●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-31.VI.7:1 ~ T-31.VII.1:9


7. Your will be done, you holy child of God. It does not matter if you think you are in earth or Heaven. 

  • will [wíl] : 「意志、願望、意欲」
  • done [dʌ́n] : 「doの過去分詞」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • matter [mǽtər] : 「重要である、問題である」
  • earth [ə́ːrθ] : 「地球、地上」
  • heaven [hévən] : 「天国、天、天の王国」

❖ "Your will be done ~ "「神聖な神の子であるあなたよ、あなたの意思は必ずなされる」。あなたの正しい意思は、必ず現実化する。"It does not matter ~ "「あなたが地上にいると思っていようが天上にいると思っていようが、それは問題でない」。あなたがこの世界に生きていると思っていようが、本当は天の王国に生きていると思っていようが、あなたの意思が実現することに関しては、それは重要でない。重要なのは、あなたの意思であり、自由意思であり、実相的な真実の意思である。



What your Father wills of you can never change. 

  • change [tʃéindʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」

❖ "What your Father ~ "「父なる神があなたに向けた意思は、決して変わることはない」。神の意思とは、言い換えれば、神の愛である。あなたに向けられた神の愛は、永遠に不変である。



The truth in you remains as radiant as a star, as pure as light, as innocent as love itself. And you are worthy that your will be done!

  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理」
  • remain [riméin] : 「とどまる、残る、生き残る、残存する」
  • radiant [réidiənt] : 「光を放つ、さんぜんとした、光り輝く、明るい」
  • pure [pjúər] : 「純粋な、混じりけのない、清らかな、きれいな」
  • light [láit] : 「光、ライト、明かり」
  • innocent [ínəsənt] : 「無実の、潔白な、純真な、無邪気な」
  • worthy [wə́ːrði] : 「〜に値する、〜するに足りる」

❖ "The truth in you ~ "「あなたの心の中の真実は、星のように光り輝き、光のように純粋で、愛それ自体のように純潔であり続ける」。"And you are worthy ~ "「そしてあなたは、あなたの意思がなされるにふさわしいのだ」。ここは理屈を追わずに、ただ朗読するだけでいいだろう。声に出して、英文を読んでみよう。イエスの息づかいを感じよう。





VII. The Savior's Vision
救い主のヴィジョン


1. Learning is change. Salvation does not seek to use a means as yet too alien to your thinking to be helpful, nor to make the kinds of change you could not recognize. 

  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • change [tʃéindʒ] : 「変化、変更、移行、交換」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • seek [síːk] : 「探し求める、得ようと努力する」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、手法」
  • as yet : 「今のところは」
  • alien [éiljən] : 「性質の異なる、異質な、縁もゆかりもない」
  • thinking [θíŋkiŋ] : 「考えること、思考、考え、意見、判断」
  • helpful [hélpfəl] : 「役立つ、助けになる、有益な」
  • kind [káind] : 「種類、性質、本質」
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「認める、受け入れる、〜を認識する」

❖ "Learning is ~ "「学ぶとは、変化することである」。学ぶとは、自己変革である。自分を変えていくのだ。自分を実相化、真実化してくことだ。"Salvation does not ~ "「救いは、あなたがまだ役に立つとも思っていない手段を利用しようとしないし、あなたが受け入れることの出来ない種類の変化をもたらそうなどともしない」。救いは、おどろおどろしい魔法をあなたに与えるものでない。学びによる自己変革をしていくあなたに、その時々に応じて適切な手段を与え、少しずつ、あなたに変化を促(うなが)していくのだ。その方法は、ACIMのこの『Text』に続く『Workbook』に詳しく述べられている。



Concepts are needed while perception lasts, and changing concepts is salvation's task. 

  • concept [kάnsept] : 「概念、観念」
  • while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ」
  • last [lǽst] : 「続く、存続する、持続する」
  • task [tǽsk] : 「仕事、職務、役割、目的」

❖ "Concepts are needed ~ "「概念とは、知覚が続く限り、必要とされる」。"and changing ~ "「そして、概念を変化させることが、救いの仕事なのだ」。"while perception lasts"「知覚が続く限り」ということを、少し説明しよう。この二元論幻想世界で物事を把握するとは、感覚器官による知覚を頼りとして得られた情報を、二極分化した概念のマップに当てはめて評価、判断することである。たとえば花を、目という感覚器官で捉えてイメージ情報を得て、二極分化した美と醜の概念マップに当てはめて評価判断し、「ああ、この花はすごく美しい」と知るのである。また、ある人を見て、美醜の判断のほかに、言ったこと、やったことを善悪の二極概念マップに照らし合わせて評価判断し、「あいつは悪いヤツだ」と知るのである。つまり、「知覚が続く限り」とは、この二元論幻想世界に生きて、知覚し判断する限り、という意味である。知覚と概念が組み合わされて、評価判断を下す、というサイクルによって、この世の知が形成されるのだ。
ところが、実相世界は想念の一元論世界であり、知覚は存在しない。物体が存在しないのだから、知覚など不要なのだ。一元論であるから、二極分化した概念のせめぎ合いもない。評価も判断も不要なのだ。そして、知覚がない代わりに、知覚が実相化した叡智(knowledge)が存在する。叡智は知覚することなく、直覚的に、全的に、すべてを瞬時で知る。たとえば、美を直覚した叡智は、美醜の概念マップに照らし合わせて評価判断することなどない。美は、叡智によって直覚されると、喜びと平和と愛を生み出し、静けさの中で拡張増大していくのである。ただそれだけだ。余計なものなど、何一つ発生しない。たとえば、叡智は、幻想世界に住む人間を知覚して、その人間を評価判断することもない。悪も善も、そんな概念の存在しない実相世界の叡智が、善悪の判断を下す分けがないではないか。悪人も善人も、ただ幻想として受け入れ、その幻想を赦してしまうのだ。
世の多くの宗教が、神は、人間の生前の所業を評価判断して、悪人は地獄に、善人は天国へ振り分けると言うが、まったく笑止千万な戯言(たわごと)である。おまけに、最後の審判とやらを持ち出して、世の終わりに、神が人間の善悪を審判するとまで言い出す。これがエゴなのだ。神ではない。神には、善悪などという概念はないし、神は、審判などという言葉すらもってはいない。神は、人間の善悪という幻想を赦し、幻想を消去して、人間を永遠に愛するだけなのだ。これほど単純な道理が、どうして既成宗教にかぶれた者達にはわからないのだろう?
善悪のない実相世界ではあるが、ならば、神に反抗する悪魔は、いったいどんな存在なのか? 一言で言うなら、幻想である。二元論幻想世界に毒された人間の妄想が、善悪の審判を下す神と悪を信奉する悪魔を、想念の中に生み出しただけなのだ。想念は現実化するから、悪魔はこの幻想世界に存在する。幻想としての悪魔が、諸悪を実行して、幻想の神(にせ神)を悩ますのある。光と闇の戦い、善と悪の戦い、神と悪魔の戦い、等々、人間の妄想が、華々しい二元論的戦争を生み出しているだけである。その戦争は、この幻想世界で演じられはするが、実在の実相世界にその戦いが波及することは決してない。幻想は実相世界に侵入することは出来ないのだ。神は、決して幻想しない。神は幻想を赦すのみ、ピリオド。



For it must deal in contrasts, not in truth, which has no opposite and cannot change. 

  • deal in : 「〜を扱う」
  • contrast [kɑ́ntræst] : 「対比、対照、差異、不一致、正反対のもの」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • opposite [άpəzit] : 「正反対のもの、正反対」

❖ "For it must deal ~ "「なぜなら、概念は対立するものを扱うが、真実を扱うことはないからだ」。お分かりだろう、概念は、二極対立の概念として、幻想を扱うのであって、実相の一元論としての真実と係りをもつことは一切ない。"which has no ~ "「その真実は、対立もなければ変化することもない」。実相世界は一元論の世界である。愛はあるが憎悪はない。美はあるが醜はない。愛や美は真実であるが、憎悪や醜は幻想だからだ。真実は対立概念としての虚偽をもたないのだ。対立概念をもたないから、二極分化した概念の力関係による力学的せめぎ合いはない。したがって、真実が変化流動することはないのだ。



In this world's concepts are the guilty "bad"; the "good" are innocent. 

  • guilty [ɡílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • bad [bǽd] : 「悪い、ひどい、偽の」
  • innocent [ínəsənt] : 「無実の、潔白な、純真な、無邪気な」

❖ "In this world's concepts ~ "「この世界の概念では、罪は『悪(あ)しきもの』で、潔白は『良きもの』とされる」。幻想世界にあっては、すべてを二極に色分けするのである。それが、概念の仕事となる。概念も想念の一つであるから、現実化し(正確な意味では、幻想化し)、この世界は対立する二極の概念で構成される。対立は力を生み出し、力が変化を生み出す。しかし、変化流動は、物理学者がエントロピー増大の法則を持ち出すまでもなく、崩壊へ向かう。いわば、力と力の対立は、死をもって安定化するのだ。したがって、『悪(あ)しきもの』も『良きもの』も、最後は平等に『死』を迎える。罪ある者も潔白な者も、最後は平等に死ぬのである。これが、この世の性(さが)である。分離の性(さが)なのだ。



And no one here but holds a concept of himself in which he counts the "good" to pardon him the "bad. "

  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
  • count [káunt] : 「〜と見なす、考慮する」
  • pardon [pάːrdn] : 「許す、赦免する、放免する」

❖ "And no one here ~ "「そして、この世界に住む誰一人として、『良きもの』は『悪(あ)しきもの』を赦すという自己概念を持つことはない」。対立する二つの概念、この世の善と悪を超越して、ともに幻想に過ぎないと達観して、幻想を赦してしまう自分自身を確立する者は、この世界にはいない。



Nor does he trust the "good" in anyone, believing that the "bad" must lurk behind. 

  • trust [trʌ́st] : 「信用する、信頼する」
  • lurk [lə́ːrk] : 「待ち伏せする、隠れて待つ、潜在する」
  • behind [biháind] : 「後に、後ろへ、後ろ側に、背後に」

❖ "Nor does he trust ~ "「また、誰一人、他者の中の『良きもの』を信頼することもない」。"believing that ~ "「背後に、『悪しきもの』が潜んでいるに違いないと信じているからだ」。二元論としての善悪の存在を信じている限り、他者を完全に信頼することは不可能だ。二元論の善悪は幻想なのだと達観し、それを赦すことなくして、本当の信頼はない。幻想から抜け出すための秘密の鍵は、赦しなのだ。



This concept emphasizes treachery, and trust becomes impossible. Nor could it change while you perceive the "bad" in you.

  • emphasize [émfəsàiz] : 「強調する、力説する、際立たせる」
  • treachery [trétʃəri] : 「不信、裏切り、背信、不実」
  • trust [trʌ́st] : 「信頼、信用」
  • impossible [impάsəbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」

❖ "This concept ~ "「こういった概念は、裏切りを際立たせ、信頼は不可能となる」。"Nor could it change ~ "「あなたが、あなたの心の中に『悪しきもの』を知覚している間は、こういった概念が変化する可能性はない」。あなたが、自分の心の中に罪の意識を抱き、自分は『悪しきもの』だと思っているうちは、それは、あなたが幻想の虜(とりこ)になっている証拠であり、二つの対立概念で構成されたあなたの自己概念は、実相化に向けて変化する可能性はない。
 
 
 


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