、真実の実相世界に生まれ変わるのである。エゴの最も恐れるシナリオである。



The Holy Spirit does not seek to throw you into panic. So He merely asks if just a little question might be raised.

  • seek [síːk] : 「見つけようとする、探し求める」
  • throw [θróu] : 「投げる、発射する」
  • panic [pǽnik] : 「恐慌、恐怖、パニック」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • ask [ǽsk] : 「〜を尋ねる、質問する、聞く、問う」
  • question [kwéstʃən] : 「質問、疑問、問い、質疑」

❖ "The Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットは、あなたを恐怖の中に放り投げようなどと模索してはいない」。あなたは幻想だから自己消滅してしまえ、などとあなたを脅して、恐怖に陥れるようなことは、ホーリー・スピリットはしない。"So He merely asks ~ "「そこでホーリー・スピリットは、疑問をちょっと持ってみてはどうかと、ただ問い掛けてみるだけだ」。あなたが隠し持っていると信じている心の底の憎悪や怒りや攻撃性に対して、それは本当に本物だろうかと疑問を持って、真実の光の元に晒(さら)してみることを、あなたに勧めているのだ。



12. There are alternatives about the thing that you must be. You might, for instance, be the thing you chose to have your brother be. 

  • alternative [ɔːltə́ːrnətiv] : 「取って代わるもの、代替手段、選択肢」
  • for instance [ínstəns] : 「例えば、例として」
  • chose [tʃóuz] : 「chooseの過去形」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」

❖ "There are alternatives ~ "「あなたの自己概念に対して、別の選択肢がある」。"the thing that ~ "は、「あなたがそうあらねばならないもの、あなたのあるべき姿」という意味合いで、ここでは簡単に自己概念と訳してみた。あなたは偽善的側面を表に出し、偽悪的側面を隠し持って生きているが、そんな自己概念の外に、別の自分の姿をもつという選択肢が残されている。"You might ~ "「たとえば、あなたは、あなたの同胞を、そうあらせたいと選択する、その者になれるかも知れない」。下手な訳で申し訳ない。あなたは、同胞にこうあってほしいと願うことがあるだろうが、その願い、想念を、自分自身に投射して、あなた自身がその願い通りの人間になれる可能性もある。あなたと同胞はこの幻想世界にあって、互いに互いの思いを投射し合って、互いのイメージを生きている。いわば、あなたは自分として生きていながら、他者としても生きているようなものなのだ。ならば、他者に対して、こうあってほしいと望めば、それが自分に跳ね返って来て、あなたがそのような自分として生きていけるわけだ。そういう選択肢もあり得る、ということ。



This shifts the concept of the self from what is wholly passive, and at least makes way for active choice, and some acknowledgment that interaction must have entered in. 

  • shift [ʃíft] : 「変える、移す、換える、代える」
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に、すっかり」
  • passive [pǽsiv] : 「受動的な、受け身の」
  • at least : 「少なくとも、最少に見ても」
  • active [ǽktiv] : 「積極的な、自ら働き掛ける、能動的な」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • acknowledgment [æknάlidʒmənt] : 「承認、同意、認知」
  • interaction [intəːrǽkʃən] : 「相互作用、相互関係」
  • enter [énter] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」 

❖ "This shifts the concept ~ "「こうすれば、完全に受け身の自己概念から(別の)自己概念にシフト出来る」。"and at least makes ~ "「そして、少なくとも、積極的な選択の道も出来るし、」"and some acknowledgment ~ "「相互関係が入り込めるに違いないと認識出来る道筋も出来る」。二面性をもったあなたの自己概念は、いわば、この世界と他者があなたに投射した概念であって、あなたは、世界と他者によって受動的に作られたあなたである。しかし、あなたが積極的に、他者に対して、正しくこうあって欲しいと願えば、あなたが他者と世界を変えることが出来、それが跳ね返って、あなた自身が変わるのだ。あなたは、積極的に、他者との相互関係を利用して、自己概念を変えることが出来るのである。



There is some understanding that you chose for both of you, and what he represents has meaning that was given it by you. 

  • understanding [ʌ̀ndərstǽndiŋ] : 「理解、把握」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
  • represent [rèprizént] : 「表す、示す、象徴する、意味する」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」

❖ "There is some ~ "「that以下を、多少なりとも理解出来るだろう」。"that you chose ~ "「あなたは、あなた方両者のために選択するのであり、」あなたが他者に対して、こうあって欲しいと望み、積極的にその姿を選択することは、それが跳ね返って来てあなたに自身の自己概念を変えることになるのだから、あなたと他者の両方に影響を与えるのだ。"and what he ~ "「そして、同胞が表すことは、あなたによって与えられた意味をもつ」ということを、多少なりとも理解出来るだろう。他者に対して影響を与えて、他者もあなた自身も変えられていくのだから、他者の姿や素振りは、あなたが積極的に他者に与えた意味をもつのだ。
幻想のあなたと幻想の他者が、幻想の世界でエゴに操られて生きているのだが、あなたが正しい選択をして、他者にこうあって欲しいと願うことで、あなたと他者は、少しではあっても、心の最も神聖で純粋な部分の実相に近づくことが出来るのだ。幻想から実相への目覚めに、近づけるのである。



It also shows some glimmering of sight into perception's law that what you see reflects the state of the perceiver's mind. Yet who was it that did the choosing first? 

  • also [ɔ́ːlsou] : 「〜もまた、同様に、また、〜もやはり」
  • glimmering [ɡlíməriŋ] : 「かすかな光、ちらちらする光」
  • sight [sáit] : 「視野、視界、景色、眺め、視力、視覚」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
  • reflect [riflékt] : 「〜を映す、示す、反映する」
  • state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況。有り様」

❖ "It also shows ~ "「それはまた、〜という知覚の法則に、微(かす)かな視野を投げかけてくれる」。知覚の法則が、少しわかってくる、という意味。それは、"that what you see ~ "「あなたが目にするものは、知覚する者の心の状態を反映する」という知覚の法則である。つまり知覚とは、物的対象が初めにそこにあって、あなたの肉体的な感覚器官がそれを知覚する、というものではなく、あなたの心が見たいと思ったものを、そこに見るものなのだ、ということ。あなたの心の想念が、対象にその想念を反映して、あなたはそれを見るのである。ならば、"Yet who was it ~ "「しかし、一番最初に選択した者とは、いったい誰だろう」。あなたの想念が他者に反映し、同時に他者の想念があなたに反映して、あなたと他者が互いに知覚し合っている。では、両者に想念を抱かせた、元々の第一者とは誰か? エゴの操り人形に過ぎない両者に、正しい心の動きを促した最初の存在とは何か? 



If you are what you chose your brother be, alternatives were there to choose among, and someone must have first decided on the one to choose, and let the other go.

  • alternative [ɔːltə́ːrnətiv] : 「取って代わるもの、代替手段、選択肢」
  • decide [disáid] on : 「〜を決める、〜を決定する」

❖ "If you are what ~ "「もしあなたが、同胞にこうあって欲しいと選択した、そのものであるなら、」"alternatives were ~ "「(外にも)選択肢があったはずで、」"and someone must ~ "「誰かが、選択したその一つを決定し、他の選択肢を排除したに違いない」。お気付きのように、もちろん、あなたに正しい選択を促しているのは、あなたの心の最も純粋で神聖な部分に宿っているホーリー・スピリットである。ホーリー・スピリットの声を聞くとは、こういうことなのだ。ホーリー・スピリットの声は、ラジオの声のような、天から聞こえてくるような種類のものではない。あなたが正しい選択をし、愛と喜びをもって実相に近づこうとするとき、それを促しているのが、ホーリー・スピリットの声なき声なのだ。あなたも他者も、エゴに操られる幻想の人形に過ぎない。しかし、その人形の心の奥には、つまり、怒りや憎悪や攻撃性を隠している心の奥の、さらに奥底には、実相の領域がちゃんと残っていて、そこにホーリー・スピリットが宿り、神とのチャンネルを保持し、あなたを正しい方向へと導いてくれているのだ。これがなかったら、あなたは本当の操り人形に等しく、まさに、木偶の坊(でくのぼう)である。しかし、あなたは心の神聖で純粋な部分を失わなかったし、失うことも不可能なのだ。なぜか? あなたは神に必要とされているからだ。神は決してあなたを手放したりしなかったし、手放すことも断じてない。
もう一言・・・とは言うものの、ホーリー・スピリットの声なき声と、あなたの頭脳による理性的判断とを勘違いしてはいけない。これを誤れば、あなたは体の中に、口うるさい教育ママを一匹飼うことになってしまう。だからACIMは、判断停止を訴えているのだ。理性による判断を停止して、心の声に耳を傾けよ、とはそういうことである。
 
 
 


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